AIに電話をかけさせてよい?|向く用途と守る作法

「受電をAIに任せてうまく回ったので、発信もやってみたい」「アウトバウンドを自動化したいが、どこまでなら失礼にならないのか分からない」。電話の自動化を一度でも経験した会社から、この二つが続けて出てきます。受電で手応えを得たあとに、必ず来る問いです。ただし発信は受電の裏返しではありません。受電はかけてきた相手の用件に答える仕事で、発信はこちらの用件に相手の時間を使わせる仕事です。同じ道具でも、任せてよい範囲の基準は別に作る必要があります。この記事では、音声AIに任せてよい発信と任せない発信を用途で分け、名乗りから断りの記録までの作法を整理します。
カメ先生電話の発信をAIに任せる話って、テレアポの自動化だと思われがちなんだけど、本当は『すでに関係のある相手への連絡』から始まるものなんだ。
カメ子新規の開拓には向かないということですか。
カメ先生向かないね。相手の反応を見て話の筋を変える仕事だから。逆に、確認やリマインドのように筋が決まっている連絡は、機械のほうが漏れなく回せる。
カメ子筋が決まっているかどうかで分かれるんですね。
- 任せてよいのは筋の決まった連絡。申し込みの確認、前日のリマインド、日程の再調整、休眠への声かけの入口まで
- 任せないのは相手の反応で筋が変わる連絡。初回の売り込み、条件の交渉、苦情への応答
- 用途を決めたら、名乗り・自動音声である旨・録音の告知・時間帯・回数・折り返し先・断りの記録を仕様として先に書く
受電を任せられたから発信も、とはならない
まず、受電と発信の非対称を確かめます。受電では、相手が用件を持ってこちらに掛けてきています。用件の主導権は相手にあり、機械の役目はそれを受け止めて正しい担当へ渡すことです。発信では逆で、用件はこちらにあり、相手の時間に割り込む形になります。同じ道具を使っていても、機械が失敗したときに相手が受ける不快の質が違います。
受電の設計から持ち込めるものと持ち込めないものを分けておきます。持ち込めるのは、聞き返しの回数の上限、人へ渡す条件、応答の言い回しの整え方。これらは発信でもそのまま使えます。持ち込めないのは、かけてよい相手かどうかの判断、かけてよい時間帯、二度目をかけるかどうかの判断です。この三つは受電に存在しない論点なので、発信のために新しく決める必要があります。
だから発信の検討は、道具の選定より先に用途の線引きから始めます。どの製品が優れているかを比べても、任せる用途が決まっていなければ評価の軸が立ちません。以下では、任せてよい用途を三つ、任せない用途を三つ挙げ、そのあとで判断のための問いに整理します。用途が決まってはじめて、必要な機能が決まります。
発信の道具は二種類ある
線引きの前に、道具の種類を分けておきます。混同すると設計が崩れるからです。一つは、登録した番号へ決めた音声を自動で流す仕組みです。相手は番号のボタンで簡単な回答を返します。もう一つは、相手の話を聞き取って文字にし、意図を解釈して音声で応答を返す仕組みです。前者は一斉に大量へ、後者は一件ずつ深く向き合います。
| 項目 | 決めた音声を自動で流す仕組み | 相手と対話できる音声の仕組み |
|---|---|---|
| できること | 決めた案内を読み上げ、番号のボタンで簡単な回答を受ける | 相手の話を聞き取り、意図を解釈して応答を返す |
| 向く連絡 | 一斉の告知、未納の案内、アンケートの依頼 | 申し込みの確認、日程の調整、聞き取りが必要な連絡 |
| 相手の負担 | 短く終わる。用件が合わなければ切られる | 話が通じる代わりに通話が長くなる |
| 崩れる場面 | 個別の事情がある相手にも同じ案内が流れる | 想定外の話題、聞き取りにくい話し方、感情的な反応 |
| 人への渡し方 | 番号のボタンで担当へつなぐ道を用意する | 聞き返しが続いたら人に渡す |
| 向かない連絡 | 回答が二択に収まらない連絡 | 一斉の告知のように件数が大きい連絡 |
実際の効果として報告されている数字も、道具の種類ごとに見ておきます。自動で音声を流す側では、はがきによる依頼と比べてアンケートの回答率が約15倍になった事例、数万件の休眠顧客に発信した事例が挙げられています。ある事業者の解説では、人が応対する場合と比べて苦情が起こりにくかったとも報告されています。いずれも事業者の報告であり、自社で同じ結果が出る保証はありません。
対話できる側では、発信の業務全体の6割を自動で処理し、席数を従来の約7分の1に縮小した事例が報告されています。ただし自動化した対象は定型の連絡であり、発信の全部を任せた結果ではありません。同時に処理できる件数は製品によって幅があり、通常の環境で100件、専用の環境で1,000件の同時の通話に対応できるものがあると紹介されています。件数の上限は、任せる用途が決まってから確かめる項目です。
任せてよい用途1:申し込みと手続きの確認
一つ目は確認の連絡です。申し込みの内容が合っているか、届け先や日時に相違がないか、書類に不足がないか。いずれも話の筋が事前に書き切れます。相手はその用件が来ることを知っているか、少なくとも心当たりがあります。相手が用件を知っている連絡は、機械が掛けても不意打ちになりません。
設計は単純な順序になります。名乗り、用件、確認する事項、相違があれば人へ渡す。相手が肯定以外の反応を返した時点で人に渡す作りにしておくと、機械が事情を判断しようとして誤る場面を避けられます。事例としては、宅配の水を受け取れなかった顧客への再配達の受付、自治体の納税の案内、求職者への面談の予約の調整が紹介されています。
確認の連絡は、人がかけると後回しになりやすい仕事でもあります。件数が多く、一件あたりの成果が見えにくいためです。ここを機械が引き受けると、漏れが減るという副次的な効果が出ます。成果が見えにくく件数が多い連絡は、機械に向いた仕事の典型です。ただし、確認の途中で条件の変更を求められたときの逃げ道は必ず用意してください。
任せてよい用途2:前日のリマインドと日程の再調整
二つ目は前日の連絡です。ウェビナーの前日、商談の前日、来訪の前日。メールで送ると受信箱に埋もれますが、電話には開封という概念がありません。予約の前日のリマインドは、音声で発信する用途として複数の解説で挙げられています。定型のため自動化しやすい業務とも整理されています。
日程の再調整も同じ枠に入ります。候補の日を二つ示し、番号のボタンか短い返答で選んでもらう。両方とも合わなければ人に渡す。選択肢を二つに絞れる連絡は、機械で完結する確率が高くなります。三つ以上の候補を音声で読み上げると、相手が覚えきれず、結局折り返しが必要になります。
注意すべきは、リマインドが催促に化けることです。前日に一回で十分な連絡を、当日の朝にもう一度かけると、印象が反転します。回数の上限を仕様として決めてください。目安としては、同じ用件について一日に一回まで、合計で二回までとし、二回で反応がなければ別の手段に切り替えます。かける回数の上限は、担当者の裁量ではなく仕様として書きます。
任せてよい用途3:休眠の掘り起こしの入口
三つ目は休眠している相手への声かけですが、任せるのは入口までです。案内を伝え、関心があるかどうかを確かめ、あると答えた相手を人に渡す。ここで止めます。関心があると答えた相手に対して、機械がそのまま条件の説明や日程の詰めまで進むと、次の段の失敗が積み上がります。入口という限定を外した瞬間に、これは売り込みの自動化になります。
実務の形としては、休眠の名簿に対して自動で音声を流し、番号のボタンで関心の有無を受け、関心がある相手だけを人が追いかけます。数万件の休眠顧客に発信した事例が報告されており、件数が大きい仕事なので機械の得意な領域です。反応した相手だけを人が担当すると、人の時間の使い方が変わります。
ただし、休眠という区分には落とし穴があります。休眠は「関心がなくなった相手」だけでなく「以前に断られた相手」を含みます。断りの記録がない名簿でこの発信を回すと、断った相手にもう一度かけることになります。休眠への発信は、断りの記録が整っていることが前提の用途です。記録がないなら、まず記録の整備が先です。
任せない用途1:初回の売り込み
ここから任せない側に移ります。一つ目は、関係のない相手への初回の売り込みです。理由は二つあります。相手がその用件を知らないこと、そして相手の反応によって話の筋を変える必要があることです。電話による営業について、相手の反応や状況に合わせた柔軟な対応をシステム化することは難しいと指摘されています。
技術の限界だけの話ではありません。関係の入口を機械にすると、その後の連絡の受け取り方まで変わります。知らない番号から自動の音声で売り込みが来た会社に対して、次に人が掛けても同じ枠で扱われます。最初の接触の印象は、その後の接触の全部に影響します。効率のために失うものが、効率で得るものより大きくなりやすい領域です。
それでも件数が必要な場面はあります。その場合は、売り込みではなく告知に切り替えてください。展示会の案内、資料の公開の知らせ、既存の関係がある相手への催しの連絡。用件を告知に限れば筋は書き切れます。初回の接触で機械に任せられるのは、売り込みではなく知らせることまでです。この区別を仕様に書き、原稿の審査で確かめます。
任せない用途2:条件の交渉
二つ目は条件の交渉です。価格、納期、契約の期間、支払いの方法。これらを機械が口にすると、言い間違いがそのまま約束として扱われる危険があります。相手は電話で聞いた内容を前提に社内を動かします。機械が言ったから無効になる、という理屈は通りません。だから交渉の場面に生成の応答を置かないのが原則です。
一方で、条件に関する連絡の全部が禁止になるわけではありません。すでに合意した内容の読み合わせは、確認の連絡として任せられます。合意済みの金額と納期を読み上げ、相違がなければ終わり、相違があれば人に渡す。この形なら、機械は新しい条件を作りません。提示と変更は人、確認は機械という線を仕様に書きます。
線を引いたあとに必要なのが、原稿の管理です。確認の原稿に条件の説明を足したくなる場面が必ず来ます。せっかく掛けるのだから割引の案内も、という追加が入ると、確認の連絡が交渉の入口に変わります。原稿の変更は、用途の変更として扱い、同じ人が判断しない仕組みにします。変更の履歴と承認した人を残しておくと、後から追えます。
任せない用途3:苦情への応答
三つ目は苦情です。受電の設計でも、込み入った交渉、感情的な苦情、想定外の展開は不得意とされ、そうした場面では即座に人へ渡すことが設計の原則として挙げられています。発信でも同じで、苦情の内容について機械が説明や謝罪を試みると、事態が悪化します。感情が絡む通話は、筋が事前に書き切れないため機械の適用外です。
発信に固有の問題もあります。こちらから掛けたことが苦情の原因になる場面です。宛先を間違えた、断った相手に再度かけた、深夜に発信された、といった事故です。この場合、人に代わるだけでは足りません。その場で名簿から外す、記録に残す、原因を確かめる、という三つを同時に回す必要があります。
だから発信の仕組みには、苦情を受けたときの経路を先に作っておきます。誰に上がるのか、名簿の修正を誰が行うのか、同じ相手に二度目が飛ばないことをどう確かめるのか。苦情の処理は運用の付属物ではなく、発信を始める条件の一つです。ここが決まっていないうちは、件数を増やさないでください。
任せる・任せないを分ける四つの問い
六つの用途を並べましたが、実務では用途の名前で覚えるより、問いで判断したほうが応用が利きます。新しい連絡の相談が来たときに、次の四つを順に当ててください。四つとも肯定できるなら任せる候補、一つでも否定なら人が掛けるか、そもそも掛けないという判断になります。
| 問い | 肯定できる場合 | 否定になる場合 |
|---|---|---|
| 相手はこの連絡が来ることを知っているか | 任せる候補に入る | 人が掛ける。用件から説明が必要になる |
| 話の筋を事前に書き切れるか | 任せる候補に入る | 人が掛ける。反応で筋が変わる連絡は原稿にできない |
| 言い間違いが約束にならないか | 任せる候補に入る | 人が掛ける。条件に関わる発言は機械に置かない |
| 途中で人に渡す道を用意できるか | 任せる候補に入る | この連絡は発信そのものを見直す |
| 断られた記録を残して次に反映できるか | 任せる候補に入る | 名簿の整備を先に行う |
四つ全部という条件を厳しく感じるかもしれません。しかし三つで通してしまうと、事故はその抜けた一つから起きます。最も抜けやすいのは四つ目の、人に渡す道です。人に渡す道がない発信は、相手の側に出口がない通話になります。件数を稼げる設計に見えて、実際は苦情を集める設計です。
表の最後の行は、四つの問いに付け足した実務上の前提です。断りの記録を残して次の発信に反映できないなら、どの用途であっても回すべきではありません。記録の仕組みは、用途の判断より前に必要な土台です。逆に記録が整っていれば、任せられる用途は自然に広がります。
名乗りと、自動音声であることの伝え方
用途が決まったら、次は作法です。最初の十秒で何を言うかを決めます。順序は、会社の名前、用件の種類、そしてこれが自動の音声であること。この三つを先に置きます。人のふりをして始めた通話は、途中で気づかれた時点で不信に変わります。受電の設計でも、冒頭で機械が応対していることを明示することが原則として挙げられています。
発信ではさらに踏み込む必要があります。こちらから割り込んでいるぶん、相手は身構えています。用件を先に言わずに確認から入ると、詐欺の電話と区別できません。名乗りのあとに、なぜ掛けたのかを一文で言う。そのうえで、自動の音声であることと、人と話したい場合の受け方を伝えます。
言い回しは短くしてください。解説でも、情報はできるだけ短く簡潔にまとめ、簡単な言葉を使うことが挙げられています。長い名乗りの途中で切られると、相手には不明の着信だけが残ります。名乗りは丁寧さの表明ではなく、相手が判断するための情報です。また、相手が聞き取れなかった場合に会社名だけを繰り返す道も用意しておきます。
通話の録音を告げる作法
録音については、法令の位置を正しく押さえておきます。日本では、相手に録音を告げることを直接に義務づけた規定は確認できないと解説されています。ただし、通話の内容が特定の個人を識別できる情報を含む場合は個人情報として扱われ、取得の際に利用目的をあらかじめ公表していないときは、速やかに本人へ通知するか公表することが求められています。個人情報の保護に関する法律の第21条として説明されている内容です。
実務では、冒頭で録音する旨と目的を伝える運用が定着していると解説されています。品質の向上のため、行き違いを防ぐため、といった目的を短く添える形です。加えて、本人からの開示の請求に備えた保存と検索の仕組みが必要になります。これは同法の第33条として説明されています。条文の解釈は事案によるため、自社の運用は法務や外部の専門家に確かめてください。
発信に固有の論点として、留守番電話に残る音声があります。留守番電話への録音は、こちらが一方的に残す記録です。誰から、何の用で、どこへ折り返せばよいのかが入っていないと、相手には不明の音声だけが残ります。折り返しを促すだけの音声は、相手に判断の材料を渡していません。残す文面も原稿として管理の対象に入れてください。
時間帯と回数と折り返し先、そして断りの記録
ここからは、仕様として数字で決める項目です。まず時間帯です。法人への連絡なら営業の時間の内側に収めるのが基本ですが、機械は指示された時刻に正確に掛けるため、始業の直後や昼の休みや終業の直前にも容赦なく発信します。掛けない時間帯を先に書いておかないと、機械はそこにも掛けます。人が掛けていたときの遠慮は、仕組みには入っていません。
次に回数です。同じ用件について一日に何回まで、合計で何回まで、間隔を何時間空けるか。この三つを決めます。決めていないと、つながらなかった相手に短い間隔で繰り返し発信され、それだけで苦情の原因になります。相手が興味のない内容だと通話を切断されるという指摘もあり、切断は反応の一つとして回数の判断に使えます。
三つ目は折り返し先です。機械が掛けた電話に相手が折り返したとき、その番号が受電の仕組みにつながっていないと会話が途切れます。折り返しを受ける番号、受ける時間、受けたときに誰が対応するかを決めてください。発信の名簿と受電の記録が結びついていないと、折り返した相手に用件を説明させることになります。折り返しを受ける設計がない発信は、片道の連絡です。
四つ目が断りの記録です。断られた相手に二度目をかけないためには、断りが記録として残り、次の名簿に反映される必要があります。通話の中で断りをどう検出するか、検出できなかった場合に誰が確かめるか、記録が名簿へ反映されるまでに何日かかるか。反映に一週間かかる仕組みでは、その一週間の間に二度目が飛びます。この点は、発信を始める前に必ず確かめてください。
法令に触れる部分は、自社の取引で確かめる
電話による勧誘には、特定商取引法の電話勧誘販売という枠組みがあります。勧誘に先立って、事業者の氏名または名称、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品の種類、そして契約の締結について勧誘する目的である旨を告げることが求められています。第16条として整理されている内容です。契約を締結しない意思を表示した者への勧誘の継続や再勧誘の禁止は、第17条として整理されています。
では、法人を相手にした電話がこの枠に入るのか。ここは断定できません。同法には適用除外の規定があり、営業のためにまたは営業として締結する取引などが除外の対象として挙げられています。第26条として整理されている内容です。したがって自社の取引が対象になるかは、取引の性質によって変わります。相手が法人であっても、実質的に個人としての契約に近い場面もあります。義務であると決めつけず、自社の取引について法務や外部の専門家に確かめてください。
そのうえで、実務としての構えを一つ挙げます。対象になるかが不確かなうちは、名乗りと目的の告知、そして断られた相手への再度の連絡をしないという運用を、自主的に仕様へ書いておくのが安全です。そしてここに、機械に任せる利点があります。人の裁量に委ねると揺れる作法を、機械は仕様のとおりに毎回実行します。名乗りの省略も、断られた相手への再発信も、仕様と記録の側で止められます。
発信の仕様を一枚に決める
ここまでの内容を、着手できる形にまとめます。大がかりな規程は要りません。用途と作法を一枚に書き、原稿と名簿の管理をそこに紐づけるだけで運用が始まります。次の順で進めると、二週間ほどで一つ目の用途を回せます。
四つの問いを当てて、全部を肯定できる連絡を一つ選びます。最初は申し込みの確認か前日のリマインドが扱いやすくなります。複数を同時に始めると、原因の切り分けができません。
名乗り、用件、確認する事項、想定される反応、人へ渡す条件を文字にします。書き切れない分岐が出たら、その連絡は任せる用途ではありません。原稿の承認者を決めます。
掛けない時間帯、一日の上限、合計の上限、間隔、折り返しを受ける番号と時間。これらを仕様として書き、設定と一致していることを確かめます。
断られた場合の記録が残り、次の名簿から外れるまでを実際に通してみます。反映にかかる日数を測り、その日数の間に二度目が飛ばない設定にします。
最初は数十件で止めます。通話を人が聞き、聞き取れなかった箇所、相手が黙った箇所、切られた箇所を数えます。原稿を直してから件数を増やします。
- 名乗りに、会社名と用件と自動の音声である旨が入っている
- 録音する旨と目的を冒頭で伝え、利用目的の公表と開示の請求への備えがある
- 人と話したいという申し出を、通話のどの時点でも受けられる
- 掛けない時間帯と、一日および合計の回数の上限が数字で決まっている
- 折り返しを受ける番号と時間と担当が決まり、発信の名簿と結びついている
- 断りが記録され、次の名簿に反映されるまでの日数が測られている
- 留守番電話に残す音声に、差出人と用件と折り返し先が入っている
- 原稿の変更を、用途の変更として別の人が承認する仕組みがある
この一枚で効くのは三つ目です。時間帯と回数は、決めていないと必ず事故になります。人が掛けていたときの遠慮は、仕組みに移した瞬間に消えます。逆に言えば、数字で書いておけば人より徹底できます。四半期に一度、通話の記録と苦情の件数を材料に一枚を書き換えると、運用が古びません。
やってしまいがちな任せ方
発信の自動化でつまずく例には、共通した型があります。どれも件数を増やしたい動機から生まれるもので、担当者の力量の問題ではありません。着手の前に目を通しておいてください。
- 受電の設計をそのまま発信に流用する:かけてよい相手・時間・回数という発信固有の論点が抜ける
- 確認の連絡に案内や割引を足す:用途が交渉に変わり、言い間違いが約束として扱われる
- 断りの記録を名簿に反映せずに回す:断った相手に二度目が飛び、一件で信用を失う
- 人と話したいという申し出を後回しにする:出口のない通話になり、苦情の量が増える
- 最初から件数を大きくする:原稿の欠陥が数千件に広がり、後から回収できない
五つに共通するのは、機械の速さを、確かめる速さより先に出していることです。発信は一度出ると取り消せません。原稿の欠陥も名簿の誤りも、掛けた件数の分だけ相手側に残ります。だから最初の数十件を人が聞き直す工程は、省いてよい手順ではありません。ここを飛ばした運用は、たいてい苦情の集計から作り直しになります。
- 任せる範囲は用途で決める。道具の性能で決めると、向かない連絡まで載せてしまう
- 機械に判断させない領域を先に書く。条件の提示、苦情への応答、例外の可否は人が持つ
- 通話の記録は人が定期的に聞く。数字の集計だけでは、相手が黙った箇所が見えない
- 条文の解釈は事案による。対象になるかが不確かなうちは、告知と再連絡の禁止を自主的に守る
- 苦情を受けたときの経路と名簿の修正の手順を、発信を始める前に決めておく
知っておくと話が噛み合うミニ用語解説
導入の相談では、担当者と提供する側で言葉の指す範囲がずれることがあります。よく出てくる言葉を、実務で必要な範囲だけ整理しておきます。
決めた音声を自動で流す仕組み
登録した番号へ順に発信し、あらかじめ用意した音声を流す仕組みです。相手の回答は番号のボタンで受けるため、二択や三択に収まる用件に向きます。一斉の告知、未納の案内、アンケートの依頼で使われています。相手の話を聞き取る機能はないので、個別の事情がある相手にも同じ案内が流れる点に注意が必要です。
相手と対話できる音声の仕組み
相手の音声を解析して文字に起こし、その内容を解釈して回答を選び、音声に合成して読み上げる仕組みです。手順が決まっている用件には強く、個別の事情が絡む複雑な相談には柔軟に対応できないと解説されています。そのため、人へ迅速に転送する機能が必須とされています。
音声の合成
文字を人の声のように読み上げる技術です。抑揚と話す速さの調整が、聞き取りやすさを大きく左右します。速すぎると数字や日付が聞き取れず、遅すぎると切られます。日付や金額のような聞き間違いが起きやすい箇所は、読み方を個別に指定できるかを確かめてください。
人への引き継ぎ
機械が対応を続けられないときに、人の担当へ通話をつなぐ道筋です。受電では聞き返しが続いた場合の転送として設計されますが、発信でも同じ道が必要です。営業の時間の外に発信する設計にすると、この道が閉じている時間に通話が発生するため、時間帯の設計と一体で決めます。
発信者の番号の通知
掛けた側の番号を相手の端末に表示させる設定です。非通知の発信は出てもらえないうえ、折り返しの手段も残りません。自社の代表の番号を表示するのか、発信の用途ごとに別の番号を使うのかを決め、その番号で折り返しを受けられる状態にしておきます。
まとめ
電話の発信をAIに任せてよいかは、道具の性能ではなく用途で決まります。任せてよいのは、相手が用件を知っていて、話の筋を書き切れて、言い間違いが約束にならず、途中で人に渡せる連絡です。申し込みや手続きの確認、前日のリマインドと日程の再調整、休眠への声かけの入口まで。この範囲なら、機械のほうが漏れなく回せます。反対に、初回の売り込み、条件の交渉、苦情への応答は人が持ちます。相手の反応で筋が変わる仕事は原稿にできず、機械の発言が約束として扱われる危険もあるからです。そして用途を決めたあとに残るのが作法です。名乗りと自動の音声である旨、録音の告知、掛けない時間帯と回数の上限、折り返しを受ける番号、断られた相手を二度呼ばない記録。法令に触れる部分は、対象になるかが取引の性質で変わるため、自社の取引について確かめてください。まずは一つの用途を選び、数十件で掛けて通話を聞き直すところから始めるのが確実です。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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