Media > AI活用ユースケース > 営業 > 保険代理店に保険会社から届く保険料の口座振替不能の通知を読み取り、契約者ごとに連絡文の下書きと失効までの期限を募集人に回す

保険代理店に保険会社から届く保険料の口座振替不能の通知を読み取り、契約者ごとに連絡文の下書きと失効までの期限を募集人に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

保険会社から届く口座振替不能の通知を読み取り、契約ごとに不能の理由・保険料・期限を取り出します。担当の募集人に、期限の近い順の一覧と、契約者への連絡文の下書きを回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
保険/金融
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/書類作成
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
抽出
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
70%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 事務の担当が通知のPDFを開き、契約を1件ずつ確かめる
  2. 証券番号で顧客台帳を引き、契約者と担当の募集人を確かめる
  3. 不能の理由、保険料、次の振替の日、払込の期限を、代理店の一覧の表に書き写す
  4. 募集人ごとに一覧を分け、チャットで知らせる
  5. 募集人が契約者に電話かメールで連絡する。文面は募集人ごとに自分で書く
  6. 次の振替の日や期限の後に、保険会社の画面で入金されたかを確かめる
導入後(After)
  1. 自動受付のアドレスに通知のPDFが届くと、ワークフローが取り出す
  2. 自動AIが通知から契約ごとの項目を取り出し、期限の記載をそのまま写す
  3. 自動証券番号で顧客台帳を引き、契約者名が一致するかを確かめ、担当の募集人を決める
  4. 自動期限の日付から残りの日数を計算し、期限の近い順に並べて、不能の一覧に1行ずつ足す
  5. 自動契約ごとに、通知の内容だけから連絡文の下書きを作る
  6. 自動募集人ごとに、一覧の行へのリンクと下書きをチャットで知らせる。期限の記載が無いものと台帳で一致しないものは、事務の担当の確認の列に回す
  7. 人事務の担当が確認の列を見て、保険会社に期限を確かめ、台帳の誤りを直す
  8. 人募集人が下書きを直して契約者に連絡し、一覧に連絡した日を書く
各工程の詳しい説明を読む
  1. 事務の担当が通知のPDFを開き、契約を1件ずつ確かめる
  2. 証券番号で顧客台帳を引き、契約者と担当の募集人を確かめる
  3. 不能の理由、保険料、次の振替の日、払込の期限を、代理店の一覧の表に書き写す
  4. 募集人ごとに一覧を分け、チャットで知らせる
  5. 募集人が契約者に電話かメールで連絡する。文面は募集人ごとに自分で書く
  6. 次の振替の日や期限の後に、保険会社の画面で入金されたかを確かめる

(a)期限の近い契約が後回しになる。 通知の並びは証券番号の順で、期限の近い順ではありません。届いた順に書き写していくと、猶予の残りが数日の契約が一覧の最後に回ることがあります。

(b)期限の書き方を取り違える。 「次回振替日」と「払込期限」と「失効予定日」は、会社によって意味が違います。次回振替日を期限と思って待っていたら、その会社は振込でしか受け付けない契約だった、ということが起きます。

(c)書き写しで証券番号を誤る。 桁の多い証券番号を手で写すと、1桁違いで別の契約者を引くことがあります。別の契約者に「保険料が引き落とせませんでした」と連絡すれば、それだけで重大な誤りです。

(d)連絡文が募集人ごとにばらばら。 不能の理由や払込の方法を書き漏らした連絡で、契約者から保険会社にも代理店にも問い合わせが来て、二度手間になります。

  1. 【自動】 受付のアドレスに通知のPDFが届くと、ワークフローが取り出す
  2. 【自動】 AIが通知から契約ごとの項目を取り出し、期限の記載をそのまま写す
  3. 【自動】 証券番号で顧客台帳を引き、契約者名が一致するかを確かめ、担当の募集人を決める
  4. 【自動】 期限の日付から残りの日数を計算し、期限の近い順に並べて、不能の一覧に1行ずつ足す
  5. 【自動】 契約ごとに、通知の内容だけから連絡文の下書きを作る
  6. 【自動】 募集人ごとに、一覧の行へのリンクと下書きをチャットで知らせる。期限の記載が無いものと台帳で一致しないものは、事務の担当の確認の列に回す
  7. 【人】 事務の担当が確認の列を見て、保険会社に期限を確かめ、台帳の誤りを直す
  8. 【人】 募集人が下書きを直して契約者に連絡し、一覧に連絡した日を書く

8番目が、この設計の分かれ目です。 募集人は、通知を探して文面を一から書く代わりに、期限の近い順に並んだ一覧と下書きを見て、連絡するだけです。 送るのは必ず募集人で、契約者との関係を持つ人の言葉で伝えます。

3番目で契約者名まで確かめるのは、第3章の(c)を止めるためです。 証券番号が一致しても契約者名が台帳と食い違えば、その行は募集人に回さず、事務の担当の確認の列に入れます。

02今回想定するシステム構成

構成図
保険会社からの口座振替不能の通知(PDF)
   │  代理店向けの画面のものは、事務の担当が受付のアドレスへ送る
   ▼【トリガー】Gmail の Watch emails(不能通知のラベル、添付あり)
Make
   ├──▶ Gmail の List email attachments and media(PDFを取り出す)
   ▼
Anthropic Claude(Make an API Call:PDF入力+構造化出力)
   │   契約ごと:証券番号/契約者/種目/不能の理由/保険料/期限の記載(原文と日付)
   ▼
Iterator(契約ごとに1つずつ)
   ├──▶ Google Sheets の Search Rows(顧客台帳:契約者と担当の募集人)
   ▼
Make ── 残りの日数を計算、確認の列か募集人かを決める
   ▼
Google Sheets の Add a Row(不能の一覧)
   ├──▶ Anthropic Claude(Create a Prompt:連絡文の下書き)
   └──▶ 社内チャットへの通知(募集人ごと)
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakeZapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(Make の Anthropic Claude アプリ)OpenAI API、Gemini API
連携Google スプレッドシート(顧客台帳・不能の一覧)Microsoft 365 のリスト
メールGmail(代理店の受付のアドレス)Microsoft 365 のメール
通知社内チャットメール

新しく足すのは、Make のシナリオ1本と、不能の一覧の表です。 保険会社の代理店向けの画面には書き込みません。入金の確認は、これまでどおり募集人か事務の担当が保険会社の画面で行います。

入口は Gmail の Watch emails です。 送信者、件名、ラベル、添付の有無で絞れ、1回に拾う件数の上限は500以下です。 添付のPDFは List email attachments and media で取り出し、ファイルのデータを含めて返す設定にします。

読み取りは、Anthropic Claude アプリの Make an API Call で Messages API を呼びます。 Claude はPDFの各ページを画像に変換し、各ページから取り出した文字を画像と一緒に読みます。 会社ごとに表の形が違う通知も、同じ指示で読めます。1回の依頼の大きさは32MBまで、ページは600ページ(文脈の窓が100万トークン未満では100ページ)までで、パスワードや暗号化のあるPDFは読めません。 JSONの形は構造化出力(output_config.format に type: "json_schema")で決めます。

連絡文の下書きは文章なので、同じアプリの Create a Prompt で足ります。 契約ごとの配列は、Iterator で1件ずつに分けて処理します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

Watch emails を30分ごとに動かします。 対象は「不能通知」のラベルが付いた、添付のあるメールです。保険会社の通知の送信元のアドレスと、事務の担当が画面から取り出したPDFを送るときの決まった件名に、Gmail のフィルターでラベルを付けます。取り込んだときに既読にする設定にはしません。

通知は届いたらすぐに処理します。 月払の契約では、猶予の期間が払込期月の翌月の1日から末日までとされている例があり、通知が届いた時点で残りが3週間を切っていることもあります。 1日でも早く募集人に回すほど、連絡の余裕が増えます。

代理店向けの画面で届く会社の分は、取り出しを習慣にします。 画面に通知が載ったことはメールで知らされる会社が多いので、そのお知らせのメールにもラベルを付け、PDFが届いていない会社があればチャットで事務の担当に促す小さな仕組みを足します。画面の取り出しが遅れると、この構成全体が遅れるからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
通知のPDF保険会社名、通知日、契約ごとの証券番号・契約者名・種目・振替日・不能の理由・保険料・次の振替の日・払込の期限や失効・解除の予定日・払込の方法の案内Gmail の添付
顧客台帳証券番号、契約者名(よみがな)、担当の募集人、連絡の手段、過去の振替不能の回数顧客台帳(Search Rows)
連絡文のひな形不能の理由ごとの書き出しと結び、代理店の連絡先文書

AIに渡すのは、通知のPDFだけです。 顧客台帳はAIに渡さず、ワークフローの側で証券番号と契約者名を突き合わせます。台帳には保有契約9,000件分の連絡先が入っており、読み取りにも下書きにも要らないからです。

過去の振替不能の回数は、募集人の連絡の仕方を変える材料です。 初めての不能なら「念のためのお知らせ」、3回目なら「払込の方法の見直しのご相談」と、連絡の意味が違います。 回数は下書きのAIに渡し、書き出しを選ばせます。

Step3

データの取得方法を決める

通知のPDFを base64 にして、Make an API Call の document のブロックに入れます。 指示とスキーマは保険会社によらず1つです。

取り出す項目は、どの会社の通知にもある項目と、会社によって書き方の違う項目に分けて考えます。

項目どの会社にもあるか取り出し方
証券番号・契約者名・種目・振替日・保険料ある値を取り出す
不能の理由会社による原文を写し、区分(残高不足・口座の解約・依頼書の未着・その他・記載なし)を付ける
次の振替の日会社による原文と日付を写す
期限の日付会社による原文の呼び方と日付を写す。 呼び方の区分(払込期限・猶予期限・失効予定日・解除予定日・その他)を付ける
払込の方法の案内会社による原文を写す

期限は、呼び方ごと写させるのがこの構成の要です。 第3章の(b)のとおり、「次回振替日」と「払込期限」は意味が違います。一覧には、期限の日付と並べて呼び方の原文を必ず出し、募集人が読み違えないようにします。

顧客台帳は、証券番号で Search Rows を引きます。 引けた行の契約者名のよみがなと、通知の契約者名を突き合わせます。通知が漢字、台帳がよみがなの会社もあるので、漢字とよみがなの両方の列を台帳に持たせ、どちらかが一致すれば一致とします。

損害保険と生命保険で、同じ項目でも中身が違うことに気をつけます。 自動車や火災の契約は年払や一時払の分割が多く、生命保険は月払が多いので、同じ「保険料」の欄でも1回分なのか、複数回分をまとめた額なのかが通知によって違います。 金額は書かれた数字のまま写させ、何回分かが書かれていれば premium と並べて原文を残します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイルの確認 … 添付がPDFであること、パスワードが付いていないことを確かめます。付いている会社の通知は、事務の担当が開いてから送り直します
  2. 会社の特定 … 送信元のアドレスと件名から保険会社の候補を決め、AIが読み取った会社名と一致するかを確かめます
  3. 件数の確認 … 通知に「計○件」と書かれていれば、AIが返した契約の数と合うかを確かめます。合わなければ読み取りの誤りを疑い、全件を確認の列に回します
  4. 重複の確認 … 同じ証券番号・同じ振替日の行がすでに一覧にあれば、二重に回しません
  5. ページの多い通知の分割 … ページの上限に近い通知は、ページで分けて呼びます

3番目が、読み飛ばしを止める関所です。 1件を読み飛ばすと、その契約者には誰からも連絡が行きません。合計の件数が通知に書かれていない会社では、PDFのページ数と1ページあたりの行数から目安を出し、極端に少なければ確認の列に回します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、通知から契約ごとの項目を取り出すことと、通知に書かれた内容だけで連絡文の下書きを作ることの2つです。 主眼は前者の取り出しです。

させないこと理由
期限の計算・推定猶予の期間は保険会社によって違う。通知に書かれた日付だけを使う
「次回振替日」を期限と読み替えること会社によって意味が違う。呼び方ごと写す
証券番号の補完桁を足す、似た番号に直すことをしない
払込の方法の提案通知に書かれた方法だけを案内する
減額・払済・解約の勧め契約者の事情を聞いて募集人が判断する
失効後の扱いの説明復活などの制度は会社ごとに違う。保険会社に確かめる

1行目がいちばん守らせたいことです。 月払の契約の猶予期間を「払込期月の翌月の末日まで」と覚えさせて計算させると、解除の予告の期間を設けている会社や、年払・半年払の契約で、誤った期限が一覧に並びます。 期限が書かれていない契約は「記載なし」とし、事務の担当が保険会社に確かめます。

連絡文の下書きには、通知に書かれた事実と、代理店の連絡先だけを使わせます。 書き出しは過去の不能の回数で選ばせ、残高不足かどうかを契約者に問いただすような書き方はさせません。 不能の理由が「口座の解約」なら、新しい口座の手続きの案内に寄せます。

下書きのAIに渡すものと、書かせる部分は次のとおりです。

渡すもの下書きのどこに使うか
契約者名、種目、振替日、保険料何の保険料が引き落とせなかったか
不能の理由の区分書き出しと、次にしてほしいことの選び方
期限の原文と日付、払込の方法の原文いつまでに、どの方法で払い込めるか
過去の不能の回数念のためのお知らせか、払込の方法の相談の呼びかけか
連絡文のひな形と代理店の連絡先結びと問い合わせ先

期限の記載が無い契約には、下書きを作りません。 期限を書けない連絡文は、契約者に「いつまでに」を伝えられず、かえって問い合わせを増やすからです。 事務の担当が保険会社に確かめて一覧に期限を書いた後に、下書きを作り直します。

Step6

指示内容を固定する

取り出し(1回目)の指示の例です。

あなたは保険代理店の事務の担当で、保険会社から届いた
口座振替不能の通知を読み取る担当です。
PDFに書かれていることだけを写してください。推測で補わないでください。

【取り出す項目(契約ごと)】
- policy_no ........ 証券番号。書かれた文字列をそのまま
- holder_name ...... 契約者名。書かれたとおり(漢字・かな)
- product .......... 保険種目(自動車、火災、医療、終身など。書かれたとおり)
- debit_date ....... 振替日
- premium .......... 振替できなかった保険料。書かれた数字のまま
- reason_text ...... 不能の理由の原文。書かれていなければ空
- reason_class ..... insufficient / account_closed / form_missing / other / not_stated
- next_debit_text .. 次の振替の日についての原文。無ければ空
- deadline_text .... 払込の期限や失効・解除の予定日についての原文。無ければ空
- deadline_date .... deadline_text に書かれた日付。日付が書かれていなければ空
- deadline_kind .... payment_due / grace_end / lapse / cancellation / other / not_stated
- payment_method_text .. 払込の方法の案内の原文。無ければ空

【厳守事項】
- 書かれていない項目は空にし、kind や class は not_stated にしてください。
- 期限の日付を計算しないでください。猶予の期間の一般的な決まりから
  日付を推定しないでください。
- 「次回振替日」は next_debit_text に入れ、deadline_text に入れないでください。
  期限としての記載がほかに無ければ、deadline_kind は not_stated です。
- 証券番号の桁を補ったり、記号を足したりしないでください。
- 通知の合計件数が書かれていれば total_count_text にそのまま写してください。
- 読めない文字がある項目は、読めた範囲を写し、unreadable_fields に項目名を入れてください。

【保険会社の候補】{insurer_hint}

「次回振替日を期限に入れない」を名指しで書くのは、AIがそれを期限と読みたがるからです。 「次回振替日に2回分を振り替えます」という文は、振替が次もできなければどうなるかを書いていません。 期限として扱わせると、第3章の(b)を自動で起こすことになります。

「一般的な決まりから推定しない」も明記します。 書かないと、AIは月払の猶予の期間を知識として持っているので、親切に日付を埋めてしまいます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "insurer": "",
  "notice_date": "",
  "total_count_text": "",
  "contracts": [
    {
      "policy_no": "",
      "holder_name": "",
      "product": "",
      "debit_date": "",
      "premium": "",
      "reason_text": "",
      "reason_class": "insufficient | account_closed | form_missing | other | not_stated",
      "next_debit_text": "",
      "deadline_text": "",
      "deadline_date": "",
      "deadline_kind": "payment_due | grace_end | lapse | cancellation | other | not_stated",
      "payment_method_text": "",
      "unreadable_fields": [""]
    }
  ]
}

1つ目の理由は、会社ごとに違う通知を1つの形にそろえられることです。 不能の一覧は、どの会社の通知から来た行も同じ列になり、募集人は会社を気にせず期限の順に見られます。

2つ目は、deadline_kind で確認の列への振り分けが機械的に決まることです。 not_stated か other なら事務の担当の確認の列へ、それ以外は募集人へ回します。区分は enum で縛るので、値の揺れで振り分けが外れません。

3つ目は、原文と値を並べて持てることです。 deadline_text と deadline_date が両方あれば、一覧で原文を見て日付が正しく写されたかを確かめられます。

不能の一覧には、ワークフローが次の列を足して1行にします。

列値の出どころ
担当の募集人・連絡の手段・過去の不能の回数顧客台帳
台帳との一致証券番号と契約者名の突き合わせ(一致/名前の不一致/台帳に無し)
期限までの日数deadline_date と今日の日付から計算
状態未連絡(募集人が 連絡済み・入金確認済み に変える)
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付のアドレスGmail の Watch emails と List email attachments and media通知のメールを拾い、PDFを取り出す
Claude APIAnthropic Claude の Make an API Call通知の読み取り(構造化出力)
契約ごとの処理Iterator契約の配列を1件ずつに分ける
顧客台帳Google Sheets の Search Rows契約者と担当の募集人を引く
不能の一覧Google Sheets の Add a Row契約ごとに1行を足す
Claude APIAnthropic Claude の Create a Prompt連絡文の下書き
社内チャットチャットのアプリ募集人ごとに、一覧の行へのリンクと下書きを送る

保険会社の画面には何も書き込みません。 この構成が出すのは、誰がいつまでに誰に連絡するかの一覧と下書きまでです。

募集人への通知は、期限までの日数が少ない順に送ります。 残りが7日を切る契約は、チャットの通知に加えて、事務の担当の確認の列にも載せ、翌日に連絡済みになっていなければ事務の担当から募集人に声をかけます。

Step9

人が確認する

  1. 確認の列を先に見る … 期限の記載が無いもの、台帳と一致しないもの、件数が合わない通知。事務の担当が当日中に見ます
  2. 期限の記載が無い契約は保険会社に確かめる … 代理店向けの窓口に問い合わせ、確かめた期限を一覧に書きます
  3. 台帳と一致しない契約は通知のPDFで確かめる … 読み取りの誤りか、台帳の誤りかを見ます
  4. 募集人が下書きを直して連絡する … 送るのは募集人です。連絡した日と手段を一覧に書きます
  5. 期限の後に入金を確かめる … 保険会社の画面で確かめ、一覧の状態を変えます

3番目を省かないでください。 名前が一致しない契約を「たぶん読み違いだろう」と募集人に回すと、別の契約者に振替不能を知らせる恐れがあります。 必ずPDFを開いて確かめます。

目標は、240件をならして1件3分です。 大半は、募集人が下書きを読んで少し直して送るだけで済み、確認の列に回るのは1割前後という想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
PDFにパスワードが付いている読めないので、事務の担当が開いて送り直す
通知の件数とAIの契約の数が合わない全件を確認の列へ。PDFを開いて確かめる
期限の記載が無いnot_stated として確認の列へ。保険会社に確かめる
証券番号が台帳に無い確認の列へ。新しい契約の台帳への登録漏れを疑う
契約者名が台帳と一致しない確認の列へ。募集人には回さない
同じ契約が二度載る証券番号と振替日で二重に回さない
期限がすでに過ぎている事務の担当と募集人の両方に知らせ、保険会社に扱いを確かめる
Claude API が応答しないラベルを残し、次の実行でもう一度試す

上から3行目までが、最初の数か月の確認の列の大半です。 会社ごとの通知の書き方に慣れてくると、どの会社のどの書き方が not_stated になりやすいかが分かり、保険会社への確かめ方も決まってきます。

Step11

記録を残す

  • 受け取った通知のPDFと、受け取った日時、保険会社
  • AIが返したJSONの全文と、件数の確認の結果
  • 不能の一覧の行と、状態を変えた日時と人
  • 募集人が送った連絡文(下書きからどこを直したか)
  • 確認の列に回った理由と、保険会社に確かめた結果

連絡した日時の記録は、後から「連絡をもらっていない」と言われたときの材料になります。 一覧の状態の変更を、変えた人と日時ごと残します。

保険会社ごとの not_stated の件数も、月ごとに数えます。 特定の会社の通知だけ期限の記載が無いと分かれば、その会社の代理店向けの窓口に、期限の書かれた帳票が別にないかを確かめるきっかけになります。

04実装レベルの3段階

最小構成:PDFを手でAIの画面に渡し、契約ごとの表を作らせる / 取り出しの確かめ
半自動化:上記+Make で通知を拾って読み取り、顧客台帳と突き合わせて一覧にする / 読み取りと割り当て
本格構成:上記+期限の順に並べ、連絡文の下書きを作り、募集人ごとに知らせる / 受付から連絡の準備までの全体

半自動化で、1件10分が5分程度になります。 書き写しと台帳の引き当ては自動になりますが、募集人が文面を書く時間が残ります。本格構成で3分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、not_stated になりやすい会社と、台帳の登録漏れが先に分かります。 そこを直してから下書きを足すほうが、募集人が一覧を信じて使うようになります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  240件 × 10分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 240件 × 3分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
70%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,000円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の保険会社の商品を扱う乗合の保険代理店で、保険会社ごとに書式の違う口座振替不能の通知が毎月まとまって届き、事務の担当が1件ずつ顧客台帳で募集人を引いて知らせている場合。通知が保険会社からメールの添付で届くか、代理店向けの画面から取り出したPDFを受付のアドレスに集められる場合。顧客台帳に証券番号と担当の募集人の列がある場合。
向いていない
  1. 扱う保険会社が1社で、保険会社の代理店向けの仕組みの中で不能の一覧と募集人への割り当てが完結している場合。振替不能が月に数件しかない場合。なお、契約者にどう払込を勧めるか、払込が難しい契約者に減額や払済などをどう案内するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた通知から、保険会社の違う3通を選ぶ(期限の書き方が違う会社を入れる)
  2. 手元のAIサービスにPDFを渡し、「契約ごとに、証券番号・契約者名・不能の理由・保険料・次の振替の日・払込の期限を表にしてください。期限は書かれた言葉ごと写し、計算しないでください。書かれていなければ空にしてください」と指示する
  3. 出てきた表を、当時事務の担当が書き写した一覧と見比べる

3通は必ず試してください。 シナリオを組む前に、「会社ごとに違う通知を、同じ形に取り出せるか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の一覧とおおむね一致したシナリオの構築に進む
次回振替日を期限の欄に入れた名指しの指示を足す。構成は有効
期限の欄を一般的な決まりで埋めた推定を禁じる指示を足す
当時の一覧に誤りがあった第3章の(c)が実際に起きていた。 導入の理由になる

4行目が出たら、その契約者への連絡がどうなったかも調べてください。 書き写しの誤りが、どのくらいの割合で起きていたかが分かります。

あわせて、当時の連絡が期限の何日前だったかも数えてください。 通知が届いてから募集人が連絡するまでの日数と、期限までに残っていた日数です。期限の数日前の連絡が多ければ、この構成で詰められるのは書き写しの時間よりも、その待ちの日数のほうです。 導入後に同じ数え方で比べられるよう、数え方を決めて残しておきます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
次回振替日を期限として扱う呼び方ごと写させ、名指しで禁じる
期限を一般的な猶予期間で埋める推定を禁じ、書かれていなければ not_stated
1件を読み飛ばす通知の合計件数と照らす
証券番号の1桁違いで別の契約者を引く契約者名でも突き合わせ、一致しなければ募集人に回さない
漢字とよみがなで一致しない台帳に両方の列を持たせる
画面で届く会社の取り出しが遅れるお知らせのメールで取り出しを促す
下書きが契約者を責める書き方になる事実と連絡先だけにし、ひな形の書き出しを選ばせる
下書きで減額や解約を勧める下書きには書かせない。募集人が話を聞いて決める
期限を過ぎた契約に気づくのが遅れる期限までの日数で並べ、7日を切ったら事務の担当にも知らせる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、通知に書かれていないことを、AIが知識や文脈で補うところから起きます。原文を写させ、書かれていなければ空にさせる指示で防ぎます。

3行目と4行目も、同じくらい重い誤りです。 読み飛ばしは「連絡が来ない」、番号の取り違えは「関係の無い人に連絡が行く」という、どちらも契約者から見て代理店の信頼を損なう形で表に出ます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 契約者の名前、証券番号、保険種目、保険料、口座振替ができなかったという事実と、その理由です。

  1. 口座の情報を写させない … 通知に口座番号や金融機関の名前が書かれていても、取り出す項目に含めず、一覧にも載せません。 連絡に要らないからです
  2. 別の契約者に知らせない … 証券番号と契約者名の両方が台帳と一致したものだけを募集人に回します。一致しないものは必ず人がPDFで確かめます
  3. 連絡は募集人が行う … 下書きは自動で作りますが、送るのは募集人です。 振替ができなかったことは契約者にとって知られたくない事情であることもあり、連絡の手段と言葉は契約者を知る人が選びます
  4. 期限と失効の扱いは保険会社の記載に従う … 生命保険の払込の猶予の期間は会社によって違い、猶予期間ではなく解除の予告の期間を設ける会社もあります。猶予期間を過ぎると自動振替貸付が適用されるか、失効するかのどちらかとされています。自動振替貸付が適用されても、立て替えられた保険料には利息がかかります。どちらになるか、失効の後にどう扱われるかは契約と会社で違うので、連絡文で断定せず、保険会社に確かめた内容だけを伝えます
  5. 一覧の閲覧の範囲を絞る … 不能の一覧は、担当の募集人と事務の担当だけが見られるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、期限を誤って伝えて契約が切れることと、別の契約者に振替不能を知らせることの2つです。 前者は期限を写させて計算させないことで、後者は契約者名の突き合わせと人の確認で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:顧客台帳の列をそろえる

顧客台帳に、証券番号、契約者名の漢字とよみがな、担当の募集人、連絡の手段の列がそろっているかを確かめます。保有契約の多い会社の分から埋めます。

2週目:3通で試す

先月の通知から会社の違う3通を選び、手元のAIサービスで契約ごとの表にさせます。次回振替日を期限として扱っていないか、期限を推定で埋めていないかを最優先で見ます。

3週目:連絡文のひな形を決める

不能の理由ごと、過去の不能の回数ごとの書き出しと結びを、募集人と決めます。払込の方法は通知に書かれた方法だけを案内する、と決めておきます。

4週目:通知から一覧までをつなぐ

Make で Watch emails から読み取り、顧客台帳との突き合わせ、不能の一覧への書き込みまでを作ります。この時点では募集人に知らせず、事務の担当が当時の書き写しと見比べます。

2か月目: 期限の順の並べ替えと、連絡文の下書き、募集人への通知を足します。確認の列に回った件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件10分が何分になったかを実測し、期限までに連絡できなかった契約が無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-09/最終更新:2026-10-09
確認した内容情報源確認日
Watch emails で送信者、件名、ラベル、添付の有無などを指定でき、1回の上限が500以下であること。List email attachments and media で添付を取り出し、ファイルのデータを含めて返す設定があることMake: Gmail modules2026-10-09
Search Rows と Add a Row などのモジュールがあることMake: Google Sheets modules2026-10-09
Anthropic Claude アプリに Create a Prompt と Make an API Call などのモジュールがあることMake: Anthropic Claude2026-10-09
Iterator が配列を1つずつのバンドルに分けることMake Help: Flow control2026-10-09
PDFの各ページを画像に変換し、各ページから取り出した文字を画像と一緒に渡すこと。1回の依頼の大きさが32MBまで、ページが600ページ(文脈の窓が100万トークン未満では100ページ)までで、パスワードや暗号化のないPDFが対象であること。1ページあたり1,500〜3,000トークン程度の文字に加えて画像の分がかかることClaude Docs: PDF support2026-10-09
構造化出力が output_config.format と type: "json_schema" で一般提供されていること。enum が使え、オブジェクトの additionalProperties は false が必要なことClaude Docs: Structured outputs2026-10-09
月払の払込猶予期間が払込期月の翌月の1日から末日までとされていること。猶予期間は生命保険会社によって異なる場合があり、解除予告期間を設ける会社もあること。猶予期間を過ぎると自動振替貸付が適用されるか、契約が失効するかのいずれかになること。自動振替貸付は解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える制度で、利息(複利)がつくこと生命保険文化センター: 保険料の払込みが遅れると2026-10-09

契約者にどう払込を勧めるか、失効や解除の扱いがどうなるかは、募集人と保険会社で確かめてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1184)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次