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司法書士事務所が依頼者へ送る登記の完了報告書と費用明細を、物件の表示・登記の目的・金額・登録免許税の食い違いと分かりにくい表現で、送る前に校正する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

登記が終わって依頼者へ送る完了報告書と費用明細を、申請書の控えと登記完了証に照らして校正します。物件の表示・登記の目的・金額・登録免許税の食い違いと、依頼者に伝わりにくい表現を、送る前に表で出します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
不動産/士業/金融
対象部門
法務/総務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
67%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 登記が完了したら、補助者が登記完了証と登記識別情報通知を受け取り、案件の一覧に完了日を入れる
  2. 報告書のひな形を開き、依頼者の名前、物件の表示、登記の目的、受付年月日と受付番号を申請書の控えと登記完了証から写す
  3. 表計算の費用明細を開き、報酬、登録免許税、登記事項証明書の取得費、郵送費を確かめ、合計を報告書の本文に写す
  4. 同封する書類の一覧(登記識別情報通知、登記完了証、登記事項証明書、領収書)を書く
  5. もう1人の補助者と読み合わせる。相手がいないときは自分で読み直す
  6. 司法書士が目を通し、押印して発送する
  7. 依頼者から書類や費用について問い合わせが来たら、補助者が電話で説明する
導入後(After)
  1. 人補助者がひな形に写して報告書と費用明細を作る(これまでどおり)
  2. 人Claude のプロジェクトで新しいチャットを開き、報告書、費用明細、申請書の控え、登記完了証の文字を貼る
  3. 【AI】 物件の表示・登記の目的・受付年月日と受付番号・金額を書類どうしで照らし、食い違いを表にする
  4. 【AI】 報告書と費用明細に書いた登録免許税の税率を、プロジェクトに置いた税率の一覧のその登記の目的の行と照らす
  5. 【AI】 依頼者に伝わりにくい表現を、言い換えの一覧に沿って直しの案にする
  6. 人補助者が表を見て、食い違いを元の書類で確かめて直す
  7. 人直しの案のうち、使うものを選んで報告書に入れる
  8. 人司法書士が表と直した報告書を見て、押印して発送する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 登記が完了したら、補助者が登記完了証と登記識別情報通知を受け取り、案件の一覧に完了日を入れる
  2. 報告書のひな形を開き、依頼者の名前、物件の表示、登記の目的、受付年月日と受付番号を申請書の控えと登記完了証から写す
  3. 表計算の費用明細を開き、報酬、登録免許税、登記事項証明書の取得費、郵送費を確かめ、合計を報告書の本文に写す
  4. 同封する書類の一覧(登記識別情報通知、登記完了証、登記事項証明書、領収書)を書く
  5. もう1人の補助者と読み合わせる。相手がいないときは自分で読み直す
  6. 司法書士が目を通し、押印して発送する
  7. 依頼者から書類や費用について問い合わせが来たら、補助者が電話で説明する

(a)読み合わせは相手がいるときしかできない。 5番目は2人がそろう時間にしかできず、決済が月末に集中すると、読み合わせを飛ばして自分で読み直すだけの報告書が増えます。 自分で書いたものを自分で読むと、書いたつもりの値が見えてしまいます。

(b)誤りは「似た値」で起きる。 地番の枝番の落ち、家屋番号と地番の取り違え、床面積の1階と2階の入れ違い、受付番号の桁。別の物件の値ではなく、同じ物件の近くの値と入れ替わります。 読み合わせで声に出しても、同じような数字が続くので耳で区別しにくい箇所です。

(c)金額は3か所に書かれる。 費用明細の行、明細の合計、報告書の本文。明細を直したときに本文を直し忘れるのが典型です。登録免許税は申請書の控えにも書かれているので、4か所目もあります。

(d)言葉の分かりやすさは人で違う。 「登記識別情報は再発行されませんので大切に保管してください」と一言添える補助者もいれば、書類名だけを並べる補助者もいます。どこまで説明を書くかは、書く人の経験で決まっています。 問い合わせの電話は、説明の少ない報告書から来ます。

  1. 【人】 補助者がひな形に写して報告書と費用明細を作る(これまでどおり)
  2. 【人】 Claude のプロジェクトで新しいチャットを開き、報告書、費用明細、申請書の控え、登記完了証の文字を貼る
  3. 【AI】 物件の表示・登記の目的・受付年月日と受付番号・金額を書類どうしで照らし、食い違いを表にする
  4. 【AI】 報告書と費用明細に書いた登録免許税の税率を、プロジェクトに置いた税率の一覧のその登記の目的の行と照らす
  5. 【AI】 依頼者に伝わりにくい表現を、言い換えの一覧に沿って直しの案にする
  6. 【人】 補助者が表を見て、食い違いを元の書類で確かめて直す
  7. 【人】 直しの案のうち、使うものを選んで報告書に入れる
  8. 【人】 司法書士が表と直した報告書を見て、押印して発送する

6番目が、この設計の分かれ目です。AIの表は「ここを見てください」という指さしです。 食い違いがあるかどうかを決めるのは、元の書類を開いた補助者です。表を見て直すのではなく、表が指した箇所を元の書類で見て直します。

5番目で、AIに文章を書き直させないのも意図してのことです。 報告書の全文をAIに書き直させると、写した物件の表示や金額まで書き換わることがあり、校正のつもりで新しい転記の誤りを持ち込みます。 出させるのは、言い換える語と、その語を含む一文の直しの案だけです。

02今回想定するシステム構成

構成図
補助者 ── 報告書(ひな形に写したもの)
       ── 費用明細(表計算から書き出した表)
       ── 申請書の控え(登記の業務ソフトから印刷・PDF)
       ── 登記完了証(受付年月日・受付番号・登記の目的)
   │  文字を貼る(1件に1チャット)
   ▼
Claude(Team プランのプロジェクト)
   │  プロジェクトの知識:税率の一覧/言い換えの一覧/表記の決まり/同封書類の説明文
   │  プロジェクトの指示:照らす項目と、させないこと
   ▼
【食い違いの表】【税率の照合】【分かりにくい表現と直しの案】
   ▼
補助者が元の書類で確かめて直す →【司法書士が見て押印】→ 依頼者へ発送
   ▼
校正の記録(案件の一覧に「校正済み」と指摘の件数)
役割想定する製品代替候補
処理Claude(Team プランのプロジェクト機能)ChatGPT、Microsoft Copilot、Gemini
申請書の作成既存の登記の業務ソフト-
記録案件の一覧(共有の表計算)事件簿の管理ソフト

新しく足すのは、Claude の Team プランとプロジェクト1つ、プロジェクトに置く4つの一覧だけです。 登記の業務ソフトとも表計算ともつなぎません。AIが校正した文が、そのまま依頼者に届く経路はありません。

プロジェクトは、チャットと資料をまとめておく作業の場所です。 公式の案内では、プロジェクトは独自のチャット履歴と知識を持つ作業の場所で、プロジェクトの知識に置いた文書はそのプロジェクトのチャットの文脈として使われ、 プロジェクトごとに指示を書けるとされています。税率の一覧と言い換えの一覧を一度置けば、3人の誰が使っても同じ一覧で照らします。

Team プランを選ぶのは、共有と学習の扱いのためです。 公式の案内では、プロジェクトの共有は Team と Enterprise で使え、メンバーごとに「閲覧」か「編集」の権限を付けられます。一覧を直せるのを1人に絞り、残りの2人は閲覧にします。 また、Claude for Work(Team・Enterprise)や API などの商用の製品では、既定では入力と出力をモデルの学習に使わないとされています。依頼者の名前と物件を扱うので、個人向けのプランは使いません(第13章)。

税率の一覧は、国税庁の税額表から事務所が作ります。 国税庁のタックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等)では、たとえば土地の売買による所有権の移転登記は不動産の価額の1,000分の20で、令和11年3月31日までの登記は1,000分の15、相続による移転は1,000分の4とされています。AIが覚えている税率ではなく、事務所が確かめて置いた一覧で照らします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

補助者が報告書と費用明細を作り終えたところで、自分でプロジェクトのチャットに貼ります。 登記の業務ソフトとはつながっていないので、貼らなければ校正は行われません。 案件の一覧に「校正済み」の列を足し、司法書士は押印の前にその列を見ます。空欄なら押印しません。

1件に1つのチャットを開きます。 前の案件の会話が残ったチャットで次の案件を見させると、前の案件の地番や金額が混ざることがあります。決済の日が同じ買主・売主・金融機関の3通も、それぞれ別のチャットにします。 同じ物件を扱っていても、報告する登記と費用明細が違うからです。校正は、司法書士が目を通す前に済ませます。

Step2

入力データを集める

データ中身用意する人
完了報告書本文の全文。宛名、報告する登記、物件の表示、受付年月日と受付番号、同封書類、費用の合計補助者(ひな形に写したもの)
費用明細行ごとの項目と金額(報酬、消費税、登録免許税、証明書の取得費、郵送費)と合計補助者(表計算から書き出す)
申請書の控え登記の目的、原因、物件の表示、課税価格、登録免許税、適用した軽減の条項補助者(業務ソフトの印刷やPDFから)
登記完了証受付年月日、受付番号、登記の目的、不動産の表示補助者(届いたものから)
税率の一覧登記の目的ごとの税率、軽減の税率と期限、確認した日担当の司法書士(プロジェクトの知識)
言い換えの一覧事務所の言葉と、依頼者向けの言い換えと、添える一文担当の司法書士(プロジェクトの知識)
表記の決まり・同封書類の説明文日付・金額・地番の書き方、同封書類ごとの説明の定型文担当の司法書士(プロジェクトの知識)

質を決めるのは、申請書の控えを貼るかどうかです。 報告書と費用明細だけを貼ると、AIは報告書の中で矛盾があるかしか見られません。地番が「123番」と書かれていても、それが「123番4」の写し間違いかどうかは、控えが無いと分かりません。 照らす元を必ず貼ります。

税率の一覧は、次のような形で作ります。

【税率の一覧】作成日 2026-10-01(国税庁 No.7191 令和8年4月1日現在法令等で確認)
| 登記の目的 | 物件 | 原因 | 税率 | 軽減の税率 | 軽減の期限 | 備考 |
| 所有権移転 | 土地 | 売買 | 1,000分の20 | 1,000分の15 | 令和11年3月31日 | |
| 所有権移転 | 土地 | 相続 | 1,000分の4 | - | - | 免税措置あり(司法書士が判断) |
| 所有権移転 | 建物 | 売買 | 1,000分の20 | 1,000分の3 | 令和9年3月31日 | 住宅用家屋の証明書がある場合 |
| 所有権保存 | 建物 | - | 1,000分の4 | 1,000分の1.5 | 令和9年3月31日 | 住宅用家屋の証明書がある場合 |
| 抵当権設定 | - | 住宅取得資金 | (事務所で記入) | 1,000分の1 | 令和9年3月31日 | 住宅用家屋の要件 |
| 抵当権抹消 | - | - | (事務所で記入) | - | - | 不動産の個数で決まる |

「事務所で記入」の行は、事務所が税額表と条文で確かめて埋めます。 国税庁の税額表は主なものだけを載せた表で、抵当権の設定の本則の税率や抹消は、この表の範囲では確かめられません。AIに聞いて埋めることはしません。

言い換えの一覧は、問い合わせの電話の記録から作ります。 過去の問い合わせで多かった語から順に並べます。

事務所の言葉依頼者向けの言い換え添える一文
登記識別情報通知登記識別情報通知(いわゆる権利証にあたる書類)再発行されません。売却や借入れのときに必要になるため、大切に保管してください
所有権移転登記所有権移転登記(名義を買主様へ変える登記)-
抵当権抹消登記抵当権抹消登記(完済した借入れの担保の登記を消す手続き)-
登記完了証登記完了証(登記が終わったことを法務局が知らせる書類)-
登録免許税登録免許税(登記のときに国に納める税金)当事務所が立て替えて納めています

「添える一文」の列は、事務所として言ってよいことだけを書きます。 AIに説明文を考えさせると、事務所が言っていないことを書きます。

Step3

データの取得方法を決める

すべて補助者が手元の書類から貼ります。 外の仕組みからは取りません。

取るものどこから何に使うか
報告書の本文文書作成ソフトのひな形に写したもの校正の対象
費用明細表計算のシート。行と合計を表のまま貼る本文の金額と申請書の控えとの照合
申請書の控え登記の業務ソフトの印刷やPDFの文字物件の表示、登記の目的、登録免許税の照合の元
登記完了証届いた書類の文字(PDFなら文字を写す。紙なら補助者が受付年月日と受付番号を打つ)受付年月日と受付番号の照合の元
税率・言い換え・表記プロジェクトの知識に置いた一覧税率の照合と、言い換えの案

費用明細は表の形のまま貼ります。 金額だけを抜き出すと、どの行の金額かが分からなくなります。

一覧は、変わったときに担当の司法書士が差し替えます。 税制の改正、軽減の期限の到来、言い換えの追加があったら、その日のうちに知識のファイルを差し替えます。一覧の先頭に作成日を書き、校正の表の先頭にその日付を写させると、どの版で照らしたかが残ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 依頼者の名前を記号に置き換えるか決める … 事務所の決まりで、名前を「依頼者A」「金融機関B」に置き換えてから貼る運用にもできます。照らすのは物件と金額なので、名前を置き換えても校正はできます。宛名の誤りだけは見られなくなるので、その場合は宛名を人が見ます
  2. 申請書の控えから、報告する登記の分だけを貼る … 1つの決済で4つの登記を申請していても、売主への報告書なら住所変更と抹消の分だけを貼ります。関係ない登記の控えを貼ると、報告書に書かれていない登記を「漏れ」と指摘します
  3. 費用明細は書き出した表のまま貼る … 合計の行も入れます
  4. 登記完了証は報告する登記の分を貼る … 複数の登記がある場合は、登記の目的ごとに受付番号を並べます
  5. 全角と半角、地番の「番」「番地」をそろえない … 表記のずれも校正の対象なので、貼る前に直さずにそのまま貼ります

照らす元を宛先に合わせて切り出す2番目が、いちばん手のかかる前処理です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、書類どうしで同じであるはずの値を照らすことと、言い換えの一覧に当たる語を拾うことだけです。

見るもの照らし方一致しないときの扱い
物件の表示所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類、構造、床面積を、報告書と申請書の控えで1項目ずつ食い違いの表に、両方の値をそのまま写す
登記の目的と原因報告書の「〇〇登記」と、控えと登記完了証の登記の目的同上
受付年月日・受付番号報告書と登記完了証同上
金額本文の合計と明細の合計、明細の登録免許税の行と控えの登録免許税同上。差額は書かない
税率報告書と明細に書いた税率と、税率の一覧のその登記の目的の行一覧に行が無ければ「一覧に無い」
軽減の期限一覧の軽減の期限と、登記完了証の受付年月日期限を過ぎた受付で軽減の税率が書かれていれば指摘
分かりにくい表現言い換えの一覧の「事務所の言葉」が、言い換えなしで使われている箇所直しの案を一覧の言い換えで出す
同封書類報告書の同封書類の一覧と、本文で触れている書類本文で触れているのに一覧に無いものを指摘

「差額は書かない」のは、計算をさせないためです。 差額を書かせると、その引き算が正しいかを人が確かめることになります。両方の値を写すだけで、補助者には十分に分かります。

させないこと理由
登録免許税の計算・検算課税価格と税率からの計算は申請の段で司法書士が済ませている。AIの計算を確かめる仕事が増える
軽減の適用の可否の判断住宅用家屋の要件や免税措置に当たるかは司法書士の判断
報告書の全文の書き直し写した値まで書き換わり、新しい誤りを持ち込む
一覧に無い言い換えの創作事務所が言っていない説明が依頼者に届く
物件の表示の補完控えに無い地番や床面積を「たぶんこうだ」と書かない
報酬の額の妥当性の評価事務所の報酬の決まりの話で、校正の対象ではない

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 AIは親切に「免税措置の対象かもしれません」と書き、補助者がそれを報告書に写せば、司法書士が判断していないことが依頼者に届きます。

Step6

指示内容を固定する

プロジェクトの指示に、次の文を置きます。

あなたは司法書士事務所で、依頼者へ送る登記の完了報告書と費用明細を、
送る前に校正する担当です。貼られた書類と、プロジェクトの一覧だけを見てください。

【貼られる書類】
- 完了報告書(校正の対象)
- 費用明細(校正の対象)
- 申請書の控え(照らす元)
- 登記完了証(照らす元)

【照らす項目】
1. 物件の表示(所在・地番・地目・地積・家屋番号・種類・構造・床面積)
2. 登記の目的と原因
3. 受付年月日と受付番号
4. 本文の費用の合計と、明細の合計
5. 明細の登録免許税と、申請書の控えの登録免許税
6. 報告書と明細に書かれた税率と、税率の一覧のその登記の目的の行
7. 税率の一覧の軽減の期限と、登記完了証の受付年月日
8. 言い換えの一覧の「事務所の言葉」が、言い換えなしで使われている箇所
9. 本文で触れている書類が、同封書類の一覧にあるか

【厳守事項】
- 値は書類に書かれたとおりに写してください。全角・半角や「番」「番地」も直さずに写してください。
- 計算をしないでください。差額、検算の結果、税額の計算は書かないでください。
  一致しないときは、両方の値を並べるだけにしてください。
- 照らす元に無い値を補わないでください。控えに無い項目は「照らす元に無い」と書いてください。
- 税率は、税率の一覧の行だけを根拠にしてください。一覧に行が無ければ「一覧に無い」と書いてください。
  あなたが知っている税率を使わないでください。
- 軽減・免税に当たるかを判断しないでください。軽減・免税に触れている箇所は、
  すべて「司法書士が確認」として挙げてください。
- 報告書の全文を書き直さないでください。直しの案は、言い換えの一覧の言い換えと
  添える一文だけを使い、その語を含む一文だけを示してください。
- 一致している項目も、照らした項目として表に残してください。

【出力】
最初の行に、税率の一覧の作成日を写してください。
続けて【食い違いの表】【税率と軽減の照合】【分かりにくい表現と直しの案】【同封書類】の
4つの表を、この順で出してください。表の列は次のとおりです。
- 食い違いの表:項目/報告書の値/照らす元の値/照らす元の書類/判定(一致・不一致・照らす元に無い)
- 税率と軽減の照合:登記の目的/書かれた税率/一覧の税率/一覧の軽減の期限/受付年月日/判定
- 分かりにくい表現:該当の一文/一覧の語/直しの案(一文)
- 同封書類:本文で触れた書類/一覧にあるか

「計算をしないでください」を差額・検算・税額の3つの言葉で書くのは、1つだけ禁じると残りで計算するからです。

「一致している項目も表に残す」も外せません。 不一致だけだと、表が空のときに「全部一致した」のか「照らさなかった」のかが分かりません。

Step7

出力形式を固定する

チャットに、次の形の表で受け取ります。 仕組みにつながないので、JSONではなく、補助者がそのまま読める表にします。

税率の一覧:作成日 2026-10-01

【食い違いの表】
| 項目 | 報告書の値 | 照らす元の値 | 照らす元の書類 | 判定 |
| 土地 地番 | 123番 | 123番4 | 申請書の控え | 不一致 |
| 土地 地積 | 165.28㎡ | 165.28平方メートル | 申請書の控え | 一致(表記のみ違う) |
| 建物 家屋番号 | 123番4 | 123番4 | 申請書の控え | 一致 |
| 建物 床面積 1階 | 52.17㎡ | 49.68平方メートル | 申請書の控え | 不一致 |
| 建物 床面積 2階 | 49.68㎡ | 52.17平方メートル | 申請書の控え | 不一致 |
| 所有権移転 受付番号 | 第12345号 | 第12354号 | 登記完了証 | 不一致 |
| 費用の合計 | 126,450円 | 128,450円 | 費用明細の合計 | 不一致 |

【税率と軽減の照合】
| 登記の目的 | 書かれた税率 | 一覧の税率 | 一覧の軽減の期限 | 受付年月日 | 判定 |
| 所有権移転(土地・売買) | 1.5% | 1,000分の15(軽減) | 令和11年3月31日 | 令和8年10月9日 | 一致 |
| 所有権移転(建物・売買) | 0.3% | 1,000分の3(軽減) | 令和9年3月31日 | 令和8年10月9日 | 一致。軽減のため司法書士が確認 |

【分かりにくい表現と直しの案】
| 該当の一文 | 一覧の語 | 直しの案 |
| 登記識別情報通知を同封いたします。 | 登記識別情報通知 | 登記識別情報通知(いわゆる権利証にあたる書類)を同封いたします。再発行されません。売却や借入れのときに必要になるため、大切に保管してください。 |

【同封書類】
| 本文で触れた書類 | 一覧にあるか |
| 登記事項証明書 | ない |

食い違いの表の4行目と5行目が、第3章の(b)の型です。 1階と2階の床面積が入れ替わっていて、どちらも控えにある値なので値だけを見ると正しく見えます。 項目名と値の組で照らすので不一致として出ます。

2行目の「一致(表記のみ違う)」は、事務所の表記の決まりで扱いを決めます。 「㎡」と「平方メートル」の違いを直すかどうかは事務所の決まりで、AIが決めることではありません。判定を「一致」と「不一致」の2つだけにせず、表記の違いを分けて出させると、 補助者は表記の決まりを見て直すかを決められます。

税率は、報告書でも一覧と同じ分数で書く決まりにしておくと安全です。 例の「1.5%」と「1,000分の15」を同じとみなすのは、計算に近い作業だからです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Claude のプロジェクト補助者が画面に貼る校正の表を受け取る
報告書のひな形補助者が手で直す表が指した箇所を元の書類で確かめて直す
案件の一覧補助者が手で記入「校正済み」と指摘の件数、税率の一覧の作成日

どこにも自動で書き込みません。 校正の表を見て直すのは補助者で、報告書を送るのは司法書士の押印の後です。AIの出力から依頼者へ届くまでのあいだに、人の手が2回入ります。 指摘の件数を残すのは、同じ項目の不一致が続いたときにひな形の欄の並びを直す材料にするためです。

Step9

人が確認する

  1. 補助者が食い違いの表を上から見る … 不一致の行は、表の値ではなく元の書類を開いて確かめます。照らす元が誤っていることもあります
  2. 補助者が税率の照合を見る … 「司法書士が確認」の行は、自分で直さずに司法書士に回します
  3. 補助者が直しの案を選ぶ … 言い換えをすべて入れると報告書が長くなります。依頼者が初めての登記かどうかで選びます
  4. 司法書士が直した報告書と表を見て押印する … 表の「司法書士が確認」の行を必ず見ます

1番目を軽く見ないでください。 登記完了証の受付番号を手で打って貼った場合、打ち間違いがあれば、正しい報告書が「不一致」と出ます。 表は「どちらかが違う」と言っているだけです。目標は1件4分です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
申請の一部が取り下げ・却下になった報告書の対象から外す登記を補助者が先に決める。AIには取り下げた登記の控えを貼らない
区分建物(マンション)の物件の表示が長い一棟の建物の表示、専有部分、敷地権の表示を分けて貼る。照らす項目にも3つを分けて書く
物件が5つ以上ある物件ごとにまとめて照らさせると読み落としが出る。物件の数で表の行数を数えて、足りなければ聞き直す
税率の一覧に無い登記(信託、地役権など)「一覧に無い」と出る。司法書士が確かめて一覧に行を足すか、その件は人だけで見る
相続の登記で免税・軽減に触れているすべて「司法書士が確認」。補助者は直さない
登記完了証がまだ届いていない受付番号の照合は後にする。報告書の発送も、完了証が届いてから
費用明細が後から変わった(郵送費の追加など)明細を直したら、その件は新しいチャットで最初から照らし直す
表の行が照らす項目より少ない照らし漏れ。同じチャットで「照らした項目をすべて表に出してください」と聞き直す

3行目は、件数の多い決済で起きます。 土地が3筆、建物が1棟、私道の持分が2筆あると、物件は6つです。表の行が物件の数に足りないときは、AIが照らした気になって省いています。 物件の数を貼る前に一行で書いておくと、すぐ気づけます。

Step11

記録を残す

  • 案件の一覧に、校正した日、税率の一覧の作成日、指摘の件数(不一致・税率・言い換え)
  • 補助者が直した箇所の数と、直さなかった指摘とその理由
  • 司法書士が「司法書士が確認」の行で何を判断したか(軽減の適用、免税の扱い)
  • 税率の一覧と言い換えの一覧の版(差し替えた日と、差し替えた行)
  • 送付後に来た問い合わせの内容と、報告書のどの語に関するものか

チャットそのものは残しても、記録の本体にはしません。 チャットには依頼者の物件と金額が入っています。記録に残すのは件数と判断の中身で、物件の表示はすでに事務所の事件簿にあります。プロジェクトのチャットを残す期間は、事務所の記録の決まりに合わせて決めます。最後の行は、言い換えの一覧に語を足す材料です。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元のAIサービスに指示と一覧を毎回貼り、1件ずつ照らさせる / 1件ごとの食い違いと言い換えの洗い出し
半自動化:上記+Team プランのプロジェクトに指示と一覧を置き、3人が同じ一覧で使う / 一覧の共有と版の管理、照らし方の統一
本格構成:上記+登記の業務ソフトの申請データと費用明細を書き出し、Claude API で報告書と自動で照らして、表を案件の一覧に書き込む / 貼る作業の自動化と、照らす元の切り出しの自動化

最小構成は、毎回一覧を貼るので続きません。 税率の一覧を貼り忘れた件は、AIが覚えている税率で照らします。確かめるための段階です。 半自動化で、1件12分が4分になり、この段階が本記事の想定です。 一覧と指示がプロジェクトに置かれ、補助者は書類を貼るだけになります。本格構成で貼る作業がなくなりますが、 業務ソフトから申請データを書き出す方法は業務ソフトごとに違い、個別に確かめる必要があります。照らす元を宛先ごとに切り出す前処理も、プログラムに書き直すことになります。 本格構成に進むかは、半自動化を3か月使ってから、残りの4分のうち貼る作業がどれだけを占めるかで決めます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  150件 × 12分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 150件 × 4分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
67%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価3,000円)
72万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 不動産の売買・相続・住宅ローンの登記を多く扱い、月に100件を超える完了報告書と費用明細を補助者が作っている司法書士事務所。報告書のひな形はあるが、物件の表示や金額の転記を読み合わせで確かめていて、読み合わせの相手がいない日に確認が薄くなる場合。依頼者から「この書類は何か」「この費用は何か」という問い合わせが報告書の送付後に来る場合。
向いていない
  1. 完了報告を書面で送らず、決済の場で口頭で済ませている事務所。月の件数が十数件で、司法書士本人が全件を読み合わせられる場合。報告書と費用明細を登記の業務ソフトが申請データから自動で作っていて、手で書き写す箇所が無い場合。なお、登録免許税の額と軽減の適用、報酬の額が正しいかの判断はこの構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月送った完了報告書から20件を選ぶ(うち数件は、送った後に誤りが見つかったものや、問い合わせが来たものを入れる)
  2. その20件の報告書、費用明細、申請書の控え、登記完了証の文字を用意する。依頼者の名前は記号に置き換える
  3. 手元のAIサービスの新しいチャットに、第7章の指示と、税率の一覧・言い換えの一覧を貼る
  4. 1件ずつ貼り、食い違いの表を出させる
  5. 出てきた指摘を、当時見つかった誤りと問い合わせの記録と突き合わせる

20件は必ずやってください。 プロジェクトを作る前に、「照らす元を貼れば、写し間違いが表に出るのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の誤りが不一致として出たプロジェクトにして一覧を置く段に進む
差額や税額を計算して書いた指示の書き方で直る。構成は有効
照らす元に無い値を補って一致とした控えの貼り方を見直す。 必要な箇所が貼れていない
免税・軽減に当たるかを判断して書いた指示に「判断しない」を足す。ここが直らないなら使わない

3行目が出たら、AIより先に前処理を見直します。 申請書の控えの物件の表示の欄が貼れていないと、AIは報告書の値を正として扱います。貼る範囲の決め方が、この構成の精度のほとんどを決めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
差額や税額を計算して書く計算・差額・検算の3語で禁じる。両方の値を並べるだけにさせる
AIが覚えている税率で照らす一覧の行だけを根拠にさせ、一覧に無ければ「一覧に無い」と書かせる
免税・軽減に当たるかを書く判断を禁じ、触れている箇所はすべて「司法書士が確認」にする
報告書の全文を書き直す直しの案は一文だけ。写した値が書き換わるのを防ぐ
関係ない登記の控えを貼って「漏れ」と出る宛先ごとに報告する登記を先に決め、その分だけ貼る
床面積や地番の入れ替わりが見えない項目名と値の組で照らさせる。ひな形の欄の順を控えに合わせる
照らした項目が少ないのに気づかない一致した項目も表に残させる。物件の数を先に書く
前の案件の値が混ざる1件に1チャット
軽減の期限を過ぎても一覧が古いまま一覧に期限と作成日を書く。期限の月に差し替えの予定を入れる
表記の違いを誤りとして直しすぎる「一致(表記のみ違う)」を分けて出させ、表記の決まりで決める
言い換えを全部入れて報告書が長くなる依頼者の経験で選ぶ。事業者の依頼者には入れない

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIが親切に「もう一歩」踏み込むことから起きます。校正の役割を「同じはずの値が同じか」に絞り込んでおくかどうかで、使い続けられるかが決まります。

下から3行目の期限は、時間が経ってから効いてきます。 一覧を作った日には正しくても、軽減の期限を過ぎた後の受付で軽減の税率を書いた報告書は、一覧が古いと一致と出ます。 一覧の期限の列を見て、差し替えの予定を事務所の予定表に入れておきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 依頼者の名前と住所、物件の所在と地番、取引の価格に近い課税価格、借入れの金融機関、費用の額です。不動産の登記の情報そのものは公開されていますが、誰がいつ、いくらで買い、どこで借りたかが一つにまとまった書類は、事務所の外に出すものではありません。

  1. 個人向けのプランを使わない … 公式の案内では、Claude for Work(Team・Enterprise)と API などの商用の製品では、既定では入力と出力をモデルの学習に使わないとされています。ただし、フィードバックを送るなどして利用を許した場合は学習に使われうるとされています。事務所の中で、フィードバックを送らない決まりにします
  2. 名前を記号に置き換えるかを決めておく … 照らすのは物件と金額なので、名前を「依頼者A」に置き換えても校正はできます。置き換えるなら宛名の確認は人が行うことを手順に書きます
  3. プロジェクトの共有を事務所の中に限る … Team プランでは共有の範囲と権限を決められます。一覧を直せる人を1人に絞り、税率の一覧が知らないうちに変わることを防ぎます
  4. AIの校正を、登記の内容の確認と取り違えない … この構成は報告書が申請どおりに写せているかを見るだけです。申請そのものが正しかったか、登録免許税の額と軽減の適用が正しかったかは、司法書士の確認の範囲です
  5. 依頼者へ送るのは人が直して押印したものだけ … AIの直しの案をそのまま送らない。依頼者に届く文の責任は事務所にあります

誤りが起きた場合のリスクは、写し間違いを見落として送ることと、AIが判断したことを事務所の説明として送ることの2つです。 前者は表を流し見て元の書類を開かないと起き、後者は「司法書士が確認」の行を補助者が直してしまうと起きます。どちらも人の確認の手順で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:税率の一覧を作る

国税庁の登録免許税の税額表を見て、事務所で扱う登記の目的ごとに税率と軽減の税率、軽減の期限を一覧にします。税額表に載っていない登記は、条文で確かめて書くか、空欄のまま置きます。 先頭に作成日を書きます。

2週目:言い換えの一覧を作る

過去半年の問い合わせの記録から、依頼者が分からなかった語を拾い、言い換えと添える一文を決めます。添える一文は、事務所として言ってよいことだけを書きます。 10語から始めます。

3週目:20件で試す

先月の報告書から20件を選び、手元のAIサービスに指示と一覧を貼って照らさせます。当時見つかった誤りが出るか、計算や判断をしていないかを最優先で見ます。

4週目:プロジェクトにする

Claude の Team プランでプロジェクトを作り、指示と一覧を置き、補助者3人と司法書士で共有します。案件の一覧に「校正済み」の列を足します。この時点から、押印の前にその列を見る決まりにします。

2か月目: 指摘の件数と問い合わせの記録を毎週見て、言い換えの一覧に語を足し、ひな形の欄の順を見直します。3か月目以降: 1件12分が何分になったかを実測し、貼る作業の時間が多ければ本格構成を検討します。問い合わせの電話が減り、読み合わせの相手がいない日も同じ表が出るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
登録免許税の税額表が令和8年4月1日現在法令等であること。土地の売買による所有権の移転登記が不動産の価額の1,000分の20で、令和11年3月31日までは1,000分の15であること。相続による移転が1,000分の4であること。建物の売買による移転が1,000分の20で、住宅用家屋の移転が令和9年3月31日までの間1,000分の3、所有権の保存が1,000分の4で住宅用家屋は1,000分の1.5、住宅取得資金の貸付けに係る抵当権の設定が1,000分の1であること。軽減に床面積50平方メートル以上などの要件があること。課税標準が固定資産課税台帳の価格であること。相続による土地の移転登記に免税措置があること国税庁: No.7191 登録免許税の税額表2026-10-13
プロジェクトが独自のチャット履歴と知識を持つ作業の場所であること。プロジェクトの知識に置いた文書がチャットの文脈として使われること。プロジェクトごとに指示を書けること。共有が Team と Enterprise で使え、「閲覧」「編集」の権限を付けられ、組織として共有を止められることClaude ヘルプセンター: What are projects?2026-10-13
Claude for Work と Anthropic API などの商用の製品では、既定では入力と出力をモデルの学習に使わないこと。フィードバックを送るなど利用を許した場合は学習に使われうることAnthropic プライバシーセンター: Is my data used for model training?2026-10-13

登録免許税の額と軽減・免税の適用、報酬の額は、司法書士が確かめてください。 本記事は国税庁の税額表で確認できた範囲だけを扱っています。税額表に載っていない登記の税率は、事務所が条文で確かめて一覧に書く前提です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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