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経理が契約書・注文請書・領収書の原稿を Claude で読み、印紙税の課否と号の区分・税額の一次判定を作って、貼り忘れと貼りすぎを防ぐ

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

相手先に渡す前の契約書・注文請書・領収書の原稿を Claude に読ませ、印紙税がかかるか、どの号に当たるか、税額はいくらかの一次判定を作ります。経理は根拠の文字列を見て確かめ、申請した部署へ返します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
不動産/商社/建設/製造
対象部門
経理
対象業務
内容確認・チェック/分類・仕分け
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
判定
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
45h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
67%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 現場の担当が原稿を作り、申請フォームに原稿のファイルと「印紙の要否を確認したい」という依頼を入れる
  2. 経理の担当が原稿を開き、表題と本文を読んで、何の取引の文書かを決める
  3. 契約金額の記載を探し、消費税額が分けて書かれているか、税込の金額だけかを見る
  4. 契約期間と更新の定めを探し、基本契約書の場合は3か月を超えるか、更新の定めがあるかを見る
  5. 国税庁の印紙税額の一覧表を開き、号と金額の段階から税額を引く
  6. 判断に迷うものは、過去の同じ取引先の文書を探すか、経理の主任に聞く
  7. 申請フォームに「第◯号、◯円」と返し、申請者が収入印紙を受け取りに来る
導入後(After)
  1. 人現場の担当が、原稿の PDF と「交付のしかた(紙で渡す/電子で送るだけ)」を申請フォームに入れる
  2. 自動申請が入ったことをきっかけにプログラムが動き、PDF の形式とページ数を確かめる
  3. 自動Claude API に原稿を渡し、取引の種類・金額の記載・消費税額の書き方・契約期間と更新の定め・受取金額を、根拠の文字列つきで取り出させる
  4. 自動Claude に、当てはまりうる号の候補と、候補ごとの理由を挙げさせる
  5. 自動プログラムが、号の候補と記載金額から一覧表の段階を引いて税額を出す
  6. 自動候補が2つ以上ある、金額が読めない、交付のしかたが不明、などのものに `needs_review` を付ける
  7. 人経理が判定一覧を開き、根拠の文字列と原稿の該当箇所を見比べて確かめる
  8. 人`needs_review` のものは主任が見て、決められないものは顧問税理士に相談する
  9. 【人/自動】 確定した判定を申請フォームに返し、判定の記録に残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 現場の担当が原稿を作り、申請フォームに原稿のファイルと「印紙の要否を確認したい」という依頼を入れる
  2. 経理の担当が原稿を開き、表題と本文を読んで、何の取引の文書かを決める
  3. 契約金額の記載を探し、消費税額が分けて書かれているか、税込の金額だけかを見る
  4. 契約期間と更新の定めを探し、基本契約書の場合は3か月を超えるか、更新の定めがあるかを見る
  5. 国税庁の印紙税額の一覧表を開き、号と金額の段階から税額を引く
  6. 判断に迷うものは、過去の同じ取引先の文書を探すか、経理の主任に聞く
  7. 申請フォームに「第◯号、◯円」と返し、申請者が収入印紙を受け取りに来る

(a)表題で決めてしまう。 「注文請書」という表題でも、中身が部品の加工の請負なのか、在庫品の売買なのかで扱いが変わります。国税庁のタックスアンサーでは、物品加工注文請書は第2号文書「請負に関する契約書」の例に挙がっています。 忙しい日ほど、表題だけを見て過去と同じ答えを返します。

(b)金額の読み方で税額が変わる。 消費税額が「うち消費税額等100万円」のように分けて書かれていれば、その消費税額は記載金額に含めないとされています。「税込」「消費税10%を含む」とだけ書かれていれば、税込の金額が記載金額になります。 同じ取引でも、営業の書き方1つで段階が1つ上がることがあります。

(c)基本契約書の判断が人によって違う。 第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」は1通4,000円ですが、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除かれます。 期間の記載が別紙にあったり、更新の定めが末尾の一般条項にあったりして、読み飛ばすと結論が変わります。

(d)判断できる人に依頼が集まる。 迷うものを決められるのは主任1名で、主任が休む週は判定待ちの原稿がたまります。

  1. 【人】 現場の担当が、原稿の PDF と「交付のしかた(紙で渡す/電子で送るだけ)」を申請フォームに入れる
  2. 【自動】 申請が入ったことをきっかけにプログラムが動き、PDF の形式とページ数を確かめる
  3. 【自動】 Claude API に原稿を渡し、取引の種類・金額の記載・消費税額の書き方・契約期間と更新の定め・受取金額を、根拠の文字列つきで取り出させる
  4. 【自動】 Claude に、当てはまりうる号の候補と、候補ごとの理由を挙げさせる
  5. 【自動】 プログラムが、号の候補と記載金額から一覧表の段階を引いて税額を出す
  6. 【自動】 候補が2つ以上ある、金額が読めない、交付のしかたが不明、などのものに needs_review を付ける
  7. 【人】 経理が判定一覧を開き、根拠の文字列と原稿の該当箇所を見比べて確かめる
  8. 【人】 needs_review のものは主任が見て、決められないものは顧問税理士に相談する
  9. 【人/自動】 確定した判定を申請フォームに返し、判定の記録に残す

7番目を省かないでください。全件を人が確かめます。 ただし、確かめ方が変わります。原稿を最初から読むのではなく、AIが写した根拠の文字列を見て、その箇所だけを原稿で確かめます。 15分が5分になるのは、この違いです。

5番目をプログラムにしているのは、段階の境目(「100万円以下」と「100万円を超え」)で税額をずらさないためです。

02今回想定するシステム構成

構成図
現場の担当 ── 原稿の PDF + 交付のしかた + 相手先
   ▼【トリガー】申請フォームへの登録(30分ごとに新しい申請を拾う)
Python のプログラム
   ├──▶ PDF の形式・ページ数・パスワードの確認
   ▼
Claude API(PDF の入力、構造化出力)
   │   ① 取引の種類と根拠   ② 金額の記載と消費税額の書き方
   │   ③ 契約期間と更新の定め   ④ 受取金額と売上代金か
   │   ⑤ 号の候補と理由
   ▼
Python ── 印紙税額の表(経理が持つ)から税額を引く
   │         交付のしかた・候補の数・金額の有無で needs_review を付ける
   ▼
判定一覧(共有のスプレッドシート)
   ▼
【人】経理が根拠を見て確かめる ── 迷うものは主任・顧問税理士へ
   ▼
申請フォームへ回答 / 判定の記録
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(PDF の入力、構造化出力)OpenAI API、Gemini API
連携Python(申請の取得、PDF の確認、税額の表引き、一覧への書き出し)Google Apps Script
税額の表印紙税額の一覧表を経理が表にしたもの(適用の期間つき)-
保管共有フォルダと判定一覧のスプレッドシート-

新しく作るのは、税額の表と判定一覧だけです。 税額の表は、国税庁の印紙税額の一覧表(第1号〜第4号、第5号〜第20号)を、号・金額の下限・上限・税額・適用の期間の列を持つ表に経理が写したものです。建設工事の請負に関する契約書の軽減措置のように期間の決まった扱いがあるので、適用の期間の列を必ず持ちます。 国税庁のタックスアンサーでは、この軽減措置は平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される契約書が対象とされています。

AI の部品は Claude API です。 Claude は PDF の各ページを文字と画像の両方として読むとされており、表の中の金額と、欄外に小さく書かれた「消費税額等」の両方を拾えます。 1回のリクエストの上限は、第一者の Claude API で 128MB、ページ数は600ページ(コンテキストが100万トークン未満のときは100ページ)です。パスワードや暗号化のかかった PDF は読めません。 Word のファイル(.docx)はそのままでは渡せないので、申請の段階で PDF にしてもらいます。

結果は構造化出力で受け取ります。 output_config.format に JSON Schema を渡すと、その形の JSON で返ります。ただし、数値の minimum・maximum や文字列の長さの制約は使えず、使うと400のエラーになるとされています。 金額が0以上か、といった確かめはプログラムの側で行います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

申請フォームに新しい申請が入ったことを起点にします。 プログラムを30分ごとに動かし、前回より後に入った申請を拾います。1日1回にしないのは、営業が相手先に注文請書を返す期限が当日のことがあるからです。 30分ごとなら、午前に入った申請は昼までに一次判定が出ます。

拾った申請には「判定中」の印を付けます。 判定一覧への書き出しが終わったら「判定済み(確認待ち)」に変え、途中で止まったものは「判定中」のまま残ります。 判定中のまま1時間を超えたものは、経理の担当にメールで知らせます。

交付のしかたは、申請フォームの必須の選択肢にします。 「紙で渡す(郵送・手渡し)」「電子で送るだけ(PDF をメールで送る・電子契約)」「両方」「未定」の4つです。ここを AI に推し量らせません。 原稿を読んでも、紙で渡すかどうかは分からないからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
原稿の PDF契約書・注文請書・領収書の原稿。別紙・約款を含む申請フォームの添付
申請の情報申請部署、相手先、交付のしかた、作成の予定日、通数申請フォーム
相手先の情報相手先が会社か個人か、公益法人などか取引先マスタ
税額の表号、金額の下限と上限、税額、適用の期間経理が持つ表
過去の判定同じ相手先・同じ書式の過去の判定と、その根拠判定の記録

質を決めるのは、原稿に別紙と約款が付いているかです。 基本契約書の契約期間や更新の定めは、本体ではなく別紙や末尾の一般条項に書かれていることがよくあります。本体だけを申請されると、期間の判断ができません。 申請フォームに「別紙・約款・覚書も含めて1つの PDF にする」と書いておきます。

相手先の情報は、領収書の判断に使います。 国税庁のタックスアンサーでは、営業に関しない受取書は非課税で、株式会社などの営利法人や個人である商人の行為は営業に当たる一方、公益法人や商人以外の個人の行為は営業に当たらないとされています。自社が領収書を出す側であれば、自社は営業者です。取引先マスタの情報は、相手先が自社に領収書を出す側に回る場合の確認に使います。

Step3

データの取得方法を決める

申請フォームの回答と添付ファイルは、プログラムが共有フォルダと回答の一覧から読みます。 申請の番号ごとにフォルダを作り、原稿の PDF をそこに置く決まりにしておけば、プログラムは回答の一覧の新しい行と、その行のフォルダを読むだけです。

取るものどこから何に使うか
申請の行申請フォームの回答の一覧交付のしかた・相手先・作成の予定日
原稿の PDF申請番号のフォルダClaude に渡す
相手先の区分取引先マスタ(相手先コードで引く)領収書のときの営業の判断の材料
税額の表経理の表(作成の予定日で適用の期間を絞る)税額を引く
過去の判定判定の記録(相手先と書式の名前で引く)経理が見比べる材料

税額の表は、作成の予定日で引きます。 判定する日ではなく、文書を作成する予定の日で適用の期間を見ます。 軽減措置の期間の終わりの前後に作る契約書で、判定した日と作成の日がずれると結論が変わるからです。

過去の判定は Claude に渡しません。 経理が見比べる材料として判定一覧の横に並べるだけです。過去の答えを渡すと、中身が変わった原稿にも同じ号を返しやすくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … PDF であることを確かめます。Word のファイルなら、申請者に PDF にして出し直してもらいます
  2. パスワードの確認 … パスワードや暗号化のかかった PDF は読めないので、外して出し直してもらいます
  3. ページ数の確認 … 100ページを超えるものは、本体・別紙・約款に分けて渡します。原稿で100ページを超えることはまれです
  4. ページの向き … 横向きにスキャンされたページは、正しい向きに直してから渡します
  5. 写しの印の確認 … 「写」「控」と入った原稿は、申請者に「相手に渡す正本の原稿か」を聞き直します
  6. 重複の確認 … 同じ相手先・同じ書式・同じ金額の申請が同じ日にあれば、二重の申請として印を付けます

5番目は、写しの扱いを AI に決めさせないためです。 正本か写しかは原稿の文字だけでは決まらず、相手先に何を渡すかで決まります。 申請者に聞くのが早く、確実です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、原稿から5つの事実を根拠の文字列つきで取り出すことと、号の候補を挙げることです。

取り出すもの取り出し方書かれていないとき
取引の種類請負(仕事の完成と報酬)、売買、運送、消費貸借、金銭の受取、業務の委託など。本文の文言からunknown
金額の記載契約金額・受取金額の数字と、その金額が書かれた行null
消費税額の書き方「うち消費税額等◯円」と分けて書く/税抜と税込を両方書く/税込とだけ書く/書いていないnot_stated
契約期間と更新の定め期間の始まりと終わり、更新の定めの有無と条文null
受取の性質(領収書のとき)商品の代金・請負の代金・賃貸料などか、借入金・保証金・損害賠償金などかunknown

号の候補は、上の事実から挙げさせます。 たとえば「部品の加工の完成を約し、報酬を受ける」と読めれば第2号の候補、「営業者の間で継続する取引の単価と支払方法を定める」と読めれば第7号の候補です。候補は1つに絞らせません。当てはまりうるものを全部挙げさせます。 国税庁のタックスアンサーでは、請負に関する契約書に当たるものでも、営業者の間で継続する複数の取引の基本的な取引条件を定めるものは第7号文書に当たることがあるとされています。どちらに所属するかを決めるのは経理です。

させないこと理由
税額を答えること段階の境目でずれる。表から引くのはプログラム
号を1つに決めること所属の決定は経理と顧問税理士が行う
消費税額を計算して記載金額を出すこと書き方を見るのが目的。書かれていない税額を割り戻さない
交付のしかたを推し量ること申請フォームの選択肢で決まる
「印紙は不要」と言い切ること課税文書に当たらないかは経理が確かめる

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「1,100万円(税込)」と書かれた原稿を渡すと、親切に「税抜1,000万円」と読んで段階を下げることがあります。国税庁のタックスアンサーでは、「消費税額等10パーセントを含む」や「税込」と書いただけでは消費税額が明らかとは言えず、税込の金額が記載金額になるとされています。計算で出した消費税額は、書かれた消費税額ではありません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは製造業の経理部で、相手先に渡す前の文書の原稿を読み、
印紙税の判断に必要な事実を取り出す担当です。
渡された PDF に書かれていることだけを根拠にしてください。推測で埋めないでください。

【取り出すもの】
1. 取引の種類:本文の文言から、請負・売買・運送・消費貸借・金銭の受取・
   業務の委託・その他を選び、根拠にした文言をそのまま写す
2. 金額の記載:契約金額・受取金額として書かれた数字と、その行の文言
3. 消費税額の書き方:次のどれかを選ぶ
   - separated ...... 「うち消費税額等◯円」のように消費税額が金額で書かれている
   - both_prices .... 税抜の価格と税込の価格の両方が金額で書かれている
   - tax_included ... 「税込」「消費税を含む」とだけ書かれ、消費税額の金額が無い
   - not_stated ..... 消費税について何も書かれていない
4. 契約期間と更新の定め:期間の始まり・終わり、更新の定めの有無と条文の文言
5. 受取の性質(受取書・領収書のとき):何の代金か、借入金・保証金・
   損害賠償金などか

【号の候補】
上の事実から、印紙税額の一覧表の号で当てはまりうるものを全部挙げ、
候補ごとに理由と根拠の文言を書いてください。1つに絞らないでください。
当てはまる号が見当たらないときは、candidates を空にし、その理由を書いてください。

【厳守事項】
- 税額を書かないでください。
- 消費税額を計算しないでください。「税込」とだけ書かれている金額から
  税抜の金額を出さないでください。書かれた数字をそのまま写してください。
- 金額が複数あるときは、全部を amounts に並べ、どれが記載金額かを決めないでください。
- 期間や更新の定めが別紙・約款にあれば、そのページ番号を書いてください。
- 「写」「控」「案」などの印があれば、marks に写してください。
- 印紙が不要とも必要とも言い切らないでください。
- evidence には、根拠にした文言を原稿のとおりに写してください。言い換えないでください。

【申請の情報】{request_info}

「金額が複数あるときに記載金額を決めない」を入れているのは、変更契約と単価の契約のためです。 金額を変える覚書には変更の前と後の金額が、単価だけを決める契約書には単価が書かれています。どれを記載金額とするかは経理が決めます。 AIに決めさせると、もっともらしい1つを選んで残りを捨てます。

「言い換えない」も効く一文です。 根拠を要約されると、経理が原稿で該当箇所を探せません。原稿のとおりに写させれば、PDF の中で文字を検索して一度で開けます。

Step7

出力形式を固定する

次の形の JSON で受け取ります。

{
  "request_id": "R-2026-1123",
  "document_title": "注文請書",
  "transaction_types": [
    { "type": "contract_for_work", "evidence": "下記部品の加工を完了し、貴社へ納入いたします", "page": 1 }
  ],
  "amounts": [
    { "value": 1650000, "label": "請負金額", "evidence": "請負金額 1,650,000円(うち消費税額等 150,000円)", "page": 1 }
  ],
  "tax_statement": "separated",
  "tax_amount_written": 150000,
  "term": { "start": "2026-11-01", "end": "2026-11-30", "renewal": "none", "evidence": "", "page": null },
  "receipt_nature": null,
  "marks": [],
  "candidates": [
    { "stamp_no": "2", "reason": "部品の加工の完成と報酬を定めており、請負に関する契約書に当たりうる", "evidence": "下記部品の加工を完了し" }
  ],
  "notes": ""
}

1つ目の理由は、税額をプログラムで引けることです。 candidates の号と、amounts から経理の規則で選んだ記載金額があれば、税額の表から段階を引けます。tax_statement が separated か both_prices のときだけ、書かれた消費税額を差し引いた金額で段階を引きます。国税庁のタックスアンサーでは、この扱いがある課税文書は第1号・第2号・第17号の3つに限られるとされているので、プログラムもその3つの号でだけ差し引きます。

2つ目は、needs_review を機械の規則で付けられることです。

条件判定一覧での扱い
candidates が2つ以上needs_review(所属の決定が要る)
candidates が空needs_review(課税文書に当たらないかの確認が要る)
amounts が空、または2つ以上needs_review(記載金額を経理が決める)
第7号の候補で term.end が nullneeds_review(期間を別紙で探す)
交付のしかたが「電子で送るだけ」electronic_only の印(後述)
交付のしかたが「未定」needs_review
上のどれにも当たらないready(根拠を見て確かめる)

3つ目は、evidence と page で確かめる時間が短くなることです。 判定一覧の1行に、号の候補・記載金額・税額・根拠の文言・ページ番号が並びます。

electronic_only の印は、税額を空にしません。 国税庁の質疑応答事例では、書面の注文請書の代わりに電子署名を付けた電磁的記録を電子メールで送った場合について、電磁的記録は文書に含まれないので印紙税は課税されないと回答しています。ただし、後から紙を渡すかどうかは原稿からは分かりません。 判定一覧には「紙で渡すなら第◯号・◯円」という形で税額を残し、経理が申請者に交付のしかたを確かめてから返します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
申請フォーム回答の一覧の読み取り、状態の列の書き込み新しい申請を拾い、判定中・確認待ち・確定の印を付ける
共有フォルダファイルの読み取り原稿の PDF を取る
Claude APIMessages API(PDF の文書ブロック、output_config.format)事実の取り出しと号の候補
税額の表表の読み取り号と記載金額と作成の予定日から税額を引く
判定一覧行の書き込み経理が確かめる一覧を作る
メール送信判定中のまま止まったものを経理に知らせる

申請フォームへの回答は、経理が確定したものだけを返します。 プログラムが書き込むのは状態の列までで、「第◯号・◯円」という回答の欄は経理が埋めます。 AIの一次判定がそのまま申請者に届くと、確認を経ない答えで印紙が貼られます。

Step9

人が確認する

  1. needs_review を先に見る … 号の候補が2つ以上のもの、候補が空のもの、記載金額が決まらないもの。主任が見ます
  2. ready のものは根拠の文言を見る … 取引の種類の根拠と、記載金額の行を原稿で開いて確かめます
  3. 消費税額の書き方を見る … separated と判定されたものは、消費税額が金額で書かれているかを目で見ます
  4. electronic_only は申請者に確かめる … 紙を後から渡す予定が無いかを聞きます
  5. 決められないものは顧問税理士に相談する … 相談した内容と回答を判定の記録に残します
  6. 申請フォームに回答する … 号・税額・根拠の要点を書いて返します

3番目を省かないでください。 separated と tax_included を取り違えると、段階が1つずれます。取り違えるのは、たいてい「税込」の後ろに小さく消費税額が書かれている原稿か、その逆です。

目標は、180件をならして1件5分です。 ready のものは根拠の2〜3か所を見て数分、needs_review のものは主任が10分以上かけます。needs_review が全体の2割を超える月は、申請に別紙が付いていないか、書式が変わった取引先が増えています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
Word のファイルで申請された判定せず、PDF にして出し直すよう申請者に返す
パスワード付きの PDF読めないので、外して出し直してもらう
本体だけで別紙・約款が無い第7号の候補で期間が null になる。別紙の提出を求める
手書きの領収書の写真読めない数字は null で返る。原本を経理が見る
金額を変える覚書変更の前と後の金額が amounts に並ぶ。記載金額は経理が決める
単価だけで総額が無い契約書amounts が単価だけになる。総額が出せるかを経理が見る
外国語の契約書事実の取り出しはできるが、根拠の文言は原文のまま。経理が訳を確かめる
AI の応答が形に合わない1回だけ送り直し、だめなら needs_review で人へ
税額の表の適用の期間が切れているプログラムが止まり、経理に知らせる。表を直してから再実行

上の3行が大半を占めます。 どれも AI の問題ではなく、申請の出し方の問題です。 申請フォームに「PDF で、別紙・約款・覚書を含めて1つに」と書き、出し直しになった件数を毎月数えて部署に返します。

Step11

記録を残す

  • 申請番号、申請部署、相手先、交付のしかた、作成の予定日
  • 渡した原稿の PDF(版を特定できる形で)
  • Claude が返した JSON の全文と、送ったときのモデル名・日時
  • プログラムが引いた税額の表の行(号・段階・適用の期間)
  • 経理の確定の結果と、AIの一次判定から変えた点(号を変えた・記載金額を変えた・消費税額の書き方を直した)
  • 顧問税理士に相談した内容と回答
  • 申請者への回答の日時

5つ目の「変えた点」が、改善の材料になります。 同じ書式の注文請書で毎回記載金額を直しているなら、原稿の書式の金額の書き方を変えてもらうほうが早いと分かります。

4つ目で表の行を残すのは、表を直したときのためです。 段階の写し間違いが見つかったとき、その行を使った判定だけを洗い出せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:原稿の PDF を Claude の画面に1件ずつ渡し、事実と号の候補を出させる / 1件ごとの原稿の読み取り
半自動化:上記+申請フォームから原稿を拾って Claude API に渡し、税額の表から税額を引いて判定一覧に書き出す / 読み取り・税額の表引き・一覧化
本格構成:上記+文書の作成の仕組みと電子契約の仕組みにつなぎ、原稿を作った時点で一次判定を出し、交付のしかたも仕組みから取る / 申請の手間を含めた判定の全体

本記事の想定は半自動化です。 1件15分が5分になるのは、原稿を読む時間が「根拠を確かめる時間」に置き換わるからです。 本格構成では、申請そのものが要らなくなります。 ただし文書の作成の仕組みに手を入れる必要があり、半自動化で判定の質が見えてから進めるほうが安全です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  180件 × 15分 ÷ 60 = 45 時間/月
導入後 180件 × 5分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
67%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 加工の注文請書、取引の基本契約書、工事や保守の請負契約書、手書きの領収書など、紙で相手先に渡す文書を毎月百件以上作っている製造業・建設業・商社。印紙を貼るかどうかを申請した部署ごとに判断しており、経理に「これは何円ですか」という問い合わせが毎日届いている場合。印紙税の判断ができる担当が経理に1〜2名しかおらず、その人が休むと止まる場合。
向いていない
  1. 契約の大半を電子契約で結んでおり、紙で交付する文書がほとんど無い会社。紙の文書が月に数件で、経理の担当が都度調べて足りている場合。どの号に当たるか自体が争点になる非定型の契約が中心で、毎回税理士に相談している場合。なお、課税文書に当たるか、どの号に所属するかの最終の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月に経理が判定した原稿から20件を選ぶ(注文請書・基本契約書・請負契約書・領収書を5件ずつ。迷ったものを数件入れる)
  2. その20件について、当時の判定(号・記載金額・税額)と、迷った理由を書き出しておく
  3. 相手先の名前と担当者の名前を、PDF の上で記号に塗り替える
  4. 会社で契約している Claude の画面に PDF を1件ずつ渡し、第7章の指示文を貼る
  5. 出てきた取引の種類・金額・消費税額の書き方・号の候補を、2番の当時の判定と突き合わせる

税額は、この段階でも Claude に出させません。 出てきた号の候補と金額から、経理が一覧表で引きます。 試す目的は「事実が正しく取り出せるか」です。

出てきた内容判断
取引の種類・金額・消費税額の書き方が当時の判定と合う申請フォームとのつなぎに進む
「税込」の金額から税抜の金額を計算して書いた指示を強める。構成は有効
契約期間が取れない基本契約書が多い別紙が付いていない。申請の出し方が先

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「税込」の金額から税抜を計算してしまう指示で禁じ、tax_statement が tax_included なのに tax_amount_written が入っていたら止める
表題だけで号を決めてしまう根拠の文言を本文から写させる。表題は根拠にしない
号を1つに決めてしまう候補を全部挙げさせ、2つ以上なら needs_review
税額を答えてしまうスキーマに税額の項目を持たせない。税額はプログラムが引く
消費税額を差し引く号を広げてしまう第1号・第2号・第17号の3つだけでプログラムが差し引く
別紙・約款が抜けて期間が取れない申請フォームで「1つの PDF に」と決める
軽減措置の期間を過ぎても古い表で引く表に適用の期間を持たせ、当たる行が無ければ止める
判定した日で表を引いてしまう作成の予定日で引く
電子で送るだけの文書に税額を返してしまうelectronic_only の印を付け、紙を渡す予定が無いかを人が確かめる
「写」「控」の原稿を正本として判定するmarks に写させ、申請者に聞き直す
金額の構造化出力に範囲の制約を付けて400になる制約は使わず、プログラムで0以上かを見る

上の4行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIに「親切に」答えさせると起きます。取り出す事実と決める結論を、スキーマとプログラムで分けておくかどうかで決まります。

下から5行目は、気づかないまま起きます。 誤りが出るのは期間の終わりを過ぎた後の契約書だけで、それまでの判定はすべて正しいからです。 作成の予定日が表のどの行にも当たらなければ判定を止める仕組みを、最初から入れてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 取引先の名称、取引の内容、契約金額、単価、支払条件、契約期間。取引先との基本契約書には、単価や支払条件などの営業上の秘密が含まれます。

  1. 外部に渡すのは判定に要る原稿だけにする … 申請フォームの他の欄(申請者の個人の連絡先など)は渡しません
  2. API のデータの扱いを確かめる … Claude API の公式ページでは、会話の中身(プロンプトと出力)は既定では保持しないとされています。ただし、30日の保持が要る Covered Models は例外とされているので、使うモデルを決めるときに確かめます。保持したデータを明示の許可なくモデルの学習に使わないとも書かれています
  3. 一次判定をそのまま申請者に返さない … 回答の欄は経理が埋めます。AIの判定が確認を経ずに届くと、誤った印紙がそのまま貼られます
  4. この構成は課税文書かどうかの最終の判断を代替しません … どの号に所属するか、記載金額をどれにするか、電子で送るだけの文書をどう扱うかは、経理と顧問税理士が決めることです。 この構成が出すのは、原稿から読み取った事実と号の候補だけです
  5. 税額の表は経理が持ち、変更の記録を残す … 表を直した日・直した行・根拠にした国税庁のページと、そのページの「現在法令等」の日付を残します

誤りが起きた場合のリスクは、貼り忘れと貼りすぎの2つです。 貼り忘れは後から指摘を受け、貼りすぎは不要な費用です。どちらも、記載金額の読み違いと号の取り違えから起きるので、その2つを人が根拠で確かめる設計にしています。

10まず何から始めるか

1週目:税額の表を作る

国税庁の印紙税額の一覧表(第1号〜第4号、第5号〜第20号)から、自社で作る文書に関係する号だけを表にします。製造業なら、第1号(運送)、第2号(請負)、第7号(継続的取引の基本となる契約書)、第17号(受取書)が中心です。建設工事の請負の軽減措置の行には、適用の期間を書きます。

2週目:20件で試す

先月に判定した原稿20件を、記号に塗り替えて Claude の画面で試します。「税込」の金額を計算で直していないか、号を1つに決めていないかを最優先で見ます。

3週目:申請フォームを直す

交付のしかたの選択肢、「別紙・約款・覚書を含めた1つの PDF」の決まり、相手先コードの必須の項目を足します。

4週目:判定一覧までをつなぐ

申請フォームから原稿を拾い、Claude API で事実を取り出し、税額の表を引いて判定一覧に書き出すところまで作ります。この時点では申請者への回答は従来どおり経理が書き、判定一覧は見比べるためだけに使います。

2か月目: 判定一覧を見て回答する運用に切り替え、needs_review の件数と理由を毎週数えます。3か月目以降: 経理が直した点を集計し、書式ごとの傾向を部署に返します。1件15分が何分になったかを実測し、主任が見る件数が needs_review だけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-29/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
第1号〜第4号文書の税額の段階。第2号文書に工事注文請書・物品加工注文請書が含まれること。契約金額の記載のないものが200円であること。ページが令和8年4月1日現在の法令等によること国税庁: No.7140 印紙税額の一覧表(その1)2026-10-29
第5号〜第20号文書の税額。第7号文書が1通4,000円で、契約期間が3か月以内かつ更新の定めのないものを除くこと。第17号文書の受取金額5万円未満が非課税であること国税庁: No.7141 印紙税額の一覧表(その2)2026-10-29
請負に役務の提供も含まれること。請負の契約書でも営業者間で継続する取引の基本的な条件を定めるものは第7号文書に当たることがあること国税庁: No.7102 請負に関する契約書2026-10-29
第7号文書の要件(営業者間、目的物の種類・単価・対価の支払方法などのうち1以上を定める)と、3か月以内かつ更新の定めのないものを除くこと国税庁: No.7104 継続的取引の基本となる契約書2026-10-29
領収書が第17号文書に当たること。売上代金とそれ以外で税額が異なること。営業に関しない受取書が非課税で、公益法人や商人以外の個人の行為は営業に当たらないこと国税庁: No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書2026-10-29
建設工事の請負に関する契約書の軽減措置が平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されるものを対象とすること国税庁: No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置2026-10-29
消費税額等が区分記載されている場合に記載金額に含めないこと。「税込」「10パーセントを含む」の書き方では含めること。この扱いが第1号・第2号・第17号に限られること国税庁: No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額2026-10-29
注文請書の代わりに電子署名を付けた電磁的記録を電子メールで送った場合、電磁的記録は文書に含まれず課税されないこと国税庁 質疑応答事例: 取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い2026-10-29
構造化出力が output_config.format で使えること。数値・文字列の長さの制約が使えず400になることClaude: Structured outputs2026-10-29
PDF のリクエストの上限(128MB、600ページ・100万トークン未満は100ページ)。パスワード・暗号化の PDF が使えないこと。各ページを文字と画像として読むこと。.docx が文書ブロックで使えないことClaude: PDF support2026-10-29
会話の中身が既定では保持されず、Covered Models が30日の保持を要すること。保持したデータを明示の許可なく学習に使わないことClaude: API and data retention2026-10-29

どの号に所属するか、記載金額をどれにするかの最終の判断は、経理と顧問税理士で行ってください。 本記事は国税庁のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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