【2026年】AIの規制は日本と欧州で違う|企業が見るべき点

【2026年】AIの規制は日本と欧州で違う|企業が見るべき点

「うちは欧州に拠点がないから関係ない」「日本の決まりには罰則がないと聞いたので、当面は様子見でよい」——AIの決まりごとが話題に出たとき、社内でほぼ必ず出てくる二つの見方です。どちらも半分は当たっていて、半分は外れています。事実を並べると、国内のAI関連法は2025年5月28日に成立し、6月4日に公布・施行、9月1日に全面施行されました。罰則も禁止規定もありません。一方で欧州のAI規則は2024年8月1日に発効し、2025年2月2日から一部の用途を禁じ、2026年8月2日からは対話と生成物の表示に関する義務が始まっていますこの二つは、厳しさの度合いが違うのではなく、そもそも作られた狙いが違う決まりです。この記事では、二つの枠組みの性格の差と、自社の使い方がどちらの何に当たるのか、いつまでに何を用意するのかを整理します。


カメ先生カメ先生

AIの決まりは世界中で厳しくなる一方だと思われがちだけれど、本当は国と地域で向いている方向が違うんだ。日本は使うことを後押しする側から、欧州は危ない使い方を止める側から作られている。


カメ子カメ子

同じAIについての決まりなのに、そんなに性格が違うのですか。


カメ先生カメ先生

作った目的が違うからね。日本のものは研究と活用を進める土台をつくる法律で、企業に義務を課す作りにはなっていない。欧州のものは使い道の危険度で段階を分けて、段ごとに求めるものを変える作りになっている。


カメ子カメ子

危険度で段階を分ける、というのは具体的にはどういうことでしょうか。


この記事のポイント
  • 国内の決まりは推進が軸で罰則がない。欧州の決まりは用途の危険度で義務が変わる
  • 欧州に拠点がなくても、そこへ届くサービスや生成物があれば対象になりうる
  • 高い危険への義務は2027年12月へ延びたが、表示の義務は延びていない

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目次

狙いの違う二つの決まりを、同じ物差しで測らない

比較を始める前に、前提をそろえておきます。国内のAI関連法は、正式には人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律といいます。名前のとおり、研究開発と活用を進めるための法律です。基本理念を置き、国と地方公共団体、研究開発を行う者、活用する事業者、そして国民のそれぞれに責務を定め、内閣に人工知能戦略本部を置いて基本計画をつくる。ここまでが中身の骨格です。

欧州のAI規則は作りがまったく違います。製品の安全を確保する規則に近い形で、AIの使い道を危険度で段階に分け、段ごとに満たすべき要件と、それを守らなかったときの制裁金を書き込んでいます。しかも、いつからどの義務が始まるかという期日が条文に書かれています。片方は目標を掲げる法律で、もう片方は要件と期日を並べた規則です。

この差を踏まえずに「日本は緩く、欧州は厳しい」とだけ要約すると、実務が二つの方向に狂います。一つは、国内で何もしなくてよいと読むこと。もう一つは、欧州の要件をそのまま国内の全業務に持ち込んで動きが止まることです。必要なのは、どちらが厳しいかの判定ではなく、自社の使い方がどちらの何に当たるかの仕分けです。仕分けさえできれば、やることは驚くほど少なくなります。

国内のAI関連法は、企業に何を求めているのか

条文を読むと、企業に向けた部分は簡潔です。活用する事業者の責務として、基本理念にのっとって自主的かつ積極的に活用すること、事業の効率化や新しい産業の創出に努めること、そして国と地方公共団体の施策に協力することが挙がっています。いずれも努力義務で、違反したときの罰則はどこにも書かれていません。禁止される用途の列挙もありません。

では実効性がないのかというと、そうではありません。政府の側に、AIをめぐって問題が起きたときに調査を行い、必要に応じて情報提供や注意喚起をする仕組みが置かれています。悪質な事例について公にされる可能性がある、という形の抑止です。罰金ではなく、名前が出ることが効く設計になっています。

もう一つ、実務で効いてくるのが調達です。国の調達で満たすべき基準や、大企業が取引先に求める条件のなかにAIの扱いに関する項目が入り始めています。法律に義務が書かれていなくても、取引の条件として同じ内容を求められる場面は増えています罰則がない時期は、費用をかけずに社内の型を整えられる期間だと捉えるほうが実務に合います

欧州のAI規則は、危険度で義務を段階に分ける

欧州のAI規則は、AIの使い道を四つの段に分けます。上から順に、許されない用途、高い危険を伴う用途、限られた危険を伴う用途、そしてほとんど危険のない用途です。段が上がるほど求められるものが増え、いちばん上の段は使うこと自体が禁じられます。技術の種類ではなく使い道で段が決まる点が、この規則の要です。同じ仕組みでも、社内の議事録づくりに使えば下の段、応募者の選別に使えば上の段になります。

誰に義務がかかるかも分かれています。仕組みを作って市場に出す側と、それを業務で使う側とで、求められることが違います。日本企業の多くは、外部の仕組みを業務で使う側に当たります。使う側の義務は、作る側より軽い代わりに、提供元がどこまで対応しているかを確かめないと自社の義務も果たせないという構造になっています。契約と設定の確認が仕事の中心になる、ということです。

段の判定は、思っているほど難しくありません。実務では、まず許されない用途に触れていないかを見て、次に高い危険の一覧に自社の使い方が載っていないかを見る。この二つに引っかからなければ、残るのは表示に関する義務だけです。多くの日本企業にとって、当面の焦点は三段目の表示の義務に集まります

二つを並べて見ると、比べる意味が分かる

性格の違いを一覧にします。左が国内のAI関連法、右が欧州のAI規則です。同じ行に並んだ二つは、同じことについて正反対の方針を採っているわけではなく、そもそも別の問いに答えている、という読み方をしてください。

見る点国内のAI関連法欧州のAI規則
作られた狙い研究開発と活用を進める土台づくり危ない使い方の抑止と、市場での信頼の確保
企業への義務努力義務が中心。罰則の定めなし用途の段ごとに具体的な要件。違反に制裁金
対象の切り方分野を限らず全体を後押しする使い道の危険度で四つの段に切る
守らなかったとき調査と情報提供。悪質な事例は公にされうる最大で全世界の年間売上高の一定割合
日本企業への及び方国内で事業をしていれば関係する欧州の市場に出すか、出力が域内で使われる場合
拠り所になる文書事業者向けの手引き(法的拘束力はない)規則の本文と附属書、当局が出す手引き
中身が動く仕組み基本計画の見直しに合わせて動く期日が条文に書かれ、改正で動く

表のうち、実務でいちばん効くのは最後から三行目です。欧州に拠点があるかどうかは、対象になるかどうかの判定基準ではありません。判定は、自社が出したものがどこへ届くかで決まります。ここを取り違えたまま「うちは関係ない」と結論を出している会社が少なくありません。

許されない用途——ここには例外がない

いちばん上の段は、2025年2月2日からすでに適用されています。禁じられているのは、おおむね次のような使い方です。気づかれない形で人の判断をゆがめる仕組み、年齢や障害などの弱みにつけこむ仕組み、社会的なふるまいを点数化して無関係な場面での不利益に使う仕組み、人物像だけから犯罪を起こす確率を予測する仕組み、顔の画像を無差別に集めて照合の台帳をつくる仕組み、職場や学校で感情を推定する仕組み、生体の情報から思想や信条などを推定する仕組み、そして公共の場での遠隔の生体認証です。

マーケの実務から遠い話に見えますが、二つほど近いものがあります。一つは、気づかれない形で判断をゆがめる仕組みです。申込の画面で解約の導線だけを見つけにくくする、といった設計の延長線上に、AIで一人ひとりに合わせて誘導の強さを変える発想が出てくると、この段に近づきます。もう一つは、職場での感情の推定です。会議の録画から参加者の表情を読んで意欲を測る、という企画は、この段に触れる可能性があります

さらに、2026年12月2日から新たな類型が加わります。同意のない性的な合成物などがそれにあたります。この段については、規模の大小や社内利用かどうかで免除される作りにはなっていません。企画の段階で当たっていないかを確かめ、当たるなら作らない。判断はそれだけです。

高い危険に当たる用途と、延びた期日

二段目は、附属書に一覧が置かれています。単体で使うものの分野は、生体に関するもの、交通や電気やガスや水といった重要な設備、教育における入学選考や学習の評価、雇用と労務の管理、必要不可欠なサービスへのつながり、法の執行と司法、出入国の管理などです。もう一系統として、機器に組み込まれる形のものが別に定められています。

この二段目の期日が、2026年に大きく動きました。欧州委員会が2025年11月19日に延期を提案し、議会と理事会の合意を経て、改正は2026年7月8日に採択、7月24日に官報に掲載、7月27日に発効しています。結果として、単体で使う高い危険の用途への義務は2026年8月2日から2027年12月2日へ、機器に組み込まれる形のものは2027年8月2日から2028年8月2日へ移りました。延期の理由は、要件を判定するための技術仕様と手引きが間に合わなかったことです。

ここで気をつけたいのは、延期の読み方です。延びたのは適用の開始日であって、要求されている中身が軽くなったわけではありません。むしろ、判定に使う仕様がこれから固まるということは、社内の仕組みを合わせ込む作業がその後に来るということです。採用の仕組みや評価の仕組みを入れ替えるには、選定から移行まで年単位かかります。2027年12月という日付は、着手を先送りしてよい猶予ではなく、逆算の起点として使う日付です。

延びなかったのが、表示に関する義務

延期の話に隠れて見落とされやすいのが、三段目です。ここは動いていません。2026年8月2日から、次の四つが求められています。第一に、人と対話する仕組みは、相手が機械であると分かるようにすること。第二に、AIが作った出力に、機械が読める印を入れること。第三に、感情の推定や生体による分類を業務で使う側は、その対象になる人に知らせること。第四に、人物が写る合成物と、公共の関心事について書かれた生成文は、公表する側が開示することです。

一つ目と二つ目は仕組みを作って提供する側、三つ目と四つ目は業務で使う側の義務です。二つ目については、2026年8月2日より前に市場に出ていたものについて2026年12月2日まで猶予が置かれました。例外も定められていて、人が実質的に確認して編集の責任を負う文章は開示の対象外です。誤字の修正のような標準的な編集の機能、短い記号の列、プログラムの記述、機械どうしの通信の出力も外れます。

罰則の額も違います。この段の違反は、最大1,500万ユーロか全世界の年間売上高の3パーセントのいずれか高いほうが上限です。延期された二段目に気を取られて、すでに始まっている三段目を見落とすのが最も高くつく間違いです。手を付ける順番は、上から下ではなく、始まっている順に見ます。

拠点がなくても関係する——域外への及び方

欧州のAI規則が及ぶ範囲は、会社の所在地では決まりません。入り口は三つあります。一つ目は、欧州の市場にAIの仕組みや汎用の目的で使えるモデルを出す場合。この場合、出す側がどこの国の会社かは問われません。二つ目は、欧州域内に置かれた者がその仕組みを業務で使う場合。三つ目が実務で見落とされやすいところで、域外で使っていても、その出力が欧州域内で使われる場合です。

マーケの現場に当てはめると、次のような場面が該当しうることになります。欧州の見込み客に向けた外国語のサイトに、問い合わせの窓口として対話の仕組みを置いている。欧州の代理店に渡す販促の素材を、生成の仕組みで作っている。欧州で開く展示会の案内文を自動で作って現地に配っている。いずれも、拠点は日本にあります。

判定のこつは、機能や技術ではなく誰に届くかで見ることです。そして、届く先が欧州である業務は、たいていの会社では数えるほどしかありません。全社の業務を洗い出す前に、まず外国語で発信している導線と、海外の取引先に渡している成果物を並べる。この二つだけで、対象になりうる業務のほとんどが拾えます。

広告の素材をAIで作っているとき、何が変わるか

生成の仕組みで広告の画像や文章を作っている場合、まず確かめるのは提供元の対応です。生成物に機械が読める印を入れる義務は、仕組みを提供する側にかかります。使う側は、その印が入る設定になっているか、加工の途中で消えていないかを確かめる立場になります。素材を切り出したり圧縮したりする工程で印が落ちることがあるので、確認は最終の書き出しの後に置きます

人物が写る映像や音声を合成している場合は、別の義務が加わります。実在の人物に見える合成物は、公表する側が開示しなければなりません。芸術性のある作品については、作品の受け取り方を妨げない方法での開示でよいとされています。広告の素材でこの例外に寄りかかるのは無理があるので、素直に表示する前提で設計するほうが早いです。

実務としては、制作の手順書に一行足すだけで大半が片づきます。この素材のどの部分をAIで作ったかを、制作の記録に残す欄をつくる。表示が要るかどうかを判断する材料が、その欄です。なお、国内では景品表示法や広告に関する表示の決まりが別に効いていて、AI関連法がそれを上書きすることはありません。生成物だから表示の責任が軽くなる、という理屈は国内でも通りません。

問い合わせの窓口は、まず表示から手を付ける

サイトに置いている問い合わせの対話窓口は、三段目の義務の典型です。求められているのは、やり取りが始まるまでに、相手が機械であると分かるようにすること。表現の細かさより、伝わる場所に置かれているかが問われます。実務でよく見る誤りは、利用規約や画面下の注意書きに書いて済ませてしまうことです。会話の画面を開いた人がそこを読むことはまずないので、これでは満たしたことになりません。

置き場所は会話の画面そのものです。窓口を開いた最初の一言に含めるか、画面上部に常に見える形で示します。もう一つ運用で気をつけたいのが、外部の道具を使っている場合の設定です。多くの道具には標準で表示が入っていますが、見た目を整える過程で消してしまう例があります。提供元の標準表示を消さない、というルールを制作の側に伝えておく必要があります

窓口そのものは高い危険の段には当たりません。ただし、そこでのやり取りが後の判断に流れ込むと話が変わります。応募者からの問い合わせを窓口で受けて、その内容が選考の材料になる。取引の申込を受けて、そこでの回答が与信の判断に使われる。この形になると、二段目の話になります。窓口は入り口であって終点ではないので、出た情報がどこへ流れるかまでを見ます

採用と与信——二段目に触れる二つの業務

マーケや情報システムの担当が押さえておきたい二段目の分野が、雇用と労務の管理です。求人の募集を出す先を選ぶ、応募者を絞り込む、評価や配置を決める。この一連にAIを使っていると、二段目に当たる可能性が高くなります。採用広報はマーケが担っている会社も多いので、他部署の話として片づけずに、自社で回している導線を確かめておく価値があります。

もう一つが、必要不可欠なサービスへのつながりに関する分野です。ここには、個人の信用力を評価する使い方が挙がっています法人の取引先を審査する与信は、ここに直接は当たりません。個人事業主が相手になる場合や、個人としての属性で判断している場合に近づく、という理解が実務に合います。この区別を知らないまま、法人向けの与信まで二段目として扱い、動きが止まっている例を見かけます。

国内側の話も並べておきます。応募者や見込み客から得た情報を分析して人物像を推定するなら、その分析を行うこと自体を利用目的として書いておく必要があります。欧州の規則が適用されない業務でも、国内の個人情報の扱いに関する決まりは効いています。二段目に当たらないことと、何もしなくてよいことは別です

国内の手引きと法律は、どう役割を分けているか

国内でAIの扱いを整えるとき、実務の拠り所になるのが総務省と経済産業省が出している事業者向けの手引きです。第1.0版が2024年4月19日、改訂版の第1.1版が2025年3月28日に公表されました。第1.1版では、生成に関する記述が厚くなり、偏りや多様性や透明性といった言葉の定義が見直され、欧州の規則の動きも追記されています。

この手引きには法的な拘束力がありません。ただ、社内の方針を書くときの目次として使えます。もう一つ関係するのが、主要国で合意された行動規範について、AIを開発する企業が自ら守っているかを確かめて報告する枠組みです。2025年2月から運用が始まっています。開発をしていない会社には直接関係しませんが、導入する道具の提供元がこの報告を出しているかは、選定時の材料になります

整理すると、国内では三層になっています。個人情報の扱い、著作権、広告の表示といった個別の法律がまず効き、その上に横串の手引きがあり、さらにその外側に推進のための法律がある。AI関連法ができたことで、個別の法律の適用が緩むことはありません。順番を間違えて、手引きだけを読んで個別の法律を見落とすのが、よくある事故です。

  • 欧州の規則の期日は改正で動くことがある。社内の資料には版と確認日を書いておく
  • 国内の手引きは改訂される前提で読む。引用するときは版を明記する
  • 個人情報の扱い、著作権、広告の表示は、AI関連法とは別に効き続ける
  • 外部の道具を使う場合、対応状況は提供元の公表資料で確かめる
  • 社内向けの説明は、法律名の暗記ではなく、業務ごとの当てはめで書く

期日の一覧と、それぞれで確かめること

欧州の規則については、いつ何が始まるかが条文に書かれています。延期の対象になったものと、ならなかったものが混ざっているので、一覧にしておくと社内の説明が楽になります。右端は、その時点で自社が確かめておくべきことです。

時期何が始まるか自社で確かめること
2025年2月2日許されない用途の禁止と、扱う人への教育の求め企画中のものが禁止の類型に触れていないか
2025年8月2日汎用の目的で使えるモデルを提供する側への義務使っている基盤の提供元が対応を公表しているか
2026年8月2日対話と生成物の表示に関する義務。監督の権限が本格化問い合わせの窓口の表示と、広告素材の作り方
2026年12月2日新たに加わる禁止の類型。既存の生成物への印の猶予期限8月より前に出した生成物の扱いを決めたか
2027年12月2日単体で使う高い危険の用途への義務採用や評価にAIを使っていないか
2028年8月2日機器に組み込まれた高い危険の用途への義務自社製品にAIを組み込む計画があるか

国内側には、これに対応する期日の表がありません。基本計画の見直しに合わせて中身が動くためです。期日で管理できるのは欧州の側だけで、国内は継続的に見る対象になるという違いを、社内の担当の割り振りに反映させておくと運用が回ります。期日のあるものは期日で、ないものは半期ごとの点検で見る、という分け方です。

自社がどれに当たるかを見分ける4工程

ここまでの内容を、手を動かせる形にします。全社の業務を洗い出す必要はありません。次の順で進めると、たいてい半日で当たりが付きます。

STEP1
AIを使っている場面を書き出す

道具の名前ではなく、業務の名前で書きます。問い合わせへの返答、広告の素材づくり、応募者の絞り込み、社内の議事録づくり、といった粒度です。10行から20行くらいに収まるはずで、それ以上に増えるなら粒度が細かすぎます。

STEP2
欧州に届くものに印を付ける

書き出した行のうち、外国語で発信しているもの、海外の取引先に渡しているものに印を付けます。印が付かなかった行は、欧州の規則の話からいったん外れます。ここで対象が数行まで絞れます。

STEP3
段を当てる

印の付いた行について、許されない用途に触れていないか、高い危険の一覧に載っていないかを順に見ます。どちらにも当たらなければ、表示の義務だけを見ればよいことになります。当たる行があれば、期日から逆算した計画を別に立てます。

STEP4
期日と担当を書き入れる

行ごとに、いつまでに何を用意するか、誰が確かめるかを書きます。担当が空欄の行は、実質的に対応しないと決めたのと同じです。空欄を残さないところまでを、この工程に含めます。

この4工程を通すと、多くの会社では対応が必要な行は数行に収まります。逆に、工程を通さずに全社的な対応を始めると、関係のない業務まで巻き込んで止まります。絞り込みが先で、深掘りは後です。

実務でよく見る誤解

社内の議論で繰り返し出てくる読み違いを並べます。どれも、途中まで正しいところが厄介です。

  • 欧州に拠点がないから関係ない:判定は拠点ではなく、出したものがどこへ届くかで決まる
  • 高い危険への義務が延びたので当面は様子見でよい:延びたのは二段目だけで、表示の義務は始まっている
  • 国内は罰則がないので何もしなくてよい:調達の条件や取引先の要求として同じ内容が来る
  • 使っている道具が対応していれば自社は安心:使う側にかかる義務は、道具側の対応では埋まらない
  • 社内利用だけなら対象外:段の判定は用途で決まり、社内か社外かでは決まらない
  • AI関連法ができたので個人情報の決まりは緩んだ:個別の法律はそのまま効き続ける

最後の項目は特に注意が必要です。推進を掲げる法律ができたことを、規制が緩んだ合図として受け取る空気が社内に生まれることがあります。推進の法律は、既存の決まりを外すためのものではありません。むしろ、既存の決まりを守りながら使う道筋を示すために置かれています。

よくある質問

担当者から実際によく出る問いに、短く答えます。細部は自社の状況で変わるので、判断が割れる論点は社内の法務や外部の専門家に確かめてください。

欧州向けの外国語サイトを閉じれば、対象から外れますか

届く先がなくなれば、その業務については外れます。ただし、外国語のサイトを閉じても、海外の取引先に生成物を渡している導線が残っていれば、そちらは残ります。閉じる判断をする前に、届く先を全部並べてから決めてください

社内だけで使う要約や議事録の仕組みも対象ですか

許されない用途に触れていなければ、多くの場合は表示の義務の対象にもなりません。ただし、職場で感情を推定する使い方は上の段に触れるので、参加者の様子を評価する機能を持つ仕組みは別に確かめてください。

生成した文章に、いつも表示を付けておけば安全ですか

表示を付けて不利益になることは通常ありません。ただ、すべてに付けると読み手が表示を無視するようになるため、開示が要る場面を決めておくほうが実務に合います。人が実質的に確認して責任を負っている文章については、開示の義務は外れます。

国内のAI関連法に対応した、という証明は出せますか

義務が努力義務なので、適合を示す仕組みは置かれていません。実務では、社内の方針を文書にして、いつ見直したかの記録を残す形が現実的です。取引先から聞かれたときに出せるのは、その記録です。

どこから手を付けるのが早いですか

問い合わせの窓口の表示です。すでに義務が始まっていて、直す範囲が狭く、担当も明確だからです。ここが片づくと、社内で議論が具体的になります

まとめ

国内のAI関連法と欧州のAI規則は、厳しさの度合いが違うのではなく、作られた狙いが違います。前者は2025年6月に施行された推進のための法律で、罰則も禁止規定もなく、企業に求めるのは努力義務です。後者は使い道を四つの段に分け、段ごとに要件と制裁金と期日を書き込んだ規則です。2026年に入って二段目の期日が動き、単体で使う高い危険の用途は2027年12月2日、機器に組み込まれる形は2028年8月2日へ延びました。一方で、対話と生成物の表示に関する義務は2026年8月2日から始まっていて、延期されていません。及ぶ範囲は拠点ではなく、出したものがどこへ届くかで決まります。マーケの実務では、広告の素材に入る印、問い合わせの窓口の表示、採用の絞り込み、そして個人の信用力の評価の四つを見ておけば、当たりの大半が拾えます。国内では個別の法律と事業者向けの手引きが先に効いていて、推進の法律がそれを緩めることはありません。まずは、AIを使っている業務を業務の名前で書き出し、欧州へ届く行に印を付けるところから始めてください。印の付いた数行が、期日で管理すべき対象です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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