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受け取った名刺とその場のメモから、フォローの優先順位と初回メールの下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

名刺の写真と、その場で吹き込んだ音声メモを入力に、会社名・氏名・役職・連絡先を読み取り、会話の内容から関心事と検討時期を抽出して、フォローの優先順位と初回メールの下書きまで用意します。営業の作業は、入力と文面づくりから、送る前の確認に変わります。

サマリー
利用ツール
AWS Textract/Azure AI/ChatGPT/Claude/Gemini/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/人材/広告/建設/製造
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
データ入力・転記/分類・仕分け
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/営業フォローが追いつかない
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
40h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
70%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 展示会や訪問先で名刺を受け取り、その場で会話する
  2. 帰社後、名刺をまとめてスキャンするか、CRMに手で入力する
  3. 会話の内容を思い出しながら、CRMのメモ欄に書く
  4. どの相手から連絡するかを、名刺の束を見ながら決める
  5. 初回のお礼メールを1通ずつ書く
  6. 送信後、次回の連絡予定をCRMに登録する(登録しないこともある)
導入後(After)
  1. 名刺を受け取った直後、スマートフォンで名刺を撮影する
  2. その場で30秒、会話の内容を音声で吹き込む(何に困っていたか、いつ頃の話か)
  3. 自動名刺画像から会社名・氏名・部署・役職・連絡先を読み取る
  4. 自動音声メモを文字にし、関心事・課題・検討時期・次の約束を抽出する
  5. 自動CRMの既存顧客・既存リードと照合し、重複と過去の接点を確認する
  6. 自動属性(役職・部門)とメモの内容から、フォローの優先度をA/B/Cで付ける
  7. 自動優先度と関心事に合わせた初回メールの下書きを作る
  8. 営業が下書きを見て、直して送る
  9. 自動送信結果と次回の連絡予定をCRMへ登録する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 展示会や訪問先で名刺を受け取り、その場で会話する
  2. 帰社後、名刺をまとめてスキャンするか、CRMに手で入力する
  3. 会話の内容を思い出しながら、CRMのメモ欄に書く
  4. どの相手から連絡するかを、名刺の束を見ながら決める
  5. 初回のお礼メールを1通ずつ書く
  6. 送信後、次回の連絡予定をCRMに登録する(登録しないこともある)

問題は4つあります。

(a)入力が後回しになる。 訪問が続く週は、名刺が机の上にたまります。1週間後に入力すると、会話の内容はほとんど思い出せません。 残るのは会社名と氏名だけです。

(b)優先順位が感覚で決まる。 「大手だったから」「話が弾んだから」で順番が決まります。実際には、規模の小さい会社の担当者が具体的な検討時期を口にしていた、ということが起きます。

(c)初回連絡が遅れる。 展示会の翌週に送ったメールは、相手が他社の資料も見終わった後です。名刺交換から連絡までの日数は、商談化率に効いてくる項目です。

(d)フォローされない名刺が出る。 月300枚のうち、一度も連絡しないまま終わるものが一定数あります。誰も意図していませんが、束の下のほうに埋もれます。

  1. 名刺を受け取った直後、スマートフォンで名刺を撮影する
  2. 【人】 その場で30秒、会話の内容を音声で吹き込む(何に困っていたか、いつ頃の話か)
  3. 【自動】 名刺画像から会社名・氏名・部署・役職・連絡先を読み取る
  4. 【自動】 音声メモを文字にし、関心事・課題・検討時期・次の約束を抽出する
  5. 【自動】 CRMの既存顧客・既存リードと照合し、重複と過去の接点を確認する
  6. 【自動】 属性(役職・部門)とメモの内容から、フォローの優先度をA/B/Cで付ける
  7. 【自動】 優先度と関心事に合わせた初回メールの下書きを作る
  8. 【人】 営業が下書きを見て、直して送る
  9. 【自動】 送信結果と次回の連絡予定をCRMへ登録する

自動化されるのは「読み取る」「文字にする」「照合する」「優先度を付ける」「下書きを作る」の5つです。残るのは、会話を吹き込むことと、送る前に文面を確認することです。

吹き込みの30秒だけは人の手間が増えています。 ただし、これが後工程のすべての入力になります。帰社後に思い出して書く2分より、その場の30秒のほうが、内容が濃く正確です。

02今回想定するシステム構成

構成図
スマートフォン(名刺の写真 + 30秒の音声メモ)
   │
   ▼ フォームアプリから送信
   │
   ▼【トリガー】新しい回答が届いたとき
Zapier
   │
   ├──▶ Azure AI Vision(OCR)── 名刺画像から文字を抽出
   │
   ├──▶ 音声を文字起こし
   │
   ├──▶ Claude API ── 項目の構造化・関心事の抽出・優先度付け・メール下書き
   │
   ├──▶ CRM を検索(会社名・ドメイン・氏名で既存を照合)
   │
   ├──▶ CRM へリードを登録(重複候補は別扱い)
   │
   └──▶ 営業本人のチャットへ「下書きができました」と通知
   │
   ▼
営業が下書きを確認して送信 ──【人】
   │
   ▼
送信結果と次回予定を CRM へ記録
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapierMake、Power Automate、n8n
OCRAzure AI VisionGoogle Document AI、AWS Textract
生成AIClaude APIOpenAI API、Gemini API
入力Microsoft FormsGoogle フォーム、専用アプリ
CRM既存のCRM各社の製品

名刺管理サービスをすでに使っているなら、まずその機能を確認してください。 名刺のデータ化とCRM連携は、多くの製品が標準で持っています。自前で組む価値があるのは、「会話の内容から優先度を付ける」部分です。 名刺のデータ化だけなら、既製品のほうが確実で安く済みます。

その場合の構成は、名刺管理サービスでデータ化した結果を受け取り、音声メモと組み合わせて優先度と下書きを作る形になります。OCRの部分を自前で持つ必要はありません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

営業がスマートフォンのフォームから、名刺の写真と音声メモを送信したときを起点にします。Zapier では、この「新しい回答が届いたとき」がZapのトリガーになり、その後のアクション(OCR、AI処理、CRM登録、通知)が順に実行されます。

入力の窓口は1つに絞ってください。 メールで送る人、チャットに貼る人、あとでまとめて複合機でスキャンする人が混在すると、処理の入口が分かれて運用が崩れます。

音声メモを必須にするか任意にするかは、運用の分かれ目です。必須にすることをおすすめします。 任意にすると、忙しい日は誰も吹き込まず、結局「名刺のデータ化だけ」に戻ります。30秒でよいと決めて、必須にしてください。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
名刺画像表面(裏面があれば両面)スマートフォンの撮影
音声メモ30秒程度。何を話したか、相手が何に困っていたか、時期スマートフォンの録音
接点の種類展示会/セミナー/訪問/紹介/来訪フォームの選択肢
営業担当送信者フォームの回答者情報
CRMの既存データ既存顧客、過去のリード、商談履歴CRM
自社の優先度基準どの部門・役職・課題を優先するか営業部の文書
Step3

データの取得方法を決める

名刺画像: フォームのファイル添付で受け取ります。OCRには Azure AI Vision の Read を使います。印刷されたテキストと手書きのテキストの両方を抽出でき、日本語を含む複数言語に対応します。入力はJPEG、PNG、BMP、PDF、TIFFが使え、画像は50×50ピクセル以上、最大10,000×10,000ピクセル、500MB未満である必要があります。名刺の撮影画像であればこの範囲に十分収まります。

音声メモ: フォームの音声添付、または録音アプリのファイルを受け取り、文字起こしにかけます。騒がしい展示会場での録音になるため、文字起こしの精度は事務所での録音より落ちます。 社名や製品名が誤って起こされる前提で、後段の処理を組みます。

CRMの既存データ: 会社名、メールアドレスのドメイン、氏名で検索します。ドメインでの照合が一番確実です。 会社名は表記ゆれが多く、氏名は同姓同名があります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 名刺の向きの補正 … 斜めに撮られた画像を補正します。OCRサービス側で自動補正されるかを確認し、されない場合は前段で回転させます
  2. 裏面の統合 … 裏面に英語表記や事業内容が書かれている名刺があります。2枚1組として扱い、両面をまとめてAIへ渡します
  3. 音声の無音除去 … 録音の前後の無音と、周囲の雑談部分を落とします
  4. 固有名詞の辞書当て … 文字起こしに自社の製品名、競合名、業界用語の辞書を当てます。「サービス名を言ったのに全く別の語になっている」状態だと、関心事の抽出が的外れになります
Step5

AIに処理させる

処理内容
名刺項目の構造化会社名、部署、役職、氏名、フリガナ、電話、メール、住所、Webサイト
会社の正式名称への正規化「(株)」「㈱」「カブシキガイシャ」を統一し、CRMの表記に寄せる
関心事の抽出メモから、相手が話した課題・関心・現在使っている製品
検討時期の抽出「今期中」「来年度の予算で」などの時期の表現
次の約束の抽出「資料を送る」「来月また連絡する」といった宿題
優先度の判定属性とメモの内容から A/B/C を付け、理由を書く
初回メールの下書き会話で出た話題に触れた、5〜8行の文面

優先度の判定基準は、プロンプトに明示的に書いてください。 AIに「重要そうな人を選んで」と任せると、役職の高さだけで判断します。自社の基準(どの部門のどの課題が商談になりやすいか)を言語化して渡すことが、この構成でもっとも価値のある準備です。

Step6

指示内容を固定する

あなたは法人営業のフォローを支援する担当者です。
名刺のOCR結果と、営業がその場で吹き込んだ音声メモの文字起こしから、
リード情報を整理し、フォローの優先度と初回メールの下書きを作ってください。

【厳守事項】
- OCRとメモに書かれていないことを書かないでください。
  会社の事業内容や規模を推測で補わないでください。
- メモに出てこなかった課題を、業界の一般論から補わないでください。
- 会社名は、下のCRM候補に一致するものがあればその表記に合わせてください。
  一致しない場合は名刺の表記のままにし、reason に書いてください。
- 検討時期は、メモで実際に言及された表現のみを拾ってください。
  「すぐに必要そう」といった解釈を書かないでください。

【優先度の基準】
- A ... 具体的な検討時期(今期中・来年度予算など)に言及がある、
        または現在の課題を自分の言葉で説明している
- B ... 課題の話は出たが時期の言及がない、または情報収集の段階と述べている
- C ... 立ち話のみ、名刺交換だけ、明確に「今は不要」と述べている
- 役職の高さだけでAにしないでください。役職は補助的な材料です。

【初回メールの下書き】
- 5〜8行にしてください。
- メモに出てきた話題に1か所だけ触れてください。触れる話題がなければ触れないでください。
- 資料の添付や次回の提案は、メモに「送る」と約束した場合だけ書いてください。
- 定型の売り込み文を入れないでください。

【OCR結果】
{ocr_text}

【音声メモの文字起こし】
{voice_memo}

【接点の種類】
{contact_type}

【CRMの既存候補(会社名・ドメインが近いもの)】
{crm_candidates}

「メモに出てこなかった課題を業界の一般論から補わない」の1行が重要です。 これを書かないと、AIは「製造業の方なので、人手不足の課題をお持ちかと存じます」といった文面を作ります。相手が言っていないことを言ったかのように書いたメールは、送った瞬間に信用を失います。

Step7

出力形式を固定する

{
  "company_name": "",
  "company_name_normalized": "",
  "department": "",
  "title": "",
  "person_name": "",
  "person_kana": "",
  "email": "",
  "phone": "",
  "website": "",
  "contact_type": "",
  "interests": [],
  "current_tools": [],
  "timing_mentioned": "",
  "promised_next_action": "",
  "priority": "A | B | C",
  "priority_reason": "",
  "draft_email_subject": "",
  "draft_email_body": "",
  "crm_match": "new | existing_lead | existing_customer | ambiguous",
  "crm_record_id": "",
  "needs_review": [],
  "reason": ""
}

JSON Schema を指定して出力を固定します。Claude API では output_config.formatjson_schema を渡すことで、応答をスキーマに沿った形に制約できます。

crm_matchambiguous の場合、CRMへの登録を止めて人へ回します。既存顧客に「はじめまして」のメールを送るのが、この構成でもっとも避けたい事故です。

Step8

システムへ連携する

CRMへの登録は、crm_match の値で分岐させます。

crm_match処理
new新規リードとして登録する
existing_lead既存リードに接点を追記する。新規レコードを作らない
existing_customer登録せず、担当営業へ通知する。 既存顧客への初回メールは送らせない
ambiguous登録を保留し、人が判断する

初回メールは、CRMから自動送信しないでください。 下書きを営業本人のメールソフトに下書きとして作るか、チャットで文面を通知して、本人が送る形にします。

次回の連絡予定は、promised_next_action に内容がある場合のみ自動登録します。「来月連絡する」なら翌月の日付でタスクを作ります。約束していないのにタスクを作ると、タスク一覧が形骸化します。

Step9

人が確認する

初回メールの送信は、必ず人が行います。

理由は、文面が相手との会話に触れるためです。会話の内容を誤って要約したメールは、名刺交換だけのメールより印象が悪くなります。 「そんな話はしていない」と思われた時点で、その相手との関係は終わります。

確認の対象は次のとおりです。

  1. すべての初回メールの下書き … 送信前に本人が読む。ここは省略しません
  2. crm_matchambiguous または existing_customer の件 … 登録と連絡の可否を判断する
  3. needs_review に項目が入っている件 … メールアドレスが読み取れなかった、など

優先度A/B/Cの妥当性は、全件確認しなくて構いません。 営業本人が下書きを見るときに、順番が違うと感じたら直せばよい程度のものです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
名刺が横書き・縦書き混在で読めないneeds_review に入れる。推測でメールアドレスを補完しない
メールアドレスの記号を誤読する(_ と - など)アドレスは必ず人が確認する項目にする。 誤送信の原因になる
音声メモが吹き込まれていない名刺情報だけで処理し、優先度は C にする。メモなしでAにしない
展示会場の騒音で文字起こしが崩れる文字起こしの信頼度が低い場合、関心事の抽出を行わず人へ回す
同じ人の名刺を複数の営業が受け取るドメインと氏名で重複を検出し、先に登録された営業を担当とする。後から受け取った営業へ通知する
既存顧客の担当者と名刺交換したexisting_customer として登録を止め、既存の担当営業へ通知する
退職・異動で連絡先が無効初回メールが不達で返る。CRMのステータスを「不達」に更新する
展示会の直後に100枚まとまって送られるキューに入れて順に処理する。同時実行数を制限する
海外の名刺(英語・中国語)OCRは対応するが、メールの下書きは日本語で作られる。言語を指定できるようにする
Step11

記録を残す

名刺は個人情報です。取得の経緯と保存期間を決めてください。

  • 名刺の画像(原本)
  • OCRの抽出結果(生の状態)
  • 音声メモの録音と文字起こし
  • AIが付けた優先度と理由
  • 初回メールの下書きと、実際に送った文面
  • 人が修正した項目と、修正前後の値

下書きと実際に送った文面の差分が、この構成の改善材料になります。 「毎回冒頭の1文を書き直している」と分かれば、プロンプトを直せます。

音声メモは、文字起こしが済んだ後も一定期間は残してください。文字起こしの誤りに気づいたとき、元の音声がないと直せません。

04実装レベルの3段階

最小構成:名刺とメモをチャット画面に貼り付け、優先度と下書きを作らせる / 判断と文面づくり
半自動化:フォーム送信をトリガーに、OCR・文字起こし・優先度・下書き作成まで / 入力と文面づくり
本格構成:上記+CRMの照合と登録+次回タスクの作成+接点種類別の商談化率の集計 / 記録と管理まで

半自動化の時点で、8分が3分程度になります。 入力と文面づくりが消えるためです。本格構成では2.4分になりますが、減るのはCRM登録の手間です。 ただし、本格構成のCRM照合には、時間削減以外の意味があります。 既存顧客への初回メール送信を止められるのは、照合が入ってからです。この事故を防ぐ価値のほうが、削減される数十秒より大きいと考えてください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
15 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2.4 分
現在  300件 × 8分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 300件 × 2.4分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
70%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,500円)
118万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 営業が10名以上いて、展示会・セミナー・訪問で受け取る名刺が月200枚以上ある企業。名刺の入力はしているが、フォローの優先順位が担当者の感覚で決まっている場合。初回連絡が翌週になりがちな場合。
向いていない
  1. 既存顧客への深耕が中心で、新規の名刺交換がほとんどない場合。名刺管理サービスを導入済みで、CRM連携とフォロー管理まで運用に乗っている場合。営業が2〜3名で、全員の顔と会話を覚えていられる規模の場合。

07最小構成で試す方法

  1. 直近の展示会で受け取った名刺を20枚用意する
  2. 名刺を撮影し、その場のことを思い出して30秒の音声メモを吹き込む(後追いで構わない)
  3. 生成AIのチャット画面に、名刺の画像とメモの文字起こしを貼り付ける
  4. 上記のプロンプトで、優先度と初回メールの下書きを作らせる
  5. 営業本人が「自分ならどの順に連絡するか」を先に紙に書いておき、AIの優先度と突き合わせる

見るのは、優先度の一致率よりも「なぜ違ったか」です。 営業がAにした相手をAIがCにしたなら、その理由(メモに書いていない情報で判断していた)が分かります。そこが、プロンプトに書くべき基準です。

見る点判断
A判定の一致率7割以上なら使える。優先度の基準が言語化できている証拠
メールの下書きの手直し量2行以内の手直しで送れるなら実用
メモにない内容が混ざった件数1件でも出たらプロンプトを直す。 ここは妥協しない

ワークフローを作らずに、ここまでは試せます。所要は半日です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
営業が音声メモを吹き込まない30秒と決めて必須にする。「メモがなければ優先度C」を運用として明示する
メモにない課題がメールに書かれるプロンプトで一般論からの補完を禁止する。テストで1件でも出たら直す
既存顧客に初回メールが送られるドメインでの照合を先に入れる。existing_customer は登録も送信も止める
メールアドレスの誤読で不達になるアドレスは人の確認項目にする。記号の誤読は避けられない
展示会の騒音で文字起こしが崩れる信頼度が低い場合は関心事の抽出をしない。会場から離れて吹き込む運用を案内する
優先度が役職の高さだけで決まる基準をプロンプトに明記する。「役職は補助」と書く
同じ人を複数の営業が登録するドメイン+氏名で重複を検出し、先着を担当とする
下書きが定型文になり使われないメモの話題に1か所触れる制約を入れる。触れる話題がなければ触れない、も明記する
CRMの表記ゆれで照合できないドメインを主キーにする。会社名は補助に使う
展示会直後に処理が集中するキューに入れて同時実行数を制限する

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 名刺に記載された氏名・所属・連絡先、および会話の内容。すべて個人情報であり、相手は名刺交換の場面でこれを渡しています。

  1. 取得の経緯と利用目的 … 名刺は営業活動のために渡されたものです。自社の個人情報の取扱いについての公表内容に、名刺情報の利用目的が含まれているかを確認してください
  2. 外部AIへの入力可否 … 名刺画像と会話の記録を外部のAIサービスへ送ることになります。情報管理規程を確認してください
  3. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  4. 音声メモに他社の情報が混ざる … 会話の中で、相手が自社の取引先や社内の事情を話すことがあります。その内容をそのまま記録し、社内で広く閲覧できる状態にしてよいかを考えてください。 閲覧範囲は担当営業とその上長に限るのが無難です
  5. アクセス権限 … CRMのリード情報の閲覧範囲を、営業部門に限定します
  6. 保存期間 … 商談に至らなかったリードの情報を、いつまで持つかを決めます。名刺を1枚も捨てない運用は、個人情報の観点では説明が難しくなります
  7. 自動実行してよい範囲 … 読み取り、優先度付け、下書きの作成までです。初回メールの自動送信はしないでください。 会話の誤った要約が相手に届きます

誤りが起きた場合のリスクは、誤送信、既存顧客への不適切な連絡、会話内容の誤った記録です。いずれも取引先との関係に直接影響します。下書きと送信内容の両方を記録し、後から追えるようにしてください。

10まず何から始めるか

1週目:優先度の基準を言語化する

営業部で、直近で商談になったリード10件と、ならなかったリード10件を並べます。「名刺交換の時点で何が違ったか」を洗い出し、A/B/Cの基準を文章にします。 ここがこの構成の中心です。仕組みを作る前に、これを済ませてください。

2週目:20枚で優先度とメールの下書きを試す

営業3名に、自分が受け取った名刺20枚で試してもらいます。優先度の一致率と、下書きの手直し量を見ます。メモにない内容が混ざっていないかは、全件確認してください。

3〜4週目:撮影と吹き込みの運用を試す

仕組みを作る前に、運用だけ先に試します。 営業3名に、1週間、名刺を受け取ったその場で撮影と30秒の吹き込みをしてもらいます。これが続かないなら、仕組みを作っても動きません。続けられる形(吹き込む内容を3項目に決める、など)をここで見つけます。

2か月目以降: フォーム送信をトリガーにした半自動化を作ります。CRM連携は、まずドメインでの照合と existing_customer の検出だけを入れてください。登録の自動化より、既存顧客への誤送信を止めることを先に作ります。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-21/最終更新:2026-09-21
確認した内容情報源確認日
Zapier の Zap が、アプリをつなぐワークフローであること。トリガーがZapを開始するイベントで、アクションがトリガー後に実行される処理であること。1つのZapに複数のアクションを続けられることZapier Help: Create Zaps2026-09-21
Azure AI Vision の Read OCR が、印刷されたテキストと手書きのテキストを抽出し、日本語を含む複数言語に対応すること。入力形式がJPEG・PNG・BMP・PDF・TIFF、画像は50×50ピクセル以上、最大10,000×10,000ピクセル、500MB未満であることMicrosoft Learn: OCR - 光学式文字認識2026-09-21
Claude API で output_config.formatjson_schema を渡すと、応答をスキーマに沿った形に制約できることClaude Docs: Structured outputs2026-09-21

CRMの検索・登録のAPI仕様、名刺管理サービスとの連携方法は、利用している製品によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 名刺情報の利用目的の公表については、自社の個人情報の取扱いに関する規程を確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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