イベントの音楽に手続きは必要?|配信で増える申請

開場前の会場に、音楽を流します。手持ちの端末から、市販の曲を再生する。多くの現場で、当たり前に行われています。しかし、これには手続きが要る場合があります。無料のイベントでも、社内の催しでも同じです。
カメ先生開場前のBGMは、好きな曲を流していたよ。
カメ子その曲は、市販の音源でしょうか。
カメ先生そうだよ。手持ちの端末から流しただけだ。
カメ子会社の催しだと、手続きが要る場合があります。
- 会社の催しは、無料でも営利の目的と判断されることがある
- 手続きが不要になるのは、限られた条件を満たす場合だけ
- 配信する場合は、申請が2種類に増える
無料だから大丈夫、とは限らない
最初に、よくある誤解を解きます。入場が無料なら手続きは不要、という理解です。これは、正確ではありません。無料であることは、条件の1つにすぎません。他の条件も、同時に満たす必要があります。
会社が主催する催しは、扱いが厳しくなります。会社は、営利を目的として活動する団体だからです。その活動の一環である以上、営利の性質を帯びます。参加費を取らなくても、変わりません。商品の紹介が目的なら、なおさらです。
社内の催しでも、同じ判断になり得ます。社員だけの表彰の場や、忘年会などです。会社が主催する以上、営利の目的と判断されます。身内だけだから、という理由は通りません。この点は、意外に知られていません。
では、どうすればよいのか。選択肢は、大きく2つです。手続きを行うか、手続きの要らない音源を使うかです。どちらも、難しくはありません。知っていれば、事前に対応できます。
問題になるのは、知らずに流してしまう場合です。後から指摘を受けると、対応に追われます。配信していた場合は、公開を止めることになります。せっかくの記録が、使えなくなります。事前に決めておけば、この事態は避けられます。
この記事では、その判断を扱います。まず、手続きが不要になる条件を整理します。そのうえで、申請の方法と期限を示します。配信する場合の違いも扱います。最後に、実務での進め方をまとめます。
手続きが不要になる、4つの場合
すべての音楽に、手続きが要るわけではありません。不要になる場合が、いくつかあります。この条件を知っておくと、判断が速くなります。該当すれば、申請は必要ありません。順に見ていきます。
1つ目は、保護の期間が終わっている場合です。著作者の死後70年が経過した作品です。古典の楽曲などが、これに当たります。ただし、演奏の録音には別の権利があります。曲は自由でも、音源は自由とは限りません。
2つ目は、3つの条件をすべて満たす場合です。営利を目的としないこと。聴衆から料金を受けないこと。そして、実演する人に報酬を払わないこと。この3つが、同時に成り立つ必要があります。
会社の催しでは、1つ目でつまずきます。営利を目的としない、という条件です。3つのうち1つでも欠ければ、適用されません。学校の文化祭などが、想定されている場面です。企業の催しは、通常は当てはまりません。
3つ目は、自社で制作した音源です。外部に依頼して作った場合も含みます。権利の所在を、契約で確かめておきます。制作を依頼しただけでは、権利は移りません。この点は、契約書に書いておきます。
4つ目は、権利の処理が済んだ音源です。利用の条件が明示されている音源のことです。多くの提供元があり、無料のものもあります。ただし、利用の規約の確認は必要です。次の節で、詳しく扱います。
| 場合 | 内容 | 実務での使いやすさ |
|---|---|---|
| 保護の期間の終了 | 著作者の死後70年が経過 | 音源の権利は別に確認が要る |
| 3条件を満たす | 非営利・無料・報酬なしのすべて | 会社の催しでは通常あてはまらない |
| 自社の制作 | 自社または委託で制作した音源 | 契約で権利の所在を確かめる |
| 処理済みの音源 | 利用の条件が示された音源 | 最も現実的な選択肢 |
処理が済んだ音源にも、条件がある
実務で最も使われるのが、4つ目の選択肢です。権利の処理が済んだ音源を使う方法です。手続きが不要で、すぐに使えます。ただし、無条件ではありません。確かめるべき点があります。
最も重要なのが、商用の利用が可能かどうかです。個人の利用に限る、という条件の音源があります。会社の催しは、商用の利用に当たります。条件を読まずに使うと、規約に反します。利用の条件は、必ず読みます。
次に、配信での利用が可能かを確かめます。会場で流すことと、配信することは別の扱いです。会場は可でも、配信は不可という音源があります。後から配信を決める場合に、問題になります。最初から、配信も想定して選びます。
表示の義務がある音源も、あります。提供元や制作者の名前を、示す必要があるものです。資料の末尾や、配信の説明に書きます。書き方まで、指定されている場合があります。その形式に、正確に従います。
利用の条件は、変わることがあります。以前は自由だった音源が、有料になる場合です。使った時点の条件が、適用されるのが原則です。念のため、条件の頁を保存しておきます。後から確かめられる状態にしておきます。
社内で使う音源を、絞っておく方法もあります。毎回選ぶと、確認の手間がかかります。確認の済んだ音源を、数曲決めておきます。催しのたびに、その中から選びます。確認は、年に1度で済みます。
申請するときの、期限と流れ
市販の音源を使う場合は、申請を行います。手続き自体は、難しくありません。ただし、期限があります。開催の直前では、間に合いません。余裕を持って進めます。
申請の期限は、開催の5日前までが目安です。管理する団体の受付の画面から、行います。催しの内容と、使う曲を届け出ます。曲名と作者名が、分かる必要があります。決まっていない段階では、申請できません。
申請の後、許諾の書面と請求書が届きます。届くまでの期間は、およそ3週間です。つまり、開催の後に届くことになります。支払いは、請求書の期限までに行います。この時間差を、経理と共有しておきます。
別の管理の団体では、流れが異なります。先に利用の申請を行い、開催の後に報告します。報告の期限は、開催後5営業日以内です。使った曲を、実績として届け出る形です。この報告を忘れると、手続きが完了しません。
どちらの団体が管理しているかは、曲によって違います。同じ歌手の曲でも、分かれる場合があります。各団体の検索の画面で、曲名から調べられます。使う予定の曲を、事前に確かめます。この確認が、最初の作業になります。
使用料は、何で決まるのか
費用の心配をされる方が多いので、触れておきます。使用料は、一律ではありません。いくつかの要素の組み合わせで決まります。規模が小さければ、金額も小さくなります。身構えるほどの額にはならないことが多い。
主な要素は、入場料の有無です。無料の催しは、有料より低く算定されます。参加費を取る催しでは、その額も影響します。会社の催しは、多くが無料です。その意味では、有利な条件になります。
次に、会場の規模です。収容できる人数が、算定の要素になります。100人の会場と1000人の会場では、額が変わります。実際に来た人数ではなく、定員で見る場合があります。この点は、申請の際に確かめます。
使い方も、影響します。催しの全体を通して流すのか、一部の場面だけか。開場前だけであれば、その範囲で算定されます。曲数や時間で決まる方式もあります。使う場面を絞れば、費用も下がります。
管理する団体の画面に、試算の道具があります。条件を入れると、おおよその額が分かります。申請の前に、これで確かめておきます。予算の相談を、事前に済ませられます。後から請求が来て慌てる、という事態を防げます。
生の演奏を入れる場合は、別の話
録音した音源ではなく、演奏を入れる場合があります。式典での演奏や、演奏家を招く場合です。この場合、確かめる相手が増えます。曲の権利と、演奏する人との契約は別です。両方を、押さえる必要があります。
曲の権利については、録音の場合と同じです。管理する団体への申請が必要になります。演奏する曲目を、事前に確定させます。当日に曲を変えると、届け出と食い違います。演奏者に、変更しないよう伝えておきます。
演奏する人との契約は、別に結びます。報酬、拘束の時間、機材の手配を決めます。録画と配信の可否も、この契約で決めます。口約束で進めると、後から問題になります。1枚の書面で、十分です。
録音した演奏を、後から使う場合も同じです。演奏した人の許諾が、別に必要になります。曲の権利の処理だけでは、足りません。二次利用の範囲を、契約に書きます。後から追加で許諾を得るのは、手間がかかります。
社員が演奏する場合も、油断できません。曲の権利は、演奏する人が誰でも同じです。市販の曲を演奏するなら、申請が要ります。社内の催しでも、変わりません。この点は、企画の段階で伝えます。
参加者が撮影して投稿したら
会場での撮影を、認める催しが増えています。参加者が、その場の様子を投稿します。その動画に、流していた音楽が入ります。この場合の扱いは、どうなるのか。実務では、よく出る質問です。
投稿する行為の責任は、投稿した人にあります。主催者が、代わりに申請することはできません。しかし、そうした状況を作ったのは主催者です。問題が起きれば、印象には影響します。配慮しておく価値はあります。
最も簡単な対策は、音楽を流さない時間を作ることです。撮影を推奨する場面では、音楽を止めます。撮影が集中するのは、開始前と展示の時間帯です。その時間だけ、音を落とします。運用で、十分に対応できます。
あるいは、権利の処理が済んだ音源を使います。その場合、投稿されても問題になりません。撮影を促す催しでは、この選択が安全です。参加者に、余計な負担をかけずに済みます。投稿を増やしたいなら、なおさらです。
案内に、一言添える方法もあります。音楽が入る場面がある旨を、伝えます。撮影を控えてほしい時間帯も、示します。参加者は、指示があれば従います。伝えていないことのほうが、問題になります。
会場が契約している場合の扱い
ここで、実務上の例外があります。会場が、すでに契約を結んでいる場合です。その場合、個別の申請が不要になることがあります。ただし、範囲には制限があります。確かめずに前提にすると、危険です。
包括の契約とは、一定の条件の範囲内で、管理されている著作物のすべてを利用できる形の許諾です。商業施設や飲食店で、多く使われています。その施設の中で流す分には、追加の手続きが要りません。利用者は、意識せずに済みます。
催しの会場でも、同じ契約がある場合があります。館内で流す音楽が、対象になります。しかし、催しでの利用まで含むとは限りません。貸し出す区画での利用は、別扱いのことがあります。会場に、直接確かめる必要があります。
確かめる内容は、3つです。契約があるかどうか。その契約が、催しの中での再生を含むか。そして、配信を行う場合も含むかです。この3点を、書面か記録の残る形で確かめます。
展示会の区画の中で流す場合は、特に注意します。主催者の規定に、記載がある場合があります。出展の案内の冊子を、確かめます。記載がなければ、主催者に問い合わせます。この確認は、申し込みの段階で行います。
配信すると、申請が2種類になる
ここが、最も見落とされる点です。催しを配信する場合、扱いが変わります。会場で流すことと、配信することは別の行為です。したがって、申請も別になります。2種類の手続きが、必要になります。
1つ目は、会場での再生に対する申請です。これは、配信しない場合と同じ手続きです。開催の5日前までに、届け出ます。この申請だけでは、配信は許諾されません。範囲が、会場に限られるためです。
2つ目が、配信に対する申請です。自動で公衆に送信する形態として、扱われます。この形態を管理する団体に、別に申請します。申請の窓口も、様式も異なります。同じ団体でも、手続きは分かれます。
この2つを混同する事故が、多く起きています。会場の分だけ申請して、配信してしまう。後から指摘を受け、公開を止めることになります。録画を二次利用する計画も、崩れます。最初から、両方を申請しておきます。
ただし、例外もあります。配信する媒体が、包括の契約を結んでいる場合です。その媒体で公開する分には、個別の申請が不要になります。対象になる媒体は、公表されています。使う媒体が含まれるかを、確かめます。
自社のサイトで公開する場合は、含まれません。媒体の契約は、その媒体の中だけの話です。自社のサイトに置くなら、別の手続きが要ります。配信先によって、扱いが変わります。この違いを、企画の段階で押さえます。
録画の二次利用まで、先に決める
催しの録画は、後から使いたくなります。資料として配る、記事にする、広告に使う。その時になって、音楽が問題になります。申請の範囲を超えているためです。先に決めておけば、避けられます。
最も安全なのは、音楽を分けて収録することです。会場で流す音と、収録する音を別にします。収録の側には、音楽を入れません。後から、権利の処理が済んだ音源を足します。この方法なら、二次利用は自由です。
技術的には、難しくありません。話し手の声だけを、別に収録します。会場の音を拾う設定にしないだけです。配信の機材でも、同じことができます。設定を1つ変えるだけで済みます。
開場前や休憩中の音楽は、特に注意します。この時間帯は、配信を止める運用が多い。止めていれば、配信の申請は不要です。静止した画面を出しておく形にします。この運用が、最も簡単な対策です。
使った曲の記録も、残します。曲名、作者名、使った時間、使った場面です。報告が必要な団体では、この記録が要ります。後から問い合わせを受けた場合にも、答えられます。1枚の表で、十分です。
担当を決めて、確認の順序を固める
この手続きは、誰の仕事か曖昧になりがちです。音響の担当か、企画の担当か、法務か。決まっていないと、誰も動きません。気づいた時には、当日になっています。担当と順序を、決めておきます。
開場前、転換、表彰、終演後。どの場面で音楽を使うかを洗い出します。使わないと決めるのも、立派な判断です。
市販の音源か、権利の処理が済んだ音源か。処理済みを選べば、以降の手続きは不要になります。この段階で決めるのが、最も楽です。
会場に契約があるか、催しでの利用を含むかを確かめます。展示会の場合は、出展の案内の冊子も見ます。記録の残る形で確認します。
配信するなら、申請が2種類になります。配信先の媒体に包括の契約があるかも、あわせて確かめます。ここで決めておくと、後戻りがありません。
曲名と作者名を確定させ、申請します。請求書が届くのは、およそ3週間後です。経理にも、その時間差を伝えておきます。
この5つを、企画書の項目に入れます。毎回、同じ順で確かめる形にします。確認の欄を作れば、抜けが減ります。新しい担当者にも、そのまま渡せます。1回作れば、以降は使い回せます。
多くの場合、2つ目で終わります。権利の処理が済んだ音源を選べば、申請は不要です。手間を減らしたいなら、この選択が最短です。曲の自由度は下がりますが、実務では十分です。催しの目的は、音楽ではありません。
使わないという選択も、有効
ここで、前提を疑ってみます。そもそも、音楽は必要なのか。習慣で流している場合が、少なくありません。目的を確かめると、不要なことがあります。その場合、手続きの問題は消えます。
開場前の音楽には、役割があります。静けさによる緊張を、和らげる効果です。会話がしやすくなる、という効果もあります。この役割が要るかを、考えます。少人数の催しでは、なくても成り立ちます。
転換の場面では、別の方法もあります。進行の担当者が、声で埋める方法です。音楽より、次の案内のほうが親切な場合があります。参加者は、何が起きているかを知りたい。その情報を、音楽の代わりに流します。
配信を伴う催しでは、特に検討の価値があります。申請が2種類になり、手間が増えるためです。音楽をなくせば、その手間はすべて消えます。録画の二次利用も、自由になります。得られるものと、比べて判断します。
なお、雰囲気を作る手段は音楽だけではありません。照明、会場の設え、開場の時間の使い方です。これらは、権利の問題を伴いません。音楽以外の手段を、先に考えます。結果として、質が上がることもあります。
動画や資料に使う音楽も、同じ
催しの場だけでなく、制作物にも同じ話があります。紹介の動画、事例の動画、配布する資料です。これらに音楽を入れる場合も、権利の処理が要ります。作った時点で、判断が必要です。後から差し替えるのは、手間がかかります。
動画の場合、使い回しの範囲を先に決めます。催しで流す、サイトに載せる、広告に使う。使う範囲によって、必要な条件が変わります。広告での利用は、条件が厳しい音源が多い。最も広い用途を想定して、選びます。
社内で使う資料も、油断できません。研修の動画や、社内の説明会の記録です。社内だから自由、という扱いにはなりません。会社の活動である以上、同じ判断です。この点を、制作の担当者に伝えます。
外部に制作を委託する場合も、確かめます。音楽の権利処理を、どちらが行うか。見積りに含まれているかを、確かめます。含まれていないと、後から追加になります。契約書に、明記しておきます。
納品の際に、使った音源の情報をもらいます。曲名、提供元、利用の条件です。この情報がないと、後から確かめられません。委託先が変わった場合に、困ります。納品物の一部として、受け取ります。
よくある誤解を、整理する
この分野には、誤解が多くあります。社内で共有しておくと、事故が減ります。代表的なものを、挙げておきます。どれも、実際に聞かれるものです。順に確かめます。
- 入場が無料なら手続きは不要:無料は条件の1つにすぎず、営利の目的でないことも必要
- 社内の催しなら自由に使える:会社が主催する以上、営利の目的と判断され得る
- 短い時間なら問題ない:長さによる例外は、原則として設けられていない
- 正規に購入した音源だから自由:購入は個人で聴く権利であって、公開の再生の権利ではない
- 会場が契約しているから安心:催しでの利用や配信まで含むかは、別に確かめる必要がある
- 会場の分を申請したから配信もできる:配信は別の行為で、別の申請が必要になる
最後の2つが、特に多い誤解です。会場の契約と、催しでの利用は範囲が違います。会場での再生と、配信も別の行為です。この2つの区別を、押さえておきます。区別できれば、判断は難しくありません。
判断に迷ったら、使わない選択もあります。あるいは、権利の処理が済んだ音源に切り替えます。迷ったまま使うのが、最も危険です。後から止めるほうが、手間も影響も大きい。事前の判断が、すべてを楽にします。
- ここで扱ったのは著作物としての楽曲の利用。録音された音源そのものには、別の権利がある
- 管理する団体は複数あり、曲ごとに管轄が違う。曲名から検索して確かめる
- 制度や運用は変わることがある。重要な催しでは、開催の時点の案内を直接確かめる
まとめ
会社が主催する催しでは、無料でも手続きが要る場合があります。手続きが不要になるのは、保護の期間が終了している場合、非営利と無料と報酬なしの3条件をすべて満たす場合、自社で制作した音源の場合、権利の処理が済んだ音源の場合です。会社の催しでは、4つ目が最も現実的な選択肢になります。
市販の音源を使うなら、開催の5日前までに申請します。許諾と請求は、およそ3週間後に届きます。配信する場合は、会場の分とは別に、配信の申請が必要です。録画を二次利用する予定があるなら、収録に音楽を入れない方法が最も安全です。次の催しの企画書に、音楽の欄を1行足すところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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