引越会社が Web のフォームで届く依頼を単身・家族・法人・不用品に分け、担当の営業所と見積の方法を振り分ける
引越会社の Web のフォームに届く依頼を Make で受け、Claude API で単身・家族・法人・不用品の処分の4つに分けます。区分と区域から担当の営業所と営業の担当を、荷物の量と建物の条件から見積の方法を決め、引き継ぎの票と最初の連絡の下書きを作ります。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- 不動産/物流
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 分類・仕分け/問い合わせ対応
- 主な課題
- 判断に時間がかかる/問い合わせが多い/営業フォローが追いつかない
- AIで行う処理
- 分類
- 主な効果
- 対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 受付の担当がフォームの依頼を受付の一覧で開く
- 間取り・人数・自由記述を読み、単身か家族か、法人か、不用品の相談かを見分ける
- 今の住所の区域から営業所を決め、営業所の担当の空きを見て割り当てる
- 荷物の量と建物の条件から見積の方法を決める
- 営業所の担当にメールで引き継ぎ、受付の一覧に書く
- 営業所の担当がお客様に最初の連絡をする
- 自動フォームの送信で Make の Webhook が動き、受付の番号を返す
- 自動Claude API が、区分・特別な扱いの要る荷物・建物の条件・荷物の量の目安・不用品の有無を読み取る
- 自動区分と今の住所の区域から、担当の表で営業所と営業の担当を決める
- 自動荷物の量の目安と建物の条件から、見積の方法の表で方法を決める
- 自動ルーターで区分ごとに分け、引き継ぎの票と最初の連絡の下書きを作る
- 自動区分の確かさが低いもの、特別な扱いの要る荷物があるもの、不用品の処分を含むものは、受付の確認の一覧にも載せる
- 人受付の担当が確認の一覧だけを見て、区分と担当を確かめる
- 人営業の担当が票を受け取り、最初の連絡をする
各工程の詳しい説明を読む
- 受付の担当がフォームの依頼を受付の一覧で開く
- 間取り・人数・自由記述を読み、単身か家族か、法人か、不用品の相談かを見分ける
- 今の住所の区域から営業所を決め、営業所の担当の空きを見て割り当てる
- 荷物の量と建物の条件から見積の方法を決める
- 営業所の担当にメールで引き継ぎ、受付の一覧に書く
- 営業所の担当がお客様に最初の連絡をする
(a)最初の連絡が遅れる。 受付の担当が2〜5番を1件ずつ行うので、朝にまとめて届いた依頼の後ろのほうは、営業所に回るのが昼過ぎになります。 引越のお客様は複数の会社に同時に問い合わせることが多く、最初に連絡をくれた会社と話を進めがちです。
(b)区分の見分けが受付の担当の経験に頼る。 「事務所の荷物を少し運びたい」は法人か個人か、「実家の片付けと引越」は不用品の相談か家族の引越か。判断がぶれると、法人の営業の担当に回るべき依頼が営業所の単身の担当に回ります。
(c)見積の方法の誤りが二度手間になる。 動画通話で済むと思った依頼が、話してみるとエレベーターの無い4階で大型の家具が多く、結局は訪問の下見になる。最初の連絡で決め直すと、お客様の予定をもう一度取り直すことになります。
(d)不用品の相談の扱いがあいまい。 家庭から出る不用品を回収するには自治体の一般廃棄物の収集運搬の許可が要り、古物商や産業廃棄物の許可では回収できないとする自治体があります。許可の有無は区域ごとに違うのに、受付の担当が「一緒に引き取れます」と答えてしまうことがあります。
(e)担当の割り当てが偏る。 受付の担当は、話の通じやすい営業所の担当に回しがちです。同じ営業所の中で、ある担当には月に数十件、別の担当には数件ということが起きます。 多く受けた担当ほど最初の連絡が遅れ、少ない担当は手が空いたまま、という形で表に出ます。
- 【自動】 フォームの送信で Make の Webhook が動き、受付の番号を返す
- 【自動】 Claude API が、区分・特別な扱いの要る荷物・建物の条件・荷物の量の目安・不用品の有無を読み取る
- 【自動】 区分と今の住所の区域から、担当の表で営業所と営業の担当を決める
- 【自動】 荷物の量の目安と建物の条件から、見積の方法の表で方法を決める
- 【自動】 ルーターで区分ごとに分け、引き継ぎの票と最初の連絡の下書きを作る
- 【自動】 区分の確かさが低いもの、特別な扱いの要る荷物があるもの、不用品の処分を含むものは、受付の確認の一覧にも載せる
- 【人】 受付の担当が確認の一覧だけを見て、区分と担当を確かめる
- 【人】 営業の担当が票を受け取り、最初の連絡をする
6番目と7番目が、この設計の分かれ目です。 区分がはっきりした単身と家族の依頼は、受付の確認を待たずに営業所へ届きます。受付の担当が見るのは、迷いのある依頼と、許可や特別な扱いが絡む依頼だけです。 人の確認を「条件付き」にしているのはこのためです。
3番目と4番目を AI にさせないのも、意図してのことです。 区域と担当の割り当て、見積の方法の決まりは会社の表で決めます。AI が担当を選ぶと、休みの担当や区域の外の営業所に回すことがあります。
不用品の処分だけの依頼を必ず受付に通すのは、引越の営業所では答えられないことが多いからです。 回収できるかは区域の許可と提携先で決まり、営業所の担当がそのつど調べると最初の連絡が遅れます。受付が区域の表を見て方針を決め、営業所か提携先か自治体の窓口に回します。
02今回想定するシステム構成
お客様(Web のフォーム) ▼【トリガー】フォームの送信(Webhook) Make(シナリオ) ├──▶ Webhook response:受付の番号を返す ▼ Claude API(Make an API Call で Messages API) │ 区分・特別な荷物・建物の条件・荷物の量の目安・不用品の有無 ▼ Make ── Google スプレッドシート │ 担当の表(区分×区域 → 営業所・担当)を Search Rows │ 見積の方法の表(荷物の量×建物の条件 → 方法)を Search Rows ▼ ルーター ├── 単身 ──── 営業所の担当へ(電話・フォームの見積が多い) ├── 家族 ──── 営業所の担当へ(下見の候補日の案内) ├── 法人 ──── 法人の営業の担当へ ├── 不用品 ── 受付の確認の一覧へ(許可の確認) └── フォールバック ── 受付の確認の一覧へ ▼ 受付の一覧に Add a Row/引き継ぎの票/最初の連絡の下書き
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Make(シナリオ。Webhooks、Google Sheets、ルーター) | Zapier、n8n、Power Automate |
| 生成AI | Claude API(Messages API、構造化出力) | OpenAI API |
| 保管 | Google スプレッドシート(担当の表・見積の方法の表・受付の一覧) | Airtable |
| メール | 営業所ごとの共有のメールアドレス | Microsoft Outlook |
新しく作るのは、担当の表と見積の方法の表です。 担当の表は、区分と区域(市区町村)の組み合わせごとに、営業所と営業の担当の候補を並べたものです。見積の方法の表は、荷物の量の目安(少ない・中くらい・多い)と建物の条件(エレベーターの有無・階数・道幅)の組み合わせごとに、訪問・動画通話・電話のどれにするかを並べます。
AI の部品は Claude API です。 Make の Anthropic Claude アプリのページには構造化出力の記載が無いため、Make an API Call で Messages API を呼び、output_config.format に JSON Schema を渡します。 構造化出力は数値の範囲の制約に対応しないとされているので、人数や階数の値が妥当かは Make の側で確かめます。
区分を4つに分ける理由の一つは、標準引越運送約款にあります。 約款は引越運送とそれに附帯する荷造りや不用品の処理などのサービスに適用されるとしたうえで、事業所等の移転などで、この約款によらない旨をあらかじめ告知した場合には適用されないとしています。法人の事業所の移転を別の担当が別の取り決めで受けるのは、この線引きに沿ったものです。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
フォームの送信を起点にします。 フォームの送り先を Make の Custom webhook の URL にし、受け取るとすぐにシナリオが動きます。Webhook は既定で並行に動くとされ、届いた順に担当を割り当てたいので「Process data in order」を有効にします。 割り当ての件数を数える表を2つの実行が同時に読むと、同じ担当に偏るからです。
シナリオの最初に Webhook response を置き、受付の番号だけを返します。 Webhook response を途中に置くとその後のエラーが送り手に伝わらないことがあるとされていますが、この構成でお客様に返すのは番号だけで、振り分けの結果は返しません。 振り分けの途中で止まった依頼は、受付の一覧に「振り分け前」のまま残ります。
電話とメールで届いた依頼も、受付の担当が同じフォームに入れます。 経路ごとに別の流れにすると、電話の依頼だけが手で回る状態が続きます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 依頼の内容 | 氏名、連絡先、個人か法人か、今の住所と新しい住所、希望日、間取り、人数、建物の条件、相談の内容(自由記述) | Web のフォーム |
| 担当の表 | 区分、区域、営業所、担当の候補、今月の割り当ての件数、休みの日 | Google スプレッドシート |
| 見積の方法の表 | 荷物の量の目安、建物の条件、見積の方法 | Google スプレッドシート |
| 不用品の区域の表 | 区域ごとに、自社か提携先で回収できるか、案内する自治体の窓口 | Google スプレッドシート |
質を決めるのは、建物の条件の設問です。 「エレベーターの有無」「階数」「建物の前にトラックが止められるか」を選ばせます。自由記述にだけ書かせると、AI が読み取れても抜けが多く、見積の方法を誤る原因になります。
不用品の区域の表は、会社が持つ許可と提携先から作ります。 家庭の不用品の回収に要る許可は自治体ごとなので、区域ごとに「自社で回収できる」「提携の許可業者を案内する」「自治体の粗大ごみを案内する」のどれかを書いておきます。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 依頼の内容 | Webhook が受け取った値 | AI に渡す・受付の一覧に書く |
| 区域 | 今の住所から市区町村を切り出す(Make の文字の関数) | 担当の表を引く |
| 担当の行 | 担当の表を Search Rows(区分と区域) | 営業所と担当の候補を決める |
| 見積の方法の行 | 見積の方法の表を Search Rows(荷物の量の目安と建物の条件) | 見積の方法を決める |
| 不用品の区域の行 | 不用品の区域の表を Search Rows(区域) | 不用品の案内の方針を付ける |
担当は、候補の中で今月の割り当ての件数が少ない人から選びます。 Search Rows で候補を全部取り、休みの日に当たる人を外して、件数の少ない順に並べて先頭を取ります。選んだら、その人の今月の件数に1を足します。 Process data in order を有効にしているので、この足し引きが2つの実行で食い違いません。
区域は、AI ではなく住所の文字から切り出します。 都道府県と市区町村は住所の先頭にあるので、文字の関数で取れます。切り出せなかった住所は区域を空にし、受付の確認の一覧に回します。
区域を決めるのは、今の住所(発送地)の側です。 下見に行くのも、当日にトラックが出るのも、今の住まいに近い営業所だからです。新しい住所が遠方の長距離の引越は、担当の表に「長距離」の行を作り、本社の担当に寄せます。 長距離かどうかは、2つの住所の都道府県が違うかで Make が決めます。
割り当ての件数は、月の初めに0に戻します。 担当の表の件数の列を、毎月1日に動く別の小さなシナリオで書き直します。戻し忘れると、先月多く受けた担当に今月の依頼が回らなくなります。
AIへ渡す前に整形する
- 連絡先を外す … 氏名・電話番号・メールアドレスは AI に渡さず、受付の一覧と引き継ぎの票にだけ使います
- 住所を区域にする … AI には市区町村まで(番地を除いた形)を渡します
- 希望日を確かめる … 過去の日付や、受付の日から1年以上先の日付には印を付けます
- 同じお客様の二重の送信を外す … 同じ連絡先から数分のうちに同じ内容が届いたら、1件として扱います
- 法人の名前を見る … 会社名の欄に記入があれば、法人の印の候補として AI に渡します
1番目と2番目を軽く見ないでください。 区分を決めるのに番地と連絡先は要りません。AI に渡すのは、間取り・人数・建物の条件・希望日・区域・自由記述だけです。
AIに処理させる
させるのは、依頼の中身から区分を決め、見積の方法を決める材料を取り出すことです。
| 判定・取り出し | 中身 | 判断できないとき |
|---|---|---|
| 区分 | single(単身)・family(家族)・corporate(法人の事業所の移転)・disposal(不用品の処分だけ) | unclear |
| 区分の確かさ | high・low | low |
| 不用品の処分を含むか | 引越のついでの処分が書かれているか | false |
| 特別な扱いの要る荷物 | ピアノ、美術品・骨董品、動植物、大型の金庫など | 空の配列 |
| 荷物の量の目安 | 間取り・人数・自由記述から、少ない・中くらい・多い | unknown |
| 建物の条件 | エレベーター・階数・トラックの停め場所の申告 | 書かれていない項目は null |
| 根拠 | 区分の根拠にした依頼の言葉 | - |
区分の決まりは、指示に書いて渡します。
| 区分 | 決まり(例) |
|---|---|
single | 人数が1人で、事業所の移転ではない |
family | 人数が2人以上で、事業所の移転ではない |
corporate | 事務所・店舗・倉庫などの事業所の移転。会社名の記入と「社員の転勤」は分けて考える |
disposal | 引越を伴わず、不用品の処分だけを頼んでいる |
「社員の転勤」は法人の区分にしません。 会社が費用を出す転勤でも、運ぶのは社員の家財なので、単身か家族の区分で営業所に回します。会社名が書かれているだけで corporate にすると、法人の営業の担当に家族の引越が回ります。
特別な扱いの要る荷物を印にするのは、約款に沿うためです。 標準引越運送約款は、動植物、ピアノ、美術品、骨董品など特殊な管理を要するものについて、その荷物に限り引き受けを断ることがあるとしています。引き受けるか、別の手配にするかは営業の担当が決めるので、AI は印を付けるだけです。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 担当と営業所を選ぶ | 担当の表で決める |
| 見積の方法を決める | 荷物の量の目安と建物の条件から表で決める |
| 金額を書く | 見積は営業の担当が出す |
| 不用品を引き取れると書く | 区域ごとの許可で決まる |
指示内容を固定する
あなたは引越会社の受付で、Web のフォームに届いた依頼を読む担当です。
渡された依頼の内容だけを使って、区分を決め、見積の材料を取り出してください。
【区分の決まり】{category_rules}
【特別な扱いの要る荷物の例】ピアノ、美術品、骨董品、動植物、大型の金庫
【厳守事項】
- 依頼に書かれていることだけを使ってください。書かれていない荷物や事情を補わないでください。
- 会社名が書かれていても、運ぶのが社員の家財なら corporate にしないでください。
事務所・店舗・倉庫などの事業所そのものを移す相談だけを corporate にしてください。
- 引越と不用品の処分の両方が書かれていれば、区分は引越の側で決め、
includes_disposal を true にしてください。
- 区分に迷ったときは confidence を low にしてください。
当てはまる区分が無ければ unclear にしてください。
- 荷物の量の目安は、間取り・人数・自由記述から small / medium / large / unknown で答えてください。
トラックの台数や作業員の人数、金額は書かないでください。
- 建物の条件は、依頼に書かれている値をそのまま入れ、書かれていなければ null にしてください。
- 不用品を引き取れる・引き取れないと書かないでください。
- 区分の根拠にした依頼の言葉を evidence に写してください。
【依頼の内容】{request}
「会社名が書かれていても、社員の家財なら corporate にしない」が、この指示でいちばん効く一文です。 転勤の依頼では、会社の総務の担当が会社名で申し込むことがよくあります。この一文が無いと、転勤の家族の引越が法人の営業の担当に回り続けます。
「トラックの台数や作業員の人数、金額は書かない」を明記するのも同じ理由です。 荷物の量を読むと、AI はその先の段取りまで書きたがります。書かせると、それが引き継ぎの票に載り、営業の担当の見積と食い違います。
出力形式を固定する
次の形の JSON で受け取ります。
{
"request_id": "M-2026-2210",
"category": "single | family | corporate | disposal | unclear",
"confidence": "high | low",
"includes_disposal": true,
"special_items": ["piano"],
"volume_hint": "small | medium | large | unknown",
"building": {
"from_elevator": false,
"from_floor": 4,
"from_truck_parking": null,
"to_elevator": true,
"to_floor": 8
},
"evidence": ["「家族4人、3LDK、実家の片付けも一緒に」"]
}
1つ目の理由は、category でルーターを分けられることです。 Make のルーターは各ルートを順に評価し、どれにも当たらないものはフォールバックのルートで処理されるとされています。single・family・corporate・disposal の4つのルートを置き、unclear はフォールバックで受付の確認の一覧に落とします。
2つ目は、volume_hint と building で見積の方法の表を引けることです。 表は「荷物が多い、またはエレベーターが無く3階以上なら訪問の下見」「中くらいでエレベーターがあれば動画通話」「少なければ電話とフォーム」のように、会社が決めます。決まりを変えるときは表だけを直します。
3つ目は、confidence と includes_disposal と special_items で、受付の確認に回すものを機械的に選べることです。 どれか1つでも当てはまれば、営業所に回すのと同時に受付の確認の一覧にも載せます。
引き継ぎの票は次の形にします。
| 受付の番号 | 区分 | 営業所 | 担当 | 見積の方法 | 印 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| M-2026-2210 | 家族 | 東営業所 | 担当B | 訪問の下見 | 不用品・ピアノ | 「家族4人、3LDK…」 |
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Web のフォーム | Make の Custom webhook と Webhook response | 依頼を受け、受付の番号を返す |
| Claude API | Anthropic Claude アプリの Make an API Call | 区分と見積の材料を取り出す |
| 担当の表・見積の方法の表・不用品の区域の表 | Google Sheets の Search Rows、Update a Row | 担当・方法・不用品の方針を引き、割り当ての件数を足す |
| 受付の一覧 | Google Sheets の Add a Row | 引き継ぎの票を1行足す |
| 営業所の共有のメールアドレス | Make の Gmail の Send an email | 引き継ぎの票を営業所に知らせる(社内あて) |
お客様への最初の連絡は、営業の担当が行います。 下書きは票に付けますが、送るのは担当です。 見積の方法が訪問の下見になる依頼では、下書きに下見の候補日の聞き方を入れます。
下見に費用がかかる場合の扱いは、会社の決まりに沿って下書きのひな形に書きます。 標準引越運送約款は、見積料は請求しないとしたうえで、発送地か到達地で下見を行った場合に限り下見に要した費用を請求することがあり、その場合は見積りの前に金額を申込者に知らせて了解を得るとしています。AI にこの文面を書かせず、ひな形に固定で入れます。
人が確認する
- 受付の確認の一覧を見る …
confidenceがlow、unclear、不用品の処分を含む、特別な扱いの要る荷物がある、区域が切り出せなかった依頼 - 不用品の処分の案内を決める … 不用品の区域の表を見て、自社で回収するか、許可業者や自治体の窓口を案内するかを決めます
- 区分や担当を直したら記録する … どの区分から、どの区分に変えたかと理由を受付の一覧に残します
- 営業の担当が最初の連絡で見積の方法を変えたら記録する … 方法の表を直す材料にします
2番目を自動にしないのは、許可が区域ごとに違うからです。 自治体のページでは、家庭の不用品の回収は一般廃棄物の収集運搬の許可を持つ業者に頼むよう求め、古物商や産業廃棄物の許可だけでは回収できないとしています。表の方針に沿って受付の担当が案内の文面を決めます。
4番目は、見積の方法の表を育てるための記録です。 動画通話で受けた依頼が下見に変わることが続くなら、その組み合わせの方法を訪問に直します。営業の担当の手間を見積の方法の表に返す経路を、最初から作っておきます。
目標は、480件をならして1件2分です。 確認の一覧に載らない依頼は、受付の担当は票が足されたことを見るだけで、営業所の担当の最初の連絡に進みます。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
区分が unclear | フォールバックで受付の確認の一覧へ |
| 区域が切り出せない(住所の書き方の誤り・海外) | 受付の確認の一覧へ。海外の引越は本社の担当に回す |
| 担当の表に区域の行が無い | 本社の受付に回し、表に区域を足す |
| 担当の候補が全員休み | 営業所の責任者に回す |
| 希望日が過去・1年以上先 | 印を付けて営業所に回し、最初の連絡で確かめる |
| 特別な扱いの要る荷物がある | 営業所に回すと同時に受付の確認の一覧へ |
| AI の応答が形に合わない | 1回だけ送り直し、だめなら受付の確認の一覧へ |
| 同じお客様から別の内容が続けて届く | 2件として振り分け、票に「同じお客様」の印を付ける |
上の3行が大半を占めます。 どれも AI の問題ではなく、フォームの書き方と担当の表の行の問題です。 表に無い区域が出たら、その日のうちに行を足します。
春の引越の時期は、依頼の数が一時に増えます。 Webhook は10秒あたり300件を超えると429を返すとされていますが、フォームの送信でこの数に届くことはまずありません。気を付けるのは受信の上限より、営業所の担当の受け持ちの数です。 担当の表に1人あたりの月の上限の列を足し、上限に達した担当は候補から外します。全員が上限に達した区域は、営業所の責任者に回します。
記録を残す
- 受付の番号、受け取った日時、依頼の内容(連絡先は受付の一覧にだけ)
- AI が返した JSON の全文
- 引いた担当の表・見積の方法の表の行と、選んだ担当
- 受付の担当が区分・担当を直した記録と理由
- 営業の担当が見積の方法を変えた記録
- 最初の連絡をした日時と、受付から最初の連絡までの時間
最後の行が、この構成の効き目を測る材料です。 受付から最初の連絡までの時間を月ごとに並べ、区分ごとに遅れているところがないかを見ます。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 1件7分が2分になり、受付の担当は確認の一覧に集中できます。本格構成は、営業所の予定表が共有の予定表にそろってから足します。 最小構成では件数がさばけません。 480件を手で貼ることはできないので、区分の決まりが社内の感覚と合うかを確かめるための段階です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を2〜3か月回すと、担当の表に無かった区域、見積の方法が最初の連絡で変わった組み合わせ、区分を直した依頼の型が見えてきます。それを表と指示に返してから下見の枠の自動の案内に進むほうが、お客様の予定を取り直す回数が減ります。
05工数削減シミュレーション
導入後 480件 × 2分 ÷ 60 = 16 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 営業所を複数持つ引越会社で、Web のフォームに引越の依頼が月に数百件届き、受付の担当が1件ずつ読んで単身か家族か、法人の移転か、不用品の処分の相談かを見分け、営業所と営業の担当に回している場合。見積の方法(訪問の下見・動画通話・電話)の振り分けが受付の担当の経験に頼っていて、最初の連絡が遅れて他社に流れている場合。
- 依頼が月に数十件で、営業の担当が全件を自分で受けている会社。単身の引越だけを定額で受けていて、区分も見積の方法も分ける必要が無い会社。なお、見積の金額、引越を引き受けるかの判断、不用品の回収ができるか(許可の有無と自治体の決まり)の判断は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 先月の依頼から40件を選ぶ(転勤の法人名の依頼、片付けを含む依頼、ピアノのある依頼を入れる)
- 連絡先と番地を外す
- 手元の Claude の画面に区分の決まりと1件ずつの依頼を貼り、第7章の指示で区分と見積の材料を取り出させる
- 結果を、当時の受付の担当の振り分けと、営業の担当が最終的に使った見積の方法と見比べる
見比べるのは、法人と家族の取り違えと、不用品の処分を含むかの見落としです。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の振り分けとほぼ同じ | Make のシナリオの組み立てに進む |
転勤を corporate にする | 指示に転勤の例を足す。構成は有効 |
| 建物の条件が分からず方法が決まらない依頼が多い | フォームの設問を足すのが先。 AI の問題ではない |
3行目が出たら、エレベーター・階数・トラックの停め場所を選ばせる設問を足してください。 設問を足した翌月の依頼で同じ40件の試し方をくり返し、見積の方法が決まらない依頼がどれだけ減ったかを数えてから、シナリオに進みます。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 転勤の依頼が法人の担当に回る | 社員の家財なら corporate にしないと指示に書く |
| 不用品を引き取れると案内してしまう | 引き取りの可否を AI に書かせず、区域の表で受付が決める |
| 担当が同じ人に偏る | Process data in order を有効にし、割り当ての件数を足してから次へ |
| 見積の方法が最初の連絡で変わる | 建物の条件の設問を足し、方法の表を直す |
| AI が台数や金額を書く | 書かないと指示に明記する |
| 区域が切り出せない | 受付の確認の一覧に回し、表に区域を足す |
| 特別な荷物の見落とし | special_items があれば受付の確認にも載せる |
| 構造化出力で400が返る | 数値の範囲・文字数の制約をスキーマに書かない |
| 下見の費用の案内がぶれる | ひな形に固定で書き、AI に書かせない |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「書かれた言葉の表面」で区分を決めることから起き、担当の取り違えと、できない約束の2つになります。
「担当が同じ人に偏る」も、動かし始めてすぐに出ます。 並行で動く設定のままだと、同じ時刻に届いた依頼が同じ件数の表を読み、同じ担当を選びます。順に処理する設定にするか、割り当てを人が確かめる運用にするかを、最初に決めてください。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: お客様の氏名・連絡先・今の住所と新しい住所・引越の日・家族の人数です。留守になる日と新しい住所の組み合わせは、漏れたときの影響が大きい情報です。
- 連絡先と番地を AI に渡さない … 区分を決めるのに要るのは区域までです
- 受付の一覧の権限を絞る … 引越の日と住所が並ぶので、見られる人を受付と営業の担当に限ります
- 不用品の回収の可否を AI に判断させない … 許可は自治体ごとで、できない約束はお客様の側にも排出の責任の問題を残します
- 見積の金額を AI に書かせない … 見積書の中身は約款で決まっていて、営業の担当が出します
- 引き受けの判断を AI にさせない … 特別な荷物は印を付けるだけで、引き受けるかは営業の担当が決めます
- 営業所への知らせに住所を書きすぎない … 営業所の共有のアドレスに送る知らせには、受付の番号・区分・区域・見積の方法だけを書き、番地と連絡先は受付の一覧を開いて見る形にします。 メールが転送されても、留守の日と住所が一緒に出回らないようにするためです
- 片付けの相談の事情を広げない … 遺品や空き家の片付けの相談には、家族の事情が書かれていることがあります。引き継ぎの票には区分の根拠の短い引用だけを載せ、自由記述の全文は受付の一覧に置きます
誤りが起きた場合のリスクは、担当の取り違えで最初の連絡が遅れることと、不用品の回収でできない約束をすることの2つです。 前者は区分の確かさと受付の確認で、後者は区域の表と人の判断で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:表を作る
担当の表(区分×区域)、見積の方法の表(荷物の量×建物の条件)、不用品の区域の表を作ります。不用品の区域の表は、会社が持つ許可と提携先を確かめながら埋めます。
2週目:40件で試す
先月の依頼から40件を手元の Claude の画面で判定し、当時の振り分けと見比べます。転勤の依頼を法人にしていないかを最優先で見ます。
3週目:フォームを直す
建物の条件(エレベーター・階数・トラックの停め場所)を選ばせる設問を足します。
4週目:Make で受けるところから票までをつなぐ
Webhook、Make an API Call、担当の表と方法の表の Search Rows、ルーター、受付の一覧の Add a Row までを作ります。この時点では営業所に知らせず、受付の担当が票と自分の振り分けを見比べます。
2か月目: 営業所への知らせを始め、受付の確認の一覧の件数と、区分を直した件数を毎週数えます。3か月目以降: 受付から最初の連絡までの時間を区分ごとに測ります。区分を直す件数が落ち着き、最初の連絡が届いた日のうちに出せるようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| 標準引越運送約款が引越運送とそれに附帯する荷造り・不用品の処理等のサービスに適用され、事業所等の移転などでこの約款によらない旨をあらかじめ告知した場合には適用されないこと。見積書の記載事項。見積料は請求せず、下見を行った場合に限り下見の費用を請求することがあり、見積りの前に金額を知らせて了解を得ること。動植物・ピアノ・美術品・骨董品など特殊な管理を要するものは、その荷物に限り引き受けを断ることがあること | 東北運輸局: 標準引越運送約款(PDF) | 2026-10-28 |
| 令和6年国土交通省告示第210号による改正(2024-06-01施行)で、標準引越運送約款の関係条項が第2条と第18条であること | 近畿運輸局: 標準貨物自動車運送約款等の一部改正について(PDF) | 2026-10-28 |
| 家庭の不用品の回収は一般廃棄物の収集運搬の許可を持つ業者に頼むこと。産業廃棄物の収集運搬の許可や古物商の許可では家庭のごみを回収できないこと(福岡市の場合) | 福岡市: 無許可の業者を利用しないでください | 2026-10-28 |
| Custom webhook が受け取るとすぐシナリオが動き、既定で並行に動き「Process data in order」で順に処理できること。Webhook response を途中に置くと後のエラーが伝わらないことがあること。10秒あたり300件を超えると429が返ること | Make Help Center: Webhooks | 2026-10-28 |
| ルーターの各ルートが順に評価され、どれにも当たらないものがフォールバックのルートで処理されること | Make Help Center: Router | 2026-10-28 |
| Anthropic Claude アプリに Make an API Call があり、構造化出力の記載が無いこと | Make Apps: Anthropic Claude | 2026-10-28 |
| Google Sheets に Search Rows・Add a Row・Update a Row があること | Make Apps: Google Sheets | 2026-10-28 |
| Gmail に Send an email があること | Make Apps: Gmail | 2026-10-28 |
構造化出力を output_config.format で指定し、数値の範囲や文字列の長さの制約に対応しないこと | Claude API Docs: Structured outputs | 2026-10-28 |
見積の金額、引越を引き受けるか、不用品を回収できるかは、営業の担当と、区域の自治体の決まりに沿って決めてください。 本記事は公開の資料で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
このユースケース(UC-2197)についてのご相談はこちらから。
