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知財部が特許事務所との月次の外国出願の打合せ(Teams)を Copilot でまとめ、案件ごとの出願国の指示と期限の一覧を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

特許事務所と毎月開く外国出願の打合せの Teams 会議の記録から、案件ごと・国ごとに「出願する」「出願しない」「確かめてから決める」を Copilot で表にします。事務所から届く期限の一覧と並べ、指示の出ていない案件を拾います。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/製造
対象部門
知財
対象業務
内容確認・チェック/記録・議事録作成
主な課題
書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
14h/月
AI導入後
5h/月
想定削減
64%
年間削減
108h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 事務所から届いた期限の一覧に、事業部の希望と社内の方針を書き足して打合せの資料にする
  2. 打合せに出て、担当者が案件ごとにメモを取る
  3. 打合せのあと、メモと録画を見返し、案件ごと・国ごとに決まったことを書き出す
  4. 国ごとの指示を期限の一覧と照らし、期限の近い案件の指示が揃っているかを確かめる
  5. 指示の一覧を事務所ごとの様式に整え、知財部長の確認を受けてから事務所に送る
  6. 保留にした国について、事業部への確認の依頼を出し、期限を予定表に入れる
導入後(After)
  1. 人知財部が外国出願の打合せを Teams 会議として主催し、冒頭で告げてから文字起こしを始める
  2. 人打合せのあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、案件ごと・国ごとの表を出させる
  3. 人Copilot Chat で、その表と事務所の期限の一覧・案件台帳を「/」で参照させ、期限との突き合わせと、指示の出ていない案件の一覧を作らせる
  4. 人担当者が、国ごとの区分を根拠の発言で確かめ、直す
  5. 人知財部長が「期限が近いのに指示なし」の案件と、国ごとの指示の一覧を確かめる
  6. 人担当者が指示の一覧を事務所に送り、保留の国について事業部へ確認を依頼する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 事務所から届いた期限の一覧に、事業部の希望と社内の方針を書き足して打合せの資料にする
  2. 打合せに出て、担当者が案件ごとにメモを取る
  3. 打合せのあと、メモと録画を見返し、案件ごと・国ごとに決まったことを書き出す
  4. 国ごとの指示を期限の一覧と照らし、期限の近い案件の指示が揃っているかを確かめる
  5. 指示の一覧を事務所ごとの様式に整え、知財部長の確認を受けてから事務所に送る
  6. 保留にした国について、事業部への確認の依頼を出し、期限を予定表に入れる

(a)国ごとの書き出しに時間がかかる。 1つの案件で「米国、中国、欧州、インド」と国の名前が続き、途中で「インドはやめておこう」と取り消されることがあります。どの国が最後にどうなったかを確かめるために、録画を何度も戻します。

(b)保留と指示が混ざる。 「欧州は事業部に聞いてから」が、一覧では「欧州:出願」になることがあります。事務所がそのまま現地の代理人に手配すると、費用が発生し始めます。 取り消しはできても、手配の手間と、事務所との信頼に響きます。

(c)国の呼び方がそろわない。 打合せでは「欧州」「EP」「ヨーロッパ」、「中国」「CN」が混ざり、「台湾も」と付け足しで言われます。欧州は広域の出願か個別の国かで手続が違うのに、呼び方からは分からないことがあります。

(d)期限の近い案件の指示が漏れる。 打合せで時間が足りず、最後の数件が「次回」に回されることがあります。次回の打合せが期限より後なら、その案件は指示が出ないまま期限を迎えます。 担当者が一覧を見直して気づくのは、たいてい期限の数日前です。

  1. 【人】 知財部が外国出願の打合せを Teams 会議として主催し、冒頭で告げてから文字起こしを始める
  2. 【人】 打合せのあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、案件ごと・国ごとの表を出させる
  3. 【人】 Copilot Chat で、その表と事務所の期限の一覧・案件台帳を「/」で参照させ、期限との突き合わせと、指示の出ていない案件の一覧を作らせる
  4. 【人】 担当者が、国ごとの区分を根拠の発言で確かめ、直す
  5. 【人】 知財部長が「期限が近いのに指示なし」の案件と、国ごとの指示の一覧を確かめる
  6. 【人】 担当者が指示の一覧を事務所に送り、保留の国について事業部へ確認を依頼する

この構成に自動で動く部分はありません。 事務所に指示を送るのも、事業部に確認を頼むのも担当者です。Copilot が作るのは表と下書きまでです。

4番目が、この設計の分かれ目です。 国ごとの指示は、そのまま現地の代理人への手配につながります。Copilot が「出願する」と付けた国は、根拠の発言に「出しましょう」「お願いします」のような明示の言葉があるかを担当者が確かめます。 明示の言葉が無ければ「確かめてから決める」に直します。

5番目は、取り返しのつかない漏れを止める工程です。 出しすぎた国は取り消せますが、期限を過ぎた国は、原則として後から出せません。 指示の出ていない案件の一覧は、知財部長が毎回目を通します。

02今回想定するシステム構成

構成図
外国出願の打合せ(知財部が主催する Teams 会議、事務所は社外から参加)
   │  冒頭で告げて文字起こしを始める
   ▼【トリガー】会議の終了
会議の Copilot(会議のチャットの「まとめ」タブ)
   └──▶ 案件ごと・国ごとの区分(出願する/出願しない/確かめてから決める)
         付帯の指示(ルート・翻訳・費用)/宿題(根拠の発言と時刻)
   ▼
Copilot Chat(「/」で 事務所の期限の一覧/案件台帳/国の呼び方の一覧 を参照)
   ├──▶ 国ごとの指示の一覧(期限の一覧の値を並べる)
   ├──▶ 期限が近いのに指示が出ていない案件
   └──▶ 事業部への確認の依頼の下書き
   ▼
【担当者が区分を確かめる】 → 【知財部長が指示なしの案件と一覧を確かめる】
   ▼
事務所へ指示の一覧を送る(人)/事業部へ確認を依頼する(人)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Teams 会議の Copilot、Copilot Chat)ChatGPT Enterprise、Claude、Gemini
会議Microsoft Teams(知財部が主催する会議と文字起こし)会議の録画
台帳SharePoint リスト(案件台帳)知財管理の仕組み
保管SharePoint(事務所ごとの期限の一覧と議事録のフォルダ)社内のファイルサーバー

新しく足すものはありません。 外国出願グループの3名がすでに Copilot のライセンスを持っている前提です。事務所の出席者がライセンスを持つ必要はありません。 打合せのあとに Copilot を使うのは、知財部の担当者です。

打合せは、知財部が主催します。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot は動かないとされています。事務所の会議に招かれる形のままでは、知財部の担当者は会議の Copilot を使えません。

打合せのあとに Copilot を使うには、文字起こしが要ります。 公式のページでは、会議のあとに話された内容について Copilot に尋ねるには会議中に文字起こしを有効にしている必要があるとされ、会議のあとは会議のチャットの「Copilot を開く」か「まとめ」タブから開けるとされています。

事務所の出席者は、打合せのあとに文字起こしを見られません。 公式の文字起こしのページでは、別の組織の参加者は会議中に文字起こしを見られるが、会議のあとに見ることもダウンロードすることもできないとされています。事務所に記録として残すのは、知財部が送る指示の一覧です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

打合せの終了をきっかけに、担当者がその日のうちに始めます。 期限の近い案件は、打合せの翌日には事務所に指示を届けたいからです。打合せの直後なら、どの国が保留だったかを担当者がまだ覚えています。

文字起こしは、打合せの冒頭で始めます。 進行役の知財部の担当者が「指示の一覧を作るために文字起こしを使います」と告げます。公式の文字起こしのページでは、文字起こしが始まると参加者全員に通知が表示されるとされています。事務所には、打合せの前に文字起こしを使うことを伝え、了承を得ておきます。

打合せを、Teams の定期的な会議の1つの系列にしないでください。 公式のページでは、定期的な会議で後の回が文字起こしされると、それまでの回の Copilot とのやり取りの履歴は使えなくなるとされています。打合せは回ごとに別の会議として立て、Copilot の表はその日のうちに議事録のフォルダに保存します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし打合せの発言(話者の名前と時刻つき)Teams の会議
事務所の期限の一覧案件番号、出願日、優先日、優先期間の満了日、国内移行の期限、事業部の希望の国事務所ごとの SharePoint のフォルダ
案件台帳社内の案件番号、事務所の案件番号、発明の名称、担当の事業部、これまでに出した国SharePoint リスト
国の呼び方の一覧国・地域の正式な名前、2文字の国の記号、打合せでの呼び方担当者が作る一覧
出席者と役割の一覧名前、所属(知財部・事務所・事業部)、決める立場か助言する立場か担当者が打合せの前に作る一覧

質を決めるのは、出席者と役割の一覧と、国の呼び方の一覧です。 事務所の弁理士は「この技術なら中国は押さえたほうがいい」と助言しますが、決めるのは知財部です。 一覧があれば、「出願する」の根拠を、決める立場の人の発言に限れます。

国の呼び方の一覧には、広域の出願を別の行として入れます。 「欧州」は欧州特許庁への出願を指すことが多いものの、打合せで「ドイツだけでいい」と言われることもあります。「欧州」と「ドイツ」を別の行にしておけば、Copilot が両者をまとめて書くことを防げます。

事務所の期限の一覧は、打合せの前日までにフォルダへ置きます。 画面で共有するだけだと、Copilot Chat から参照できるファイルが残りません。事務所ごとに様式が違う場合は、案件番号・優先期間の満了日・国内移行の期限の3つの列名だけはそろえてもらいます。

Step3

データの取得方法を決める

会議の Copilot には、会議のチャットの「まとめ」タブから指示を出します。 ここで案件ごと・国ごとの表を作らせ、その表を Copilot Chat に貼ってから、期限の一覧と案件台帳に並べさせます。 公式のページでは、会議の Copilot はチャットに書かれたことと、文字起こしに残った発言を使うとされ、画面で共有された資料の中身を使うとは書かれていないためです。

取るものどこからどう渡すか
案件ごと・国ごとの表会議の Copilot の回答議事録のフォルダに保存し、Copilot Chat に貼る
事務所の期限の一覧事務所ごとのフォルダCopilot Chat の入力欄で「/」を入力して選ぶ
案件台帳SharePoint リスト「/」で選ぶ
国の呼び方の一覧議事録のフォルダ「/」で選ぶ

公式のページでは、Copilot Chat の「/」で SharePoint のリストを参照でき、一度に2万件までの項目を扱えるとされています。一方で、リストの添付の列と参照の列は参照できないとされています。案件台帳で事務所を「参照」の列にしている場合は、事務所の名前を文字の列として持たせます。 また、1つの SharePoint のサイトから参照できるファイルやページは10件までとされているので、期限の一覧は回ごとに1ファイルにまとめます。

会議のチャットに、案件番号を打合せ中に書いてもらいます。 公式のページでは、会議の Copilot は会議の前24時間までのチャットも文字起こしと一緒に使うとされています。進行役が案件に移るたびにチャットへ案件番号を書けば、どの発言がどの案件の話かを Copilot が取り違えにくくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 出席者と役割の一覧を作る … 名前、所属、決める立場か助言する立場か
  2. 国の呼び方の一覧を作る … 正式な名前、2文字の記号、打合せでの呼び方。広域の出願は別の行に
  3. 期限の一覧を置く … 事務所から届いた一覧を、列名をそろえて前日までにフォルダへ
  4. 案件の順番を期限の近い順にする … 期限の近い案件から話し、時間が足りなくなっても後回しになるのは期限の遠い案件にします
  5. 案件ごとに番号をチャットに書く … 進行役が案件に移るときに「次は 2025-0412 です」と言い、チャットにも書きます
  6. 案件の終わりに国を言い直す … 進行役が「2025-0412 は、米国と中国に出願、欧州は事業部に確認、韓国は出しません」と国ごとの結論を言い直します

6番目を軽く見ないでください。 国ごとの結論を進行役が言い直すだけで、Copilot が区分の根拠にできる発言が、案件ごとに1つ生まれます。 言い直しが無いと、途中の「インドはやめておこう」のような取り消しを、Copilot が拾い損ねることがあります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、打合せの発言を案件ごと・国ごとに3つの区分に分けること、根拠の発言を写すこと、期限の一覧と案件台帳の値を並べることです。

させること中身判断できないときの扱い
案件の特定発言がどの案件の話か。チャットの案件番号と進行役の発言で決める決められなければ「案件不明」
国ごとの区分出願する/出願しない/確かめてから決める明示の言葉が無ければ「確かめてから決める」
国の名前国の呼び方の一覧で正式な名前と記号にそろえる一覧に無ければ「呼び方不明」として発言のまま
付帯の指示ルート(PCT・直接)、翻訳の手配、費用の上限などの発言発言が無ければ空欄
取り消し・言い直し一度挙がった国が後で取り消されたか取り消しがあれば「言い直しあり」の印
期限の一覧との並べその案件の優先期間の満了日・国内移行の期限を写す一覧に無ければ「一覧に記載なし」
案件台帳との並べこれまでに出した国を写す台帳に無ければ「台帳に記載なし」
宿題担当(知財部・事務所・事業部)、内容、期限の発言期限が言われていなければ「期限の発言なし」

「国ごとの区分」が、この構成でいちばん大事なところです。 「出しましょう」「お願いします」「それで行きます」は出願する、「やめておきましょう」「今回は見送り」は出願しない、「聞いてから」「様子を見て」「次回」は確かめてから決める、です。区分を決め手の言葉と一緒に写させれば、担当者は根拠の発言を読んで数秒で確かめられます。

させないこと理由
期限を計算すること期限は事務所の一覧から写す。計算の誤りが指示の漏れにつながる
弁理士の助言を「出願する」とすること決めるのは知財部。助言は助言として別の列に
「欧州」を個別の国に置き換えること広域か個別かは発言と一覧で人が確かめる
出願の要否や国の選び方の良し悪しを書くこと判断は知財部と事業部が行う
費用を見積もること費用は事務所の見積書で確かめる
出席者の説明の仕方や態度を書くこと議事録は発言の記録

1行目が、いちばん起きやすい失敗です。 打合せでは「移行は来年の3月だから」のように期限が口にされますが、それが優先日から数えた正しい日かどうかは発言からは分かりません。 WIPO の PCT の FAQ でも、国内移行は多くの締約国の官庁で優先日から30か月の終わりまでとされていて、すべての国で同じとは書かれていません。期限の列には、事務所の一覧の値だけを写させます。

Step6

指示内容を固定する

会議の Copilot への指示(「まとめ」タブで出す):

この会議は、当社の知財部と特許事務所の外国出願の打合せです。
出席者と役割の一覧、国の呼び方の一覧を使い、次の3つの表を作ってください。

【出席者と役割】{attendees}   ← 名前/所属/決める立場・助言する立場
【国の呼び方】{country_aliases}

【表1 国ごとの区分】
案件番号/国(正式な名前と記号)/区分/付帯の指示/言い直しの有無/
根拠の発言(話者・時刻)/事務所の助言(あれば)
【表2 宿題】担当(知財部・事務所・事業部)/案件番号/内容/期限の発言/根拠の発言(話者・時刻)
【表3 結論の出なかった案件】案件番号/理由の発言(話者・時刻)

【区分の決め方】
- 出願する … 決める立場の人が「出しましょう」「お願いします」「それで行きます」と言った国だけ
- 出願しない … 決める立場の人が「やめておく」「見送る」「出さない」と言った国だけ
- 確かめてから決める … 上のどちらでもない国。「聞いてから」「次回」「様子を見て」を含む
【厳守事項】
- 案件番号は、会議のチャットの番号と進行役の発言で決めてください。決められない発言は「案件不明」としてください。
- 根拠の発言は、文字起こしの文をそのまま写してください。要約しないでください。
- 一度挙がった国が後で取り消された場合は、最後の発言で区分を決め、言い直しの有無を「あり」にしてください。
- 事務所の出席者の発言は、区分の根拠にしないでください。「事務所の助言」の列に写してください。
- 「欧州」を個別の国に置き換えないでください。呼び方の一覧のとおりに書いてください。
- 期限の日付を計算しないでください。期限が話された場合は宿題の「期限の発言」に、話されたとおりに写してください。
- 迷ったときは「確かめてから決める」を選んでください。
- 出席者の説明の仕方や態度を書かないでください。

Copilot Chat への指示(表を貼ってから出す):

次の表と、/期限の一覧(今回分) /案件台帳 /国の呼び方の一覧 を参照してください。

1. 表1の各行に、期限の一覧からその案件の「優先期間の満了日」と「国内移行の期限」を、
   案件台帳から「これまでに出した国」を写してください。
   一覧や台帳に無いものは「記載なし」とし、日付を計算しないでください。
2. 期限の一覧にある案件のうち、表1に「出願する」も「出願しない」も1か国も無い案件を、
   期限の近い順に並べてください。
3. 表1の「出願する」と「出願しない」だけを、事務所に送る指示の一覧として、
   案件番号・国・区分・付帯の指示の列で並べてください。「確かめてから決める」は含めないでください。
4. 「確かめてから決める」の国を事業部ごとにまとめ、確認の依頼の下書きを作ってください。

「事務所の発言を区分の根拠にしない」を書くのは、 打合せで最も多く話すのが事務所の弁理士だからです。何も言わなければ、助言の「中国は出したほうがいい」が「中国:出願する」になります。

3番で「確かめてから決める」を事務所への一覧から外すのも同じ理由です。 一覧に載った国は、事務所の側では手配を始めてよい国として読まれます。保留の国は、知財部の中の一覧にだけ置きます。

Step7

出力形式を固定する

事務所に送る前の、国ごとの指示の一覧は次の列で受け取ります。

案件番号 | 国 | 区分 | 付帯の指示 | 言い直し | 優先期間の満了日 | 国内移行の期限 | 既に出した国 | 根拠の時刻
2025-0412 | 米国(US) | 出願する | PCTルート | なし | 記載なし | 2027/02/18 | - | 00:12「0412は米国と中国でお願いします」
2025-0412 | 中国(CN) | 出願する | 翻訳は事務所の提携先 | なし | 記載なし | 2027/02/18 | - | 00:12「0412は米国と中国でお願いします」
2025-0412 | 欧州特許庁(EP) | 確かめてから決める | - | なし | 記載なし | 2027/02/18 | - | 00:13「欧州は事業部に聞いてから」
2025-0412 | インド(IN) | 出願しない | - | あり | 記載なし | 2027/02/18 | - | 00:15「インドはやめておきましょう」
2026-0088 | 米国(US) | 出願する | 直接出願 | なし | 2026/11/30 | 記載なし | - | 00:31「0088は米国だけ直接で」

期限が近いのに指示が出ていない案件は、別の表で受け取ります。

【期限が近いのに指示なし】
2025-0377 | 国内移行の期限 2026/12/04 | 表3「時間が足りず次回に」 00:58
2026-0102 | 優先期間の満了日 2026/12/11 | 打合せで言及なし
【事業部への確認の依頼】
第2事業部:2025-0412 の欧州(EP)への出願の要否

1つ目の理由は、国ごとの区分を根拠の発言で確かめられることです。 0412 の欧州は「確かめてから決める」なので、事務所への一覧には載りません。第3章の(b)の「保留が出願として伝わる」が、ここで止まります。

2つ目は、指示の出ていない案件が期限の順に並ぶことです。 0377 は打合せで次回に回され、0102 は話題にも上っていません。どちらも次回の打合せでは間に合わない可能性があり、知財部長がその日のうちに扱いを決めます。 第3章の(d)を、この表で防ぎます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams の会議知財部が主催し、文字起こしを始める文字起こしと会議の Copilot
事務所ごとのフォルダ(SharePoint)Copilot Chat から「/」で参照期限の一覧
案件台帳(SharePoint リスト)Copilot Chat から「/」で参照これまでに出した国の読み取り
特許事務所担当者がメールで送る知財部長が確かめた国ごとの指示の一覧
事業部担当者がメールで依頼保留の国の確認の依頼

事務所への指示は、担当者が送ります。 Copilot の表をそのまま事務所に送ることはしません。知財部長が確かめた「出願する」「出願しない」の行だけを、事務所の様式に写して送ります。

案件台帳への書き込みは、事務所から出願の報告が届いてから行います。 指示を出した時点では、まだ出願されていません。台帳の「出した国」の列を指示の一覧で更新すると、実際には出ていない国が出したことになります。

Step9

人が確認する

  1. 「出願する」の行を確かめる … 根拠の発言が、決める立場の人の明示の言葉かを見ます。事務所の助言が根拠になっていれば「確かめてから決める」に直します
  2. 言い直しのある行を確かめる … 録画のその時刻を開き、最後に言われた結論を聞きます
  3. 「欧州」の行を確かめる … 広域の出願か、個別の国かを発言と国の呼び方の一覧で確かめます
  4. 期限の列を事務所の一覧で確かめる … 写し間違いが無いかを、期限の近い案件から見ます
  5. 知財部長が「期限が近いのに指示なし」を確かめる … 案件ごとに、臨時の打合せかメールで決めるかを決めます

1番目と5番目を省かないでください。 1番目を省くと、助言がそのまま事務所への指示になります。5番目を省くと、この構成で最も防ぎたい、期限を過ぎた漏れが残ります。

目標は、1件あたり75分です。 内訳は第10章に示します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
文字起こしを始め忘れた会議の Copilot は打合せのあとに使えない。これまでどおりメモと録画で書く
事務所の側が会議を主催したCopilot が動かない。次回から知財部の主催に切り替え、今回は録画とメモで書く
案件番号を決められない発言がある「案件不明」の行を担当者が振り分け、次回からチャットへの番号の記入を徹底する
国の呼び方が一覧に無い「呼び方不明」の行を担当者が直し、呼び方を一覧に足す
決める立場の人が途中で抜けた抜けた後の案件は、すべて「確かめてから決める」として知財部長に確かめる
期限の一覧に無い案件が話された「一覧に記載なし」の行を事務所に問い合わせ、一覧に加えてもらう
書き出しが止められていて表を移せない会議のオプションと秘密度ラベルを確かめ、知財部が書き出せる設定にする
英語の説明が長く続いた話す言語の設定と違う部分は文字起こしが崩れる。要点を日本語で言い直してもらう
Copilot が使えない(障害・ライセンス)これまでどおり録画とメモで書く

7行目は、設定の問題です。 公式のページでは、会議のチャット・字幕・文字起こしのコピーと転送をオフにする設定や、書き出しを禁じる秘密度ラベルがあると、Copilot の回答を Word や Excel に書き出せないとされています。出願前の発明を扱う打合せなので強い設定にしがちですが、議事録を作る知財部が回答を書き出せる設定にしておきます。

Step11

記録を残す

  • 会議の Copilot の表と、Copilot Chat の一覧(議事録のフォルダ)
  • 事務所に送った国ごとの指示の一覧と、送った日時
  • 知財部長が「期限が近いのに指示なし」の案件に下した扱いと、その日時
  • 事業部への確認の依頼と、返事の内容と日時
  • 担当者が直した行と、直す前の区分

2つ目と3つ目が、事務所との間と社内の記録になります。 後から「この国はいつ指示したか」「この案件はなぜ出さなかったか」を確かめるとき、指示の一覧と知財部長の扱いが残っていれば、打合せの発言まで遡れます。 5つ目は、直しが多ければ指示か進行の型を見直す材料にします。

04実装レベルの3段階

最小構成:1つの事務所の打合せで文字起こしし、会議の Copilot で3つの表を作る / 案件ごと・国ごとの区分の表
半自動化:上記+2つの事務所の打合せで使い、Copilot Chat で期限の一覧と案件台帳に並べる / 期限との突き合わせと、指示の出ていない案件の一覧
本格構成:上記+知財部長が確かめた保留の国の確認を、ワークフローで事業部のタスクに登録する / 保留の確認の依頼と期限の知らせ

最小構成では、期限との突き合わせはまだ手で行います。 確かめたいのは国ごとの区分の付け方です。 半自動化で、1件210分が75分程度になります。 録画の見返しが無くなり、期限との突き合わせが Copilot の下書きから始まります。この段階が本記事の想定です。 本格構成は、保留の書き方が2つの事務所で揃ってから進みます。 確かめた保留の国だけをワークフロー(Power Automate など)で事業部のタスクに登録すると、④の時間がさらに短くなります。事務所への指示は、本格構成でも人が送ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
4 件
1件あたり現在時間
210 分
1件あたり導入後時間
75 分
現在  4件 × 210分 ÷ 60 = 14 時間/月
導入後 4件 × 75分 ÷ 60 = 5 時間/月
月間削減時間
9h
削減率
64%
年間削減時間
108h
年間金額換算(時間単価4,500円)
49万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 海外の売上が大きく、国内の特許出願の多くについて優先期間の満了前に外国へ出すか、PCT出願の国内移行の期限前にどの国へ移行するかを毎月決めているメーカー。特許事務所と月に数回の外国出願の打合せを Teams で開き、打合せのあとに録画を見返して国ごとの指示の一覧を作っており、「保留」のはずの国に出願されたり、指示の出し漏れに期限の直前で気づいたりしたことがある場合。打合せを知財部が主催する Teams 会議で開け、知財部に Microsoft Copilot のライセンスがすでにある場合。
向いていない
  1. 外国出願が年に数件で、案件ごとにメールで指示を出せば足りる場合。打合せを特許事務所の側が主催しており、知財部の主催に切り替えられない場合。事務所との間で、打合せの文字起こしを使うことの了承が得られない場合。なお、出願する国の判断、期限の管理そのもの、費用の決裁は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 次の外国出願の打合せを、知財部が主催する Teams 会議で開き、文字起こしする
  2. 進行役に、案件ごとにチャットへ番号を書き、案件の終わりに国ごとの結論を言い直してもらう
  3. 会議の Copilot に第7章の指示を出し、3つの表を作らせる
  4. これまでどおり手で作った国ごとの一覧と、表を並べる
  5. 国ごとの区分が、手で作ったものと合っているかを見る

2回は必ずやってください。 ここで確かめるのは、事務所の助言や「聞いてから」が「出願する」として扱われていないかです。

出てきた内容判断
区分が手の一覧とほぼ同じだったCopilot Chat で期限の一覧と案件台帳に並べる段階に進む
助言や「聞いてから」が「出願する」になった指示の区分の言葉と、事務所の発言の扱いを足す。構成は有効
どの案件の話か分からない行が多いチャットへの番号の記入が先。 AIの問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
事務所の助言が「出願する」になる事務所の発言を区分の根拠にしないと指示し、助言は別の列に写させる
「聞いてから」が「出願する」になる区分は明示の言葉がある場合だけと指示し、根拠の発言で確かめる
取り消した国が「出願する」のまま残る最後の発言で決め、言い直しの印を付けさせる
「欧州」と「ドイツ」が混ざる国の呼び方の一覧で広域の出願を別の行にする
期限を Copilot が計算して誤る事務所の一覧から写すだけと指示する
どの案件の話か分からない進行役がチャットに案件番号を書く
定例の系列で前回の履歴が消える回ごとに別の会議として立て、表はその日のうちに保存する
事務所の主催で Copilot が動かない知財部が招待を出す決まりにする
案件台帳の参照の列が読めない事務所の名前を文字の列で持たせる
指示の一覧で案件台帳を更新してしまう台帳は事務所から出願の報告が届いてから更新する

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、事務所に伝わる国が打合せの結論と違う失敗で、根拠の発言と言い直しの印で見つけます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 出願前・公開前の発明の名称と内容、事業部ごとの海外での事業の方針、出願する国と出さない国の判断、事務所との費用の話です。どの国で権利を取るかは、海外の事業の計画そのものを表す情報です。

  1. フォルダと台帳の権限を絞る … Copilot は利用者が閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。知財部以外が開けないようにします
  2. 事務所の了承を得てから文字起こしする … 文字起こしが始まると全員に通知が出ますが、通知は了承の代わりになりません。 最初の打合せの前に、目的と保存先を事務所に伝えます
  3. 学習への利用と処理の地域について … 公式のページでは、指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。一方で、EU 以外の顧客の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されうるとされています。発明の情報の扱いについて社内の規程に決まりがあるかを確かめます
  4. やり取りの保存 … Copilot とのやり取りは利用履歴として保存され、管理者は Microsoft Purview で保持の方針を決められるとされています。議事録の保存の期間と合わせて決めます
  5. 事務所への指示を Copilot に任せない … 一覧は下書きで、知財部長が確かめた行だけを担当者が送ります
  6. 出席者の評価に使わない … 公式のページは、職場のやり取りから人の業績や態度を推し量る用途を制限しているとしています。打合せの記録を、事務所や担当者の評価に使いません

誤りが起きた場合のリスクは、保留の国を出願として事務所に伝えることと、期限の近い案件の指示が漏れることの2つです。 前者は根拠の発言で確かめる工程で止め、後者は指示の出ていない案件の一覧を知財部長が毎回見ることで防ぎます。後者のほうが重く、取り返しがつきません。

10まず何から始めるか

1週目:一覧と打合せの型を作る

出席者と役割の一覧、国の呼び方の一覧を作ります。案件を期限の近い順に並べ、進行役が案件番号をチャットに書き、国ごとの結論を言い直す型を決めます。

2週目:事務所に頼む

2つの事務所に、知財部が主催すること、文字起こしを使うこと、期限の一覧の列名をそろえてもらうことを伝え、了承を得ます。

3週目:1つの事務所の打合せで試す

次の打合せを文字起こしし、会議の Copilot で3つの表を作ります。手で作った国ごとの一覧と並べ、事務所の助言や「聞いてから」が「出願する」になっていないかを最優先で見ます。

4週目:期限の一覧に並べる

期限の一覧を前日までに置き、Copilot Chat で期限との突き合わせと、指示の出ていない案件の一覧を作ります。知財部長と、指示の出ていない案件の扱いをその日のうちに決める流れを試します。

2か月目: 2つの事務所の打合せで使い、事業部への確認の依頼を下書きから送る運用を始めます。3か月目以降: 1件210分が何分になったかを実測し、保留の確認をタスクに登録するワークフローを検討します。「出願する」の直しがほとんど出なくなり、指示の出ていない案件が打合せの当日に必ず見つかるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-28/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
会議のあとに話された内容について Copilot に尋ねるには会議中に文字起こしが必要なこと。会議のチャットの「Copilot を開く」または「まとめ」タブから開けること。参加者の組織の外で主催された会議では動かないこと。定期的な会議で後の回が文字起こしされると前の回の履歴が使えなくなること。コピーと転送をオフにする設定や書き出しを禁じる秘密度ラベルで回答を Word や Excel に書き出せないこと。チャットに書かれたことと文字起こしの発言を使い、会議の前24時間までのチャットも含めることMicrosoft Support: Use Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-28
文字起こしが始まると参加者全員に通知が表示されること。別の組織の参加者は会議中に文字起こしを見られるが、会議のあとに見ることもダウンロードすることもできないこと。話す言語の設定を実際に話されている言語に合わせる必要があることMicrosoft Support: View live transcription in Microsoft Teams meetings2026-10-28
Copilot Chat の「/」で、ファイル、会議、メール、SharePoint のサイト・ページ・リストを参照できること。SharePoint のリストは一度に2万件までの項目を扱え、添付の列と参照の列は参照できないこと。1つの SharePoint のサイトから参照できるファイルやページは10件までであることMicrosoft Support: Refer to specific files and more in Microsoft 365 Copilot2026-10-28
利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りが利用履歴として保存され、管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められること。EU 以外の顧客の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されうること。職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限していることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-28
国内移行が多くの締約国の官庁で優先日から30か月の終わりまでであること。パリ条約の優先権を主張する出願が最初の出願から12か月以内であることWIPO: PCT FAQs2026-10-28

出願する国の判断と期限の管理は、知財部の規程と事務所の期限の管理に基づいて行ってください。 本記事は、上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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