共催イベントのリードはどう分ける?|取り決めと同意の実務

「共催のセミナーが終わってから、名簿の分け方で相談になった」「集客は分担できたが、申込者の情報の扱いは決めていなかった」——共催を経験した部門から出てくる後悔です。参加者の名簿は、終わってから分ければよいものではありません。集める時点の形で、後から渡せるかどうかが決まります。この記事では、揉める論点と、3つの取得の方式・申込の画面に書く文言を整理します。
カメ先生共催のセミナーの名簿はね、終わってから分ければよいと思われがちだが、分け方は集める時点の形で決まってしまうんだ。
カメ子集める時点というのは、どこで差がつくのでしょうか。
カメ先生申込の画面で、誰が受け取る情報なのかをどう書いたかだ。後から相手に渡すには、本人に伝えて同意を得ているか、共同で使うと先に示しているかのどちらかが要る。
カメ子集める形で後が決まるのですね。論点から見ていきます。
- 参加者情報の扱い方には、各社が個別に取得する方式・共同利用する方式・幹事社から第三者提供する方式がある
- どの方式かを申込フォームの記載で示す必要があり、後から変えることはできない
- 第三者提供にあたる場合は、本人の同意と記録の保存が法令上の義務になる
申込者は誰のリードなのか
最初に、揉める構造を確認します。感情の問題ではなく、認識の違いから生まれます。
共催では、双方が集客を行います。自社が集めた申込者は自社のリード、という認識は自然です。ところが申込の受付を一方の会社が担っている場合、名簿はその会社に集まります。
この時点で、認識の差が生まれます。受付を担った側は全員の情報を持ち、もう一方は自社が集めた分の情報も持っていない状態になります。
さらに、参加者の側から見た構図もあります。申込の画面に表示されていた社名の会社に情報を渡したつもりであり、それ以外の会社に渡ることを想定していない場合があります。
ここが法令に関わる部分です。参加者の想定を超えて情報が渡ると、第三者への提供として扱われ、同意が必要になります。
つまり、名簿の分け方は社内の取り決めだけでは決まりません。参加者に対してどう説明したかによって、取れる選択肢が変わります。
以降では、選べる3つの方式と、それぞれで必要になる手続きを整理します。
揉める3つの論点
取り決めのない共催で問題になる点を先に挙げます。すべて開催前に決められます。
1つ目が名簿です。誰が申込を受け付け、集まった情報を双方が使えるのか、それぞれが集めた分だけを使うのかを決めます。
2つ目が費用です。会場、配信の仕組み、広告、資料の制作にかかる費用の負担割合を決めます。集客数に応じた按分にするか、均等にするかで結論が変わります。
3つ目が主催の表示です。どちらの社名を先に出すか、主催と協力のどちらの表記にするかは、参加者から見た印象に影響します。
この3つに加えて、開催後のフォローの順番も論点になります。同じ参加者に両社から連絡が入ると、参加者の負担になります。
いずれも、開催の2週間前には決まっている必要があります。申込の受付を始めてからでは、名簿の方式を変えられません。
決めた内容は、簡単な書面にします。口頭の合意は、担当者が変わった時点で消えます。
集客の分担を決める
名簿の方式と並んで決めるべきなのが、集客の分担です。ここが曖昧だと、開催前から不満が生まれます。
決めるのは3つです。各社の目標件数、使う経路、そして告知を始める時期です。
目標件数は、双方の保有するリストの規模から現実的に決めます。規模に差がある場合、件数を均等にすると一方に無理が生じます。割合で決める方法もあります。
使う経路も共有します。メールでの案内、SNSでの告知、広告の出稿、営業からの声かけのどれを使うかを並べると、重複と抜けが見えます。
同じ相手に両社から案内が届く可能性もあります。避けられない場合もありますが、想定しておけば参加者からの指摘に対応できます。
告知の開始時期は、そろえます。一方が先に告知を始めると、もう一方の社名が入っていない案内が広まります。
進捗の共有も決めます。週に一度、双方の申込件数を共有する形にすると、不足している側が対策を打てます。
情報の取得には3つの方式がある
参加者情報をどう扱うかには、法令上の整理として3つの方式があります。どれを選ぶかで手続きが変わります。
| 方式 | 内容 | 必要な手続き |
|---|---|---|
| 各社が個別に取得 | 申込の画面で各社の利用目的を明示し、それぞれが直接取得する | 利用目的の明示。最も簡素 |
| 共同利用 | 共催者間で情報を共有する前提を、事前に本人へ知らせる | 共同利用する旨・項目・範囲・目的・管理責任者などの事前の通知または公表 |
| 幹事社から第三者提供 | 一方が取得し、他社へ提供する | 本人の同意。提供の記録を一定期間保存 |
最も簡素なのが1つ目の方式です。申込の画面に、共催する各社が取得し、それぞれの利用目的で使うことを明示しておけば、双方が直接取得した扱いになります。
2つ目の共同利用は、共有の枠組みを事前に示す方式です。共同で利用する旨、対象となる項目、利用する者の範囲、利用の目的、管理について責任を持つ者の氏名などを、あらかじめ本人が知り得る状態にしておく必要があります。
3つ目は、一方が取得した情報を他方へ渡す方式です。この場合は本人の同意が必要になり、加えて提供した事実についての記録を保存する義務が生じます。
どの方式でも、参加者に示す内容が手続きの土台になります。方式を決めてから申込の画面を作る、という順序を守ってください。
各社が個別に取得する方式
実務で最も扱いやすい方式です。中身を具体的に見ます。
申込の画面に、共催する各社の名称と、それぞれの利用目的を並べて記載します。参加者は、その両社に情報を渡すことを理解したうえで申込を行う形になります。
記載する内容は、各社の個人情報の取扱いに関する説明への案内も含めます。それぞれの会社の方針を確認できる状態にしておくと、参加者の判断材料になります。
この方式の利点は、開催後の手続きが要らないことです。双方が最初から取得しているため、名簿を渡す作業も、提供の記録も発生しません。
注意点は、申込の画面を共同で作る必要があることです。一方の会社の画面だけで受け付ける場合、そこに他社の記載を入れられるかを確認します。
受付の仕組みを一方が持っている場合でも、記載を整えれば成立します。仕組みの所有者と、情報を取得する主体は別の話です。
この方式を選ぶ場合は、申込の画面の文面を双方で確認します。片方が用意した文面をそのまま使うと、もう一方の利用目的が抜けることがあります。
共同利用にする場合の要件
2つ目の方式です。継続的に共催を行う関係では、こちらが向く場合があります。
共同利用は、あらかじめ枠組みを示しておく方式です。共同で利用する旨、共有する項目、利用する者の範囲、利用の目的、管理について責任を持つ者を、本人に通知するか、本人が容易に知り得る状態に置く必要があります。
実務では、申込の画面の注記に記載する形が使われます。自社の個人情報の取扱いに関するページに記載し、そこへ案内する形も取られます。
記載すべき事項は法令で定められており、項目の追加もあります。自社の判断で省略できる項目はないため、記載する内容は法令の条文または監督官庁の指針に沿って確認してください。
この方式の利点は、共有の範囲が明確になることです。どの項目を、どの目的で使えるかが最初から定まっています。
一方で、内容を変更する場合の手続きも定められています。安易に範囲を広げることはできません。
継続的な共催が想定される相手とは、この方式を検討する価値があります。単発の共催では、1つ目の方式のほうが手間が少なくなります。
幹事社から提供する場合
3つ目の方式です。すでに一方が取得した情報を渡す必要が生じた場合の形です。
この場合は、本人の同意が必要になります。申込の時点で提供について同意を得ていない場合、開催後に改めて同意を取る手続きが発生します。
同意の取り方は、包括的な形でも足りるとされています。提供先を個別に列挙する必要はないという整理がありますが、何のために誰に渡すかが分かる記載は必要です。
加えて、記録の保存が義務になります。提供した年月日、提供先、対象となる本人、提供した項目、同意を得ている事実などについて、一定期間の保存が求められます。実務上は3年間が目安になります。
この記録は、様式が定められているわけではありません。ただし後から確認できる形で残す必要があります。表形式で管理するのが実務的です。
開催後に同意を取り直す形は、参加者の負担になります。同意しない人の情報は渡せないため、名簿の一部しか共有できません。
したがって、この方式を選ぶ場合も、申込の時点で必要な記載を済ませておくことが前提になります。
申込フォームに書くこと
方式が決まったら、申込の画面に反映します。ここが実務の中心です。
- 共催する会社の正式名称をすべて記載する
- 各社が情報を取得すること、またはどのように共有されるかを記載する
- それぞれの利用目的を具体的に記載する
- 各社の個人情報の取扱いに関する説明への案内を置く
- 共同利用の方式では、法令で定められた事項を漏れなく記載する
- 第三者提供の方式では、同意を得る形の入力欄を用意する
- 記載内容を双方の担当者が確認し、確認した記録を残す
記載の位置も重要です。入力欄より前に置くか、送信の直前に置くかで、読まれる割合が変わります。送信ボタンの近くに置く形が一般的です。
同意を得る形にする場合は、既定で選択済みの状態にしないよう注意します。本人が能動的に選ぶ形になっているかどうかが、同意の有効性に関わります。
文面は、双方の法務や管理の担当に確認します。マーケティングの担当だけで判断すると、必要な記載が抜けることがあります。
確認した文面は、次回の共催でも使えます。1度作れば、以降は社名と目的の差し替えで済みます。
なお、申込の受付を外部の集客媒体に委託する場合は、さらに構図が複雑になります。媒体が取得した情報を出展者に渡す形になるため、媒体側の規約と自社の記載の両方を確認する必要があります。媒体経由で得た情報を共催相手に渡せるかどうかは、媒体との契約に定めがある場合があります。
過去に開催した共催の名簿を、別の共催で使うことはできません。利用の目的として示していない範囲での利用になるためです。イベントごとに取得と記載を行ってください。
判断に迷う場面では、社内の管理部門に確認します。個人情報の取扱いについては、事業者ごとに定めた方針があり、その内容に沿う必要があります。
開催前に書面で取り決める
法令上の手続きとは別に、当事者間の取り決めが必要です。ここは商慣習の領域です。
書面に含める項目は6つです。名簿の扱い、費用の分担、主催の表示、集客の目標、開催後のフォローの順番、そして中止した場合の扱いです。
名簿の扱いは、どの方式を採るかを明記します。加えて、共有した情報を第三者に渡さないこと、目的外に使わないことも記載しておきます。
費用の分担は、項目ごとに決めます。会場費、配信の仕組み、広告費、資料の制作費、登壇者への謝礼のそれぞれについて、負担する側を決めておきます。
集客の目標も共有します。双方が何件を目標に集めるかを決めておかないと、一方に負担が偏ります。
中止の扱いは、書きにくい項目ですが決めておく価値があります。すでに発生した費用の負担をどうするかが論点になります。
書面は簡単な形式で足ります。法務の確認を経た契約書が必要かどうかは、規模と関係の深さで判断します。
アンケートは共同で設計する
開催後の分配を左右するのが、アンケートの設計です。ここを一方だけで作ると、必要な情報が取れません。
最初に決めるのは、回答を双方が見られるかどうかです。参加者情報と同じく、アンケートの回答も個人情報を含みます。共有の可否は、申込時に示した方式に沿って判断します。
設問には、双方の関心を測る項目を入れます。どちらの話題に関心があったかを選ばせる設問があれば、開催後の振り分けがそのまま決まります。
検討の段階を尋ねる設問も有効です。情報収集の段階か、具体的に検討しているかが分かると、連絡の優先順位が付けられます。
設問の数は絞ります。両社が聞きたいことを並べると、回答されない長さになります。合わせて5問から7問に収めてください。
自由記述の欄は1つ置きます。想定していなかった関心や、参加の動機が読み取れます。
集計の担当も決めます。結果をまとめて共有する側を決めておかないと、双方が別々に集計することになります。
登壇内容と資料の扱い
見落とされやすいのが、当日の内容そのものの扱いです。二次利用を想定するなら、事前の取り決めが必要になります。
録画の扱いを決めます。録画を自社サイトで公開する、資料請求の特典にする、社内の資料に使うといった用途は、相手の登壇部分を含む場合に許諾が必要です。
スライドの共有も同じです。参加者に配布する範囲と、後日に自社の資料として使える範囲を分けて決めておきます。
参加者に配る資料は、事前に相互確認します。一方の資料に他社の比較が含まれていたり、公開できない情報が入っていたりする場合があります。
登壇者の肖像の扱いも確認します。録画に姿が映る場合、公開の範囲について本人の了解が必要です。
記事や事例として発信する場合の扱いも決めておきます。共催の実績を自社サイトに掲載する際、相手の社名を出せるかどうかを確認します。
これらは書面の中に1項目として書けば足ります。細かい契約書は必要ありません。
オンライン開催での注意
配信で行う場合、追加で確認すべき点があります。仕組みの持ち主が情報を持つ構図になるためです。
配信の仕組みを一方が契約している場合、参加者の情報と視聴の記録はその会社の管理下に入ります。もう一方が見られるかどうかは、事前に確認しておく必要があります。
視聴の記録には、参加した時間や離脱の時点が含まれます。関心の度合いを測る材料になるため、共有するかどうかを取り決めの対象にします。
質疑の内容も情報として扱います。質問した人の氏名と所属が記録される設定になっている場合、その扱いも申込時の記載の範囲に収まっているかを確認します。
接続の不具合への対応も決めます。当日に配信が止まった場合、どちらが参加者へ連絡するかを事前に決めておくと混乱しません。
録画を後日に公開する場合は、参加者への案内に含めます。当日の質疑が録画に含まれるなら、その点も伝えておきます。
配信の仕組みを新たに契約する場合は、費用の分担に含めます。月額の契約であれば、その月の費用を按分する形が扱いやすくなります。
開催後のフォローの順番
参加者から見た体験を設計します。ここが乱れると、共催の印象が悪くなります。
最初に届く連絡は、1通に統一するのが望ましい形です。両社から同時に御礼のメールが届くと、参加者は同じ内容を2通受け取ることになります。
共催の名義で1通送ります。資料の配布や録画の案内も、この1通に含めます。差出人をどちらにするかは、事前に決めておきます。
回答の内容を双方で確認します。共有する範囲は、事前の取り決めに沿って決めます。
アンケートの回答や、視聴の時間から関心の度合いを見ます。どちらの会社の話題に反応したかも確認します。
関心の対象に応じて、どちらが連絡するかを決めます。両社が同じ相手に営業の連絡をする状態を避けます。
1か月後に、商談に進んだ件数を双方で共有します。次回の共催を判断する材料になります。
この振り分けが、共催の成果を左右します。参加者の関心が明確に一方の会社に向いている場合、無理に分ける必要はありません。
両社の商材に関心がある参加者については、順番を決めます。同時に連絡すると、参加者が対応に困ります。
参加しなかった申込者の扱いも決めます。欠席した相手は関心が低いと判断されがちですが、日程が合わなかっただけの場合もあります。録画の案内を送る形にすると、欠席者からの反応が得られることがあります。
この案内も、どちらが送るかを決めておきます。両社から同じ録画の案内が届くと、参加しなかった相手に対して雑な印象を与えます。
欠席者への連絡は、参加者への連絡より後に回して構いません。関心の度合いが確認できていない相手であり、優先順位は下がります。
やってはいけない扱い
実務で起きがちな問題を挙げます。いずれも法令や信頼に関わります。
- 取り決めのないまま、申込の名簿をそのまま相手方に渡す
- 申込の画面に共催相手の社名を書かず、後から情報を共有する
- 同意を得る欄を既定で選択済みにしておく
- 取得した情報を、セミナーと関係のない営業に流用する
- 共有した名簿を、さらに別の会社や代理店に渡す
- 第三者提供の記録を残さないまま名簿を渡す
- 両社が同じ参加者に、同じ日に別々の営業連絡を入れる
最も重いのが、記載のないまま情報を共有することです。参加者から見れば、想定していない会社に情報が渡ったことになります。
流用も避けます。セミナーの申込時に示した利用目的の範囲を超える利用は、目的外の利用として問題になります。
さらに別の会社へ渡す行為は、明確に避けてください。代理店を通じた営業を想定している場合は、その旨を最初の記載に含める必要があります。
重複した営業連絡は、法令の問題ではないものの、参加者の印象を大きく損ないます。振り分けの取り決めで防げます。
同じ相手と複数回の共催を行う場合は、取り決めを1度作れば以降は日付とテーマの差し替えで済みます。関係が続く相手ほど、最初の1回で丁寧に取り決めておく価値が大きくなります。
反対に、初めて組む相手では、規模の小さい企画から始める判断もあります。小規模な勉強会で進め方を確認してから、本格的なセミナーに移る形です。
次回に向けた振り返り
最後に、共催を続けるかどうかの判断材料を整理します。
確認するのは3つです。集客の実績が目標に対してどうだったか、参加者の関心が両社に分かれていたか、そして商談に進んだ件数です。
集客の実績は、双方が集めた件数を分けて見ます。一方に大きく偏っていた場合、次回の費用の分担を見直す根拠になります。
参加者の関心の分布も重要です。片方の会社の話題にしか反応がなかった場合、組み合わせが合っていない可能性があります。
商談の件数は、1か月後と3か月後の2回で見ます。共催のイベントは検討の初期にいる参加者が多く、成果が出るまでに時間がかかります。
これらを1枚の記録にまとめ、次回の相手を選ぶ材料にします。相手が同じでも、テーマを変える判断ができます。
- 申込の画面の文面は、次回のために保存しておきます。方式ごとの版があると準備が速くなります
- 共有した名簿の受け渡しは、記録の残る方法で行います。手渡しや口頭の共有は避けてください
まとめ
共催イベントのリードは、終わってから分けるものではありません。申込の受付を始める前に、どの方式で取得するかを決め、その内容を申込の画面に反映しておく必要があります。
方式は3つです。各社が個別に取得する形、共同利用として共有する形、幹事社から提供する形。単発の共催では、1つ目が最も手間が少なくなります。
そして、名簿・費用・表示・フォローの順番を書面にします。6項目を1枚にまとめておけば、次回の共催でもそのまま使えます。まずは申込の画面の文面から確認してください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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