電話の一次受付はAIに任せられる?|任せる範囲の線引き

電話の一次受付はAIに任せられる?|任せる範囲の線引き

「代表番号にかかってくる電話の多くが営業の売り込みで、そのたびに手が止まる」「担当者が席を外していて、折り返しの約束を取り次ぐだけで午前中が終わる」。BtoBの企業で管理部門やマーケティングを兼務している方から、この二つはほぼ同時に出てきます。裏返せば、電話そのものを減らしたいわけではないはずです。減らしたいのは取次の手間で、失いたくないのは新規の一本。電話の一次受付をAIに任せられるかという問いは、全自動にできるかどうかの話ではありません。機械が受ける範囲と、人へ渡す合図を先に決められるかどうかの話です。この記事では、実際の着信が入ってから商談につながる、あるいは取りこぼされるまでを場面で追いながら、任せる範囲の線引きを整理します。


カメ先生カメ先生

電話の一次受付をAIに任せるって、全部を機械に置き換える話だと思われがちなんだけど、本当は『どこまで機械が受けて、どこから人に渡すか』を決めることなんだ。


カメ子カメ子

最後まで機械が話し切るわけではないんですね。


カメ先生カメ先生

そう。代表番号に来る電話は用件がばらばらでね。名乗りと用件の聞き取りまでは形が決まっているから任せやすい。でも、その先で何を約束するかは人の仕事なんだ。


カメ子カメ子

渡す場所が先に決まっていないと、どっちつかずになりそうです。


この記事のポイント
  • 代表番号への着信は用件の種類がばらばらで、機械に向く部分と人にしか扱えない部分が混ざっている
  • 任せるのは名乗り・用件の聞き取り・取次までで、金額や納期の約束はAIに言わせない
  • 聞き返しが続いたとき、苦情のとき、人と話したいと言われたときに、迷わず人へ戻す条件を先に決める

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目次

代表番号に届く電話は、一種類ではない

最初に、受けている電話の中身を分解します。BtoBの代表番号に届く着信は、おおむね四つに分かれます。売り込みの営業電話、既存の取引先からの用件、新規の問い合わせ、そして特定の担当者への取次です。この四つは、必要とされる判断の重さがまったく違います。同じ一本の電話として扱っているから、対応の負荷が平準化されて見えるのです。

代表電話の課題を整理した解説では、特定の従業員への負担の集中、対応しきれないことによる機会の損失、業務が中断されることによる効率の低下、応対品質のばらつき、想定外の用件、在宅勤務での受電の難しさが挙げられています。注目したいのは、このうち負担の集中と業務の中断は、取次と営業電話が生んでいるという点です。売上に直結する新規の一本は、その他大勢に埋もれています。

在宅勤務が定着したことも、この構図を強めました。受電のためだけに出社する人が要る、という状態は多くの企業で解消されていません。二〇二〇年六月に公表された在宅勤務に関する調査では、課題として固定電話の対応を挙げた企業が三割程度に上ったと報じられています。働き方の変更が先に進み、電話の受け方だけが取り残されているのが、多くの代表番号の現状です。

だから設計の出発点は、機械に何ができるかではありません。四つの着信のうち、どれを機械に受けさせ、どれを人に届けるのかを先に決めることです。ここが決まっていれば、導入するサービスの選定も、うまくいかなかったときの見直しも筋道が立ちます。決まっていないまま導入すると、全部を中途半端に受ける仕組みができあがります。

場面1:午前十時十五分、代表番号が鳴る

ここから、実際の着信を場面で追います。午前十時十五分、代表番号に着信が入ります。従来なら、手が空いている人が受話器を取り、名乗り、相手の社名と名前を聞き、用件を確認し、担当者の在席を確かめ、取り次ぐか折り返しを約束していました。この一連の流れのうち、最初の四つは、相手が誰であっても手順が変わりません。変わるのは、五つめの判断からです。

AI音声応答を挟んだ場合、この最初の四つを機械が受けます。冒頭でこれが自動の応対であることを名乗り、社名と担当者名を聞き取り、用件を尋ねる。ここまでは秒単位で終わります。人が受けるときに発生していた「手が空いている人を探す」時間と、「作業を中断する」損失が、まるごと消えます。効果として最も大きいのは、実はこの中断が起きなくなることのほうです。

見落とされがちなのが、この時点で相手の期待値が決まることです。冒頭の名乗りが不自然だったり、機械であることを隠していたりすると、相手はそこで身構えます。逆に、自動の応対であることを最初に伝え、用件を短く尋ねる形にしておくと、相手も要点から話してくれます。導入の解説でも、人のふりをしないことが設計の原則として挙げられています。

場面2:用件を聞き取るまでに、機械の中で起きていること

相手が話し始めてから応答が返るまでに、機械の中では四つの処理が順に走ります。音声を文字に起こす処理、その文章から用件の意図を読み取る処理、返す内容を組み立てる処理、そして文字を音声に変換して読み上げる処理です。この四段のどこかで詰まると、無言の間が生まれます。電話は数秒の沈黙が致命的なので、応答の速さは実用性を大きく左右します。

2026年時点でできることは、はっきりしています。営業時間や所在地、担当部署の確認といった定型の応答、用件の聞き取り、取次の判断、折り返しの予約、そして通話内容の文字起こしと要約。ある解説では、着信のうち定型的な用件が四割から六割程度を占める事業であれば自動化の効果が出やすく、例外は人へ回す設計が現実的だとされています。

できないことも同じくらい明確です。込み入った条件のすり合わせ、感情を含んだ苦情の受け止め、想定していなかった方向へ話が展開する場面。日本語の自然な会話は複数のサービスに共通する弱点として指摘されており、業界用語や社名の聞き取りでも取りこぼしが起きます。会話の巧拙で選ぶのではなく、詰まったときに人へ渡せるかで選ぶほうが、実務では外しません。

場面3:営業電話を、断らずに仕分ける

鳴った電話が売り込みだった場合を追います。ここで機械が強いのは、感情が動かないことです。人が受けると、断りの一言を伝えるだけでも気を遣いますし、押しの強い相手には時間を取られます。自動の応対であれば、用件を聞き取ったうえで、営業目的の連絡は所定の窓口へ案内する、という同じ対応を毎回返せます。担当者の名前を聞き出そうとする問いかけにも、同じ形で返せます。

ただし、機械的に切ってよいという意味ではありません。売り込みの体裁でかかってきた電話が、実は取引先の新任担当者からの挨拶だったという行き違いは起こります。安全側に倒すなら、切断するのではなく、記録に残す設計にします。用件の要約だけを担当部署に届けておけば、後から見返して拾い直せます。

仕分けの基準は、相手の名乗り方ではなく用件の中身で書きます。自社の商材について尋ねているのか、相手の商材を提案しているのか。この区別であれば、聞き取った文章から判定できます。導入の初期は、判定した結果を人が抜き取りで確認し、外している型を見つけて基準を直していく。この調整は避けて通れない工程で、費用の見積もりにも含めておく必要があります。

場面4:既存顧客の用件は、取次に徹する

次に、取引中の顧客からの着信です。ここで最も避けたいのは、機械が中途半端に答えてしまうことです。契約内容や納期、対応状況は、相手ごとに事情が違います。自動の応対に答えさせてよいのは、誰に対しても同じ内容になる情報だけだと線を引いてください。営業時間や所在地は同じですが、その顧客の案件の進み具合は同じではありません。

実務では、社名と担当者名を聞き取り、担当が在席していれば取り次ぎ、不在なら折り返しの予約を取る、という形に絞ります。折り返しの予約では、都合のよい時間帯と連絡先を確認しておきます。この二つが揃っているだけで、担当者が戻ってからの動きがまるで変わります。逆にここが欠けると、折り返しの往復が何度も発生します。

既存顧客の対応で効いてくるのが、待たせないことです。取次を待つあいだの保留や、話中で受けられなかった着信は、そのまま不満として積み上がります。応対の質を上げる以前に、まず必ず出ることのほうが効きます。人が全部を受け切れない時間帯があるなら、そこを機械で埋めるだけでも、既存顧客への価値は生まれます。

場面5:新規の問い合わせが、商談の入口になる

ここが本題です。四つの着信のうち、金額に直結するのは新規の問い合わせです。ところが実務では、この一本がもっとも取りこぼされやすい。営業電話に紛れて優先度を下げられ、担当者が不在で折り返しになり、その折り返しが翌日にずれる。相手は待っているあいだに他社へ問い合わせています

自動の応対を挟む価値は、この一本を確実に拾えることにあります。聞き取るべき項目を決めておけば、誰が受けても同じ情報が揃います。社名、部署、担当者名、連絡先、何を検討しているのか、いつまでに判断したいのか。この六つが揃った状態で担当者に届けば、折り返しの一本目から具体的な話ができます。用件を聞き直すところから始める必要がなくなります。

ここで踏み込みすぎない設計が重要です。予算はいくらか、決裁者は誰か、といった深い質問を機械に聞かせると、相手は身構えて答えなくなります。初回の電話で取るべきは、折り返しの約束が成立する最小限の情報だけです。聞き取りの項目を増やすほど、途中で切られる確率が上がります。項目は多くて六つ、通話は一分以内を目安に設計すると現実的です。

場面6:聞き返しが二回続いたら、人に戻す

うまくいかない場面も追います。相手の声が聞き取れない、周囲の音が大きい、専門用語が続く。こうしたとき、機械は聞き返します。導入の解説で原則として挙げられているのが、聞き返しは二回まで、三回目は必ず人へ切り替えるという線引きです。三回目の聞き返しは、相手にとって明確な不快の合図になります。

人へ戻す条件は、聞き取りの失敗だけではありません。相手が声を荒らげたとき、苦情や不具合の申し出だと分かったとき、そして「人と話したい」と言われたとき。この三つは、内容を最後まで聞き取る前に切り替えます。特に三つめは、いつでも受け付けられるようにしておくのが原則です。応対の途中で言われても通るようにしておきます。

判断に迷いやすいのが、外国語の着信です。近年のサービスでは英語や中国語、韓国語への対応が強化されており、用件の聞き取りまでは成立することが増えました。ただし、聞き取れることと、社内で対応できることは別です。受けられる言語と、折り返しができる言語を一致させておくこと。対応できない言語で用件だけを受けてしまうと、折り返しの段階で行き詰まります。

戻す先がない時間帯をどうするかも、先に決めます。夜間や休日に切り替え先がない場合は、機械が受けたところで折り返しの予約に切り替え、翌営業日の何時までに連絡する、と明言します。約束できない時間を約束しないことが、信頼を落とさないための最低条件です。曖昧なまま切ると、相手は待ち続けることになります。

場面7:翌朝、担当者が見るのは録音ではなく要約

受けた電話が、担当者の手元にどう届くかを追います。多くのサービスでは、通話の内容が文字に起こされ、要約とともに担当者へ通知されます。ここで実務上の差が出るのは、録音そのものではなく、要約の粒度です。全文の書き起こしだけを渡されても、担当者は結局頭から読むことになります。

設計として決めておきたいのは、担当者に届く形式です。誰から、何の用件で、いつまでに何をすればよいのか。この三点が先頭に来ていれば、担当者は数秒で判断できます。全文の書き起こしは、必要なときだけ開ければ十分です。届け先も、個人あてだけにすると不在時に止まるため、部署の共有先にも同時に届く形にしておきます。

見落とされやすいのが、要約が誤っている場合の扱いです。聞き取りを外していると、要約も外れます。そのまま担当者が動くと、話が噛み合いません。だから、要約には必ず、元の書き起こしをたどれる導線を残しておくことです。人が確かめられる状態を保つことが、機械を使い続けるための条件になります。

任せる範囲の線引きを、表にして先に決める

場面を追ってきた内容を、一枚に整理します。ここまでの流れで分かるのは、判断の軽い部分と重い部分が混在しているということでした。線引きは、着信の種類ごとに、そして機械が返す内容ごとに決めます。次の表を出発点にして、自社の事情に合わせて行を足してください。

着信の種類機械に任せる範囲人に渡す条件
営業の売り込み用件の聞き取りと所定の窓口への案内、記録の作成自社の商材について尋ねる内容が混ざっていたとき
既存顧客の用件社名と担当者名の聞き取り、在席確認、折り返しの予約案件の状況や条件に関する質問が出たとき
新規の問い合わせ六項目までの聞き取りと、折り返しの時間の確認金額や納期、対応可否を尋ねられたとき
苦情・不具合の申し出受け付けたことの確認まで内容が分かった時点で即座に

表を作る過程で必ず議論になるのが、金額や納期の扱いです。定型の価格表があるなら答えさせてよい、という意見は出ます。しかし条件によって金額が動く商材では、AIに数字を言わせないと決めておくほうが安全です。言い切ってしまった内容は、後から訂正するほうが手間になります。次に、この線引きを外したときに何が起きるかを並べます。

  • いきなり全部を自動化する:例外の処理が決まっておらず、難しい電話ほど機械の前で止まる
  • よくある用件を整理せずに導入する:何に答えさせるかが決まらず、聞き返しばかりが増える
  • 人へ渡す条件を曖昧にする:担当者が気づかないまま放置され、機会の損失が見えなくなる
  • 機械であることを隠す:途中で気づかれたときに、応対の内容以前に不信を招く

名乗りと録音の告知は、最初の十数秒で済ませる

運用の前に片づけておくのが、冒頭の案内です。まず、自動の応対であることを名乗ります。相手を欺かないことは、この仕組みを使ううえでの前提です。次に、通話を録音する場合はその旨と目的を伝えます。実務では、応対の直後にこの二つを短く伝える形が定着しています。ここを長くすると、それだけで切られます

法令の面も押さえておきます。通話の音声は、そこから特定の個人が分かる場合には個人情報として扱われると解説されています。個人情報保護法では、利用目的を特定して通知または公表することが求められ、本人から求められれば保有する個人データを開示する義務が原則として生じるとされています。また、利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努める、という定めもあります。

無断で録音した場合の扱いについては、プライバシーの侵害として損害賠償を求められる可能性が指摘されています。個別の事案の判断は状況によるため、導入の前に自社の法務や顧問弁護士に確認してください。あわせて、録音の保存期間、社内の閲覧できる範囲、学習への利用の可否を先に決め、文書に残しておきます。

  • 冒頭で、自動の応対であることと、録音する旨および目的を短く伝える
  • 録音の保存期間と、社内で閲覧できる範囲を先に決めて文書に残す
  • 通話の記録を学習に使う場合は、その扱いを社内規程と外部への案内の両方に反映する
  • 法令の解釈と自社の運用の可否は、導入前に法務や顧問弁護士に確認する

誤った案内をしたとき、責任は誰が負うのか

実務でよく出る不安が、機械が間違えた案内をした場合の扱いです。前提として、応対したのが機械であっても、案内した主体は会社です。相手から見れば、代表番号にかけて聞いた内容であり、誰が答えたかは関係ありません。機械が答えたから会社は関係ない、という説明は通りません。

だからこそ、線引きの話に戻ります。誤ったときに取り返しがつかない領域、つまり金額、納期、対応の可否、契約に関わる回答を、AIに言わせないと決めておく。この四つを外しておけば、誤りが起きても訂正で収まります。言わせない範囲を決めることは、責任を回避することではなく、訂正できる状態を保つことです。

電話には、記録が残るという特徴もあります。文字起こしがあれば、何をどう案内したかを後から確認できます。これは訂正のときに役立ちますが、同時に誤りも残るということです。だから、抜き取りでの確認を運用に組み込みます。導入の初期は全件、型が見えてきたら日に数件でかまいません。誰も聞いていない自動応対は、静かに品質が落ちていきます

つながらなかった電話は、数字に残らない

効果を測る段になって困るのが、失われた電話が記録に残らないことです。話中で受けられなかった着信、時間外にかかってきて切られた着信、呼び出しの途中で諦められた着信。これらは、対応の記録にも売上の数字にも出てきません。見えない損失は、社内で議論の対象にすらならないのが実情です。

導入の効果を説明したいなら、まず失われている量を測るところから始めます。回線の記録から、応答しなかった着信の件数と時間帯を出します。時間外の着信、昼の時間帯の集中、担当者が会議に入っている時間帯。この分布が見えると、機械にどの時間を埋めさせればよいかが決まります。導入の可否よりも先に、この一枚を作ることをおすすめします。

導入後の測り方も決めておきます。受けた件数だけを見ると、営業電話まで含めて増えたように見えてしまいます。見るべきは、新規の問い合わせのうち、折り返しの約束まで到達した件数と、その折り返しが何時間以内に行われたかです。この二つであれば、商談の入口としての価値を説明できます。

費用の相場と、見えにくい費用

費用の目安を整理します。解説されている範囲では、通話ごとに課金される形式は一件あたりおよそ五十円から二百円、月額が固定の形式は月額一万円から三十五万円程度とされています。小規模な事業者向けのものであれば月額三千円から二万円程度、初期費用は無料から五万円程度という案内も見られます。自社に設備を置く形式では、初期費用が数百万円から二千万円以上という規模になります。

見落とされやすいのが、基本料金に含まれない費用です。応対の流れを設計する費用として数十万円から百万円程度、導入後の調整と保守として月額数万円程度、既存の仕組みとつなぐ開発として数十万円から数百万円という目安が挙げられています。月間の着信が数千件から数万件の規模になると、月額数十万円に初期費用が数十万円という水準になります。

費用の型目安向いている状況
通話ごとの課金一件あたり五十円から二百円程度着信の件数が少なく、月ごとの波が大きい
月額の固定月額一万円から三十五万円程度件数が読めていて、毎月の予算を固定したい
小規模向けの定額月額三千円から二万円程度、初期は無料から五万円程度まず時間外の受付だけを埋めたい
自社に設備を置く初期費用が数百万円から二千万円以上外部に音声を出せない事情がある

比べるときは、通話時間による従量、電話番号の維持費、追加機能の料金まで含めて並べてください。基本料金だけで比較すると、請求額が想定を上回ります。あわせて、社内で応対の流れを直す人の時間も見積もりに入れることです。この工数を数えていないと、導入後に調整が止まり、精度が上がらないまま使われなくなります。最低契約期間と、途中でやめる場合の条件も、契約の前に確認しておいてください。合わないと分かった時点で引き返せるかどうかで、試す際の心理的な負担が変わります。

知っておくと話が噛み合うミニ用語解説

提案を受ける場面で出てくる言葉を、最小限だけ整理します。営業担当者と話す前に目を通しておくと、質問の精度が上がります。

この記事に出てくる言葉
  • 自動音声応答:かかってきた電話に機械が応答し、案内や振り分けを行う仕組みの総称
  • 音声認識:相手の発話を文字に起こす処理。周囲の音や専門用語で精度が落ちる
  • 意図の解釈:起こした文章から、何を求めている電話かを判定する処理
  • 音声合成:返す内容を音声に変えて読み上げる処理。速さと自然さが体感を左右する
  • 聞き返し:聞き取れなかったときに再度尋ねる動作。二回までに制限するのが実務の目安
  • 有人への切り替え:機械が扱えないと判断した時点で人の応対に渡すこと
  • 文字起こしと要約:通話の内容を文字にし、要点を短くまとめて担当者へ届ける機能

用語のうち、提案の場で必ず確認したいのが有人への切り替えです。切り替えの条件を自社で設定できるのか、あらかじめ決められた条件しか使えないのかで、運用の自由度が大きく変わります。ここを確認せずに契約すると、想定した線引きが実現できないことがあります。

実務仕様のチェックリスト

選定と設計の場で確認する項目を並べます。機能の一覧ではなく、自社の運用が成立するかどうかを判定するための項目に絞ってあります。提案書と突き合わせながら使ってください。

  • 冒頭で自動の応対であることを名乗る文言を、自社で編集できるか
  • 録音の告知と目的の文言を編集でき、保存期間を指定できるか
  • 聞き返しの上限回数と、人へ切り替える条件を自社で設定できるか
  • 相手が人との対話を求めたとき、応対の途中でも切り替えられるか
  • 時間外に切り替え先がない場合の案内を、別の文言にできるか
  • 聞き取る項目を追加・削除でき、順番を変えられるか
  • 要約の届け先を、個人と部署の共有先の両方に設定できるか
  • 要約から元の書き起こしをたどれるか
  • 応答までの待ち時間が実際にどの程度か、自社の回線で試せるか
  • 通話の記録を学習に使うかどうかを、こちらで選べるか

この一覧の使い方は、丸が多い製品を選ぶことではありません。自社が譲れない項目を三つに絞り、その三つで比べることです。時間外の取りこぼしを埋めたいのか、取次の負担を減らしたいのか、新規の一本を拾いたいのか。目的が違えば、譲れない項目も変わります。

導入の進め方

最後に、着手の順番を示します。全部を一度に切り替えないことが要点で、もっとも失敗しても損害が小さい範囲から始めるのが定石です。次の順で進めると、二か月ほどで自社に合うかどうかの判断材料が揃います。

STEP1
失われている着信を数える

回線の記録から、応答しなかった着信の件数と時間帯の分布を出します。この一枚が、導入の必要性と対象の時間帯を同時に決めてくれます。

STEP2
着信の種類を四つに分けて数える

一週間ぶんの着信を、売り込み、既存顧客、新規、取次に分けて数えます。定型の割合が見えると、効果の見込みが立ちます。

STEP3
時間外だけを機械に任せる

いきなり日中を置き換えず、営業時間外と昼の時間帯から始めます。失敗しても、いま取れていない電話が対象なので損失が増えません。

STEP4
人へ渡す条件を運用しながら詰める

聞き返しの上限、苦情の判定、人との対話を求められたときの扱いを、実際の記録を見ながら調整します。

STEP5
新規の問い合わせの到達率で判断する

受電の総数ではなく、新規の問い合わせが折り返しの約束まで到達した件数と、その所要時間で効果を測ります。

この順番にしている理由は、判断に必要な事実が段階ごとに増えるからです。一段目で失われている量が分かり、二段目で任せられる割合が分かり、三段目で実際の精度が分かります。会議を重ねても新しい事実は増えませんが、二か月回せば数字が出ます。そのうえで、日中の受付まで広げるかを決めれば十分です。

まとめ

電話の一次受付をAIに任せられるかという問いへの答えは、範囲を決めれば任せられる、です。代表番号に届く電話は、売り込み、既存顧客、新規、取次の四つに分かれ、名乗りと用件の聞き取り、取次と折り返しの予約までは形が決まっているため機械に向きます。一方で、金額と納期と対応可否と契約に関わる回答は、AIに言わせないと決めておく。聞き返しが二回続いたとき、苦情だと分かったとき、人との対話を求められたときには、迷わず人へ戻します。冒頭で自動の応対であることを名乗り、録音の告知と保存の扱いを先に決めておくこと。費用は基本料金だけでなく、応対の流れを設計する費用と調整の工数まで含めて比べること。まずは失われている着信を数え、時間外から始めてください。取りこぼしていた一本を拾えるようになれば、それだけで導入の価値は説明できます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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