展示会の出展料はいつの費用になる?|決算をまたぐときの整理

出展の申込をして、出展料を払ったのは3月。開催は5月。この費用は、どちらの期のものとして扱うのか。決算をまたぐ展示会では、この問いが毎年出てきます。科目の選び方だけでなく、いつの費用にするかで決算の数字が変わります。この記事では、出展料と装飾と什器の違い、前払いの扱い、そして中止になった場合の整理までをまとめます。
カメ先生出展料をいつの費用にするか、という質問を毎年受けます。
カメ子払った月ではないのですか。お金が出た月で処理すればよいのでは。
カメ先生費用は、お金が出た月ではなく役務を受けた時期で考えるのが原則です。
カメ子役務を受けた時期、というのは開催の日ということですか。
- 出展料は不特定多数への周知の費用として広告宣伝費で処理するのが基本
- 開催の前に払った場合は前払いとして計上し、開催の時点で費用に振り替える
- 装飾と什器は扱いが分かれ、繰り返し使うものは資産になる場合がある
払った月と開催の月が違う
展示会の申込は、開催のかなり前に締め切られます。人気のある展示会では、半年から1年前に小間の申込が始まります。申込と同時に、あるいは数か月前に出展料を払います。つまり、支払いと開催が別の期になることは珍しくありません。3月決算の会社が5月の展示会に出るなら、支払いは前の期、開催は次の期になります。
この差が問題になるのは、決算の数字を見るときです。支払った期に全額を費用にすると、その期には成果がないのに費用だけが立ちます。翌期には成果があるのに費用がない、という形になります。期ごとの損益を見る人にとっては、実態と合わない数字になります。
会計の原則では、費用は役務を受けた時期に計上します。出展料の場合、役務を受けるのは開催の期間です。小間の場所を使い、来場者の前に立つのがその期間です。したがって、開催の期の費用として扱うのが素直な考え方になります。支払いの時点では、まだ役務を受けていません。
この整理は、経理の担当者には自明のことです。しかし、マーケティングの担当者には伝わっていないことが多いものです。予算の管理と費用の計上を同じものだと考えていると、話が食い違います。予算は使った月に消化されますが、費用は役務を受けた期に立つ。この2つの違いを理解しておくと、経理との会話が短くなります。
出展料はどの科目になるか
出展料は、広告宣伝費で処理するのが基本です。自社の商品やサービスを、不特定多数の来場者に知らせる費用だからです。特定の相手への支出ではなく、広く周知するための支出という位置づけです。この整理は、多くの会社で採られている一般的なものです。
ほかの科目が使われることもあります。販売促進費という科目を持っている会社では、そちらに寄せることもあります。重要なのは、社内で科目の使い方を一貫させることです。年によって科目が変わると、前年との比較ができなくなります。
交際費との区別は意識しておく必要があります。出展料そのものは交際費になりません。しかし、会場での接待や、特定の取引先だけを招いた催しの費用は、交際費として扱われる可能性があります。同じ展示会の関連の支出でも、性質で分かれます。
科目の選び方は、税務の取扱いにも影響します。交際費には損金にできる範囲の定めがあり、広告宣伝費とは扱いが違います。性質を取り違えると、税額の計算に影響します。判断に迷う支出は、顧問の税理士に確かめてください。確かめた内容を記録に残しておくと、翌年も同じ判断ができます。
前払いになる場合の考え方
開催の前に払った出展料は、支払いの時点では前払いです。科目としては前払金、あるいは前払費用を使います。この2つは性質が違うため、社内で使い分けを決めておきます。前払金は、まだ役務の提供が始まっていない支出に使われます。
前払費用は、継続的な役務について前払いした部分に使われる科目です。1回限りの展示会の出展料は、継続的な役務とは言いにくい面があります。実務では前払金として処理する例が多く見られます。どちらを使うかは、顧問の税理士と相談して決めます。
開催の時点で、前払いから費用に振り替えます。この振替の作業を忘れると、前払いのまま残り続けます。決算のときに前払いの残高を確かめる手順があれば見つかりますが、確かめる手順がないと数期にわたって残ることがあります。
振替の作業を確実にするには、支払いの伝票に開催の日を書いておくのが有効です。いつ振り替えるべきかが伝票を見れば分かる状態にします。マーケティングの担当者が申請の段階で開催の日を書き添えれば、経理が判断できます。この一手間が、決算の作業を軽くします。
| 支出の内容 | 科目の目安 | 計上の時期の考え方 |
|---|---|---|
| 出展料(小間料) | 広告宣伝費 | 開催の期。前払いは振替 |
| 装飾や施工(1回限り) | 広告宣伝費 | 開催の期 |
| 繰り返し使う什器の購入 | 資産に計上する場合がある | 使用の期間に応じる |
| ノベルティの制作 | 広告宣伝費 | 配布の期。在庫は資産 |
| 特定の取引先の接待 | 交際費になり得る | 支出の期 |
装飾や施工の費用
小間の装飾と施工は、出展料とは別に発生します。デザインの費用、造作の費用、電気工事、搬入と搬出。1回の展示会のためだけに作るものは、広告宣伝費で処理するのが一般的です。会期が終われば解体して廃棄するためです。
計上の時期は、出展料と同じ考え方になります。開催の期に費用として立てます。施工の会社への支払いが開催の前に一部行われる場合は、その部分を前払いとして扱い、開催の時点で振り替えます。支払いが分割されると、管理が複雑になります。
解体と廃棄の費用も、同じ展示会の費用として扱います。会期の後に請求が来るため、決算の直前に開催した展示会では請求が翌期に届くことがあります。この場合は、未払いの費用として当期に計上する処理が必要になります。
請求の遅れは、毎年同じ会社で起きます。施工の会社に、決算の日までに見積りの確定を依頼しておくのが実務的な対策です。金額が確定していなくても、見積りがあれば概算での計上ができます。経理と相談して、必要な資料を先に決めておきます。
什器を買った場合と借りた場合
同じ什器を毎年使う会社では、扱いが変わります。1回で捨てるものではなく、複数年にわたって使う資産になるためです。金額が一定の基準を超える場合、資産として計上し減価償却の対象になります。基準の金額は税制によって定められています。
借りた場合は単純です。使用の期間に対する賃借の費用として、開催の期の費用になります。借りるか買うかの判断は、出展の回数と保管の費用で決まります。年に1回しか出ないなら、借りるほうが安いことが多いものです。
買った什器の保管の費用も見込みます。倉庫の賃料、運搬の費用、経年による作り直し。買ったときの費用だけで比べると、借りるほうが高く見えます。数年ぶんの総額で比べると、判断が変わることがあります。
資産として計上したものは、使わなくなった時点で処理が必要です。廃棄したのに帳簿に残っているという状態を避けます。什器の一覧を作り、どこに保管しているか、いつまで使うかを管理します。この一覧は、経理の資産の台帳と突き合わせられる形にしておきます。
保証金や預け金がある場合
主催者への支払いには、費用ではないものが混ざることがあります。会期後に返還される保証金や、電気や水道の使用に対する預け金です。返ってくるお金は費用ではなく、資産として扱います。これを費用として処理すると、返還されたときに処理が合わなくなります。
請求書の内訳を確かめるのが確実です。出展料と保証金がひとつの請求書にまとめられていることがあります。内訳が書かれていない場合は、主催者に確かめます。金額の大小ではなく、性質で分けるという原則です。経理に渡すときに内訳を示せば、正しく処理されます。
返還の時期も記録します。会期の翌月に返還される場合と、数か月後になる場合があります。決算をまたぐと、資産として残高に残ります。返還されたことを確かめる担当を決めておかないと、残高が残ったままになります。
返還されないことになる場合もあります。小間を破損した、期限までに撤去しなかった、規約に違反した。この場合は、返還されないと決まった時点で費用になります。会期後の主催者からの連絡は、経理に共有する対象として運用の手順に入れておきます。
ノベルティと配布物
配布するノベルティは、制作した時点では在庫です。配った時点で費用になります。会期で配り切れずに残った分は、翌期に持ち越されます。残った数を数えて記録しておかないと、正しい処理ができません。
実務では、金額が小さければ制作の時点で全額を費用にする処理も行われます。重要性の観点から、細かく分けない判断です。この判断の基準を、社内で決めておくと毎年迷いません。金額の目安を経理と相談して決めます。
配布物の内容によっては、景品としての規制がかかる場合があります。会計の処理とは別の論点ですが、同時に確認しておくと手戻りが減ります。来場者に一律に配るものと、抽選で渡すものでは、扱いが変わることがあります。
会期後の在庫の管理も決めておきます。次回まで保管するか、社内で使うか、廃棄するか。保管する場合は、置き場所と数量を記録します。記録がないと、次回に同じものを作り直すことになります。この無駄は、金額としては小さくても毎回発生します。
交通費と宿泊費
会場が遠方の場合、出張の費用が発生します。これは出展の費用ではなく、通常の旅費交通費として処理するのが一般的です。科目を分けておくと、展示会の総費用が見えにくくなります。
展示会ごとの費用対効果を見たい場合は、科目とは別に管理の区分を持ちます。会計の科目は税務と決算のために使い、効果を測るための集計は別の軸で行います。この2つを混ぜようとすると、どちらも中途半端になります。
管理の区分は、伝票に案件の番号を付ける形が簡単です。展示会ごとに番号を振り、関連する支出のすべてにその番号を書く。科目が違っても、番号で集計できます。この仕組みは経理の道具の設定で作れることが多いものです。
集計の対象には、社内の人件費も含めるかを決めます。会計上は人件費として別に処理されますが、効果を測るうえでは無視できない費用です。実際にかかった日数を記録しておくと、次回の判断に使えます。1回の展示会に何人日かかったかは、出展の可否の判断材料になります。
中止になった場合
開催が中止になると、扱いが変わります。役務の提供が行われないため、開催の期の費用として立てる根拠がなくなります。返金される場合は、前払いから戻す処理になります。返金されない場合は、中止が決まった時点で費用として計上します。
主催者の規約によって、返金の条件は変わります。全額返金、一部返金、返金なし、次回への振替。振替の場合は、前払いのまま次回まで持ち越すことになります。この扱いは、規約の内容を確かめて判断します。
装飾や施工の費用は、進行の度合いで分かれます。すでに製作が始まっていれば、その分の費用は発生しています。施工の会社との契約で、中止の際の負担をどう定めているかを確かめます。契約書に書かれていない場合は、協議になります。
中止の判断が決算の直前に来ると、処理が難しくなります。中止が正式に決まった日と、返金の金額が確定した日が違うためです。この場合は、決算の日の時点で分かっている情報に基づいて処理します。後で金額が変わったら、その時点で修正します。顧問の税理士に相談して進めるべき場面です。
5つの工程で処理する
申込から決算までの流れを整理します。マーケティングの担当者が押さえるべき箇所を中心にまとめます。
支払いの申請に、開催の日と会期を書き添えます。経理が計上の時期を判断できるようになります。
展示会ごとに番号を振り、出展料、装飾、什器、ノベルティ、旅費のすべてにその番号を付けます。
配り切れなかったノベルティの数と、保管する什器を記録します。次回の制作の数の根拠になります。
解体と廃棄、追加の工事、当日の追加の発注。会期の後に届く請求を一覧にして突き合わせます。
前払いのまま残っている出展料がないかを見ます。開催済みのものは費用に振り替えます。
経理に渡す資料
経理が判断するために必要な資料は決まっています。毎回同じものを揃えれば、質問のやり取りが減ります。マーケティングの側で揃える資料を一覧にしておきます。
- 出展の申込書または契約書の写し(会期の日付が分かるもの)
- 出展料の請求書と、支払いの条件が書かれた資料
- 装飾と施工の見積書と請求書
- 什器を買った場合は、単価と数量が分かる資料
- ノベルティの制作の数量と、会期後の残数の記録
- 主催者の規約のうち、中止と返金に関する条文
- 案件の番号と、その番号で集計した支出の一覧
これらを1つのフォルダにまとめておくと、決算の時期に探す手間がなくなります。展示会ごとにフォルダを作り、終わったら封をする運用が確実です。翌年の出展の判断にも、同じフォルダが使えます。
消費税の扱い
消費税については、計上の時期の考え方が別にあります。法人税の費用の計上と、消費税の仕入れの控除の時期は、必ずしも同じ期になるとは限りません。この違いは、決算をまたぐ取引で表面化します。
海外の展示会に出る場合は、さらに扱いが変わります。国外で受ける役務は、国内の取引とは異なる扱いになる場合があります。海外の展示会の費用は、必ず顧問の税理士に確認してください。判断を誤ると、申告の修正が必要になります。
請求書の記載の要件も確かめます。適格な請求書の要件を満たしていない書類では、仕入れの控除が受けられない場合があります。主催者や施工の会社から受け取る書類が要件を満たしているかを、支払いの前に確かめます。
要件を満たしていない場合は、発行元に再発行を依頼します。会期の後に依頼すると、対応に時間がかかります。支払いの手続きの中に、書類の要件を確かめる項目を入れておくのが確実です。
予算の管理との違い
予算と費用は別のものです。予算は、いつ使うかで管理します。費用は、いつの役務かで計上します。この2つを混同すると、経理との会話が噛み合いません。3月に払った出展料は、3月の予算を使いますが、5月の費用になります。
年度をまたぐ出展では、どちらの年度の予算を使うかを先に決めます。支払いの時期で決める会社と、開催の時期で決める会社があります。社内の規程を確かめ、毎年同じ扱いにします。年によって変えると、予算の消化の状況が読めなくなります。
予算の申請の時期も設計に含めます。翌年度の展示会の申込が今年度に来る場合、翌年度の予算がまだ決まっていないことがあります。この場合は、申込の段階で概算の承認を取り、予算が確定したら正式な手続きに移す運用が必要です。
申込の締切が予算の確定より早い展示会は、毎年あります。この構造を経営の側に説明しておかないと、毎年同じ議論を繰り返します。主要な展示会の申込の締切を一覧にして、予算の編成の日程と重ねて示すのが有効です。
効果を測る期間と合わせる
費用の計上の期と、効果が出る期はずれます。展示会で得た見込み客が受注に至るまで、半年から1年かかることもあります。費用は開催の期、成果は翌期以降というずれが構造的に生じます。この前提を共有しないと、費用対効果の議論が噛み合いません。
実務では、案件の番号で追跡します。展示会で名刺を交換した相手に印を付け、受注に至った時点で金額を紐づける。期をまたいでも追跡できる仕組みを、出展の前に作っておきます。後から作ると、名刺と案件の対応が取れなくなります。
追跡の期間も決めておきます。1年で切るのか、2年見るのか。長く見れば成果は増えますが、他の施策の影響も混ざります。期間を決めて、毎回同じ期間で比べるのが公平です。
費用の側も、どこまでを含めるかを決めます。出展料と装飾だけを見るのか、旅費と人件費まで含めるのか。含める範囲が年によって変わると、比較の意味がなくなります。範囲を文書にして、毎年同じ集計をします。この文書があれば、担当が替わっても同じ数字が出ます。
翌年の出展の判断には、費用対効果だけでなく別の材料も使います。採用の候補者との接点、業界での存在感、既存の顧客との関係の維持。金額に換算できない効果を無視すると、判断を誤ります。換算できないものは、換算せずに言葉で記録しておきます。
よくある失敗
経理との間で毎年起きる行き違いを挙げます。どれも申請の段階の一手間で防げます。
- 支払いの申請に開催の日を書かず、支払った期の費用として処理された
- 前払いのまま振替を忘れ、数期にわたって残高に残っていた
- 会期後に届いた解体の請求を計上せず、決算の後に判明した
- 毎年使う什器を購入したのに、全額をその期の費用にした
- 科目を年によって変え、前年との比較ができなくなった
- 海外の展示会の費用を国内と同じ扱いで処理した
最初の型が最も多いものです。申請の書式に「会期」の欄を1つ足すだけで防げます。書式の変更は経理と相談すれば通ります。毎年の手戻りを考えれば、割に合う改善です。1度直せば、以降の担当者にも引き継がれます。個人の記憶に頼らない仕組みにするのが要点です。
2つめの型は、決算の作業の中で見つかります。前払いの残高の一覧を出し、開催の日が過ぎているものを探すだけです。この確認を決算の手順に1行足しておくと、毎期見つかります。見つかった時点で振り替えれば、数期にわたる残留は起きません。経理に依頼して、手順に入れてもらいます。
経理と先に決めること
展示会に初めて出る年、あるいは担当が替わった年には、経理と話す時間を取る価値があります。決めるべきことは5つに絞れます。科目、前払いの扱い、什器の基準、ノベルティの基準、案件の番号の付け方。
- この記事は一般的な考え方の整理です。個別の処理は事業の内容や金額によって変わります
- 科目の選択、資産に計上する金額の基準、消費税の扱いは顧問の税理士に確かめてください
- 海外の展示会の費用は国内と扱いが異なる場合があるため、必ず事前に確認します
- 税制や記載の要件は改正されることがあるため、最新の公表資料で確認してください
決めた内容は文書にして残します。翌年、担当が替わっても同じ判断ができます。この文書が、経理との毎年のやり取りを1回に減らします。更新の担当と時期も、その文書に書き添えておきます。税制の改正があった年は、必ず見直しの対象になります。見直しの結果も、同じ文書に追記していきます。
まとめ
出展料は、不特定多数への周知の費用として広告宣伝費で処理するのが基本です。計上の時期は、支払った月ではなく役務を受ける開催の期になります。開催の前に払った分は前払いとして立て、開催の時点で振り替えます。装飾と施工は開催の期の費用、繰り返し使う什器は資産になる場合があります。中止になった場合は、返金の条件と製作の進行の度合いで扱いが分かれます。支払いの申請に会期を書き、展示会ごとに案件の番号でまとめ、決算の前に前払いの残高を確かめる。この3つを習慣にすれば、毎年の手戻りがなくなります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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