生成AIの業務効率化が頭打ちになる原因|測れる形に置き換える

生成AIの業務効率化が頭打ちになる原因|測れる形に置き換える

「全社に配って半年経ちましたが、残業時間は変わっていません」「現場は毎日使っていると言うのに、業務量が減った実感がないんです」——導入から一巡した会社では、この2つが同じ会議で並んで出てきます。ここで道具の性能を疑う議論が始まりますが、たいていは的を外しています。本当は、減ったはずの時間がどこへ行ったのかを、誰も記録していないので、頭打ちなのか、そもそも効いているのかすら分からない状態です。この記事では、生成AIの業務効率化が頭打ちに見える原因を6つに分け、削減時間を測れる形に置き換える手順と、測ると見えてくる頭打ちの型を整理します。


カメ先生カメ先生

生成AIを入れて時間が減らないと、道具が悪いと思われがちなんだけど、本当は減ったかどうかを測っていないことのほうが多いんだ。


カメ子カメ子

使っている実感はあるのに、数字にならないということですか。


カメ先生カメ先生

そう。しかも人の感覚は当てにならなくてね。速くなったつもりで、実際は遅くなっていた実験もある。


カメ子カメ子

感覚だけで判断すると、逆の結論になることもあるんですね。


この記事のポイント
  • 日本企業の29.5%は生成AIの影響について「特に影響はない」と答えている。他の3か国は1割未満
  • 体感は当てにならない。作業時間が19%増えた実験で、当人たちは20%短くなったと答えた
  • 測る単位は人でも部署でもなく工程。1件あたりの所要時間で測ると、頭打ちの型が見えてくる

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目次

「入れたのに時間が減らない」は、だいたい同じ形で起きる

頭打ちの相談は、細部が違っても形がよく似ています。使っている人はいる。便利だという声もある。ところが部署の総労働時間も、案件1件あたりの日数も、動いていない。使われているという事実と、時間が減ったという事実は、別々に確かめないと分かりません。ところが多くの現場では、前者だけが記録されています。

記録されているのは、たいてい利用回数か利用者数です。管理画面から取れるからで、悪い指標ではありません。ただ、この数字は使った量を表すだけで、何分減ったかは表しません。回数が増えても時間が減らないという事態は普通に起こりますし、そのとき回数の記録は何も教えてくれません。

だから最初にやることは、道具の入れ替えでも研修でもありません。どの工程が、導入前に何分かかっていたのかを書き出すことです。導入前の数字が残っていない場合は、今からでも同じ工程を測り直します。比べる相手がない状態で効果を議論しても、声の大きい人の実感が結論になるだけです。

日本企業のほぼ3割は「特に影響はない」と答えている

この状態は、統計にもはっきり出ています。総務省が2025年7月に公表した令和7年版情報通信白書は、日本、米国、ドイツ、中国の企業に、生成AIの活用が自社にどう影響するかを尋ねました。同じ調査では、何らかの業務で生成AIを使用中と答えた企業は日本で55.2%、米国90.6%、ドイツ90.3%、中国95.8%と差が開いていました。使っている企業の割合だけでも差があるのですが、効果の受け止め方はさらに離れています。日本の回答515件のうち、「特に影響はない」を選んだ割合は29.5%。同じ選択肢を選んだ割合は、中国7.1%、ドイツ8.7%、米国3.2%でした。

日本で最も多かった回答は「業務効率化や人員不足の解消につながる」で32.8%です。つまり、効率化を期待する回答と、影響はないという回答が、ほぼ同じ厚みで並んでいます。他の3か国では、上位に来るのは「ビジネスの拡大や新たな顧客獲得につながる」で、米国では50.2%に達しました。期待する先が効率化に寄っているのに、その効率化が確かめられていないという構図が読み取れます。

同じ調査の別の設問も、この読み方を補強します。生成AI導入に際しての懸念として日本企業が最も多く挙げたのは「効果的な活用方法がわからない」で30.1%。中国は10.4%、米国は9.7%でした。使い方が分からないという状態は、効果が測れていない状態と表裏です。何がどれだけ効いたか分からなければ、次にどこへ広げるかも決まりません。

体感で測ると、逆に振れることがある

では現場の実感で判断すればよいかというと、そこにも落とし穴があります。2025年7月に公開された比較試験は、経験のある開発者16人に246件の作業を割り当て、AIを使える条件と使えない条件を無作為に振り分けて完了時間を測りました。結果はAIを使える条件のほうが19%長くかかったというものでした。

驚くのはここからです。作業を始める前、開発者たちは24%短くなると予測していました。そして作業をすべて終えた後の自己申告でも、20%短くなったと答えています。実際には長くかかっているのに、当人たちは短くなったと感じていました。外部の専門家の予測はさらに強気で、経済の専門家は39%、機械学習の専門家は38%の短縮を見込んでいました。当事者も専門家も、そろって逆方向に外したことになります。

読むときの条件を書いておきます。対象は開発の仕事で、しかも参加者が平均5年関わってきた大規模な開発物が舞台です。マーケや事務の仕事にこの19%という数字がそのまま当てはまるわけではありませんし、著者自身も実験に由来する要因を完全には排除できないと明記しています。それでも、感覚と実測が逆を向くことがあるという事実は、業務の種類を問わず効きます

頭打ちになりやすい仕事には、共通の特徴がある

同じ比較試験は、なぜ遅くなったのかについても要因を整理しています。挙げられているのは5つで、有用性への過大な期待、対象への習熟の高さ、対象が大きく複雑であること、出力の信頼性の低さ、そして言葉になっていない前提の多さです。原因を数える前に、この5つを自社の工程に当ててみると、測る場所の見当が付きます。

実務で効くのは後ろの3つです。対象が大きく複雑というのは、前提を伝えるだけで長い説明が要る仕事のこと。言葉になっていない前提が多いというのは、社内の暗黙の決まりや過去の経緯を知らないと正しく書けない仕事のことです。どちらも、指示に書く量が増えるほど、説明する時間が作る時間を食います。説明に5分かかる仕事を、3分で終わらせることはできません

裏返すと、任せて効く工程の特徴も見えます。前提が短く書ける、完成の水準が言葉で決まっている、間違いに気づきやすい、そして担当者がまだ型を持っていない。この4つのうち3つが当てはまる工程から測り始めると、最初の2週間で結果が出ます。習熟した人が慣れた対象で回している工程は、上積みが小さいので後回しにしてかまいません。

原因1:どの工程が何分だったかを、誰も記録していない

6つの原因を順に見ていきます。最初は最も多いもので、単純に測っていないという原因です。導入前の所要時間が残っていないので、導入後に何分になっても比べられません。比べる相手がないまま議論すると、効果の有無は印象の勝負になります。そして印象の勝負では、たいてい「思ったほどではない」という側が勝ちます。

先の白書には、この状態を裏づける数字があります。日本企業442件を対象にした用途別の調査で、「メールや議事録、資料作成等の補助」に生成AIを使用中と答えたのは合計47.3%でした。その内訳は、期待を上回る8.8%、期待通り23.3%、期待を下回る7.5%、そして効果は測定中または不明が7.7%です。使用中と答えた層のおよそ3分の1が、期待を下回るか、測っていないかのどちらかでした。

測っていない理由は、たいてい面倒だからではありません。何を測ればよいか決まっていないからです。総労働時間を見ても、他の要因に埋もれて動きが見えない。だから測っても分からないという結論になり、記録が止まります。測る単位を間違えると、測っても何も見えないので、測る習慣そのものが消えます

原因2:測りやすい仕事に、予算と手間が寄る

2つ目は、投資の向き先が偏る原因です。ある調査報告は、企業の生成AI予算のおよそ半分が営業とマーケティングに向かうと述べたうえで、その理由を明快に書いています。目立つからだけではなく、成果が測りやすいからだ、と。デモの件数やメールの返信時間といった指標は、経営層が見ている指標にそのままつながります。

裏返すと、効率が見えにくい部門には予算が回りません。同じ報告は、法務、調達、経理といった機能の効果を「違反の減少、手続きの流れの改善、月次の締めの短縮」と表現し、重要だが経営の議論や投資家への説明には出しにくいと整理しています。実際、ある調達部門の責任者の言葉として、速く働けるようになったことをどう数値化して経営層に説明すればよいのか分からない、という趣旨の発言が引かれています。

ここが頭打ちの構造的な原因です。測りやすい場所に手を入れ続ける限り、投じた分だけ上積みが小さくなっていきます。すでに指標があり、すでに人が磨いてきた領域だからです。一方、測りにくいという理由だけで放置された工程には、手つかずの時間が残っています。効率化が止まったのではなく、効率化しやすい場所を先に使い切っただけという場合が少なくありません。

原因3:一部だけが速くなり、待ちが前後に移る

3つ目は、工程の一部だけを速くしたときに起きます。下書きが30分から10分になっても、その後の確認が週1回の会議でしか行われないなら、案件が完了するまでの日数は変わりません。速くなったのは工程の中の一区間で、全体の所要日数を決めているのは別の区間だったということです。

この型は、時間の記録を工程ごとに分けていないと見えません。1件あたり何日かかったかだけを見ると、変化がないという結論になります。工程を4つか5つに割って、区間ごとの所要時間を並べると、短くなった区間と、そのぶん待ちが伸びた区間が同時に見えます。実務では、待ちが増えた区間のほうに次の手を打つことになります。

もう1つ、作った量が増えることで後工程が詰まる型もあります。下書きが速くできるようになると、出てくる案の数が増えます。案が増えれば選ぶ手間が増え、確認の対象も増える。作る速さだけを上げると、選ぶ人と確かめる人のところに列ができます。着手の前に、後工程の処理量がどれだけ増えるかを見積もっておく必要があります。後工程の人数を増やせないなら、案の数を増やす使い方ではなく、1案の完成度を上げる使い方に寄せるほうが早く効きます。

原因4:作る手間が減った分、確かめる手間が増えている

4つ目は、時間の行き先が入れ替わる原因です。先に触れた比較試験は、画面の録画を分析して、時間の使い方がどう変わったかも測っています。AIを使える条件では、自分で書く時間と、情報を探して読む時間の割合が減りました。代わりに増えたのは、指示を出す時間、生成を待つ時間、そして出てきたものを確かめる時間です。

量も出ています。出力を確かめて手直しする作業に、作業時間のおよそ9%が使われていました。さらに、AIが出したものの採用率は44%未満でした。半分以上は使われずに捨てられていることになります。捨てる判断にも読む時間がかかりますから、採用されなかった出力の分だけ、確かめる時間が積み上がります

この構造は業務の種類を問いません。文章でも資料でも集計でも、確かめる工程は残ります。だから効率化を設計するときは、作る時間だけでなく確かめる時間も一緒に測ります。確かめる時間を測らないと、減った時間の半分は帳簿から消えます。逆に、確かめる時間まで含めて短くなった工程は、本物の上積みです。

原因5:試したものが、本番の仕事に渡らない

5つ目は、試行の段階で止まる原因です。先の調査報告は、用途を絞って作った仕組みについて、検討まで進んだのが60%、試行まで20%、本番の業務に乗ったのは5%だったと報告しています。一方、汎用の対話型のツールは、検討80%、試行50%、導入40%と進んでいます。個人が使う道具は行き渡り、業務に組み込む仕組みは止まっているという差です。なおこの報告は、本番に乗ったかどうかを、利用者か経営層が「はっきりした持続的な生産性か損益への影響があった」と述べたかどうかで判定しています。誰かがその影響を言葉にできたかどうかが基準になっている、ということです。

同じ報告は、投じた額と戻りの関係についても書いています。企業の生成AI投資300億から400億ドルに対し、95%の組織で測れる損益への影響が出ていない、というものです。ただしこの報告は予備的なもので、著者自身が「これらの数字は個々の聞き取りに基づくもので、企業の公式な報告ではなく、方向として正しい程度だ」と限界を明記しています。95%が失敗したのではなく、95%で戻りが測れていないと読むのが正確です。

進み方の速さにも差が出ています。同じ報告では、中堅企業の上位は試行から本格導入まで平均90日、大企業は9か月以上かかっていました。止まる理由についても順位が出ています。障壁として最も多く挙がったのは新しいツールを使いたがらないことで、次が出力の品質への懸念でした。どちらも、測ってから議論すれば具体的な項目に落ちます。時間がかかるほど、始めたときの条件が変わり、比べる相手が失われます。測れる形にしておかないと、期間が延びた時点で効果の議論そのものが成立しなくなります

原因6:公式の記録に載らない使い方が、実態を隠す

6つ目は、測る対象がそもそも見えていない原因です。先の調査報告によると、公式に契約している企業は40%だった一方、調査した企業の90%超で、従業員が個人の契約で使えるツールを業務に使っていました。会社が把握している利用と、実際に起きている利用が、大きくずれているということです。

この状態では、効果の測定が二重に壊れます。1つは、削減されているはずの時間が公式の記録に現れないこと。もう1つは、社内で用意した仕組みの利用が伸びない理由が、需要がないからなのか、個人のツールのほうが使いやすいからなのか、区別できないことです。前者なら投資を絞る判断になり、後者なら作り直す判断になります。判断が正反対に分かれます。

測り方の話としては、対処は1つです。どの道具を使ったかではなく、その工程に何分かかったかを記録します。道具を主語にすると、把握できていない利用がすべて抜け落ちます。工程を主語にすれば、何で処理したかにかかわらず、時間の変化は記録に残ります。道具の管理をどうするかは、それとは別の話として扱います。

測る単位を、人ではなく工程に変える

ここから測り方に入ります。最初に決めるのは単位です。人でも部署でも月でもなく、工程を単位にします。1人あたりの労働時間や部署の総時間は、案件数の増減、繁忙期、異動、他の施策の影響をすべて含んでしまい、生成AIの分だけを取り出せません。

工程を単位にすると、比べる条件が揃います。同じ種類の仕事を、同じ完成の水準まで進めるのに何分かかったか。これなら、案件数が変わっても比べられます。工程の切り方は細かすぎないほうがよく、1つの工程が15分から2時間程度に収まる粒度が扱いやすい範囲です。5分で終わる作業を測ると、記録の手間のほうが大きくなります。逆に、半日かかる区間を1つの工程として扱うと、その中で何が短くなったのか分からないまま平均だけが動きます。区間の境目は、担当者が変わるところと、次の人を待つところに置くと自然に決まります。

なお、ここでは時間を金額に置き換える話はしません。金額に直すのは、投資の判断や社内の説明のための別の作業で、先に必要なのは時間が本当に減ったのかどうかの確認です。時間が減っていない工程を金額に直しても、数字が動くだけで実態は変わりません。順番を逆にしないことが要点です。

削減時間は、1件あたりで測る

測る値は、1件あたりの所要時間にします。総量ではなく単価で見るということです。総量で見ると、案件が増えた月に時間が伸び、減った月に縮むので、施策の効果と需要の変動が混ざります。1件あたりに直すと、需要の変動を除いた変化が残ります

測り方は素朴で構いません。対象の工程を10件から20件分、開始と終了の時刻だけ記録します。専用の仕組みは要りません。ここで大事なのは件数よりも、比べる2つの条件を揃えることです。同じ担当者、同じ種類の案件、同じ完成の水準。3つのうち1つでもずれると、差が施策のものか条件のものか分からなくなります。

完成の水準を揃えるところが、実務でいちばん崩れます。生成AIを使うと、下書きの水準が変わることがあるからです。速くできた下書きが、前より粗いなら、それは短縮ではありません。だから時間と一緒に、手直しの量も記録します。手直しにかかった時間まで含めて短くなっていれば、それが実際の削減です。

記録する項目と、粒度の決め方

測定を続けられる形にするには、記録項目を絞ります。多くすると、最初の2週間で止まります。実務で回るのは、次の4項目に、比較のための条件を添えた形です。1件につき記入は30秒以内に収まる分量にします

記録する項目何を書くか粒度の目安これがないと分からないこと
工程名対象の作業を1つに特定する名前1工程15分から2時間どの区間が短くなったのか
所要時間開始と終了の時刻。中断した時間は除く分単位短縮したのかどうか
手直しの時間出てきたものを確かめて直した時間分単位水準を落として速くなっただけではないか
やり直しの有無後工程で差し戻されたかどうか有無だけ前工程の速さが後工程を詰まらせていないか
条件担当者、案件の種類、完成の水準選択式比べてよい2件かどうか

この5行を、対象の工程で20件分だけ集めます。期間は2週間で足ります。集め終わったら、導入前の同じ工程の記録と並べます。導入前の記録がない場合は、生成AIを使わずに同じ工程を10件処理して、比べる相手を作ります。比べる相手を作る手間は、測定の準備ではなく測定そのものです

測定の担当は、その工程を実際にやっている人ではなく、別の人に置くほうが続きます。自分の作業時間を自分で書くと、忙しい日ほど記録が抜け、抜けた日はたいてい時間がかかった日です。記録が抜けるのは無作為ではないので、抜けた分だけ結果が良い方向にずれます。別の人を置けない場合は、1日の終わりにまとめて書かせるのではなく、工程が終わった時点で書く形にします。まとめて書くと思い出しながらの記入になり、時間の見積もりが実際よりずれます。

測ると見えてくる、頭打ちの3つの型

記録が20件たまると、頭打ちの内訳が型として見えてきます。実務でよく出るのは3つです。型が分かれば、次に打つ手も分かれます。効かないから止めるという判断は、型を見てからで十分です。

1つ目は、短縮したが後工程で吸収された型です。作る区間は確かに短くなったのに、1件あたりの完了までの日数が変わっていません。この場合、次に手を入れるのは生成AIの使い方ではなく、確認や承認の回し方です。2つ目は、短縮したが手直しで相殺された型です。所要時間は減ったのに、手直しの時間が同じだけ増えています。この場合は、渡す材料と指示の中身を見直す番です。

3つ目は、そもそも短縮していない型です。所要時間が導入前と変わらないか、むしろ伸びています。先の比較試験が示したのは、この型が実際に起こりうるということでした。先に挙げた4つの特徴に当てはまらない工程、つまり前提を書き出すだけで長くなる仕事や、担当者がすでに自分の型を持っている仕事で起きやすい型です。この型が出た工程は、任せる対象から外します。無理に使い続けても、確かめる時間が積み上がるだけです。

任せる工程を切り出す進め方

測って型が見えたら、任せる工程を選び直します。ここでの選び方は、効きそうかどうかではなく、測った結果に従います。測る前に決めた候補と、測った後に残る候補は、たいてい違います

STEP1
工程を4つから6つに割る

1つの案件が完了するまでを区間に割ります。区間の境目は、担当者が変わるところと、待ちが発生するところに置きます。

STEP2
区間ごとの所要時間を20件分そろえる

生成AIを使う前の状態で測ります。この記録が比べる相手になるので、先に取っておきます。

STEP3
時間が長く、判断を含まない区間を1つ選ぶ

長いだけでは足りません。判断を含む区間は、任せると確かめる時間が増えるので、後回しにします。

STEP4
2週間だけ試して、同じ項目で測る

所要時間、手直しの時間、やり直しの有無まで記録します。手直しを測らないと、短縮したように見えます。

STEP5
3つの型のどれかを判定して、次を決める

後工程で吸収されたのか、手直しで相殺されたのか、そもそも短縮していないのか。型ごとに次の一手が違います。

この流れで1周すると、判断が具体的になります。効果が出た工程は範囲を広げ、後工程で吸収された工程は確認の回し方に手を入れ、短縮しなかった工程は外す。外すという判断ができる状態が、測れている状態です。外せないまま全部を続けている会社は、まだ測れていません。

測り方でやりがちな失敗

最後に、測定そのものが壊れる型を挙げておきます。どれも実際によく起きるもので、壊れた測定は、測っていない状態より判断を誤らせます。数字があるぶん、疑われずに使われてしまうからです。

  • 部署の総労働時間で効果を見る。案件数や繁忙期に埋もれて、施策の分だけを取り出せない
  • 利用回数や利用者数を効果の指標として報告する。使った量であって、減った時間ではない
  • 使った人の実感を集計して結論にする。感覚と実測が逆を向く場合があることが実験で示されている
  • 導入前の記録を取らずに始めて、後から思い出して埋める。思い出しの時間は実際より長めに出る
  • 手直しの時間を測らない。水準を落として速くなっただけの工程が、短縮として記録に残る
  • 測定の期間中に、担当者や案件の種類や完成の水準を同時に変える。差の理由が特定できなくなる

測るときの取り決めも、先に文章にしておきます。項目を増やさない、期間を延ばさない、途中で条件を変えない。この3つを守るだけで、記録は最後まで残ります。

  • 効果が出なかった工程の記録も残す。次に同じ工程が候補に挙がったとき、議論をやり直さずに済む
  • 測定の結果は、担当者の評価に使わない。評価に使った瞬間、記録は都合のよい方向に寄る
  • 生成AIが出した内容の良し悪しは、時間の記録とは別に見る。速さと質を同じ表に混ぜない。質の議論は、手直しの時間という形で間接的に記録に残る

まとめ

生成AIの業務効率化が頭打ちに見えるとき、原因は道具の性能であることのほうが少なくなっています。多いのは、減った時間が記録されていないこと、測りやすい場所を先に使い切っていること、工程の一部だけが速くなって待ちが移っていること、作る手間の代わりに確かめる手間が増えていること、試したものが本番に渡っていないこと、そして公式の記録に載らない使い方が実態を隠していることです。

測るときの単位は、人でも部署でもなく工程にします。1件あたりの所要時間に、手直しの時間とやり直しの有無を添えて、20件分そろえる。比べる相手がない場合は、生成AIを使わずに同じ工程を処理して作る。この準備を飛ばすと、数字のない議論になり、声の大きさで結論が決まります。総務省の調査で日本企業の29.5%が「特に影響はない」と答え、懸念の1位が「効果的な活用方法がわからない」だったことは、この準備が抜けていることの表れでもあります。

そして、測った結果はAIに判断させません。3つの型のどれに当たるかを人が読み、次に手を入れる場所を決める。短縮しなかった工程は任せる対象から外し、外した理由を記録に残す。19%長くかかった実験で当人たちが20%短くなったと答えたように、実感は簡単に逆を向きます。だからこそ、確かめる範囲を先に決めて、根拠になる記録を人の手元に置いておく。効果が出なかった工程を外せるようになった時点で、その組織は測れている状態に入っています。頭打ちを抜けるのは新しい道具ではなく、測れる形に置き換えたその1歩です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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