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研究開発の部門が共同研究先との月次の進捗の会議(Teams)を Copilot でまとめ、双方の宿題と、発表・発明・試料の受け渡しなど成果の扱いの論点を整理する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

共同研究先との月次の進捗の会議(Teams)の文字起こしから、Copilot で双方の宿題と、発表・発明・試料の受け渡しなど成果の扱いの論点を書き出します。契約書と前回の記録に並べ、知財・法務に確かめてもらう事項の一覧を作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/教育/製造
対象部門
知財/研究開発
対象業務
要約/記録・議事録作成
主な課題
引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
25h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
60%
年間削減
180h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当の研究者が進捗の会議を開き、メモを取る
  2. 会議のあと、メモと録画を見返して議事録を書く
  3. 双方の宿題(追加の実験、データの送付、試料の準備)を一覧にし、相手方に確認のメールを送る
  4. 発表の予定や試料の受け渡しの話が出ていれば、共同研究の管理表に書き、知財部に知らせる
  5. 議事録をテーマのフォルダに保存する
導入後(After)
  1. 人担当の研究者が進捗の会議を自社の Teams 会議として主催し、冒頭で相手方に告げてから文字起こしを始める
  2. 人会議のあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、宿題の表と成果の扱いの論点の表を出させる
  3. 人Copilot Chat で、その表と共同研究の契約書・前回の記録を「/」で参照させ、契約の関係しそうな条と、前回からの変化を並べさせる
  4. 人研究者が、宿題と論点を根拠の発言で確かめ、議事録と確かめる事項の一覧に整える
  5. 人相手方に確認のメールを送り、共同研究の管理表を更新する
  6. 人論点の一覧を知財部に送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当の研究者が進捗の会議を開き、メモを取る
  2. 会議のあと、メモと録画を見返して議事録を書く
  3. 双方の宿題(追加の実験、データの送付、試料の準備)を一覧にし、相手方に確認のメールを送る
  4. 発表の予定や試料の受け渡しの話が出ていれば、共同研究の管理表に書き、知財部に知らせる
  5. 議事録をテーマのフォルダに保存する

(a)議事録と宿題の一覧に時間がかかる。 1時間の会議のあとに、録画を見返して誰が何を言ったかを拾うのに、毎回1時間近くかかります。研究者にとっては、実験の時間を削って行う作業です。 忙しい月は議事録が数日遅れ、宿題の確認のメールも遅れます。

(b)発表や試料の話が知財に届くのが遅れる。 4番は、担当の研究者が「これは知財に知らせるべき話だ」と気づいたときにしか行われません。相手方の大学院生が「この結果を秋の学会で出したい」と言ったのを、議事録の実験の話の中に書いて終わることがあります。 知財部が知るのは、発表の申し込みの締め切りの直前です。

(c)発明になりうる話が、実験の話として流れる。 「温度を下げたら、予想と逆に容量が上がりました」という話は、研究者にとっては実験の結果です。新しい発見であれば、外に出す前に発明として届け出るかを考える話でもあります。 特許法では、特許の出願の前に公に知られた発明や、刊行物に載った発明は、原則として特許を受けられないとされています。学会で先に話すと、届け出る機会を失うことがあります。

(d)担当が代わると経緯が分からない。 テーマの担当の研究者が異動すると、どの宿題がどこまで進んでいるか、相手方が何の発表を予定していたかは、前任者のメモと記憶にしかありません。

  1. 【人】 担当の研究者が進捗の会議を自社の Teams 会議として主催し、冒頭で相手方に告げてから文字起こしを始める
  2. 【人】 会議のあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、宿題の表と成果の扱いの論点の表を出させる
  3. 【人】 Copilot Chat で、その表と共同研究の契約書・前回の記録を「/」で参照させ、契約の関係しそうな条と、前回からの変化を並べさせる
  4. 【人】 研究者が、宿題と論点を根拠の発言で確かめ、議事録と確かめる事項の一覧に整える
  5. 【人】 相手方に確認のメールを送り、共同研究の管理表を更新する
  6. 【人】 論点の一覧を知財部に送る

この構成に自動で動く部分はありません。 管理表を直すのも、知財部に送るのも研究者です。Copilot が作るのは表と下書きまでです。

1番目が、この設計の分かれ目です。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot は動かないとされています。大学の側が招待を出した会議では、自社の研究者は Copilot を使えません。進捗の会議は自社から招待を出すことを、テーマを始めるときに相手方と決めておきます。

6番目で論点を知財部に送るのは、論点の有無にかかわらず毎回です。 「今回は論点なし」という一覧も送ります。知財部は、届かなかった回を確かめる手間がなくなります。

02今回想定するシステム構成

構成図
進捗の会議(研究者が主催する Teams 会議、大学の教員・学生が社外から参加)
   │  冒頭で相手方に告げて文字起こしを始める
   ▼【トリガー】会議の終了
会議の Copilot(会議のチャットの「まとめ」タブ)
   ├──▶ 表1 双方の宿題(誰が・何を・期限の発言・根拠の発言)
   └──▶ 表2 成果の扱いの論点(種類・発言・根拠の時刻)
   ▼
Copilot Chat(「/」で 共同研究の契約書/前回の記録/共同研究の管理表 を参照)
   ├──▶ 論点ごとの、契約の関係しそうな条(条の番号と文の引用)
   ├──▶ 前回からの変化(宿題の進み、発表の予定の変化)
   └──▶ 知財部に確かめてもらう事項の一覧の下書き
   ▼
【研究者が根拠の発言で確かめ、議事録と事項の一覧に整える】
   ▼
相手方への確認のメール / 共同研究の管理表の更新 / 知財部への一覧
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Teams 会議の Copilot、Copilot Chat)ChatGPT Enterprise、Claude、Gemini
会議Microsoft Teams(研究者が主催する会議と文字起こし)会議の録画
台帳SharePoint リスト(共同研究の管理表)社内の研究テーマの管理の仕組み
保管SharePoint(テーマごとの契約書・研究計画・議事録のフォルダ)社内のファイルサーバー

新しく足すものはありません。 研究者8名はすでに Copilot のライセンスを持っている前提です。大学の側の参加者がライセンスを持つ必要はありません。 会議のあとに Copilot を使うのは、自社の研究者だけです。

会議のあとに Copilot を使うには、文字起こしが要ります。 公式のページでは、会議のあとに Copilot に質問するには文字起こしが有効になっている必要があるとされ、「会議中のみ」の設定では、文字起こしされなかった部分とやり取りは会議が終わると使えなくなるとされています。文字起こしを始め忘れた会議は、これまでどおりメモで書きます。

会議の Copilot の材料は、チャットと文字起こしです。 公式のページでは、会議の Copilot はチャットに書かれたことと、文字起こしに残った発言を使うとされ、共有された画面の中身を使うとは書かれていません。スライドのグラフを指して「ここで上がっています」と話した内容は、どのデータかが文字に残りません。

契約書との突き合わせは、Copilot Chat で行います。 公式のページでは、入力欄で「/」を入力すると、ファイル、会議、メールなどを参照できるとされ、会議やメールを参照するには Copilot のライセンスと Work IQ のオンが要るとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

会議の終了をきっかけに、研究者がその日のうちに始めます。 発表の予定の話は、日がたつほど相手方の準備が進みます。その日のうちに知財部へ一覧が届けば、発表の申し込みの前に確かめる時間が取れます。

文字起こしは、会議の冒頭で始めます。 研究者が「議事録と宿題の一覧のために文字起こしを使います。記録はこのテーマの担当者と知財部だけが見ます」と告げる決まりにします。大学の側に録音の取り決めがあれば、それに従います。 断られたときは、文字起こしを使わずに従来のメモで書きます。

毎月の会議を、Teams の定期的な会議の1つの系列にしないでください。 公式のページでは、定期的な会議で後の回が文字起こしされると、それまでの回の Copilot とのやり取りの履歴は使えなくなるとされています。会議は回ごとに別の会議として立て、Copilot の表はその日のうちにテーマのフォルダに保存します。 前回との比較は、保存した表を Copilot Chat で参照して行います。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし会議の発言(話者の名前と時刻つき)Teams の会議
出席者の一覧名前、所属(自社か相手方か)、立場(教員・学生・研究員・自社の研究者)研究者が会議の前に作る一覧
論点の種類の一覧発表の予定、新しい結果、試料・データの受け渡し、相手方の秘密の情報、研究の範囲の外の話、費用・期間の変更知財部と研究開発本部で決めた一覧
共同研究の契約書発表、発明、試料、秘密の情報、研究の範囲の条テーマのフォルダ(PDF)
前回の記録前回の Copilot の表と、研究者が整えた議事録・事項の一覧テーマのフォルダ
共同研究の管理表発表の予定、届け出た発明、試料の受け渡しの記録SharePoint リスト

質を決めるのは、論点の種類の一覧です。 「成果の扱いの論点を拾って」とだけ指示すると、Copilot は実験の結果をすべて論点として並べます。種類と、それぞれの「当たりうる言い方の例」を決めておけば、拾い方がそろいます。

論点の種類当たりうる発言の例
発表の予定「学会で出したい」「論文にまとめている」「修士論文に入れる」「ポスターで」
新しい結果「予想と逆に」「初めて見えた」「これまでの材料より」「再現しました」
試料・データの受け渡し「サンプルを送ります」「測定データを共有します」「他の先生に測ってもらう」
相手方の秘密の情報「これは社内の情報ですが」「まだ公開していない組成で」
研究の範囲の外の話「別のテーマにも使えそう」「他社さんとの話にも」
費用・期間の変更「装置を追加で」「延長して」「学生が増えるので」

修士論文と卒業論文は、とくに見落としやすい発表です。 大学の側にとっては毎年の当たり前の予定で、会議でも雑談のように話されます。一覧の例に入れておくと、拾えます。

Step3

データの取得方法を決める

会議の Copilot には、会議のチャットの「まとめ」タブから指示を出します。 公式のページでは、会議のあとは「まとめ」タブか、会議のチャットの右上の「Copilot を開く」から使えるとされています。ここで宿題の表と論点の表を作らせ、その表を Copilot Chat に貼ってから、契約書と前回の記録に並べさせます。

取るものどこからどう渡すか
宿題の表、論点の表会議の Copilot の回答テーマのフォルダに保存し、Copilot Chat に貼る
共同研究の契約書テーマのフォルダ「/」で選ぶ
前回の記録テーマのフォルダ「/」で選ぶ
共同研究の管理表SharePoint リスト「/」で選ぶ。このテーマの行だけを見るよう指示する

参照するファイルは、そのテーマのものだけに絞ります。 公式のページでは、SharePoint のサイトの中で一度に参照できるファイルやページは10件までとされています。他のテーマの契約書をまとめて渡すと、条の番号が混ざります。

表の形の回答は、Excel で開けるとされています。 ただし、会議のオプションでチャット・字幕・文字起こしのコピーと転送をオフにすると、回答を Word や Excel に書き出せないとされています。主催者の研究者が回答を書き出せる設定にしておきます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 出席者の一覧を作る … 名前、所属、立場。相手方から当日の出席者を前日までに聞いておきます
  2. 議題に「成果の扱い」の枠を入れる … 招待の本文の議題の最後に「発表・試料・その他の確認」の枠を置き、研究者がその場で「今月、発表や試料の送付の予定はありますか」と聞きます
  3. データの名前を口で言う … 「ここ」ではなく「3枚目の、焼成温度600度のサンプルの容量」と言う決まりにします
  4. 宿題は「誰が・いつまでに」を言い直す … 宿題が出たら、研究者がその場で「先生の研究室から、来週の金曜までに XRD のデータをいただく、でよろしいですか」と言い直します
  5. 秘密の情報は先に断ってもらう … 相手方に、公開していない情報を話すときは「ここから秘密の情報です」と言ってもらうよう、テーマを始めるときに頼みます

2番目が、この構成の肝です。 論点を拾う指示をどれだけ整えても、話されなかったことは拾えません。 議題の最後に「成果の扱い」を聞く枠を置くと、相手方の発表の予定が会議の中で言葉になります。文字起こしに残れば、Copilot が拾えます。

5番目は、相手方を守るための決まりでもあります。 相手方の秘密の情報が文字起こしに残ると、その記録を見られる人の範囲を絞る必要が出ます。断ってもらえば、論点の表にその時刻が出るので、研究者が記録の扱いを決められます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、双方の宿題を並べること、成果の扱いの論点を種類ごとに発言のまま書き出すこと、契約書の関係しそうな条を並べること、前回からの変化を並べることです。

させること中身判断できないときの扱い
双方の宿題誰が(所属と名前)・何を・期限の発言・根拠の発言期限が言われていなければ「期限の発言なし」
論点の種類論点の種類の一覧の6つのどれに当たりうるかどれにも当たらなければ載せない
論点の発言発言を話者・時刻とともにそのまま写す写せなければ時刻だけ
契約の関係しそうな条契約書の条の番号と、その条の文の引用見つからなければ「契約書に該当の記載なし」
前回からの変化前回の宿題の進み、発表の予定の時期や内容の変化前回の記録が無ければ「初回」

「論点の発言をそのまま写す」が、この構成でいちばん大事なところです。 「学生が学会発表を予定」と要約すると、どの学会で、何の結果を、いつ出すのかが消えます。知財部が確かめたいのはその中身なので、発言を写させ、時刻から録画をたどれるようにします。

させないこと理由
発明に当たるかの判断新規性や進歩性の判断は知財部と弁理士が行う
発表してよいかの判断契約の手続きと、出願の準備の状況で知財部が決める
契約の条の解釈と、違反かどうかの判断条を並べるのは手がかり。解釈は法務が行う
言われていない期限や数量を埋めること「来週」を日付にする、「少し」を50グラムにする、をしない
出席者の熱意や態度を書くこと記録は研究の発言だけ

1行目と3行目は、とくに気を付けてください。 「新しい結果」の論点は、新しいかもしれない、という印です。Copilot が「新規性あり」と書けば、その一覧は知財の判断の材料ではなく、判断そのものに見えます。種類の名前を「新しい結果」にしているのはそのためです。

最後の行は、公式の考え方とも重なります。 公式のプライバシーのページは、職場のやり取りから人の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限しているとしています。「学生の意欲が高い」のような書き方をさせません。

Step6

指示内容を固定する

会議の Copilot への指示(「まとめ」タブで出す):

この会議は、共同研究{theme_id}(相手方:{partner})の月次の進捗の会議です。
出席者の一覧と論点の種類の一覧を使い、次の2つの表を作ってください。

【出席者】{attendees}   ← 名前/所属(自社・相手方)/立場
【論点の種類】発表の予定/新しい結果/試料・データの受け渡し/
              相手方の秘密の情報/研究の範囲の外の話/費用・期間の変更

【表1 双方の宿題】誰が(所属と名前)/何を/期限の発言/根拠の発言(話者・時刻)
【表2 成果の扱いの論点】種類/発言(そのまま)/話者/時刻

【厳守事項】
- 表2の発言は、文字起こしの文をそのまま写してください。要約しないでください。
- 学会、論文、ポスター、修士論文、卒業論文、展示会の話は、
  すべて「発表の予定」として載せてください。
- 「新しい結果」は、新しいかもしれない結果の印です。
  発明かどうか、新規性があるかどうかを書かないでください。
- 期限と数量は話されたとおりに写し、日付や数に置き換えないでください。
- 当てはまる論点が無いときは、表2に「該当なし」とだけ書いてください。
  無理に論点を作らないでください。
- 出席者の態度や意欲は書かないでください。

Copilot Chat への指示(表を貼ってから出す):

次の2つの表と、/{theme_id}の共同研究契約書 /前回の会議の記録 /共同研究の管理表 を参照してください。

1. 表2の論点ごとに、契約書の中で関係しそうな条の番号と、その条の文を引用で並べてください。
   見つからなければ「契約書に該当の記載なし」と書いてください。
   契約の解釈や、違反かどうかの判断は書かないでください。
2. 前回の記録の宿題のうち、今回の会議で完了・進行・言及なしのどれに当たるかを並べてください。
3. 管理表のこのテーマの行の「発表の予定」と、今回の発言を比べ、
   時期・学会・内容が変わったものに「前回から変化」と書いてください。
4. 知財部に確かめてもらう事項を、論点の種類ごとに一覧にしてください。
   論点が無ければ「今回は論点なし」と書いてください。

「無理に論点を作らない」を明記しないと、 毎回すべての種類に何かが載り、知財部が一覧を読まなくなります。「該当なし」を許すことが、一覧の信頼を保ちます。

Step7

出力形式を固定する

知財部に送る一覧は、次の列で受け取ります。

【共同研究 R-2026-07 次世代正極材(相手方:〇〇大学 △△研究室)第9回 2026-10-27】
種類 | 発言(そのまま) | 話者 | 時刻 | 契約の関係しそうな条 | 前回から
発表の予定 | 「この焼成条件の結果は、3月の学会で学生に出させたいと思っています」 | 教員 | 00:41 | 第12条(成果の公表)「…公表しようとする日の…前までに…」 | 初出
新しい結果 | 「600度で焼いたものだけ、サイクル後の容量が逆に上がっています」 | 学生 | 00:18 | 第10条(発明の取扱い) | 初出
試料・データの受け渡し | 「残りのサンプルは、隣の研究室の先生にも測ってもらおうかと」 | 教員 | 00:52 | 第8条(試料の提供) | 初出
相手方の秘密の情報 | 該当なし | - | - | - | -

宿題は、次の列で受け取ります。

誰が | 何を | 期限の発言 | 前回から | 根拠の時刻
相手方(学生) | 600度のサンプルの XRD のデータを送る | 来週の金曜 | 初出 | 00:22
自社(担当の研究者) | 同じ条件のサンプルを社内で再現する | 次回の会議まで | 初出 | 00:27
相手方(教員) | 前回の宿題:比表面積の測定 | - | 完了 | 00:09

1つ目の理由は、知財部が発言と時刻から録画をたどれることです。 「3月の学会」「学生に出させたい」が分かれば、出願の準備に間に合うかを、発表の申し込みの締め切りから逆算できます。 特許法には、自分の行為で公に知られた発明でも、その日から1年以内に出願し、決まった書面を出せば新規性を失わなかったものとみなす例外がありますが、例外に頼るかどうかも知財部が決めることです。

2つ目は、試料の論点のように、契約の範囲に関わる話が並ぶことです。 「隣の研究室の先生にも測ってもらう」は、試料を第三者に渡す話かもしれません。知財部と法務が契約の条と照らして確かめます。

3つ目は、宿題に「前回から」が付くことです。 前回の宿題が「言及なし」のまま2回続けば、担当の研究者が次の会議の議題に入れて確かめます。 第3章の(d)の引き継ぎも、この列で追えます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams の会議研究者が主催し、冒頭で告げて文字起こしを始める文字起こしと会議の Copilot
テーマのフォルダ(SharePoint)Copilot Chat から「/」で参照、表を保存するのは研究者契約書・前回の記録
共同研究の管理表(SharePoint リスト)Copilot Chat から「/」で参照、直すのは研究者発表の予定・試料の記録
相手方研究者が Outlook で確認のメールを送る宿題と、確かめた議事録
知財部研究者が論点の一覧を送る確かめる事項

テーマのフォルダの権限は、担当の研究者・上司・知財部に絞ります。 公式のプライバシーのページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。共同研究の契約書と相手方の未公開のデータを部全体に開くと、他のテーマの研究者の Copilot がその内容を材料に使いえます。

Step9

人が確認する

  1. 論点の発言を確かめる … 写された発言が文字起こしのとおりかを見ます。「該当なし」の種類は、自分の記憶で漏れが無いかを見ます
  2. 契約の条の引用を確かめる … 条の番号と文が、契約書の原文と同じかを見ます
  3. 宿題の期限を日付にする … 「来週の金曜」を日付にして、管理表に入れます
  4. 秘密の情報の時刻を確かめる … 相手方が秘密と断った部分があれば、議事録に載せる範囲を決めます
  5. 一覧を知財部に送る … 論点が無い回も「今回は論点なし」で送ります

1番目と2番目を省かないでください。 発言の写しが崩れると、知財部が録画をたどれません。 条の引用が違えば、知財部は別の条を前提に動きます。

目標は、1件あたり30分です。 議事録を整える時間が12分ほど、論点と条の引用を確かめる時間が10分ほど、宿題と確認のメールが5分ほど、知財部への送付と管理表の更新が3分ほどという見立てです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
大学の側が招待を出した会議だった自社の側では Copilot が動かない。メモで書き、次回は自社から招待する
文字起こしを始め忘れた会議のあとに Copilot を使えない。メモと録画で書く
相手方が録音・文字起こしを断った文字起こしを使わずにメモで書く。断られたことを管理表に残す
画面のデータを指した話が「ここ」としか残っていない録画のその時刻を開き、データの名前で表を直す
契約書に当たる条が見つからない「該当の記載なし」のまま知財部に送る。条が無いことも確かめる事項
相手方の秘密の情報が文字起こしに残った議事録に載せる範囲を決め、フォルダの権限を確かめる
Copilot が使えない(障害・ライセンス)これまでどおり録画とメモで書く

1行目が、運用の初めにいちばん多く起きます。 大学の側が Teams の会議を立てる習慣の研究室も多いためです。テーマを始めるときの打合せで「記録の都合でこちらから招待させてください」と頼んでおきます。

Step11

記録を残す

  • 会議の Copilot の表と、Copilot Chat の一覧(テーマのフォルダ)
  • 研究者が整えた議事録と、知財部に送った論点の一覧
  • 研究者が直した論点・宿題と、直す前の内容
  • 共同研究の管理表の変更の履歴(SharePoint リストの版の履歴)
  • 相手方が文字起こしを断った会議と、相手方が招待した会議の記録

3つ目が、論点の種類の一覧を直す材料になります。 研究者が毎回足している論点があれば、その言い方を一覧の例に加えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:1つの会議で文字起こしし、会議の Copilot で宿題と論点の表を作る / 宿題と論点の書き出し
半自動化:上記+すべての進捗の会議で使い、Copilot Chat で契約書と前回に並べ、知財部に毎回送る / 契約の関係しそうな条、前回からの変化、知財部への一覧
本格構成:上記+確かめた発表の予定と宿題を、ワークフローで管理表に書き込み、期限の前に知らせる / 管理表への反映と期限の知らせ

最小構成では、知財部への一覧はまだ手で作ります。 確かめたいのは、発言が写されることと、判断が書かれないことです。 半自動化で、1件75分が30分程度になります。 録画の見返しが無くなり、論点の拾い出しと契約書の見直しが Copilot の下書きから始まります。この段階が本記事の想定です。 本格構成は、論点の種類の一覧と議題の型が部の中でそろってから進みます。 確かめた発表の予定だけをワークフロー(Power Automate など)で管理表に書き込み、発表の日の決めた期間前に知財部と研究者に知らせると、発表の直前に気づくことが減ります。研究者の確認を飛ばして書き込む作りにはしません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
75 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  20件 × 75分 ÷ 60 = 25 時間/月
導入後 20件 × 30分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
15h
削減率
60%
年間削減時間
180h
年間金額換算(時間単価4,000円)
72万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 大学や他社との共同研究を同時に十件以上進め、テーマごとに月1回ほど Teams で進捗の会議を開いている研究開発の部門。会議のあとに担当の研究者が録画やメモを見返して議事録と宿題の一覧を作っており、相手方の学会の発表の予定や、試料の受け渡しの話が知財・法務の担当に届くのが遅れることがある場合。進捗の会議を自社が主催する Teams 会議で開け、研究者に Microsoft Copilot のライセンスがすでにある場合。
向いていない
  1. 進捗の会議のほとんどを大学や相手の会社が主催する会議で行い、自社で主催できない場合。共同研究の契約や秘密保持の取り決めで、会議の録音・文字起こしが認められていない場合。共同研究が数件で、担当者のメモで十分に追えている場合。なお、発明に当たるかの判断、発表を認めるかの判断、契約の解釈は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 次の月の進捗の会議の1つを、自社から招待を出す Teams 会議で開き、相手方に告げて文字起こしする
  2. 議題の最後に「発表・試料・その他の確認」の枠を入れる
  3. 会議の Copilot に第7章の指示を出し、2つの表を作らせる
  4. これまでどおり手で書いた議事録と、表を並べる
  5. 手の議事録に書かれていなかった論点が無いかを見る

3回は必ずやってください。 ここで確かめるのは、発言がそのまま写されているかと、「新しい結果」に新規性の判断が書かれていないかです。

出てきた内容判断
論点と宿題が手の議事録とほぼ同じで、漏れていた発表の話も拾えたCopilot Chat で契約書と前回に並べる段階に進む
発言が要約されて写されない指示の厳守事項を見直す。構成は有効
「ここ」「この辺」で中身が取れない行が多いデータの名前を口で言う決まりが先。 AIの問題ではない

5番で手の議事録に無かった論点が出ることは珍しくありません。 これまでは研究者が実験の話として流していたということで、知財部と一緒に、それが確かめるべき話だったかを見てください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
大学の側が招待した会議で Copilot が動かない進捗の会議は自社から招待する。テーマの初めに頼む
発表の話が要約されて中身が消える発言をそのまま写させる
「新しい結果」に新規性の判断が書かれる種類の名前と厳守事項で判断を禁じる
毎回すべての種類に論点が載る「該当なし」を許す
修士論文・卒業論文の話を拾わない論点の種類の例に入れる
定例の系列で前回の履歴が消える回ごとに別の会議として立て、表はその日のうちに保存する
他のテーマの契約書の条が混ざる参照はそのテーマのファイルだけにする
テーマのフォルダの権限が広い担当の研究者・上司・知財部に絞る

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、知財部が確かめたい中身が一覧から消える失敗です。会議の主催と、発言をそのまま写す指示を入れてあるかどうかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 共同研究の未公開の実験の結果、相手方の秘密の情報、発表の予定、試料の受け渡し、会議の発言です。どれも共同研究の契約と秘密保持の取り決めの対象になる情報です。

  1. 相手方に告げてから文字起こしする … 会議の冒頭で、文字起こしを使うことと、記録を見る人の範囲を告げます。契約に録音・記録の定めがあれば、それに従います
  2. フォルダの権限でテーマごとの秘密を守る … Copilot は利用者が閲覧できるデータだけを示すとされています。テーマのフォルダを担当と知財部に絞れば、別のテーマの研究者の Copilot に未公開のデータが出ません
  3. 処理の地域を確かめる … 公式のページでは、EU 以外の顧客の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されうるとされ、Anthropic のモデルは EU Data Boundary の対象外とされています。契約に処理の場所の定めがあれば、照らして確かめます
  4. 学習への利用とやり取りの保存 … 指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータは基盤モデルの学習に使われないとされ、やり取りは利用履歴として保存され、管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められるとされています
  5. Web 検索を使わせない … 公式のページでは、Web 検索を使うとプロンプトから語を取り出して Bing の検索サービスに検索語を送るとされています。未公開の組成や結果が検索語に入らないよう、この用途では Web 検索をオフにする設定を管理者と決めます
  6. 発明・発表・契約の判断は人が行う … 一覧は確かめる事項の下書きです。発明に当たるか、発表を認めるか、契約に反するかは、知財部と法務と弁理士が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、発表の話を見逃して出願の前に成果が公になることと、相手方の秘密の情報を別のテーマの担当者に見せることの2つです。 前者は議題の枠と発言をそのまま写す指示で抑え、後者はフォルダの権限と会議の主催の決まりで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:論点の種類の一覧と議題の型を作る

知財部と一緒に、論点の種類の一覧(6種類)と、それぞれの当たりうる言い方の例を作ります。招待の本文の議題の最後に「発表・試料・その他の確認」の枠を置く型と、冒頭で文字起こしを告げる言い方を決めます。

2週目:1つの会議で試す

自社から招待を出す進捗の会議を1つ選び、文字起こしして会議の Copilot で2つの表を作ります。手で書いた議事録と並べ、発言が写されているか、「新しい結果」に判断が書かれていないかを最優先で見ます。

3週目:契約書と前回に並べる

Copilot Chat で契約書と前回の記録に並べ、知財部に確かめる事項の一覧を送ります。知財部に、一覧の形で足りるか、足りない列は無いかを聞きます。

4週目:相手方に頼む

進行中のテーマの相手方に、進捗の会議を自社から招待することと、文字起こしを使うことを頼みます。断られたテーマは管理表に残します。

2か月目: すべての進捗の会議で使い、論点の一覧を毎回知財部に送る運用を始めます。3か月目以降: 1件75分が何分になったかを実測し、管理表への書き込みと発表の予定の知らせのワークフローを検討します。知財部が発表の予定を申し込みの締め切りより前に知るのが当たり前になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-28/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
会議のあとに Copilot に質問するには文字起こしが要ること。「会議中のみ」では文字起こしされなかった部分とやり取りが会議のあとに使えなくなること。「まとめ」タブや会議のチャットの「Copilot を開く」から使えること。参加者の組織の外で主催された会議では動かないこと。定期的な会議で後の回が文字起こしされると前の回の履歴が使えなくなること。チャットと文字起こしの発言を使うこと。表の回答を Excel で開けること。コピーと転送をオフにする設定で回答を Word や Excel に書き出せないことMicrosoft Support: Use Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-28
Copilot Chat の「/」でファイル・会議・メールなどを参照できること。SharePoint のサイトの中で一度に参照できるファイルやページは10件までであること。会議やメールの参照には Copilot のライセンスと Work IQ のオンが要ることMicrosoft Support: Refer to specific files and more in Microsoft 365 Copilot2026-10-28
利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りが利用履歴として保存され、管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められること。EU 以外の顧客の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されうること。Anthropic のモデルが EU Data Boundary の対象外であること。Web 検索ではプロンプトから語を取り出して Bing に検索語を送ること。職場のやり取りから人の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限していることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-28
特許出願の前に公然知られた発明・刊行物に記載された発明などは特許を受けられないこと(第29条)。特許を受ける権利を有する者の行為で公に知られた発明でも、その日から1年以内に出願し、決まった書面を出願と同時に出し証明書を30日以内に出せば、新規性を失わなかったものとみなされること(第30条)e-Gov 法令API: 特許法2026-10-28

発明の届出、発表の手続き、契約の解釈は、自社の知財部・法務と弁理士に確かめて決めてください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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