Media > AI活用ユースケース > カスタマーサポート > マンション管理会社が毎月の理事会の録音とメモから、議事録の下書きと決まったこと・管理会社の宿題を作り、組合員向けの広報の文案を添える

マンション管理会社が毎月の理事会の録音とメモから、議事録の下書きと決まったこと・管理会社の宿題を作り、組合員向けの広報の文案を添える

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

管理会社のフロント担当が、毎月の理事会の録音と手元のメモから、議事録の下書きを作ります。決まったこと、継続審議、管理会社と理事の宿題を一覧にし、組合員に配る広報の文案を添えて、理事長の確認に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Python
対象業界
その他/不動産
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
書類作成/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
225h/月
AI導入後
90h/月
想定削減
60%
年間削減
1,620h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. フロント担当が理事会に出席し、メモを取りながら録音する
  2. 事務所に戻り、メモを見ながら録音を聞き返し、議題ごとの発言を拾う
  3. 議事録の書式に、出席者、議題、議事の経過の要領と結果を書く
  4. 決まったことと、管理会社と理事の宿題を組合ごとの管理表に書き写す
  5. 組合員向けの広報(理事会だより)の文案を作る
  6. 議事録の案と広報の文案を理事長に送り、確認を受ける
  7. 確定した議事録に署名をもらい、保管する。広報を掲示し、各戸に配る
導入後(After)
  1. 人フロント担当が理事会に出席し、録音する。出席者と議題の一覧をメモの書式に書く
  2. 人録音のファイルと出席者・議題のメモを、組合ごとの受付フォルダに入れる
  3. 自動フォルダへの保存をきっかけに処理が動き、録音を分割して OpenAI API で文字に起こす
  4. 自動ChatGPT(OpenAI API)が、議題ごとに経過の要領と結果をまとめ、決定・継続審議・報告に分ける
  5. 自動同じ呼び出しで、宿題を担当(管理会社・理事)と期限つきで一覧にし、広報の文案を作る
  6. 自動議事録の書式に下書きを流し込み、宿題を管理表の候補として書き出す
  7. 人フロント担当が下書きを録音の該当箇所と照らして直し、宿題を管理表に確定する
  8. 人議事録の案と広報の文案を理事長に送り、確認を受ける
  9. 人確定した議事録に署名をもらい、広報を掲示・配布する
各工程の詳しい説明を読む
  1. フロント担当が理事会に出席し、メモを取りながら録音する
  2. 事務所に戻り、メモを見ながら録音を聞き返し、議題ごとの発言を拾う
  3. 議事録の書式に、出席者、議題、議事の経過の要領と結果を書く
  4. 決まったことと、管理会社と理事の宿題を組合ごとの管理表に書き写す
  5. 組合員向けの広報(理事会だより)の文案を作る
  6. 議事録の案と広報の文案を理事長に送り、確認を受ける
  7. 確定した議事録に署名をもらい、保管する。広報を掲示し、各戸に配る

(a)録音の聞き返しに時間がかかる。 2時間の理事会を聞き返すと、早送りしても40分はかかります。メモが追いつかなかった議題ほど、聞き返す時間が長くなります。 夜の理事会の翌日は、ほかの組合の対応と重なります。

(b)決まったことと話し合っただけのことが混ざる。 長い議論の末に「では、次回までに見積をもう1社取りましょう」となった議題を、急いで書くと「見積を取ることに決定した」と「業者の選定は継続審議」のどちらで書くかがぶれます。理事長から「それは決まっていない」と戻されるのは、たいていここです。

(c)宿題が管理表に移らない。 議事録には書いたのに、組合ごとの管理表への書き写しを忘れると、次の理事会で「あの件はどうなりましたか」と聞かれて初めて気づきます。 15組合を受け持つと、宿題は月に数十件になります。

(d)広報で個人が特定されそうになる。 「○階の住戸の騒音について」と書いてしまい、理事長に直される文案が出ます。議事録の言葉をそのまま広報に写すと起きます。

  1. 【人】 フロント担当が理事会に出席し、録音する。出席者と議題の一覧をメモの書式に書く
  2. 【人】 録音のファイルと出席者・議題のメモを、組合ごとの受付フォルダに入れる
  3. 【自動】 フォルダへの保存をきっかけに処理が動き、録音を分割して OpenAI API で文字に起こす
  4. 【自動】 ChatGPT(OpenAI API)が、議題ごとに経過の要領と結果をまとめ、決定・継続審議・報告に分ける
  5. 【自動】 同じ呼び出しで、宿題を担当(管理会社・理事)と期限つきで一覧にし、広報の文案を作る
  6. 【自動】 議事録の書式に下書きを流し込み、宿題を管理表の候補として書き出す
  7. 【人】 フロント担当が下書きを録音の該当箇所と照らして直し、宿題を管理表に確定する
  8. 【人】 議事録の案と広報の文案を理事長に送り、確認を受ける
  9. 【人】 確定した議事録に署名をもらい、広報を掲示・配布する

1番目で、出席者と議題の一覧だけは人が書きます。 出席者の数は理事会が成り立つかに関わり、録音から推測させるものではありません。 議題の一覧があれば、AIは録音を議題ごとに分けて扱えます。

7番目の確認は、決定の欄から先に見ます。 決定と書かれた議題について、録音の採決や了承の発言の箇所を聞き、本当に決まったかを確かめます。 第3章の(b)は、ここで防ぎます。

02今回想定するシステム構成

構成図
理事会 ── 録音(ICレコーダー)+ 出席者・議題のメモ
   ▼【トリガー】組合ごとの受付フォルダへの保存
受付の処理(Python)── 録音の形式の確認と分割(25MB以内)
   ▼
OpenAI API(文字起こし)── 分割した録音ごとに文字に起こす
   ▼
ChatGPT(OpenAI API の Responses API と構造化出力)
   │ ①議題ごとの経過の要領と結果(決定/継続審議/報告)
   │ ②宿題(担当・内容・期限)
   │ ③組合員向けの広報の文案(個人が特定されない形)
   ▼
受付の処理 ── 議事録の書式へ流し込み、宿題を管理表の候補へ
   ▼【フロント担当が録音と照らして直す】
理事長の確認 ──▶ 署名・保管、広報の掲示と配布
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API の文字起こしと Responses API の構造化出力)Claude API、Gemini API
連携Python(受付フォルダの見張り、録音の分割、書式への流し込み)Google Apps Script、Make
保管組合ごとの書類の保管フォルダGoogle ドライブ、SharePoint

議事録の書式、宿題の管理表、保管フォルダは今のまま使います。 足すのは、受付フォルダを見張って OpenAI API を呼び、結果を書式に流し込む処理だけです。管理表へは候補として書き出し、確定はフロント担当が行います。

文字起こしは OpenAI API の /v1/audio/transcriptions で行います。 公式の案内では、一般の文字起こしに gpt-transcribe が勧められ、入力できる形式は mp3、mp4、mpeg、mpga、m4a、wav、webm で、ファイルは25MBまでです。2時間の理事会の録音は、録音の設定によってはこれを超えるので、受付の処理で分割してから渡します。

prompt と keywords で手がかりを渡せます。 マンションの設備の名前(受水槽、給水ポンプ、機械式駐車場)、取引のある業者の名前、組合の中で使う呼び名を keywords に入れると、固有の言葉の聞き違いが減ります。

まとめの段は Responses API の構造化出力を使います。 text.format に type: "json_schema" と strict: true を指定し、スキーマに合ったJSONを返させます。議題ごとの区分と宿題の欄を決まった形で受け取れるので、書式への流し込みと管理表への書き出しを機械で行えます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

組合ごとの受付フォルダに、録音とメモがそろって保存されたことを起点にします。 録音だけが先に入っても動かしません。出席者と議題の一覧が無いと、議題ごとに分けてまとめられないからです。

フォルダは「組合のコード_理事会の日付」の名前で作り、録音のファイルとメモの書式の2つが入った時点で処理を始めます。理事会の翌朝には下書きができているように、夜の理事会の後、フロント担当が帰りがけにスマートフォンから保存できる形にしておきます。

処理が終わったら、フォルダの名前に「下書き済み」を足します。失敗したときは名前を変えず、受付フォルダに残っているものが未処理だと分かるようにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
録音理事会の全体。1時間半から2時間受付フォルダ
出席者・議題のメモ出席した理事と監事の役職、理事の総数、管理会社の出席者、議題の一覧と順番フロント担当が書く書式
前回の宿題の一覧前回までに出た宿題と、その状態組合ごとの宿題の管理表
用語の一覧設備の名前、業者の名前、組合の中の呼び名組合ごとに用意する一覧
広報の決まり部屋番号・氏名を出さない、滞納の件は件数だけ、などの組合の取り決め組合ごとに用意する一覧

質を決めるのは、出席者・議題のメモです。 議題の一覧と順番があれば、AIは文字起こしを議題ごとに区切れます。議題の一覧が無いと、雑談や報告の途中の話を独立した議題として扱い、議事録が細切れになります。

前回の宿題の一覧を渡すのは、報告の議題を正しく扱うためです。 「先月の件、見積が出ました」という報告は、前回の宿題を知らないと何の話か分かりません。前回の宿題と照らして、どの宿題が完了し、どれが続いているかを分けさせます。

組合ごとの議事録の書き方は、書式への流し込みの段で吸収します。 AIには共通の形でまとめさせ、発言者の書き方や結果の見せ方の違いは、組合ごとの書式の側に持たせます。担当が替わっても、書式を引き継げば書き方がそろいます。

出席者は役職で書き、氏名は書きません。 議事録の書式の出席者の欄には氏名が入りますが、それは書式への流し込みの段で、メモから直接入れます。 AIには「理事長」「副理事長」「理事A」のような役職だけを渡します。

Step3

データの取得方法を決める

録音は、受付フォルダから取り出して受付の処理で整えます。元の録音はそのまま組合の保管フォルダに残し、API に渡すのは分割した写しです。

取るものどこから何に使うか
録音のファイル受付フォルダ分割して文字起こしへ
出席者・議題のメモ受付フォルダまとめの段の入力、書式の出席者の欄
前回の宿題の一覧宿題の管理表報告の議題の扱い
用語の一覧と広報の決まり組合ごとの一覧文字起こしの keywords、広報の文案

文字起こしは分割したファイルごとに呼び、結果を順番どおりにつなぎます。 分割の境目で発言が切れることがあるので、分割は無音の箇所を探して行い、前後を数秒ずつ重ねます。 重なった部分の重複は、つなぐときに取り除きます。

話者の区別は、この構成では行いません。 OpenAI API には話者を区別する文字起こしのモデルもありますが、理事会の議事録に要るのは「誰が言ったか」より「何が決まったか」です。発言者を残さないほうが、広報の文案で個人が特定される余地も減ります。 必要な発言者は、フロント担当が確認の段で書き足します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … mp3、mp4、mpeg、mpga、m4a、wav、webm のどれかであることを確かめ、それ以外は m4a に変換します
  2. 分割 … 1ファイルが25MBを超えないよう、無音の箇所で区切ります
  3. 冒頭と終わりの雑談を外す … 開会の宣言の前と閉会の後は、フロント担当がメモに時刻を書き、その範囲だけを使います
  4. 用語の一覧を keywords に入れる … 組合ごとの設備と業者の名前です
  5. 出席者の氏名を役職に置き換える … メモの書式から、AIに渡す文には役職だけを使います
  6. 休憩中の録音を外す … 録音を止め忘れた休憩中の会話は、議事に関係のない私的な話が入ります

6番目を軽く見ないでください。 休憩中や閉会後の雑談には、住民のうわさや個人的な事情が出ることがあります。議事録に入れるべきでない話は、文字起こしの前に外すのがいちばん確実です。 録音を止め忘れたら、メモに時刻を書いておきます。

Step5

AIに処理させる

させるのは3つです。議題ごとのまとめ、宿題の一覧、広報の文案です。 1回の呼び出しで、構造化出力の1つのJSONとして返させます。

見るものさせること判断できないときの扱い
議題ごとの経過議事の経過の要領を3〜5文で書く。出た意見の要点を、発言者を書かずにまとめる録音が聞き取れない箇所は「聞き取り不能」と書く
議題の結果決定・継続審議・報告・承認・不承認のどれかに分ける採決や了承の発言が無ければ「継続審議」
決定の根拠決定とした議題の、採決や了承の発言を文字起こしから写す写せなければ決定にしない
宿題担当(管理会社・理事長・理事・業者)、内容、期限を書く期限が言われていなければ「期限なし」
前回の宿題報告の議題と照らし、完了・継続を分ける触れられていなければ「言及なし」
広報の文案組合員向けに、決まったことと工事などのお知らせをまとめる個人に関わる議題は件数と結果だけ

2行目と3行目が、この構成でいちばん大事な組み合わせです。 決定とするには、文字起こしの中に「異議ありませんか」「では、そのように決定します」のような採決や了承の発言があることを条件にし、その発言を写させます。 写せなければ決定にしません。根拠の発言が付いていれば、フロント担当は録音のその箇所だけを聞けば確かめられます。

期限を推測させないことも大事です。 「次の理事会までに」と言われていれば次の理事会の日を、何も言われていなければ「期限なし」とします。それらしい期限を書かれると、管理表に誤った期限が残ります。

させないこと理由
決まっていないことを決定として書く次の理事会でもめる原因になる
出席者の数や定足数の判断メモの出席者から人が確かめる
発言者の名前を書く議事の経過の要領に要らない。広報での特定を防ぐ
広報に部屋番号・氏名・滞納の額を書く組合員に個人が特定される
議事録の確定理事長と出席した理事が確かめ、署名する

4行目は、広報の文案の段で特に起きやすい誤りです。 議題のまとめに「○○号室のリフォームの申請を承認」と書くのは議事録の中では自然ですが、それをそのまま広報に写すと、誰の住戸かが全戸に知られます。 広報では「専有部分の修繕の申請1件を承認しました」のように、件数と結果だけにします。

Step6

指示内容を固定する

あなたはマンション管理会社のフロント担当として、管理組合の理事会の
議事録の下書きを作ります。文字起こしと、出席者・議題のメモ、
前回の宿題の一覧、広報の決まりだけを使ってください。推測で埋めないでください。

【議題ごとにすること】メモの議題の一覧の順番に
1. 議事の経過の要領を3〜5文で書く。発言者の名前や役職は書かない
2. 結果を decided(決定)/continued(継続審議)/reported(報告)/
   approved(承認)/rejected(不承認)のどれかにする
3. decided・approved・rejected にした場合は、根拠となる採決や了承の発言を
   文字起こしからそのまま写す
4. 宿題があれば、担当・内容・期限を書く

【結果の選び方】
- 採決や了承の発言(「異議ありませんか」「では決定とします」など)が
  文字起こしに無い議題は、decided にしないでください。continued にしてください。
- 「次回までに見積を取る」のような段取りの合意は、宿題として書き、
  議題の結果は continued にしてください。
- 聞き取れない箇所は「聞き取り不能」と書き、内容を補わないでください。

【宿題の書き方】
- 担当は management_company/chair/director/contractor のどれかにしてください。
- 期限が言われていなければ「期限なし」とし、期限を推測しないでください。
- 前回の宿題の一覧と照らし、報告で完了と言われたものは done、
  続いているものは ongoing、触れられていないものは not_mentioned にしてください。

【広報の文案】
- 組合員に向けて、決まったこと、工事や点検のお知らせ、お願いを書いてください。
- 部屋番号、階数、氏名、滞納の額、苦情の相手が分かる書き方をしないでください。
  個人に関わる議題は「申請1件を承認しました」のように件数と結果だけにしてください。
- 継続審議の議題は「引き続き検討します」とだけ書いてください。

【厳守事項】
- 出席者の数や、理事会が成り立つかどうかを書かないでください。
- 文字起こしに無い発言や数字を書かないでください。
- 休憩中の私的な会話が混ざっていても、議事録と広報に入れないでください。

「段取りの合意は宿題として書き、結果は継続審議」を明記しないと、決定が増えます。 「では、もう1社見積を取りましょう」は合意ですが、業者の選定は決まっていません。AIはこの合意を「業者の選定について、見積を取ることに決定」と書きがちです。 段取りと結論を分けて書く場所を用意すると、取り違えが減ります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "meeting_id": "",
  "agenda_items": [
    {
      "no": 1,
      "title": "",
      "summary": "",
      "result": "decided | continued | reported | approved | rejected",
      "basis_quote": "",
      "action_items": [
        { "owner": "management_company | chair | director | contractor",
          "task": "", "due": "" }
      ]
    }
  ],
  "previous_actions": [
    { "task": "", "status": "done | ongoing | not_mentioned" }
  ],
  "unclear_parts": [],
  "newsletter_draft": ""
}

1つ目の理由は、result と basis_quote を組にできることです。 受付の処理は、result が決定なのに basis_quote が空の議題を見つけたら、下書きに「根拠の発言なし」の印を付けます。 構造化出力でスキーマに合う形は保たれますが、中身が正しいかは別に確かめる必要があります。

2つ目は、action_items を管理表へ機械で書き出せることです。 担当が management_company の宿題は、フロント担当の宿題として管理表の候補に入ります。第3章の(c)の書き写し忘れは、ここで無くなります。

3つ目は、previous_actions で前回の宿題の行方が分かることです。 not_mentioned が続く宿題は、次の理事会の議題の案に入れます。宿題が忘れられたまま何か月も残ることを防げます。

広報の文案は、議事録とは別の欄にしています。 議事録の summary を広報に写さないためです。広報は最初から別の決まりで書かせます。 出てくる文案は、たとえば次のような形です。

【理事会だより 第○回理事会(10月)】
■ 決まったこと
・給水ポンプの部品の交換を行います。日程が決まりしだい掲示でお知らせします。
・専有部分の修繕の申請1件を承認しました。
■ 引き続き検討すること
・機械式駐車場の修繕の進め方
■ お願い
・夜間は、共用廊下での会話の声にご配慮ください。

4つ目の「お願い」の書き方に注意します。 騒音の苦情が議題になった月でも、広報では誰に向けたものか分からない一般的なお願いにとどめます。苦情の内容や時間帯を細かく書くほど、該当する住戸が推測されます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付フォルダ受付の処理が見張る録音とメモがそろったら動く
OpenAI API(文字起こし)API呼び出し分割した録音を文字に起こす
OpenAI API(Responses API)API呼び出し議題ごとのまとめ、宿題、広報の文案
議事録の書式受付の処理が流し込む出席者はメモから、議題はJSONから
宿題の管理表候補として書き出すフロント担当が確定する
組合の保管フォルダファイルの保存元の録音、下書き、確定版

宿題の管理表へは、確定の印を付けたものだけを正式な行にします。 AIの候補をそのまま正式な行にすると、決まっていない宿題が管理表に残ります。フロント担当が確認の段で印を付けた行だけを移します。

広報の掲示と配布は、理事長の確認の後に人が行います。 文案を自動で掲示の仕組みに送る経路は作りません。

Step9

人が確認する

フロント担当は、全件の下書きを録音と照らして確かめます。 見る順番を決めておきます。

  1. 決定・承認・不承認の議題を先に見る … basis_quote の発言を録音で聞き、本当に決まったかを確かめます
  2. 「根拠の発言なし」の印がある議題を見る … 決定でなければ継続審議に直します
  3. 宿題の担当と期限を確かめる … 管理会社の宿題は、自分のメモと照らして漏れが無いかを見ます
  4. 「聞き取り不能」の箇所を聞き直す … 聞いても分からなければ、理事長に確かめます
  5. 広報の文案に個人が特定される書き方が無いかを読む … 部屋番号、階数、時間帯と場所の組み合わせも見ます

5番目の「組み合わせ」に注意してください。 部屋番号を消しても、「夜10時ごろの3階東側の騒音」と書けば、そのマンションの住民には誰のことか分かります。AIの指示では防ぎきれない書き方は、フロント担当が読んで消します。

目標は、録音を全部聞き直さずに済むことです。 決定の根拠の箇所と聞き取り不能の箇所だけを聞けば、確認は30分ほどで終わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
録音が25MBを超える受付の処理で無音の箇所で分割する
録音が途中で切れている切れた後の議題をメモから下書きし、「録音なし」の印を付ける
議題の一覧に無い話が出た「その他」の議題としてまとめ、フロント担当が扱いを決める
採決の発言が聞き取れない継続審議の扱いのまま、理事長に結果を確かめる
文字起こしの固有の言葉の誤り用語の一覧に足し、次回から keywords に入れる
構造化出力で拒否が返る拒否の内容を見て、フロント担当が手で下書きする
API が応答しない受付フォルダに残し、時間をおいて再実行する
理事会がWEB会議で開かれた会議の録音を同じように扱う。出席の方法をメモに書く
理事長から下書きに大きな直しが入った直した版を確定版として保存し、直しの内容を指示の見直しの材料にする

上から2行目と4行目は、録音の取り方で減らせます。 レコーダーを机の中央に置き、採決のときは理事長に結果を声に出して言ってもらうよう、管理組合にお願いしておきます。

Step11

記録を残す

  • 元の録音と、文字起こしの結果の全文
  • 出席者・議題のメモ
  • AIの出力のJSONと、呼び出しの日時、モデルの名前
  • フロント担当が直した箇所 … 継続審議に直した決定、書き足した宿題、広報から消した言葉
  • 理事長の確認の結果と、確定版の議事録
  • 宿題の管理表の行と、その元になった議題

4つ目の直した箇所は、指示を直す材料になります。 継続審議に直した決定が多いなら、決定の条件の書き方が弱いということです。

録音と文字起こしの保存期間は、管理組合と決めます。 議事録を確定した後に録音をいつ消すかを、録音の了承を得るときに一緒に決めておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:文字起こしをチャットに貼り、議題ごとのまとめと宿題を出させる / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+受付フォルダを起点に文字起こしとまとめを自動で行い、書式への流し込みと宿題の候補の書き出しまで行う / 下書きと宿題の候補の作成
本格構成:上記+宿題の管理表から次の理事会の議題の案を作り、理事長の確認の流れと署名の回付まで組み込む / 理事会の準備から確定までの流れ

最小構成では、15組合の議事録には手が回りません。 文字起こしを貼る手間が残るので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件90分が36分になります。 聞き返しと書き起こしがAIの側に移り、フロント担当が行うのは決定の根拠の確認と、広報の文案の読み直しです。本記事の想定はこの段階です。 本格構成は、半自動化を半年回してから考えます。 宿題の管理表が正しく育ってからでないと、次の理事会の議題の案を作る材料になりません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
36 分
現在  150件 × 90分 ÷ 60 = 225 時間/月
導入後 150件 × 36分 ÷ 60 = 90 時間/月
月間削減時間
135h
削減率
60%
年間削減時間
1,620h
年間金額換算(時間単価3,000円)
486万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 分譲マンションの管理組合から管理を受託し、フロント担当が1人で十数の管理組合を受け持って、毎月の理事会に出席して議事録の案と組合員向けのお知らせを作っているマンション管理会社。理事会の録音を取っている(または取る了承を得られる)場合。議事録の書式と、宿題を管理する表がある場合。団地や複合用途の管理組合、自主管理の管理組合の理事会の書記の作業にも当てはまります。
向いていない
  1. 理事会の録音について管理組合の了承が得られない場合。理事会が年に数回で、議事録の作成に困っていない場合。議事録を逐語で残すことを管理組合が求めている場合(この構成は議事の経過の要領と結果をまとめます)。なお、議事録の内容の確定、署名、組合員への公開の範囲の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 協力してもらえる管理組合を3つ選び、過去の理事会の録音を1回分ずつ用意する(録音の利用について理事長の了承を得る)
  2. 当時の議事録の確定版と、宿題の管理表の行を集める
  3. 録音を OpenAI API の文字起こしにかけるか、ChatGPT のチャットに文字起こしを貼る
  4. 第7章の指示を貼り、議題の一覧と前回の宿題を添えて、下書きを出させる
  5. 下書きの決定・継続審議の区分と宿題を、確定版の議事録と管理表と突き合わせる

3つの組合で必ず試してください。 受付の処理を作る前に、「録音から決まったことを正しく取り出せるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
決定と継続審議の区分が確定版とおおむね合う受付の処理と書式への流し込みに進む
決定が多すぎる決定の条件を指示で強める。構成は有効
文字起こしの聞き取り不能が多い録音の取り方が先。 レコーダーの置き場所を変える

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、聞き返しに40分かかっていた理由が録音の側にあったと分かったということです。 置き場所を変えて翌月の理事会で取り直します。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
決まっていないことが決定になる採決や了承の発言を根拠として写させ、写せなければ継続審議
段取りの合意が決定になる段取りは宿題として書かせ、結果は継続審議にする
期限が推測で入る言われていなければ「期限なし」
広報で個人が特定される件数と結果だけにさせ、組み合わせはフロント担当が読んで消す
休憩中の会話が入る文字起こしの前に外す
25MBを超えて止まる無音の箇所で分割する
設備や業者の名前の聞き違い用語の一覧を keywords に入れる
議題が細切れになる議題の一覧をメモで渡す
宿題の候補がそのまま正式な行になる確定の印を付けたものだけを移す
録音の了承を取っていない録音の利用目的と保存期間を管理組合と決めてから始める

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、話の流れから「決まった」と読んでしまうことから起きます。根拠の発言を写させるという1つの仕組みで、両方を防ぎます。

4行目は、仕組みだけでは防ぎきれません。 部屋番号と氏名は指示で消せても、「最上階の角部屋」「ペットの件で以前から」のような言い回しは、その組合の住民にしか分からない手がかりです。組合ごとの広報の決まりに、過去に理事長から直された言い回しを足していくと、文案の直しが月を追って減っていきます。最初の数か月は、広報の文案を理事長に必ず見てもらう取り決めにしておきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 理事会の録音と文字起こし、出席した理事の役職、議題の内容(管理費の滞納、専有部分の修繕の申請、住民の苦情を含む)、組合員向けの広報です。住民の個人情報やプライバシーに関わる話が含まれます。

  1. 録音の利用について管理組合の了承を得る … 利用の目的(議事録の作成)、AIのサービスに送ること、保存期間を、理事会で説明して了承を得ます
  2. API に送る範囲を絞る … 氏名は役職に置き換え、休憩中や閉会後の録音は外します。公式の案内では、API に送ったデータは明示的に選ばない限り学習に使われず、不正利用の監視の記録は既定で最大30日保持されるとされています
  3. 議事録の閲覧と広報で個人が識別されないようにする … マンション標準管理規約のコメントは、議事録に個人情報やプライバシー情報が含まれる場合が多いとして、閲覧などの際に特定の個人が識別できないよう加工するなどの対応を求めています。広報はさらに広く配られるので、より慎重に書きます
  4. この構成は議事録の確定を代替しない … 標準管理規約では、理事会の議事録には議事の経過の要領及びその結果を記載し、書面の場合は議長と議長の指名する2名の理事会に出席した理事が署名するとされています。下書きを確定するのは理事会の側です
  5. 自組合の管理規約を確かめる … 標準管理規約は令和7年10月17日に改正され、改正区分所有法は令和8年4月1日から施行されています。議事録の扱いは各組合の管理規約によるので、受託している組合の規約を確かめてください

誤りが起きた場合のリスクは、決まっていないことを決定として残すことと、広報で個人が特定されることの2つです。 前者は根拠の発言と人の確認で、後者は広報の決まりとフロント担当の読み直しで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:録音の了承とメモの書式を決める

協力してもらえる管理組合3つに、録音の利用目的と保存期間を説明して了承を得ます。出席者・議題のメモの書式を作り、フロント担当が理事会の場で書けるようにします。

2週目:3つの組合の過去の録音で試す

過去の理事会の録音で下書きを出させ、確定版の議事録と突き合わせます。決まっていないことが決定になっていないか、広報に部屋番号や氏名が出ていないかを最優先で見ます。

3週目:用語の一覧と広報の決まりを作る

3つの組合ごとに、設備と業者の名前、組合の中の呼び名を一覧にします。広報で出さない情報の決まりを、理事長と相談して書きます。

4週目:受付フォルダから下書きまでをつなぐ

受付フォルダを見張り、録音を分割して文字に起こし、下書きと宿題の候補を書き出すところまで作ります。この時点では、宿題の候補を管理表へ移すのは手で行います。

2か月目: 協力する組合を広げ、決定を継続審議に直した件数を数えます。3か月目以降: 宿題の候補の書き出しを管理表につなぎ、1件90分が何分になったかを実測します。理事会の翌朝に下書きがそろい、フロント担当が根拠の箇所だけを聞いて理事長に出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
文字起こしが /v1/audio/transcriptions で、一般の文字起こしに gpt-transcribe が勧められていること。話者の区別に gpt-4o-transcribe-diarize があること。入力が mp3・mp4・mpeg・mpga・m4a・wav・webm で25MBまでであること。prompt・keywords・languages で手がかりを渡せることOpenAI API: Speech to text2026-10-07
Responses API で text.format に type: "json_schema"、strict: true とスキーマを指定すること。required と additionalProperties: false を使うこと。拒否が返った場合を見分けられることOpenAI API: Structured Outputs2026-10-07
API に送ったデータが明示的に選ばない限り学習に使われないこと。不正利用の監視の記録が既定で最大30日保持されることOpenAI API: Data controls in the OpenAI platform2026-10-07
マンション標準管理規約が令和7年10月17日に改正されたこと。改正区分所有法が令和8年4月1日から施行されること国土交通省: マンション標準管理規約2026-10-07
理事会の会議にWEB会議システム等を用いて開催する会議を含むこと。理事会の議事録に第49条が準用され、議事の経過の要領及びその結果を記載し、書面の場合は議長及び議長の指名する2名の理事会に出席した理事が署名すること。第49条関係のコメントで、議事録には個人情報やプライバシー情報が含まれる場合も多いことから、閲覧等に当たって特定の個人が識別できないよう加工するなど適切に対応することが必要とされていること国土交通省: マンション標準管理規約(単棟型)コメント含む(PDF)2026-10-07

議事録の記載事項と署名、閲覧と広報の扱いは、受託している管理組合の管理規約と理事会の取り決めに合わせてください。 本記事は上の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。API の料金とモデルごとの性能は、OpenAI の最新の案内を確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0753)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次