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行政書士事務所が外国人の依頼者から受け取る母国の証明書の訳文を下書きし、入管・市区町村に出す翻訳文の体裁にそろえる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

外国人の依頼者から預かった母国の証明書のスキャンを Gemini API に読ませ、事務所の訳語集と依頼者の表記カードに沿った訳文の下書きを作ります。下書きは提出先ごとのひな形に流し込み、職員は原文と照らして翻訳者として仕上げます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Python
対象業界
人材/士業
対象部門
法務/総務
対象業務
書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
70%
年間削減
672h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 依頼者から証明書の原本を預かってスキャンし、案件フォルダに保存する
  2. 職員が原文を読み、過去の同じ国の同じ証明書の訳文を探す
  3. 辞書と過去の訳文を見ながら、項目ごとに訳す
  4. 氏名・地名を、旅券のローマ字表記と依頼者に確かめたカタカナの表記に合わせる
  5. 提出先に合わせて、見出し、翻訳者の氏名・住所、訳した日付を付ける
  6. 原文と訳文を並べ、氏名・日付・番号を1つずつ照らす
  7. 翻訳者が署名し、原本の写しと訳文を組にして申請書類に綴じる
導入後(After)
  1. 人職員が証明書をスキャンし、案件フォルダの「訳文依頼」に置き、案件票(提出先、証明書の国と種類)を付ける
  2. 人依頼者に確かめた氏名・地名の表記を、案件の表記カードに書く
  3. 自動30分ごとの定時の実行が、新しい訳文依頼を拾う
  4. 自動国と証明書の種類から、事務所の訳語集の該当する部分を取り出す
  5. 自動Gemini API が証明書のスキャンを読み、区切りごとに原文の写しと訳文の下書きを返す
  6. 自動氏名・日付・番号が原文の写しと訳文で食い違っていないかを規則で確かめる
  7. 自動提出先のひな形に流し込み、要確認の箇所に印を付けた Word のファイルを作る
  8. 人職員が原文と下書きを並べ、印の箇所を中心に訳文を確かめて直す
  9. 人翻訳者の欄に自分の氏名などを書き、署名する
  10. 人直した訳語のうち、事務所で統一すべきものを訳語集に足す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 依頼者から証明書の原本を預かってスキャンし、案件フォルダに保存する
  2. 職員が原文を読み、過去の同じ国の同じ証明書の訳文を探す
  3. 辞書と過去の訳文を見ながら、項目ごとに訳す
  4. 氏名・地名を、旅券のローマ字表記と依頼者に確かめたカタカナの表記に合わせる
  5. 提出先に合わせて、見出し、翻訳者の氏名・住所、訳した日付を付ける
  6. 原文と訳文を並べ、氏名・日付・番号を1つずつ照らす
  7. 翻訳者が署名し、原本の写しと訳文を組にして申請書類に綴じる

(a)1通ずつ辞書を引いて訳す時間が長い。 証明書の文は短くても、項目名、機関名、役職名、印章の文字に専門の言い回しが多く、読める職員がいない言語では1通に1時間近くかかることがあります。

(b)訳し方と体裁が職員ごとに違う。 同じ国の同じ証明書でも、訳語、見出し、印章の書き方が職員ごとに違います。事務所としての訳し方が決まっていないので、新しく入った職員は先輩の訳文を何通か見比べて真似るしかありません。

(c)氏名や日付の写し違いが提出の直前に見つかる。 氏名のカタカナの表記、日付の並び(日・月・年の順か、月・日・年の順か)、暦の違いは、訳す途中で取り違えやすく、6番の照合で見つかればよいほうです。 見つからずに提出すると、申請書や届書の記載と食い違います。

(d)過去の訳文が生かされない。 同じ国の同じ証明書は毎月のように届くのに、前回の訳文を探すのに時間がかかり、見つからなければ一から訳します。

  1. 【人】 職員が証明書をスキャンし、案件フォルダの「訳文依頼」に置き、案件票(提出先、証明書の国と種類)を付ける
  2. 【人】 依頼者に確かめた氏名・地名の表記を、案件の表記カードに書く
  3. 【自動】 30分ごとの定時の実行が、新しい訳文依頼を拾う
  4. 【自動】 国と証明書の種類から、事務所の訳語集の該当する部分を取り出す
  5. 【自動】 Gemini API が証明書のスキャンを読み、区切りごとに原文の写しと訳文の下書きを返す
  6. 【自動】 氏名・日付・番号が原文の写しと訳文で食い違っていないかを規則で確かめる
  7. 【自動】 提出先のひな形に流し込み、要確認の箇所に印を付けた Word のファイルを作る
  8. 【人】 職員が原文と下書きを並べ、印の箇所を中心に訳文を確かめて直す
  9. 【人】 翻訳者の欄に自分の氏名などを書き、署名する
  10. 【人】 直した訳語のうち、事務所で統一すべきものを訳語集に足す

8番目が、この設計の分かれ目です。 職員は一から訳すのではなく、下書きを原文と照らして確かめることに時間を使います。印の付いた箇所(読めなかった文字、訳語集に無い語、氏名・日付の食い違い)は必ず原文を見ます。

9番目を人の作業として残しているのは、翻訳者が訳文の正確さに責任を持つためです。 提出先が翻訳者の署名や氏名を求めているのは、誰が訳したかを明らかにするためです。AI の下書きを確かめて自分の訳として出す職員が、翻訳者として名前を書きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
証明書の原本
   │  スキャンして案件フォルダの「訳文依頼」へ(案件票・表記カードを付ける)
   ▼【トリガー】30分ごとの定時の実行
Python
   ├──▶ 国と証明書の種類から訳語集の該当部分を取り出す
   ▼
Gemini API ── 証明書のスキャン(PDF)を読む
   │   ① 区切りごとの原文の写し   ② 訳文の下書き
   │   ③ 区切りの種類(見出し・項目・本文・印章・署名・欄外)
   │   ④ 読めない文字・訳語集に無い語の印
   ▼
Python ── 氏名・日付・番号の照合(表記カード・原文の写し)
   ├──▶ 提出先のひな形(出入国在留管理庁用/市区町村用)に流し込む
   ▼
要確認の印付きの訳文(Word)
   ▼
【職員が原文と照らして直す → 翻訳者として署名 → 訳語集に足す】
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(証明書のスキャンの読み取りと、訳語集に沿った訳文の下書き)Claude API、OpenAI API
連携Python(案件フォルダの読み取り、訳語集の取り出し、照合、ひな形への流し込み)Google Apps Script、Make
保管案件ごとの共有フォルダGoogle ドライブ、Box

OCR の製品を別に置いていません。 Gemini API はPDFをネイティブのビジョンで処理し、文字だけでなく画像、図、表も読めるとされています。証明書の表の形の欄や印章の位置を、文字と一緒に読ませられます。読み取りと訳を1回のリクエストで行うので、つなぐ製品が1つ減ります。 上限は1ファイル50MBまたは1,000ページで、1ページは258トークンとして数えられます。証明書は多くても数ページなので、この範囲に収まります。

受け取りの形は、構造化出力で決めます。 /v1beta/interactions に送るリクエストの response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れると、JSONで返ります。enum と required が使えます。JSONとして正しくても値が誤っていることがあるので、アプリケーションの側で値を検証するよう、公式のページは案内しています。氏名・日付・番号の照合を Python に置くのはそのためです。

ひな形は、提出先ごとに事務所で1つずつ決めます。 見出し、訳文の本体、翻訳者の欄(氏名・住所・訳した日付・署名)の並びを固定し、職員ごとの違いをひな形の側で無くします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

30分ごとの定時の実行を起点にします。 職員が案件フォルダの「訳文依頼」に証明書のスキャンと案件票を置けば、遅くとも30分後には下書きが同じフォルダにできます。証明書は依頼者との面談のたびに数通ずつ届くので、1通ずつ即座に動かすより、まとめて動かすほうが運用が単純です。

案件票と表記カードがそろっていない依頼は処理しません。 提出先が分からなければひな形を選べず、表記カードが無ければ氏名の照合ができないからです。そろっていない依頼は「依頼不備」のファイルを置いて職員に戻します。

申請の期限が近い案件は、案件票に「至急」と書きます。 定時の実行は「至急」の依頼から先に処理し、下書きができたことを担当の職員にメールで知らせます。 期限の近い案件の訳文が、ほかの依頼の後ろで待たされないようにするためです。

処理が終わった依頼は「下書き済み」へ移します。 移すのは下書きの Word ができたときだけにします。「訳文依頼」に残っている数が、そのまま未処理の数になります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
証明書のスキャンPDF(両面、欄外、裏書きを含む)案件フォルダの「訳文依頼」
案件票提出先(出入国在留管理庁/市区町村)、証明書の国と種類、原文の言語職員が置くテキスト
表記カード依頼者と家族の氏名の旅券のローマ字表記とカタカナの表記、出生地などの地名の表記職員が依頼者に確かめて書く
訳語集国と証明書の種類ごとの、見出し・項目名・機関名・役職名の訳語事務所の訳語集(スプレッドシート)
手本の訳文同じ国の同じ証明書について、事務所で確かめて提出した訳文を1通(個人の情報を伏せたもの)事務所の手本のフォルダ

質を決めるのは、訳語集です。 最初は、過去の訳文から国と証明書の種類ごとに見出しと項目名を拾い、事務所として使う訳語を1つに決めて並べます。 「Registrar」を「登録官」とするか「戸籍登記官」とするかのように、職員の間で割れていた語を決めるのがいちばんの作業です。

手本の訳文は、訳語集では伝わらない「訳し方の型」を伝えるために渡します。 項目と値を表にするか文にするか、欄外の記載をどこに置くかは、訳語の一覧では表せません。氏名や番号を伏せた手本を1通添えると、区切り方と並べ方が事務所の型に寄ります。 手本は国と証明書の種類ごとに1通だけ決めておきます。

表記カードは、依頼者に確かめた表記だけを書きます。 氏名のカタカナは、依頼者の希望、申請書の記載、過去に出した書類と合わせる必要があります。AI に音から作らせると、申請書と違うカタカナが訳文に入ります。

Step3

データの取得方法を決める

Python が「訳文依頼」のフォルダを読み、依頼ごとにファイルを集めます。

取るものどこから何に使うか
証明書のPDF依頼のフォルダ原文の読み取りと訳
案件票依頼のフォルダひな形の選択、訳語集の絞り込み
表記カード案件フォルダ氏名・地名の当てはめと照合
訳語集の該当部分事務所の訳語集訳語の当てはめ

訳語集は、国と証明書の種類で絞って渡します。 訳語集の全体を渡すと、別の国の同じ綴りの語の訳を当てはめることがあります。その国のその証明書の行だけを渡し、ほかの国の訳語が混ざらないようにします。

両面の証明書は、表と裏を1つのPDFにまとめて渡します。 裏面の認証のスタンプや欄外の記載も訳の対象なので、表だけを渡すと、職員が裏面を訳し忘れる原因をこちらで作ることになります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … PDFにそろえます。スマートフォンで撮った画像はPDFにまとめます
  2. 大きさの確認 … 50MBまたは1,000ページを超えることはまず無いので、超えたら依頼の不備として戻します
  3. 向きの確認 … 横倒しや逆さまのページを回転させます
  4. 未成年の子の記載の確認 … 案件票に「未成年の子の記載あり」の欄を設け、印のある依頼はこの流れに乗せずに職員へ戻します
  5. 表記カードの読み込み … ローマ字表記とカタカナの組を、照合に使える形にします
  6. 訳語集の取り出し … 国と証明書の種類で行を絞ります。該当が無ければ「訳語集なし」と記録します
  7. 送らない書類の除外 … 旅券の写しや在留カードの写しが依頼のフォルダに混ざっていたら外します。氏名の表記は表記カードで足りるので、身分証の画像は送りません

4番目は事務所の方針として置きます。 Gemini API の追加利用規約は、18歳未満を対象とする、または18歳未満が利用しうるサービスでの利用を禁じています。この構成を使うのは事務所の職員だけですが、未成年の子の出生証明書や、子が記載された家族の証明書は、この流れから外して手で訳すと決めておきます。 判断に迷う運用を残さないためです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、証明書を区切りごとに読んで原文を写し、区切りごとに訳文の下書きを付けることだけです。 区切りは、見出し、項目と値、本文の段落、印章、署名、欄外の記載の単位にします。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
区切りの種類見出し/項目と値/本文/印章/署名/欄外 から選ぶ決められなければ body
原文の写し区切りの原文をそのまま写す読めない文字は [?] と書き、区切りに illegible の印
訳文訳語集に当たる語は訳語集の訳を使う訳語集に無い専門の語は訳したうえで unlisted_term の印
氏名・地名表記カードに当たるものは表記カードのカタカナを使う表記カードに無ければ原文の綴りのまま残し name_unconfirmed の印
日付原文の並びと暦のまま写し、訳文には原文どおりの日付を書く並びが決められなければ date_ambiguous の印
印章・署名訳さず〔印〕〔署名〕と書く。印章の中の文字が読めれば〔印:…〕読めなければ〔印〕だけ

原文の写しの列が、この構成でいちばん大事な項目です。 訳文の横に原文の写しがあれば、職員は区切りごとに訳を確かめられます。写しと訳文の組が、そのまま確認の単位になります。

日付は、AI に換算させません。 日・月・年の順か月・日・年の順かが分からない日付、仏暦や民国暦の日付を AI が「正しそうな」西暦に直すと、職員は直された日付を見て、原文を見なくなります。 原文の並びのまま返させ、換算は職員が行います。

させないこと理由
翻訳者の欄(氏名・住所・署名・日付)を埋める翻訳者は訳文を確かめた職員
氏名のカタカナを音から作る申請書・届書と表記が食い違う
日付の暦の換算・並べ替え原文と照らせなくなる
読めない文字の補完補った文字は原文と照らしても気づけない
証明書の内容の要約・省略訳文は原文のすべての記載を訳す

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 かすれた印字やつぶれた数字を渡すと、AI は前後から「それらしい」文字を補います。補われた登録番号は、原文を見ても読めない以上、職員にも誤りだと分かりません。 読めない文字は [?] のまま残させます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは行政書士事務所で、外国の証明書の日本語の訳文の下書きを作ります。
下書きは職員が原文と照らして確かめ、翻訳者として署名します。
原文に書かれていることを、足さず、省かず、日本語にしてください。

【証明書】{pdf}(表と裏を含む)
【案件票】国:{country}/証明書の種類:{doc_kind}/原文の言語:{lang}
【訳語集】{glossary}(この国のこの証明書の行だけ)
【表記カード】{names}(ローマ字表記とカタカナの組)
【手本の訳文】{sample}(区切り方と並べ方の参考。手本の内容を訳文に写さないでください)

【返すこと】
- segments:証明書の上から順に、区切りごとに
  - id(S-01から)、kind(heading/field/body/stamp/signature/margin)
  - source(原文をそのまま写す)、translation(日本語の訳)
  - flags(illegible/unlisted_term/name_unconfirmed/date_ambiguous のうち当てはまるもの)
- unlisted_terms:訳語集に無かった専門の語と、あなたが使った訳

【厳守事項】
- 訳語集にある語は、必ず訳語集の訳を使ってください。
- 人名・地名は、表記カードにあるものは表記カードのカタカナを使ってください。
  表記カードに無いものは原文の綴りのまま残し、name_unconfirmed を付けてください。
- 日付は原文の並びと暦のまま訳してください。西暦への換算や並べ替えをしないでください。
- 読めない文字は [?] とし、推測で補わないでください。
- 印章は〔印〕、署名は〔署名〕と書いてください。印章の文字が読めるときは〔印:文字〕。
- 原文の記載を要約したり省いたりしないでください。欄外や裏面の記載も訳してください。
- 翻訳者の氏名・住所・日付・署名は書かないでください。
- 原文に無い説明や注釈を訳文に足さないでください。

「訳語集にある語は必ず訳語集の訳を使う」を明記しないと、より自然な訳語に言い換えます。 一般には自然な訳でも、事務所で決めた訳語と違えば、訳し方をそろえるという目的が崩れます。

手本の訳文に「内容を写さない」と添えるのは、手本の値が混ざるのを防ぐためです。 同じ様式の証明書では、手本の発行機関名や日付がそのまま訳文に入り込むことがあります。手本は型の参考で、値の出どころは原文だけだと明記します。

「欄外や裏面の記載も訳す」を書くのは、省くことが訳文の誤りになるからです。 認証のスタンプや発行の手数料の記載は、AI には本筋でない情報に見え、要約しがちです。訳文は原文の全部の記載を訳すものなので、省かないことを指示で求めます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "request_id": "",
  "segments": [
    { "id": "S-01", "kind": "heading | field | body | stamp | signature | margin",
      "source": "", "translation": "",
      "flags": ["illegible | unlisted_term | name_unconfirmed | date_ambiguous"] }
  ],
  "unlisted_terms": [ { "term": "", "used_translation": "" } ]
}

スキーマでは kind と flags の要素を enum にし、segments と各区切りの id・source・translation を required にします。

1つ目の理由は、区切りの番号で確認と照合ができることです。 Python は source から氏名・日付・番号の文字列を拾い、translation に同じ数字と同じ表記カードのカタカナがあるかを確かめます。原文の写しにある数字が訳文に無ければ、その区切りに「数字の不一致」の印を付けます。

規則訳文での扱い
source の数字の並びが translation に無い「数字の不一致」の印
表記カードのローマ字が source にあるのに、カタカナが translation に無い「表記の不一致」の印
flags に illegible がある「判読不能」の印。原本を見る
flags に unlisted_term がある「訳語集に無い語」の印。職員が訳語を決める
flags に date_ambiguous がある「日付の並びの確認」の印

1行目が要です。 登録番号や生年月日の数字は、訳の途中でいちばん写し違えやすい部分です。数字は訳す必要が無いので、原文の写しと訳文で一致するかを機械で確かめられます。

2つ目は、提出先のひな形に区切りの種類で流し込めることです。 見出しは見出しの位置に、項目と値は表の形に、印章と署名は〔印〕〔署名〕のまま本文の位置に置きます。ひな形が決まっているので、誰が仕上げても同じ体裁になります。

3つ目は、unlisted_terms で訳語集を育てられることです。 職員が訳語を決めた語を訳語集に足すと、次の同じ証明書から当てはまります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件フォルダPython がファイルを読み書きする依頼を拾い、下書きを置き、下書き済みへ移す
訳語集Python が読む国と証明書の種類で行を絞る
Gemini APIAPI呼び出し(/v1beta/interactions)証明書のPDFを渡し、構造化出力で受け取る
提出先のひな形Python が Word に流し込む見出し、表、本文、翻訳者の空欄

訳語集には、この構成から書き込みません。 unlisted_terms は下書きの末尾に一覧として付け、職員が決めた訳語を人が訳語集に足します。 AI が使った訳をそのまま足すと、誤った訳が事務所の決まりになります。

申請書や届書の作成の仕組みとはつなぎません。 訳文から申請書へ写す項目の一覧を作るのは別の作業で、この構成が出すのは訳文の下書きまでです。

Step9

人が確認する

職員は、すべての区切りを原文と照らします。 訳文は提出書類そのものなので、印の無い区切りも読み飛ばしません。ただし、時間をかけるのは印の付いた区切りです。

  1. 「数字の不一致」「表記の不一致」を先に見る … 原本で数字と綴りを確かめ、訳文を直します
  2. 「判読不能」を原本で見る … 原本でも読めなければ、訳文に〔判読不能〕と書きます
  3. 「訳語集に無い語」の訳を決める … 事務所で統一すべき語なら、訳語集に足す候補として記録します
  4. 「日付の並びの確認」と暦の換算をする … 原文の並びを確かめ、必要なら申請書側で換算します
  5. 翻訳者の欄を書いて署名する … 自分の氏名と住所、訳した日付を書きます

1番目を省かないでください。 数字と氏名の写し違いは、提出先で申請書・届書と突き合わされたときに見つかります。訳文の誤り1つで、依頼者に追加の書類や出直しをお願いすることになります。

婚姻や離婚の証明書のように、届出や申請の要になる証明書は、仕上げた職員とは別の職員がもう一度数字と氏名だけを見ます。 全文を読み直す必要はなく、照合の規則が付けた印が全部消えているかと、翻訳者の欄が埋まっているかを見るだけです。

目標は、120通をならして1通12分です。 英語の短い証明書なら数分で確かめられ、印の多い証明書は20分を超えます。印の付く区切りが多い国の証明書は、訳語集の行が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
案件票か表記カードが無い処理せず「依頼不備」を置いて職員に戻す
未成年の子の記載がある処理せず職員に戻し、手で訳す
スキャンがぼやけて区切りの大半が illegible下書きを作らず、スキャンのやり直しを求める
訳語集にその国・その証明書の行が無い下書きは作り、全体に「訳語集なし」の印を付ける
原文が2つの言語で併記されている両方を写させ、訳は一方から作る。どちらから訳したかを記録する
原文に手書きの訂正や追記がある区切りを margin とし〔手書きの記載〕と付ける。職員が原本で訂正印の有無を確かめる
すでに別の言語の訳が付いた証明書(英訳付きなど)原語の部分を訳の対象とし、英訳は参考として扱う
Gemini API が応答しない、エラーを返す依頼を「訳文依頼」に残し、次の定時で再試行。2回続けて失敗したら職員に知らせる

上から3行目までは、AI の問題ではありません。 依頼の受け付け方とスキャンの問題です。受け付けの決まりを守るほど、下書きの印は減ります。

Step11

記録を残す

  • 証明書のスキャン、案件票、表記カード
  • Gemini API に渡した訳語集の行と、返ってきたJSONの全文
  • 照合の規則で付けた印
  • 職員が直した区切りと、直す前と後の訳
  • 翻訳者として署名した職員と日付
  • 訳語集に足した語と、足した日付・決めた職員

4つ目の記録は、訳語集と指示の見直しに使います。 同じ国の同じ証明書で同じ区切りが毎回直されているなら、訳語集の行が足りていないか、ひな形の区切りが合っていません。

04実装レベルの3段階

最小構成:証明書を手でAIの画面に添付し、区切りごとの写しと訳を出させる / 1通ごとの訳の下書き
半自動化:上記+案件フォルダを定時に読み、APIで下書きを作ってテキストで置く / 下書きの作成
本格構成:上記+訳語集と表記カードの当てはめ、数字と表記の照合、提出先のひな形への流し込み / 下書きから体裁の整った訳文の案まで

最小構成では件数がさばけません。 1通ずつ添付して結果を Word に貼り直すので、体裁を整える時間はそのまま残ります。 確かめるための段階です。 半自動化で、1通40分が20分程度になります。 訳す時間は減りますが、体裁を整える時間と、数字と氏名の照合が残ります。本格構成で12分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、ひな形への流し込みと数字の照合が、1通ごとの手作業だからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の下書きを1か月見ると、unlisted_term の多い国と証明書、illegible の多いスキャンの仕方が先に分かります。そこを直してから照合とひな形を足すほうが、印の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  120件 × 40分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 120件 × 12分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
56h
削減率
70%
年間削減時間
672h
年間金額換算(時間単価3,500円)
235万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 在留資格の申請の取次ぎや、外国の方式で成立した婚姻などの市区町村への届出の手伝いで、外国語の証明書の訳文を月に数十〜百数十通作っている行政書士事務所。訳文の書き方や見出しの付け方が職員ごとに違い、同じ国の同じ証明書を毎回一から訳している場合。事務所で訳語集を作る手間をかけられる場合。
向いていない
  1. 訳文が月に数通で、外部の翻訳会社に出して足りている場合。扱う証明書がほぼ英語だけで、職員が全員そのまま訳せる場合。依頼者が訳文を自分で用意してくる運用が定着している場合。未成年の子の記載がある書類が大半を占める場合(本構成では対象外とする)。なお、訳文が正確かの最終の確認と、翻訳者としての署名は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去の案件から、よく扱う国と証明書の種類を5つ選び、それぞれ2通ずつ計10通を集める(うち数通は、かすれた印字や欄外の記載があるものを入れる)
  2. その10通について、事務所で実際に出した訳文を集める
  3. 組織で利用を認められたAIの画面に、証明書のスキャンと、その国のその証明書について決めたい訳語を数語添付する
  4. 「原文を区切りごとに写し、その横に日本語の訳を付けてください。読めない文字は [?] とし、日付は原文のまま、印章は〔印〕としてください」と指示する
  5. 出てきた下書きを、実際に出した訳文と並べて見る

10通は、読み取りと訳の質を言語ごとに確かめるためのものです。 言語によって読み取りの精度も訳の質も違うので、事務所でよく扱う言語ごとに、どこまで下書きとして使えるかを先に見ます。

出てきた内容判断
区切りの写しと訳が実際の訳文とほぼ合う訳語集とひな形の整備に進む
読めない文字を補って埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
ある言語だけ読み取りが大きく崩れるその言語は手で訳す運用にする。 無理に下書きに乗せない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、どの言語を下書きに乗せ、どの言語を手に残すかが分かったということです。 言語ごとに分けて運用を決めてください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
読めない文字が補われて埋まる[?] のまま残させ、illegible の印を付ける
日付が西暦に直されて原文と照らせない原文の並びと暦のまま返させ、換算は職員が行う
氏名のカタカナが申請書と違う表記カードのカタカナだけを使わせる
訳語集と違う自然な訳語に言い換えられる訳語集の訳を必ず使うよう指示し、国と証明書で絞って渡す
欄外や裏面の記載が訳から落ちる両面を1つのPDFで渡し、省かないよう指示する
登録番号の数字を写し違える原文の写しと訳文の数字を機械で照合する
翻訳者の欄まで AI が埋める指示で禁じ、ひな形の側で空欄にしておく
区切り方と並べ方が職員の型と違う国と証明書ごとに手本の訳文を1通決めて添える
身分証の画像まで送られる依頼のフォルダから旅券・在留カードの写しを外す
未成年の子の書類が流れに乗る案件票の欄で外し、職員に戻す
一部の言語で読み取りが崩れるその言語は手で訳す運用に分ける
AI の訳がそのまま訳語集に入る訳語集に足すのは職員が決めた訳だけ

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「AI が原文を正しそうな形に直す」ところから起きます。原文の写しを返させ、直すのは人という設計で、まとめて防げます。

下の2行は、訳語集を育てる運用の問題です。 訳語集は事務所の訳し方の決まりなので、入れるかどうかを決めるのは人に限ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 依頼者と家族の氏名、生年月日、出生地、婚姻・離婚の事実、学歴と職歴が書かれた証明書です。身分関係と国籍に関わる、機微な個人の情報です。

  1. 有料の枠で使う … Gemini API の追加利用規約では、無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあり、機密や個人の情報を送らないよう書かれています。有料の枠ではプロンプトと応答を製品の改善に使わず、違反の検知などのために限った期間だけ記録するとされています。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうるとも書かれているので、依頼者への説明に含めます
  2. 依頼者に説明して同意を得る … 訳文の下書きに外部のAIサービスを使うことを、委任の説明の中で伝えます。同意が得られない依頼者の証明書は、この流れに乗せません
  3. 未成年の子の書類を外す … 追加利用規約は18歳未満を対象とする、または18歳未満が利用しうるサービスでの利用を禁じています。利用者は職員だけですが、事務所の方針として、未成年の子の記載がある書類は手で訳します
  4. 翻訳者の責任を AI に移さない … 訳文の正確さに責任を持つのは、確かめて署名した職員です。下書きをそのまま出すことはしません
  5. 案件フォルダの権限を絞る … 下書きと JSON にも同じ個人の情報が入るので、案件の担当者だけが開けるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、訳文の誤りで申請や届出が遅れることと、依頼者の機微な情報が必要以上に外へ出ることの2つです。 前者は AI に補わせ・直させると起き、後者は送る範囲と同意の確認を省くと起きます。原文の写しと機械の照合、案件票での選別で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:提出先のひな形を決める

出入国在留管理庁用と市区町村用のひな形を1つずつ決めます。見出し、訳文の本体、翻訳者の欄(氏名・住所・訳した日付・署名)の並びを固定し、職員の間で合意します。

2週目:10通で試す

よく扱う国と証明書から10通を選び、組織で利用を認められたAIの画面で区切りごとの写しと訳を出させます。実際に出した訳文と並べ、読めない文字を補っていないか、日付を直していないかを最優先で見ます。

3週目:訳語集を作る

過去の訳文から、よく扱う国と証明書の見出し・項目名・機関名・役職名を拾い、事務所として使う訳語を1つに決めます。 あわせて、表記カードの書き方を決めます。

4週目:案件フォルダから下書きまでをつなぐ

Python で「訳文依頼」を定時に読み、Gemini API に渡し、下書きをテキストで置くところまで作ります。この時点ではひな形に流し込まず、区切りの写しと訳を並べただけのものを見ます。

2か月目: 数字と表記の照合と、ひな形への流し込みを足し、印の付く区切りの数を毎週数えます。3か月目以降: 職員が直した記録から訳語集を育て、1通40分が何分になったかを実測します。よく扱う国と証明書で、直される区切りがほとんど無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
提出資料が外国語で作成されている場合は訳文(日本語)を添付すること(出入国管理及び難民認定法施行規則第62条)。翻訳が正確で翻訳者の署名があれば、誰が翻訳してもよいこと出入国在留管理庁: 在留手続等に関するQ&A2026-10-13
戸籍法施行規則第63条で、届書に添付する書類その他市町村長に提出する書類で外国語によって作成されたものには、翻訳者を明らかにした訳文を添付しなければならないと定められていることe-Gov 法令API: 戸籍法施行規則2026-10-13
Gemini API がPDFをネイティブのビジョンで処理し、文字・画像・図・表を読めること。上限が50MBまたは1,000ページであること。1ページが258トークンとして数えられること。例が /v1beta/interactions で書かれていることGemini API: Document understanding2026-10-13
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定すること。enum と required が使えること。JSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-13
18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または利用しうるサービスでの利用を禁じていること。無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあり、機密や個人の情報を送らないよう書かれていること。有料の枠では製品の改善に使わず、限った期間だけ記録すること。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-13

訳文の正確さと翻訳者としての署名は、確かめた職員の責任で行ってください。 本記事は上記の公式情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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