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デイサービスで家族と職員が手書きでやり取りする連絡帳を読み取り、家族からの依頼・体調の連絡・持ち物を利用者ごとの記録にそろえて、対応が要る連絡を拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

デイサービスの連絡帳で家族が手書きした欄を写真から読み取り、依頼・体調・持ち物・予定に分けて利用者ごとの記録にそろえます。その日のうちに誰かが動く必要のある連絡だけを、朝の申し送りの一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Document AI
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
介護/医療
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
データ入力・転記/分類・仕分け
主な課題
入力作業が多い/引き継ぎができていない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 送迎車の到着ごとに、利用者のかばんから連絡帳を取り出して相談室の机に積む
  2. 生活相談員が1冊ずつ開き、家での様子の小欄と連絡欄を読む
  3. 体調に関わる記載(熱、眠れていない、食欲がない、便が出ていない)を介護記録ソフトの当日の記録に書き写す
  4. 依頼(入浴を控える、薬を飲ませる、爪を切る、着替えを持ち帰る)を申し送りノートに書き、入浴担当と看護職員に口頭で伝える
  5. 欠席や通院の予定が書かれていれば、送迎表に手書きでメモし、送迎の担当に伝える
  6. 持ち物(薬の袋、着替え、預かった現金)を連絡帳と照らし、預かり物の箱に入れる
  7. 夕方、職員が右側の「デイでの様子」を書き、帰りの送迎で返す
導入後(After)
  1. 人送迎の到着時に、職員がタブレットで連絡帳の家族の記入欄(見開きの左側)を撮影する
  2. 自動写真が共有フォルダに保存されると、Python のプログラムが利用者を特定し、画像の形式と大きさを確かめる
  3. 自動Google Document AI の Form Parser が、小欄のキーと値、連絡欄の文字、読み取りの信頼度を返す
  4. 自動Claude API が、記載を「依頼」「体調」「持ち物」「予定」「その他」に分け、対応する担当と期限の候補を付ける
  5. 自動否定の言葉を含む依頼と、信頼度の低い行に「写真で確かめる」の印を付ける
  6. 自動利用者ごとの連絡の記録に追記し、当日の要対応の一覧を作る
  7. 人生活相談員が要対応の一覧を写真と見比べ、印の付いた行を確かめてから確定する
  8. 人確定した一覧を朝の申し送りで読み上げ、入浴担当・看護職員・送迎担当がそれぞれの行を受け取る
  9. 人予定の連絡は、相談員が送迎表へ反映する
  10. 自動夕方、当日の要対応のうち「済」になっていない行を相談員に知らせる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 送迎車の到着ごとに、利用者のかばんから連絡帳を取り出して相談室の机に積む
  2. 生活相談員が1冊ずつ開き、家での様子の小欄と連絡欄を読む
  3. 体調に関わる記載(熱、眠れていない、食欲がない、便が出ていない)を介護記録ソフトの当日の記録に書き写す
  4. 依頼(入浴を控える、薬を飲ませる、爪を切る、着替えを持ち帰る)を申し送りノートに書き、入浴担当と看護職員に口頭で伝える
  5. 欠席や通院の予定が書かれていれば、送迎表に手書きでメモし、送迎の担当に伝える
  6. 持ち物(薬の袋、着替え、預かった現金)を連絡帳と照らし、預かり物の箱に入れる
  7. 夕方、職員が右側の「デイでの様子」を書き、帰りの送迎で返す

(a)依頼が担当者に届かない。 申し送りノートに書いても、入浴担当がノートを見るのは手が空いたときです。「今日は入浴を控えて」が入浴の後に伝わる日があります。 口頭で伝えた依頼は、伝えた相手が休憩に入ると止まります。

(b)朝の書き写しが送迎の到着と重なる。 9時前後の30分に、1事業所で30冊前後の連絡帳が届きます。到着した利用者の誘導、バイタルの測定、トイレの介助と同じ時間帯に、1冊ずつ読んで書き写す時間を取ることになります。 急ぐほど、連絡欄の最後の行や余白が読み飛ばされます。

(c)予定の連絡が送迎表に届かない。 「来週の火曜は通院のため休みます」と書かれた連絡帳は、その日のうちに返却されます。送迎表に写し忘れると、翌週の火曜に送迎車が空振りで迎えに行きます。 家族の側は連絡帳に書いた時点で伝えたつもりでいます。

(d)過去の連絡を探せない。 連絡帳は家族の手元にあり、介護記録ソフトに写したのは相談員がそのとき大事だと判断した部分だけです。ケアマネジャーへの報告や家族との面談の前に、何週分かの連絡をたどる手段がありません。

  1. 【人】 送迎の到着時に、職員がタブレットで連絡帳の家族の記入欄(見開きの左側)を撮影する
  2. 【自動】 写真が共有フォルダに保存されると、Python のプログラムが利用者を特定し、画像の形式と大きさを確かめる
  3. 【自動】 Google Document AI の Form Parser が、小欄のキーと値、連絡欄の文字、読み取りの信頼度を返す
  4. 【自動】 Claude API が、記載を「依頼」「体調」「持ち物」「予定」「その他」に分け、対応する担当と期限の候補を付ける
  5. 【自動】 否定の言葉を含む依頼と、信頼度の低い行に「写真で確かめる」の印を付ける
  6. 【自動】 利用者ごとの連絡の記録に追記し、当日の要対応の一覧を作る
  7. 【人】 生活相談員が要対応の一覧を写真と見比べ、印の付いた行を確かめてから確定する
  8. 【人】 確定した一覧を朝の申し送りで読み上げ、入浴担当・看護職員・送迎担当がそれぞれの行を受け取る
  9. 【人】 予定の連絡は、相談員が送迎表へ反映する
  10. 【自動】 夕方、当日の要対応のうち「済」になっていない行を相談員に知らせる

7番目が、この設計の分かれ目です。 相談員が見るのは全文ではなく、要対応と出た行と、印の付いた行だけです。 体調の記録は利用者ごとの記録に入るので、必要なときに後から読めます。

10番目を足しているのは、(a)の失敗が「伝えた後」に起きるからです。 一覧に載せても、受け取った担当が動いたかどうかは分かりません。夕方に「済」の付いていない行を拾い、連絡帳を返す前に確かめます。

02今回想定するシステム構成

構成図
連絡帳(家族の記入欄)
   │  到着時にタブレットで撮影
   ▼【トリガー】共有フォルダへの保存
Python ── ファイル名から利用者を特定、形式と大きさの確認
   ▼
Google Document AI(Form Parser)
   │   小欄のキーと値、連絡欄の文字、信頼度を返す
   ▼
Claude API ── 記載を依頼/体調/持ち物/予定/その他に分ける
   │   担当(入浴・看護・送迎・相談員)と期限の候補を付ける
   ▼
Python ── 否定の言葉と低い信頼度に印、利用者ごとの記録へ追記
   ▼
当日の要対応の一覧(印の付いた行は「写真で確かめる」)
   ▼
【生活相談員が確かめて確定】── 朝の申し送り
   ▼
夕方:未済の行を相談員へ
役割想定する製品代替候補
OCRGoogle Document AI(Form Parser)Azure AI Document Intelligence
生成AIClaude API(記載の分類と担当・期限の候補)OpenAI API、Gemini API
連携Python(フォルダの監視、利用者の特定、記録への追記)Google Apps Script
保管法人の共有フォルダGoogle ドライブ

新しく足すのは、撮影の手順と、利用者ごとの連絡の記録の2つです。 介護記録ソフトはそのまま使い、この構成からは書き込みません。連絡の記録はスプレッドシートで持ち、相談員が確定した体調の記載だけを、これまでどおり手で介護記録ソフトへ写します。

土台は Document AI の Form Parser です。 公式のプロセッサ一覧では、OCRのテキストに加えてキーと値のペア、チェックボックス、表を抽出するとされ、言語の一覧で日本語(ja)は手書きに対応する言語として示されています。連絡帳の「睡眠」「食事」「排便」の小欄はキーと値のペアとして、連絡欄の自由な文面はOCRのテキストとして読めます。

Form Parser の注意書きのうち、この題材で効くのは空欄の扱いです。 公式のページでは、値が空のキーと値のペアは確実には読み取れないとされています。家族が「排便」の欄を空けたのか、書いたが読めなかったのかは、キーと値のペアだけでは分かりません。空欄の判定は、OCRのテキストと信頼度を合わせて行います(第7章)。

処理する場所は、リージョンの一覧から選びます。 マルチリージョンの us と eu、シンガポール(asia-southeast1)などの単一リージョンがあり、日本のリージョンはありません。 連絡帳には利用者の体調や服薬が書かれているので、国外で処理してよいかを導入前に法人として決めておきます(第13章)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

共有フォルダに写真が保存されたことを起点にします。 1日分をまとめて夕方に処理すると、朝の依頼が入浴の後に届くという(a)の失敗がそのまま残ります。撮った写真は数分以内に一覧へ載るように、Python のプログラムが1分おきにフォルダを見ます。

撮影は、送迎車から降りた利用者のかばんから連絡帳を出した、その場で行います。 相談室に積んでから撮ると、積んだ順と撮った順が入れ替わり、どの写真がどの利用者か分からなくなります。

保存先は事業所ごとに分け、ファイル名を「利用者番号_日付」で付けます。 タブレットの撮影アプリで利用者番号の一覧から選んでから撮る形にすれば、名前を手で打たずに済みます。処理が終わった写真は処理済みのフォルダへ移します。 移すのは成功したときだけにし、元のフォルダに残っている数が未処理の数になるようにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
連絡帳の写真家族の記入欄(見開きの左側)。撮影日時、事業所共有フォルダ
読み取り結果小欄のキーと値、連絡欄の全文、行ごとの信頼度Google Document AI
利用者の情報利用者番号、氏名、来所の曜日、入浴の有無と方法、服薬の預かりの有無利用者一覧(スプレッドシート)
担当の割り振り依頼の種類ごとの担当(入浴・看護・送迎・相談員)と、その日の担当者名当日の勤務表
直近の連絡その利用者の過去4週の連絡の記録利用者ごとの連絡の記録

質を決めるのは、利用者の情報の列です。 「お風呂は控えて」と書かれていても、その利用者がもともと入浴しない日なら要対応にはなりません。入浴の有無を持っていないと、毎日のように空振りの行が一覧に並びます。

直近の連絡を渡すのは、続いている話を拾うためです。 「先週お伝えした通院の件、やはり木曜になりました」は、先週の連絡が無いと予定の変更だと分かりません。

Step3

データの取得方法を決める

読み取りは、Python から Form Parser のプロセッサを呼ぶだけです。オンラインの処理は1回の要求で最大15ページで、連絡帳の写真は1枚ずつ送るので上限に届きません。

取るものどこから何に使うか
全文応答の text連絡欄の自由な文面をAIに渡す
キーと値のペア各ページの formFields(fieldName/fieldValue)睡眠・食事・排便・服薬の小欄の値
チェックボックスfieldValue の valueType(filled_checkbox/unfilled_checkbox)「薬あり」「着替えあり」などの印
信頼度各要素の layout の confidence読めた行と読めなかった行の区別
位置layout の boundingPoly確認の画面で、写真の該当箇所に枠を出す

チェックボックスは、印刷された「□薬」のような欄にだけ使えます。 公式のページでは、チェックボックスのモデルはラジオボタンに対応しないとされ、対応するキーの無いチェックボックスが検出されることもあるとされています。家族が手で丸を付けた欄は、チェックボックスとしてではなく文字として扱います。

利用者の情報と勤務表は、スプレッドシートを読むだけです。利用者の特定はファイル名の利用者番号で行い、連絡帳に書かれた名前では行いません。 家族は名前を書かないことが多く、書いても愛称のことがあります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … 公式の対応形式は PDF、GIF、TIFF、JPEG、PNG、BMP、WebP などです。タブレットの写真は JPEG で保存し、撮影後に圧縮し直さない設定にします
  2. 解像度の確認 … 公式のページでは、スキャンは最低200dpiが望ましく、300dpi以上が一般に最もよいとされています。写真の場合は、ノートの見開きの左側が画面いっぱいに入る距離で撮ります
  3. 向きと傾きの確認 … 横向きに撮られた写真は回転させます。ページの4隅が写っていないものは撮り直しに回します
  4. 右側のページを切る … 見開きで撮った写真は、職員が書く右側を切り落としてから渡します。職員の記入を家族の連絡として拾わないためです
  5. 利用者番号の確認 … ファイル名の利用者番号が利用者一覧に無ければ、処理せずに相談員へ戻します
  6. 重複の確認 … 同じ利用者・同じ日の写真が2枚あれば、新しいほうを使い、古いほうは処理済みにします

4番目を省くと、一覧の質が大きく落ちます。 右側には前回の「デイでの様子」が残っており、「入浴しました」「お薬を飲みました」と書かれています。これを家族の連絡として読むと、依頼でも報告でもない行が毎回並びます。

2番目は、撮影の手順として最初に決めます。 送迎車の横で急いで撮ると、ノートが傾き、影が入ります。読み取りの信頼度が低い写真の多くは、AIではなく撮り方の問題です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、家族の記載を1行ずつ5つの種類に分け、依頼には担当と期限の候補を付けることです。 体調の良し悪しや、依頼に応じるかどうかは判断させません。

種類何を拾うか例担当の候補
依頼事業所に何かをしてほしいという記載お風呂は控えて/昼の薬を飲ませて/爪を切って入浴・看護・相談員
体調家での様子の報告夜2回起きた/朝食を半分残した/便が3日出ていない看護(記録)
持ち物持たせた物・持ち帰ってほしい物着替えを入れました/先週の上着を返して相談員
予定欠席・通院・時間の変更来週火曜は通院で休み/迎えを10時にして送迎・相談員
その他上のどれにも当たらないもの、お礼、感想いつもありがとうございますなし

依頼と予定には、期限の候補を付けます。 「今日」「次回の来所」「日付の指定あり」の3つです。日付の指定があれば、書かれた日付をそのまま写させ、曜日から日付を計算させることはしません。 計算は Python で、利用者の来所の曜日と合わせて行います。

させないこと理由
入浴や服薬の可否の判断看護職員と相談員が、主治医の指示や計画に照らして決める
体調の評価(受診が要るか)医療の判断。AIは記載を写すだけにする
家族への返事の文面返事は職員が手で書く。連絡帳の意味が変わる
書かれていない数値や日付の補完「熱は少し」を37.2度のように数字に直さない
否定の向きの読み替え「控えて」「させないで」を確かめずに逆の意味にしない

2行目と4行目が、いちばん起きやすい失敗です。 「便が3日出ていない」に「便秘の可能性」と書き足したり、「熱っぽい」を体温の値にしたりすると、記録が家族の書いたことから離れていきます。 家族と職員のあいだで食い違いが起きたとき、拠り所にできなくなります。

Step6

指示内容を固定する

あなたはデイサービスの生活相談員の補助として、利用者の家族が
連絡帳に書いた内容を整理する立場です。OCRが返した読み取り結果だけを見て、
書かれていることを1つずつ分けてください。推測で埋めないでください。

【分ける種類】
- request ..... 事業所に何かをしてほしいという記載(入浴、服薬、介助、物の扱い)
- health ...... 家での様子の報告(睡眠、食事、排便、服薬、痛み、気分)
- belongings .. 持たせた物、持ち帰ってほしい物
- schedule .... 欠席、通院、迎えや送りの時間の変更
- other ....... 上のどれにも当たらないもの(お礼、感想など)

【担当の候補】bath(入浴)、nurse(看護)、transport(送迎)、counselor(相談員)、none
【期限の候補】today(今日)、next_visit(次回の来所)、dated(日付の指定あり)、none

【厳守事項】
- 1つの文に依頼と報告が混ざっているときは、分けて別の項目にしてください。
- quote には、根拠にした文字列を読み取り結果からそのまま写してください。
  言い換えたり、要約したりしないでください。
- 「控えて」「しないで」「やめて」「させないで」などの否定や中止の言葉が
  含まれる依頼は、has_negation を true にしてください。
- 体調の良し悪しや、受診が必要かを書かないでください。
- 入浴や服薬をしてよいかを判断しないでください。
- 数値や日付が書かれていないときに、補って書かないでください。
  「少し熱っぽい」は「少し熱っぽい」のまま写してください。
- 「来週火曜」のように曜日だけが書かれているときは、date_text に
  そのまま写し、日付に直さないでください。
- 読めない部分は「(判読不能)」とし、その項目の readable を false にしてください。
- 空欄の小欄は、値を書かずに blank を true にしてください。
  空欄と読めない欄を混ぜないでください。
- 家族への返事は書かないでください。

【読み取り結果】{ocr_result}
【利用者の情報】{resident_profile}
【直近4週の連絡】{recent_notes}

「否定の言葉に印を付ける」を指示に入れているのは、読み違いをAIに直させるためではありません。 印を付けさせ、印の付いた行は Python の側で必ず「写真で確かめる」に回します。 手書きの「控えて」がかすれて「して」と読まれれば、AIにはもう見分けようがありません。否定が読めた行にも印を付けておけば、人が写真を見る行が決まります。

quote を「そのまま写す」とするのは、確認の画面で写真の該当箇所と並べるためです。 要約されると、写真のどこを見ればよいかが分からなくなります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Claude API の構造化出力(output_config.format に JSON スキーマを渡す方式)を使い、形を固定します。

{
  "resident_id": "",
  "visit_date": "",
  "items": [
    {
      "category": "request | health | belongings | schedule | other",
      "summary": "",
      "quote": "",
      "owner": "bath | nurse | transport | counselor | none",
      "due": "today | next_visit | dated | none",
      "date_text": "",
      "has_negation": false,
      "readable": true
    }
  ],
  "checkbox_fields": [
    { "name": "", "status": "checked | unchecked | blank | unreadable" }
  ],
  "unreadable_note": ""
}

1つ目の理由は、一覧の行をそのまま担当ごとに並べ替えられることです。 owner と due で並べると、入浴担当は bath の today だけ、送迎担当は transport だけを読めば済みます。朝の申し送りで全員が全部を聞く必要がなくなります。

2つ目は、「確かめる行」をプログラムの規則で決められることです。

条件一覧での扱い
has_negation が true写真で確かめる(相談員が確定するまで担当に出さない)
readable が false写真で確かめる
該当行の OCR の信頼度が基準を下回る写真で確かめる
category が request で due が today当日の要対応の一覧の先頭に置く
category が schedule送迎表への反映の候補に載せる
category が health利用者ごとの記録へ。看護職員が朝に流し見る

信頼度の基準はAIに判定させません。 OCRが返した値を Python で比べます。基準の値は、始めの1か月の実際の写真から、人が読み違えた行の信頼度を見て決めます。

3つ目は、quote を残すことで、利用者ごとの記録が家族の言葉のまま積み上がることです。 ケアマネジャーへの報告や家族との面談の前に、何週分かの連絡を家族の書いた文面でたどれます。 (d)の失敗はここで解消します。

公式のページでは、列挙の値の大文字・小文字までは保証されないとされているので、category と owner は Python で小文字にそろえてから使います。応答の stop_reason が max_tokens のときは出力が途中で切れているので、記録に書かずに呼び直します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有フォルダPython で1分おきに確認新しい写真を見つけ、処理済みへ移す
Google Document AIAPI呼び出し小欄のキーと値、全文、信頼度を返す
利用者一覧・勤務表スプレッドシートの読み取り入浴の有無、担当者名を引く
Claude APIAPI呼び出し記載の分類と担当・期限の候補
利用者ごとの連絡の記録スプレッドシートへの追記確定前の行と確定後の行を分けて持つ
当日の要対応の一覧スプレッドシートの別のシート担当ごとに並べ、「済」の列を持たせる

介護記録ソフトへは書き込みません。 介護記録は、基準で整備と保存が求められる記録で、誰がいつ何を書いたかがはっきりしている必要があります。 体調の記載は、相談員が一覧で確かめたうえで、これまでどおり手で写します。

送迎表にも書き込みません。 予定の連絡は「反映の候補」として一覧に出し、送迎表を直すのは相談員です。 曜日から日付を取り違えたまま送迎表が書き換わると、迎えに行くべき日に行かなくなります。空振りより重い失敗です。

Step9

人が確認する

相談員が見るのは、要対応の一覧と、印の付いた行です。 体調の記録は看護職員が朝に流し見ます。

  1. 「写真で確かめる」の行を先に見る … 否定の言葉を含む依頼、読めなかった行、信頼度の低い行です。写真の該当箇所に枠が出るので、そこだけを見ます
  2. 今日の依頼を担当ごとに確かめる … 入浴を控える依頼は、その日の入浴の順番表と合わせて見ます
  3. 予定の連絡を送迎表に反映する … 日付は Python が計算した候補を、カレンダーで確かめてから書きます
  4. 確定する … 確定した行だけが担当ごとの一覧に出ます
  5. 夕方に「済」を確かめる … 「済」の付いていない今日の依頼は、連絡帳を返す前に担当に確かめます

1番目を飛ばさないでください。 否定の読み違いは、入浴や服薬という、利用者の体に直接関わることで起きます。 確定するまで担当に出さない設計にしているのは、そのためです。

目標は、1,200冊をならして1冊1分です。 撮影に数十秒、依頼の無い連絡帳は一覧を流し見て終わり、印の付いた行のある連絡帳だけ写真を見ます。印の付く行が1割を大きく超える月は、撮影の手順か信頼度の基準を見直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
写真がぼやけている・傾いている4隅が写っていないものは撮り直し。その日のうちに撮り直す
右側のページが混ざっている切り落としに失敗したものは処理せず相談員へ
ファイル名の利用者番号が無い・誤り処理せずに相談員へ戻す。名前から推測して割り当てない
連絡帳を忘れてきた写真が無いことを一覧に出す。家族への確認は相談員
連絡帳以外の紙が挟まっている薬局の説明書、病院の予約票など。別に撮って連絡帳とは分ける
家族の記入が無い(「特になし」のみ)要対応なし。記録には「記入なし」と残す
読めない行が多いunreadable_note を見て、相談員が写真から読む
外国語で書かれている原文のまま記録し、相談員へ。翻訳は別の段階で行う
OCR・AIが応答しない写真をフォルダに残す。処理済みへ移すのは成功時だけ

連絡帳以外の紙は、別の流れに分けます。 薬局の薬剤情報提供書や病院の予約票は、連絡帳より重要なことが多いのですが、連絡帳の記載として分類されると、依頼の一覧に紛れて見落とされます。

利用者番号を名前から推測しないのは、同姓の利用者が同じ日に来所することがあるためです。 別の利用者の連絡帳の依頼が載った一覧は、誰も気づかないまま入浴や服薬に影響します。

Step11

記録を残す

  • 元の写真と、撮影日時・事業所・撮影した職員
  • OCRが返したJSONの全文と、Claude API の応答の全文
  • 一覧に出した行と、相談員が確定・修正・削除した記録(誰が、いつ、どの行を)
  • 担当が「済」を付けた日時
  • 送迎表へ反映した予定の連絡と、反映した相談員
  • 利用者ごとの「写真で確かめる」の発生率

3つ目を残すのは、家族とのあいだで「書いたのに伝わっていない」という話になったときのためです。 写真、AIの分類、相談員の確定を順にたどれば、どこで止まったかが分かります。 苦情として受け付けたときは、基準で求められる苦情の内容等の記録として、別に残します。

最後の行は、撮影の手順を見直す材料になります。 特定の利用者だけ印が多いなら、ノートの紙質か、家族の書き方に理由があります。家族に書き方を頼む前に、撮り方を変えてみます。

04実装レベルの3段階

最小構成:写真を手でAIの画面に貼り、記載を5つの種類に分けさせる / 1冊ごとの記載の分類
半自動化:上記+OCRのAPIを呼び、分類の結果を利用者ごとの記録に書き出す / 読み取りと分類、記録への追記
本格構成:上記+フォルダの保存を起点に自動で動かし、担当ごとの要対応の一覧と、夕方の未済の知らせまで出す / 朝の申し送りの一覧と、依頼の追跡

最小構成は確かめるための段階です。 1冊ずつ貼り付けるので、朝の時間には回せません。 半自動化で、1冊3分が2分程度になります。 書き写しは無くなりますが、記録を見て申し送りノートと送迎表に書き分ける作業が残ります。本格構成で1分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、担当ごとの一覧が出ることで、口頭で伝え直す手間が無くなるためです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の記録を1か月見ると、どの家族の書き方で印が多く付くか、どの依頼が多いかが分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
1,200 件
1件あたり現在時間
3 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  1,200件 × 3分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 1,200件 × 1分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価2,500円)
120万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 1日に延べ50人以上が来所し、利用者ごとの連絡帳で家族と手書きのやり取りをしているデイサービス。朝の到着時に生活相談員や看護職員が連絡帳を1冊ずつ読み、介護記録や申し送りの用紙に書き写している場合。「薬を昼に飲ませてほしい」「来週は通院で休む」といった家族の連絡が、担当者に届かなかったことがある場合。連絡帳の家族の記入欄を写真で撮る運用に変えられる場合。
向いていない
  1. 利用者が十数人で、連絡帳を管理者が1人ですべて読んで足りる場合。家族との連絡がすでにアプリや介護記録ソフトの家族向け機能に移っており、手書きの連絡帳がほとんど無い場合。利用者の健康情報を国外のリージョンで処理することを法人として認められない場合。なお、入浴や服薬の可否などの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の連絡帳から、10人分・各3回分の家族の記入欄を写真に撮る(入浴を控える依頼や欠席の連絡が書かれた回を必ず入れる)
  2. その30回分について、当時の申し送りノートと送迎表に何が書かれたかを確かめる
  3. 写真を手元のAIサービスの画面に1枚ずつ貼り付ける
  4. 「この連絡帳の記入を、依頼・体調・持ち物・予定・その他に分けてください。根拠の文字列をそのまま写してください。否定の言葉を含む依頼には印を付けてください。体調の評価や、依頼に応じるべきかは書かないでください」と指示する
  5. 出てきた分け方を、当時の申し送りノートと突き合わせる

写真は、法人の情報管理の決まりで認められた環境でだけ扱ってください。 試す段階でも、利用者の名前は写さないようにノートの表紙を外して撮ります。

出てきた内容判断
当時の申し送りと同じ依頼が出た。漏れていた依頼も出たOCRとプログラムの連携に進む
体調の評価や受診の勧めを書き足した指示の書き方で直る。構成は有効
否定の向きを読み違えた撮り方の見直しが先。確定前に写真を見る手順が要ることが分かった
文字が読めない回が多い撮影の手順が先。 AIの問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
否定の依頼が逆の意味で読まれる否定の言葉を含む行は確定まで担当に出さない。 写真で確かめる
体調の評価や受診の勧めが書き足される指示で禁じ、quote が原文にあるかを Python で照合する
職員が書いた右側を拾う撮影は左側だけ。見開きで撮ったものは切り落とす
空欄と読めない欄が混ざる値が空のキーと値は確実に読めない。OCRの全文と信頼度で分ける
曜日だけの予定が別の週の日付になる日付への変換は Python で、来所の曜日と合わせて計算する
利用者の取り違えファイル名の利用者番号で特定する。 名前から推測しない
撮影が送迎の到着に間に合わない撮るのは1人に決めず、降車を介助した職員がその場で撮る
印の付く行が多すぎる信頼度の基準を始めの1か月の実績から決め直す
連絡帳以外の紙が混ざる別に撮って分ける。薬の説明書は看護職員へ直接渡す
一覧に出しても担当が動かない夕方に「済」の無い行を拾う。 連絡帳を返す前に確かめる
国外での処理を確かめていない日本のリージョンが無い。導入前に法人として決める

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、家族が書いたことと、記録に残ることがずれるという同じ型の失敗です。否定は人が写真で確かめ、書き足しはプログラムで原文と照らす。2つの守り方を分けて持つのが、この構成の要点です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 利用者の氏名と利用者番号、睡眠・食事・排便・服薬などの体調の記載、通院の予定、家族の名前と連絡の文面です。健康に関わる情報が中心で、法人の中でも取り扱いに最も注意が要る種類の情報です。

  1. 国外で処理することを法人として決める … Document AI のリージョンの一覧に日本はありません。利用者の体調を国外のリージョンで処理してよいかを、法人の個人情報の担当と決め、利用者・家族への説明の文面も見直します。認められない場合は、日本のリージョンで処理できる別の製品を検討します
  2. 外部へ渡す範囲を絞る … AIに渡すのは家族の記入欄の読み取り結果と、利用者の情報のうち入浴の有無と服薬の預かりだけです。氏名や住所は渡さず、利用者番号で扱います
  3. 入浴や服薬の判断をさせない … AIが出すのは記載の分類と担当の候補までです。入浴させるか、薬を飲ませるかは、看護職員と相談員が計画と主治医の指示に照らして決めます
  4. 記録の整備の責任を動かさない … 基準では、提供した具体的なサービスの内容等の記録を整備し、その完結の日から2年間保存することが求められています。この構成の連絡の記録は、その記録の代わりではありません。介護記録ソフトの記録は、これまでどおり職員が書きます
  5. 元の写真を残す … 家族の書いたことの拠り所は写真です。AIの分類や要約ではなく、写真を残すことを保存の決まりにします
  6. 苦情は別に扱う … 連絡帳に事業所への不満が書かれていれば、other に分類されることがあります。基準では利用者・家族からの苦情の内容等を記録することが求められているので、相談員が見つけたら苦情の受付として別に残します

誤りが起きた場合のリスクは、依頼を見落とすことと、依頼を逆の意味で伝えることの2つです。 前者は夕方の未済の確認で、後者は否定の行を確定前に写真で見ることで防ぎます。どちらも利用者の体に関わるので、確定を人が行う設計は外さないでください。

10まず何から始めるか

1週目:撮影の手順を決める

送迎の到着時に、誰が、どこで、どの向きで撮るかを決めます。タブレットの撮影アプリで利用者番号を選んでから撮る形を試し、1事業所の1日分で、撮影にかかる時間を測ります。ここが決まらないうちに、プログラムを作り始めないでください。

2週目:30回分で試す

10人分・各3回分の写真を手元のAIサービスに貼り付け、5つの種類に分けさせます。当時の申し送りノートと突き合わせ、否定の読み違いと体調の評価の書き足しを最優先で見ます。

3週目:利用者一覧を整える

利用者一覧に、入浴の有無と方法、服薬の預かりの有無、来所の曜日の列を足します。あわせて、国外での処理について法人として決め、家族への説明の文面を用意します。

4週目:フォルダから記録までをつなぐ

Python でフォルダを見張り、OCRを呼び、分類を利用者ごとの記録に書き出すところまで作ります。この時点では担当ごとの一覧を出さず、相談員がこれまでどおり連絡帳を読みながら、記録と見比べます。

2か月目: 担当ごとの要対応の一覧と「写真で確かめる」の印を足し、朝の申し送りで使い始めます。3か月目以降: 夕方の未済の知らせを足し、1冊3分が何分になったかを実測します。信頼度の基準を実績から決め直し、印の付く行が1割前後に落ち着いた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
指定通所介護事業者が、提供した具体的なサービスの内容等の記録、苦情の内容等の記録などを整備し、その完結の日から2年間保存しなければならないこと(第104条の4)。サービスの提供の記録(第19条)と苦情処理(第36条)の規定が通所介護に準用されること(第105条)e-Gov 法令API: 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準2026-10-08
Form Parser がOCRのテキストに加えてキーと値のペア、チェックボックス、表を抽出すること。言語の一覧で日本語(ja)が手書きに対応する言語として示されていること。オンラインの処理が1回の要求で最大15ページであることGoogle Cloud: Processor list2026-10-08
チェックボックスのモデルがラジオボタンに対応せず、対応するキーの無いチェックボックスが検出されうること。値の入っていないキーと値の組を確実には読み取れないことGoogle Cloud: Form Parser2026-10-08
項目名と値の組が formFields の fieldName/fieldValue で返ること。チェックボックスの valueType が filled_checkbox/unfilled_checkbox であること。信頼度と位置が各要素の layout に入ることGoogle Cloud: Handle the processing response2026-10-08
対応形式が PDF、GIF、TIFF、JPEG、PNG、BMP、WebP などであること。スキャンは最低200dpiが望ましく300dpi以上が一般に最もよいことGoogle Cloud: Supported files2026-10-08
マルチリージョンが us と eu で、単一リージョンにシンガポール(asia-southeast1)などがあり、日本のリージョンが一覧に無いことGoogle Cloud: Regional and multi-regional support2026-10-08
output_config.format に JSON スキーマを渡して応答の形を固定できること。列挙の値の大文字・小文字は保証されないこと。max_tokens で打ち切られたときはスキーマに合わない出力になりうることClaude API: Structured outputs2026-10-08

入浴や服薬の可否、苦情としての受付の判断は、事業所の管理者・看護職員・生活相談員が決めてください。 本記事は各製品の公式ページと運営基準の条文で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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