AIレコメンド導入で決める5項目|同意の線引きを作る

「おすすめを出す機能は、道具を入れれば動くと思っていた」「同意なら、画面の下にお知らせを出しているから取れているはずだ」——サイトに出し分けを入れる話が持ち上がったとき、前提として置かれている二つの理解です。前者は半分だけ正しく、後者はほとんど外れています。出し分けが空回りする原因は道具の性能ではなく、何をもとに出し分けてよいかを決めていないことにあります。同意についても、置いてあるかどうかではなく、何に対する同意なのかで要否も取り方も変わります。この記事では、自社サイトや資料の申込の導線に「あなたにおすすめ」を入れる前に、法人のマーケ担当が先に決めておく5項目を整理します。
カメ先生おすすめの出し分けは、当てる精度の勝負だと思われがちだけれど、本当は何をもとに出し分けてよいかを先に決める作業なんだ。
カメ子先に決める、というのはどの部分のことでしょうか。
カメ先生閲覧の記録を使うのか、資料をもらった記録を使うのか、会社の属性を使うのか。この三つは必要な手続きがそれぞれ違う。決めずに始めると、公開の直前で止まることになる。
カメ子同じおすすめでも、材料によって手続きが変わるということですね。
- 出し分けの材料は大きく三種類。どれを使うかで必要な手続きが変わる
- 識別子は単体では個人情報でなくても、社内で氏名とつながった時点で扱いが変わる
- 効かない原因の多くは精度ではなく、出し分ける先の本数が足りないこと
「おすすめ」が空回りするとき、たいてい手前が決まっていない
サイトに出し分けを入れる企画は、たいてい似た経路をたどります。導入した道具の画面で分類をいくつか作り、それぞれに出す資料を割り当て、公開する。数週間見ても数字が動かないので、分類を細かくする。それでも動かないので、道具の設定を疑い始める。ここまで来て初めて、そもそも何をもとに分けていたのかという話に戻ります。
戻ってみると、決めていなかったことが二つ見つかります。一つは、どの記録を材料に使ってよいかです。閲覧の記録なのか、資料の申込の記録なのか、会社の規模や業種といった属性なのか。もう一つは、その材料を使うために何の手続きが要るかです。この二つを決めないまま道具の設定だけを触っている状態が、空回りの正体です。
順番を入れ替えるだけで、進み方が変わります。先に材料を決め、材料ごとに要る手続きを確かめ、そのうえで分類を作る。この順で進めると、公開の直前に法務から差し戻される事故がほぼなくなります。差し戻しは一度起きると、作り直しではなく作り替えになるので、費やした時間の大半が消えます。
空回りは三つの形で現れる
現場で見かける空回りは、症状として三つに分かれます。どれも数字の上では「効果が出ていない」としか見えないので、切り分けないまま対策を打つことになりがちです。
一つ目は、出し分けているのに反応が変わらない形です。分類は動いていて、人によって違うものが出ている。それでも申込の数が変わらない。この場合、疑うべきは分類ではなく出し分ける先の本数です。二つ目は、そもそも分類に人が入らない形です。作った分類のほとんどが該当者ゼロのまま数週間が過ぎる。これは分けかたが細かすぎるか、訪問の数が足りていません。
三つ目が、公開できずに止まる形です。作りきったところで、この材料を使ってよいのかという問いが出て、確認に入ったまま動かなくなる。三つのうち、いちばん損が大きいのは三つ目です。前の二つは公開してから直せますが、三つ目は公開できないまま費用だけが確定します。以下では、この三つの原因を順に見ていきます。
原因1:出し分けの材料を決めていない
材料には大きく三種類あります。サイト上でどのページを見たかという閲覧の記録。資料の申込やイベントの参加といった、こちらから見て相手が分かっている行動の記録。そして、会社の業種や規模や所在地といった属性です。三つは、集め方も、精度も、必要な手続きも違います。
実務でつまずくのは、この三つを混ぜて一つの分類に入れてしまうときです。たとえば「製造業で従業員300人以上、かつ価格のページを2回以上見た人」という分類を作ると、属性の情報と閲覧の記録を突き合わせることになります。突き合わせた瞬間に、それまで誰か分からなかった記録が、特定の会社の誰かの記録に変わります。手続きの話は、この瞬間から始まります。
材料を決めるとは、使ってよい種類を選ぶことであり、同時に使わない種類を決めることでもあります。最初から三つ全部を使おうとすると、いちばん手続きの重い材料に全体が引きずられます。閲覧の記録だけで始めるという判断も、立派な設計です。
原因2:識別子と個人情報の境目が曖昧なまま進んでいる
次のつまずきが、識別子の扱いです。閲覧の記録を人単位で束ねるには、端末を見分ける符号が要ります。クッキーの識別子、広告の識別子、機器の識別子などがこれにあたります。これらは、それ単体では特定の個人を識別できないため、国内の決まりでは個人情報とは別の区分として扱われます。
問題は、この区分が状況で変わることです。同じ識別子でも、社内で氏名やメールアドレスと結び付いた時点から、個人データとして扱う話になります。資料の申込をした人に発行した符号を、その後の閲覧の記録に付け直せば、その記録は特定の個人の行動の記録になります。境目は技術の側ではなく、社内で何とつなげたかの側にあります。
もう一つ、外に渡すときにも境目が動きます。自社では誰か分からない識別子でも、渡した先で相手が持っている情報とつながって個人データになることが想定される場合、渡す側には本人の同意が取れているかを確かめる義務があります。広告の配信先へ識別子を渡す設定は、この形になっていることが多いです。手元では個人情報でなかったものが、渡した先で個人情報になる。この構造を知らずに設定だけを増やすと、後から確認できない状態になります。
原因3:同意を取る場面を決めていない
三つ目が同意です。ここで多いのが、同意を一つの手続きだと思ってしまう誤りです。実際には、性質の違う三つの話が同じ言葉で呼ばれています。第一に、サイトに置いた計測や広告の仕組みが利用者の情報を外へ送ることについての手当て。第二に、識別子を外へ渡すときの、渡した先での同意の確認。第三に、自社が預かっている個人データを分析して出し分けに使うことについての利用目的の扱いです。
一つ目については、2023年6月16日に施行された決まりがあります。利用者の端末から情報を外へ送らせる場合、送る情報の内容と、送り先の名称と、その利用目的を知らせるか公表することが求められます。方法は四つあり、通知、公表、送信を止める選択肢の用意、本人の同意のいずれかを選べます。必ず同意を取らなければならない、という作りにはなっていません。
なお、この決まりの対象になるかどうかは、サイトの性格で変わります。自社の商品を売るだけのサイトや会社案内のサイトは、対象外と整理されています。一方で、記事や資料を広く提供しているオウンドメディアの形をとっている場合は、対象になりうるとされています。自社サイトの中でも、対象になる範囲とならない範囲が混ざることがある、ということです。
知らせる場合の中身にも作法があります。送る情報の内容は「閲覧の記録等」のように濁さず、端末を見分ける符号や接続元の番号といった具体で書く。送り先は業界での通称ではなく、法人としての名称で書く。利用目的は、自社が使う目的と送り先が使う目的の両方を書く。この三つがそろっていないと、掲載していても知らせたことになりません。加えて、日本語で、専門用語を避け、操作をしなくても読める大きさで示すことも求められています。ここは出し分けの企画とは関係なく必要な整備なので、企画をきっかけに一度作り直しておくと後が楽になります。
決める1:出し分けの材料を三種類から選ぶ
ここからが、先に決めておく5項目です。一つ目が材料の選定です。三種類それぞれの性質を並べます。手続きの重さは、材料の種類そのものではなく、その材料が誰のものだと分かる状態かで決まります。
| 材料の種類 | 分かること | 先に確かめる手続き |
|---|---|---|
| 閲覧の記録(誰か分からない状態) | どのページを何回見たか、どこから来たか | 計測の仕組みが外へ情報を送っていないか。送るなら知らせるか公表する |
| 閲覧の記録(申込者と結び付いた状態) | 特定の担当者がどこまで調べているか | 分析を行うことを利用目的に書いてあるか。本人に伝わる形か |
| 資料の申込やイベントの参加の記録 | 関心のあるテーマ、検討の段階 | 取得したときの利用目的の範囲に出し分けが入っているか |
| 会社の属性(業種・規模・所在地) | 相手の会社としての姿 | 外から得たものか自社で入れたものか。出どころの記録があるか |
| 外から取得した行動の記録 | 自社サイトの外での関心 | 提供元が適法に集めたか。同意の確認と記録が残っているか |
表の上から二行目までは、同じ閲覧の記録でありながら、結び付けたかどうかで手続きが変わります。設計の初期に決めるべきは、結び付けるかどうかそのものです。結び付けないと決めれば、扱いは軽くなる代わりに、出せる出し分けは粗くなります。結び付けると決めれば、細かい出し分けができる代わりに、利用目的の書き方から見直す必要が出ます。どちらが正しいということはなく、決めていないことだけが問題です。
決める2:識別子が個人情報に変わる瞬間に線を引く
二つ目が、境目の明文化です。ここでいう線引きとは、社内で「どの状態までは誰か分からない記録として扱い、どこからは個人データとして扱うか」を文書に書くことです。書いておくべき事項は多くありません。
- どの符号を使って人単位に束ねているか(種類と発行のタイミング)
- 氏名や連絡先と結び付ける処理が、どの画面のどの操作で起きるか
- 結び付いた後の記録を、どの仕組みのどこに置いているか
- 結び付けを解除する手段があるか、あるなら誰が実行できるか
- 外へ渡している識別子があるか、あるなら渡し先ごとの一覧
- 渡し先で個人データになることが想定される先を分けて書いてあるか
この6項目を埋める作業は、たいてい半日から1日で終わります。ところが、埋めようとすると必ず誰も答えられない欄が一つか二つ出てきます。多いのは、外へ渡している識別子の一覧です。広告の設定や計測の設定が何年もかけて積み上がっていると、現時点で何がどこへ流れているかを一覧で説明できる人がいない状態になっています。
答えられない欄が見つかったら、そこが出発点です。出し分けの企画を進める前に、まず現状の一覧を作る。新しい仕組みを足す前に、いま流れているものを止められる状態にしておくほうが先です。止められないものは、後から同意を取り直すこともできません。
決める3:外から取得した情報を使うときの確認
三つ目が、外部から得た情報の扱いです。企業の属性を補うために外部の名簿を使う、行動の記録を外部から受け取る、といった場面が該当します。ここで確かめる観点は三つあります。提供元がどうやってその情報を集めたか、本人に知らせる手当てが済んでいるか、そして自社が受け取った記録が残るかです。
一つ目については、提供元に説明を求めるのがいちばん早いです。どこから集めたかを説明できない提供元は、後で問題が起きたときも説明できません。二つ目は、識別子など個人を直接には特定しない情報を受け取り、自社で個人データとして扱う場合の話です。この形では、渡す側に本人の同意を確かめる義務があり、受け取る側にも記録の義務が生じます。契約書の文言だけで済ませず、実際にどの記録が残るのかを確かめてください。
三つ目が運用の話です。外から入れた属性は、時間とともに古くなります。会社の規模も、業種の分類も、担当者の所属も変わります。古い属性で出し分けを続けると、相手には自社のことを誤解している会社に見えます。更新の周期と、更新できないものを外す基準を、導入と同時に決めておきます。
- 外部から得た情報は、出どころと取得日を必ず一緒に持つ
- 提供元との契約に、集め方についての説明の義務を入れておく
- 自社で入れた情報と、外から得た情報は、同じ欄に混ぜない
- 受け取った記録は、後から一覧で出せる形で残す
- 更新できなくなった属性は、消すのではなく使わない印を付ける
決める4:同意を取る場面と、取り方
四つ目が同意です。全部の場面で同意を取ろうとすると、画面が確認の連続になり、離脱が増えます。逆に一つも取らないと、使える材料が狭まります。実務では、場面ごとに要否を決めます。
同意そのものが必要になるのは、識別子を外へ渡して渡し先で個人データになることが想定される場合と、取得したときに伝えた利用目的の範囲を超えて使う場合です。一方、自社が預かっている個人データを、伝えた利用目的の範囲内で分析して出し分けに使うだけなら、必要なのは同意ではなく利用目的の書き方の見直しです。
この違いは実務で大きな差になります。利用目的の見直しは、公表している文書を直し、これから取得する分については取得の画面に反映すれば済みます。同意の取り直しは、すでに預かっている全員に連絡して反応を待つ作業になります。同意が要る形にするか、利用目的の範囲で収める形にするかは、設計の段階で選べます。後者で足りる設計にできるなら、そのほうが運用は軽くなります。
取り方についても一点だけ。後から変えられる場所を用意していない同意は、運用が始まってから必ず問題になります。断りたいという連絡を受ける窓口と、そこから設定を戻す手順を、公開の前に作っておいてください。
これから変わる部分にも触れておきます。2026年に公布された個人情報の扱いに関する改正では、識別子のうち特定の個人へ連絡や働きかけができるものを別の区分として扱い、不適正な利用と不正な取得を明文で禁じる方向が示されています。細かい要件は下位の決まりと手引きの公表を待つ段階なので、いま全面的に作り替える必要はありません。ただし、いま何をどこへ渡しているかの一覧がない会社は、要件が固まった時点で身動きが取れません。棚卸しだけ先に済ませておくのが、費用のかからない備えになります。
決める5:出し分けの根拠を説明できるようにしておく
五つ目が、説明の準備です。なぜこの人にこれを出したのかを、担当者が一行で言える状態にしておきます。言えない状態のまま運用すると、社内から質問が出たときにも、相手先から問い合わせが来たときにも、答えられません。
そのために残しておくものは三つです。分類の定義を書いた文書、いつ誰にどの分類でどれを出したかの記録、そして分類を変えたときの履歴です。道具が自動で分類を作る形にしている場合ほど、この三つが残っていないことが多くなります。自動で動く部分が増えるほど、人が説明できる材料は意識して残さないと消えます。
一行で言える、というのはこういう形です。「費用のページを2回以上見ていて、まだ資料を申し込んでいない人に、価格の内訳をまとめた資料を出している」。この一行が書けるなら、分類の定義も、出す中身の割り当ても、記録の残し方も決まっています。逆に書けないなら、そのどれかが決まっていません。企画書に載せるべきなのは分類の図ではなく、この一行の集まりです。分類が8個あるなら、一行が8本並ぶはずで、並ばないなら分類が多すぎます。
説明の準備は、外向けの備えであると同時に、社内の改善の材料でもあります。効かなかった分類を消すときも、記録がなければ何を消してよいか分かりません。説明できる状態と、直せる状態は同じことの裏表です。記録を残す仕組みを後から足すのは面倒なので、最初の設計に入れておくほうが安上がりです。
AIに任せる範囲と、人が決める範囲
出し分けの仕組みにAIを組み込む場合、任せる範囲を先に決めます。任せてよいのは、似た行動の束ね方の候補を出すこと、出す順番を並べ替えること、文面の下書きを作ることです。いずれも人が後から見て直せるものに限られます。
人が決めるのは四つです。使ってよい材料の種類。出してはいけない組み合わせ。出し分けから外す条件。そして最終的に画面に出る文面です。三つ目は見落とされやすいところで、たとえば競合他社からの訪問、既存顧客の担当者、採用の応募者。これらは出し分けの対象から外しておかないと、見当違いの資料を出して信用を落とすことになります。
もう一つ、任せるときの作法があります。分類の候補を出させるときに、なぜその束ね方にしたのかの理由も一緒に書かせて、人が読んでから採否を決める。理由を読まずに候補だけ受け取ると、たまたま数字が寄っただけの束ね方が混ざります。判断そのものを任せず、判断の材料を作らせて人が決めるという形が、この領域では扱いやすい分担です。
効果が出ない典型:母数と、出し分ける先の本数と、検討者の人数
最後に、決めるべきことを決めたうえでも効かない場合の話をします。原因は三つに集中します。
一つ目が母数です。分類を10個作っても、月に届く訪問がそれほど多くなければ、各分類に入る人数は一桁で終わります。数字の差が出るまでに何か月もかかり、その間に判断ができません。分類の数は、各分類に十分な人数が入るかという逆算から決めます。細かく切ると精密になるように感じますが、実際には判断できない状態が長く続くだけです。
二つ目が、出し分ける先の本数です。用意している資料が3本しかないのに分類を8個作っても、出るものは重複します。出し分けの効果は、分類の細かさではなく、出せる中身の数で頭打ちになります。分類を増やす前に、出す中身を増やすほうが先です。ある提供会社が公開している事例では、注文あたりの点数が大きく伸びたという報告もありますが、それは物を売る場での数字であり、検討に何か月もかかる法人向けの引き合いにそのまま当てはまるものではありません。
三つ目が、検討する人が複数いることです。法人の取引では、同じ会社から情報を集める人、比べる人、決める人が別々にサイトへ来ます。個人単位で最適化すると、同じ会社の三人にばらばらの主張の資料が届くことになります。会社としての筋を通すには、個人の欄とは別に、会社単位で今どこまで進んでいるかを見る欄を持つ必要があります。分類を細かく切りすぎると欲しい情報にたどりつけなくなる、という指摘は、この構造から来ています。
サイト上の出し分けと、メールの出し分けは別物
同じ「出し分け」でも、サイトとメールでは前提が違います。混同したまま設計すると、片方で通用した考え方がもう片方で通用せず、原因が分からなくなります。
メールは、相手が誰か分かっている状態から始まります。配信先の一覧があり、そこに属性も申込の履歴も付いています。だから出し分けは、持っている情報をどう使うかの問題になります。対してサイトは、誰か分からない状態から始まります。同じ画面に、初めて来た人と、三か月前から見ている人と、既存顧客の担当者が同時に来ます。誰か分からない相手をどう扱うかを決めるところが、設計の出発点になります。
受け皿の作り方も違います。メールについては、送ってよい相手の範囲と、配信を止める手段の表示が法律で定められています。サイト上の出し分けには、それに相当する定型がありません。止めたい人がどこから止められるかを、自分たちで決めて用意する必要があります。この一点だけでも、メールの運用をそのままサイトに持ち込めない理由になります。
導入までの進め方
5項目を決めたあとの手順です。小さく始めて、判断できる形にしてから広げます。
最初は閲覧の記録だけ、あるいは申込の履歴だけで始めます。材料が一つなら、必要な手続きも一つで済み、効かなかったときの原因も絞れます。三種類を同時に入れると、どれが効いたのかが分からなくなります。
出し分ける先の本数と、月に届く人数から逆算します。多くの場合、最初は三つで十分です。三つで差が出なければ、細かくしても差は出ません。分類を増やすのは、三つで差が出たことを確かめてからにします。
分類の数だけ、出す資料や記事を用意します。用意できていない分類は作らない、という順番にします。仕組みを先に作って中身を後から埋める進め方は、たいてい中身が埋まらないまま止まります。
誰にどの分類でどれを出したかが後から一覧で出せることを、公開の前に確かめます。ここを確かめずに公開すると、効果を測る段になって数字を作れません。
入る人数が極端に少ない分類と、出しているのに反応がない分類を消します。増やす前に消す、という運用にしておくと、分類が際限なく増えることを防げます。
この手順の要は、二つ目と三つ目です。分類の数を、出せる中身の数より多くしない。この一線を守るだけで、空回りの大半は避けられます。
よくある失敗
実際に見かける失敗を並べます。どれも、悪意ではなく善意から起きるところが厄介です。
- 分類を先に作り、出す中身を後から埋める:中身が埋まらないまま、同じ資料が全分類に出る
- 使える材料を確かめる前に道具を選ぶ:使えない機能に費用を払い、公開の直前で止まる
- 識別子を外へ渡している設定を一覧化していない:何が流れているか説明できず、止めることもできない
- 外から得た属性を更新しないまま使い続ける:相手には自社を誤解している会社として映る
- 個人単位だけで最適化する:同じ会社の複数人に、ばらばらの主張の資料が届く
- 出し分けの根拠を記録していない:質問に答えられず、効かない分類を消す判断もできない
最後の項目は、運用が半年を過ぎたころに効いてきます。作った本人が異動して、分類の意味を誰も説明できなくなる。説明できない分類は、消すこともできないまま残り続けます。定義を文書にしておくことは、引き継ぎの準備でもあります。
導入前チェックリスト
公開の前に、この一覧で点検してください。埋まらない項目が一つでもあれば、そこが最初に手を付ける場所です。半年ごとに同じ一覧で見直すと、設定が積み上がって説明できなくなる状態を防げます。
- 出し分けに使う材料の種類を決めて、使わない種類も明記したか
- 識別子を氏名や連絡先と結び付ける処理が、どの操作で起きるかを書いたか
- 外へ渡している識別子の一覧があり、渡し先ごとの目的を説明できるか
- サイトのどの範囲が外部送信の決まりの対象かを確かめたか
- 分析して出し分けに使うことが、公表している利用目的に含まれているか
- 外から得た情報について、出どころと取得日と更新の周期を決めたか
- 出し分けから外す相手の条件を決めたか(既存顧客・応募者・競合)
- 誰にどの分類でどれを出したかを、後から一覧で出せるか
- 止めたい人が申し出る窓口と、設定を戻す手順があるか
- 分類の数が、出せる資料や記事の本数を超えていないか
- 各分類に月あたり何人入る見込みかを、公開前に見積もったか
- 会社単位で検討の進み具合を見る欄を持っているか
12項目のうち、最初の三つが埋まらないまま進んでいる例が最も多く見られます。材料と識別子と渡し先。この三つは、道具を選ぶより前に決めるものです。
まとめ
サイトや資料の申込の導線に「あなたにおすすめ」を入れるとき、効くかどうかを決めているのは道具の性能ではありません。先に決めておくのは5項目です。何をもとに出し分けるかという材料の選定。識別子がどの時点で個人データとして扱う対象に変わるかという線引き。外から得た情報を使うときの、出どころと同意の確認。同意が要る場面と、利用目的の範囲で収める場面の切り分け。そして、なぜこれを出したのかを一行で説明できる記録の準備です。同意は一つの手続きではなく、材料の種類ごとに要否も方法も変わります。自社が預かっている情報を、伝えた利用目的の範囲で使うだけなら、必要なのは同意の取り直しではなく利用目的の書き方の見直しです。AIには分類の候補出しと文面の下書きまでを任せ、使ってよい材料と、外す条件と、最終の文面は人が決めます。そのうえで効かない場合、原因は精度ではなく、母数と、出し分ける先の本数と、検討する人が複数いることに集中します。まずは材料を一種類に絞り、分類を三つ、出す中身を三本そろえるところから始めてください。三つで差が出なければ、細かくしても差は出ません。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
ウェビナー・セミナーの集客と運営でお困りですか?
企画・集客・運営までデボノが伴走支援。外部リスト頼みにしない「自社の集客力」を育てます。
