AIに企画を出させると案が似る原因|横並びを抜ける材料の集め方

AIに企画を出させると案が似る原因|横並びを抜ける材料の集め方

「AIに企画案を出させると、間違ってはいないのですが、去年うちが出した案とほとんど同じものが並びます」「20案もらっても、中身が本当に違うのは2案くらいで、あとは言い方が違うだけです」——企画の材料としてAIを使い始めた現場が、最初にぶつかる壁です。これは指示文の書き方が下手だからではありません。本当は、渡している材料が、どの会社でも手に入る材料だけになっているからです。この記事では、案が横並びになる原因を4つに切り分け、そこを抜けるために社内のどこから材料を取るか、出させ方をどう変えるかまでを整理します。


カメ先生カメ先生

AIの出す案が似るのは、AIの発想の幅が足りないからだと思われがちなんだ。でも実際に測ってみると、先に似ているのは案ではなく、渡された材料のほうでね。


カメ子カメ子

材料が同じなら、出てくる案も同じところに寄る、ということですか。


カメ先生カメ先生

そうなんだ。しかも厄介なのは、一つひとつの案の出来はむしろ上がることでね。だから読み返しても悪くない。悪くないのに、よその会社が同じ手順を踏んでも同じ案になる。


カメ子カメ子

一案ずつ見ているうちは気づけない種類の問題なのですね。似ているかどうかは、どこを見れば分かるのでしょう。


この記事のポイント
  • 案が似る原因は4つ。渡した材料、指示が結論から書かれていること、評価軸が「それらしさ」になっていること、一度に全部出させていること
  • 横並びを抜ける材料は社内にある。失注の理由、断った案件、問い合わせの原文、現場の制約、数字の外れ値
  • AIに任せるのは材料の整理と案の下書きまで。どの案を通すか、誰の名前で出すかは人が決める

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目次

案が横並びになるのは、書き手の腕の問題ではない

この現象は、すでに測られています。ウォートン校のマインケ、ネイブ、ターウィッシュによる研究は、2025年にネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアー誌に掲載され、5つの実験を通して、生成AIを使ったブレインストーミングが案の幅を狭めることを示しました。レンガと扇風機を使うおもちゃを考える課題では、生成AIを使った側の案の94パーセントが重なり合う考え方を共有し、9人が独立に自分の案へ同じ名前を付けていました。人だけで考えた側の案は、すべて別のものになっていたと報告されています。

同じ研究では、45の統計比較のうち37で、案の幅の有意な低下が確認されています。見落とされやすいのは、その一方で一つひとつの案の創造性、つまり独自性と適切さの平均は上がっていたことです。案の質は上がり、案の幅だけが狭まる。だから読み返しても違和感がなく、会議に出しても誰も止めません。止まらないまま、どの会社でも書ける案が通っていきます。

別の研究でも同じ形が出ています。2024年のドーシとハウザーの研究では、生成AIの案を見てから書かれた物語は、より創造的で読みやすいと評価された一方、物語どうしが似ていました。著者はこれを、個人としては得をするが集団としては新しさの幅が狭くなる状態だと表現しています。横並びは腕の問題ではなく、使い方の設計から生まれています。以降では、その設計のどこがずれているのかを4つに分けて見ていきます。

案が20本並んでも、幅がなければ選ぶ意味がない

案が似ていても、良いものが1つあればよいのではないか。ここが取り違えやすいところです。企画は数より幅に価値があるという考え方は、創造性の研究で長く共有されてきました。理由は単純で、選ぶという作業は、並んだ案の外側には出られないからです。20案が同じ方向を向いていれば、どれを選んでも結論は同じ方向になります。選ぶ手間だけが増えて、決まる中身は変わりません。

実務では、この損は見えにくい形で出ます。案が似ていると、比べる作業が「どれがいちばんそれらしいか」に変わります。中身の違いで選べないので、言い回しの良し悪しで選ぶことになる。案の選考が文章の巧拙を競う場になっていたら、それは案の幅が足りていない合図です。参加者の誰も手を抜いていないのに、決まったあとで何も残らない会議は、たいていこの形をしています。

もう1つ、時間の損があります。似た案を20本読む時間は、違う案を5本読む時間より長くかかります。読み終わったあとに手元に残る材料も少ない。案を増やす前に、案の幅を作るほうが先です。次の4つの章では、幅が失われる場所を、渡した材料、指示の向き、評価軸、出させ方の順に分解します。原因は独立しているので、1つ直すだけでも案の顔ぶれは変わります。

原因1:渡した材料が、どの会社でも手に入る材料しかない

いちばん多い原因は材料です。渡しているのが業界の一般的な動向、公開されている統計、他社のサイトに載っている情報だけなら、出てくる案は他社が同じ手順を踏んだときと変わりません。材料が公開情報だけなら、案も公開情報の組み替えになります。生成AIは渡された範囲の中で組み合わせを作る仕組みなので、範囲の外の案は出てきません。

見分け方は簡単です。渡した材料を並べて、これは他社も30分あれば集められるかと問うだけ。30分で集められる材料しかないなら、その時点で横並びは確定しています。案の独自性は、材料の入手のしにくさから来ます。文章の工夫では取り戻せません。指示文をいくら磨いても、材料が公開情報のままなら、磨かれるのは言い回しだけです。

なお、材料を集めるときに競合の発信を見すぎることで起きる同質化は、競合を見る距離の取り方そのものは別の記事の領分です。ここで扱うのは、競合を見る見ないに関わらず、社内にしかない材料を渡せているかという1点だけ。後半の3つの章で、その材料をどこから取るかを具体的に書きます。まずは残りの原因を見ていきます。

原因2:指示が結論の形から書かれている

「若手向けのセミナー企画を5つ」「BtoBの見込み客を増やす施策を10案」。この形の指示は、答えの形を先に決めています。形が決まっていれば、中身は形に合うものだけが返ってきます。セミナーと書けばセミナーの案しか出ませんし、施策と書けば施策の一覧が返ります。横並びの半分は、こちらが先に枠をはめたことで起きています

直し方は、結論ではなく、解きたい問題と制約を先に書くことです。誰の、どの場面の、どの困りごとを、どんな制約の下で解くのか。この4つを書くと、返ってくる答えの形は指定されません。形が指定されていないので、セミナー以外の答えも混ざります。実際に書き換えると、案の3割ほどはこちらが想定していなかった形で返ってきます。

もう1つ効くのが、答えの形をあえて複数指定することです。催し、道具、仕組み、取り決めのそれぞれで1案ずつ、のように性質の違う枠を先に置く。枠を置かないと、最初に出た形にあとの案がすべて引きずられます。先頭の3案が資料の企画だったら、残り17案も資料の企画になります。枠は4つか5つで十分で、増やしすぎると1つの枠に割ける材料が薄くなります。

原因3:評価軸が「それらしさ」になっている

出てきた案を選ぶとき、多くの現場は明文化された評価軸を持っていません。持っていないので、読んだ印象で決めます。印象で決めると、文章として整っている案が勝ちます。生成AIが出す文章はどれも整っているので、整い方では差が付かず、結局先に並んでいた案と、いちばん短い案が通りやすいという選び方になります。

評価軸を先に書くと、この歪みは消えます。書くのは3つで足ります。自社にしかない材料が根拠として入っているか、実行したときに止まる場所を特定できるか、外したときに何を失うかが書けるか。3つのうち2つに答えられない案は、それらしいだけの案です。この3つは、案を読んだ人が同じ判定をしやすいという点でも扱いやすい軸です。

軸は案を出す前に書きます。出した後に書くと、手元にある案に合う軸を無意識に作ってしまうためです。軸を先に書き、案を後から当てる。順番を変えるだけで、通る案の顔ぶれが変わります。軸を書く担当は、案を出す担当と別の人にしておくと、さらにぶれにくくなります。書いた軸は次の企画でもそのまま使えるので、書く手間は1回だけです。

原因4:一度の生成で全部を出させている

4つ目は出させ方です。一度に20案と頼むと、案は最初の数案の周りに集まります。前に出した案を踏まえながら次を作る仕組みなので、進むほど方向がそろっていくためです。ウォートン校のマインケ、モリック、ターウィッシュが2024年1月に公開した研究は、35種類の指示文を比べ、この集まり方を数で示しました。

その研究では、案どうしの近さを測る指標(値が小さいほど散らばっている)で、人のグループが出した案は約0.243、生成AIが出した案は0.255から0.432でした。著名な経営者になりきらせる指示は0.368で、工夫をしない場合の0.377からわずかに広がる程度。経営誌が紹介している発想法を渡す指示は0.387で、かえって狭まっています。人格を与える工夫より、手順を分ける工夫のほうが効くという結果です。

同じ研究では、段階を分けて考えさせる指示にすると、出せる重複のない案の数が約3,700から約4,700へ増えました。一度に出させる量を減らし、回数を分けるだけで幅は広がります。ここまでで原因は4つそろいました。次の章からは、対策を材料の側と出させ方の側に分けて、順に書いていきます。まず効くのは材料のほうです。

材料1:失注の理由と、断った案件

社内にしかない材料のうち、いちばん効くのが失注の理由です。負けた理由には、相手が本当に困っていたこと、こちらが応えられなかった条件、競合が持っていた強みが同時に入っています。しかも公開されません。他社がどれだけ調べても手に入らない材料なので、ここから出た案は構造的に横並びになりません。

取り出し方は、商談記録の最終コメントと、営業の週次報告の2か所です。要約せず、相手の言葉のまま3行で抜きます。要約すると「価格が合わなかった」に丸まってしまい、材料としての価値がほぼ消えます。丸めた言葉からは、丸めた案しか出てきません。同じ案件について担当者2人ぶんを取ると、主観の偏りも見えます。

もう1つ、見落とされやすいのが断った案件です。こちらから辞退した案件には、自社が引き受けられない条件がそのまま残っています。断った理由と、条件が何であれば受けたかを対にして書き出すと、自社の輪郭が線として見えてきます。記録が残っていない会社が多いので、まずは辞退のたびに2行残す運用から始めます。半年ぶん貯まれば、それだけで材料になります。

材料2:問い合わせの原文と、現場の制約

問い合わせ欄の自由記述と、資料請求の備考欄。ここには、読者が自分の困りごとを自分の言葉で書いた文章が貯まっています。この材料の価値は、言い回しが整っていないことにあります。整っていない言い回しには、業界の言葉に置き換えると消えてしまう前提や順序が残っているためです。原文のまま渡し、誤字も直しません。

渡す前にやることは1つだけで、個人を特定できる部分を外すことです。会社名、担当者名、電話番号、案件が特定できる固有の数字。この4つを外せば、困りごとの中身は残ります。外す作業を面倒だからと飛ばすと、材料そのものを使えなくなります。最初に外す項目を決めておけば、作業は数分で終わります。

現場の制約は、納品や運用の担当者への聞き取りで取ります。聞き方が肝心で、何が大変ですかと聞くと一般論が返ってきます。直近3件の具体的な出来事を聞くと、制約が名前付きで出てきます。できない理由と、いつなら動かせるかを添えて書き出すと、実行できない案が最初から減ります。制約は案を狭めるものだと思われがちですが、実際には案の分岐点として働きます。

材料3:数字の外れ値

3つ目は数字です。ただし平均ではありません。平均は他社の平均とほとんど同じ形になるので、材料として弱い。使うのは外れ値のほうです。実績の一覧から上下5パーセントを抜き出すと、なぜこれだけ極端なのかという問いが同時に手に入ります。問いが付いている材料は、案を分岐させます。

外れ値は、そのまま渡しても効きません。数字だけでは、生成AIの側も珍しい数字としか扱えないためです。抜き出した数字ごとに、なぜそうなったのかの仮説を人が1行だけ書いてから渡します。仮説が外れていてもかまいません。仮説があると、その仮説を否定する案や、仮説が正しい場合にだけ成立する案が返ってきます。

外れ値の取り方で1つ注意があります。期間を短く切ると、季節や単発の出来事が外れ値として出てきます。最低でも12か月をまとめて見て、同じ方向に外れた事例が3件以上あるものだけを材料にします。1件しかない外れ値は、材料ではなく事故の記録です。ここまでの3つがそろえば、渡す材料の中身は決まります。次は渡す形の話です。

材料を渡す形を、先に決めておく

材料は、集めた形のまま渡すと効きません。長すぎる記録は要点が埋もれ、短すぎる要約は前提が落ちます。5つの材料それぞれについて、どこから取り、どんな形に直して渡し、何に気をつけるかを一度だけ決めておきます。決めておけば、次の企画では集める作業だけで済みます。次の表は、その決めごとを1枚にしたものです。

材料どこから取るか渡すときの形落とし穴
失注の理由商談記録の最終コメント、営業の週次報告相手の言葉のまま3行。要約しない担当者の主観が入るので、同じ案件で2人ぶんを取る
断った案件辞退の記録、問い合わせへの返信断った理由と、条件が何なら受けたかを対にする記録が残っていないことが多い。まず2行残す運用から
問い合わせの原文問い合わせ欄の自由記述、資料請求の備考原文のまま。誤字も直さない会社名・担当者名・電話番号・固有の数字を先に外す
現場の制約納品や運用の担当者への聞き取りできない理由と、いつなら動かせるかを添える一般論が返るので、直近3件の具体で聞く
数字の外れ値実績の一覧から上下5パーセントを抜く外れた理由の仮説を人が1行書いてから渡す12か月未満で切ると、季節の波を外れ値と取り違える

表を運用に乗せるときの決めごとは1つだけです。5つのうち3つ以上がそろわない状態では、案を出させません。1つや2つでは、材料が薄いぶんを生成AIが一般論で埋めてしまい、結局横並びに戻ります。3つそろっていれば、材料どうしの矛盾が出てきます。矛盾は案の分岐点になるので、むしろ歓迎してかまいません。

出させ方1:前提を固定し、禁じ手を先に書く

材料がそろったら、出させ方を変えます。最初にやるのは前提の固定です。誰に向けるのか、いつまでに実行するのか、使える人数と費用はどれだけか。この3つを先に文章で固定してから案を頼むと、実行できない案が最初から出てこなくなります。前提を書かないと、前提の違う案が混ざり、比べる作業が成立しません。

次に禁じ手を書きます。過去に試して駄目だったやり方、社内の事情で通らないやり方、他社が既にやっているやり方。この3種類を列挙して、これらは出さないでくださいと先に伝えます。禁じ手を書かないと、返ってくる案の3割から4割が既にやったことの再提案になります。書くのに10分もかかりません。

禁じ手には副作用があります。書きすぎると、残る余地がなくなって案が痩せます。目安として、禁じ手は5個から7個まで。それ以上は前提の側に書き換えます。禁じ手は「やらない」の列挙ですが、前提は「この条件で」の指定なので、同じ内容でも案の幅への効き方が違います。書きすぎたと感じたら、前提に移せないかを見直してください。

出させ方2:賛成の案より先に、反対意見を出させる

案を出させる前に、こちらが持ち込んだ前提への反対意見を出させると、後から出てくる案の幅が変わります。やり方は簡単で、この前提のどこが間違っている可能性があるか、この課題設定そのものが成り立たないのはどんな場合かを、案より先に5つ書かせるだけです。

この一手が効くのは、生成AIが依頼者の前提に沿って答えを組み立てる性質を持つためです。前提に沿ったまま20案を出させれば、20案とも前提の内側に入ります。先に前提を揺らしておくと、前提が成り立たない場合に有効な案が、選択肢として残るようになります。実務では、この枠から出た案がいちばん議論になります。

出てきた反対意見は、全部を採用する必要はありません。使うのは2つか3つで十分です。ただし、捨てた反対意見も記録に残してください。半年後に企画が行き詰まったとき、そのときに捨てた反対意見が、たいてい当たっています。なお、主張そのものをどう立てるかという記事の作り方は、別の記事の領分です。ここでは案を広げる手続きとしてだけ使います。

出させ方3:段階を分けて出させる

原因4で触れたとおり、一度に全部出させると案は寄ります。段階を分ければ、この寄りは減らせます。先ほどの研究でも、段階を分けて考えさせる指示で重複のない案の数が約3,700から約4,700へ増えていました。実務では、4段階に分けるのが扱いやすい形です。

STEP1
前提だけを出させる
課題と制約を渡し、この課題が成立している前提を10個挙げさせます。案はまだ出させません。ここで出た前提は、次の段階で条件に変えます。
STEP2
満たすべき条件に言い換えさせる
前提のうち動かせないものを条件として書き直させます。動かせる前提は、そのまま案の分岐点になります。条件は5つから8つに収めます。
STEP3
条件ごとに案を1つずつ出させる
条件を1つ選び、その条件を満たす案を1つだけ出させます。これを条件の数だけ繰り返します。一度に出させないので、前の案に引きずられません。
STEP4
成立しない条件を書かせる
出そろった案それぞれに、この案が成立しなくなる条件を2つ書かせます。ここで自壊する案は、この時点で落とします。

段階を分ける最大の利点は、途中で人が割り込めることです。段階2で出た条件を人が1つ足すだけで、後の案の顔ぶれは大きく変わります。一度に20案出させる形だと、この割り込みができません。手間は増えますが、増えるのは前半だけで、後半の選ぶ作業はむしろ短くなります。

立場を与える工夫は、与え方で効き方が変わります。先に挙げたウォートン校の研究では、1つの人格を与えて一度に出させる指示の効果は小さいものでした。一方、2026年に公開されたワンとカルマンの研究では、10種類の異なる立場を設定して300本の筋書きを作らせたところ、人だけで作った場合と比べて幅が保たれています。著者らは、案が似る現象は道具に必ず備わった性質ではなく、渡し方の設計から来ている可能性を指摘しました。段階3を回すたびに、想定する読み手か実行する部門を1つずつ入れ替えると、同じ手順のままでも案の散らばりが増えます。

出た案の見分け方:言い換えを畳み、成立条件を書かせる

段階を分けても、似た案は残ります。残った案をそのまま数えると、実際より多く見えます。最初にやるのは、言い換えを畳む作業です。案の名前を隠して、実行する人、使う道具、起きる出来事の3点だけを並べます。3点が同じなら、名前がどれだけ違っても同じ案です。

畳んだあとの数が本当の案の数です。20案が5案になることは珍しくありません。ここで落ち込む必要はなく、5案あることを最初に知っているほうが、20案あると思い込んでいるより強い状態です。足りなければ、材料を足して段階3からやり直します。指示文を変えるより、材料を1つ足すほうが早く効きます。

残った案には、成立条件を書かせます。この案が成り立つために必要な、社内の条件と社外の条件をそれぞれ2つずつ。成立条件を書かせると、それらしいだけの案は自分から崩れます。書けない案は、中身がないということです。あわせて、その案がどの材料のどの行から出たのかも1行で書かせます。根拠が書けない案は、材料ではなく一般論から出ています。

畳む作業には、1つ注意があります。3点が同じでも、実行の順番が違えば別の案です。社内を整えてから外に出す案と、外に出しながら社内を整える案では、必要な人数も、止まる場所も、失敗したときの戻し方も違います。畳むときは、実行する人・使う道具・起きる出来事の3点に加えて、最初の1か月で何をするかを並べてください。ここまで並べて同じなら、名前がどれだけ違っても同じ案として扱ってかまいません

AIに判断させない範囲を、先に決めておく

ここまでの手順は、すべて材料を作る作業です。判断はしていません。企画の工程でAIに任せてよいのは、材料の整理、案の下書き、言い換えを畳む作業、成立条件の洗い出しまでです。どの案を通すかという判断と、誰の名前で外に出すかという判断は、人が持ちます。この線を先に引いておかないと、案が増えたときに線が動きます。

線を引く理由は2つあります。1つは責任の所在で、外に出た案の内容について説明を求められるのは人だからです。もう1つは、通す判断には材料に載っていない事情が必ず絡むからです。今期の営業計画との整合、取引先との関係、社内の力学。これらは材料に書かれていないので、材料だけから出た判断は必ずどこかで外れます。

  • どの案を通すかは人が決める。AIには案ごとの成立条件と、外したときに何を失うかを書かせるまで
  • 誰の名前で外に出すかは人が決める。社外に出る案は、名前を出す人が原文を読んでから出す
  • 案の根拠を必ず書かせる。どの材料のどの行からその案が出たのかを、案ごとに1行添えさせる
  • 人が確認する範囲を先に決める。社外に出る案は全件、社内検討用は畳んだ後の上位3案だけ、のように書いておく

運用に落とすときのこつは、確認の量を案の数に比例させないことです。畳む作業までは全件に当て、人が読むのは畳んだ後の上位だけにします。この2段にしておくと、出させる案を増やしても、人の確認時間はほとんど増えません。増えるのは畳む作業だけで、そこは機械的に処理できます。

一度に20案出させて、いちばんそれらしいものを選ぶ

ここまでの裏返しが、そのまま最も多い失敗の形です。材料を渡さないまま一度に20案出させ、並んだ中から読んだ印象でいちばんそれらしいものを選ぶ。手順としては速く、その場では仕事が進んだように見えます。残るのは、どの会社でも書ける案です。次に挙げるのは、この形から派生して繰り返し起きる失敗です。

  • 一度に20案出させて、その中から一番それらしいものを選ぶ:材料が公開情報だけなので、どの会社でも書ける案が残る
  • 案が薄いので、指示文だけを書き直して出し直す:材料が変わっていないので、言い回しが変わった同じ案が返ってくる
  • 案の名前で数える:名前が違うだけの言い換えを別案として数え、実際は5案しかないのに20案あると思い込む
  • 評価軸を案が出そろってから決める:手元の案に合う軸を作ってしまい、選考が追認の作業になる
  • 反対意見を最後に出させる:前提が固まった後なので、前提そのものを疑う案が選択肢から消えている

直し方は順番を入れ替えるだけです。材料を3つ集める、評価軸を書く、段階を分けて出させる、畳む、成立条件を書かせる。この順でやると、最初に出てくる案の数は減ります。案の数が減ったことは、失敗ではなく実態が見えた状態です。数が足りないと感じたら、指示文ではなく材料を1つ足してください。材料を1つ足すほうが、指示文を書き直すより確実に効きます。

まとめ

AIに企画を出させて案が横並びになるのは、書き手の腕でも道具の性能でもありません。原因は4つ、つまり渡した材料が公開情報だけになっていること、指示が結論の形から書かれていること、評価軸が「それらしさ」になっていること、一度に全部を出させていることです。抜けるための材料は社内にあります。失注の理由、断った案件、問い合わせの原文、現場の制約、数字の外れ値。この5つのうち3つがそろうまでは、案を出させないと決めておくだけで、返ってくる案の顔ぶれが変わります。出させ方は、前提と禁じ手を先に固定し、反対意見を案より先に出させ、段階を分けて1案ずつ出させる。出た案は名前を隠して畳み、成立条件と根拠を書かせて確かめます。どの案を通すか、誰の名前で出すかは人が決め、AIには判断の材料だけを作らせます。まず今週やることは1つです。直近の失注6件について、負けた理由を相手の言葉のまま3行ずつ書き出してください。3行が書けない案件が半分を超えるなら、案を出させる前に、記録の残し方から手を付けることになります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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