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媒体社から届く掲載確定・入稿受領のメールを読み取り、案件ごとの進行表の状態と掲載日を更新して、日程の変更と入稿の不備を担当に知らせる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

媒体社から届く掲載確定・入稿受領のメールを読み取り、発注番号・掲載日・連絡の種類を抜き出して、案件ごとの進行表を更新します。掲載日の変更と入稿の不備は、担当に知らせます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/人材/小売/広告
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
データ入力・転記/台帳・マスタ管理
主な課題
入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
60%
年間削減
288h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 媒体部の担当が、共有メールボックスを朝・昼・夕方の3回開き、届いた連絡を読む
  2. 本文と添付のPDFから、どの案件の何の連絡かを読み取る
  3. 進行表で、広告主・媒体・号・枠から該当する案件の行を探す
  4. 状態の列と掲載日の列を書き換え、メールの日付を備考に書く
  5. 掲載日の変更や入稿の不備の連絡は、案件の営業担当にメールを転送する
  6. 処理したメールにフラグを付け、処理済みのフォルダへ移す
導入後(After)
  1. 自動共有メールボックスに媒体社からのメールが届いたことをきっかけに、フローが動く
  2. 自動送り主が媒体社の一覧にあるかを確かめ、添付を取る
  3. 自動AIが本文と添付から、連絡の種類・発注番号・媒体・号・枠・掲載日・締切・不備の内容を抜き出す
  4. 自動発注番号で進行表の行を引く
  5. 自動状態を前へ進める連絡で、発注番号が一意に一致し、掲載日が進行表と同じものは、状態を書き換える
  6. 自動掲載日の変更、入稿の不備、発注番号が引けないもの、種類が分からないものは書き込まず、Teams の媒体部のチャネルと営業担当へ知らせる
  7. 人媒体部の担当が、知らせのあった連絡を確かめ、進行表を直し、営業担当と次の手を決める
  8. 人毎朝、前日に自動で書き換えた行の一覧を流し見る
  9. 自動処理したメールを、処理済みのフォルダへ移す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 媒体部の担当が、共有メールボックスを朝・昼・夕方の3回開き、届いた連絡を読む
  2. 本文と添付のPDFから、どの案件の何の連絡かを読み取る
  3. 進行表で、広告主・媒体・号・枠から該当する案件の行を探す
  4. 状態の列と掲載日の列を書き換え、メールの日付を備考に書く
  5. 掲載日の変更や入稿の不備の連絡は、案件の営業担当にメールを転送する
  6. 処理したメールにフラグを付け、処理済みのフォルダへ移す

(a)連絡の種類を読み分けるのに時間がかかる。 「入稿データを受領しました。ただし、一部の画像の解像度が不足しています」という連絡は、受領なのか不備なのかを読まないと分かりません。進行表を「入稿受領」に進めてしまうと、不備のまま掲載日を迎えます。

(b)案件の行を探し違える。 同じ広告主が同じ雑誌の連続する号に出稿していると、号の数字を1つ読み違えるだけで別の行を書き換えます。 書き換えられた行の案件は、確定していないのに確定と表示されます。

(c)不備と日程変更の転送が遅れる。 1日3回まとめて読むので、朝9時に届いた不備の連絡が営業に届くのは昼過ぎです。入稿の締切が当日の夕方なら、差し替えの時間がほとんど残りません。

(d)通数が多い。 480通を5名で処理すると、1通5分でも月40時間です。月末と大型の出稿の前は通数が集中し、読み終わらない日が出ます。 読み終わらなかった分は、翌朝にまとめて処理されます。

  1. 【自動】 共有メールボックスに媒体社からのメールが届いたことをきっかけに、フローが動く
  2. 【自動】 送り主が媒体社の一覧にあるかを確かめ、添付を取る
  3. 【自動】 AIが本文と添付から、連絡の種類・発注番号・媒体・号・枠・掲載日・締切・不備の内容を抜き出す
  4. 【自動】 発注番号で進行表の行を引く
  5. 【自動】 状態を前へ進める連絡で、発注番号が一意に一致し、掲載日が進行表と同じものは、状態を書き換える
  6. 【自動】 掲載日の変更、入稿の不備、発注番号が引けないもの、種類が分からないものは書き込まず、Teams の媒体部のチャネルと営業担当へ知らせる
  7. 【人】 媒体部の担当が、知らせのあった連絡を確かめ、進行表を直し、営業担当と次の手を決める
  8. 【人】 毎朝、前日に自動で書き換えた行の一覧を流し見る
  9. 【自動】 処理したメールを、処理済みのフォルダへ移す

5番目と6番目の分け方が、この設計の分かれ目です。 自動で書き込むのは、状態を前へ進める連絡のうち、発注番号で1行に決まり、掲載日が変わらないものだけです。 予定が変わる連絡は、必ず人の目を通します。

8番目の流し見も省きません。 自動で書き換えた行は、件数と媒体・広告主を一覧で見るだけですが、発注番号の書き間違いで別の行が進んだ場合に、ここで気づけます。

02今回想定するシステム構成

構成図
媒体社のメール(本文、掲載確定書・入稿受領書のPDF)
   ▼【トリガー】媒体部の共有メールボックスへの着信
Power Automate(クラウド フロー)
   ├──▶ 送り主が媒体社の一覧にあるかを確かめる
   ├──▶ Get Attachment (V2) で添付を取る
   ├──▶ AI Builder のプロンプト(プロンプトを実行する)
   │       本文と添付から連絡の種類と項目を JSON で返す
   ├──▶ 進行表のリストを発注番号で引く(Get items)
   ├──▶ 規則で「自動で進める」「知らせる」を分ける
   ├──▶ 自動で進めるものは Update item で状態を書き換える
   └──▶ 知らせるものは Teams の媒体部のチャネルへ
   ▼
【媒体部の担当が変更と不備を確かめ、営業と次の手を決める】
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー、Office 365 Outlook コネクタ)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、ドキュメント入力と JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
保管SharePoint のリスト(案件の進行表、媒体社の一覧、処理の記録)Dataverse
通知Microsoft Teams の媒体部のチャネルOutlook のメール

新しく足すのは、フローと、媒体社の一覧と処理の記録の2つのリストです。 進行表はいまの SharePoint のリストを使い、列を2つだけ足します。 「最後に自動で書き換えた日時」と「自動で書き換えた元のメール」の列です。人が直した行と自動で直した行を、後から見分けるためです。

トリガーには、Office 365 Outlook コネクタの「When a new email arrives in a shared mailbox (V2)」を使います。 コネクタの説明では、多くのメールが同時に届くと、まれにトリガーがメールを取りこぼすことがあるとされています。月末に連絡が集中するので、第7章で毎朝の突き合わせを足します。

添付のPDFは、プロンプトの画像またはドキュメントの入力で渡します。 対応するのは PNG、JPG、JPEG、PDF で、渡すファイルの合計は25MB未満、ページ数は50ページ未満、処理は最大100秒とされています。掲載確定書は1〜2ページなので収まります。大きな文書では、特に表の行の情報が不正確または不完全になる可能性があるとも書かれており、複数の号をまとめた確定書には注意が要ります。

OCRの製品は置きません。 掲載確定書と入稿受領書は、媒体社のシステムから出力した文字のあるPDFがほとんどで、プロンプトのドキュメント入力で読めます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

媒体部の共有メールボックスに、媒体社の一覧にある送り主からメールが届いたことを起点にします。 一覧に無い送り主のメールは、フローの最初の条件で止めます。広告主や社内からの連絡まで読むと、進行表を書き換える元が増え、取り違えの余地が増えます。

添付は、トリガーで一緒に取らずに、Get Attachment (V2) で取ります。 コネクタの説明では、トリガーで添付を含める設定にすると、添付のある多くのメールが同時に届いたときに添付のダウンロードで時間切れになることがあるとされ、添付を含めずに Get Attachment (V2) で取る方法が示されています。

取りこぼしに備えて、毎朝8時に別のフローで突き合わせます。 前日に共有メールボックスに届いた媒体社からのメールと、処理の記録のリストにあるメールの識別子を比べ、記録に無いものを本体のフローに回し直します。 月末の集中日に1通落としても、翌朝には拾えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
メール件名、本文、送り主、受信日時、メールの識別子共有メールボックス
添付掲載確定書、入稿受領書、不備の指摘書(PDF・画像)Get Attachment (V2)
媒体社の一覧媒体社名、送り主のアドレスとドメイン、扱う媒体、連絡の書き方の癖のメモSharePoint のリスト
案件の進行表発注番号、広告主、媒体、号・枠、掲載日、入稿の締切、状態、営業担当SharePoint のリスト

質を決めるのは、発注番号が媒体社のメールに書かれているかです。 番号が無い連絡は、広告主・媒体・号・枠で探すしかなく、自動では書き込めません。発注書に「ご連絡の際は発注番号を件名にお書きください」と入れ、媒体社に頼むのが、この構成の最初の準備です。全社がすぐに応じるわけではないので、応じてくれた社から自動の範囲を広げます。

媒体社の一覧の「書き方の癖のメモ」は、AIに渡す補助の情報です。 「この社は『受注確認』を掲載確定の意味で使う」「この社の確定書は号を西暦の月で書く」のように、媒体部の担当が知っていることを1〜2行で書いておきます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから使い方
本文と件名トリガーの出力AIのテキスト入力
添付Get Attachment (V2)AIのドキュメント入力
媒体社の癖のメモ媒体社の一覧のリストAIのテキスト入力
案件の行進行表のリストの Get items(発注番号で Filter Query)状態と掲載日の比較

進行表は、発注番号の列で Filter Query をかけて引きます。 SharePoint コネクタの Get items では、OData のフィルター クエリで取る行を絞れます。番号で引いて1行だけ返ったときに限り、自動で書き込む候補にします。 0行や2行以上のときは、知らせる側に回します。

発注番号が無い連絡は、広告主と媒体で候補を引きます。 Get items の Top Count で候補の行を最大5行までに絞り、担当への知らせに「候補」として並べるだけにします。 候補から1行を選ぶのは担当です。

候補を引くときは、状態が「掲載済み」の行を外します。 過去の号まで候補に入れると、同じ広告主の連続する号が並び、担当が選ぶ手間がかえって増えます。 掲載日が受信日より前の行も、schedule_change の連絡でない限り外します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 送り主の確認 … 媒体社の一覧に無ければ止めます
  2. 自動返信と配信停止のメールを外す … 件名と本文の決まった語で外します
  3. 添付の形式とサイズの確認 … PDF・PNG・JPG・JPEG 以外の添付は渡さず、「添付は人が確認」の印を付けます。合計が25MBを超えるものも同じです
  4. 電子署名付きのメールに印を付ける … コネクタの説明では、電子署名付きのメールでは、Get Attachment (V2) の出力に正しくない添付の内容が入ることがあるとされています。署名付きのメールは、添付を渡さず本文だけで読み、印を付けます
  5. 本文の引用部分を削る … 返信の連鎖で過去のやり取りが下に続くメールは、最新の部分だけにします
  6. 本文の長さをそろえる … 長いものは先頭3,000字までにします

5番目を省くと、過去の連絡を今の連絡として読みます。 「Re: Re: 掲載確定のお知らせ」の本文の下には、前回の確定の内容が残っています。最新の部分に「掲載日を変更します」と書かれていても、下の確定の内容を拾ってしまいます。

6番目は、指示のような文を入れないためでもあります。 プロンプトの入力については、セキュリティ上の理由により、入力に指示を含めることは禁止されているとされています。

Step5

AIに処理させる

させるのは、連絡の種類を決め、進行表の更新に使う項目を抜き出すことだけです。

抜き出すもの内容読み取れないとき
連絡の種類confirmed(掲載確定)/material_received(入稿受領)/material_issue(入稿の不備)/schedule_change(掲載日・枠の変更)/cancelled(掲載の取りやめ)/otherother
発注番号本文・件名・添付に書かれた自社の発注番号空
媒体・号・枠媒体名、号(発行日・号数)、枠・面・サイズ空
掲載日確定した掲載日、または変更後の掲載日空
変更前の掲載日schedule_change のときの元の日空
入稿の締切書かれていれば空
不備の内容解像度、サイズ、色、文字の表記など、指摘された点空
根拠種類と各項目の根拠にした文必須

material_issue と material_received を分けるのが、いちばん大事です。 「受領しました。ただし〜」の連絡は、不備が1つでも書かれていれば material_issue にします。 受領の言葉が先に出てくるので、何も言わなければ material_received を選びます。

させないこと理由
進行表のどの行かを決めること行は発注番号で引く
状態を書き換えてよいかの判断規則で決める
掲載日の変更を受けるかの判断広告主と営業が決めること
不備の直し方の提案制作の担当が決めること
発注番号の補完番号の桁を足したり、似た番号に直したりしない
Step6

指示内容を固定する

あなたは広告会社の媒体部で、媒体社から届いた連絡を読み、
案件の進行表の更新に使う項目を抜き出す担当です。
進行表を更新してよいかの判断はしません。

【連絡の種類 message_type】
- confirmed ........... 掲載が確定した
- material_received ... 入稿データを受け取った(不備の指摘が無い)
- material_issue ...... 入稿データに不備がある、差し替えを求めている
- schedule_change ..... 掲載日・号・枠が変わる
- cancelled ........... 掲載を取りやめる
- other ............... 上のどれでもない、または決められない

【厳守事項】
- 「受領しました」と書かれていても、不備や差し替えの依頼が1つでもあれば
  material_issue にしてください。
- 掲載日が以前の連絡と変わっていると読める場合は schedule_change にし、
  変更前と変更後の日を両方書いてください。
- 発注番号は、本文・件名・添付に書かれた文字列をそのまま写してください。
  桁を補ったり、似た番号に直したりしないでください。書かれていなければ空にしてください。
- 日付は書かれたとおりに読み、年が書かれていなければ year_written を false にしてください。
- 返信の引用部分の内容は使わないでください。
- 迷ったときは other を選んでください。
- evidence には、判断の根拠にした文を入力からそのまま写してください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【媒体社の書き方の癖】{media_notes}
【件名】{subject}
【本文】{body}
【添付】{attachment}

「受領しました、ただし」を明記しないと、受領に寄せます。 本文の最初の文で種類を決める傾向があるので、不備の言葉があれば優先することを、例の言い回しで書きます。

「年が書かれていなければ year_written を false」は、年をまたぐ号のためです。 12月に届く「1月15日号」の連絡を、その年の1月と読むと、過去の日付で進行表を書き換えることになります。 年はフローが受信日と発注の時期から補い、補った印を残します。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "message_id": "AAMkAGI2...",
  "message_type": "schedule_change",
  "order_no": "MD-2026-04187",
  "media": "〇〇新聞",
  "issue_or_slot": "全国版 朝刊 15段",
  "insertion_date": "2026-11-12",
  "previous_insertion_date": "2026-11-05",
  "year_written": true,
  "material_deadline": "2026-11-06",
  "issues": [],
  "evidence": [
    { "field": "message_type", "text": "掲載日を11月5日から11月12日に変更させていただきます" }
  ]
}

issues と evidence をキーの付いたオブジェクトの配列にしているのは、JSON の出力の決まりのためです。 フィールドのキーの無い JSON 形式の定義はサポートされないとされているので、文字列だけの配列にしません。

フローは次の規則で、自動で進めるか知らせるかを分けます。

条件扱い
message_type が confirmed か material_received、発注番号で1行だけ引け、その行の掲載日と insertion_date が同じ、状態が1つ前の段階自動で進める
message_type が material_issue・schedule_change・cancelled知らせる(不備と変更は営業担当にも)
発注番号が空、または引けた行が0行・2行以上知らせる(候補を並べる)
掲載日が進行表と違う、または year_written が false知らせる
other知らせる

「状態が1つ前の段階」を条件にしているのは、同じ連絡が二度届く場合のためです。 掲載確定のメールが再送されても、すでに「掲載確定」の行は動かしません。状態を飛ばして進めることも、戻すこともしません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有メールボックスWhen a new email arrives in a shared mailbox (V2)、Get Attachment (V2)、Move email (V2)受け取り、添付を取り、処理済みへ移す
AI Builder のプロンプト「プロンプトを実行する」アクション種類と項目を JSON で受け取る
進行表SharePoint の Get items/Update item発注番号で引き、自動で進めるものだけ書き換える
処理の記録、媒体社の一覧SharePoint の Create item/Get items処理の記録を残す
媒体部のチャネルTeams の Post message in a chat or channel変更・不備・引けなかったものを知らせる

進行表に書き込むのは、状態と2つの記録の列だけです。 掲載日・枠・締切の列は、自動では書き換えません。掲載日が変わる連絡は、必ず担当が読んでから直します。

処理済みのフォルダへの移動は、Move email (V2) で行います。 コネクタの説明では、フォルダの名前を手で入力する場合にスラッシュの記号はサポートされないとされています。フォルダの名前に「/」を使わず、一覧から選ぶ形で指定します。

Teams の知らせは、1通の連絡につき1件にします。 投稿するメッセージの上限は約28KBとされているので、本文の全文は載せず、種類・発注番号・媒体・掲載日・不備の要点と、元のメールへのリンクだけを載せます。

Step9

人が確認する

人が見るのは、知らせのあった連絡と、自動で進めた行の一覧です。

  1. 不備の連絡 … 不備の内容を読み、制作の担当と営業担当に差し替えを頼みます。入稿の締切までの時間を最初に見ます
  2. 掲載日の変更 … 変更前と変更後の日を、進行表と媒体社のメールで照らし、営業担当に広告主への連絡を頼みます
  3. 発注番号が引けなかった連絡 … 候補の行から1行を選び、状態を直します。番号を書いてくれない媒体社は、一覧の癖のメモに書き足します
  4. 自動で進めた行 … 毎朝、前日の分を一覧で流し見ます。件数と媒体・広告主に違和感がないかだけを見ます

4番目を省かないでください。 媒体社が別の案件の発注番号を書き間違えて送ってきた場合、番号が実在すれば規則は通ってしまいます。 一覧の流し見で、「この広告主にこの媒体は出していない」と気づけるのは人だけです。

知らせを受けて直した行には、直した担当の名前が残ります。 自動で書き換えた行と人が直した行が記録の列で分かれているので、営業が進行表を見たとき、その状態が誰の確認を経たものかが分かります。

目標は、480通をならして1通2分です。 知らせのある連絡は1通ずつ読むので数分かかり、自動で進めた連絡は一覧で数秒です。知らせのある連絡が半分を超える月は、発注番号を書いてくれる媒体社が増えていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
媒体社の一覧に無い送り主処理せず、未処理のフォルダに残す
添付が対応しない形式・25MB以上本文だけで読み、「添付は人が確認」で知らせる
電子署名付きのメール添付を渡さず本文だけで読み、印を付けて知らせる
1通に複数の案件の連絡案件ごとに分けて返させ、すべて知らせる側に回す
掲載確定書が多くの号をまとめた長い表表の行が不完全になりうる。知らせる側に回す
年の書かれていない日付受信日と発注の時期から補い、知らせる側に回す
AIの応答が JSON にならない「AI未処理」で知らせる
トリガーがメールを取りこぼした毎朝8時の突き合わせで拾い直す

1通に複数の案件が入った連絡は、すべて人に回します。 まとめて書かれた連絡では、どの日付がどの案件のものかを取り違えやすく、自動で進めると間違った行が進みます。

取りやめ(cancelled)の連絡は、最優先で知らせます。 媒体の都合で枠が無くなった場合、広告主への説明と代わりの枠の手配に時間が要ります。Teams の知らせの先頭に印を付け、営業担当にも同時に届けます。

Step11

記録を残す

  • 元のメールの識別子、受信日時、送り主、件名
  • AIに渡した本文・添付の名前と、AIが返した JSON の全文
  • 自動で進めたか、知らせたかと、当てはまった規則
  • 進行表の書き換えの前と後の値、書き換えた日時
  • 担当が知らせを受けて直した内容と、直した人
  • 毎朝の突き合わせで拾い直したメール

4つ目の「前と後の値」があれば、誤って進めた行を元に戻せます。 SharePoint のリストのバージョン履歴でも追えますが、どのメールで書き換えたかと一緒に残しておくと、媒体社に問い合わせるときに話が早くなります。

04実装レベルの3段階

最小構成:連絡を手元のAIサービスに貼り、種類と項目を抜き出させる / 読み取り
半自動化:上記+共有メールボックスの着信でフローが動き、番号で引けた前進の連絡だけ進行表を書き換え、残りを知らせる / 読み取り、前進の書き換え、知らせ
本格構成:上記+媒体社との受発注のシステムと連携し、状態の連携をメールに頼らない / 進行の全体

本記事の想定は半自動化です。 1通5分が2分になります。残る2分は、知らせのあった連絡を担当が読んで直す時間と、毎朝の流し見です。 本格構成は、媒体社の側の仕組みで決まります。 受発注のシステムを共通にできる媒体社は限られ、多くの媒体社とはメールでのやり取りが続きます。 メールが残る限り、半自動化の仕組みは使い続けられます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
5 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  480件 × 5分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 480件 × 2分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
24h
削減率
60%
年間削減時間
288h
年間金額換算(時間単価3,500円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 新聞・雑誌・交通広告・Web媒体など複数の媒体に広告を出す広告会社や、広告主の宣伝部で、媒体社から掲載確定・入稿受領・入稿データの不備・掲載日の変更の連絡がメールで届き、媒体部の担当が1通ずつ読んで案件の進行表に手で書き写している場合。進行表の更新が遅れて、営業が古い状態を見て広告主に答えてしまうことがある場合。Microsoft 365 を使い、進行表を SharePoint のリストで持てる場合。
向いていない
  1. 取引する媒体が数社で、連絡が月に数十通の場合。媒体社との受発注を共通の入稿・発注のシステムで行っており、状態が画面で自動に変わる場合。進行表がスプレッドシートのファイルで、複数の担当が同時に手で書き込んでいる状態を変えられない場合。なお、掲載日の変更を受けるか、差し替えの入稿をするかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた媒体社の連絡から、掲載確定・入稿受領・不備・日程変更をそれぞれ10通ずつ、計40通を選ぶ
  2. その40通について、当時進行表をどう更新したかを書き出す
  3. 手元のAIサービスに、本文と添付を1通ずつ貼り付ける
  4. 「この連絡の種類を、掲載確定・入稿受領・入稿の不備・日程変更・取りやめ・その他から選び、発注番号・媒体・号・掲載日・不備の内容を抜き出してください。受領と書かれていても不備があれば不備にしてください」と指示する
  5. 出てきた種類と項目を、当時の更新と突き合わせる

40通は必ず試してください。 フローを組む前に、「受領と不備を読み分けられるか」を確かめます。

出てきた内容判断
種類と掲載日が当時の更新と合ったフローの組み立てに進む
「受領しました、ただし」を受領にした指示の言い回しで直る。構成は有効
発注番号が書かれていない連絡が多い媒体社への依頼が先。 番号が無ければ自動で進められない

3行目が出ることは珍しくありません。 その場合も、種類と項目の抜き出しだけで、担当が読む時間は減ります。 自動で進める範囲は、番号を書いてくれる媒体社が増えるのに合わせて広げます。

40通の中に、年をまたぐ号の連絡と、返信の連鎖が長いメールを必ず入れてください。 本番で取り違えが起きやすいのはこの2つで、試しの段階で見ておけば、前処理と指示のどちらで直すかを先に決められます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「受領しました、ただし」を受領として進める不備の言葉があれば material_issue を指示に明記する
引用部分の古い確定を今の連絡として読む最新の部分だけを渡す
年の無い日付を過去の日付で読むyear_written で印を付け、自動で進めない
発注番号の無い連絡を名前で引いて別の号を進める番号で1行に決まるものだけ自動
添付のある連絡が集中してトリガーが時間切れになる添付は Get Attachment (V2) で取る
月末の集中日にメールを取りこぼす毎朝の突き合わせで拾い直す
電子署名付きのメールの添付が壊れている本文だけで読み、印を付ける
処理済みのフォルダへの移動が失敗するフォルダ名に「/」を使わず、一覧から選ぶ
再送された確定で状態が飛ぶ1つ前の段階からだけ進める
自動で進めた行を誰も見ない毎朝、前日の分を流し見る
1通に複数の案件がまとめて書かれているすべて人に回す。 自動で進めない
媒体社の一覧が古く、新しい担当のアドレスで止まる止まったメールを週に1回見て、一覧に足す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、不備や変更の連絡を前進の連絡と取り違えて、直すべき案件を「進んでいる」と見せてしまいます。 見つけたかった連絡を消す向きの失敗なので、指示と前処理の両方で守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 媒体社の担当者の名前とメールアドレス、広告主の名前、出稿の媒体・号・枠・掲載日、入稿データの不備の内容です。金額が書かれた確定書もあります。

  1. 広告主の出稿計画は、社外に出る前の情報として扱う … 新商品の発売日に合わせた出稿などは、公表前の情報です。 進行表と処理の記録の閲覧範囲を、媒体部と営業に限ります
  2. モデルの処理地域を確かめる … プロンプトのモデルの可用性の一覧では、日本で GPT-4.1 mini などが「GA(クロスジオ)」とされ、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があるとされています。広告主との契約に、出稿情報の扱いの定めがないかを確かめてください
  3. AIに渡すのは媒体社からの連絡だけにする … 送り主の一覧で、広告主や社内のメールをフローに入れません
  4. 掲載日の変更を自動で受けない … 掲載日が変わると、広告主の販促の予定がずれます。受けるかどうかは、広告主と営業が決めます
  5. 媒体社への返信を自動で送らない … 不備の連絡に対する差し替えの約束は、制作の担当と営業が決めてから送ります

誤りが起きた場合のリスクは、不備を見落として掲載日を迎えることと、別の案件の状態を進めることの2つです。 前者は受領と不備を取り違えると起き、後者は番号の書き間違いを通すと起きます。前者は指示で、後者は毎朝の流し見で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:媒体社に発注番号を書いてもらうよう頼む

発注書の文面に「ご連絡の際は件名に発注番号をお書きください」と入れ、取引の多い上位20社に、担当から直接お願いします。 あわせて、媒体社の一覧のリストを作り、送り主のアドレスと書き方の癖を書きます。

2週目:40通で試す

先月の連絡から40通を選び、手元のAIサービスで種類と項目を抜き出させます。「受領しました、ただし」の連絡を不備に分けられているかを最優先で見ます。

3週目:自動で進める規則を決める

第7章の規則の表を、媒体部と営業で確かめます。どの連絡を自動で進め、どれを知らせるかを、案件の状態の段階に合わせて決めます。進行表に記録の列を2つ足します。

4週目:共有メールボックスから知らせまでをつなぐ

トリガー、添付の取得、AIの抜き出し、進行表の引き当てまでを作ります。この時点では進行表に書き込まず、「自動で進めるはずだった行」を Teams に知らせるだけにします。

2か月目: 2週間ほど知らせの内容を見て、取り違えがなければ自動の書き込みを有効にします。毎朝の突き合わせのフローを足します。3か月目以降: 1通5分が何分になったかを実測し、知らせのある連絡の割合が下がり、不備の連絡が届いてから営業に伝わるまでの時間が縮んだ時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
「When a new email arrives in a shared mailbox (V2)」のトリガー、「Get Attachment (V2)」「Move email (V2)」のアクションがあること。多くのメールが同時に届くとまれにトリガーがメールを取りこぼすことがあること。トリガーで添付を含めると時間切れになることがあり、添付を含めずに Get Attachment (V2) で取る方法が示されていること。電子署名付きのメールで添付の内容が正しくないことがあること。フォルダ名の手入力でスラッシュがサポートされないことMicrosoft Learn: Office 365 Outlook connector2026-10-08
フローの中で「プロンプトを実行する」アクションでプロンプトを使えること。Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限または容量帯域幅調整の対象になる場合があることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-08
画像またはドキュメントの入力が通常 PNG・JPG・JPEG・PDF に限られること。合計25MB未満、50ページ未満、処理は最大100秒であること。大きな文書では特に表の行で不正確・不完全になりうること。セキュリティ上の理由により入力に指示を含めることが禁止されていることMicrosoft Learn: プロンプトに入力を追加する2026-10-08
プロンプトの出力を JSON にでき、保存した形式がフローで使われること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を加える対策。フィールドのキーの無い JSON 形式がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-08
日本で GPT-4.1 mini などが「GA(クロスジオ)」とされ、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があることMicrosoft Learn: リージョンと更新プログラムによるモデルの可用性2026-10-08
SharePoint コネクタに Get items(OData のフィルター クエリ)、Update item、Create item のアクションがあることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-08
Post message in a chat or channel のアクションがあること。投稿するメッセージの上限が約28KBで、超えると失敗することMicrosoft Learn: Microsoft Teams connector2026-10-08

掲載日の変更や差し替えへの対応は、媒体社との取引の条件と広告主との契約に従ってください。 本記事は公式の説明で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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