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人材派遣会社に派遣先から届く受注のメールから、職種・人数・期間・時給・就業条件を受注票にそろえ、足りない確認事項の返信案を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

派遣先から届く受注のメールを読み、職種・人数・期間・時給・就業時間などを受注票の項目にそろえます。書かれていない項目と注意が要る記載を挙げ、派遣先への確認の返信案まで作ります。営業担当の作業は、書き写しから、受注票と返信案を確かめることに変わります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
その他/人材
対象部門
営業/採用
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック
主な課題
入力作業が多い/営業フォローが追いつかない/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
60%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受注のメールが、受注用のアドレスか営業担当の個人のアドレスに届く
  2. 営業担当がメールと添付を読み、受注票の項目に書き写す
  3. 「前回と同じ」と書かれていれば、受注台帳で前回の受注を探して条件を写す
  4. 派遣先マスタで、就業場所の住所、指揮命令者、抵触日の通知の有無を確かめる
  5. 足りない項目があれば、派遣先へ確認のメールを書く
  6. 受注票を受注台帳に載せ、コーディネーターへ知らせる
  7. 派遣先から返事が来たら、受注票を直す
導入後(After)
  1. 自動受注用のアドレスに届いたメールを Make のシナリオが拾う
  2. 自動送信元のアドレスから派遣先マスタを引き、派遣先・事業所・担当営業を決める
  3. 自動「前回と同じ」のような記載に備え、その派遣先の直近の受注を受注台帳から引く
  4. 【AI】 メールの本文と添付から受注票の項目を取り出し、項目ごとに根拠の文と、前回から変わった点を挙げる
  5. 【AI】 書かれていない項目と、注意が要る記載に印を付ける
  6. 自動印の種類で経路を分け、受注台帳に「確認待ち」として1行追加する
  7. 【AI】 足りない項目だけを聞く確認の返信案を作り、Gmail の下書きにする
  8. 人担当営業が受注票と返信案を確かめ、直して送る
  9. 人注意の印が付いたものは、派遣元責任者が対応を決める
  10. 人項目がそろったら担当営業が「手配可」にし、コーディネーターが手配を始める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受注のメールが、受注用のアドレスか営業担当の個人のアドレスに届く
  2. 営業担当がメールと添付を読み、受注票の項目に書き写す
  3. 「前回と同じ」と書かれていれば、受注台帳で前回の受注を探して条件を写す
  4. 派遣先マスタで、就業場所の住所、指揮命令者、抵触日の通知の有無を確かめる
  5. 足りない項目があれば、派遣先へ確認のメールを書く
  6. 受注票を受注台帳に載せ、コーディネーターへ知らせる
  7. 派遣先から返事が来たら、受注票を直す

(a)就業条件の抜けが手配の後で分かる。 メールに書かれやすいのは職種、人数、開始日、時給です。書かれにくいのは、休憩時間、時間外労働の有無と上限、指揮命令者、組織単位です。 営業担当が急いで書き写すと、これらが空欄のまま受注票が回り、コーディネーターが候補者に説明する段階で抜けに気づきます。

(b)「前回と同じ」が前回と同じではない。 前回の受注を探して条件を写しても、その間に就業時間や時給が変わっていることがあります。メールの本文に一言だけ書かれた変更が、前回の条件で上書きされます。

(c)注意が要る依頼をそのまま受ける。 「30代までの方で」「一度面談してから決めたい」という依頼が、忙しい日にはそのまま受注票の備考欄に写されます。コーディネーターがそれを条件として候補者を選ぶと、派遣労働者を特定する行為への協力になりかねません。

(d)確認の返信が遅れる。 足りない項目を洗い出して、派遣先に失礼の無い確認のメールを書くのに時間がかかり、返信が翌日に回ります。 返信を待つ間、手配は止まります。

  1. 【自動】 受注用のアドレスに届いたメールを Make のシナリオが拾う
  2. 【自動】 送信元のアドレスから派遣先マスタを引き、派遣先・事業所・担当営業を決める
  3. 【自動】 「前回と同じ」のような記載に備え、その派遣先の直近の受注を受注台帳から引く
  4. 【AI】 メールの本文と添付から受注票の項目を取り出し、項目ごとに根拠の文と、前回から変わった点を挙げる
  5. 【AI】 書かれていない項目と、注意が要る記載に印を付ける
  6. 【自動】 印の種類で経路を分け、受注台帳に「確認待ち」として1行追加する
  7. 【AI】 足りない項目だけを聞く確認の返信案を作り、Gmail の下書きにする
  8. 【人】 担当営業が受注票と返信案を確かめ、直して送る
  9. 【人】 注意の印が付いたものは、派遣元責任者が対応を決める
  10. 【人】 項目がそろったら担当営業が「手配可」にし、コーディネーターが手配を始める

8番目と9番目が、この設計の分かれ目です。 受注票は派遣契約のもとになる情報で、返信は派遣先との関係そのものです。AIの出力をそのまま受注台帳に確定させず、返信も自動で送りません。

3番目で前回の受注を引くのは、第3章の(b)への手当てです。 前回の条件をそのまま写すのではなく、今回のメールに書かれた値と前回の値を並べ、変わった点を挙げさせます。

02今回想定するシステム構成

構成図
派遣先の担当(本文・添付のExcel/PDF)
   ▼
受注用のアドレス(Gmail のラベル「受注」)
   ▼【トリガー】新しいメール(Watch emails)
Make
   ├──▶ 派遣先マスタを引く(送信元のアドレス → 派遣先・事業所・担当営業・抵触日の通知の有無)
   ├──▶ 受注台帳から、その派遣先の直近の受注を引く
   ├──▶ Claude API ── 受注票の項目・根拠の文・前回からの変更・不足・注意の印を JSON で返す
   ├──▶ ルーター
   │      ├─ 注意の印あり ─▶ 派遣元責任者へ通知(返信案は作らない)
   │      ├─ 不足あり ────▶ 確認の返信案を Gmail の下書きに
   │      └─ フォールバック ▶ 担当営業の確認待ち
   └──▶ 受注台帳に「確認待ち」で1行追加
   ▼【人が確かめる】
担当営業が受注票を直し、返信を送る → 「手配可」 → コーディネーターが手配
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakeZapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(受注票の項目の取り出しと確認の返信案)OpenAI API、Gemini API
台帳Google スプレッドシート(受注台帳・派遣先マスタ)Microsoft Lists
メールGmailOutlook

新しく足すのは、Make のシナリオと、受注台帳の列の追加だけです。 スタッフの管理システムには書き込みません。最初の準備作業は、受注票の項目を派遣契約に定める事項に合わせて決め直すことと、派遣先マスタに送信元のアドレスの列を持たせることです。

メールの受け取りは、Make の Gmail のモジュールで行います。 トリガーの Watch emails は、フォルダやラベルを選べ、送信元のアドレス、件名、含む語・含まない語で絞り込めるほか、Gmail の検索の書き方での絞り込みもできるとされています。1回の実行で扱う件数の上限は500件とされています。添付の一覧を取るモジュールと、下書きを作る Create a draft email もあります。

振り分けには、Make のルーターを使います。 ルーターの経路は並行ではなく順に処理され、どの経路の条件にも当てはまらないデータはフォールバックの経路で受けられます。注意の印の経路を先頭に置き、返信案を作る経路より先に処理させます。

受注台帳と派遣先マスタとのやり取りは、Google Sheets のモジュールで行います。 行の検索の Search Rows、行の追加の Add a Row、行の更新の Update a Row を使います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

受注用のアドレスに、新しいメールが届いたことを起点にします。 Gmail の側で、受注のメールに「受注」のラベルが付くようにフィルタを作り、Watch emails はそのラベルだけを見ます。営業担当の個人のアドレスに届いた受注は、担当が受注用のアドレスに転送する決まりにします。

実行の間隔は15分ごとにします。 受注は午前中に集中し、早く返信した派遣会社から決まっていく業務なので、1日1回のまとめ処理にはしません。「取得時に既読にする」の設定を有効にし、拾ったメールを二度処理しないようにします。

派遣先の担当からの返信も、同じラベルに入ります。 件名に受注番号を入れて返信してもらう形にし、受注番号のあるメールは新しい受注ではなく、既存の受注票の更新として扱います。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
受注のメール送信元、件名、本文、受信日時Gmail
添付派遣先の様式のExcel、PDFの求人票Gmail の添付
派遣先マスタ派遣先名、事業所、送信元のアドレス、担当営業、就業場所の住所、抵触日の通知の受領日スプレッドシート
直近の受注その派遣先の直近3件の受注票受注台帳
受注票の項目の定義項目名、必須か任意か、書き方の例スプレッドシート「項目の定義」

質を決めるのは、派遣先マスタの送信元のアドレスの列です。 派遣先の担当が替わったり、現場の責任者が個人のアドレスから送ってきたりすると、派遣先を引けません。引けなかったものは、担当営業の確認待ちに回します。

抵触日の通知の受領日を派遣先マスタに持たせるのは、新しい受入れの受注を見分けるためです。 東京労働局の資料では、派遣契約の締結に当たって、あらかじめ事業所単位の抵触日の通知を受けることとされています(法第26条第5項)。受領日が空の事業所からの受注には、確認事項として挙げます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
本文Watch emails(内容の形式を Full にする)受注票の項目の候補
添付添付の一覧のモジュール派遣先の様式のExcel・PDFの中身
派遣先の情報Search Rows(送信元のアドレスで検索)派遣先・事業所・担当営業
直近の受注Search Rows(派遣先コードで検索、新しい順に3件)「前回と同じ」の比較

本文の引用部分は落とします。 返信のメールには過去のやり取りが下に引用されていて、そのまま渡すと古い条件が今回の条件として取り出されます。 「-----Original Message-----」や「〇〇 wrote:」より下を切ります。

添付のExcelは、シートの中身を表の形のテキストにして渡します。 派遣先の様式は項目名の位置がばらばらなので、セルの位置で決め打ちせず、項目名と値の並びのままAIに読ませます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 引用部分と署名を落とす … 返信の引用より下と、送信者の署名を切ります。署名の電話番号を就業場所の電話番号と取り違えないためです
  2. 派遣先を決める … 送信元のアドレスで派遣先マスタを引きます。引けないものは 派遣先不明 の印を付けます
  3. 既存の受注の更新かを見分ける … 件名に受注番号があれば、既存の受注票の更新として扱います
  4. 前回の受注を添える … 「前回と同じ」「前回同様」のような語があれば、直近の受注票を一緒に渡します
  5. 添付をテキストにする … Excel は表の形のテキストに、PDF は本文を取り出して渡します
  6. スタッフの個人情報を落とす … 派遣先が「前回来てくれた〇〇さんをまた」と書いていても、氏名はAIに渡さず 指名あり の印に置き換えます
  7. 重複の除去 … 同じ派遣先から同じ件名のメールが短い間に2通来たら、後のものを更新として扱います

6番目は、第1章の注意の印と同じ考え方です。 特定のスタッフの指名は、派遣先が派遣労働者を特定する行為との関係を確かめる必要があります。扱いを決めるのは派遣元責任者で、AIは印を付けるところまでです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、受注票の項目を取り出し、根拠の文を写し、足りない項目と注意が要る記載に印を付け、確認の返信案を書くことです。

受注票の項目取り出し方書かれていないとき
職種・業務内容本文の業務の説明をそのまま要約せずに写すmissing
業務に伴う責任の程度役職、部下の有無、権限の記載missing
人数数字で。幅(「2〜3名」)はそのまま写すmissing
派遣期間・就業日開始日、終了日、曜日、シフトmissing
始業・終業・休憩時刻と休憩の長さmissing
時間外労働・休日労働有無と、1日・1か月の上限missing
就業場所・組織単位事業所名、部署名、住所派遣先マスタで補えるものは from_master
指揮命令者部署と役職と氏名missing
時給(請求単価)本文の金額をそのままmissing
必要な経験・資格業務に要るもの空でよい

幅のある人数をそのまま写させるのには理由があります。 東京労働局の資料には、派遣契約で派遣人数を「〇人〜〇人」と定めていたことが指導の事例として挙がっています。幅のまま受注票に入れ、確認事項として人数を確かめる返信を作らせます。

注意の印は、次の5つです。

印拾う記載
特定行為のおそれ年齢・性別の限定、事前面接・顔合わせ、履歴書の事前提出の依頼
禁止業務のおそれ港湾運送、建設、警備、病院等における医療関係の業務に当たりそうな記載
日雇派遣のおそれ派遣期間が30日以内と読める記載
抵触日の通知なし派遣先マスタで抵触日の通知の受領日が空の事業所
指名あり特定のスタッフの指名

東京労働局の資料では、派遣先は派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めなければならない(法第26条第6項)とされ、派遣元は紹介予定派遣の場合を除きその行為に協力してはならないとされています。 具体的には事前面接、履歴書等の提出要請、年齢・性別を限定すること、が挙げられています。日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者の派遣)は例外を除き禁止、港湾運送・建設・警備・病院等における医療関係などの業務への派遣は禁止とされています。

させないこと理由
受注を受けるかの判断営業担当と派遣元責任者が決める
注意の印の付いた条件を受注票に写す特定行為への協力と読める記録を残さない
書かれていない項目を前回の値で埋める変更が前回の条件で上書きされる
時給や人数を計算・換算する書かれた値をそのまま写す
法令に違反するかの結論AIが出すのは印までで、判断は派遣元責任者
Step6

指示内容を固定する

あなたは人材派遣会社で、派遣先から届いた受注のメールを受注票にそろえる担当です。
メールの本文と添付に書かれていることだけを使ってください。推測で埋めないでください。

【受注票の項目】{項目の定義}
【派遣先マスタの情報】{派遣先名、事業所、就業場所の住所、抵触日の通知の受領日}
【直近の受注(参考)】{直近3件の受注票}

【取り出し方】
- 項目ごとに value と、根拠にした本文の文をそのまま evidence に写してください。
- 書かれていない項目は status を missing にしてください。
  直近の受注の値で埋めないでください。
- 本文に「前回と同じ」などとある場合だけ、直近の受注の値を candidate に入れ、
  status を same_as_previous にしてください。
  今回のメールに別の値が書かれている項目は、changed に挙げてください。
- 人数や期間に幅がある場合は、幅のまま写し、確認事項に挙げてください。
- 時給・人数・時間を計算したり換算したりしないでください。

【注意の印】
- 年齢・性別の限定、事前の面接・顔合わせ、履歴書の事前提出の依頼があれば
  flags に「特定行為のおそれ」を入れ、その条件を受注票の項目に写さないでください。
- 港湾運送、建設、警備、病院等の医療関係の業務と読める記載があれば「禁止業務のおそれ」。
- 派遣期間が30日以内と読める場合は「日雇派遣のおそれ」。
- 抵触日の通知の受領日が空なら「抵触日の通知なし」。
- 特定のスタッフの指名があれば「指名あり」。
- 法令に違反するかどうかの結論は書かないでください。

【確認の返信案】
- flags が空のときだけ作ってください。
- missing の項目と、幅のある項目、changed の項目だけを、箇条書きで丁寧に聞いてください。
- 受注を引き受けた、手配を約束した、と読める文を書かないでください。
- 件名の先頭に受注番号 {受注番号} を入れてください。

【メールの本文】{本文}
【添付の内容】{添付}

「直近の受注の値で埋めない」を明記しないと、空欄がほとんど無い受注票が出ます。 一見よくできているように見えますが、今回のメールに書かれていない値が前回から入り込んでいます。 same_as_previous と candidate に分けておけば、担当営業がどれを前回から引いたかを一目で見分けられます。

「flags が空のときだけ返信案を作る」のは、注意の印が付いた受注の返信は人が一から書くべきだからです。 年齢の限定を含む受注に、AIが他の項目だけを丁寧に聞く返信を作ると、限定を受け入れたように読めてしまいます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 形は Claude API の構造化出力で固定します。構造化出力は output_config.format に json_schema を渡して使い、スキーマに沿った応答が返るとされています。Make では、Anthropic Claude のアプリの Make an API Call で呼びます。

{
  "order_no": "J-2026-1043",
  "client_code": "C0217",
  "items": [
    { "name": "working_hours", "value": "9:00〜17:30(休憩60分)",
      "status": "ok | missing | same_as_previous | from_master",
      "candidate": "", "evidence": "就業時間は9時から17時半、昼休み1時間です" }
  ],
  "changed": [ { "name": "hourly_rate", "previous": "1,600円", "now": "1,700円" } ],
  "to_confirm": ["時間外労働の有無と上限", "指揮命令者の部署と役職"],
  "flags": [],
  "reply_draft": ""
}

1つ目の理由は、status で担当営業の確認の順番が決まることです。 missing と same_as_previous を先に見て、ok は根拠の文を流し読みすれば足ります。

2つ目は、flags でルーターの経路を分けられることです。 flags が空でなければ注意の経路、to_confirm が空でなければ返信案の経路、どちらも空なら担当営業の確認だけ、と規則で決まります。

3つ目は、changed で前回からの変更が見えることです。 時給や就業時間の変更は、請求とスタッフの給与の両方に響きます。変更の一覧を受注台帳の別の列に置き、請求の担当にも見えるようにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailWatch emails「受注」のラベルの新しいメールを拾う
派遣先マスタSearch Rows送信元のアドレスで派遣先を引く
受注台帳Search Rows/Add a Row/Update a Row直近の受注を引き、「確認待ち」で追加する
Claude APIAnthropic Claude のアプリ(Make an API Call)受注票の項目・印・返信案を返す
GmailCreate a draft email確認の返信案を下書きにする
経路条件行き先
1flags が空でない派遣元責任者へ通知。返信案は作らない
2to_confirm が空でない返信案を Gmail の下書きに。担当営業へ通知
3どちらも空担当営業の確認待ち(手配可にする前の確認)
フォールバック派遣先不明など、上に当たらない受注用のアドレスの担当が振り分ける

スタッフの管理システムへは書き込みません。 受注票が「手配可」になってから、コーディネーターが管理システムに入れます。確認が済んでいない受注で手配が動き出さないように、経路を分けておきます。

返信は下書きまでにします。 Make の Gmail のモジュールにはメールを送るものもありますが、この構成では使いません。

Step9

人が確認する

すべての受注票を担当営業が確かめてから「手配可」にします。

  1. missing と same_as_previous を先に見る … 前回から引いた値が今回もそのままでよいかを、必要なら派遣先に確かめます
  2. changed を見る … 時給や時間の変更が、請求と給与の担当に伝わるようにします
  3. 返信案を直して送る … 聞く項目に漏れが無いか、聞き方が失礼でないかを見ます
  4. 注意の印は派遣元責任者が対応を決める … 年齢・性別の限定や事前面接の依頼には、派遣先への説明の仕方を決めて、人が返信を書きます
  5. 項目がそろったら「手配可」にする … コーディネーターはこの印を見て手配を始めます

4番目を省かないでください。 注意の印が付く受注は月に数件ですが、ここで受けてしまうと、その後の手配がすべてその条件で進みます。

目標は、1件あたり6分です。 受注票と根拠の文の確認、返信案の手直しに5分、注意の印と前回からの変更の確認に1分という想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
送信元が派遣先マスタに無い派遣先不明 でフォールバックへ。担当が振り分け、マスタにアドレスを足す
1通に複数の職種の受注がある職種ごとに受注票を分けて出させる
添付が画像だけで読めない本文だけで取り出し、添付の確認を to_confirm に入れる
「前回と同じ」なのに前回の受注が無いsame_as_previous にせず missing にする
派遣先の返信で条件が変わる受注番号で既存の受注票を更新し、changed に挙げる
注意の印が付いた返信案を作らず派遣元責任者へ。受注票の備考に条件を写さない
受注の取り消し受注番号で受注票を「取消」にする。手配中ならコーディネーターへ知らせる
Claude API が応答しないメールを未処理に戻し、次の実行で拾い直す
1回の上限を超える件数が届く上限は500件。超えた分は次の実行で拾われる

いちばん上の行が、始めた直後にいちばん多く起きます。 派遣先の担当は替わりやすく、現場の責任者が直接送ってくることもあります。フォールバックに入るたびにマスタにアドレスを足せば、数か月で減っていきます。

Step11

記録を残す

  • 受け取ったメールの本文と添付(Gmail に残る)と、受注番号との対応
  • AIが返したJSON(項目、根拠の文、changed、to_confirm、flags)
  • 担当営業が直した受注票の確定版と、直した項目
  • 返信を送った日時と、派遣先から返事が来た日時
  • 注意の印の付いた受注と、派遣元責任者が決めた対応
  • 「手配可」にした日時と、した人

5つ目の記録は、後から説明を求められたときの材料になります。 年齢の限定を含む受注にどう対応したかが残っていれば、派遣元として協力していないことを示せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:受注のメールを手でAIの画面に貼り、受注票と返信案を作らせる / 1件ごとの取り出しと返信案
半自動化:上記+Make で受注用のアドレスのメールを拾い、派遣先マスタと直近の受注を引いて、受注台帳への追加と返信案の下書きまで行う / 取り出し、照合、台帳への追加、返信案
本格構成:上記+派遣先の返信で受注票を自動で更新し、そろった受注を管理システムへの登録の候補として一覧にし、返事の無い確認を催促する / 受注から手配の手前まで

最小構成では件数がさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件15分が6分になり、この段階が本記事の想定です。 書き写しと照合と返信の下書きが無くなり、担当営業の作業は確かめて送ることだけになります。 本格構成は、確認のやり取りを追いかける段階です。 返事の無い確認を翌朝に一覧にし、催促の下書きを作ります。管理システムへの登録は、ここでも人が行います。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、missing になりやすい項目と、派遣先マスタで引けない送信元が先に分かります。項目の定義とマスタをそこで直してから追跡を足すほうが、催促の下書きが空振りする件数が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
400 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  400件 × 15分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 400件 × 6分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
60%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 一般事務・軽作業・製造・コールセンターなどの派遣を扱い、派遣先からの受注が月に数百件メールで届く人材派遣会社。受注のメールの書き方が派遣先ごとにばらばらで、営業担当が受注票へ手で書き写している場合。就業時間や時間外労働、指揮命令者の記載が抜けたまま受注票が回り、コーディネーターが後から聞き直している場合。受注用のメールアドレスを Gmail で持ち、受注台帳をスプレッドシートで管理している場合。
向いていない
  1. 受注の大半が派遣先の発注システムの画面から決まった項目で届き、メールでの受注がほとんど無い場合。派遣先が数社に限られ、受注の様式が決まっていて書き写しの手間が少ない場合。紹介予定派遣や海外派遣のように、受注ごとに個別の取り決めが多い案件が中心の場合。なお、受注を受けるか、派遣契約の内容が法令に沿っているかの判断は、営業担当と派遣元責任者に残ります。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の受注のメールから20件を選ぶ(うち数件は、手配の後で就業条件の抜けが分かったものを入れる)
  2. 受注票の項目の定義と、第7章の注意の印の表を用意する
  3. 20件の本文と添付の中身を、手元のAIサービスに貼り付けて、第7章の指示で受注票と返信案を作らせる
  4. 出てきた受注票を、当時の確定した受注票と突き合わせる
  5. 手配の後で分かった抜けが、missing か to_confirm に出たかを確かめる

抜けが後で分かった受注を必ず入れてください。 その抜けが最初の返信で聞けていれば、この構成は効きます。

出てきた内容判断
後で分かった抜けが missing に出たMake のシナリオの作成に進む
前回の値で空欄が埋まった指示文で直る。構成は有効
引用部分の古い条件を取り出した前処理で引用を落とすのが先。 AIの問題ではない

3行目が出たら、引用を切った本文で同じ20件を試し直してください。 あわせて、20件のうち注意の印が付いたものを派遣元責任者に見てもらい、印の拾い方が広すぎないか、狭すぎないかを確かめます。 広すぎると担当営業が印を無視するようになり、狭すぎると肝心の1件が漏れます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
前回の値で空欄が埋まるsame_as_previous と candidate に分ける。 指示で明記する
引用部分の古い条件が取り出される前処理で引用と署名を切る
年齢・性別の限定が備考に写る注意の印に回し、受注票に写させない
注意の印の付いた受注に丁寧な返信案が出る印があれば返信案を作らない
幅のある人数が1つの数字になる幅のまま写し、確認事項に挙げる
送信元が引けないフォールバックで振り分け、マスタにアドレスを足す
派遣先の返信が新しい受注として入る件名の受注番号で更新として扱う
返信が自動で送られる下書きまでにする。 送信のモジュールを使わない
確認が済む前に手配が始まる「手配可」の印を付けるまで管理システムに入れない
時給の変更が請求に伝わらないchanged を受注台帳の別の列に置く

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、今回のメールに書かれていない値が受注票に入り込むことから起きます。入り込んだ値は正しそうに見えるので、人の確認でも見落とします。

3行目と4行目は、件数は少なくても重い失敗です。 派遣先との関係を気にして条件をそのまま受ける流れを、仕組みの側で止めておきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 派遣先の担当者の氏名と連絡先、就業場所、時給や請求単価、そして受注のメールに書かれることがあるスタッフの氏名や前回の就業の評価です。

  1. スタッフの氏名をAIに渡さない … 指名や評価の記載は、前処理で 指名あり の印に置き換えます。スタッフの個人の情報を受注票の生成に使う必要はありません
  2. 注意の印の扱いを人が決める … 年齢・性別の限定や事前面接の依頼への対応は、派遣元責任者が決めます。AIは違反かどうかの結論を出しません
  3. 返信を自動で送らない … 返信は派遣先との関係そのもので、聞き方1つで受注を失うこともあります。下書きまでにします
  4. 請求単価の扱いを絞る … 受注台帳の時給・請求単価の列は、営業と請求の担当だけが見られるようにします
  5. 受注用のアドレスの権限を絞る … 受注用のアドレスと Make の接続に使うアカウントを、営業部の共有のものに限ります。営業担当の個人のアドレスを Make につながないことで、受注と関係の無いメールがAIに渡る経路を作りません
  6. AIの出力を法令の確認の代わりにしない … 東京労働局の資料のような公的な資料で、派遣契約に定める事項や禁止されている業務を担当者が確かめる機会を残してください。この構成が出すのは、記載があったかどうかという事実と印だけです

誤りが起きた場合のリスクは、就業条件の抜けたまま手配が進むことと、注意が要る条件をそのまま受けることの2つです。 前者は missing と前回の値の区別で防ぎ、後者は注意の印の経路を先頭に置いて人に回すことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:受注票の項目を決め直す

受注票の項目を、派遣契約に定める事項に合わせて見直します。休憩時間、時間外労働の上限、指揮命令者、組織単位のように、今の受注票で空欄になりやすい項目を必須にします。

2週目:20件で試す

先月の受注のメールから20件を選び、手元のAIサービスで受注票と返信案を作らせます。手配の後で分かった抜けが missing に出るか、前回の値で埋めていないかを最優先で見ます。

3週目:派遣先マスタを整える

受注の多い上位50社について、送信元のアドレスと抵触日の通知の受領日を派遣先マスタに入れます。注意の印の扱いを、派遣元責任者と決めます。

4週目:受注用のアドレスから受注台帳までをつなぐ

Make で Watch emails から受注票の取り出し、受注台帳への「確認待ち」の追加までを組みます。この時点では返信案の下書きを作らず、受注票だけを担当営業が確かめます。

2か月目: ルーターで注意の印と返信案の経路を分け、返信案の下書きを作り始めます。3か月目以降: 1件15分が何分になったかを実測し、手配の後で抜けが分かった件数を数えます。最初の返信で確認が済み、手配の後の聞き直しがほぼ無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
労働者派遣法第26条第1項により派遣契約で定める事項(派遣人数、業務内容、責任の程度、就業場所及び組織単位、指揮命令者、派遣期間と就業日、始業・終業・休憩、時間外・休日労働など)。あらかじめ事業所単位の抵触日の通知を受けること(第26条第5項)。派遣先が派遣労働者を特定する行為をしないよう努め(第26条第6項)、派遣元が協力してはならないこと(事前面接、履歴書等の提出要請、年齢・性別の限定)。日雇派遣(30日以内)の原則禁止(第35条の4)。港湾運送・建設・警備・病院等の医療関係などの派遣禁止業務(第4条)。派遣人数を「〇人〜〇人」と定めた指導事例東京労働局: 労働者派遣事業を適正に行うために(令和7年2月版)2026-10-06
Gmail のモジュールに Watch emails、Create a draft email、添付の一覧などがあること。Watch emails でラベル・送信元・件名・含む語で絞り込め、取得時に既読にでき、1回の上限が500件であることMake Apps: Gmail modules2026-10-06
Google Sheets のモジュールに Search Rows、Add a Row、Update a Row があることMake Apps: Google Sheets modules2026-10-06
ルーターの経路が順に処理され、どの条件にも当たらないデータをフォールバックの経路で受けられることMake Help Center: Router2026-10-06
Anthropic Claude のアプリに Make an API Call などのモジュールがあることMake Apps: Anthropic Claude2026-10-06
構造化出力が output_config.format に json_schema を渡して使い、スキーマに沿った応答を返すことClaude Docs: Structured outputs2026-10-06

派遣契約の内容や受注の可否は、労働者派遣法と厚生労働省・労働局の資料に照らして、派遣元責任者が判断してください。 本記事は上の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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