他社の調査データを図にする前の項目一覧|数字と表現の線引き

記事に説得力を持たせたい。調べていたら、業界団体の調査にちょうどよい数字があった。図もきれいにできている。画面を写して出典を書けば使えるだろうか。数字は使えても、図をそのまま写すのは別の話です。この記事では、事実と表現の線引きと、作り直すときの作法を整理します。
カメ先生他社の調査結果を記事に使うとき、図はどうしていますか。
カメ子画面を写して、出典を書き添えて載せていました。それでは足りませんか。
カメ先生数字そのものと、図のデザインは別に考えます。後者には権利が生じることがあります。
カメ子数字は借りられて、見た目は借りられないという整理ですね。
- 事実やデータそのものには、原則として著作権が生じない
- 見栄えのためにデザインされた図表には、データとは別に権利が生じ得る
- 数字を使って自分で作り直し、出典を明記するのが最も安全な形
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数字は借りられるが、図は借りられない
結論を先に置きます。調査の結果として示された数値そのものは、原則として誰かが独占できるものではありません。一方で、その数値を見せるために作られた図表には、権利が生じることがあります。この二つを分けて考えるのが、実務の出発点です。
なぜ分かれるのか。著作権が保護するのは表現であって、事実やアイデアそのものではないからです。「導入率は42パーセントだった」という事実は、誰が書いても同じ表現になります。そこに創作の余地はありません。
しかし図表は違います。どの色を使うか、どの書体をどの大きさで置くか、線の太さをどうするか、行や列の幅をどう取るか。見やすさや見栄えのために選択が重ねられていれば、そこに表現としての性格が生じます。
したがって、実務の指針は明確になります。数字は引いてよい。図はそのまま持ってこない。自分で作り直す。この形にしておけば、多くの場面で問題は起きません。作り直す手間は、図の作成の道具があれば10分ほどで済みます。
事実そのものに権利は生じない
もう少し踏み込みます。調査の数値、統計の値、出来事の日付、会社の設立年。こうした事実は、著作権の保護の対象になりません。誰かが調べて公表したものであっても、事実は事実です。
これは、調べた人の努力を軽く見てよいという話ではありません。著作権という制度が何を守る仕組みかという話です。事実を独占できるようにすると、情報の流通が止まります。だから対象外になっています。
一般的な折れ線や棒のグラフについても、同じ考え方が及びます。事実に基づく情報を素直に並べただけのグラフは、創作的な表現とは言いにくいため、保護の対象外と整理されることがあります。ただし、この判断は程度の問題です。
程度の問題であるということは、境目が曖昧だということです。「これは単純なグラフだから写してよい」と自分で判断するのは危ういでしょう。判断に時間をかけるより、作り直したほうが早い。実務としてはそう割り切るのが賢明です。
図表のデザインには権利が生じる
逆の側を見ます。調査の報告書に載っている図表は、多くの場合見せるための工夫が施されています。色の組み合わせ、強調の位置、余白の取り方、注記の置き場所。これらは作った人の判断の結果です。
こうした図表については、掲載されているデータとは別にデザインに対する権利が認められることがあります。つまり、数字を引くことは問題なくても、図をそのまま複製すれば別の問題が生じ得るということです。
画面を写して載せる行為は、この複製に当たります。出典を書いたから問題がなくなる、という関係にはありません。出典の明記は引用の要件の一部ですが、それだけであらゆる利用が正当になるわけではありません。
引用として認められる場合もあります。その図表自体を論じる必要がある、自社の記事が主で引用が従である、改変していない、出所を明示している。こうした要件を満たす場面はあります。ただ、単に数字を示したいだけなら引用に頼る必要はありません。
丸ごと写すか、作り直すか
判断の分かれ道を整理します。その図表そのものを論じたいのか、数字を示したいだけなのか。後者であれば、作り直すのが正解です。図表を丸ごと持ってくる必要がそもそもありません。
| やりたいこと | 取るべき方法 | 添えるもの |
|---|---|---|
| 数字を根拠として示す | 数値を引いて自分で図を作る | 出典(調査名・実施者・時期) |
| 数値を文章で述べる | 本文に数字を書く | 出典を文中か注記に置く |
| その図表の作り方を論じる | 引用の要件を満たして掲載する | 出所の明示・改変しない |
| 社内の検討資料にまとめる | 数値を引いて自分で図を作る | 出典と取得日を必ず残す |
表の四行目に注意してください。社内資料だから何でもよい、とはなりません。社内資料は外に出るものです。提案書に転用され、顧客に渡り、そこから広がる。この経路をたどるうちに出典が消えるのが、最も起きやすい事故です。
提案書の場合、図に出典が付いていないと相手が数字の裏を取れません。裏が取れない数字は、決裁の場で必ず突っ込まれます。出典が書かれているだけで、資料の信頼が上がり、商談が前に進みます。権利の話としてだけでなく、営業の道具としても出典は効きます。
社内の勉強会の資料でも、同じ習慣を持っておきます。後から「あの数字はどこの調査だったか」と聞かれる場面は必ず来ます。その場で答えられるかどうかで、資料の寿命が変わります。出典のない資料は一度使われて捨てられ、出典のある資料は何度も引かれます。
作り直す作業は、思っているほど手間ではありません。数値を表に打ち込み、図の形式を選ぶ。自社の配色に合わせられるため、記事や資料の見た目もそろいます。写した図を貼るより仕上がりが良くなることも多いのです。
作り直すときは、元の図の形式にこだわらなくても構いません。円で示されていたものを棒で示し直すこともできます。形式を変えても、数字が同じであれば伝える内容は変わりません。むしろ、比較を見せたいのか構成比を見せたいのかで適した形式は変わります。自社の記事の趣旨に合う形式を選んでください。
作り直すときに数字を変えない
作り直すときの絶対の条件があります。数字を変えないこと。丸める、一部だけを抜き出す、軸の範囲を変える。これらは、受け取る印象を大きく変えてしまいます。
よくある操作は、縦軸の起点を0にしない形です。起点を上げると、わずかな差が大きな差に見えます。元の図が0から始めていたなら、作り直した図も0から始めます。自分に都合よく見える形に変えてはいけません。
一部だけを抜き出す操作も注意が要ります。10年ぶんのデータのうち上昇している3年だけを取り出せば、元の調査が示していた傾向とは違う話になります。抜き出す場合は、抜き出した範囲を図の中に明記してください。
設問の文言もそのまま伝えます。「導入を検討している」という回答を「導入予定」と書き換えると、意味が変わります。元の設問がどう聞いていたかを確かめ、その言葉で書く。これは正確さの問題であり、信頼の問題でもあります。
出典の書き方
出典は、後から誰でも元にたどれる形で書きます。必要なのは四つです。調査の名称、実施した組織、調査の時期、そして参照した日付。所在も添えられるなら添えます。
最後の「参照した日付」は忘れられがちですが重要です。調査の頁は更新され、数字が改定されることがあります。いつの時点の内容を見たのかが書かれていれば、後から食い違いが起きても説明ができます。
置き場所は、図のすぐ下が基本です。記事の末尾にまとめると、図だけが切り取られて共有されたときに出典が消えます。図の中に小さく入れる方法もあります。図が画像として他の場所に貼られても、出典が付いていきます。
書き方の型を社内で決めておくと、書き手ごとのばらつきが消えます。「出典:○○調査(○○協会、2026年3月実施)2026年8月○日参照」のような一行の型です。型があれば、書く側も迷いません。
一次と二次を見分ける
引く前に確かめるべきことがあります。その数字は調べた本人が出したものか、誰かが紹介したものか。後者を引くと、間違いを引き継ぐ危険があります。
紹介の過程で数字が変わることは珍しくありません。四捨五入の位置が違う、対象が絞られている、年が一つずれている。紹介した記事の書き手が誤読していることもあります。
したがって、紹介の記事で数字を見つけたら、元の調査までたどります。たどれない数字は使わない、という基準を持つのが安全です。元がたどれない数字は、根拠として弱いだけでなく、誤っている可能性もあります。
元にたどれた場合は、出典として元の調査を書きます。紹介の記事を出典にすると、読み手が元を確かめられません。紹介の記事から知ったとしても、確かめた先を書く。これが誠実な書き方です。
調査の方法まで確かめる
数字を引くときは、その数字がどう作られたかも見ます。誰に、何人に、いつ、どのように聞いたのか。この四つが分からない調査の数字は、根拠として使うのに向いていません。
特に、回答者の集め方は結果を大きく左右します。自社の顧客に聞いた調査であれば、その商品に好意的な人が多く含まれます。業界の団体が会員に聞いた調査も、同じ性質を持ちます。
回答の数も見ます。50人に聞いた調査で「42パーセント」と言われても、実際には21人という数字です。人数が少ない調査の数字を断定的に書くと、後で指摘を受けます。
こうした事情は、記事の中で一言添えれば足ります。「業界団体が会員企業120社に聞いた調査では」と書くだけで、読み手は数字の性質を理解できます。隠すより示すほうが、記事の信頼が上がります。
利用の条件が定められている場合
権利の話とは別に、使い方の条件が定められている場合があります。調査を公開している組織が、転載や引用について独自の条件を示していることがあります。事前の申請を求める、改変を禁じる、商用の利用を制限する。
こうした条件は、権利の有無とは別の約束の問題です。その頁を利用する前提として条件に同意していると見られる場合があります。条件があるかどうかを先に確かめてください。
確かめる場所は、その頁の末尾か、サイトの利用条件の頁です。「引用・転載について」という見出しがあれば、必ず読みます。申請が必要な場合、多くは短い書式で済み、数日で回答が来ます。
官公庁が公表している統計には、比較的緩やかな条件が示されていることが多いです。ただし条件がないわけではなく、出典の記載が求められる形が一般的です。「公的なものだから自由」と決めつけず、示されている条件をその都度確かめてください。
官公庁の統計と民間の調査の違い
引く先によって、確かめる点が変わります。官公庁が公表している統計は、調査の方法が詳しく公開され、定義や集計の仕方も文書で示されています。信頼の度合いは高く、根拠として強く働きます。
一方で、官公庁の統計は公表までに時間がかかります。最新の数字が2年前のものである場合も珍しくありません。動きの速い分野の話を書くときに、この時差が使いにくさになります。
民間の調査は、新しい題材を素早く扱っている利点があります。その代わり、調査の目的が自社の商品の販売に結びついている場合があります。調査を行った会社が何を売っているかを見ると、数字の傾向が読めることがあります。
使い分けとしては、土台となる規模や構造の話は官公庁の統計で示し、直近の動向は民間の調査で補うのが実務的です。両方を並べて示せば、記事の説得力はどちらか一方より強くなります。
なお、業界団体の調査はこの中間に位置します。会員に聞いているため対象が偏る一方、その業界の実務に近い数字が取れます。「会員企業に聞いた調査」と明記して使えば、偏りを含めて誠実に伝えられます。
複数の調査で数字が食い違うとき
同じ話題について複数の調査があると、数字が合わないことがあります。一方は30パーセント、他方は55パーセント。どちらかが誤っているのではなく、聞き方が違うことがほとんどです。
食い違いの原因は、たいてい三つのどれかです。対象が違う(全企業か大企業か)、設問が違う(導入済みか検討中を含むか)、時期が違う。この三つを並べて比べれば、差の理由は見えてきます。
記事での扱い方は二通りです。一つは、自社の記事の趣旨に近い調査を選び、その一つだけを示す。もう一つは、両方を示して差の理由を説明する。後者のほうが記事の価値は上がりますが、説明の分量が必要になります。
避けたいのは、自社の主張に都合のよい数字だけを選び、他方の存在に触れないことです。読み手が別の調査を知っていれば、記事全体の信頼が落ちます。都合の悪い数字にも触れておくほうが、結果として強い記事になります。
差が大きすぎてどちらも信じにくい場合は、数字を使わない判断もあります。「導入が進みつつあるとされています」と書いて、具体的な割合を出さない。不確かな数字を断定的に書くより、留保して書くほうが後で困りません。
留保の書き方にも型があります。「ある調査では」「〜との推計がある」「調査によって幅がある」。こうした表現を使えば、断定を避けながら話を前に進められます。読み手も、数字の確かさの程度を受け取ったうえで判断できます。確かさの度合いまで伝えるのが、根拠を扱う書き手の仕事です。
引く前に踏む4つの手順
ここまでの内容を、作業の順番に落とします。他社の調査を使うと決めたら、この四つを順に踏むだけで、事故はほとんど防げます。慣れれば10分ほどで終わります。
紹介記事ではなく、調べた本人が公表した資料を開きます。たどれない場合はその数字を使わないと決めておきます。
誰に・何人に・いつ・どう聞いたかを読みます。あわせて、その頁に引用や転載の条件が示されていないかを確かめます。
数値だけを表に写し、自社の書式で図を作ります。軸の起点と範囲は元と同じにし、設問の文言も変えません。
調査名・実施者・時期・参照した日を一行で書きます。図が切り取られても出典が残るよう、図の中に入れる方法も検討します。
この四つを公開前の確認の手順に組み込んでおくと、書き手が代わっても品質が保たれます。確認する人は、図が写しでないか・出典が付いているか・数字が元と合うかの三点だけを見れば足ります。数分の確認で、後の指摘を防げます。
数字を丸めるときの作法
記事では、細かい数字を丸めたくなります。「41.8パーセント」より「約4割」のほうが読みやすい。丸めることは問題ありませんが、丸めたことが分かるように書きます。
「約」や「およそ」を付ける。これだけで、元の数字が別にあることが伝わります。丸めた数字を断定の形で書くと、元の調査と違う数字が流通することになります。
丸める方向にも注意します。41.8を「4割」と書くのは自然ですが、「半分近く」と書くのは行きすぎです。自社の主張に都合よく丸めていないかを、書いたあとに確かめてください。
記事の中で一度は元の数字を示しておくと安全です。見出しや要約では丸め、本文で正確な数字と出典を示す。この形なら、読みやすさと正確さの両方が立ちます。
経年のデータを並べるとき
複数年のデータを並べる場面には、固有の注意があります。同じ名前の調査であっても、年によって設問や対象が変わっていることがあります。変わっているものをそのまま並べると、推移として読めません。
確かめるのは、設問の文言、回答の選択肢、調査の対象、回答の数です。どれかが変わっている年があれば、その年に注記を入れます。「この年から対象を変更」の一行があれば、読み手は誤解しません。
並べる年の選び方も恣意的にならないようにします。都合のよい年だけを拾って折れ線にすると、実際とは違う傾向を描いてしまいます。連続する年をすべて並べ、欠けている年は欠けていることを示します。
複数の調査を一つの図に混ぜるのは避けます。調査の方法が違うため、同じ土俵の数字になりません。どうしても並べたい場合は、図を分けて隣に置き、それぞれの出典を別に添えてください。
外部やAIに依頼するときの伝え方
記事や資料の制作を外部に任せる場合、この話を伝えておく必要があります。伝えていなければ、写した図が納品されてきます。指示書に一行入れるだけで防げます。
書く内容は具体的にします。「他社の図表を画面ごと写して使わない」「数値を引いて自社の書式で作り直す」「出典は調査名・実施者・時期・参照日を図の下に置く」。この三つを書けば、受け手は迷いません。
生成の道具を使って図や文章を作る場合も同じです。出てきた数字がどこから来たものか確かめられないことがあります。道具が示した数字は、必ず元の調査で裏を取ってから使ってください。裏が取れない数字は記事に載せません。
納品されたものを確かめる工程も決めておきます。図が写しになっていないか、出典が付いているか、数字が元と合っているか。この三点だけを見る確認を公開前の手順に入れておけば、事故はほぼ防げます。
手順を運用に乗せるコツは、確認する人を書いた人と別にすることです。書いた本人は図を作った過程を覚えているため、写しかどうかの区別が自分では曖昧になります。別の人が見れば、出典の抜けはすぐ目につきます。編集の担当が一人でも、翌日に見直すだけで気づく確率は上がります。
あわせて、引いた調査の一覧を社内に溜めていくと効率が上がります。調査名、実施者、対象と人数、所在、使った記事。この五列の表があれば、次に似た話題を書くときに探し直す必要がありません。同じ調査を複数の記事で使い回せるようになり、調べる時間が書く時間に回せます。
確認項目
実務で使う形にまとめます。他社の調査を記事や資料に使うとき、上から順に確かめてください。
- その数字は、調べた本人が公表した資料までたどれているか
- 誰に・何人に・いつ・どう聞いた調査かを確かめたか
- 図表はそのまま写さず、数値を引いて自分で作り直しているか
- 作り直した図で、軸の起点や範囲を元と変えていないか
- 設問の文言を、自分の言葉に置き換えて意味を変えていないか
- 出典に、調査名・実施者・時期・参照日が入っているか
- 出典を図のすぐ下に置き、切り取られても残る形にしているか
- その調査の頁に、引用や転載の条件が示されていないか
- 図表を画面ごと写し、出典を書いたから問題ないと考える
- 紹介記事で見つけた数字を、元をたどらずにそのまま引く
- 縦軸の起点を上げて、わずかな差を大きな差に見せる
- 都合のよい年だけを抜き出して、推移の図を作る
- 社内資料だからと出典を省き、その資料が顧客に渡る
- この記事は一般的な整理であり、個別の判断に代わるものではない
- 図表の保護の有無は程度の問題。迷う場合は作り直すほうが早い
- 公開の条件が示されている場合は、権利の有無とは別にその条件に従う
まとめ
調査の数字そのものには原則として著作権が生じません。しかし、その数字を見せるためにデザインされた図表には権利が生じることがあります。だから、数字は引いてよく、図はそのまま持ってこない。数値を使って自分で作り直すのが最も安全で、仕上がりも良くなります。
作り直すときは、軸の起点や範囲を変えず、設問の文言をそのまま伝えます。出典には調査名、実施者、時期、参照した日を書き、図のすぐ下に置く。元の資料までたどれない数字は使わない。この作法を社内の手順に入れておけば、根拠のある記事を安心して出し続けられます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
コンテンツ制作にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
