宿泊予約の備考欄と事前のメッセージから、アレルギーや記念日の要望を拾って部署別の申し送り表にする
予約の通知メールと宿泊客からの事前のメッセージを読み、アレルギー・記念日・到着時刻などの要望を拾います。調理場・客室係・フロントの欄に分けた申し送り表へ、予約ごとに1行で書き込みます。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- その他/宿泊/飲食
- 対象部門
- カスタマーサポート
- 対象業務
- データ入力・転記/分類・仕分け
- 主な課題
- 入力作業が多い/引き継ぎができていない/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 抽出
- 主な効果
- 入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 必須
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 予約係が共有アドレスの通知メールを開き、備考欄を読む
- 要望があれば、管理システムの予約のメモ欄に書き写す
- 食事に関わるものは、共有のスプレッドシートの「食事の申し送り」に宿泊日・部屋・内容を書く。調理場はこれを印刷して献立ノートに貼る
- 記念日や設えの要望は客室係のリーダーへ口頭か社内チャットで伝え、ケーキや花の手配が要るものは担当に依頼する
- 到着時刻や送迎の要望はフロントの引き継ぎノートに書く
- 予約サイトのメッセージで追加の連絡が来たら、1〜5を同じ予約についてやり直す
- 変更・キャンセルの通知が来たら、申し送り表と献立ノートの該当する行を探して直す
- 自動予約の通知メールとメッセージの通知メールを、共有アドレスから Zapier の受信用アドレスへ転送する
- 自動受信をきっかけに Zap が動き、件名と差出人から「新規予約」「変更」「キャンセル」「メッセージ」を見分ける
- 自動AI by Zapier が本文を読み、予約番号・宿泊日・人数と、要望を部署ごとの欄に分けて返す
- 自動申し送り表で予約番号を引き、行が無ければ作り、あれば変更の履歴として追記する
- 自動アレルギーの申し出か、確認が要るものがあれば、調理場と予約係へ通知する
- 人予約係が毎朝、3日後までに宿泊する予約の行を見て、拾われた要望を元の文面と見比べる
- 人確認が要るものについて、下書きを直して客へ問い合わせる
- 人調理場のリーダーが、アレルギーの行に「対応を確認した」の印を付ける
- 人客室係とフロントは、自部署の欄で絞り込んだ表を見て手配する
各工程の詳しい説明を読む
- 予約係が共有アドレスの通知メールを開き、備考欄を読む
- 要望があれば、管理システムの予約のメモ欄に書き写す
- 食事に関わるものは、共有のスプレッドシートの「食事の申し送り」に宿泊日・部屋・内容を書く。調理場はこれを印刷して献立ノートに貼る
- 記念日や設えの要望は客室係のリーダーへ口頭か社内チャットで伝え、ケーキや花の手配が要るものは担当に依頼する
- 到着時刻や送迎の要望はフロントの引き継ぎノートに書く
- 予約サイトのメッセージで追加の連絡が来たら、1〜5を同じ予約についてやり直す
- 変更・キャンセルの通知が来たら、申し送り表と献立ノートの該当する行を探して直す
(a)要望が備考欄に埋もれる。 備考欄の最後の一文に「妻がそばアレルギーです」と書かれていても、前半が到着時刻の話なら、読む人は到着時刻を書き写したところで次のメールへ移ってしまいます。 1日40件を順に開いていくと、長い備考ほど後半が読まれにくくなります。
(b)部署へ伝わる途中で落ちる。 1件の備考から、3つの部署へ別々の手段で伝えています。1か所だけ書き忘れても記録が残らず、「伝えた」「聞いていない」を確かめる手段がありません。
(c)予約の変更で申し送りが古くなる。 宿泊日が変わった予約のアレルギーの申し送りが、元の宿泊日のまま献立ノートに残っている。 人数が3名から4名になったのに、子ども用の食事が1名分のまま。変更の通知は元の予約とは別に届くので、直す人は元の申し送りがどこに書かれたかを探すところから始めます。
(d)直前のメッセージが間に合わない。 前日の夜に届いたメッセージは、翌朝の担当が気づかなければそのまま当日を迎えます。仕込みは前日から始まっていることが多く、当日に知っても対応できないことがあります。
- 【自動】 予約の通知メールとメッセージの通知メールを、共有アドレスから Zapier の受信用アドレスへ転送する
- 【自動】 受信をきっかけに Zap が動き、件名と差出人から「新規予約」「変更」「キャンセル」「メッセージ」を見分ける
- 【自動】 AI by Zapier が本文を読み、予約番号・宿泊日・人数と、要望を部署ごとの欄に分けて返す
- 【自動】 申し送り表で予約番号を引き、行が無ければ作り、あれば変更の履歴として追記する
- 【自動】 アレルギーの申し出か、確認が要るものがあれば、調理場と予約係へ通知する
- 【人】 予約係が毎朝、3日後までに宿泊する予約の行を見て、拾われた要望を元の文面と見比べる
- 【人】 確認が要るものについて、下書きを直して客へ問い合わせる
- 【人】 調理場のリーダーが、アレルギーの行に「対応を確認した」の印を付ける
- 【人】 客室係とフロントは、自部署の欄で絞り込んだ表を見て手配する
6番目が、この設計の分かれ目です。 予約係が元の文面と見比べてから確定させます。 ただし見るのは要望が拾われた行だけです。
8番目の印を、別の人に付けさせているのも意図してのことです。 予約係が「伝えた」だけでは、調理場が受け取ったかは分かりません。アレルギーの行だけは、受け取った側が印を付けるまで「未確認」のまま残ります。 未確認の行が宿泊の前日に残っていれば、その日のうちに気づけます。
02今回想定するシステム構成
予約サイト・自社サイトの予約通知/予約サイトのメッセージ通知 │ 共有アドレスから自動転送 ▼【トリガー】Email by Zapier(New Inbound Email) Zapier ├──▶ 件名・差出人で種類を見分ける(新規/変更/キャンセル/メッセージ) ▼ AI by Zapier(Analyze and Return Data) │ 予約番号・宿泊日・人数と、要望を部署ごとに返す │ ① 調理場(アレルギー/苦手な食材/子どもの食事) │ ② 客室係(記念日/設え/寝具・備品) │ ③ フロント(到着時刻/送迎/支払・その他) ▼ Paths ── アレルギーあり/確認が要る/要望あり/要望なし ▼ Google スプレッドシート(申し送り表)── 予約番号で行を引いて作成・追記 ▼ 【人が要望のある行だけ確認】 ├──▶ 調理場・予約係への通知 └──▶ 確認が要るものは、客への問い合わせの下書き
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier | Make、Power Automate、n8n |
| 生成AI | AI by Zapier(Analyze and Return Data) | OpenAI API、Claude API、Gemini API |
| 受信 | Email by Zapier(New Inbound Email) | IMAP by Zapier(New Email) |
| 台帳 | Google スプレッドシート(申し送り表と手配の締め切り表) | Microsoft Excel(オンライン) |
| 通知 | Slack | Microsoft Teams、社内メール |
宿泊の管理システムは、この構成からは書き換えません。 申し送り表は管理システムの外に置く作業用の表で、管理システムへの登録は今までどおり予約係が行います。
受信は Email by Zapier の New Inbound Email を使います。 自分で決めた @zapiermail.com のアドレスで受ける仕組みで、共有アドレスから自動転送を設定すれば、予約係の運用は変わりません。 受け取れるのは添付を含めて10MB未満で、差出人のあるメールです。Google グループなどの配信リストからの自動通知はトリガーになりません。
気をつけたいのは、Zap が動くまでの時間に保証がないことです。 Zapier のヘルプでは、Email by Zapier は遅れることがあり、IMAP by Zapier のほうが時間の面で確実とされています。当日のメッセージを急いで拾いたい施設は、IMAP by Zapier を代替に置きます。
AI by Zapier は、Zap の1ステップとしてAIの処理を足せる機能です。 指示文、入力の項目、出力の項目(名前・型・説明)を自分で決め、後ろのステップでその項目を1つずつ使えます。 Professional、Team、Enterprise のプランで使えます。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
予約係の共有アドレスに届いた通知メールを、Zapier の受信用アドレスへ転送したことを起点にします。 転送するのは4種類です。新規予約の通知、変更の通知、キャンセルの通知、予約サイトのメッセージの通知です。
転送の条件は、メールソフトの側で差出人のアドレスで絞ります。予約サイトや自社サイトの予約画面から届くメールだけを送り、客との個別のやり取りや社内のメールは送りません。 絞らないと、関係のないメールに対してもAIが動き、申し送り表に空の行が増えます。
1日1回まとめて動かす形にはしません。 宿泊の前日の夜に届いたメッセージを翌朝まで拾わないと、調理場の仕込みに間に合わない場合があるからです。届くたびに1通ずつ動かします。 動いた結果は申し送り表の行として残るので、朝の担当者は表を見れば夜のあいだに何が届いたかが分かります。
電話の予約はこの経路に乗りません。要望を聞いたときは、予約係が同じ受信用アドレスへ予約番号と聞き取った内容を1通送ります。 経路を1つにそろえます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 予約の通知メール | 件名、差出人、本文(予約番号、宿泊日、泊数、人数、プラン名、備考欄) | Email by Zapier で受けたメール |
| メッセージの通知メール | 予約番号、客からのメッセージの本文、受信日時 | 同上 |
| 申し送り表の既存の行 | 同じ予約番号の行の、これまでの要望と変更の履歴 | Google スプレッドシート |
| 手配の締め切り表 | 要望の種類ごとに、宿泊日の何日前までに手配が要るか | Google スプレッドシート(自施設で用意) |
質を決めるのは、いちばん下の表です。 誕生日のケーキは3日前まで、子ども用の寝具は前日まで、というように、要望の種類ごとの締め切りを施設で決めて表にします。 これが無いと、拾った要望がいつまでに手配すべきものかが分かりません。
プラン名も大事な入力です。 素泊まりのプランの予約に「夕食のアレルギー」と書かれていれば、それは食事の手配ではなく、プランの変更を客に確かめる話になります。プラン名と要望の組み合わせで、確認が要るかを決めます。
データの取得方法を決める
メールの本文と件名は、Email by Zapier のトリガーが返す項目をそのまま次のステップへ渡します。予約番号や宿泊日を取り出すために、別の文字列処理のステップは組みません。 通知の書式は予約サイトごとに違い、書式が変わるたびに直す場所が増えるからです。AI by Zapier の出力の項目に予約番号と宿泊日を含め、本文から読み取らせます。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 本文、件名、差出人 | Email by Zapier のトリガー | 種類の判別と、要望の拾い出し |
| 予約番号、宿泊日、人数、プラン名 | AI by Zapier の出力の項目 | 申し送り表の行を引く鍵と、締め切りの計算 |
| 同じ予約番号の既存の行 | Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row | 追記か新規作成かの判断 |
| 要望の種類ごとの締め切り | 手配の締め切り表 | 手配の期限の列を埋める |
既存の行は、予約番号で引きます。 Lookup Spreadsheet Row は列と値で行を探して行全体を返し、見つからなければ新しい行を作る設定もできます。 宿泊日の変更の通知では宿泊日が変わっているため、鍵は予約番号だけにします。
締め切りの計算は、スプレッドシートの数式で行います。 申し送り表の行に宿泊日と要望の種類が入れば、締め切り表を参照して「何月何日までに手配」を数式で出します。日付の計算をAIにさせません。
AIへ渡す前に整形する
- 種類の判別 … 件名と差出人で「新規」「変更」「キャンセル」「メッセージ」を見分けます。見分けられないものは「その他」として予約係に回します
- 転送の重複の除去 … 同じ通知が二度転送されることがあります。予約番号と受信日時が同じものは2通目を処理しません
- 引用部分の除去 … メッセージの通知には、過去のやり取りが引用として付いてくることがあります。新しく書かれた部分だけをAIに渡します
- 署名と定型文の除去 … 予約サイトの通知の末尾に付く案内文や広告は渡しません。要望と取り違える元になります
- 言語の確認 … 日本語以外の文面は、原文のまま渡し、出力の項目で日本語と原文の両方を返させます
- キャンセルの判別 … キャンセルの通知はAIに渡さず、申し送り表の行に「キャンセル」の印を付けるだけにします
3番目を軽く見ないでください。 予約サイトのメッセージには、以前の客の書き込みがそのまま引用されることがあります。1週間前に書かれた「到着は18時」と、昨日書かれた「到着が21時になります」が同じ本文に並ぶと、AIはどちらが新しいかを取り違えます。
6番目も意図してのことです。 キャンセルの通知にAIを通すと、残っている備考欄からキャンセルされた予約の申し送りが作られてしまいます。
AIに処理させる
させるのは、文面から要望を拾い、部署ごとの欄に分け、根拠にした文面を写すことだけです。
| 見るもの | 拾い方 | 判断できないときの扱い |
|---|---|---|
| アレルギーの申し出 | 「アレルギー」と書かれた食材を、客の書いた語のまま | 「アレルギー」と書かれていなくても体調に関わる書き方なら needs_confirmation |
| 苦手な食材・食べられないもの | 食材と、「苦手」「食べられない」などの書き方 | アレルギーか好みか分からなければ needs_confirmation |
| 子どもの食事・人数 | 年齢、食事の有無、取り分けの要望 | 年齢が書かれていなければ空欄 |
| 記念日・お祝い | 種類(誕生日・結婚記念日など)と、ケーキ・花などの依頼の有無 | 依頼か伝えただけかが分からなければ needs_confirmation |
| 設え・寝具・備品 | ベッドの配置、枕、ベビーベッドなど | 在庫の有無は判断しない |
| 到着・送迎 | 到着予定の時刻、送迎の依頼 | 時刻が幅で書かれていれば遅いほうを入れる |
| その他 | 上のどれにも入らない要望 | そのまま other に写す |
右端の列の1行目と2行目が、この構成でいちばん大事な区別です。 「アレルギー」と書かれていればアレルギーとして拾います。書かれていなくても、「食べると体調が悪くなる」「医師に止められている」のような書き方なら、アレルギーとも好みとも決めずに確認へ回します。 逆向きの判断、つまり「これはアレルギーではないので苦手の欄へ」とは決めさせません。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| アレルギーの有無の結論 | 申し出の扱いは施設が決める。AIは書かれた事実だけを拾う |
| 食材の言い換え・まとめ | 「甲殻類」を「えび」に狭めない。「えび・かに」を「甲殻類」に広げない |
| 対応できるかの判断 | 調理場が決める。在庫や献立を知らないAIに決めさせない |
| 締め切りの計算 | スプレッドシートの数式で行う |
| 客への返信の送信 | 下書きまでにする。送るのは予約係 |
2行目がいちばん起きやすい失敗です。 「甲殻類」を「えび・かに」に書き換えると、ロブスターやしゃこが調理場の注意から外れます。
指示内容を固定する
AI by Zapier の指示文の欄に次の内容を書き、入力の項目に本文・件名・プラン名を割り当てます。
あなたは旅館の予約係です。予約の通知またはメッセージの本文から、
宿泊客の要望を拾い、調理場・客室係・フロントの欄に分けてください。
本文に書かれていることだけを使ってください。推測で埋めないでください。
【拾う項目】
- 予約番号、宿泊日(YYYY-MM-DD)、泊数、大人と子どもの人数
- 調理場:アレルギーの申し出、苦手な食材、子どもの食事
- 客室係:記念日・お祝い、ケーキや花の依頼、寝具・備品の要望
- フロント:到着予定の時刻、送迎の依頼、その他
【厳守事項】
- 食材は客が書いた語のまま写してください。
「甲殻類」を「えび」に狭めたり、「えび」を「甲殻類」に広げたりしないでください。
- 「アレルギー」と書かれたものだけを allergy に入れてください。
- 「苦手」「食べられない」「体調が悪くなる」「医師に止められている」など、
アレルギーか好みか本文から決められないものは、allergy にも dislike にも
入れず、needs_confirmation を true にして confirm_items に入れてください。
- 「これはアレルギーではない」と判断しないでください。迷ったら確認に回してください。
- 記念日は、客がケーキや花などを依頼しているのか、伝えただけなのかを分けてください。
分からなければ celebration_request を "unknown" にしてください。
- 対応できるかどうか、在庫があるかどうかは書かないでください。
- 各項目の evidence には、根拠にした本文の一文をそのまま写してください。
- 書かれていない項目は空欄にしてください。「特になし」と書かないでください。
- 引用された過去のやり取りと新しい書き込みが混ざっている場合は、
新しい書き込みだけを使ってください。区別できなければ needs_confirmation を true にしてください。
- 日本語以外の文面は、日本語に訳した内容と原文の両方を返してください。
- 素泊まりのプランで食事の要望が書かれていたら、plan_mismatch を true にしてください。
- needs_confirmation が true のときは、客への確認の文面の下書きを confirm_draft に書いてください。
丁寧な日本語で、確認したいことを1つずつ質問にしてください。
【本文】{body}
【件名】{subject}
【プラン名】{plan_name}
「広げない・狭めない」を明記しないと、AIは親切に言い換えます。 「甲殻類」と書かれていれば、調理場に分かりやすいように「えび・かに」と書き直そうとします。禁じるのは言い換えそのものです。
「特になし」と書かせないのも同じ理由です。 空欄と「特になし」が混ざると、申し送り表を絞り込むときに「特になし」の行が要望ありとして拾われます。書かれていないものは空欄、に統一します。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力の項目として、次の形で受け取ります。 各項目は後ろのステップで1つずつ使えます。
{
"message_type": "new | change | message",
"reservation_no": "",
"stay_date": "YYYY-MM-DD",
"nights": 1,
"adults": 2,
"children": 0,
"kitchen": {
"allergy": [{ "item": "", "evidence": "" }],
"dislike": [{ "item": "", "evidence": "" }],
"child_meal": ""
},
"room": {
"celebration": "",
"celebration_request": "yes | no | unknown",
"amenities": ""
},
"front": { "arrival_time": "", "pickup": "", "other": "" },
"needs_confirmation": false,
"confirm_items": [{ "text": "", "evidence": "" }],
"plan_mismatch": false,
"original_language": "ja",
"confirm_draft": ""
}
1つ目の理由は、部署ごとの欄を列として持てることです。 申し送り表は1予約1行で、調理場・客室係・フロントの欄が別の列になります。各部署は自分の列が空でない行だけを絞り込んで見ます。 1つの文章にまとめて返させると、部署ごとに読み分ける作業が人に戻ります。
2つ目は、needs_confirmation で Paths の分岐を決められることです。 Paths は1グループに最大10本の分岐と、どの条件にも当たらないときに動く Fallback を1本置けます。
| 分岐 | 条件 | 動くこと |
|---|---|---|
| アレルギーあり | kitchen.allergy が空でない | 行を作り、調理場と予約係へ通知する |
| 確認が要る | needs_confirmation または plan_mismatch が true | 行を作り、予約係へ下書きとともに通知する |
| 要望あり | 部署の欄のどれかが空でない | 行を作る |
| 要望なし(Fallback) | 上のどれにも当たらない | 件数を記録する行だけ作る |
分岐は左から順に1本ずつ動きます。 Zapier のヘルプでは、分岐は左から右へ1つずつ実行されるとされています。アレルギーありの分岐をいちばん左に置き、通知が後回しにならないようにします。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 予約係の共有アドレス | メールの自動転送 | 予約サイト・自社サイトからの通知だけを転送する |
| Email by Zapier | Zap のトリガー(New Inbound Email) | 転送されたメールを受け取る |
| AI by Zapier | Zap のアクション(Analyze and Return Data) | 要望を部署ごとの項目で返す |
| Google スプレッドシート | Lookup Spreadsheet Row と行の作成・更新 | 予約番号で行を引き、作成または追記する |
| Slack | Zap のアクション | アレルギーと確認が要るものだけを通知する |
宿泊の管理システムへは書き込みません。 この構成が作るのは申し送りの作業用の表までで、予約の正本の書き換えは予約係が行います。 自動で書き込むと、拾い違えた要望や、キャンセル済みの予約への書き込みが正本に残ります。
変更の通知では、行を上書きしません。 同じ予約番号の行が見つかったら、変更の内容を「変更の履歴」の列に日時とともに追記し、宿泊日や人数の列だけを新しい値にします。要望の列を消して書き直すと、最初の予約で書かれていたアレルギーが、変更の通知に書かれていないという理由で消えます。
Google スプレッドシートの側は、書式をそろえておきます。 Zapier のヘルプでは、Google Sheets を使うには厳密な書式の要件があるとされています。1行目を見出しにして、列の途中に空の列を作らないでください。
人が確認する
予約係が毎朝見るのは、3日後までに宿泊する予約のうち、要望のある行だけです。 要望なしの行は件数だけを見て終わりにします。全件を開く設計にすると、第10章の20.0時間には収まりません。
- 確認が要る行を先に見る …
needs_confirmationとplan_mismatchの行。下書きを直して客へ問い合わせ、返事が来るまで行を「確認中」にします - アレルギーの行の根拠を確かめる …
evidenceの一文を読み、食材の語が客の書いたとおりかを見ます。疑わしければ元のメールを開きます - 締め切りが近い手配を見る … 数式で出した締め切りが今日から2日以内の行を、手配の担当へ直接伝えます
- 拾われなかった要望がないかを抜き取りで見る … 要望なしの行から毎日数件を選び、元のメールを読みます
- 判定を直したら記録する … どの項目を、どちらに直したかを残します
調理場のリーダーは、アレルギーの行に「対応を確認した」の印を付けます。 印の無い行が前日の15時に残っていれば、予約係が調理場へ直接確かめます。
4番目を省かないでください。 要望を拾い落とした行は、要望なしの行として静かに流れます。見逃しは表の上に現れないので、抜き取りでしか見つかりません。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 予約番号が読み取れない | 行を作らずに予約係へ通知する。番号の無い行を作ると、後の変更の通知で引けなくなる |
| 申し送り表に予約番号が無いのに、変更・メッセージが届く | 電話の予約か、転送の漏れを疑う。新しい行を作り「元の予約の申し送りなし」の印を付ける |
| キャンセルの後にメッセージが届く | 行を作り直さず、予約係へ通知する |
| 宿泊日が過去の日付 | 読み取り違いを疑い、行を作らずに予約係へ回す |
| メールが10MBを超える、差出人が無い | Zap が動かない。転送元の設定を見直す |
| AI by Zapier のステップが失敗する | 行を作らず、失敗した通知を予約係へ。元のメールは共有アドレスに残っている |
| 同じ通知が二度届く | 予約番号と受信日時で2通目を処理しない |
上から3行目までが、運用で最初に出てくるものです。 どれもAIの読み取りの問題ではなく、予約の経路が1つにそろっていないことの問題です。 電話の予約を受信用アドレスへ送る運用が定着すると、2行目は減ります。
記録を残す
- 受け取った通知メールの本文と受信日時、種類(新規/変更/キャンセル/メッセージ)
- AI by Zapier が返した出力の項目の全文
- 申し送り表の各行と、変更の履歴の列
- 予約係が判定を直した記録 … どの項目を、どちらに直したか
- 調理場のリーダーがアレルギーの行に付けた印と、その日時
- 客へ問い合わせた日時と、返事の内容
3つ目の変更の履歴は、「伝わっていなかった」が起きたときに使います。 いつの時点でどの要望が表にあったかが分かれば、拾い落としたのか、変更の通知で消えたのか、部署が見ていなかったのかを切り分けられます。
4つ目は指示文を直す材料です。 AI by Zapier は過去の処理から学習しないので、毎回直している書き方は指示文の例に足します。
04実装レベルの3段階
最小構成では件数がさばけません。 1日40件を1件ずつ貼り付けるのは、今の作業より手間が増えます。確かめるための段階です。 半自動化で、1件3分が1分になり、この段階が本記事の想定です。 読む・書き写す・部署へ伝えるの3つが自動になり、残るのは要望のある行を元の文面と見比べる作業と、確認が要るものへの問い合わせです。 要望なしの行は件数を見るだけで済みます。 本格構成は、リピーターが多い施設で効きます。 前回「そばのアレルギー」と申し出た客が、今回は何も書いていないことがあります。前回の申し送りと「今回は記載なし」を並べて見せれば、予約係が客に確かめられます。 ただし、前回の申し出を今回の申し送りに自動で入れることはしません。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の表を1か月見ると、転送から漏れている経路が分かります。そこを直してから本格構成に進みます。
05工数削減シミュレーション
導入後 1,200件 × 1分 ÷ 60 = 20 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 客室数が数十〜百数十室で、予約サイト・自社サイト・電話の予約が混在し、備考欄とメッセージの要望を予約係が読んで各部署へ伝えている旅館・ホテル。夕食付きのプランが多く、アレルギーや記念日の申し出を調理場へ確実に届けたい場合。予約通知をメールで受け取っており、転送の設定ができる場合。
- 予約の大半が素泊まりで、備考欄にほとんど何も書かれない宿泊施設。管理システムの側に要望の項目があり、予約サイトからの取り込みで部署ごとに振り分けられている場合。なお、アレルギーの申し出にどう対応するか、対応できない場合に予約をどう扱うかは施設の判断で、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 先月の予約の通知メールから50件を選ぶ(うち10件は、アレルギーや記念日が書かれていたと分かっているものを入れる)
- その50件について、当時どの部署へ何を伝えたかを、申し送りのスプレッドシートと献立ノートから拾う
- 手元のAIサービスの画面に1件ずつ本文を貼り付ける
- 「この本文から、調理場・客室係・フロントに伝える要望を分けて拾ってください。食材は書かれた語のまま写してください。アレルギーか好みか分からないものは確認が要るとしてください。根拠の一文も写してください」と指示する
- 出てきた結果を、当時の申し送りと突き合わせる
50件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「本文から要望を拾えば部署に届けられるのか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の申し送りと同じ要望が拾えた | Zapier の連携に進む |
| 当時の申し送りに無い要望が拾えた | 当時の見落としが見つかった。構成は有効 |
| 食材を言い換えた、「特になし」と書いた | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 本文に予約番号や備考が入っていない | 通知メールの設定が先。 予約サイトの側で通知の内容を確かめる |
2行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、備考欄の後半が読まれていなかったことが分かったということです。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 食材が言い換えられる | 「広げない・狭めない」を指示に明記する。 根拠の一文と見比べる |
| 好みかアレルギーか分からない書き方が苦手の欄に入る | 迷ったら確認に回す、を指示に書く。 逆向きの判断をさせない |
| 変更の通知でアレルギーが消える | 要望の列を上書きしない。 変更は履歴の列に追記する |
| キャンセルされた予約の申し送りが作られる | キャンセルの通知はAIに渡さない。行に印を付けるだけにする |
| 引用された古いメッセージを拾う | 新しい書き込みだけを渡す。区別できなければ確認に回す |
| Zap が動くまでに時間がかかる | Email by Zapier は時間の保証がない。急ぐなら IMAP by Zapier |
| 配信リストからのメールで Zap が動かない | 差出人の無いメールはトリガーにならない。転送元を見直す |
| 電話の予約の要望が表に載らない | 予約係が受信用アドレスへ1通送る運用にする |
| 調理場が表を見ていない | アレルギーの行は受け取った側の印で閉じる |
| 客への問い合わせが自動で送られる | 下書きまでにする。 送信は予約係が行う |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「客が書いたことが、そのまま調理場に届かない」という同じ結果になります。
下の2行も早く効いてきます。 調理場が見ていなければ表は意味がないので、受け取った側の印を最初から設計に入れてください。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 宿泊客の氏名、予約番号、宿泊日、同行者の人数と子どもの年齢、そしてアレルギーや体調に関わる申し出です。記念日の内容から、家族の構成や私生活が分かることもあります。
- 外部へ渡す範囲を限る … 通知メールに電話番号や住所、支払の情報が含まれる場合は、入力の項目を備考欄とメッセージの部分に絞る設計にできます
- 体調に関わる申し出を、部署の外へ広げない … 申し送り表の共有は担当者だけにします。清掃の委託先など業務に関係のない人が見られる状態にしないでください
- この構成はアレルギーへの対応の判断を代替しません … どの食材まで対応するか、対応できないときに客へどう伝えるかは、施設と調理場が決めることです。 この構成が出すのは、客が何を書いたかという事実だけです
- 前回の申し出を、今回の申し出として扱わない … リピーターの過去の申し送りは確認の材料にとどめ、今回の申し送りに自動で入れないでください
- AIの利用先を決めておく … Zapier が用意するモデルを使うか、自社で契約したキーを使うかで、データがどこへ渡るかが変わります
- 客への連絡を自動で送らない … 出すのは下書きまでです。アレルギーについて客へ確かめる文面は、言葉の選び方ひとつで受け取られ方が変わります
誤りが起きた場合のリスクは、申し出を拾い落とすことと、取り違えて伝えることの2つです。 前者は備考の後半や引用に埋もれた書き込みで起き、後者は食材の言い換えで起きます。どちらも「客の書いた一文をそのまま写す」ことで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:申し送り表の列と、手配の締め切り表を決める
3部署のリーダーと、申し送り表にどの列を置くかを決めます。あわせて、ケーキ、花、ベビーベッド、送迎など、要望の種類ごとに何日前までに手配が要るかを表にします。月に5件以上ある要望から埋めます。
2週目:50件で試す
先月の通知メールから50件を選び、手元のAIサービスに貼り付けて要望を拾わせます。当時の申し送りと突き合わせ、食材を言い換えていないか、好みかアレルギーか分からないものを勝手に決めていないかを最優先で見ます。
3週目:転送の条件を決める
どの差出人のメールを転送するかを決めます。予約サイトごとに通知の差出人を洗い出し、電話の予約の要望を送る運用もこのときに決めます。
4週目:受信から申し送り表までをつなぐ
Zapier で受信用アドレスを作り、AI by Zapier で要望を拾い、申し送り表に行を作るところまで組みます。この時点では通知を出さず、予約係が今までどおりの作業と並べて表を見ます。
2か月目: Paths でアレルギーと確認が要るものの分岐を作り、通知を出します。調理場のリーダーが印を付ける運用を始めます。3か月目以降: 変更の通知の追記を足し、1件3分が何分になったかを実測します。抜き取りで見つかる拾い落としがなくなり、アレルギーの行がすべて前日までに印で閉じるようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
Email by Zapier の New Inbound Email が @zapiermail.com のアドレスで受けて Zap を動かすこと。添付を含めて10MB未満。配信リストからの自動通知はトリガーにならないこと。動く時間に保証がなく、IMAP by Zapier のほうが確実とされること | Zapier Help: Trigger Zap workflows from new emails | 2026-09-29 |
| AI by Zapier が指示文・入力の項目・出力の項目(名前・型・説明)で処理を足せ、出力を後ろのステップで使えること。Professional 以上のプランで使えること。OpenAI、Anthropic、Google、Azure OpenAI、Amazon Bedrock のキーもつなげること。過去の処理から学習しないこと | Zapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-09-29 |
| Paths が1グループに最大10本の分岐と、Fallback を1本置けること。分岐が左から右へ1つずつ実行されること。Free のプランでは使えないこと | Zapier Help: Add branching logic to Zap workflows with Paths | 2026-09-29 |
| Lookup Spreadsheet Row が列と値で行を探して行全体を返し、無ければ作る設定ができること。厳密な書式の要件があること | Zapier Help: How to get started with Google Sheets on Zapier | 2026-09-29 |
アレルギーの申し出への対応は、施設と調理場で決めてください。 本記事は Zapier のヘルプで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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