Media > AI活用ユースケース > 営業 > 広告会社に届くノベルティ・販促物の見積依頼を、品目・数量・名入れ・納期・予算に整理して、仕入先への見積依頼の文面を作る

広告会社に届くノベルティ・販促物の見積依頼を、品目・数量・名入れ・納期・予算に整理して、仕入先への見積依頼の文面を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

顧客からメールで届くノベルティ・販促物の見積依頼から、品目・数量・名入れの内容・納期・予算・配送先を写し出して案件の表に記録します。品目の区分に合う仕入先への見積依頼のメールと、足りない条件を顧客に尋ねる返信を Outlook の下書きにします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/広告
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/書類作成
主な課題
入力作業が多い/営業フォローが追いつかない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 顧客から見積依頼のメールが届く
  2. 営業がメールを読み、品目・数量・名入れ・納期・予算・配送先を案件の表に写す
  3. 書かれていない条件があれば、顧客に聞く返信を書く
  4. 品目の区分から仕入先を2〜3社選ぶ
  5. 仕入先ごとに見積依頼のメールを書く。条件を写し、ロゴのデータを添付する
  6. 仕入先から見積が返ってきたら比べ、自社の見積を作って顧客に送る
  7. 案件の表の状態を更新する
導入後(After)
  1. 人顧客から見積依頼のメールが届く
  2. 自動Outlook のルールが、見積依頼のメールを「見積依頼」のフォルダに移す
  3. 自動フォルダへの新着をきっかけに Zap が動き、案件の表で同じメールが処理済みでないかを確かめる
  4. 自動AIが品目・数量・名入れ・納期・予算・配送先を項目ごとに写し出し、品目の区分を選び、書かれていない項目を挙げる
  5. 自動案件の表(Zapier Tables)に1件を記録する
  6. 自動仕入先の一覧から、品目の区分に合う仕入先を引く
  7. 自動仕入先への見積依頼のメールを Outlook の下書きにする
  8. 自動書かれていない項目があれば、顧客への確認の返信を Outlook の下書きにする
  9. 人営業が案件の表と下書きを確かめ、仕入先を決めて直して送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 顧客から見積依頼のメールが届く
  2. 営業がメールを読み、品目・数量・名入れ・納期・予算・配送先を案件の表に写す
  3. 書かれていない条件があれば、顧客に聞く返信を書く
  4. 品目の区分から仕入先を2〜3社選ぶ
  5. 仕入先ごとに見積依頼のメールを書く。条件を写し、ロゴのデータを添付する
  6. 仕入先から見積が返ってきたら比べ、自社の見積を作って顧客に送る
  7. 案件の表の状態を更新する

(a)読んで写すだけで時間がかかる。 依頼の文章から条件を探し、案件の表の列に1つずつ写します。長い依頼ほど、数量がどこに書かれていたかを読み返します。

(b)仕入先ごとに同じ条件を書き直す。 2〜3社に同じ条件で見積を頼むのに、仕入先ごとにメールを1通ずつ書いています。 書き写すたびに、数量の桁や納期の日付を写し間違える余地があります。

(c)足りない条件の確認が後回しになる。 仕入先への依頼を先に出し、返事が来てから足りない条件に気づくことがあります。顧客への確認と仕入先の聞き返しが重なり、見積を出すまでに数日余計にかかります。

(d)返事が遅いと、顧客はほかの会社に決める。 ノベルティの見積は相見積になっていることが多く、早く具体的な見積を出した会社が選ばれます。 営業が外出していると、見積依頼が夕方まで読まれないことがあります。

  1. 【人】 顧客から見積依頼のメールが届く
  2. 【自動】 Outlook のルールが、見積依頼のメールを「見積依頼」のフォルダに移す
  3. 【自動】 フォルダへの新着をきっかけに Zap が動き、案件の表で同じメールが処理済みでないかを確かめる
  4. 【自動】 AIが品目・数量・名入れ・納期・予算・配送先を項目ごとに写し出し、品目の区分を選び、書かれていない項目を挙げる
  5. 【自動】 案件の表(Zapier Tables)に1件を記録する
  6. 【自動】 仕入先の一覧から、品目の区分に合う仕入先を引く
  7. 【自動】 仕入先への見積依頼のメールを Outlook の下書きにする
  8. 【自動】 書かれていない項目があれば、顧客への確認の返信を Outlook の下書きにする
  9. 【人】 営業が案件の表と下書きを確かめ、仕入先を決めて直して送る

9番目が、この設計の分かれ目です。 仕入先の一覧から引くのは「この区分ならこの2〜3社」という候補で、どこに頼むかは営業が決めます。 顧客との関係や、前回の仕入先の対応で、頼む先を替えることがあるからです。

7番目と8番目を同時に作るのが、第3章の(c)への答えです。 足りない条件があっても仕入先への下書きは作り、欠けた項目は「確認中」と書いて仕入先に先に知らせます。 顧客と仕入先の両方に同じ日に連絡が出るので、往復が1回減ります。

Zap は営業ごとに複製し、それぞれの Outlook につなぎます。 下書きは担当の営業の Outlook にできるので、移動のあいだにスマートフォンで案件の表と下書きを見て、条件がそろった依頼ならその場で仕入先に送れます。 第3章の(d)で夕方まで読まれなかった依頼が、届いた日の昼までに仕入先へ出ます。

02今回想定するシステム構成

構成図
顧客からの見積依頼のメール
   │  Outlook のルールで「見積依頼」のフォルダへ
   ▼【トリガー】Microsoft Outlook:New Message in Folder
Zapier の Zap
   ├──▶ Zapier Tables:Find Records(同じメールがあれば止める)
   ├──▶ AI by Zapier(Analyze and Return Data)
   │      品目・数量・名入れ・納期・予算・配送先、品目の区分、足りない項目
   ├──▶ Zapier Tables:Create Record(案件の表に記録)
   ├──▶ Zapier Tables:Find Records(仕入先の一覧を品目の区分で引く)
   ├──▶ Microsoft Outlook:Create Draft Email(仕入先への見積依頼)
   └──▶ Paths
          ├ 足りない項目あり → Microsoft Outlook:Create Draft Reply(顧客への確認)
          └ フォールバック → 案件の表の状態だけ更新
   ▼【人】営業が確かめて送る
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Microsoft Outlook、Zapier Tables、Paths)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
メールMicrosoft Outlook(Microsoft 365・Exchange Online)Gmail

新しく足すのは、Zap と案件の表と仕入先の一覧だけです。 案件の表はスプレッドシートから Zapier Tables に移し、仕入先の一覧も品目の区分・社名・担当者・宛先の4列で Zapier Tables に置きます。

入口は Microsoft Outlook の New Message in Folder です。 Zapier の Outlook の説明では、トリガーに New Email、New Email Matching Search、New Message in Folder などがあり、いずれもポーリング(定期的に見に行く)方式とされています。操作には Create Draft Email と Create Draft Reply があり、Send Email と Create Draft の添付は150MBまでとされています。

つなげる Outlook には条件があります。 Microsoft 365 の Business か Enterprise のアカウントで、Exchange Online のメールボックスが要り、組織が外部のアプリへの同意を制限していれば管理者の承認が要ります。Outlook.com などの個人のアカウントはつなげません。

整理は AI by Zapier の Analyze and Return Data で行います。 返してほしい項目を名前と型で決め、説明と必須かどうかを付けられます。Professional・Team・Enterprise のプランで使え、モデルは Standard(1倍)、Advanced(3倍)、Premium(5倍。新しいステップの既定)から選ぶか、自前のキーを使えます。分岐は Paths で、1つのグループに最大10本、フォールバックを1本置けます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

見積依頼のメールが「見積依頼」のフォルダに入ったことを起点にします。 Outlook のルールで、件名や本文に「見積」「お見積り」「ノベルティ」「記念品」「販促品」などが含まれ、顧客のドメインから届いたメールを、このフォルダに移します。 営業が手でフォルダに移すこともできるので、ルールで拾えなかった依頼は、気づいた営業がドラッグすれば同じ処理が動きます。

受信トレイ全体を見張らないのは、仕入先からの返事や社内のメールで Zap が動かないようにするためです。 New Email Matching Search で検索の条件を書く方法もありますが、フォルダにしておけば、営業がフォルダの中身を見るだけで、何が処理に回ったかが分かります。

ポーリングの方式なので、届いてから Zap が動くまでに間があります。 見積依頼は数分を争う業務ではないので、この方式で足ります。

つなぎの切れに気をつけます。 Zapier の説明では、Microsoft は Zapier が使う更新のトークンを、パスワードを変えたとき、14日使われなかったとき、発行から90日たったときに失効させ、そのたびにつなぎ直す必要があるとされています。つなぎが切れると、見積依頼がフォルダにたまったまま処理されません。 Zap の失敗の知らせを営業の責任者が受け取るようにし、90日ごとのつなぎ直しを予定に入れます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
見積依頼のメール差出人、件名、本文、受信日時、メッセージのID、添付の有無Microsoft Outlook
品目の区分筆記具/バッグ/タオル・繊維/食品・飲料/紙の販促物/雑貨/その他 の定義と例AI のステップの指示に書き込む
仕入先の一覧品目の区分、社名、担当者、宛先Zapier Tables
案件の表メッセージのID、顧客、条件の各項目、足りない項目、状態Zapier Tables

質を決めるのは、品目の区分の定義です。 「ボールペン」「マーカー」は筆記具、「エコバッグ」「トートバッグ」はバッグ、「今治タオル」「手ぬぐい」はタオル・繊維、と顧客の書き方と区分を結ぶ例を並べます。区分が決まれば、仕入先の一覧から引く先が決まります。

仕入先の一覧は、営業が決めたとおりに持ちます。 区分ごとに「まず頼む2〜3社」を決め、AIには仕入先を選ばせません。 一覧を見直すのは営業で、Zap はその一覧を引くだけです。

Step3

データの取得方法を決める

データは、トリガーが返すメールの中にあります。 見積依頼の条件は本文に書かれているので、本文を AI のステップに渡します。

取るものどこからどうやって
差出人・件名・本文・受信日時・メッセージのIDMicrosoft OutlookNew Message in Folder の出力
同じメールの記録の有無Zapier TablesFind Records(メッセージのIDで探す)
品目の区分に合う仕入先Zapier TablesFind Records(品目の区分で探す)
顧客の過去の案件Zapier TablesFind Records(差出人のドメインで探す)

過去の案件を引くのは、「いつものように」に答えるためです。 顧客が「前回と同じ名入れで」と書いてきたとき、前回の案件の名入れの内容を案件の表に「前回の記録」として並べます。 AIに前回の内容で埋めさせるのではなく、営業が並べて見て、同じでよいかを顧客に確かめます。

添付のファイルは読ませません。 顧客は仕様書やロゴのデータを添付してくることがありますが、AI by Zapier はファイルを知識の元として登録する形で、メールの添付をその場で読む使い方は説明されていません。 添付があることだけを has_attachment として案件の表に残し、営業が開いて確かめます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重複の確認 … メッセージのIDで案件の表を引き、記録があれば止めます
  2. 引用と署名の除去 … 返信のメールでは前のやり取りが引用されるので、最新の本文だけを渡します。署名の住所と電話番号も落とします
  3. 差出人のドメインで顧客を引く … 案件の表から同じドメインの過去の案件を探し、名入れと配送先の前回の記録を取り出します
  4. 本文が長すぎるときは分けない … 見積依頼は長くても数千字なので、そのまま渡します

2番目を省くと、前の案件の条件を拾います。 「前回のボールペン500本の件、ありがとうございました。今回はエコバッグを300枚」という返信で、引用の中の「500本」を今回の数量として写すことがあります。 最新の本文だけを渡せば起きません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、条件を項目ごとに写し出すことと、品目の区分を選ぶことと、書かれていない項目を挙げることの3つです。

項目させること判断できないときの扱い
品目書かれた品名を写す。複数あれば最大3つ書かれていなければ not_stated
品目の区分定義から1つ選ぶ当てはまらなければ その他
数量書かれた数を単位ごと写す「数百」「500前後」は原文のまま。書かれていなければ not_stated
名入れ方法・位置・色数・データの有無の記載を写す書かれていない要素を挙げる
納期納期・配布日・イベントの日付の記載を原文で写す書かれていなければ not_stated
予算単価・総額・幅の記載を原文で写す書かれていなければ not_stated
配送先納品先・分納の有無を写す書かれていなければ not_stated
足りない項目数量・名入れの色数・納期・配送先のうち、書かれていないもの全部あれば空

数量の「500前後」を500に丸めさせないのは、仕入先の見積が数量で変わるからです。 ノベルティの単価は数量の段階で変わることが多く、「前後」をそのまま仕入先に伝えれば、仕入先は段階ごとの単価を返してくれます。 丸めた数で頼むと、顧客が実際に頼む数の単価が分かりません。

させないこと理由
単価や合計の金額の見込み仕入先の見積が出てから営業が決める
予算から数量を逆算すること「予算5万円」を「500本」に直すと、顧客の意図とずれる
名入れの方法の提案素材と色数で仕入先が決める。営業が仕入先と相談する
納期に間に合うかの判断仕入先の生産の都合で決まる
仕入先の選定一覧を引くのは Zap。どこに頼むかは営業

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 数量が書かれず予算だけが書かれた依頼で、AIは親切に「予算÷単価」で数量を出そうとします。その数量で仕入先に頼むと、顧客がまだ決めていない数を決めたことになります。 数量が書かれていなければ not_stated にし、顧客に聞きます。

Step6

指示内容を固定する

Analyze and Return Data の指示:

あなたは広告会社の営業で、顧客からのノベルティ・販促物の見積依頼を
整理する担当です。依頼のメールに書かれていることだけを使って、
項目を埋めてください。推測で埋めないでください。

【項目の埋め方】
- items:品名を書かれたとおりに写してください。最大3つ。
- category:下の定義から1つ選んでください。迷えば「その他」。
  筆記具(ボールペン、マーカー、鉛筆)/バッグ(エコバッグ、トート)/
  タオル・繊維(タオル、手ぬぐい、Tシャツ)/食品・飲料(お菓子、
  ペットボトル飲料)/紙の販促物(チラシ、カレンダー、うちわ)/
  雑貨(マグカップ、モバイルバッテリー、付箋)/その他
- quantity:数と単位を書かれたとおりに写してください。
  「500前後」「数百」は丸めずにそのまま写してください。
- imprint:名入れの方法・位置・色数・ロゴのデータの有無について
  書かれていることを写してください。
- due_text:納期、配布の日、イベントの日の記載を原文のまま写して
  ください。日付に直したり、曜日を補ったりしないでください。
- budget_text:単価・総額・予算の幅の記載を原文のまま写して
  ください。
- ship_to:納品先と、分けて届けるかの記載を写してください。
- 書かれていない項目は not_stated にしてください。

【足りない項目】
数量、名入れの色数、ロゴのデータの有無、納期、納品先のうち、
書かれていないものを missing に並べてください。
「前回と同じ」「いつもの」とだけ書かれた項目は、missing に入れ、
refers_previous を true にしてください。

【厳守事項】
- 単価や合計の金額を見込まないでください。
- 予算から数量を計算しないでください。
- 名入れの方法(シルク印刷など)を提案しないでください。
- 納期に間に合うかどうかを書かないでください。
- evidence に、数量と納期の根拠にした文をそのまま写してください。
- 見積依頼でないメール(お礼、請求、営業の案内)の場合は、
  is_request を false にしてください。

【依頼のメールの本文】{body}

「前回と同じ」を missing に入れさせるのは、前回の内容で埋めさせないためです。 前回の記録は Zap が案件の表に並べ、営業が顧客に「前回と同じ1色・左胸でよろしいですか」と確かめます。 AIが前回の内容で埋めると、顧客がロゴを変えていたときに古いロゴで見積が進みます。

仕入先への見積依頼の文面はAIに作らせず、決まった形に値を差し込みます。

件名:お見積りのお願い({items} {quantity})

{supplier_contact} 様

いつもお世話になっております。〇〇広告の{sales_name}です。
下記の条件でお見積りをお願いできますでしょうか。

【品目】{items}
【数量】{quantity}
【名入れ】{imprint}
【納期】{due_text}
【納品先】{ship_to}
【確認中の項目】{missing}

確認中の項目は、顧客に確かめ次第お知らせします。
数量の段階ごとの単価もあわせていただけますと助かります。

仕入先への文面を固定にするのは、仕入先が見る形を毎回そろえるためです。 仕入先は複数の広告会社から依頼を受けているので、同じ並びで届けば読み違いが減ります。 予算は仕入先への文面に入れません。入れるかどうかは営業が決めます。

Step7

出力形式を固定する

Analyze and Return Data の出力項目として、次のように定義します。

項目名型説明必須
itemsテキスト品名(最大3つ)はい
categoryテキスト品目の区分はい
quantityテキスト数と単位の原文/not_statedはい
imprintテキスト名入れの記載/not_statedはい
due_textテキスト納期の原文/not_statedはい
budget_textテキスト予算の原文/not_statedはい
ship_toテキスト納品先/not_statedはい
missingテキスト足りない項目の並びいいえ
refers_previousテキストtrue/falseはい
is_requestテキストtrue/falseはい
evidenceテキスト数量と納期の根拠の文はい

項目に分けて受け取る理由の1つ目は、仕入先への文面にそのまま差し込めることです。 quantity は【数量】に、imprint は【名入れ】に入り、営業が文面を書き起こす必要がありません。

2つ目は、Paths の条件に使えることです。

分岐条件動き
見積依頼でないis_request が false案件の表に「対象外」と記録し、下書きを作らない
足りない項目ありmissing が空でない顧客への確認の返信を Create Draft Reply で下書き
フォールバック上のどれにも当たらない案件の表の状態を「仕入先へ依頼待ち」にする

顧客への確認の返信は、missing の項目を並べて尋ねる形にします。 「数量と名入れの色数、納品先を教えてください」のように1通にまとめ、refers_previous が true なら、前回の記録を書いて「前回と同じでよいか」を尋ねます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft OutlookNew Message in Folder見積依頼のメールの受け取り
Zapier TablesFind Records、Create Record、Update Record重複の確認、案件の記録、仕入先の一覧と過去の案件の検索
AI by ZapierAnalyze and Return Data条件の書き出しと、足りない項目
Microsoft OutlookCreate Draft Email仕入先への見積依頼の下書き
Microsoft OutlookCreate Draft Reply顧客への確認の返信の下書き

どちらも下書きまでにし、Send Email と Reply to Email は使いません。 仕入先への依頼は、営業が頼む先を決めてから送ります。顧客への返信も、営業の名前で出る連絡なので、確かめてから送ります。

仕入先への下書きは、一覧で引いた先の数だけ作るのではなく、1通にします。 宛先には区分の1社目を入れ、2社目以降の宛先は案件の表に候補として並べます。 営業が下書きを開いて宛先を決め、必要なら複製して送ります。

Step9

人が確認する

  1. 案件の表を見る … 品目・数量・名入れ・納期を、元のメールと見比べます。特に数量と納期は evidence と並べて見ます
  2. 仕入先を決める … 候補の2〜3社から頼む先を決め、下書きの宛先を直します
  3. ロゴのデータを添付する … 顧客の添付を確かめ、仕入先への下書きに添付します
  4. 顧客への確認の返信を直して送る … 尋ねる項目が合っているか、前回の記録の書き方が合っているかを見ます

3番目を人に残すのは、ロゴのデータが顧客の資産だからです。 どのファイルを仕入先に渡すかは、顧客との取り決めで決まります。添付を Zap で自動で付ける形にはしません。

目標は、120件をならして1件5分です。 条件がそろった依頼は2〜3分で送れ、足りない項目や前回の参照がある依頼は確認を含めて数分かかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
1通に品目が4つ以上3つまで写し、案件の表に「品目多数」の印。営業が分けて依頼する
品目の区分が「その他」仕入先の一覧が引けない。下書きの宛先を空にして営業へ
数量が「数百」などのあいまいな書き方原文のまま写し、missing に数量を入れて顧客に確かめる
返信のメールで条件が変わった同じスレッドの記録を見て、案件の表に「条件変更」の印
見積依頼でないメールがフォルダに入ったis_request が false。下書きを作らない
Outlook のつなぎが切れたZap が失敗する。責任者が知らせを受けてつなぎ直し、たまったメールを手で流す
AI のステップが失敗するZap の実行履歴に残る。営業がメールから手で処理する

4行目の条件の変更は、見積の途中でよく起きます。 「やっぱり1,000本で」と返信が来たとき、前の条件で仕入先に頼んだままだと、古い数量の見積が返ってきます。 案件の表に印が付いたら、営業が仕入先にも変更を伝えます。

Step11

記録を残す

  • メッセージのID、差出人、受信日時
  • AI のステップが返した項目の全文(quantity、due_text、missing など)
  • 仕入先の候補と、営業が実際に頼んだ先
  • 営業が項目を直した記録 … どの項目を、どう直したか
  • 顧客への確認と仕入先への依頼を送った日時、見積を顧客に出した日時

最後の行が、この構成の効果を見る記録です。 見積依頼が届いてから顧客に見積を出すまでの日数を、導入前と比べます。

04実装レベルの3段階

最小構成:依頼の本文を手元のAIサービスに貼り、項目に分けさせる / 1件ごとの書き出し
半自動化:上記+フォルダへの新着で Zap が動き、案件の表・仕入先への見積依頼・顧客への確認の下書きまでを行う / 書き出し、記録、文面の下書き
本格構成:上記+仕入先から返ってきた見積の金額の書き出しと比較の表 / 見積の比較までの流れ

半自動化で、1件20分が5分になり、この段階が本記事の想定です。 読んで写すことと、同じ条件を何通も書くことが自動になり、残るのは確かめて送ることです。本格構成で減るのは、仕入先の見積を比べる手間です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、揺れる品目の区分と、顧客がよく書き落とす項目が先に分かります。そこを直してから仕入先の見積の比較をつなぐほうが、違う条件の見積を比べてしまう事故を防げます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  120件 × 20分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 120件 × 5分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. ノベルティ・販促物の手配を請け負う広告会社・販促会社・SP 会社で、顧客から月に百件前後の見積依頼がメールで届き、営業が1件ずつ読んで条件を案件の表に写し、仕入先ごとに見積依頼のメールを書いている場合。Microsoft 365(Exchange Online)の Outlook でメールを受けていて、見積の返事が遅れて顧客がほかの会社に決めてしまうことが気になっている場合。
向いていない
  1. 見積依頼が月に十数件で、営業が読んですぐ書けている場合。依頼の大半が決まった商品の追加注文で、仕入先も1社に決まっている場合。なお、見積の金額、仕入先の選定、納期に間に合うかの判断、名入れの方法の提案は、この構成では代替できません。営業が決めます。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の見積依頼から30件を選ぶ(うち数件は、数量が書かれていないもの、「前回と同じ」と書かれたもの、品目が複数のものを入れる)
  2. 品目の区分の定義を、顧客の書き方の例まで書く
  3. 顧客の署名と連絡先を消した本文と、定義を手元のAIサービスに貼り付ける
  4. 「項目ごとに写してください。数量と納期は原文のまま写し、予算から数量を計算しないでください。書かれていない項目を挙げてください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の案件の表と突き合わせる

30件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「依頼の文章から条件を写し出せるのか」と「足りない項目を挙げられるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の案件の表とおおむね同じになったZap の組み立てに進む
予算から数量を計算してしまう指示の書き方で直る。構成は有効
品目の区分が揺れる定義の例を足す

3行目が出たら、揺れた品目を区分の定義に足します。 「モバイルバッテリー」が雑貨か電子機器かで揺れるなら、仕入先の一覧の分け方に合わせて決めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
予算から数量が計算される計算を禁じ、数量が無ければ not_stated
「500前後」が500に丸められる原文のまま写させる。仕入先に段階ごとの単価を頼む
引用の中の前回の数量を拾う最新の本文だけを渡す
「前回と同じ」が前回の内容で埋まるmissing に入れさせ、前回の記録は Zap が並べる
Outlook のつなぎが切れて処理が止まる14日・90日・パスワードの変更で失効する。 失敗の知らせを受け取り、つなぎ直す
個人の Outlook.com がつなげないMicrosoft 365 の Business/Enterprise と Exchange Online が要る
品目の区分が「その他」に寄る定義の例を足し、仕入先の一覧の分け方に合わせる
仕入先への文面に予算が入る文面は固定にし、予算を差し込まない
仕入先の担当者が替わって宛先が古い仕入先の一覧を月に一度、営業が見直す
同じ依頼が CC で2人の営業に届き、2つの Zap が動く差出人・件名・受信日時でも重複を見る

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、仕入先に違う条件で見積を頼むことにつながります。数字は原文のまま写させ、計算も丸めもさせないという1つを守れば運用に乗ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の会社名・担当者名・連絡先、販促の企画の内容と時期、予算、ロゴのデータです。新商品の発売やイベントの時期が、公表の前に書かれることがあります。

  1. AIに渡す範囲を絞る … 署名の住所と電話番号は落とし、最新の本文だけを渡します。添付のファイルは渡しません
  2. 顧客の予算を仕入先に出さない … 仕入先への文面は固定にし、予算を差し込みません。予算を伝えるかは営業が決めます
  3. 下書きまでにする … 仕入先にも顧客にも、営業が確かめてから送ります
  4. 公表前の情報の扱い … 新商品の名前や発売の時期が書かれた依頼は、案件の表の共有の範囲を営業部に限ります
  5. AI の処理の提供元を決める … AI by Zapier は Zapier の組み込みのモデルか、自前の AI の提供元のアカウントで動きます。顧客との秘密保持の取り決めに照らして、どちらで処理するかを決めます
  6. 仕入先の一覧を外へ出さない … 区分ごとの仕入先と担当者は、自社の調達の力そのものです。一覧は Zap の中で引くだけにし、AI のステップには渡しません

誤りが起きた場合のリスクは、違う条件で仕入先に見積を頼むことと、顧客の予算や公表前の情報が仕入先に渡ることの2つです。 前者は数字の計算と丸めで起き、後者は文面に何でも差し込むと起きます。数字は原文のまま、文面は固定、で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:品目の区分と仕入先の一覧を作る

営業4名で、品目の区分と顧客の書き方の例を書き出し、区分ごとに「まず頼む2〜3社」を決めます。仕入先の一覧を、区分・社名・担当者・宛先の4列で作ります。

2週目:30件で試す

先月の見積依頼から30件を選び、手元のAIサービスで項目に分けさせます。当時の案件の表と突き合わせ、予算から数量を計算していないか、引用の中の数字を拾っていないかを最優先で見ます。

3週目:Outlook のルールと表を作る

「見積依頼」のフォルダとルールを作り、Zapier Tables に案件の表と仕入先の一覧を作ります。Outlook のつなぎ直しの予定と、失敗の知らせの受け取り先を決めます。

4週目:Zap をつなぐ

New Message in Folder から AI by Zapier、案件の表、仕入先の一覧の検索までを作ります。最初の2週間は下書きを作らず、案件の表の書き出しだけを営業の読み方と見比べます。

2か月目: 仕入先への見積依頼と顧客への確認の下書きを足し、営業が直した項目を毎週数えます。3か月目以降: 見積依頼から顧客に見積を出すまでの日数を導入前と比べ、品目の区分の手入れが月1回で済むようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Analyze and Return Data で出力項目を名前と型で定義し、説明と必須を付けられること。Professional・Team・Enterprise で使えること。モデルの階層(新しいステップの既定が Premium・5倍)と自前のキー。ファイルは知識の元として登録する形であることZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-14
Microsoft Outlook のトリガー(New Email、New Email Matching Search、New Message in Folder などがポーリング)と操作(Create Draft Email、Create Draft Reply、Send Email、Reply to Email)。Send Email と Create Draft の添付が150MBまでであること。Microsoft 365 Business/Enterprise と Exchange Online が要り、個人のアカウントはつなげないこと。更新のトークンがパスワードの変更・14日の未使用・発行から90日で失効することZapier: How to get started with Microsoft Outlook on Zapier2026-10-14
Zapier Tables の Zap の操作に Find Records、Create Record、Update Record があることZapier: Zapier Tables integrations2026-10-14
Paths が Professional・Team・Enterprise で使え、1つのグループに最大10本、フォールバックを1本置けることZapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-14

見積の金額、仕入先の選定、納期に間に合うかは、営業が仕入先と確かめて判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1468)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次