サイト内検索をAIに置き換えるか|探せない不満をなくす

サイト内検索で結果が0件になる割合は、10パーセントを超えると改善の余地があり、20パーセントを超えると機会損失につながる水準だと整理されています。とはいえ、この数字を見て「では検索をAIに替えよう」と決めるのは早すぎます。「サイトの検索が使われていない」「必要な資料が探せないと営業から言われる」。——手を打つ前に迷うのは、この二つの声を受け取ったときです。探せない原因は複数あり、そのうちいくつかは検索の仕組みを入れ替えても残ります。この記事では、原因の切り分けから始めて、従来型の全文検索を詰める、絞り込みと辞書で直す、AIによる検索と回答生成に置き換える、という三つの選択肢を比べ、置き換える条件と、置き換えたときに新しく発生する仕事までを整理します。
カメ先生サイトの検索が使えないという話、検索の仕組みが古いからだと思われがちなんだけど、本当は『何をどう呼んでいるか』が揃っていないことが多いんだ。
カメ子言葉のずれ、ということですか。
カメ先生そう。訪問した人は『解約』と入れるのに、ページには『退会』と書いてある。文字が一致しないから、候補にも出てこない。
カメ子入れ替える前に、何が起きているかを見たほうがよさそうですね。
- 探せない原因は、語彙のずれ・型番の表記・表記ゆれ・そもそも該当がない、の4つに分かれる
- 選択肢は3つ。全文検索の設定を詰める、辞書と絞り込みで直す、AIによる検索と回答生成に置き換える
- 置き換えると新しい仕事が増える。誤答の扱い・出典の提示・更新の反映・費用を先に決めてから入れる
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探せないのは、検索機能の問題とは限らない
「サイトの検索が使えない」と言われたとき、最初に疑われるのは検索の仕組みです。しかし原因を分けていくと、4つに整理できます。語彙のずれ、型番や品番の表記、表記ゆれ、そしてそもそも該当するものがないこと。このうち3つは、検索の仕組みを入れ替えても形を変えて残ります。切り分けずに結論を出すと、費用をかけたのに不満が消えないという結果になります。
語彙のずれは、訪問した人が使う言葉と、サイトに書かれている言葉が違うことで起きます。利用者が「解約」と入力し、規程には「退会」と書かれている。文字列の一致で判定する仕組みでは、一致する語がないため候補に入りません。これは辞書で埋められる種類の問題です。逆に言えば、辞書で埋まる問題に高価な仕組みを当てるのは過剰です。
型番と在庫は性質が違います。型番はハイフンの有無や全角と半角の違いで一致しなくなります。取り扱いのない商品や、そもそも公開していない資料を探されている場合は、どんな仕組みでも0件になります。この2つを分けずに「検索が弱い」と結論づけると、入れ替えても不満は残ります。まず、自社の0件がどの型なのかを知る必要があります。
まず検索ログを1か月ためる
判断の材料は、自社のログにしかありません。ここで目的をはっきりさせておきます。見るのは企画のネタを探すためではなく、検索の仕組みを作り替えるかどうかを決めるためです。目的が違えば見る項目も変わります。置き換えの判断に必要なのは、上位の語句よりも0件の中身です。
見る項目は4つに絞れます。0件になった語句とその割合、検索された語句の上位、検索した後にそのまま離脱した割合、絞り込みの使用率。冒頭に挙げたとおり、0件の割合は10パーセントを超えると改善の余地があり、20パーセントを超えると早急な対策が必要な水準だと整理されています。自社の数字がどのあたりにあるかで、緊急度が決まります。
期間は1か月を目安にします。短すぎると偏りが出ます。季節性のある商材なら、前年の同じ月も並べます。ここで一つ、判断が変わる場合があります。検索の利用が月に数十件しかないなら、そもそも検索は主要な導線ではありません。検索がほとんど使われていないなら、直すべきは検索窓ではなく導線の設計です。この見極めを最初に済ませてください。
残りの2つの読み方も添えておきます。検索した後にそのまま離脱した割合が高い場合は、結果は出ているのに選べていない状態です。ここで効くのは検索の方式ではなく、結果の並び順と、1件あたりに出している情報の量です。絞り込みの使用率が極端に低い場合は、条件の名前が利用者の言葉になっていない可能性があります。どちらも、検索の仕組みを入れ替えても直りません。
0件ヒットを、直せるものと直せないものに分ける
ログがたまったら、0件の語句を一件ずつ目で見ます。自動の分類に頼らず、100件を手で分けると型が見えてきます。地味な作業ですが、この工程を飛ばすと選択肢を比べられません。0件の中身を知らないまま比べても、どの選択肢が効くかは判断できません。
直せるものは3種類に分かれます。一つ目は一致のさせ方の問題で、完全な一致や単純な部分一致に頼っている場合です。二つ目は、検索の対象になっていない情報がある場合です。商品名だけが対象で、説明文や仕様が含まれていないサイトは少なくありません。三つ目が表記ゆれとつづり違いで、スニーカーとスニーカ、型番のハイフンの有無などが挙げられています。
直せないものは、自社で扱っていないブランドやカテゴリの検索です。ここを無理に拾おうとすると、関係の薄い結果が並びます。取るべき手当ては別で、ないことを伝える画面と、次の行き先を示すことです。0件の画面を作り込むほうが、無理な一致より満足度が高くなります。
改善の事例も報告されています。建設業向けの工具を扱う通販の会社では、150万点以上の商品に対して専用の検索の仕組みを導入し、0件の割合が1パーセント未満まで改善し、サイト内検索を経由したコンバージョン率は導入から約2年で120パーセントに向上したと報告されています。効果が出るまでに2年かかっている点も、あわせて読んでおく価値があります。
選択肢は3つある
整理すると、取れる手は3つです。全文検索の設定を詰める、辞書と絞り込みで直す、AIによる検索と回答生成に置き換える。上から順に費用と手間が増え、下に行くほど戻しにくくなります。だから上から試すのが原則です。
| 選択肢 | 向いている状態 | 主な作業 | その後に増える仕事 |
|---|---|---|---|
| 全文検索の設定を詰める | 検索の対象が狭い、完全一致に頼っている | 対象の項目を増やす、あいまいな一致を許す | 設定の見直しだけで済む |
| 辞書と絞り込みで直す | 語彙のずれと表記ゆれが原因の大半を占める | 同義語の辞書、候補の提示、条件の緩和、絞り込みの整理 | 辞書を続けて更新する |
| AIによる検索と回答生成に置き換える | 自然な文で聞かれる、資料が多い、語彙が揃わない | 意味で探す仕組みの構築、答えの作り方の設計 | 誤答の扱い、出典、更新、費用 |
表の3行目を選ぶ場合も、上の2つを飛ばすことはできません。理由は二つあります。一つは、上を詰めていないと置き換えの効果を測れないことです。もう一つは、意味で探す仕組みだけを入れると型番や専門用語に当たらなくなるため、語句の一致は残す必要があるからです。置き換えという言葉が、置き換えではないことを見えにくくしています。
実務では、語句の一致と意味の近さを両方使う形が前提とされています。だから社内の議論では「AIに替えるか」ではなく「どの方式をどう組み合わせるか」と言い直したほうが、話が具体的になります。予算の話も、この言い直しをしてからのほうが通りやすくなります。
選択肢1:全文検索の設定を詰める
最初に見るのは、いまの検索が何を対象にしているかです。商品名だけ、記事のタイトルだけという設定のサイトは珍しくありません。説明文、仕様、型番、タグ、資料の中身までを対象に含めるだけで、0件は目に見えて減ります。対象を広げる作業は、費用がほとんどかからないのに効果が大きい部分です。
次に一致のさせ方です。完全な一致と単純な部分一致だけに頼っていると、わずかな違いで外れます。語を区切って解析する処理、あいまいな一致を許す設定、そして条件を段階的に緩めて再度探す動きを入れます。絞り込みを掛けた結果が0件になったとき、条件を一つ外して探し直す。この動きがあるだけで、行き止まりが減ります。
結果の画面そのものも設定の対象です。並び順が更新日だけになっていないか、1件あたりに出す情報が足りているか、該当の件数が最初に見えるか。検索の精度が同じままでも、並び順を関連度に変えるだけで探せないという声が減ることがあります。ここは検索の仕組みではなく画面の設計なので、置き換えの検討とは切り離して先に手を入れられます。
期間と費用の見当も押さえておきます。既存の仕組みの設定変更で済む場合があり、その範囲なら数日から数週間です。ここで解決するなら、それ以上は不要です。逆に、上流を詰めないまま置き換えると、後から「設定の見直しだけで足りたのではないか」という問いに答えられなくなります。
選択肢2:辞書と絞り込みで直す
2つ目は、同義語と表記ゆれの辞書を作ることです。スニーカーとスニーカ、型番のハイフンの有無、片仮名と英字の書き分け。ログに残った0件の語句を材料にすれば、優先すべき語から作れます。一度作って終わりではなく、毎月ログを見て足していく形になります。
あわせて入れるものが2つあります。一つは入力の途中で候補を出す仕組みで、0件に到達する前に正しい語へ寄せられます。もう一つは絞り込みの整理です。条件の数が多すぎると掛け合わせた結果が0件になります。条件を外して探し直す動きと、条件ごとの件数を先に見せる表示を入れると、行き止まりが減ります。
辞書の作り方にも優先順があります。0件になった語句を件数の多い順に並べ、上から30語だけ登録する。これだけで件数の大半が拾えます。全部を登録しようとすると着手が遅れ、結局作られません。登録した翌月には、その語が0件をどれだけ減らしたかを確認します。効いていない語は削り、効いた型に近い語を足す。この回し方にすると、辞書が増えても運用の重さは増えません。
この選択肢の重さは運用にあります。辞書の更新が止まれば、数か月で元の状態に戻ります。担当と頻度を決めてください。月に30分でも続けば効きます。辞書は仕組みではなく運用です。更新の担当を決めない導入は、必ず元に戻ります。ここまでの2つで大半が解決する会社は、実際に少なくありません。
選択肢3:AIによる検索と回答生成に置き換える
3つ目には段が2つあります。一段目は、意味の近さで探す仕組みです。質問と文書を数値の並びに変換し、近さで候補を探します。二段目が、探した内容をもとに答えの文を作る仕組みです。一段目だけを入れて、答えの文は作らないという選択もあります。ここを分けずに検討すると、必要のない範囲まで作ることになります。
一段目の効き方は明快です。語彙のずれに強く、「解約」と入れて「退会」と書かれた規程を見つけられます。逆に弱いのは、型番や固有名詞のように決まった文字の並びで書かれるものです。この点は解説でも指摘されており、専門用語や製品の型番が当たらず関連性の低い情報が返ると述べられています。だから語句の一致と組み合わせる形が前提になります。
二段目の効き方は、利便性と危険が同じところにあります。答えの文が出るので、利用者は結果の一覧を読まずに済みます。しかし答えが一つ出るということは、間違っていても一つに見えるということです。一覧なら読み手が選べたものが、答えになると選べなくなります。この性質が、あとで扱う誤答と出典の話につながります。
押さえておきたい5つの言葉
社内の議論が噛み合わない原因は、多くの場合、言葉の混在です。担当者が別の方式を指して同じ語を使っているため、費用の話も精度の話もずれます。次の5つだけ揃えておけば、議論の解像度が上がります。
- 全文検索:文字列が一致するかで判定する方式。型番や固有名詞に強く、言い換えに弱い
- 意味で探す検索:文章を数値の並びに変換し、近さで探す方式。言い換えに強く、決まった並びに弱い
- 組み合わせた検索:語句の一致と意味の近さを両方使う方式。実務では前提とされる
- 並べ替え:探した候補を別の基準でもう一度順位づけする処理。省くと雑音が混ざる
- 探して答えを作る仕組み:探した文書を材料に答えの文を作る形。学習させ直す必要はない
注意点を2つ添えます。意味で探す検索だけを入れると、専門用語や製品の型番が当たらず、関連の薄い情報ばかりが返ると指摘されています。また、並べ替えを入れずに探した結果をそのまま渡すと、雑音の多い材料から答えが作られます。答えの品質を落としているのは、答えを作る側ではなく探す側です。
この5語が揃うと、見積もりの読み方も変わります。「AIを入れる」という一行の見積もりではなく、探す方式、並べ替え、答えの作り方のどこにいくらかかっているかを聞けるようになります。金額の妥当性は、内訳が分かれてから初めて判断できます。
置き換える価値が出る4つの条件
では、どういう状態なら置き換えに進む価値があるのか。ログと自社の状況を見て、次の4つがそろっているかを確認します。そろっていないなら、上の2つの選択肢で足ります。
- 探される対象が文章で、量が多い(資料、規程、仕様、事例が数百件以上ある)
- 利用者が自然な文で聞いている(できますか、はいくらですか、といった形がログに残っている)
- 語彙が揃わない(社内の呼び方と取引先の呼び方が違い、辞書で追いつかない)
- 答えが一つに決まる問いが多い(対応の可否、条件、期限など)
逆の条件も並べておきます。型番で探される、扱う商品の数が少ない、在庫や取り扱いが理由の0件が大半、内容の更新が激しい。この場合は、上流の2つで十分に効きます。更新が激しい情報は、答えを作る仕組みにとって最も相性が悪い材料です。取り込みが遅れると、古い条件で答えることになります。
見落とされやすい前提を一つ挙げます。探される対象の文書が整っていることです。古い版と新しい版が混在していると、どちらを材料にしたかで答えが変わります。置き換えは、資料の整理を先に要求します。ここに手を付けずに導入すると、答えが揺れる原因を探し続けることになります。
置き換えても直らないもの
期待を正しく置くために、直らないものを先に確認します。3つあります。取り扱いがないもの、在庫がないもの、そもそもサイトに書いていないものです。どれも検索の問題ではなく、品揃えと在庫と記述の問題です。
最も見落とされるのが3つ目です。社内では常識になっているが、サイトのどこにも書いていない情報。答えを作る仕組みは、材料にないことは答えられません。無理に答えれば作り話になります。だから「答えない」条件を先に決める必要があります。答えないと決めた質問は、担当者につなぐ導線に変えます。
型番と在庫の扱いも決めておきます。型番は語句の一致で確実に当てる経路を残します。在庫は検索の役割ではないので、0件の画面で代わりの候補や入荷の連絡の受け付けを出します。0件の画面をどう作るかは、検索の精度と同じくらい満足度に効きます。ここは仕組みを替えなくても今日から手を入れられる部分です。
置き換えたときに新しく起きること
導入の検討で最も抜けやすいのがここです。置き換えると、いままでなかった仕事が生まれます。誤った答え、出典の提示、更新の反映、そして毎月の費用。これらは導入の副作用ではなく、運用の本体です。先に決めていないと、公開してから決めることになります。
| 新しく起きること | 何が問題になるか | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 誤った答えが出る | 一覧ではなく一つの答えとして出るため誤りが見えにくい | 答えない条件と、答える範囲を決める |
| 出典が示されない | 利用者が真偽を確かめられず、問い合わせが増える | 引用元のページ名と更新日を必ず併記する |
| 更新が反映されない | 材料の取り込みが遅れ、古い条件で答える | 取り込みの頻度と、資料を直したときの手順を決める |
| 費用が毎月かかる | 運用費と材料の手入れの工数が続く | 月額の上限と、見直しの時期を決める |
| 答えが独り歩きする | 画面の答えを根拠に取引先が判断してしまう | 注意書きの表示と、正式な回答の窓口を示す |
誤答について、性質を押さえておきます。生成する仕組みは、学習した時点までの知識で答えるため、社内固有の情報や改定後の条件には対応できず、誤った答えが返る可能性があると指摘されています。だから自社の資料を材料にして答えさせる形にするのですが、探し方が悪ければ答えも悪くなります。前の章の並べ替えの話が、ここに効いてきます。
出典は、親切ではなく必須です。回答がどの情報源に基づいているのか示されていないと、利用者は真偽を判断できないと解説されています。BtoBのサイトでは、条件や仕様の答えがそのまま商談の前提になります。引用元のページと更新日を出すこと、そして出典を示せない場合は答えないことを、仕様として決めてください。
費用の見当をつける
金額の感覚がないと、社内の議論が進みません。公開されている整理では、試験的な導入で100万円から300万円(2週間から6週間)、本番の構築で300万円から1,000万円(2か月から4か月)、月額の運用で10万円から50万円という幅が示されています。従業員300名規模の社内向けの例では、初年度の総額が約940万円、2年目以降が年240万円という試算が挙げられています。
内訳の重心を知ることが、見積もりを読む鍵になります。同じ整理では、材料の整備が全体の20から30パーセント、画面の開発と既存の仕組みとの連携が30から40パーセントを占めるとされています。一方で言語モデルの利用料そのものは、月に1,000件の問い合わせなら3,000円から12,000円程度とされています。高いのはAIの利用料ではなく、材料を整えて既存の仕組みに繋ぐ工数です。
抑え方も同じ整理から取れます。対象を最初から広げず、一つの分野の100件から500件で始めること。精度を100パーセントに近づけようとすると工数が急に増えるため、8割から9割の水準で運用に載せること。ただし社外向けのサイト内検索では、誤答の影響が社内より大きくなります。社外向けは精度を上げるのではなく、答える範囲を絞ることで安全側に寄せます。
判断のチェックリスト
ここまでを、上流から順に確認できる形にまとめます。上の6つで解決するなら、置き換えは不要です。下の2つに答えられないなら、まだ着手する段階ではありません。
- 0件になった語句を100件以上、目で見て型に分類した
- 検索の対象になっている項目を確認し、説明文や仕様まで含めた
- 完全な一致と部分一致だけに頼っていないか、一致のさせ方を確認した
- 同義語と表記ゆれの辞書を作り、更新の担当と頻度を決めた
- 入力途中の候補の提示と、条件を緩めて探し直す動きを入れた
- それでも残る0件の型を書き出し、辞書で埋まらないものを特定した
- 探される対象の文書が整っているか(古い版が混ざっていないか)を確認した
- 誤答・出典・更新・費用について、先に決める内容を文章にした
この一覧の使い方は、上から順に潰すことです。飛ばして下から手を付けると、効果の測り方がなくなります。特に1つ目を飛ばすと、以降のすべての判断が推測になります。100件の分類は半日の作業です。
逆に、上の6つをやっても自然な文の質問が多く残るなら、置き換えの検討に進む価値があります。そのときは7つ目と8つ目に、文章で答えを書いてから見積もりを取ってください。仕様を決めてから見積もると、金額の比較ができるようになります。
置き換えるなら、先に決める実務仕様
進めると決めたら、公開の前に5つを決めます。どれも技術の選定より前に決められることで、決めておくと発注の内容が具体的になります。順に見ていきます。
どの資料を材料にするか、どの種類の問いに答えるかを書きます。製品の仕様は答える、価格は答えない、といった粒度です。範囲が広いほど誤答の面積も広がります。
材料に根拠がないとき、条件が分かれるとき、価格や契約に関わるとき。この3つは答えず、担当につなぐ導線に切り替えます。答えないことを決めた質問だけが、安全に運用できる境界を作ります。
引用元のページ名と、そのページの更新日を答えに併記します。出典を示せない場合は答えを出さない、という形にしておきます。
材料を取り込む頻度と、資料を直したときに誰が反映するかを決めます。ここが決まっていないと、数か月で古い答えを返す仕組みになります。
答えられなかった質問と、出典を示せなかった質問を毎週見ます。担当と時間を決めます。この工程が、置き換えた後の唯一の改善の入口になります。
5つのうち、後から決めると最も高くつくのが2つ目です。答えない条件を決めずに公開すると、誤答が外に出てから範囲を狭めることになります。取引先が答えを根拠に判断していた場合、訂正の連絡から始めることになります。答える範囲を狭く始めて広げるほうが、広く始めて狭めるより安全です。
5つ目のログの見方は、最も続かない工程です。公開の直後は熱心に見ますが、2か月目には開かなくなります。週次で15分、答えられなかった質問だけを見る。この形にまで削ると続きます。
やってしまいがちな進め方
失敗の型は、どれも真面目な検討の結果として起きます。着手の前に目を通しておくと、同じ道を避けられます。
- 0件の中身を見ずに仕組みを入れ替える:取り扱いのない語句が大半だと、替えても数字は動かない
- 意味で探す検索だけを入れる:型番や専門用語が当たらず、関連の薄い結果が並ぶようになる
- 出典を出さずに答えだけ見せる:利用者が確かめられず、問い合わせがかえって増える
- 辞書の更新の担当を決めない:数か月で元の状態に戻り、費用だけが残る
- 社内向けの試算をそのまま社外向けの判断に使う:誤答の影響の大きさと対象の量が違う
5つに共通するのは、順番を守っていないことです。0件の分類、上流の設定、辞書、そして仕様の決定。この順に進めれば、置き換えが必要かどうかは自然に見えてきます。順番を飛ばした検討は、結論が最初から決まっていることが多いものです。
もう一点。社内の検索と社外のサイト内検索を同じものとして議論しないでください。社内なら誤答を人が笑って直せますが、社外では取引先の判断に混ざります。求められる精度の水準が違います。
人が確認する範囲と、答えさせない範囲
最後に、どの選択肢を採ってもAIに任せない領域を決めておきます。価格、契約の条件、納期、法令や規約の解釈、安全に関わる仕様。これらは答えの文を出さず、担当者につなぎます。これは技術の精度の話ではなく、間違えたときに取り返しがつかない領域の話です。
あわせて、根拠を必ず書かせる形にします。答えに引用元と更新日を添える。添えられないものは答えない。この一線があるだけで、誤った答えが外に出る量は大きく減ります。運用の側から見ても、出典があれば訂正の作業が短くなります。どのページを直せばよいかが、答えの中に書かれているからです。
そして、人に残る工程を明示しておきます。月に一度、答えられなかった質問と、出典なしで答えてしまった質問を見る。ここが唯一の改善の材料です。仕組みを入れ替えても、何を答えないかを決める工程は人に残ります。この工程を誰が持つかを決めないまま導入すると、精度は下がる一方になります。
- 0件の割合は10パーセント超で改善の余地、20パーセント超で早急な対策とされる水準を目安にする
- 意味で探す検索だけでは型番や専門用語に当たらない。語句の一致と組み合わせる
- 答えを作る形にするなら、出典の併記と、答えない条件を公開前に決める
- 費用の重心は材料の整備と既存の仕組みとの連携。言語モデルの利用料は相対的に小さい
- 社外向けは精度を追うより、答える範囲を絞って安全側に寄せる
まとめ
サイト内検索をAIに置き換えるかどうかは、機能の優劣ではなく、自社の0件の中身で決まります。語彙のずれは辞書で埋まり、型番と在庫は仕組みを替えても残ります。だから順番は決まっています。0件の語句を100件分類し、検索の対象と一致のさせ方を詰め、同義語の辞書と候補の提示を入れる。ここまでで解決する会社は少なくありません。それでも自然な文の質問が残り、資料の量が多く、語彙が揃わないなら、意味で探す仕組みを足す価値が出てきます。答えの文まで作るなら、答える範囲と答えない条件、出典の見せ方、更新の手順、ログの見方の5つを公開前に文章で決めてください。費用の重心はAIの利用料ではなく、材料を整えて繋ぐ工数にあります。まずは今月のログから、0件の一覧を出すところから始めてみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI×SEOに取り組む前に、社内のAI導入環境から整えませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
