Media > AI活用ユースケース > カスタマーサポート > 歯科医院の Web 予約で届く問診の自由記述を、主訴・痛みの程度・既往・希望の治療に整え、先に連絡すべき予約に印を付けて受付に渡す

歯科医院の Web 予約で届く問診の自由記述を、主訴・痛みの程度・既往・希望の治療に整え、先に連絡すべき予約に印を付けて受付に渡す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

歯科医院の Web 予約に付いてくる問診の自由記述を、主訴・部位・痛みの程度・いつからか・既往と服薬・希望の治療に整えて、受付の一覧に記録します。院長が決めた連絡の目安に当たる記述のある予約には印を付け、受付に知らせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
医療
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
データ入力・転記/要約
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/判断に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
42h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
71%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 患者が Web 予約で日時と診療の種類を選び、問診に答えて送信する
  2. 予約サービスから医院の代表アドレスに通知メールが届く
  3. 受付が通知メールを開き、問診の自由記述を読む
  4. 予約台帳(予約サービスの管理画面)のメモ欄に、要点を書き写す
  5. 痛み・腫れ・出血・けがの記載があれば、歯科医師に口頭で伝え、先に電話をするか、予約を早めるかを相談する
  6. 既往・服薬・アレルギーの記載を、初診の準備のメモに写す
  7. 初診の当日、歯科医師がメモを見て、来院時の問診で詳しく聞く
導入後(After)
  1. 人患者が Web 予約で日時と診療の種類を選び、問診に答えて送信する
  2. 自動通知メールが届き、Gmail のフィルタが「Web予約」のラベルを付ける
  3. 自動ラベルの付与をきっかけに Zap が動き、問診の一覧で同じ予約が処理済みでないかを確かめる
  4. 自動AIが自由記述を主訴・部位・痛みの程度・いつからか・既往と服薬・希望の治療に分け、原文を写す
  5. 自動AIが院長の決めた連絡の目安に当たる記述があるかを見て、当たればその文を写す
  6. 自動問診の一覧(Zapier Tables)に1件を記録する
  7. 自動目安に当たる予約は、受付の共用アドレスに「先に連絡」の知らせを送る
  8. 人受付が知らせを見て歯科医師に伝え、先に電話をするか、予約を早めるかを決める
  9. 人受付が一覧の整理の結果を確かめ、予約台帳のメモ欄に貼る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 患者が Web 予約で日時と診療の種類を選び、問診に答えて送信する
  2. 予約サービスから医院の代表アドレスに通知メールが届く
  3. 受付が通知メールを開き、問診の自由記述を読む
  4. 予約台帳(予約サービスの管理画面)のメモ欄に、要点を書き写す
  5. 痛み・腫れ・出血・けがの記載があれば、歯科医師に口頭で伝え、先に電話をするか、予約を早めるかを相談する
  6. 既往・服薬・アレルギーの記載を、初診の準備のメモに写す
  7. 初診の当日、歯科医師がメモを見て、来院時の問診で詳しく聞く

(a)読んで写す時間がかかる。 自由記述は欄に分かれていないので、主訴がどこに書かれているかを探すところから始まります。 経緯を長く書いた患者ほど、受付は全部読んで要点を拾い直します。

(b)痛みや腫れの記載が埋もれる。 通知メールは届いた順に並び、ホワイトニングの相談と、腫れて熱が出ている患者の予約が同じ見た目で並びます。 昼休みにまとめて読むと、午前に届いた強い痛みの予約に気づくのが数時間遅れます。

(c)既往と服薬の書き方がばらばら。 「血をサラサラにする薬」「ワーファリン」「心臓の薬」「骨粗しょう症の注射をしている」。薬の名前で書く人も、効き目で書く人もいます。 受付が写すときに言い換えると、歯科医師が見たときに元の書き方が分からなくなります。

(d)受付によって写す内容が違う。 メモ欄に何を書くかは決まっておらず、詳しく写す受付と、主訴だけを1行で書く受付がいます。 歯科医師は初診の前にメモを見ますが、受付が誰だったかで情報の量が変わります。

  1. 【人】 患者が Web 予約で日時と診療の種類を選び、問診に答えて送信する
  2. 【自動】 通知メールが届き、Gmail のフィルタが「Web予約」のラベルを付ける
  3. 【自動】 ラベルの付与をきっかけに Zap が動き、問診の一覧で同じ予約が処理済みでないかを確かめる
  4. 【自動】 AIが自由記述を主訴・部位・痛みの程度・いつからか・既往と服薬・希望の治療に分け、原文を写す
  5. 【自動】 AIが院長の決めた連絡の目安に当たる記述があるかを見て、当たればその文を写す
  6. 【自動】 問診の一覧(Zapier Tables)に1件を記録する
  7. 【自動】 目安に当たる予約は、受付の共用アドレスに「先に連絡」の知らせを送る
  8. 【人】 受付が知らせを見て歯科医師に伝え、先に電話をするか、予約を早めるかを決める
  9. 【人】 受付が一覧の整理の結果を確かめ、予約台帳のメモ欄に貼る

8番目が、この設計の分かれ目です。 「先に連絡」の知らせが来ても、電話をするか、予約を動かすかは受付と歯科医師が決めます。 AIは目安に当たる言葉があったことを知らせるだけで、急ぎかどうかを判断しません。

9番目を残しているのは、患者の記述を医院の記録に移すのが人だからです。 整理の結果をそのまま予約台帳に流し込む連携は作りません。受付が目を通してから貼るので、AIの分け方が誤っていても、記録に入る前に止まります。

02今回想定するシステム構成

構成図
Web 予約サービス(予約と問診の回答)
   │  予約が入ると、医院の代表アドレスに通知メール
   ▼ Gmail のフィルタで「Web予約」のラベルを付ける
   ▼【トリガー】Gmail:New Labeled Email
Zapier の Zap
   ├──▶ Zapier Tables:Find Records(同じ予約番号があれば止める)
   ├──▶ AI by Zapier(Analyze and Return Data)
   │      主訴・部位・痛みの程度・いつから・既往と服薬・希望の治療
   │      連絡の目安に当たる記述(原文)
   ├──▶ Zapier Tables:Create Record(問診の一覧に記録)
   └──▶ Paths
          ├ 目安に当たる → Gmail:Send Email(受付の共用アドレスへ「先に連絡」)
          ├ 既往・服薬の記載あり → 一覧の「歯科医師へ」に印
          └ フォールバック → 一覧に記録のみ
   ▼【人】受付が確かめて予約台帳のメモ欄に貼る
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Gmail、Zapier Tables、Paths)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data。自前の Anthropic のキーで Claude を使う)ChatGPT(OpenAI)
メールGmail(Google Workspace の医院の代表アドレス)Microsoft Outlook

新しく足すのは、Zap と問診の一覧だけです。 Web 予約サービスの設定にも電子カルテにも手を入れません。通知メールは今までどおり代表アドレスに届き、そこから先を Zapier が引き取ります。

入口は Gmail の New Labeled Email です。 メールにラベルが付いたときに動くトリガーで、Zapier の説明では検知できる期間に制限が無いとされています(New Email Matching Search は1時間)。一方で、同じスレッドに返信が足されたときにも動くとされているので、二重の処理を一覧の側で止めます。

整理は AI by Zapier の Analyze and Return Data で行います。 返してほしい項目を名前と型で決め、説明と必須かどうかを付けられ、その形で値を返します。Professional・Team・Enterprise のプランで使え、モデルは Standard(1倍)、Advanced(3倍)、Premium(5倍。新しいステップの既定)から選ぶか、OpenAI・Anthropic・Google Gemini・Azure OpenAI・Amazon Bedrock の自前のキーを使えます。前の実行から学ばず、毎回同じ初期状態で動くとされています。

本記事では、自前の Anthropic のキーで Claude を使う形を想定します。 問診には病歴が書かれるので、どの提供元で処理されるかを医院が選べる形にしておくためです。小児歯科の予約では保護者が子どもの症状を書くので、利用者の年齢に制限のある規約の提供元は選びません。

問診の一覧は Zapier Tables に置きます。 Zap から Find Records で探し、Create Record で記録し、Update Record で書き換えられます。分岐は Paths で、1つのグループに最大10本、どれにも当たらないときだけ動くフォールバックを1本置けます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

Web 予約の通知メールに「Web予約」のラベルが付いたことを起点にします。 ラベルは Gmail のフィルタで、予約サービスの送信元のアドレスと、通知メールの件名の決まった文字列を条件に付けます。受付が手でラベルを付ける運用にはしません。 手で付けると、忙しい時間帯に届いた予約ほど漏れます。

New Labeled Email を選ぶのは、検知できる期間に制限が無いからです。 New Email Matching Search は1時間とされ、Zapier の側が一時的に止まっていたときに取りこぼす余地があります。取りこぼした予約が、強い痛みを書いてきた患者のものだったときの損が大きいので、制限の無いほうを選びます。

そのかわり、同じスレッドに返信が足されたときにも動きます。 予約の変更や取り消しの通知が同じスレッドに入ることがあり、そのたびに Zap が動きます。Zap の最初の段で、問診の一覧を予約番号で Find Records で引き、記録があれば止めます。 変更の通知は、件名の文字列でフィルタから外しておきます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
通知メール件名、本文(予約番号、予約日時、診療の種類、患者の氏名、問診の選択式の回答、自由記述)、受信日時Gmail
連絡の目安院長が決めた「書かれていたら先に知らせる」言葉の一覧と、その例AI のステップの指示に書き込む
欄の定義主訴・部位・痛みの程度・いつからか・既往と服薬・希望の治療の、それぞれに入れるものと入れないものAI のステップの指示に書き込む
問診の一覧予約番号、予約日時、整理の結果、目安に当たったか、受付の確認の状態Zapier Tables

質を決めるのは、連絡の目安です。 院長が口頭で伝えていた「この言葉が書かれていたらすぐ教えて」を、言葉の一覧として書き出します。 たとえば「腫れて顔の形が変わった」「熱がある」「血が止まらない」「歯が抜けた・折れた(けが)」「口が開かない」「飲み込むと痛い」「夜も眠れないほど痛い」。一覧に無い言葉は拾いません。 拾い方を広げたいときは、AIに任せるのではなく院長が一覧に足します。

選択式の回答も一緒に渡します。 痛みの有無、妊娠の可能性、服用中の薬の有無の選択は、自由記述と食い違うことがあります。「服用中の薬:なし」と選んで、自由記述に「血圧の薬を飲んでいます」と書く患者がいます。食い違ったときは両方を残し、どちらかに寄せません。

Step3

データの取得方法を決める

データはすべて、トリガーが返す通知メールの中にあります。 予約サービスの通知メールは「予約番号:」「ご予約日時:」「問診:」のように決まった並びで本文に書かれているので、別のシステムから取ってくるものはありません。

取るものどこからどうやって
件名・本文・受信日時・スレッドIDGmailNew Labeled Email の出力
予約番号本文の「予約番号:」の行AI のステップで写し出す
同じ予約の記録の有無Zapier TablesFind Records(予約番号で探す)
問診の選択式の回答と自由記述本文の問診の部分AI のステップに本文の該当部分を渡す

予約番号を先に写し出すのは、重複の確認のためです。 スレッドIDだけで止めると、患者が同じ日に2回予約を入れ直したときに、2件目が別のスレッドで届いて別の予約として記録されます。 予約番号と患者の氏名と予約日時の3つで照合します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重複の確認 … 予約番号で問診の一覧を引き、記録があれば止めます
  2. 本文の切り出し … 通知メールの決まった前置き(「以下の内容で予約を受け付けました」)と末尾の署名を落とし、予約の項目と問診の部分だけを渡します
  3. 電話番号とメールアドレスを渡さない … 整理にも目安の判定にも要りません。一覧にだけ残します
  4. 生年月日を渡さない … 年齢の区分(小児・成人)だけを、予約の診療の種類から一覧に残します
  5. 選択式の回答と自由記述を分けて渡す … 食い違いを見られるようにします

3番目と4番目は、AIに渡す情報を絞るためです。 問診には病歴と服薬が書かれ、それ自体は整理に要ります。だからこそ、整理に要らない連絡先と生年月日は最初から外します。 患者の氏名も、一覧の記録には使いますが、AI のステップには渡しません。予約番号で一覧と結び付ければ足ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、自由記述を決まった欄に分けることと、連絡の目安に当たる記述を原文で写すことの2つです。 どちらも1つの Analyze and Return Data のステップで行います。

欄させること判断できないときの扱い
主訴いちばん困っていることを、患者の言葉で1〜2文に写す書かれていなければ not_stated
部位「左下の奥歯」「右上の歯ぐき」など、書かれたとおりに写す書かれていなければ not_stated
痛みの程度痛みについての記述を原文で写す。段階に直さない痛みの記述が無ければ not_stated
いつからか「3日前から」「先月から」を原文で写す。日付に直さない書かれていなければ not_stated
既往と服薬病名・薬・注射・アレルギーの記述を、書かれたとおりに写す書かれていなければ not_stated
希望の治療「削りたくない」「ホワイトニング」「インプラントの相談」などを写す書かれていなければ not_stated
連絡の目安一覧の言葉に当たる記述があるかと、その原文当たらなければ none
食い違い選択式の回答と自由記述が食い違っているか食い違いがあれば内容を写す

痛みの程度を段階に直させないのは、患者の言葉のほうが歯科医師の役に立つからです。 「冷たいものでしみる」と「何もしなくてもズキズキする」は、歯科医師にとってまったく違う情報です。「中程度」のような段階に直すと、その違いが消えます。 予約サービスの問診に痛みの段階を選ぶ欄があれば、その値は選択式の回答として別に残します。

連絡の目安は、一覧の言葉に当たるかだけを見させます。 「この症状は急いだほうがよい」とAIに考えさせると、一覧に無い言葉まで拾い、受付への知らせが増えすぎます。 増えすぎた知らせは読まれなくなります。拾い方の線は院長が持ちます。

させないこと理由
病名の推測(「虫歯の可能性」「歯周病」など)診断は歯科医師が行う
急患として扱うかの判断歯科医師が決める。AIは目安の言葉の有無だけ
薬の名前の言い換え・補い「血をサラサラにする薬」を特定の薬名に直さない
「いつからか」の日付への計算予約を入れた日と診る日で意味がずれる
患者への返信や助言この構成は院内の整理まで

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「血をサラサラにする薬」と書かれていると、AIは親切に代表的な薬の名前を補いがちです。補った名前が一覧に載ると、歯科医師はそれを患者の申告として読みます。 患者がどの薬を飲んでいるかは、来院時に歯科医師がお薬手帳で確かめることです。

Step6

指示内容を固定する

Analyze and Return Data の指示:

あなたは歯科医院の受付で、Web 予約の問診を整理する担当です。
問診に書かれていることだけを使って、欄を埋めてください。
推測で埋めないでください。言い換えないでください。

【欄の埋め方】
- chief_complaint:いちばん困っていることを、患者の言葉のまま
  1〜2文で写してください。要約するときも、患者の使った言葉を残して
  ください。
- site:歯や歯ぐきの場所を、書かれたとおりに写してください。
- pain_text:痛み・しみる・ズキズキなど、痛みについての記述を
  原文のまま写してください。「軽い」「中程度」「強い」のような
  段階に直さないでください。
- onset_text:いつからかの記述を原文のまま写してください。
  日付に直したり、日数を計算したりしないでください。
- history_meds_text:病名、飲んでいる薬、注射、アレルギーの記述を
  原文のまま写してください。薬の名前を補ったり、一般名に直したり
  しないでください。
- wish_text:治療についての希望を写してください。
- 書かれていない欄は not_stated にしてください。

【連絡の目安】
下の一覧の言葉、またはほぼ同じ意味の言い回しが書かれている場合だけ、
alert を yes にし、その文を alert_text にそのまま写してください。
一覧に無い症状で alert を yes にしないでください。
- 顔が腫れた・腫れて形が変わった
- 熱がある・熱っぽい
- 血が止まらない
- けがで歯が抜けた・折れた・ぐらぐらになった
- 口が開かない・飲み込むと痛い
- 夜も眠れないほど痛い・痛み止めが効かない

【食い違い】
選択式の回答と自由記述が食い違う場合は、mismatch に両方の内容を
写してください。どちらが正しいかを決めないでください。

【厳守事項】
- 病名や原因を推測して書かないでください。
- 急いだほうがよいか、受診すべきかの意見を書かないでください。
- evidence に、chief_complaint の根拠にした文をそのまま写して
  ください。
- 問診が歯科の症状と関係のない内容(営業、いたずら)の場合は、
  is_not_patient を true にしてください。

【予約番号】{reservation_no} 【診療の種類】{visit_type}
【選択式の回答】{choices}
【自由記述】{free_text}

「ほぼ同じ意味の言い回し」を入れているのは、患者が一覧どおりの言葉で書かないからです。 「ほっぺたがパンパン」は「顔が腫れた」と同じことです。ただし、一覧に無い症状で拾うことは禁じます。 広げすぎず、言い回しの揺れだけを吸収させる、という線をこの2行で引いています。

「段階に直さない」「日付に直さない」「薬の名前を補わない」の3つは、どれも同じ理由で書いています。 AIは整えるように言われると、親切に分かりやすい形に直します。直した瞬間に、患者が実際に書いた情報が消えます。

Step7

出力形式を固定する

Analyze and Return Data の出力項目として、次のように定義します。

項目名型説明必須
reservation_noテキスト本文から写した予約番号はい
chief_complaintテキスト主訴(患者の言葉)はい
siteテキスト部位の原文/not_statedはい
pain_textテキスト痛みの記述の原文/not_statedはい
onset_textテキストいつからかの原文/not_statedはい
history_meds_textテキスト既往・服薬・アレルギーの原文/not_statedはい
wish_textテキスト希望の治療/not_statedはい
alertテキストyes/noneはい
alert_textテキスト目安に当たった文の原文いいえ
mismatchテキスト選択式と自由記述の食い違いの内容いいえ
is_not_patientテキストtrue/falseはい
evidenceテキスト主訴の根拠にした文はい

項目に分けて受け取る理由の1つ目は、Paths の条件にそのまま使えることです。 分岐は alert と history_meds_text の値で決まり、AIの文章を読み解く処理を挟まずに済みます。

分岐条件動き
先に連絡alert が yes受付の共用アドレスに知らせを送る。一覧に「先に連絡」の印
歯科医師へhistory_meds_text が not_stated でない一覧に「歯科医師へ」の印
患者でないis_not_patient が true一覧に「確認」の印のみ
フォールバック上のどれにも当たらない一覧に記録のみ

受付への知らせの本文は、次の形に固定します。

【先に連絡】Web予約 {reservation_no}
予約日時:{予約日時} 診療の種類:{visit_type}
目安に当たった記述:{alert_text}
主訴:{chief_complaint}
※ 電話をするか、予約を早めるかは歯科医師に相談して決めてください。

2つ目の理由は、一覧が予約台帳のメモ欄の形にそろうことです。 受付が一覧の行を開くと、主訴・部位・痛み・いつから・既往と服薬・希望が同じ順に並んでいます。受付が誰でも、歯科医師が見るメモの形が同じになります。 第3章の(d)への答えです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailNew Labeled Email通知メールの受け取り
Zapier TablesFind Records、Create Record、Update Record重複の確認、問診の記録、受付の確認の状態の更新
AI by ZapierAnalyze and Return Data欄への整理と、連絡の目安の判定
GmailSend Email受付の共用アドレスへの「先に連絡」の知らせ(院内だけ)

患者へは何も送りません。 Send Email の宛先は受付の共用アドレスに固定し、患者のアドレスを宛先に使うステップを Zap に置きません。 患者に電話をするか、メールを返すかは受付が決めます。

予約台帳と電子カルテには書き込みません。 受付が一覧を見て、予約台帳のメモ欄に貼ります。医院の記録に入るものは、すべて人の目を通ります。

Step9

人が確認する

  1. 「先に連絡」の知らせを見る … 届いたら、受付がその場で歯科医師に alert_text を見せ、電話をするか、予約を早めるかを決めます
  2. 一覧の整理の結果を確かめる … 主訴・部位・痛み・既往と服薬が、元の自由記述と合っているかを見ます。特に history_meds_text は、元の文と一字ずつ見比べます
  3. 予約台帳のメモ欄に貼る … 確かめた内容を貼り、一覧の状態を「確認済み」にします
  4. mismatch のある予約 … 来院時に歯科医師が聞き直せるよう、メモ欄の先頭に食い違いを書きます

2番目で既往と服薬を一字ずつ見るのは、ここが歯科医師の判断に直接つながるからです。 抜歯や麻酔の前に歯科医師が気にする情報で、写し間違いがあると、来院時の問診で拾い直せないことがあります。

目標は、360件をならして1件2分です。 記述の短い予約は1分かからず、経緯を長く書いた予約や既往の記載のある予約は数分かかります。2分を大きく超える月は、欄の定義があいまいで、AIの分け方を受付が毎回直しています。

目安に当たらなかった予約を、受付が読まなくてよいことにはしません。 一覧の整理の結果は全件、受付が目を通します。目安の一覧は「先に気づくための網」で、読まなくてよい予約を決めるものではありません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
予約の変更の通知で Zap が動く予約番号で一覧を引き、記録があれば止める。件名で新規予約だけにラベルを付ける
予約番号が写せない一覧に「確認」の印を付けて記録。受付が通知メールを見て直す
自由記述が空AIのステップを飛ばし、選択式の回答だけを一覧に記録する
自由記述が外国語原文のまま一覧に残し、整理はしない。受付が歯科医師に回す
保護者が子どもの症状を書いている整理はそのまま行う。一覧に「小児」の区分を残す
けがの記載があり、予約が数日先alert が yes になり、受付に知らせが届く。予約を早めるかは歯科医師が決める
AI のステップが失敗するZap の実行履歴に残る。受付が通知メールから手で整理する
同じ患者が別の日時でも予約している予約番号が違えば別に記録し、氏名と電話番号が同じなら一覧に「重複の可能性」の印

6行目は、この構成でいちばん効く場面です。 前歯をぶつけた子どもの予約が、空いている数日先の枠で入ることがあります。受付がその通知を昼休みまで読まなければ、その間に打てた手が打てません。 知らせが届けば、受付は午前のうちに歯科医師に伝えられます。

Step11

記録を残す

  • 通知メールのスレッドID、受信日時、予約番号
  • AI のステップが返した項目の全文(chief_complaint、alert_text、history_meds_text など)
  • 付けた印(先に連絡・歯科医師へ・確認)と、受付への知らせを送ったかどうか
  • 受付が整理の結果を直した記録 … どの欄を、どう直したか
  • 「先に連絡」の知らせに対して、電話をしたか、予約を早めたか

4つ目が、欄の定義を育てる材料です。 受付が直した欄を月に一度数え、同じ直しが続く欄は、定義の「入れるもの・入れないもの」に足します。

最後の行は、連絡の目安の見直しに使います。 知らせを送ったのに何もしなかった予約が多ければ、目安の言葉が広すぎます。逆に、知らせが無かったのに来院時に急いで診た患者がいれば、その患者の書いた言葉を院長が一覧に足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:自由記述を手元のAIサービスに貼り、欄に分けさせる / 1件ごとの整理
半自動化:上記+ラベルの付与で Zap が動き、整理・一覧への記録・「先に連絡」の知らせまでを行う / 読んで写すこと、目安の言葉の拾い出し
本格構成:上記+予約サービスの管理画面への整理の結果の反映、来院前日の確認の一覧 / 予約台帳への記録までの流れ

半自動化で、1件7分が2分になり、この段階が本記事の想定です。 読んで写すことと、伝えるべきかを判断する材料を探すことが自動になり、残るのは確かめて貼ることです。 本格構成に進めるかは、予約サービスに API があるかで決まります。 進めない場合も、半自動化のままで工数の大半は減っています。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、受付が直す欄と、目安の言葉の拾いすぎ・拾い損ねが先に分かります。そこを直さないまま予約台帳に流し込むと、直されないまま歯科医師の目に入ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
7 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  360件 × 7分 ÷ 60 = 42 時間/月
導入後 360件 × 2分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
71%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価2,500円)
90万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. Web 予約を受け付けている歯科医院で、予約の通知メールに問診の自由記述が付いて月に数百件届き、受付が1件ずつ読んで予約台帳のメモ欄に写し、痛みや腫れの書かれた予約を探して歯科医師に伝えている場合。通知メールを Gmail(Google Workspace)で受けていて、強い痛みを書いてきた患者への連絡が、受付の手が空くまで遅れることが気になっている場合。
向いていない
  1. Web 予約が月に数十件で、受付が予約のたびに読んで足りている場合。予約システムの問診が選択式だけで、自由記述の欄が無いか、ほとんど書かれない場合。なお、急患として扱うかどうか、診療の順番、診断と治療の方針は、この構成では代替できません。歯科医師が決めます。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の Web 予約の通知メールから30件を選ぶ(うち数件は、痛みや腫れが書かれたもの、既往と服薬が書かれたもの、保護者が書いたものを入れる)
  2. 連絡の目安の言葉の一覧と、欄の定義を書く
  3. 患者の氏名・電話番号・メールアドレス・生年月日を消した自由記述と、定義を手元のAIサービスに貼り付ける
  4. 「欄に分けてください。患者の言葉のまま写し、段階や日付に直さないでください。薬の名前を補わないでください。一覧の言葉に当たる記述があれば原文を写してください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の受付のメモと突き合わせる

30件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「自由記述を欄に分けられるのか」「目安の言葉を拾えるのか」を確かめます。 3番目で個人を特定できる項目を消すのを忘れないでください。

出てきた内容判断
当時の受付のメモとおおむね同じになったZap の組み立てに進む
痛みを段階に直したり、薬の名前を補ったりする指示の書き方で直る。構成は有効
目安の言葉を拾いすぎる・拾い損ねる一覧の言葉と言い回しの例を院長と見直す

3行目が出るのが普通です。 拾いすぎ・拾い損ねた言葉は、院長と受付の頭の中にあった線を書き出す材料になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
予約の変更の通知で二重に記録されるNew Labeled Email は返信でも動く。予約番号で止め、新規予約の件名だけにラベル
痛みが「中程度」のような段階に直される原文のまま写させ、段階に直さないことを明記する
「3日前から」が日付に直される日付と日数の計算を禁じる
薬の名前が補われる補わない・一般名に直さないことを明記し、受付が一字ずつ見比べる
目安の言葉を拾いすぎて知らせが読まれなくなる一覧に無い症状で拾わせない。拾い方の線は院長が持つ
選択式と自由記述の食い違いが片方に寄せられる両方を残させ、どちらが正しいかを決めさせない
AI の費用が想定より高い組み込みのモデルは新しいステップの既定が Premium(5倍)。自前のキーか Standard にする
目安に当たらない予約を誰も読まなくなる一覧の整理の結果は全件、受付が目を通す運用にする

上から2行目と4行目が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが親切に「分かりやすく」直したことで、患者が書いた情報が消える失敗です。写させることと直させないことを、指示の中で何度も書きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 患者の氏名、予約日時、診療の種類、問診の選択式の回答と自由記述です。自由記述には病名、飲んでいる薬、注射、アレルギー、妊娠の可能性が書かれます。小児歯科では、保護者が子どもの症状を書きます。

  1. 病歴は要配慮個人情報として扱う … 個人情報保護委員会のガイドラインでは、病歴は要配慮個人情報に当たり、取得や第三者提供には原則として本人の同意が要るとされています。Web 予約の問診で患者が自ら書いて送る情報ですが、それを Zapier と AI の提供元で処理することを、医院のプライバシーポリシーと Web 予約の画面の説明に書きます
  2. AI の提供元を医院が選ぶ … AI by Zapier は Zapier の組み込みのモデルか、自前の AI の提供元のアカウントで動きます。自前のキーを使う場合、提供元の利用規約とデータの扱いを医院が確かめて選びます。 小児の患者の情報を扱うので、利用者の年齢に制限のある規約の提供元は選びません
  3. AI に渡す項目を絞る … 氏名・電話番号・メールアドレス・生年月日は渡さず、予約番号・診療の種類・問診の回答だけにします
  4. 患者へ自動で何も送らない … 受付への知らせは院内の共用アドレスだけに送ります。患者への連絡は人が行います
  5. 病名の推測や受診の助言を書かせない … 一覧に載った推測は、歯科医師にも受付にも患者の申告として読まれます
  6. 問診の一覧の閲覧範囲を絞る … 問診の一覧は病歴がまとまった表です。Zapier Tables の共有の範囲を受付と歯科医師に限り、保存の期間を決めます
  7. 医療情報の安全管理の考え方と照らす … 厚生労働省が医療機関向けに示している医療情報システムの安全管理のガイドラインを、外部のサービスを使う前に院内で確かめます

誤りが起きた場合のリスクは、強い痛みや腫れを書いた予約に気づくのが遅れることと、既往と服薬を誤って写すことの2つです。 前者は目安の言葉が足りないと起き、後者は言い換えと補いを許すと起きます。どちらも、原文で写させ、受付が全件に目を通すことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:連絡の目安と欄の定義を書く

院長と受付で、「書かれていたら先に知らせてほしい」言葉の一覧を書き出します。受付のうち経験の長い1名に、これまで歯科医師に伝えた予約の書き方を出してもらいます。 あわせて、主訴・部位・痛み・いつから・既往と服薬・希望の欄に入れるものと入れないものを決めます。

2週目:30件で試す

先月の通知メールから30件を選び、個人を特定できる項目を消して手元のAIサービスで整理させます。当時の受付のメモと突き合わせ、痛みを段階に直していないか、薬の名前を補っていないかを最優先で見ます。

3週目:AI の提供元と説明を決める

自前のキーで使う AI の提供元を決め、プライバシーポリシーと Web 予約の画面の説明を見直します。 Gmail のフィルタでラベルが付くようにし、Zapier Tables に問診の一覧を作ります。

4週目:Zap をつなぐ

New Labeled Email から AI by Zapier、問診の一覧、Paths までを作ります。最初の2週間は受付への知らせを送らず、一覧の整理の結果と「先に連絡」の印だけを、受付の読み方と見比べます。

2か月目: 受付への知らせを足し、受付が直した欄と、目安の拾いすぎ・拾い損ねを毎週数えます。3か月目以降: 強い痛みの予約に気づくまでの時間を導入前と比べ、目安の一覧と欄の定義の手入れが月1回で済むようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Analyze and Return Data で出力項目を名前と型で定義し、説明と必須を付けられること。Professional・Team・Enterprise で使えること。モデルが Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)と自前のキー(OpenAI・Anthropic・Google Gemini・Azure OpenAI・Amazon Bedrock。1倍)から選べること。前の実行から学ばないことZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-14
New Labeled Email がラベルの付与と、スレッドへの返信の追加で動き、検知の期間に制限が無いこと。New Email Matching Search が1時間であること。Send Email があることZapier: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-14
Paths が Professional・Team・Enterprise で使え、1つのグループに最大10本、フォールバックを1本置けることZapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-14
Zapier Tables の Zap の操作に Find Records、Create Record、Update Record があることZapier: Zapier Tables integrations2026-10-14
病歴が要配慮個人情報に当たること。要配慮個人情報の取得や第三者提供には原則として本人の同意が必要とされること個人情報保護委員会: 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)2026-10-14

急患として扱うか、診療の順番、診断と治療の方針は、歯科医師が判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1466)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次