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通販サイトで商品の不具合・配送の遅れ・システムの障害が起きたときに、顧客へのお詫びとお知らせの文面を、事実・原因・対応・問い合わせ先がそろう形で下書きする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

商品の不具合や配送の遅れ、サイトの障害が起きたとき、担当者が事実の整理表を埋めて ChatGPT に渡し、お詫びとお知らせの下書きを媒体ごとに作らせます。決まっていないことは空欄で残させ、出すかどうかは責任者が決めます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
EC/IT・SaaS/小売/物流
対象部門
カスタマーサポート/マーケティング
対象業務
問い合わせ対応/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
67%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 出来事の連絡を受け、当番の担当者が物流・システム・品質の担当に事実を聞く
  2. 過去のお知らせから近いものを探し、書き換えて下書きを作る
  3. 対象の注文日・商品・件数、お届けの予定、問い合わせ先を書き入れる
  4. 媒体ごとに文面を書き分ける(SNSは文字数に合わせて縮める)
  5. 課長が読み、お詫びの言葉の重さと、書いてよいことを確かめる
  6. 直してから、サイト・メール・モール・SNSに出す
  7. 続報があれば、同じことを繰り返す
導入後(After)
  1. 人課長が、文面の決まり(お詫びの重さの段階、使わない言い回し、媒体ごとの形)と問い合わせ先の一覧をプロジェクトの Sources に置く
  2. 人当番の担当者が、各担当から聞いた事実を事実の整理表に埋める。決まっていない欄は「未確定」と書く
  3. 人担当者が、ChatGPT のプロジェクトのチャットに整理表を貼り、出来事の種類と出す媒体を書く
  4. 【AI】 ChatGPT が、媒体ごとの下書きと、文面の数字と日付の照合表を返す
  5. 人担当者が照合表で数字と日付を確かめ、文面を直す
  6. 人課長が、文面と照合表と整理表を見て、出してよいかを決める。補償の内容と原因の書き方は課長が決める
  7. 人担当者が、サイト・メール・モール・SNSに出す
  8. 人続報のときは、整理表を更新して同じチャットではなく新しいチャットで作り直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 出来事の連絡を受け、当番の担当者が物流・システム・品質の担当に事実を聞く
  2. 過去のお知らせから近いものを探し、書き換えて下書きを作る
  3. 対象の注文日・商品・件数、お届けの予定、問い合わせ先を書き入れる
  4. 媒体ごとに文面を書き分ける(SNSは文字数に合わせて縮める)
  5. 課長が読み、お詫びの言葉の重さと、書いてよいことを確かめる
  6. 直してから、サイト・メール・モール・SNSに出す
  7. 続報があれば、同じことを繰り返す

(a)過去のお知らせを探すところから始まる。 似た出来事の文面はありますが、どれが課長の確認を通った最新の版か分からず、 古い問い合わせの電話番号が残った文面を書き換えてしまうことがあります。

(b)決まっていないことの書き方で迷う。 原因が分からない、補償が決まっていない、お届けの予定が見えない。担当者は空欄のままでは出せないと考え、「〜と思われます」「〜の予定です」と書いてしまいます。 予定どおりにいかなければ、2度目のお詫びが要ります。

(c)お詫びの重さが担当者ごとに違う。 1日の配送の遅れに「多大なるご迷惑」と書く人と、二重決済に「ご不便」と書く人がいます。課長の確認で毎回直され、 担当者は何を基準にすればよいか分からないままです。

(d)急ぐほど数字を書き間違える。 対象の注文日の「10月12日〜14日」が、メールでは「10月12日〜13日」になっていた、ということが起きます。4つの媒体に同じ数字を書くので、どこか1つで間違えると、問い合わせがそこから増えます。

  1. 【人】 課長が、文面の決まり(お詫びの重さの段階、使わない言い回し、媒体ごとの形)と問い合わせ先の一覧をプロジェクトの Sources に置く
  2. 【人】 当番の担当者が、各担当から聞いた事実を事実の整理表に埋める。決まっていない欄は「未確定」と書く
  3. 【人】 担当者が、ChatGPT のプロジェクトのチャットに整理表を貼り、出来事の種類と出す媒体を書く
  4. 【AI】 ChatGPT が、媒体ごとの下書きと、文面の数字と日付の照合表を返す
  5. 【人】 担当者が照合表で数字と日付を確かめ、文面を直す
  6. 【人】 課長が、文面と照合表と整理表を見て、出してよいかを決める。補償の内容と原因の書き方は課長が決める
  7. 【人】 担当者が、サイト・メール・モール・SNSに出す
  8. 【人】 続報のときは、整理表を更新して同じチャットではなく新しいチャットで作り直す

2番目が、この設計の分かれ目です。 AIが使うのは整理表に書かれたことだけなので、整理表を埋める作業が、事実を確かめる作業そのものになります。物流の担当に「お届けの予定は何日か」と聞いて、答えが無ければ「未確定」と書く。AIに任せるのは、そのあとの文章だけです。

6番目で、整理表も一緒に見せるのは、 課長が「この一文はどこから来たのか」をすぐに確かめられるようにするためです。整理表に無いことが文面に書かれていれば、それはAIが足したものです。

02今回想定するシステム構成

構成図
各担当(物流・システム・品質)── 事実を聞く
   ▼
当番の担当者 ── 事実の整理表を埋める(決まっていない欄は「未確定」)
   │
   ▼
ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト)
   │  Sources:文面の決まり/問い合わせ先の一覧/課長の確認を通ったお知らせの例
   │  チャット:整理表+出来事の種類+出す媒体
   ▼
【下書き】サイトのお知らせ/対象の顧客へのメール/モールのお知らせ/SNSの投稿
【照合表】文面の数字と日付 ↔ 整理表の欄
   ▼
担当者が照合表で確かめる →【課長が出してよいかを決める】→ 各媒体に出す
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト機能)Claude、Microsoft Copilot、Gemini
掲載通販サイトの管理画面、モールの店舗の管理画面-
配信メールの配信の仕組み、SNSのアカウント-
記録お知らせの記録の表(共有の表計算)問い合わせの管理の仕組み

新しく足すのは、ChatGPT のプロジェクト1つと、文面の決まりの文書だけです。 通販サイト、メールの配信、モール、SNSのどれにも、ChatGPT からは書き込みません。 下書きを担当者が確かめ、課長が決めてから、担当者が手で出します。

ChatGPT の使い方の案内では、Chat はメッセージの下書きや見直しに使い、 ファイルを添付したりプロジェクトを使ったりして文脈を足し、結果を見直して直しを頼む、という流れが示されています。この構成はその基本の使い方だけで組めます。

プロジェクトを使うのは、文面の決まりを全員でそろえるためです。 公式の案内では、プロジェクトの指示はそのプロジェクトのチャット全体に適用され、Sources にはアップロードしたファイルと接続した情報を置けるとされています。文面の決まりと問い合わせ先の一覧を Sources に置けば、5名の誰が当番でも、同じお詫びの重さと同じ問い合わせ先になります。

業務用のワークスペースを使うのは、出来事の情報を社内の決まりに合わせて扱うためです。 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースでは通信中と保存時の暗号化があり、OpenAI は既定では業務のデータをモデルの学習に使わないとされています。顧客の氏名や注文番号は整理表に書きません(第13章)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

お知らせを出すと課長が決めたところで、当番の担当者が整理表を埋め始めます。 出すかどうかの判断はこの構成の外にあり、ChatGPT に「お知らせを出すべきか」は聞きません。 判断の目安(遅れが半日を超える、同じ不具合の問い合わせが3件を超える、決済の障害が起きた)は、課の決まりとして別に持ちます。

第一報と続報は、別のチャットで作ります。 続報のときに第一報のチャットで「更新して」と頼むと、第一報のときに「未確定」だった欄が、前の会話の流れで埋められることがあります。続報は、更新した整理表を新しいチャットに貼って作ります。

出来事が重なったときは、出来事ごとにチャットを分けます。 台風で配送が遅れている日に決済の障害が起きた、という場合も、1つの文面にまとめず、それぞれ整理表を作ります。 まとめると、どちらの対象の顧客かが分からなくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身用意する人
事実の整理表起きたこと、対象、原因、対応、お願い、問い合わせ先、次の連絡、未確定のこと当番の担当者(各担当に聞いて埋める)
出来事の種類と媒体配送の遅れ/商品の不具合/サイト・決済の障害。出す媒体(サイト・メール・モール・SNS)当番の担当者
文面の決まりお詫びの重さの段階、使わない言い回し、媒体ごとの形と文字数課長(Sources に置く)
問い合わせ先の一覧窓口の名前、電話番号、受付時間、問い合わせのフォームの場所課長(Sources に置く)
お知らせの例課長の確認を通った過去のお知らせ(種類ごとに2〜3件)課長(Sources に置く)

質を決めるのは、事実の整理表です。 AIは整理表に無いことを書かないので、整理表の欄が足りなければ、文面にも足りないことが出ます。 欄を決めておくことが、顧客の知りたい4つ(何が、自分は対象か、何をしてもらえるか、どこに聞くか)を漏らさない仕組みになります。

事実の整理表は、次のような形で作ります。

【事実の整理表】作成 2026-10-14 11:20(当番:CS 担当)
出来事の種類:配送の遅れ  出す媒体:サイト・メール・モールA・SNS
| 欄 | 中身 |
| 起きたこと | 倉庫の出荷の仕組みの不具合で、10月13日の出荷が止まった |
| 対象 | 10月12日 15時〜10月13日 23時59分に注文を受けた商品(約1,200件) |
| 原因 | 出荷の仕組みの不具合。詳しい原因は調査中 |
| 対応 | 10月14日から順に出荷。お届けは通常より1〜2日遅れる見込み |
| お願い | 特になし(キャンセルを希望する場合は問い合わせ先へ) |
| 補償 | 未確定 |
| 問い合わせ先 | 問い合わせ先の一覧の「通常窓口」 |
| 次の連絡 | 10月15日 18時までに、出荷の状況をこのお知らせで更新する |
| 未確定のこと | 補償の有無と内容、詳しい原因 |

「未確定のこと」の欄を必ず置きます。 この欄に書かれたことは、文面では空欄か「調査中」で出させます。担当者が「決まっていないことは何か」を毎回書くこと自体が、 第3章の(b)で書いていた「〜と思われます」を防ぎます。

Step3

データの取得方法を決める

整理表の中身は、担当者が各担当に聞いて埋めます。 仕組みから自動では取りません。

取るものどこから何に使うか
起きたこと・原因物流の担当、システムの担当、品質の担当整理表の「起きたこと」「原因」
対象の注文日・商品・件数通販サイトの管理画面で、担当者が絞り込んで数える整理表の「対象」
対応とお届けの予定物流の担当、運送会社の連絡整理表の「対応」
補償課長整理表の「補償」
問い合わせ先Sources の問い合わせ先の一覧文面の末尾

対象の件数は、担当者が自分の目で管理画面を絞り込んで数えます。 各担当から聞いた件数は、聞いた時刻によって違うことがあります。整理表には、数えた時刻も書きます。

問い合わせ先は、整理表には「一覧のどの窓口か」だけを書きます。 電話番号を整理表に手で書くと、古い番号が入ることがあります。一覧を課長が1か所で直し、AIにはそこから写させます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 顧客を特定できる情報を書かない … 整理表に、顧客の氏名・メールアドレス・注文番号を書きません。対象は注文日と商品で書きます
  2. 未確定の欄を明記する … 空欄にせず「未確定」と書きます。空欄だと、書き忘れか決まっていないのかが分かりません
  3. 時刻を24時間表記でそろえる … 「夜11時」と「23時」が混ざると、照合表で食い違いに見えます
  4. 漏えいや製品の安全に関わるかを確かめる … 個人情報が漏れた(おそれがある)、けがや発火につながる不具合、という出来事は、この構成で文面を作りません(例外処理の表)

4番目は、整理表の最初の欄で確かめます。 個人情報保護委員会のページでは、要配慮個人情報を含む個人データ、財産的被害が生じるおそれがある個人データ、本人の数が1,000人を超える個人データの漏えい等(又はそのおそれ)などは報告の対象とされ、速報は発覚日から3〜5日以内、確報は30日以内とされています。こうした出来事は、法務と責任者が手順に沿って進めるもので、お知らせの文面だけを先に作る流れには乗せません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、整理表からの媒体ごとの下書きと、数字と日付の照合表です。

作業させ方判断できないときの扱い
媒体ごとの下書き文面の決まりの形と文字数で、整理表の欄を順に文にする整理表に無い欄は文面に書かない
お詫びの重さ文面の決まりの段階表で、出来事の種類と影響から段階を選ぶ段階が決められなければ、段階の候補を2つ示して担当者に選ばせる
未確定のこと「【未確定:〇〇】」の空欄、または「調査中です」と書く書き方に迷う欄は空欄で残す
問い合わせ先一覧の該当する窓口をそのまま写す一覧に無い窓口は「【問い合わせ先:要確認】」
照合表文面の数字・日付・時刻・件数を抜き出し、整理表のどの欄から来たかを並べる整理表に無い数字は「出どころ不明」

照合表の「出どころ不明」は、AIが足した数字を見つけるための列です。 文面を書くときに、整理表に無い「2〜3日」や「全額」を書いていれば、ここに出ます。担当者は、出どころ不明の行を最初に見ます。

させないこと理由
原因の推測調査中の原因をもっともらしく書くと、後で訂正のお詫びが要る
補償の内容を決めること・ほのめかすこと課長が決める。「返金いたします」の一文は約束になる
再発しないという約束「二度とこのようなことがないよう」は、守れない約束になりうる
お届けの予定を整理表より早く書くこと予定を外せば2度目のお詫びになる
他社(運送会社など)への責任の転嫁顧客にとっては、どこの責任でも自社からの購入
お知らせを出すかどうかの判断課長が決める

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 整理表の補償が「未確定」でも、お詫びの文章を整えようとして「ご迷惑をおかけした皆さまには、改めてご案内いたします」と書くことがあります。 顧客はこれを補償の予告と読みます。未確定なら空欄で残させ、書き方は課長が決めます。

Step6

指示内容を固定する

プロジェクトの指示として、次の文を置きます。

あなたは通販の会社のカスタマーサポート課で、商品の不具合・配送の遅れ・
サイトや決済の障害が起きたときの、顧客へのお詫びとお知らせの下書きを作る担当です。

【根拠】
文面に書く事実は、チャットに貼られた「事実の整理表」だけから取ってください。
書き方は Sources の「文面の決まり」、問い合わせ先は「問い合わせ先の一覧」に従ってください。
「お知らせの例」は書き方の参考で、事実をそこから取らないでください。

【作ること】
1. 指定された媒体ごとの下書き(文面の決まりの形と文字数に従う)
   各文面に、必ず次の4つを入れる:何が起きたか/対象(注文日・商品)/対応/問い合わせ先
   整理表に「次の連絡」があれば、それも入れる。
2. お詫びの重さの段階(文面の決まりの段階表から選び、選んだ理由を1文で)
3. 照合表:各文面に出てくる数字・日付・時刻・件数・電話番号を1つずつ抜き出し、
   媒体/文面の該当箇所/整理表の欄/一致 を表にする。整理表に無いものは「出どころ不明」。

【未確定の扱い】
整理表で「未確定」の欄は、文面で「【未確定:欄の名前】」と書くか、
原因なら「現在、原因を調査しております」と書いてください。それ以上は書かないでください。

【厳守事項】
- 整理表に無い事実(原因、件数、日付、補償、お届けの予定)を書かないでください。
- 原因を推測しないでください。「〜と思われます」「〜が原因とみられます」を使わないでください。
- 補償や返金を、決まっていないのに約束・予告しないでください。
- 「二度とこのようなことがないよう」「万全を期します」のように、守れるか分からない約束を書かないでください。
- 運送会社や取引先の名前を出して責任を寄せる書き方をしないでください。
- お届けの予定は、整理表の表現(「1〜2日遅れる見込み」など)を変えずに使ってください。
- 個人情報の漏えい、けがや発火につながる不具合に当たる内容が整理表にあれば、
  下書きを作らず「この出来事は別の手順で扱ってください」とだけ返してください。

「お知らせの例から事実を取らない」と書くのは、 過去のお知らせにある「お届けは2〜3日遅れる見込み」や「送料を返金します」を、似た出来事だからと写すことがあるからです。例は書き方の見本で、中身は毎回違います。

最後の項目で下書きを止めさせるのは、 漏えいや製品の安全に関わる出来事を、通常のお知らせの流れで先に出してしまわないためです。担当者が前処理で見落としても、ここでもう一度止まります。

Step7

出力形式を固定する

下書きのあとに、次の形の照合表を受け取ります。

お詫びの重さの段階:2(配送の遅れ・1〜2日・対象約1,200件)
理由:文面の決まりの段階表で「配送の遅れ・3日未満」は段階2

| 媒体 | 文面の該当箇所 | 整理表の欄 | 一致 |
| サイト | 10月12日15時から10月13日23時59分までにご注文 | 対象 | 一致 |
| メール | 10月12日15時から10月13日23時59分までにご注文 | 対象 | 一致 |
| SNS | 10/12〜10/13にご注文 | 対象 | 要確認(時刻を省略) |
| サイト | 1〜2日遅れる見込み | 対応 | 一致 |
| サイト | 10月15日18時までに更新 | 次の連絡 | 一致 |
| メール | 受付時間 10時〜18時 | 問い合わせ先の一覧 | 一致 |
| メール | 送料 | - | 出どころ不明 |

1つ目の理由は、媒体ごとの食い違いが1枚で見えることです。 同じ「対象」が、SNSだけ時刻を省いていれば「要確認」で出ます。4つの文面を読み比べる代わりに、表の縦の列を見ます。

2つ目は、「出どころ不明」でAIの足したものが分かることです。 上の例では、メールに整理表に無い「送料」という言葉が入っています。担当者はその文を消すか、課長に確かめてから整理表に足します。

3つ目は、お詫びの重さの段階と理由が残ることです。 課長が段階を変えたら、その理由を記録に残し、段階表を直す材料にします。

文面の決まりの段階表は、たとえば次のように作ります。

| 段階 | 当てはまる出来事 | お詫びの言葉 |
| 1 | サイトがつながりにくい(30分未満)、表示の誤り(購入に影響なし) | ご不便をおかけしております |
| 2 | 配送の遅れ(3日未満)、クーポンが使えない | ご迷惑をおかけしており、誠に申し訳ございません |
| 3 | 配送の遅れ(3日以上)、初期不良が続いたロット、二重の決済 | 多大なるご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます |
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
ChatGPT のプロジェクト指示と Sources、整理表をチャットに貼る媒体ごとの下書きと照合表を受け取る
通販サイト・モールの管理画面担当者が手で掲載課長が出してよいと決めた文面
メールの配信の仕組み担当者が対象の顧客を絞り込んで配信同じ
SNSのアカウント担当者が投稿同じ
お知らせの記録の表担当者が書く出来事、整理表の版、出した媒体と時刻、課長

ChatGPT と各媒体は、つなぎません。 下書きを課長の判断を通してから手で出します。この手作業が、「出どころ不明」の文や未確定の空欄が残ったまま出ていくのを止める関門です。

対象の顧客の絞り込みは、メールの配信の仕組みで担当者が行います。 ChatGPT には顧客の一覧を渡しません。整理表の「対象」と同じ条件で絞り込み、絞り込んだ件数が整理表の件数と大きく違わないかを、配信の前に見ます。

Step9

人が確認する

担当者が照合表で確かめ、課長が出してよいかを決めます。

  1. 「出どころ不明」を先に見る … 整理表に無い数字や言葉です。消すか、事実を確かめて整理表に足してから作り直します
  2. 「要確認」を見る … 媒体ごとに省いた・言い換えた箇所です。SNSで時刻を省いてよいかは、課の決まりで決めます
  3. 未確定の空欄を見る … 「【未確定:補償】」のまま出すか、課長に書き方を決めてもらうかを確かめます
  4. 課長が文面・照合表・整理表を並べて見る … お詫びの重さの段階、原因の書き方、補償の書き方を決めます

3番目の空欄は、そのまま出してはいけません。 「【未確定:補償】」を消して文を整えるか、「補償については、決まり次第このページでお知らせします」のような書き方を課長が決めます。空欄の書き方を課長が決めることで、 AIが勝手に補償をほのめかす経路をふさぎます。

急ぐときは、1番目と4番目だけで出してよいことにします。 第一報は「何が起きたか」「対象」「問い合わせ先」がそろっていれば出し、詳しいことは続報で出すと決めておきます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
個人情報の漏えい(おそれ)に当たるこの構成で文面を作らない。法務と責任者の手順で進める
けがや発火につながる不具合この構成で文面を作らない。品質の担当と責任者が対応を決める
照合表に「出どころ不明」が出たその文を消すか、事実を確かめて整理表に足し、新しいチャットで作り直す
原因の推測や補償の予告が書かれた指示に反した出力。その文を消す
問い合わせ先が一覧に無い(臨時の窓口)「要確認」で出る。課長が一覧に足してから作り直す
第一報のあとに対象が広がった整理表を更新し、続報として新しいチャットで作る。第一報の文面も更新する
SNSの文字数に収まらない4つの要素のうち「対応」を削り、サイトのお知らせへの案内に替える
モールの規約で、お知らせの書き方や場所が決まっているモールごとの形を文面の決まりに書き、その媒体の下書きはモールの形で作らせる
二重の決済など、対象の顧客ごとに対応が違う整理表を対応ごとに分け(返金済み/返金予定)、メールは分けて作る
ChatGPT が使えない課長の確認を通ったお知らせの例から、担当者が書き換える。例を種類ごとに印刷しておく

上から2行は、必ず決めておいてください。 どちらも、お知らせの文面より先に、法令や安全に沿った手続きと判断が要る出来事です。整理表の最初の欄と、指示の最後の項目の2か所で止めます。

Step11

記録を残す

  • 事実の整理表(版ごと。作成の時刻と当番)
  • ChatGPT が返した下書きと照合表
  • 課長が直した箇所と理由(お詫びの重さの段階を変えた、未確定の書き方を決めた、など)
  • 実際に出した文面と、媒体・時刻
  • 文面の決まりと問い合わせ先の一覧の版
  • お知らせを出したあとの、同じ出来事の問い合わせの件数

最後の行は、文面の良し悪しを測る材料です。 お知らせを出したあとも「自分は対象か」という問い合わせが多ければ、対象の書き方が分かりにくかったということです。整理表の欄か、文面の決まりを直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:決まりと指示をチャットに貼り、整理表から下書きを作らせる / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+プロジェクトの指示と Sources に文面の決まり・問い合わせ先の一覧・お知らせの例を置き、当番の誰でも同じ形で媒体ごとの下書きと照合表を作る / 媒体ごとの下書き、照合表、お詫びの重さの段階
本格構成:上記+お知らせのあとの問い合わせの件数と課長の直しを毎月振り返り、整理表の欄と文面の決まりを直す / 決まりの手入れ

半自動化で、1件90分が30分になります。 本記事の想定はこの段階です。過去のお知らせを探す時間と、媒体ごとに書き分ける時間がなくなり、 担当者は整理表を埋めることと照合表を見ることに時間を使います。 本格構成は、決まりを育てる段階です。 お知らせのあとに同じ質問が多く来た出来事を振り返ると、整理表に足すべき欄が分かります。課長の直しが同じ箇所に繰り返し入っていれば、それは文面の決まりに書くべきことです。 ChatGPT と各媒体を直接つなぐことは、どの段階でも考えません。 お詫びとお知らせは会社の名前で顧客に届くもので、出してよいかを決める人の手を通らずに出ていく経路を作らないことを、構成の前提にします。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  20件 × 90分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 20件 × 30分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
67%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価3,000円)
72万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社の通販サイトとモールの店舗で生活用品や家電の小物を売り、商品の不具合、配送の遅れ、サイトや決済の障害のたびに、サイトのお知らせ・対象の顧客へのメール・SNSの投稿を担当者がその場で書いている会社。お詫びの言葉の重さや、書いてよいこと・書いてはいけないことが担当者ごとに違う場合。急いで書いた文面で、対象の注文日や問い合わせ先を書き間違えたことがある場合。業務用の ChatGPT のワークスペースを使える場合。
向いていない
  1. お知らせを出す出来事が年に数回しかない場合。お知らせの文面が定型で、日付と商品名を入れ替えるだけで足りる場合。個人情報の漏えいや、けがや火災につながる製品の事故のように、法令に沿った手続きや専門家の確認が先に要る出来事の文面(この構成では扱わず、別の手順で書く)。なお、補償の内容、原因の公表の範囲、お知らせを出すかどうかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月に出したお知らせから、種類の違う5件を選ぶ
  2. 当時の事実を、第7章の形の整理表に書き直す(当時「未確定」だったことは未確定と書く)
  3. ChatGPT のチャットに文面の決まりと第7章の指示の例を貼り、整理表から下書きと照合表を作らせる
  4. 当時実際に出した文面と並べ、4つの要素(何が・対象・対応・問い合わせ先)がそろっているかを見る
  5. 照合表に「出どころ不明」が出ていないか、未確定の欄が空欄で残っているかを見る

最初に確かめるのは、5番目です。 文面が当時より読みやすくても、補償を予告したり原因を推測したりしていれば、この構成は使えません。

出てきた内容判断
4つの要素がそろい、未確定が空欄で残り、出どころ不明が無かったプロジェクトを作り、課の全員で使う
原因の推測や補償の予告が出た指示の厳守事項を強める。構成は有効
過去のお知らせの例から事実を写した「例から事実を取らない」を強め、例の数を減らす

2行目は、最初は出やすいものです。 丁寧なお詫びの文を作ろうとするほど、AIは補償や再発防止に触れたがります。使わない言い回しを文面の決まりに具体的に並べると、出にくくなります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
原因の推測が文面に入る整理表だけを根拠にさせ、推測の言い回しを禁じる
補償を予告する一文が入る未確定は空欄で残させ、書き方は課長が決める
過去のお知らせの例から事実を写す「例から事実を取らない」を指示に書く
媒体ごとに数字が食い違う照合表で縦に見比べる
古い問い合わせ先が入る整理表には窓口の名前だけを書き、一覧から写させる
続報で前の会話の推測が混ざる続報は新しいチャットで、更新した整理表から作る
「二度と起こさない」と約束する使わない言い回しを決まりに並べる
漏えいや製品の安全の出来事を通常の流れで出す整理表の最初の欄と指示の最後の項目の2か所で止める
整理表を埋めずに下書きを頼む課の決まりにし、課長が整理表と一緒に確認する

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが「お詫びの文として整った文章」を作ろうとして、決まっていないことを決まったように書くことから起きます。未確定を未確定のまま残せるかどうかで、お知らせとして出せるかが決まります。

8行目も、同じくらい早く効いてきます。 漏えいや製品の安全に関わる出来事は、件数は少なくても、通常の流れで文面を出してしまったときの影響がほかと比べものになりません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 出来事の事実(起きたこと、対象の注文日と商品、件数、原因、対応)と、問い合わせ先の一覧です。顧客の氏名、メールアドレス、注文番号は扱いません。

  1. 顧客を特定できる情報を整理表に書かない … 対象は注文日と商品で書きます。メールの対象の絞り込みは、配信の仕組みの中で行います
  2. 業務用のワークスペースで使う … 個人のアカウントでは、会話の保持やデータの扱いを社内の決まりに合わせられません。公式の案内では、業務のデータは既定でモデルの学習に使われないとされています
  3. 漏えいや製品の安全の出来事は別の手順で扱う … 個人情報保護委員会のページでは、一定の漏えい等について報告が義務付けられ、速報と確報の期限が示されています。この構成で文面を先に作らず、法務と責任者の手順で進めます
  4. 出すかどうか、補償、原因の公表は人が決める … AIが出すのは下書きと照合表までです
  5. 未公表の原因を書かない … 調査中の原因の見立てを整理表に書くと、文面に出るおそれがあります。整理表の「原因」には、公表してよい範囲だけを書きます
  6. 使えないときの手順を残す … 課長の確認を通ったお知らせの例を種類ごとに残し、ChatGPT が使えない日も第一報を出せるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、AIが足した原因や補償の一文がそのまま顧客に届くことと、数字や問い合わせ先の誤りで問い合わせが増えることの2つです。 前者は整理表だけを根拠にさせることで、後者は照合表で防ぎます。どちらも、課長が文面と照合表と整理表を並べて見る設計で最後に守ります。

10まず何から始めるか

1週目:文面の決まりを書く

課長が、お詫びの重さの段階表、使わない言い回し、媒体ごとの形と文字数を書きます。いつも直している言葉を一覧にすると、そのまま決まりになります。 問い合わせ先の一覧も作ります。

2週目:事実の整理表の欄を決める

第7章の欄をもとに、自社の出来事に合わせて欄を決めます。「未確定のこと」の欄と、漏えい・製品の安全に当たるかを確かめる欄を必ず入れます。 法務と品質の担当と、後者の扱いを決めます。

3週目:最小構成で試す

過去のお知らせ5件を整理表に書き直し、下書きと照合表を作らせます。原因の推測と補償の予告が出ていないかを最優先で見ます。

4週目:プロジェクトを作り、当番で使い始める

プロジェクトの指示と Sources に決まりと一覧と例を置き、課の5名が使えるようにします。お知らせの記録の表を作ります。最初の数件は、課長が整理表を埋めるところから当番の隣で見て、 「未確定」と書くべき欄を一緒に確かめます。整理表の埋め方がそろえば、下書きの質もそろいます。

2か月目: すべてのお知らせを整理表から作り、課長が整理表と照合表を一緒に見て出す運用にします。お知らせのあとの問い合わせの件数を数えます。3か月目以降: 課長の直しと問い合わせの件数から決まりを直し、1件90分が何分になったかを実測します。当番の誰が書いても、4つの要素がそろい、未確定が未確定のまま出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Chat を質問やメッセージの下書き・見直しに使い、ファイルやプロジェクトなどで文脈を足し、結果を見直して直しを頼む使い方。機能がプランやワークスペースの設定で変わることChatGPT: Use ChatGPT2026-10-14
プロジェクトに Chats と Sources があり、プロジェクトの指示がそのプロジェクトのチャット全体に適用されること。Sources にアップロードしたファイルと接続した情報を置くことChatGPT: Projects and chats2026-10-14
Business・Enterprise・Edu のワークスペースで通信中と保存時の暗号化があり、OpenAI が既定では業務のデータをモデルの学習に使わないことChatGPT: ChatGPT Work cloud security2026-10-14
要配慮個人情報を含む個人データ、財産的被害が生じるおそれがある個人データ、不正の目的をもって行われたおそれがある行為による個人データ、本人の数が1,000人を超える個人データの漏えい等(又はそのおそれ)が報告の対象とされること。速報が発覚日から3〜5日以内、確報が30日以内(不正な目的のおそれがある場合は60日以内)とされること個人情報保護委員会: 漏えい等の対応とお役立ち資料2026-10-14

お知らせを出すかどうか、補償の内容、原因の公表の範囲は、社内の決まりに沿って責任者が判断してください。漏えいや製品の安全に関わる出来事は、法務と専門家の確認のうえで手続きを進めてください。 本記事は公的機関と製品の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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