社内のAIは自社環境か外部サービスか|置き場所の判断軸

「機密を扱うなら社内に置くしかない、と情報システム部門に言われた」「外部のサービスは危ないから禁止、という通知だけが回ってきた」。生成AIを業務に組み込もうとした部署から、この二つの声が同時に上がります。自社の中に置けば安全で、外に預ければ危険。この切り分けは、分かりやすい代わりに実態と合っていません。本当の分かれ目は安全か危険かではなく、そのデータと処理をどこで動かすと運用が続くかです。この記事では、2026年時点で自社環境と外部サービスがそれぞれどこまで来ているかを確かめたうえで、置き場所を決める五つの軸と、マーケティング部門の業務ごとの当てはめ方を整理します。
カメ先生社内のAIをどこに置くかって、機密かどうかで決まると思われがちなんだけど、本当は『そのデータが動く場所を、自社でどこまで説明できるか』の話なんだ。
カメ子自社の中に置けば、説明はしやすくなるということですか。
カメ先生置き場所が自分たちの管理下にある、という説明はしやすくなるね。ただ、その代わりに機材と人手を自分たちで抱えることになる。楽になる部分と重くなる部分が、同時に来るんだ。
カメ子安全と手間を、どこで釣り合わせるかという話なんですね。
- 置き場所は安全か危険かの二択ではなく、扱うデータ・通信の要件・求める品質・費用のかかり方・運用の人手で分かれる
- 2026年は自社環境で動かせる公開モデルが実用域に入り、法人向けの外部サービスも入力を学習に使わない契約が既定になっている
- 現実解は用途ごとの使い分けで、原稿づくりと顧客データの処理を同じ置き場所にしないところから始まる
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「置き場所」の議論は、結局どこに何が残る話なのか
この議論はサービスを選ぶ話に見えます。しかし実際に決めているのは、入力した文章と、その処理の記録がどこに残るかです。社内の資料を読ませて要約させたとき、資料の中身は通信を経由して社外の設備に届き、応答が返るまでの間はその設備の中で処理されます。多くの法人向けサービスは、その内容を学習に使わず、一定期間で消すと定めています。つまり争点は見られるかどうかではなく、どこを通り、どこに何日残り、それを自社が説明できるかに移っています。
この整理をしないまま議論を始めると、話が噛み合いません。情報システム部門は通信の経路と保管の場所を気にし、マーケティング部門は原稿の質と速さを気にします。同じ安全という言葉を使っていても、指しているものが違うのです。置き場所の議論は、全社で一つに決めず、業務ごとに分けて行うのが前提になります。ひとまとめに決めようとすると、最も厳しい業務に全体が引きずられ、公開前提の原稿の下書きまで不便になります。
もう一つ押さえたいのは、置き場所を変えても消えない責任があることです。誰が使ってよいか、出てきたものを誰が確認するか、その出力をそのまま社外に出してよいか。この三つは、自社環境に置いても外部に預けても、社内で決めるしかありません。置き場所の選択は、この土台の上に乗る話です。順番を逆にすると、設備の話ばかりが進み、運用の設計が空いたまま稼働してしまいます。
2026年、自社環境で動かすモデルはどこまで来たか
数年前まで、自社の設備で動かせるモデルは実験の域を出ませんでした。状況が変わったのは、重みが公開されたモデルが増え、少ないメモリで動かすための圧縮の手法が広まってからです。2026年6月時点の比較記事では、公開されているモデルのうち日本語の評価で上位に付ける系列が複数あり、社内文書の検索や問い合わせの下書きといった用途なら実用に足るという評価が並びます。手元で動かすという選択肢が、検討に値する水準まで来たのが今の状況です。
ただし、最新の商用モデルと同じ品質が出るわけではありません。同じ比較記事でも、長い文章の筋道を追う作業や、込み入った条件を守らせる作業では差が残ると指摘されています。加えて、公開モデルの良し悪しは自社の業務で試さないと判断できません。ある比較記事は、自社の業務から500件から1,000件ほどの評価用の例を作り、必ず実測するよう勧めています。カタログの数値ではなく、自社の資料で試した結果で決めることが前提になります。
機材の目安も具体的になってきました。ある導入支援会社が2026年に公開した手引きでは、検証だけなら記憶容量24ギガバイト級の計算用の部品が1枚(25万円前後)あれば小型のモデルが動き、50人規模の社内利用なら48ギガバイト級(150万円前後)、100人を超える本番の利用では80ギガバイト級を2枚(500万円から1,000万円)という段階が示されています。金額の幅がこれほど大きいのは、同時に使う人数と応答の速さで必要な量が変わるからです。人数の想定を決めずに見積もると、桁が動きます。
外部サービス側も変わった:学習に使わないという条項の位置づけ
一方の外部サービスも、この二年で法人向けの整備が進みました。2026年7月時点の複数の解説では、主要な対話型AIについて、個人向けの契約では入力が学習に使われる場合があるのに対し、法人向けの契約と、プログラムから呼び出す形での利用は、入力を学習に使わないのが既定だと整理されています。同じ製品名でも、契約の種類によって扱いが変わるという点が実務では効きます。
ここでよくある誤解は、この条項があれば自社環境と同じだと考えることです。学習に使わないことと、データが社外に出ないことは別の話です。処理のためにデータは通信を経由して外に出ますし、不正な利用を監視する目的で一定期間保存される場合もあります。学習に使わないという条項は置き場所の問題を解消するものではなく、置き場所の議論を始めるための最低条件です。ここを混同したまま社内に説明すると、後で前提が崩れます。
確かめる場所も決めておきます。契約の種類、保存の期間、保存される場所の国、利用の記録を後から取り出せるか、そして管理者が利用者ごとの設定を一括で変えられるか。この五点は導入の前に文書で確認できます。あわせて、無料や個人向けの契約のまま業務で使っている状態が社内に残っていないかも点検してください。条項の中身よりも、契約の種類が揃っていないことのほうが実務ではよく起きます。
判断軸1:そのデータは誰のものか
一つ目の軸は、扱うデータが誰のものかです。自社が作った公開前提の原稿と、顧客から預かった個人情報とでは、外に出したときの意味がまったく違います。個人情報を扱う場合、外部のサービスを使うことが委託にあたる場合があり、安全管理の措置を自社が確かめる義務が伴います。データの持ち主が自社の外にいるほど、置き場所の自由度は下がります。
実務では、業務ごとに扱うデータを三つに分けると整理が進みます。公開してよい情報、社外に出さないが自社のものである情報、他人から預かった情報。一つ目は外部のサービスで問題になりません。二つ目は契約の内容次第です。三つ目は、委託の手続きが取れるかどうかで決まります。この分け方をしておくと、部門をまたいだ議論でも同じ言葉で話せます。
注意したいのは、業務の名前だけでは分類できないことです。同じメールの下書きでも、一般向けの案内文なら公開前提ですが、特定の顧客の取引履歴を踏まえた文面なら預かった情報が混ざります。分類はデータの単位で行い、業務の単位では行わないのが原則です。ここを雑にすると、安全なはずの業務から個人情報が流れる経路が残ります。台帳を作るなら、業務名の隣に扱うデータの区分を書く欄を必ず設けてください。
判断軸2:そもそも外に通信できる業務か
二つ目は通信の要件です。工場の制御に近い区画、医療機関の一部の系統、金融機関の勘定に関わる区画、官公庁の業務用の網。こうした閉じた区画の中では、外部への通信そのものが規程で禁じられている場合があります。この場合は品質や費用を比べる前に、外部サービスという選択肢が消えます。判断の順番として、通信の可否は最初に確かめる項目です。
参照される基準も業種で違います。個人情報の安全管理の措置に加え、金融機関では業界の安全対策の基準、医療では診療情報の取り扱いの指針が関わります。海外に拠点があるなら現地の規則も入ります。欧州の人工知能に関する規則は2025年から段階的に施行されており、対象になる用途では記録の保存や説明の準備が求められます。規制は置き場所を直接指定するのではなく、説明できることを求めます。
一方で、閉域だから自社環境しかない、と即断するのは早すぎます。通信の相手を限定した専用の区画を借りる形なら、経路を絞ったうえで外部の設備を使える場合があります。規程の原文は、外部の全面禁止ではなく経路と相手の限定として書かれていることが多いため、読み直す価値があります。監査や法務の担当と一緒に読むと、解釈の確認まで一度で済みます。なお自社環境を選ぶ場合も、社内の回線の太さは要件になります。ある解説では、毎秒10ギガビット以上、性能を求める構成では25ギガビット以上が必要とされています。
判断軸3:求める品質と、作業の重さ
三つ目は、その業務にどれだけの品質が要るかです。社内向けの議事録の要約なら、多少ぎこちなくても実用になります。社外に出す提案書の骨子や、専門的な内容の記事の下書きとなると、話の筋を通す力が要ります。品質の要求が高い業務ほど、最新の商用モデルをすぐ使える外部サービスが有利です。ここは公開モデルの進歩が速い領域なので、半年ごとに前提を見直す必要があります。
作業の重さも効いてきます。数百ページの資料をまとめて読ませる、長いやり取りの流れを保ったまま何度も往復する。こうした重い作業は必要な計算量が大きく、自社環境ではそれがそのまま機材の要件になります。逆に、短い文章の分類や定型の項目の抜き出しを大量に回す作業は小型のモデルでも十分にこなせることが多く、件数が多い定型の処理ほど、自社環境の費用対効果が出やすい傾向があります。
判断のときは、その業務でどこまでの品質があれば人の手戻りが減るのかを先に決めます。仕上がった文章を求めるのか、下書きとして七割の出来でよいのか。七割でよい業務に最上位の品質を求めると、費用も置き場所の制約も無駄に増えます。業務ごとに求める水準を一行で書き出すだけで、選択肢はかなり絞られます。求める水準を書けない業務は、そもそも対象として熟していないと考えたほうが安全です。
判断軸4:費用は金額ではなく、かかり方で比べる
四つ目は費用です。ここは金額の大小ではなく、かかり方の違いに注目します。外部サービスは人数か使った量に応じて毎月かかります。自社環境は初期に機材と構築の費用がかかり、その後は電気代と保守が続きます。前者は使わなければ減り、後者は使わなくても減りません。この非対称が、稟議の場で議論をこじらせる原因になります。
先ほどの手引きでは、構築の支援に100万円から300万円、機材に50万円から500万円という幅が示され、外部サービスの利用料が月10万円を超える規模なら1年から2年で見合うという試算が置かれています。ただしこの試算には、運用にあたる人の時間が入っていません。自社環境の費用は、機材よりも人の時間のほうが大きくなることがあります。3年から5年の総額で評価するよう勧める比較記事もあります。
比べるときは、次の四つを同じ表に並べます。初期の費用、毎月の費用、運用にあたる人の時間、そして使わなくなったときに止められるかどうか。最後の項目は見落とされがちですが重要です。外部サービスは契約を止めれば費用が消えますが、買った機材は残ります。試している段階で自社環境に踏み込むと、この差が効いてきます。まず外部で実測し、量が読めてから自社環境を検討する順序のほうが、引き返せる余地が残ります。
判断軸5:面倒を見る人が社内にいるか
五つ目は人手です。自社環境で動かす場合に必要なのは、AIの知識だけではありません。計算用の部品を動かす基盤の更新、実行環境の管理、監視の仕組み、障害が起きたときの切り分け。先ほどの手引きでは、社内100人規模までなら兼任の技術者1名と外部の支援、500人規模ならデータを扱う担当と機械学習の担当が各1名、1,000人を超える規模では3名から5名という体制の目安が示されています。
この人手は、導入したら終わりではありません。公開モデルは更新が速く、半年前に選んだものが最良でなくなることがあります。入れ替えの判断と検証を誰が行うのかを決めていないと、買った機材の上で古いモデルが動き続ける状態になります。外部サービスの場合、この入れ替えは提供元が行うため、社内の負担は設定と社内向けの案内の見直しに留まります。
人手の見積もりは、体制図ではなく週あたりの時間で書くと現実的になります。週に何時間を誰が出すのか。その人が今持っている業務は誰が引き取るのか。ここが空欄のまま進んだ計画は、稼働の三か月後に止まります。置き場所の判断は、機材の性能ではなく人の空きで決まることのほうが多いのです。情報システム部門に相談する前に、この数字を用意しておくと話が早く進みます。
三つの置き場所を同じ表で比べる
選択肢は二つではありません。自社の設備に置く、外部の事業者から通信の相手を限定した専用の区画を借りる、一般の法人向けサービスをそのまま使う。この三つを同じ観点で並べると、自社にとっての妥当な位置が見えてきます。真ん中の選択肢は、閉域の要件がある業務で現実的な着地点になることが多いものです。
| 比べる観点 | 自社の設備に置く | 専用の区画を借りる | 一般の法人向けサービス |
|---|---|---|---|
| 入力した内容の行き先 | 社内の設備の中で完結する | 契約した区画の中で処理される | 提供元の設備で処理し、学習には使わない契約 |
| 使えるモデル | 公開されている重みのモデル | 公開モデルと一部の商用モデル | 最新の商用モデルをすぐ使える |
| 初期にかかるもの | 機材と構築の費用 | 区画の設計と契約の手間 | 利用登録と設定のみ |
| 続けてかかるもの | 電気代と保守と人件費 | 使った量に応じた費用 | 人数か使った量に応じた費用 |
| 必要な人手 | 設備とモデルの両方を見る人 | 設定と権限を管理する人 | 管理者と、出力を確認する人 |
| やめるときの負担 | 機材が残る | 契約の解除で止まる | 契約の解除で止まる |
| 向く業務 | 外に出せないデータの処理 | 経路を限りたい業務 | 原稿づくりや調査 |
この表の使い方は、丸の数を数えることではありません。自社が譲れない行を先に決め、その行だけを見ることです。通信が禁じられている区画の業務なら、いちばん上の行だけで答えが出ます。逆に、公開前提の原稿づくりに自社の設備を用意するのは、費用と人手を余分に払っているだけになります。表は結論ではなく、部門をまたいだ議論を同じ土俵に乗せるための道具です。
マーケティング部門の業務を四つに割って当てはめる
五つの軸を、実際の業務に当てはめてみます。マーケティング部門で生成AIを使う場面は、大きく四つに分かれます。原稿づくり、市場や競合の調査、顧客データの処理、社内文書の検索。この四つは扱うデータがまったく違うため、同じ置き場所に押し込めるほうが不自然です。次の表は、その当てはめの出発点として使えます。
| 業務 | 扱うデータ | 置き場所の目安 | 決め手になる理由 |
|---|---|---|---|
| 記事や原稿の下書き | 公開を前提とした情報 | 一般の法人向けサービス | 品質と速さが成果に直結し、秘匿すべき情報が少ない |
| 市場や競合の調査 | 公開情報と社内の見立て | 一般の法人向けサービス | 新しい情報に触れる必要があり、出典の確認は人が行う |
| 顧客名簿や商談記録の処理 | 個人情報と取引の情報 | 自社の設備か専用の区画 | 委託の手続きと、保管の場所を説明する必要がある |
| 社内文書の検索と要約 | 未公開の企画や議事録 | 自社の設備か専用の区画 | 誰がどの文書を見てよいかを社内の仕組みに合わせる必要がある |
この表で注意したいのは、三段目と四段目です。顧客データと社内文書は、置き場所以前に誰がどこまで見てよいかという権限の設計が要ります。自社の設備に置いたからといって、部署をまたいで全員が全文書を検索できる状態にしてしまえば、外に出す以上の問題が起きます。自社環境に置くことは、権限の設計をしなくてよいという意味ではありません。
使い分けが現実解になる理由と、その落とし穴
実務で落ち着く形は、どちらか一方ではなく使い分けです。ある解説では、機密性の高いデータの処理や日常的に回す処理は自社の設備で、大きな学習や一時的に負荷が跳ねる処理は外部で、という組み合わせが一般化していると整理されています。置き場所を一つに決めないという判断自体が、選択肢として成立します。全社で一つの答えを出そうとして半年止まるより、業務ごとに置いていくほうが前に進みます。
落とし穴は二つあります。一つは、利用者から見て使い分けが分からないことです。同じ社内に二つの入口があると、どちらに何を入れてよいのか迷い、結局は使いやすいほうに機密が流れます。防ぐには、入口ごとに扱ってよいデータの区分を画面上に明記し、迷ったときの相談先を一行添えます。仕組みではなく案内文で決まる部分が、意外に大きいのです。
もう一つは、管理の対象が二重になることです。利用者の追加と削除、権限の見直し、利用状況の確認を、二つの環境で別々に行うことになります。使い分けを選ぶなら、点検の作業も二倍になる前提で人手を見積もる必要があります。四半期に一度、二つの環境の利用者一覧を突き合わせる作業を予定に入れておくと、退職者の権限が残るような事故を防げます。
自社環境に寄せて失敗する形
安全を重んじて自社環境に寄せた結果、うまくいかなくなる形にはいくつかの型があります。どれも慎重に判断した結果として起きるもので、担当者の力量の問題ではありません。着手の前に目を通しておくと、同じ道をたどらずに済みます。
- 先に機材を買う:どの業務で何件処理するかが決まる前に調達し、性能が過剰か不足かのどちらかになる
- 品質を試さずに移す:外部で回っていた業務をそのまま持ち込み、出力の質が落ちて現場が使わなくなる
- 権限の設計を省く:社内に置いたから安全だと考え、全社員が全文書を検索できる状態のまま公開する
- 更新の担当を決めない:導入時のモデルのまま二年が過ぎ、外部サービスとの差が開いて放置される
- 人の時間を見積もらない:機材の費用だけで稟議を通し、運用にあたる人が本来の業務と両立できずに止まる
五つに共通するのは、置き場所を決める前に、対象の業務と件数と確認の手順を決めていないことです。この三つが決まっていれば、必要な性能も、権限の範囲も、人の時間も算出できます。逆に、これらが空欄のまま設備の議論を始めると、比較の材料が揃わないため、慎重な人ほど自社環境を選び、費用が膨らみます。会議が長引いているときは、選択肢ではなく前提が足りていないと疑ってください。
置き場所を決める手順
議論が堂々巡りになるのは、順番が決まっていないからです。次の順で進めると、二か月ほどで判断に必要な材料が揃います。大がかりな準備は要らず、すでに契約しているサービスと今いる人だけで始められます。
部署の業務を一覧にし、公開前提の情報・自社の非公開情報・預かった情報の三つに分けます。この段階で、外部サービスで進めてよい業務が半分ほど確定します。
対象の業務が閉じた区画の中にあるかを情報システム部門に確認します。禁じられている業務は、品質や費用の比較に進まず、自社の設備か専用の区画に振り分けます。
進めてよい業務を、まず法人向けの契約で回します。件数、一件あたりの時間、人が直した割合、月の費用を記録します。ここで得た数字が、後の判断のすべての土台になります。
記録をもとに、必要な処理量と品質の水準を書き出します。この条件を満たす機材と人手の見積もりを取り、実測した外部の費用と三年分で並べます。
決めた結果を、利用者が読む案内文の形にします。どの入口に何を入れてよいか、迷ったらどこに聞くかまで書けて、初めて運用に落ちます。
この進め方の利点は、引き返せることです。外部サービスから始めれば、合わないと分かった時点で契約を止めるだけで済みます。逆の順序、つまり先に機材を買ってから業務を探す進め方は、途中でやめる判断が難しくなります。二か月分の実測があれば、社内の説明も見積もりの精度も一段上がります。数字を持たずに相談すると、提案は一般論から始まります。
どこに置いても、AIに判断させない範囲は同じ
置き場所を決めたら終わりではありません。自社の設備に置いたからといって、出力が正しくなるわけではないからです。事実でない内容がもっともらしい形で混ざる性質は、動かす場所とは関係ありません。むしろ、社内に置いたことで安心してしまい、確認の工程が省かれる例のほうが心配です。置き場所は情報の流れを決めるだけで、出力の正しさは別の設計で担保します。
決めておきたいのは、AIの出力をそのまま外に出さない領域です。金額の提示、契約に関わる回答、人の評価に関わる内容、法令や規約の解釈。あわせて、根拠にした資料の名前と日付を一緒に出させる運用にしておくと、確認する人はそこだけを見て可否を判断できます。根拠を書けない出力は使わないという一線があるだけで、事故はかなり減ります。確認する人の負担も、全文を読み直す場合より軽くなります。
- 法人向けの契約でも、契約の種類ごとに学習の扱いが違う。導入前に文書で確認する
- 自社の設備に置く場合も、誰がどの文書を検索できるかの権限は別に設計する
- 使い分けを選ぶなら、利用者一覧と権限の点検を四半期ごとに両方の環境で行う
- 公開モデルは更新が速い。入れ替えを検討する時期と担当を、導入の時点で決めておく
よくある質問
社内に技術者がいません。自社環境という選択肢は諦めるべきですか
諦める必要はありませんが、外部の支援を前提に見積もってください。先ほどの手引きでも、社内100人規模までの構成では兼任の技術者1名に外部の支援を組み合わせる形が挙げられています。ただし、支援を受ける場合でも社内に窓口となる人は要ります。障害が起きたときに誰へ連絡し、誰が業務を止める判断をするのかは社内で決めるしかないためです。窓口が空席のまま構築だけを外に頼むと、稼働後に動けなくなります。
法人向けの契約なら、顧客の個人情報を入力してよいですか
契約の内容だけでは判断できません。個人情報を外部のサービスで処理する場合、委託にあたるかどうか、本人への説明が要るかどうかを自社の規程と照らして確かめる必要があります。学習に使わないという条項は、その確認の入口であって結論ではありません。法務や個人情報を管掌する部署と一緒に、対象のデータの種類ごとに可否を決めておくことをおすすめします。
自社環境に置けば、費用は必ず安くなりますか
量によります。ある比較記事は、常時大量に回す用途でなければ、外部の設備を借りるほうが有利な場合があると指摘しています。判断するには、月にどれだけ処理するかの実測が要ります。まず外部サービスで数か月回し、使用量と費用の実績を見てから比べてください。想定で計算した費用は、実測すると上下どちらにも大きくずれます。
まとめ
社内で使う生成AIをどこに置くかは、安全か危険かの二択では決まりません。扱うデータが誰のものか、通信の要件があるか、求める品質はどれくらいか、費用はどうかかるか、面倒を見る人がいるか。この五つで分けると、業務ごとに答えが出ます。2026年は、自社の設備で動かせる公開モデルが実用域に入り、外部サービスの法人向け契約も学習に使わないのが既定になりました。どちらも選べるようになったからこそ、一つに決めずに使い分けるのが現実解になります。まずは業務を扱うデータで色分けし、外部サービスで実測してから設備の検討に進んでください。そして置き場所を決めた後も、AIに判断させない範囲と、人が確認する工程だけは社内で持ち続けることです。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
