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新規事業の企画書に対して、想定顧客・収益・競合・リスクの抜けを問いかける壁打ちの相手を作り、提出前に論点を詰める

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

新規事業の企画書を書いた起案者が、提出の前にAIと壁打ちをします。AIは想定顧客・収益・競合・リスクについて1問ずつ問いかけ、答えと根拠の有無を論点の一覧にまとめます。経営企画は、その一覧で残った論点だけを起案者と詰めます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/その他/商社/製造
対象部門
経営企画
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/属人化している
AIで行う処理
対話
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
50%
年間削減
180h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 起案者が企画書のひな形に書き、経営企画に壁打ちを申し込む
  2. 経営企画の担当者が企画書を読み、抜けている論点と尋ねたい点を書き出す
  3. 起案者と1時間ほど面談し、書き出した点を尋ねる
  4. 面談の内容と、直してほしい点をメモにして起案者に送る
  5. 起案者が企画書を直し、改訂版を出す
  6. 2番目から5番目を、審査会に出せる状態になるまで繰り返す
  7. 審査会に出す
導入後(After)
  1. 人起案者が企画書のひな形に書く
  2. 人起案者が ChatGPT の壁打ち用のプロジェクトで新しいチャットを開き、企画書を貼る
  3. 【AI】 論点の一覧(想定顧客・課題・収益・競合・投資と体制・リスクと撤退)に沿って、1問ずつ問いかける
  4. 人起案者が答える。答えられない問いは「調べる」「分からない」と答える
  5. 【AI】 答えに根拠があるか(調べた事実か、見込みか、分からないか)を尋ね、論点ごとに記録する
  6. 【AI】 論点の一覧をまとめる(論点/企画書の記載/壁打ちでの答え/根拠の種類/残った問い)
  7. 人起案者が論点の一覧を見て企画書を直し、一覧とあわせて経営企画に出す
  8. 人経営企画の担当者が、一覧で「残った問い」と「根拠が見込みだけ」の論点を中心に読み、起案者と面談する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 起案者が企画書のひな形に書き、経営企画に壁打ちを申し込む
  2. 経営企画の担当者が企画書を読み、抜けている論点と尋ねたい点を書き出す
  3. 起案者と1時間ほど面談し、書き出した点を尋ねる
  4. 面談の内容と、直してほしい点をメモにして起案者に送る
  5. 起案者が企画書を直し、改訂版を出す
  6. 2番目から5番目を、審査会に出せる状態になるまで繰り返す
  7. 審査会に出す

(a)同じ指摘に時間を使う。 担当者が2番目で書き出す点の多くは、「想定顧客を絞ってください」「単価の根拠は」「競合が無いとする根拠は」「撤退の条件は」のように、どの企画書にも当てはまるものです。面談の前半はこの確認で終わり、その事業ならではの論点に入る前に時間がなくなります。

(b)壁打ちの予定が取れない。 経営企画の3名が、月20件の面談の予定を起案者と合わせます。審査会の前の月は予定が詰まり、壁打ちを待つ間に審査会の日が来ます。 論点が詰まらないまま審査会に出る企画書があります。

(c)担当者によって論点が違う。 第2章のとおり、壁打ちをした担当者の得意な論点が詰まり、そうでない論点は薄くなります。審査会で、その薄い論点を役員に尋ねられます。

(d)起案者が答えを待つ。 経営企画との面談で、起案者は「何を書けばよいか」を尋ねてきます。答えを示すと、企画が経営企画の考えに寄っていきます。 起案者が自分で考えるための問いを出すのが壁打ちの役割ですが、時間が無いと答えを言ってしまいます。

  1. 【人】 起案者が企画書のひな形に書く
  2. 【人】 起案者が ChatGPT の壁打ち用のプロジェクトで新しいチャットを開き、企画書を貼る
  3. 【AI】 論点の一覧(想定顧客・課題・収益・競合・投資と体制・リスクと撤退)に沿って、1問ずつ問いかける
  4. 【人】 起案者が答える。答えられない問いは「調べる」「分からない」と答える
  5. 【AI】 答えに根拠があるか(調べた事実か、見込みか、分からないか)を尋ね、論点ごとに記録する
  6. 【AI】 論点の一覧をまとめる(論点/企画書の記載/壁打ちでの答え/根拠の種類/残った問い)
  7. 【人】 起案者が論点の一覧を見て企画書を直し、一覧とあわせて経営企画に出す
  8. 【人】 経営企画の担当者が、一覧で「残った問い」と「根拠が見込みだけ」の論点を中心に読み、起案者と面談する

3番目が、この設計の分かれ目です。 AIに企画書を読ませて指摘の一覧を出させるのではなく、1問ずつ問いかけて、起案者に答えさせます。 指摘の一覧を受け取った起案者は、指摘に合わせて企画書の文を直します。問いに答えた起案者は、自分の企画の弱いところを自分の言葉で知ります。

5番目は、答えの根拠を3つに分ける作業です。 「顧客に聞いた」「統計を調べた」は調べた事実、「このくらいだろう」は見込み、答えられなかったものは分からないです。審査会で問われるのは、見込みと分からないの論点です。 経営企画は8番目で、そこから見ます。

02今回想定するシステム構成

構成図
起案者の企画書(ひな形)
   │  起案者が壁打ち用のプロジェクトに貼る
   ▼【トリガー】起案者が提出前に壁打ちを始める
ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト)
   │  プロジェクトの指示:問いかけ方、してはいけないこと、一覧の形
   │  Sources:論点の一覧、審査の基準、企画書のひな形と記入の手引き
   ▼
【1問ずつの問いかけ】⇄【起案者の答え】
   ▼
【論点の一覧】(論点/記載/答え/根拠の種類/残った問い)
   ▼
起案者が企画書を直し、一覧とあわせて経営企画へ
   ▼
【経営企画が残った論点だけを起案者と面談】→ 審査会
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト機能)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
共有社内のファイル共有(企画書と論点の一覧の提出)-
面談会議の予定の仕組み-

新しく足すのは、ChatGPT の業務用ワークスペースと、壁打ち用のプロジェクトだけです。 企画書のひな形と審査会の進め方は変えません。起案者が提出の前に一段、自分で論点を詰める段階を足します。

プロジェクトは、関連するチャット・ファイル・指示をまとめておく機能です。 公式の案内では、プロジェクトの指示はそのプロジェクトのチャット全体に適用され、アップロードしたファイルと接続した情報は Sources の欄に置かれます。 経営企画が論点の一覧と審査の基準を Sources に置き、問いかけ方を指示に書いておけば、どの起案者も同じ論点で問いかけを受けます。 第3章の(c)の、担当者ごとに論点が違う問題がここで消えます。

プロジェクトを起案者にどう渡すかは、契約のプランで確かめます。 同じプロジェクトを起案者が使える形にできない場合は、経営企画が指示の文と Sources のファイルを配り、起案者が自分でプロジェクトを作ります。 その場合は、指示とファイルの版を経営企画が管理し、古い版で壁打ちをしていないかを提出のときに確かめます。

業務用のワークスペースを使うのは、未公表の事業の構想を扱うためです。 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータは既定でモデルの学習に使われないとされ、会話の保持はワークスペースの設定に従うとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起案者が企画書の初版を書き上げ、経営企画に出す前に壁打ちを始めることを起点にします。 経営企画への壁打ちの申し込みの条件に、「壁打ち用のプロジェクトでの壁打ちを済ませ、論点の一覧を添えること」を加えます。

企画書1件につき、チャットを1つにします。 改訂版で2回目の壁打ちをするときは、同じチャットで続けます。 前回の論点の一覧が同じチャットにあれば、AIは「前回は分からないとした論点」から問いかけ直せます。チャットの名前は「起案の番号+企画の仮の名前」にします。

1回の壁打ちは、30分から1時間を目安にします。 一度に全部の論点を詰めようとすると、後半の答えが雑になります。「今日は想定顧客と収益まで」のように、論点を分けて何回かに分けて構いません。 論点の一覧は、回を重ねるごとに更新させます。

審査会の2週間前までに、論点の一覧を経営企画に出すことを目安にします。経営企画が残った論点で面談し、起案者が直す時間を残すためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
企画書想定顧客、顧客の課題、提供するもの、収益の見込み、競合、投資と体制、リスクと撤退の条件起案者が書いたもの
論点の一覧論点ごとに、問いかける内容と、十分とする答えの目安Sources(経営企画が作る)
審査の基準審査会で見る観点と、それぞれで求める根拠の水準Sources
企画書の記入の手引き欄ごとに何を書くかSources
前回の論点の一覧2回目以降の壁打ちで、前回残った問い同じチャット

質を決めるのは、論点の一覧です。 経営企画がこれまで面談で尋ねてきたことを書き出し、論点ごとに並べます。

論点問いかける内容の例十分とする答えの目安
想定顧客最初に売る相手は、業種・規模・部署で言うと誰か1つの業種と部署まで絞れている
顧客の課題その相手は、いま何で困っていて、どう対処しているか顧客に聞いた話がある
収益単価と件数は、何をもとにした数字か単価か件数のどちらかに根拠がある
競合顧客がいまその課題に使っているものは何か「無い」以外の答えがある
投資と体制最初の1年で、誰が何人で、何に使うか人と費用が書かれている
リスクと撤退何がどうなったら、やめるか期限と数字で書かれている

「十分とする答えの目安」の列が、AIの問いかけを止める基準になります。 目安を満たす答えが出たら次の論点へ進み、満たさなければ、言い方を変えてもう1問だけ尋ねます。 2問尋ねても満たさなければ、「残った問い」に記録して次へ進みます。

競合の論点の「顧客がいま使っているもの」は、経営企画の経験から来た問いです。 起案者は「同じことをしている会社は無い」と考えて競合を「無い」と書きがちですが、顧客は今もその課題に何らかの手段で対処しています。 手作業や表計算や既存の別の製品が、実際の競合です。

Step3

データの取得方法を決める

企画書は、起案者がひな形のファイルから本文をコピーして貼ります。 図や表は、文で書き直して貼るか、ファイルとしてチャットに添付します。

取るものどこから何に使うか
企画書の本文起案者のファイル問いかけの材料
論点の一覧と審査の基準Sources問いかける順番と、十分とする目安
記入の手引きSources欄の意味を取り違えないため
前回の論点の一覧同じチャットの前回の回答2回目以降の問いかけの起点

提携先や顧客の会社名は、伏せてから貼ります。 「A社(物流の中堅企業)」のように、業種と規模が分かる書き方に置き換えます。問いかけに要るのは業種と規模で、会社名は要りません。 未公表の提携先の名前を、チャットに置かないためです。

売上や原価の社内の実績の数字は、必要な範囲だけにします。 既存の事業の数字を収益の根拠に使う企画では、その数字を貼ることになりますが、事業部ごとの損益の表をまるごと貼ることはしません。 根拠に使う1〜2の数字だけを書きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 企画書のひな形の欄が埋まっているかを確かめる … 空欄が多い初版は、壁打ちの前に書き足します
  2. 提携先・顧客の会社名を伏せる … 業種と規模に置き換えます
  3. 社内の実績の数字を、根拠に使うものだけに絞る
  4. 図や表を文にするか、添付するかを決める … 収益の見込みの表は、行と列の意味が分かる形で貼ります
  5. 2回目以降は、前回からの変更点を書く … 「収益の単価を顧客に聞いた額に直した」のように書き、同じチャットに貼ります

1番目は、壁打ちの質を左右します。 空欄の多い企画書を貼ると、AIは空欄を埋めるための問いばかり出し、起案者は問いに答えることで企画書を書くことになります。 それも1つの使い方ですが、論点を詰める壁打ちにはなりません。初版は、空欄の無い状態で始めます。

5番目を書くと、AIは変わった論点から問いかけ直します。 書かないと、AIは同じ論点を最初から尋ね直し、起案者は前回と同じ答えを繰り返すことになります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、論点の一覧に沿って1問ずつ問いかけることと、答えの根拠を分けて記録することです。

見るものさせること判断できないときの扱い
企画書の各欄論点の一覧の順に、1問ずつ問いかける欄の意味が分からなければ、起案者に尋ねる
起案者の答え十分とする答えの目安を満たすかを見る満たすか迷えば、もう1問だけ尋ねる
答えの根拠調べた事実/見込み/分からない、に分けて記録する起案者に「どう調べたか」を尋ねる
前回の論点の一覧残った問いから問いかけ直す前回の一覧が無ければ最初から
企画書と答えの食い違い食い違いを指摘し、どちらが正しいかを尋ねる起案者が決める

右端の列は、どれも「起案者に尋ねる」の側に倒しています。 壁打ちの相手は、分からないことを自分で埋めずに、起案者に返すのが役割です。

させないこと理由
市場規模・単価・競合の名前などの数字や事実を出す調べた事実ではない。起案者が企画書に写す
企画の良し悪しの評価(「有望です」「厳しいです」)進めるかどうかは審査会が決める。評価の言葉は迎合にも否定にも振れる
企画書の文を書き直す起案者が自分の言葉で直す
答えを先回りして示す(「たとえば〇〇ではないですか」)起案者が考える前に、AIの答えに寄っていく
審査に通るかの予想審査の基準を知っていても、判断は審査会のもの

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 起案者が「市場規模はどのくらいでしょう」と尋ね返すと、AIはもっともらしい数字を答えます。その数字には出典が無く、審査会で「この数字はどこから」と問われて答えられません。 指示で、事実や数字を尋ねられたら「調べ方の候補」だけを示し、数字は答えないようにさせます。

2行目も、指示で強く止めます。 起案者が熱心に説明すると、AIは「非常に興味深い構想です」と返し、起案者は壁打ちで認められたと受け取ります。 評価の言葉を一切使わせず、答えが目安を満たしたかどうかだけを記録させます。

Step6

指示内容を固定する

次の文をプロジェクトの指示に置きます。 企画書ごとのチャットでは、企画書の本文を貼り、「壁打ちを始めてください」と書くだけにします。

あなたは新規事業の企画書の壁打ちの相手です。起案者が審査に出す前に、
企画書の論点の抜けに自分で気づけるよう、問いかける役割です。
Sources の「論点の一覧」「審査の基準」「記入の手引き」に従ってください。

【進め方】
1. 論点の一覧の順(想定顧客、顧客の課題、収益、競合、投資と体制、
   リスクと撤退)に、1回に1問だけ問いかけてください。
2. 起案者の答えが「十分とする答えの目安」を満たせば次の論点へ進み、
   満たさなければ言い方を変えてもう1問だけ尋ねてください。
   2問で満たさなければ「残った問い」として記録し、次の論点へ進んでください。
3. 答えには「それはどう調べましたか」と尋ね、根拠を
   調べた事実/見込み/分からない のどれかに分けて記録してください。
4. 企画書の記載と答えが食い違えば、食い違いを示し、どちらが正しいかを尋ねてください。
5. 起案者が「一覧を出して」と書いたら、論点の一覧を出してください
   (列:論点/企画書の記載/壁打ちでの答え/根拠の種類/残った問い)。

【厳守事項】
- 市場規模、単価、件数、競合の会社名などの数字や事実を答えないでください。
  尋ねられたら、調べ方の候補(顧客への聞き取り、公的な統計、業界団体の資料など)
  だけを示してください。
- 企画の良し悪し、将来性、審査に通るかを述べないでください。
  「有望」「素晴らしい」「厳しい」「難しい」などの評価の言葉を使わないでください。
- 答えの例を先に示さないでください。起案者が答えるまで待ってください。
- 企画書の文を書き直さないでください。
- 起案者が答えに迷っても、答えを代わりに作らないでください。

【企画書】{本文}

「1回に1問だけ」を明記しないと、AIは5問、6問をまとめて出します。 まとめて出された問いに、起案者は短く答え、どの答えも浅くなります。 1問ずつにすると、問いと答えが会話として続き、起案者が考える時間が生まれます。

「調べ方の候補だけを示す」は、起案者を突き放さないための一文です。 数字を答えないだけだと、起案者は行き詰まります。顧客への聞き取り、公的な統計、業界団体の資料のような調べ方を示せば、起案者は次に何をすればよいかが分かります。 どの統計のどの表かまで特定させないのは、AIが存在しない資料の名前を挙げることがあるからです。

Step7

出力形式を固定する

壁打ちの終わりに、起案者が「一覧を出して」と書くと、次の形で返させます。

【論点の一覧】
| 論点 | 企画書の記載 | 壁打ちでの答え | 根拠の種類 | 残った問い |
| 想定顧客 | 製造業の中小企業 | 従業員100〜300名の部品加工の工場の保全担当 | 調べた事実(既存顧客5社に聞いた) | - |
| 顧客の課題 | 設備の故障の予兆が分からない | 故障の後の修理の待ちで月に数日止まる | 調べた事実(同上) | - |
| 収益 | 月額3万円×300社 | 単価は既存の保守契約の額から置いた。件数は未確認 | 見込み | 300社の根拠 |
| 競合 | 無し | 保全担当の点検表と、設備メーカーの保守契約 | 見込み | 設備メーカーの保守との違い |
| 投資と体制 | 記載なし | 開発2名、営業1名。費用は未算出 | 分からない | 1年目の費用 |
| リスクと撤退 | 記載なし | 1年で有料の顧客が10社に届かなければやめる | 見込み | - |

この形にする理由の1つ目は、経営企画が見る場所が決まることです。 経営企画の担当者は、「根拠の種類」が見込みか分からないの行と、「残った問い」の列から読みます。 例では、収益の件数、競合の違い、1年目の費用です。調べた事実の行は、面談で尋ね直す必要がありません。

2つ目は、企画書の記載と答えの差が見えることです。 想定顧客が「製造業の中小企業」から「部品加工の工場の保全担当」に絞られたことが、1行で分かります。起案者は、答えた内容で企画書を直せばよく、何を直すかを考え直す必要がありません。

3つ目は、審査会の資料に使えることです。 論点の一覧を企画書に添えて審査会に出せば、役員は根拠の種類を見て、どこを尋ねるべきかが分かります。 見込みで書かれている部分を見込みだと明示して出すことは、隠すより審査の時間を短くします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
起案者の企画書起案者がコピーして貼る問いかけの材料
ChatGPT のプロジェクト起案者が対話する問いかけと論点の一覧
社内のファイル共有起案者が企画書と論点の一覧を置く経営企画への提出
会議の予定の仕組み経営企画が残った論点の面談を入れる面談

ChatGPT と社内のファイル共有は、つなぎません。 論点の一覧は、起案者が自分で読んでから提出します。読まずに出された一覧は、起案者が論点を理解していない証拠にもなります。

経営企画は、起案者の壁打ちのチャットを見ません。 見るのは、提出された企画書と論点の一覧だけです。壁打ちのチャットは、起案者が考えを試す場所です。 経営企画が見る前提にすると、起案者は分からないと答えにくくなります。

Step9

人が確認する

経営企画の担当者は、提出された論点の一覧をすべて読んでから面談します。

  1. 根拠の種類が「分からない」の行を先に読む … 審査会までに調べられるかを、起案者と決めます
  2. 根拠の種類が「見込み」の行を読む … 見込みの置き方が妥当かを、その事業の経験から見ます
  3. 「調べた事実」の行を抜き取りで確かめる … 聞いた顧客の数や、使った統計を起案者に尋ねます
  4. 論点の一覧に無い、その事業ならではの論点を足す … 法規制、既存事業との食い合い、社内の体制など
  5. 面談で残った論点を詰め、審査会に出すかを起案者と決める

4番目は、AIの論点の一覧ではできない部分です。 論点の一覧は、どの企画書にも当てはまる論点を並べたものです。医療機器に関わる企画なら規制、既存の保守サービスと重なる企画なら事業部との調整、のように、その事業ならではの論点は経営企画の担当者が足します。 面談の時間は、ここに使います。

3番目を省かないでください。 起案者が「調べた事実」と答えても、聞いた顧客が1社だけ、ということがあります。 AIは答えを記録しているだけで、調べ方が十分かは見ていません。

改訂版の一覧は、前の版の一覧と並べて読みます。 前回「分からない」だった行が「見込み」や「調べた事実」に変わっていれば、起案者が審査会までに何を調べたかが、1行ずつ追えます。 変わっていない行が多いときは、起案者が壁打ちの結果を企画書に反映できていないことがあります。その場合は、面談で残った問いの調べ方を一緒に決めます。

目標は、1件45分です。 論点の一覧を読むのに10分、残った論点の面談に25分、直してほしい点を送るのに10分の想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
AIが数字や競合の名前を答えるその数字は企画書に使わない。起案者に調べ方を示す
AIが評価の言葉を使う指示の厳守事項に言葉を足す。評価は記録しない
AIが問いを何問もまとめて出す「1問ずつにしてください」と書いて続ける
起案者が論点の一覧を出さずに提出する受け付けず、壁打ちを済ませてから出してもらう
論点の一覧の「調べた事実」が疑わしい面談で調べ方を尋ねる。必要なら根拠の資料を出してもらう
企画が未公表の提携や買収に関わるこの構成を使わず、経営企画が直接面談する
起案者がAIの問いに答えられず止まる分からないと答えてよいことを伝え、残った問いとして進める
審査会の基準が変わる論点の一覧と審査の基準を Sources で差し替える
2回目の壁打ちで前回と同じ問いが続く前回からの変更点を書いて貼り直してもらう

1行目は、運用の最初の月に必ず起きます。 起案者がAIに数字を尋ね、AIが答え、その数字が企画書に入ります。提出された企画書の数字の出典を、経営企画が面談で尋ねる決まりにします。 出典が「壁打ちのAI」なら、その数字は使えません。

6行目は、受け付けの段階で決めます。 提携先や買収の対象が特定できる企画は、会社名を伏せても、業種と規模と時期で分かってしまうことがあります。 そうした企画は、最初から経営企画が直接受け持ちます。

Step11

記録を残す

  • 提出された企画書と論点の一覧(社内のファイル共有に、起案の番号ごとに残す)
  • 経営企画の面談のメモと、足した論点
  • 審査会の結果と、審査会で問われた論点
  • そのとき使った論点の一覧と審査の基準の版
  • 審査会で問われたが、論点の一覧に無かった論点

壁打ちのチャットは、起案者が管理します。 審査会が終わったら、チャットは起案者が消します。論点の一覧と企画書は社内のファイル共有に残っているので、チャットを残す理由はありません。

最後の行は、論点の一覧を育てる材料です。 審査会で役員が尋ねた論点のうち、論点の一覧に無かったものを、経営企画が四半期ごとに論点の一覧に足します。 同じ論点が審査会で問われ続けるなら、その論点は壁打ちの段階で尋ねるべきものです。

04実装レベルの3段階

最小構成:チャットに論点の一覧を毎回添付し、指示を貼って壁打ちをする / 1件ずつの問いかけと論点の一覧
半自動化:上記+プロジェクトに指示と Sources を置き、起案者が企画書を貼るだけで壁打ちが始まる / 問いかけと一覧の形の統一
本格構成:上記+提出された論点の一覧を経営企画が集計し、審査会で問われた論点と突き合わせて論点の一覧を見直す / 論点の一覧の改善までの全体

本記事の想定は、半自動化です。 起案者が自分で壁打ちをするので、経営企画の側に仕組みを作る必要はありません。 論点の一覧と審査の基準がプロジェクトにまとまっていることのほうが効きます。 最小構成との差は、論点の一覧が1か所で管理されることです。 毎回添付する形だと、古い論点の一覧を使った起案者の壁打ちだけ、審査会で問われるようになった論点が抜けます。プロジェクトなら、一覧を替えるのは1か所です。 本格構成に進んでも、進めるかどうかの判断は審査会が行います。 論点の一覧の集計は、壁打ちの問いを良くするための材料であって、企画を選ぶための材料ではありません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
45 分
現在  20件 × 90分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 20件 × 45分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
15h
削減率
50%
年間削減時間
180h
年間金額換算(時間単価4,500円)
81万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社内の新規事業の提案制度や事業部からの起案があり、経営企画が毎月十数件以上の企画書を審査の前に読んで、起案者と壁打ちをしている会社。企画書の論点の抜けが毎回同じところ(想定顧客のあいまいさ、収益の前提の根拠、競合の見落とし、撤退の条件)に集中している場合。壁打ちの質が経営企画の担当者の経験に左右されている場合。
向いていない
  1. 新規事業の起案が年に数件で、経営企画が1件ずつ時間をかけて見られる場合。企画の中身が未公表の提携や買収に関わり、社外のサービスに一切置けない場合。業務用の生成AIのワークスペースを契約できず、企画書を個人のアカウントに貼ることになる場合。なお、企画を進めるかどうかの判断、市場規模や競合の事実の調査、審査の基準そのものは、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去の審査会に出た企画書から、初版を5件選ぶ(審査会で多くの論点を問われたものを含める)
  2. 会社名と社内の実績の数字を伏せる
  3. 論点の一覧をチャットに添付し、第7章の指示を貼る
  4. 経営企画の担当者が起案者の役をして、5件の壁打ちをする
  5. 出てきた論点の一覧を、当時の面談のメモと審査会で問われた論点と比べる

5件の目的は、「問いが、経営企画が実際に尋ねた論点に届くか」を確かめることです。 起案者に使ってもらう前に、ここを見ます。

出てきた内容判断
当時の面談と同じ論点が問われ、数字や評価を答えないプロジェクトを作って起案者に使ってもらう
数字や競合の名前を答えてしまう厳守事項を強め、尋ねられたときの返し方を指示に書く
問いが浅く、目安を満たさない答えで先へ進む論点の一覧の「十分とする答えの目安」を具体的にする

3行目が出たら、論点の一覧を直します。 目安が「具体的に書かれている」のようにあいまいだと、AIはどんな答えでも具体的と判断します。「1つの業種と部署まで絞れている」のように、満たしたかどうかを答えから判断できる書き方にします。

経営企画の担当者が起案者の役をするときは、わざと根拠の弱い答えをしてください。 「たぶん300社くらい」と答えて、AIが根拠を尋ね返すか、そのまま受け取るかを見ます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが市場規模や単価の数字を答える数字を答えさせず、調べ方の候補だけを示させる
AIが企画をほめる評価の言葉を挙げて禁じる
問いをまとめて何問も出す1回に1問を指示に書く
目安を満たさない答えで先へ進む目安を答えから判断できる書き方にする
答えの例を先に示す起案者が答えるまで待たせる
企画書の文を書き直す書き直しを禁じ、起案者が自分で直す
会社名を伏せずに貼る業種と規模に置き換える手順を手引きに書く
古い論点の一覧で壁打ちをする版を替えるときは古い版を消してから置く
経営企画が壁打ちのチャットを見ようとする見るのは提出物だけにする
論点の一覧を読まずに提出する面談で起案者に一覧の中身を尋ねる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが起案者の役に立とうとした結果として、調べていない数字と根拠の無い評価が企画に入るという同じ型です。壁打ちの相手の役割は、答えることではなく尋ねることです。

「経営企画が壁打ちのチャットを見ようとする」の行は、運用が始まってから出てきます。 論点の一覧だけでは分からないことがあると、チャットの中身を見たくなります。見る前提にすると、起案者は分からないと答えにくくなり、論点の一覧から「分からない」が消えます。 分からないことは面談で尋ねます。

起案者が壁打ちを「審査の前の関門」と受け取ることにも気をつけてください。 論点の一覧に「分からない」が多いと出せない、と起案者が考えると、根拠の無い答えを「調べた事実」として書くようになります。 手引きには、分からないと答えた論点が残っていても提出してよいこと、残った問いを審査会までにどう調べるかを経営企画と一緒に決めることを書いておきます。壁打ちは企画をふるい落とすための仕組みではなく、論点を早く見つけるための仕組みです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 未公表の新規事業の構想、想定する顧客と提携先(伏せたもの)、根拠に使う社内の実績の数字の一部です。

  1. 業務用のワークスペースを使う … 個人のアカウントに企画書を貼らないでください。業務用のワークスペースのデータは既定で学習に使われないとされ、会話の保持はワークスペースの設定に従います。削除したチャットは、一般に30日以内に完全削除の予定に入るとされています
  2. 会社名を伏せ、社内の数字を絞る … 提携先や顧客は業種と規模に置き換え、社内の実績は根拠に使う1〜2の数字だけにします
  3. メモリーの扱いを決めておく … ChatGPT のメモリーは、以前の作業の文脈をその後のチャットに持ち込む機能で、Settings の Personalization で管理するとされています。ワークスペースで使えるかは、アカウントとワークスペースの設定によります。起案者が別の企画の壁打ちをするときに前の企画の内容が持ち込まれないよう、使い方を経営企画が決めて手引きに書きます
  4. 未公表の提携や買収に関わる企画には使わない … 伏せても特定できることがあります
  5. AIの出した数字を企画書に使わない … 調べた事実ではありません。出典が壁打ちのAIである数字は、審査会の資料から外します
  6. 進めるかどうかの判断をAIにさせない … 論点の一覧は判断の材料で、判断は審査会が行います

誤りが起きた場合のリスクは、調べていない数字や根拠の無い評価が企画書に入り審査をゆがめることと、未公表の構想が意図しない場所に残ることの2つです。 前者は厳守事項と経営企画の抜き取りの確認で、後者はワークスペースと伏せる手順とメモリーの扱いで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:論点の一覧を書き出す

経営企画の3名が、これまで面談で尋ねてきたことを書き出し、想定顧客・顧客の課題・収益・競合・投資と体制・リスクと撤退の6つに並べます。論点ごとに「十分とする答えの目安」を決めます。

2週目:5件で試す

過去の企画書の初版5件で、経営企画の担当者が起案者の役をして壁打ちをします。数字や評価を答えないか、目安を満たさない答えで先へ進まないかを最優先で見ます。

3週目:プロジェクトと手引きを作る

ワークスペースにプロジェクトを作り、指示と Sources を置きます。会社名の伏せ方、メモリーの扱い、論点の一覧の出し方を、起案者向けの手引きに書きます。 壁打ちの申し込みの条件に、論点の一覧の提出を加えます。

4週目:その月の起案で回す

その月に届く企画書の起案者に、プロジェクトでの壁打ちを頼みます。経営企画の1件あたりの時間と、面談で扱った論点の数を記録します。

2か月目: 審査会で問われたが論点の一覧に無かった論点を書き出し、一覧に足します。3か月目以降: 1件90分が何分になったかを実測します。どの企画書も同じ論点を通り、経営企画の面談がその事業ならではの論点から始まるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
プロジェクトが関連するチャット・ファイル・指示をまとめておく機能であること。プロジェクトの指示がそのプロジェクトのチャット全体に適用されること。アップロードしたファイルと接続した情報が Sources に置かれることChatGPT ドキュメント: Projects2026-10-08
Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータが既定で学習に使われないこと。会話の保持がワークスペースの設定に従い、削除したチャットが一般に30日以内に完全削除の予定に入ることChatGPT ドキュメント: Work cloud security2026-10-08
メモリーが以前の作業の文脈をその後の作業に持ち込む機能であること。ChatGPT のメモリーを Settings の Personalization で管理すること。ChatGPT Work がアカウントとワークスペースで使えるメモリーの設定に従うことChatGPT ドキュメント: Memories2026-10-08

企画を進めるかどうか、市場や競合の事実、審査の基準は、自社の審査会と経営企画が判断・調査してください。 本記事は ChatGPT の公式ドキュメントで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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