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乗合の保険代理店で、複数の保険会社の商品パンフレット・重要事項説明書を横断し、保障内容・特約・引受条件の違いを募集人がチャットで比べられるようにする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

募集人が「この3社のがん保険で、上皮内がんの扱いはどう違うか」とチャットで聞くと、各社の今の販売資料から同じ比較の軸で記載を並べ、根拠の箇所を付けて返します。面談の前の比較表の下書きになります。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
その他/不動産/保険/金融
対象部門
営業
対象業務
情報検索/比較検討
主な課題
属人化している/情報が見つからない/確認ミスが多い
AIで行う処理
対話
主な効果
判断支援/品質標準化/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
28h/月
想定削減
65%
年間削減
624h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 面談の予約が入ると、募集人が顧客の意向(保障の種類、保険料の目安、気になる点)を顧客管理の仕組みで確かめる
  2. 比べる保険会社を2〜4社選び、共有フォルダで各社のパンフレットと重要事項説明書を開く
  3. 比較表の書式に、各社の保障内容・特約・保険料の払込み・引受の条件を書き写す
  4. 書き方が違う項目(「入院の日数の上限」「通算の上限」「1回の入院の定義」など)は、ご契約のしおりまで読みに行く
  5. 分からない項目は、経験の長い募集人か保険会社の担当に聞く
  6. 募集管理の担当が比較表を点検し、誤りや誤解を招く書き方を直させる
  7. 募集人が面談で比較表を見せて説明する
導入後(After)
  1. 人募集人が代理店の中のチャット画面で、商品の種類・比べる保険会社・基準日(既定は今日)を選び、質問を入れる
  2. 自動中継プログラムが、商品の種類・保険会社・販売期間で絞り込みの式を作る
  3. 自動Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、各社の今の販売資料から質問に当たる箇所を探し、根拠の箇所つきで答える
  4. 自動中継プログラムが、答えを保険会社ごと・比較の軸ごとの表に組み直し、根拠の無いセルを「記載なし」にする
  5. 人募集人が「では通院の保障の条件は」と聞き足し、同じセッションで比較の軸を足していく
  6. 自動評価の言葉(「手厚い」「有利」など)が答えに出れば、表に載せずに印を付ける
  7. 人募集人が比較表の下書きを確かめ、「記載なし」の項目を約款か保険会社への確認で埋める
  8. 人募集管理の担当が比較表を点検し、面談で使ってよいかを決める
  9. 自動質問・絞り込みの式・答え・根拠・比較表の版を記録に残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 面談の予約が入ると、募集人が顧客の意向(保障の種類、保険料の目安、気になる点)を顧客管理の仕組みで確かめる
  2. 比べる保険会社を2〜4社選び、共有フォルダで各社のパンフレットと重要事項説明書を開く
  3. 比較表の書式に、各社の保障内容・特約・保険料の払込み・引受の条件を書き写す
  4. 書き方が違う項目(「入院の日数の上限」「通算の上限」「1回の入院の定義」など)は、ご契約のしおりまで読みに行く
  5. 分からない項目は、経験の長い募集人か保険会社の担当に聞く
  6. 募集管理の担当が比較表を点検し、誤りや誤解を招く書き方を直させる
  7. 募集人が面談で比較表を見せて説明する

(a)各社の資料の書き方がばらばら。 同じ「がん診断給付金」でも、ある会社は「初めてがんと診断確定されたとき」、別の会社は「がんと診断確定されたとき(2回目以降は前回から2年経過)」と書きます。比較表の1行にそろえるには、各社の定義を読み比べる必要があります。

(b)改定前の資料で比べてしまう。 共有フォルダに旧版のパンフレットが残っていると、改定で変わった保障を古いまま比較表に書きます。 募集管理の点検で見つかればよいのですが、点検も同じフォルダを見ています。

(c)書かれていない項目を埋めてしまう。 1社の資料にだけ記載が無い項目を、他社と同じだろうと書き写すことがあります。比較表の見た目はそろいますが、根拠がありません。

(d)比較の質が募集人ごとに違う。 4番目まで読みに行く募集人と、パンフレットの1ページ目で止める募集人がいます。顧客にとっては、どの募集人に当たったかで比較の中身が変わります。

  1. 【人】 募集人が代理店の中のチャット画面で、商品の種類・比べる保険会社・基準日(既定は今日)を選び、質問を入れる
  2. 【自動】 中継プログラムが、商品の種類・保険会社・販売期間で絞り込みの式を作る
  3. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、各社の今の販売資料から質問に当たる箇所を探し、根拠の箇所つきで答える
  4. 【自動】 中継プログラムが、答えを保険会社ごと・比較の軸ごとの表に組み直し、根拠の無いセルを「記載なし」にする
  5. 【人】 募集人が「では通院の保障の条件は」と聞き足し、同じセッションで比較の軸を足していく
  6. 【自動】 評価の言葉(「手厚い」「有利」など)が答えに出れば、表に載せずに印を付ける
  7. 【人】 募集人が比較表の下書きを確かめ、「記載なし」の項目を約款か保険会社への確認で埋める
  8. 【人】 募集管理の担当が比較表を点検し、面談で使ってよいかを決める
  9. 【自動】 質問・絞り込みの式・答え・根拠・比較表の版を記録に残す

4番目が、この設計の条件です。 表に組み直すのはプログラムで、根拠の引用が付いていないセルは、モデルが何を書いていても「記載なし」にします。埋める材料を、モデルの文ではなく引用の有無に置きます。

5番目でチャットにしているのは、比較の軸が面談ごとに違うからです。 顧客が気にしているのが先進医療なのか、通院なのか、保険料の払込みの免除なのかは、意向を聞いた募集人にしか分かりません。 最初から全部の軸を並べるより、聞き足して軸を増やすほうが、面談で使う表に近づきます。

02今回想定するシステム構成

構成図
募集人(代理店の中のチャット画面。商品の種類・保険会社・基準日・質問を入れる)
   │
   ▼【トリガー】質問の送信
中継プログラム(Python/Cloud Run)
   ├──▶ 商品の種類・保険会社・販売期間で絞り込みの式を作る
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッド
   │   各社のパンフレット/重要事項説明書/ご契約のしおり から探す
   │   根拠の箇所と出典を返す(同じセッションで聞き足し)
   ▼
中継プログラム
   ├──▶ 保険会社ごと・比較の軸ごとの表に組み直す
   ├──▶ 引用の無いセルを「記載なし」にする
   ├──▶ 評価の言葉に印を付ける
   ▼
比較表の下書き + 根拠の箇所
   ├──▶ 募集人の画面へ
   └──▶ 募集管理の点検の待ち行列へ
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・検索・比較表の組み直し・記録をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(保険会社ごとの販売資料のPDFとメタデータ)、比較の軸の一覧(商品の種類ごと)─

顧客管理の仕組みと比較表の書式は、新しく足すものではありません。 中継プログラムは顧客管理の仕組みにつながず、 顧客の氏名や健康状態をチャットに入れさせません。最初の準備は、販売資料1つずつに保険会社・商品・販売期間の印を付けることと、商品の種類ごとの比較の軸の一覧を募集管理の担当と作ることです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、出典を付けて返します。前のセッションの ID を渡すと、やり取りを続けられます。 出典ごとに根拠のスコアが返り、根拠の弱い答えを落とす設定があります。

資料の読み取りには、レイアウトの解析を使います。 パンフレットの保障内容は表で書かれていることが多く、レイアウトの解析は PDF の段落・表・画像・題・見出しを見分けます。表の注釈を有効にすると、表を見つけたときに、表の説明と表そのものを1つの断片に入れます。 「入院給付金 日額」の行と「支払限度」の列が、別々の断片に分かれずに残ります。

比較の説明の決まりの土台は、保険業法と施行規則です。 保険業法施行規則第227条の2第3項第4号は、二以上の所属保険会社を持つ募集人に、比較した事項を提供しようとする場合はその比較に係る事項の説明を、比較可能な同種の保険契約から顧客の意向に沿って選ぶ場合はその概要と提案の理由の説明を求めています。この構成が手伝うのは「概要」をそろえるところまでで、提案の理由は募集人が説明します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、募集人が代理店の中のチャット画面で質問を送ったことです。 画面は代理店の募集人と募集管理の担当だけが使い、顧客には見せません。 面談の予約が入ったあと、準備の段階で使います。

最初の質問の前に、商品の種類と比べる保険会社を選ばせます。 商品の種類は「医療保険」「がん保険」「就業不能保険」「火災保険」などの一覧から1つ、保険会社はその種類の商品を扱っている会社から2〜4社です。選ばないと送信できない作りにします。種類を選ばずに聞くと、医療保険の特約とがん保険の主契約が同じ表に並びます。

1件の面談の準備は、1つのセッションで続けます。 「上皮内がんの扱いは」「では通院は」「保険料の払込み免除の条件は」と聞き足すたびに、比較表の行が増えていきます。別の顧客の準備は、新しいセッションで始めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問商品の種類、保険会社、基準日、質問の文画面
パンフレット保障内容の表、特約の一覧、保険料の例保険会社の代理店向けのサイトから取得したPDF
重要事項説明書契約概要、注意喚起情報(支払われない場合、告知、責任開始)同上
ご契約のしおり用語の定義、支払の条件の詳しい説明同上
比較の軸の一覧商品の種類ごとの比べる項目と、その項目の説明募集管理の担当が作る
照会の記録保険会社に確かめた項目と回答、日付募集管理の担当

質を決めるのは、比較の軸の一覧です。 「がん保険」なら、診断給付金の支払事由、上皮内がんの扱い、2回目以降の支払の条件、入院・通院の保障、先進医療、保険料の払込み免除、責任開始までの期間、といった軸を、募集管理の担当が言葉を決めて並べます。 軸の名前がそろっていないと、聞くたびに違う切り口の答えが返ります。

照会の記録も検索の対象に入れます。 資料に書かれていないことを保険会社に確かめた結果は、次に同じ項目で「記載なし」が出たときの手がかりになります。ただし、照会の記録は資料の種類として別に印を付け、答えでは区別して示します。

Step3

データの取得方法を決める

資料は Cloud Storage に保険会社ごとのフォルダで置き、メタデータとあわせてデータストアへ取り込みます。 各社の代理店向けのサイトに新しい版が出たら、募集管理の担当がPDFを置き、旧版の販売期間の終わりを書き込みます。 取り込みは週に1回の定時と、改定があったときに行います。

取るものどこから何に使うか
保険会社メタデータ insurer_id選んだ会社の資料だけに絞る
商品の種類メタデータ product_category同じ種類の商品だけを比べる
商品メタデータ product_id1社に同じ種類の商品が複数あるとき分ける
資料の種類メタデータ doc_type(brochure/important_matters/guide/inquiry)根拠の種類を表に示す
販売期間メタデータ sale_from・sale_to基準日に販売中の版だけに絞る

絞り込みの式は、保険会社・商品の種類・販売期間で書きます。 項目を索引可能にしておけば、insurer_id: ANY("L02", "L04", "L05") AND product_category: ANY("cancer") AND sale_from <= "2026-10-08" AND sale_to >= "2026-10-08" のように、3社のがん保険の、今日販売中の版だけを引けます。日付は ISO 8601 の文字列で比べられます。照会の記録を除きたいときは、NOT doc_type: ANY("inquiry") を足します。

同じ種類の商品が1社に複数あるときは、商品も選ばせます。 「がん保険」と「がん保険(女性向け)」が同じ会社にあると、2つの商品の記載が1つのセルに混ざります。 商品の一覧から1社1商品を選ばせ、product_id で絞ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 資料に印を付ける … 保険会社・商品の種類・商品・資料の種類・販売期間を、PDF1つずつに付けます
  2. 旧版の販売期間を閉じる … 新しい版を置いたら、旧版の sale_to に改定の前日を書きます。旧版は消さずに残し、 過去の面談の比較表の根拠をたどれるようにします
  3. レイアウトの解析と表の注釈を選ぶ … データストアの作成時に、レイアウトの解析を選び、表の注釈を有効にします
  4. 見出しを断片に含める … includeAncestorHeadings を有効にします。既定は無効です
  5. 比較の軸の一覧を作る … 商品の種類ごとに10〜20の軸を、名前と説明で並べます
  6. 保険料の例を取り込まない … パンフレットの保険料の例は年齢・性別ごとの一例で、比較表には保険会社の見積りの結果を使うので、検索の対象から外すか、印を付けて答えに使わせません

4番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成後に有効にも無効にもできず、分割の大きさは100〜500トークン(既定は500)です。「2回目以降は前回の支払から2年経過していること」とだけ書かれた断片は、見出しが無いと、診断給付金の話か入院給付金の話か分かりません。

6番目は、比較の誤解を防ぐためです。 パンフレットの「30歳男性の場合」の保険料を比較表に並べると、顧客の年齢での保険料と違う数字で比べることになります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、選んだ各社の資料から、比較の軸に当たる記載を探し、会社ごとに根拠の箇所つきで書き出すことです。 記載を言い換えて揃えること、どれが良いかを言うこと、書かれていないことを補うことはさせません。

比較の軸の例(がん保険)書き出すもの根拠にする資料
診断給付金の支払事由支払われる条件の文パンフレット、重要事項説明書
上皮内がんの扱い支払の有無と金額の割合の記載パンフレット、しおり
2回目以降の支払回数の限度と間隔の条件しおり
責任開始までの期間待ち期間の日数と、その間の扱い重要事項説明書
保険料の払込み免除免除の条件パンフレット、しおり

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session面談の準備ごとのセッション比較の軸を聞き足していく
includeCitations有効(既定は無効)セルごとの根拠を取る
ignoreLowRelevantContent有効資料に無い項目を答えない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い答えを出さない
searchSpec の filter保険会社・商品・販売期間他社・他の商品・旧版を混ぜない
searchSpec の maxReturnResults20(上限は25、既定は10)4社を並べると10では足りないことがある
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
どの商品が良いか・有利かを言う比較の誤解を招きうる。勧めるのは募集人
記載の無い項目を他社の書き方で補う根拠の無いセルが比較表に載る
各社の定義を1つの言葉に言い換える定義の違いが比較から消える
保険料を比べる年齢・性別の一例で、顧客の保険料ではない
引受の可否を答える告知と保険会社の判断による

2行目と3行目がいちばん起きやすい失敗です。 モデルは、3社の記載を「いずれも診断確定で支払」と1つの言葉にまとめたがります。 まとめた瞬間、「初めて」と「2年経過」の違いが消え、顧客にとって大事な差が比較表から落ちます。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは乗合の保険代理店で、募集人が面談の前に各社の商品を比べる準備を
手伝う立場です。検索結果に出た、選ばれた保険会社の販売資料だけを根拠に答えます。
読むのは募集人で、顧客ではありません。

【答え方】
1. 質問の比較の軸について、保険会社ごとに、資料の記載をそのまま書き出して
   ください。保険会社の順は、選ばれた順にしてください。
2. 保険会社ごとに、資料の種類(パンフレット/重要事項説明書/ご契約のしおり/
   照会の記録)を書いてください。
3. 資料に記載が見つからない保険会社は、「記載なし」と書いてください。
4. 照会の記録を根拠にした場合は、「照会の記録」と明記し、資料の記載と分けてください。

【厳守事項】
- どの保険会社・商品が良い、手厚い、有利、不利といった評価を書かないでください。
- 記載が無い保険会社について、他社の記載や一般的な保険の知識で補わないでください。
- 各社の記載を1つの言葉にまとめたり、言い換えて揃えたりしないでください。
  条件の文言(「初めて」「経過」「以降」「限度」など)は省かずに書いてください。
- 保険料の金額を比べないでください。
- 告知の内容から、引き受けられるかどうかを答えないでください。
- 顧客の個人の事情を前提にした答え方をしないでください。

「記載なし」を答えの中で書かせるのは、プログラムの側と二重に守るためです。 中継プログラムは引用の無いセルを「記載なし」にしますが、モデルが他社の記載を引用して別の会社の欄に書くことがあります。引用の出典の保険会社と欄の保険会社が一致しないものも、プログラムで「記載なし」にします。

「条件の文言を省かない」を書くのは、比較の差がそこにあるからです。 支払の条件の違いは、たいてい「初めて」「2年経過」「180日以内」のような短い語に表れます。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが比較の軸と保険会社の表に組み直し、画面と記録に渡します。

{
  "session_id": "",
  "agent_id": "",
  "product_category": "cancer",
  "as_of": "2026-10-08",
  "insurers": ["L02", "L04", "L05"],
  "products": { "L02": "", "L04": "", "L05": "" },
  "rows": [
    { "axis_id": "cis_benefit", "axis_name": "上皮内がんの扱い",
      "cells": [
        { "insurer_id": "L02", "text": "", "status": "found | not_found",
          "doc_type": "brochure | important_matters | guide | inquiry",
          "uri": "", "page": "", "grounding_score": 0.0 }
      ] }
  ],
  "flags": [ { "type": "evaluative_word | insurer_mismatch", "detail": "" } ],
  "review": { "status": "pending | approved | returned", "reviewer_id": "", "note": "" }
}

1つ目の理由は、セルごとに status と根拠を持てることです。 引用が付かないセルは not_found で、画面には「記載なし」と出ます。募集人が約款や保険会社への照会で埋めたら、その根拠もセルに入れます。 比較表のどのセルが資料から、どのセルが照会から来たかを後から見分けられます。

2つ目は、axis_id で比較の軸を固定できることです。 比較の軸の一覧の ID を行に持たせるので、同じ軸の比較を、別の顧客の面談でも同じ名前で出せます。 募集人ごとに軸の名前が違う、という状態がなくなります。

3つ目は、flags で点検の手がかりを渡せることです。 評価の言葉が出たもの、引用の保険会社と欄の保険会社が違うものに印を付け、募集管理の担当が先に見る行を示します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
代理店の中のチャット画面社内向けの画面商品の種類・保険会社の選択、質問、比較表の表示
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し保険会社・商品・販売期間で絞って答えと根拠を返す
比較の軸の一覧読み取り質問を軸に対応づけ、行の名前をそろえる
募集管理の点検の待ち行列書き込み比較表の下書きと印を載せる
比較表の書式書き出し点検を通った表を、面談で使う書式に写す
質問の記録書き込み質問・絞り込みの式・答え・根拠・表の版を残す

顧客管理の仕組みには、つなぎません。 比較の調べものに顧客の氏名や健康状態は要りません。顧客の意向を軸の選び方に生かすのは募集人の頭の中で、チャットには商品の種類と軸だけを入れます。

比較表の書式への書き出しは、点検を通ったあとだけにします。 下書きのまま面談に持ち出されると、not_found のセルが空欄のまま顧客に見えます。

Step9

人が確認する

人が確かめるのは、「記載なし」のセルと、比較表全体です。

  1. 募集人が「記載なし」を埋める … 約款を読むか、保険会社の担当に照会します。埋めた根拠をセルに残します
  2. 募集人が条件の文言を原本で確かめる … 根拠の箇所を開き、書き出された文が原本のとおりかを見ます
  3. 募集管理の担当が比較表を点検する … flags の行を先に見て、評価の言葉や欄の取り違えが無いかを確かめます
  4. 面談で提案の理由を説明するのは募集人 … 比較表は概要で、なぜその商品を提案するかは、顧客の意向にもとづいて募集人が話します

3番目を省かないでください。 比較表は顧客に見せる資料で、誤解を招く比較は、表を作った募集人ではなく代理店の問題になります。

目標は、240件をならして1件7分です。 資料を探して書き写す時間を減らし、「記載なし」を埋める時間と原本での確認を残す想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
1社の資料に記載が無いnot_found。約款か保険会社への照会で埋める
根拠のスコアが低く答えが落ちたLOW_GROUNDED_CONTENT。取り込み漏れか、軸の言葉が資料と合っていないかを見る
当たる記載がどの会社にも無いNO_RELEVANT_CONTENT。比較の軸の一覧に無い質問として記録する
引用の保険会社と欄の保険会社が違うそのセルを not_found にし、insurer_mismatch の印を付ける
評価の言葉が答えに出た表に載せず、evaluative_word の印を付ける
基準日に販売中の版が無い販売期間の外であることを表示し、改定の取り込みを募集管理に依頼する
1社に同じ種類の商品が複数ある商品を選ばせる。選ぶまで送信させない
検索が応答しない画面に「後で再送」を出し、それまでの比較表は消さずに残す

上から4行目までが大半を占めます。 とくに1行目は、各社の資料の書き方の違いそのもので、無くなることはありません。照会で埋めた結果を照会の記録として取り込むと、同じ「記載なし」が少しずつ減ります。

Step11

記録を残す

  • 質問の文、募集人の ID、商品の種類、保険会社、基準日、日時、セッションの ID
  • 絞り込みの式と、answer メソッドの応答の全文(出典と根拠のスコアを含む)
  • 組み直した比較表の版と、セルごとの根拠
  • 募集人が埋めた「記載なし」のセルと、その根拠(約款・照会)
  • 募集管理の点検の結果と、直させた箇所
  • 面談で使った比較表の版

最後の行を残すのは、後から説明を求められたときのためです。 顧客から「この比較はどの資料にもとづくのか」と問われたとき、面談の日の販売資料のどの版の、どの箇所かを示せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:3社の資料を手でAIの画面に読み込ませ、募集人が比較の行を聞く / 1つの種類の資料を読み比べる時間
半自動化:上記+全社の資料を印つきでデータストアに入れ、保険会社・商品・販売期間で絞って聞く / 絞った検索と出典の表示
本格構成:上記+比較の軸の一覧、表への組み直しと「記載なし」、印、点検の待ち行列と記録をつなぐ / 比較表の下書きと点検の手がかりの全体

最小構成では、旧版を除けません。 読み込ませた資料が今の版かは、人が確かめます。確かめるための段階です。 半自動化で、1件20分が12分程度になります。 資料を探す時間は減りますが、答えを比較表の書式に書き写し、記載の無い会社を見分ける作業が残ります。本格構成で7分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、表への組み直しと「記載なし」の判定をプログラムで行うかの違いです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月使うと、「記載なし」の多い軸と、言葉が資料と合っていない軸が先に分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
7 分
現在  240件 × 20分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 240件 × 7分 ÷ 60 = 28 時間/月
月間削減時間
52h
削減率
65%
年間削減時間
624h
年間金額換算(時間単価3,000円)
187万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 生命保険・損害保険の複数の保険会社の商品を扱う乗合の代理店で、医療保険・がん保険・火災保険など同じ種類の商品を各社で比べて提案している場合。商品の改定が年に何度もあり、募集人が手元に古いパンフレットを持ったまま比べてしまうことがある場合。比較の説明の質が募集人ごとにばらつき、募集管理の担当が比較表を毎回点検している場合。
向いていない
  1. 1社の商品だけを扱う専属の代理店の場合。比べる商品が数本で、募集人全員が改定を把握している場合。どの商品を勧めるかの判断や、顧客の意向に合うかの判定までAIに任せたい場合(この構成は各社の資料の記載を並べるだけで、提案の理由は募集人が顧客の意向にもとづいて説明します)。顧客にそのままチャットを使わせたい場合(この構成は代理店の中で使う前提です)。

07最小構成で試す方法

  1. 商品の種類を1つ選ぶ(がん保険のように、各社で定義の違いが大きいもの)
  2. その種類で扱っている3社の今のパンフレット・重要事項説明書・しおりを集める
  3. 過去に面談で使った比較表から10件を選び、当時の行と根拠を書き出す
  4. 3社の資料を手元のAIサービスに読み込ませ、「各社の記載をそのまま会社ごとに書き出してください。記載が無い会社は『記載なし』としてください。評価の言葉を書かないでください」と指示して、比較表の行を1つずつ聞く
  5. 出てきた行を、当時の比較表と原本の記載と突き合わせる

10件は必ずやってください。 データストアを組む前に、「各社の記載を言い換えずに並べられるか」と「記載なしを埋めないか」を確かめます。

出てきた内容判断
原本どおりの記載が会社ごとに並んだ資料の印付けとデータストアの構築に進む
記載の無い会社を他社の書き方で埋めた指示とプログラムの「記載なし」で直る。構成は有効
当時の比較表が、原本と違う記載で作られていた比較の軸の一覧と点検の手順が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、比較表の質が募集人ごとに違っていた理由が1つ分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
記載の無い会社を他社の書き方で埋める引用の無いセルはプログラムで「記載なし」にする
各社の定義を1つの言葉にまとめる指示で禁じ、条件の文言を省かせない
「手厚い」「有利」が答えに出る指示で禁じ、出たら表に載せず印を付ける
旧版のパンフレットで比べる販売期間を資料に持たせ、改定で旧版を閉じる
医療保険とがん保険が同じ表に並ぶ商品の種類を選ばせ、product_category で絞る
同じ会社の別の商品の記載が混ざる商品を選ばせ、product_id で絞る
保障の表が断片に分かれて読めないレイアウトの解析と表の注釈を有効にする
「2年経過」が何の条件か分からないincludeAncestorHeadings を有効にする。作成後は変えられない
保険料の例で比べてしまう保険料の例を検索の対象から外し、見積りの結果を使う
下書きのまま面談に持ち出す点検を通ったものだけを比較表の書式に書き出す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも比較表の見た目はそろい、原本と並べて初めて誤りと分かります。 「記載なし」をプログラムで守っているかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 保険会社の販売資料、保険会社への照会の記録、募集人の質問、そして顧客に見せる比較表の下書きです。

  1. 顧客の情報を入れさせない … 顧客の氏名、健康状態、告知の内容は、比較の調べものに要りません。画面に入力欄を作らず、 質問の文に入れないよう募集人に周知します
  2. 比較の誤解を招く表現を出さない … 保険業法第300条第1項第6号は、比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為を禁じています。評価の言葉を出させず、条件の文言を省かせないのは、そのためです
  3. 提案の理由は募集人が説明する … 保険業法第294条の2は、顧客の意向を把握し、それに沿った提案と説明を行うことを求めています。意向に沿うかを判断するのは募集人で、 この構成は概要をそろえる道具です
  4. 保険会社の資料の扱いを確かめる … 販売資料を社内の検索の対象に入れてよいか、比較表にどの範囲を写してよいかは、各保険会社との委託契約と、保険会社の募集資料の取扱いの定めに従います。 取り込む前に確かめます
  5. 点検を通さずに顧客に見せない … 比較表は顧客に見せる資料です。募集管理の担当の点検を通ったものだけを使います
  6. 照会の記録の扱い … 保険会社に確かめた回答は、その時点の回答です。照会の日付を必ず残し、 改定があったら照会の記録の販売期間も閉じます

誤りが起きた場合のリスクは、根拠の無いセルが比較表に載ることと、比較の誤解を招く表現が顧客に届くことの2つです。 前者は「記載なし」のプログラムで、後者は指示と印と点検で止めます。どちらも、モデルの答えをそのまま表にしない作りで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:比較の軸の一覧を作る

がん保険について、募集管理の担当と経験の長い募集人で、比べる軸を10〜20個、名前と説明つきで並べます。過去の比較表で、点検のときに直させた行を集めると、軸の抜けが分かります。

2週目:10件で試す

3社の資料を手元のAIサービスに読み込ませ、過去の比較表の行を聞きます。記載の無い会社を埋めていないか、条件の文言を省いていないかを最優先で見ます。

3週目:資料に印を付ける

がん保険を扱う各社の今の版と、直近の旧版に、保険会社・商品・資料の種類・販売期間を付けます。改定のときに誰が置き換えるかを決めます。

4週目:がん保険だけでデータストアをつなぐ

レイアウトの解析・表の注釈・見出しの設定を決めてデータストアを作り、中継プログラムで表への組み直しと「記載なし」と印を出すところまで作ります。募集管理の担当だけが使う形で始めます。

2か月目: 募集人8名で使い、not_found と flags の件数を毎週数えます。3か月目以降: 医療保険と火災保険を足し、1件20分が何分になったかを実測します。照会で埋めた「記載なし」が照会の記録として取り込まれ、点検で直させる行が減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが検索結果から回答を作ること。前のセッションの ID でやり取りを続けられること。includeCitations(既定は無効)、ignoreLowRelevantContent、preamble、searchSpec の filter と maxReturnResults(既定10、上限25)。groundingSpec の filteringLevel(FILTERING_LEVEL_LOW/HIGH)と出典ごとの根拠のスコア、answerSkippedReasons の NO_RELEVANT_CONTENT/LOW_GROUNDED_CONTENTGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
レイアウトの解析が PDF の段落・表・画像・題・見出しを見分けること。表の注釈で表の説明と表そのものを1つの断片に入れること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割はデータストアの作成後に切り替えられないことGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-08
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、NOT による否定、日付を ISO 8601 の文字列で比べられること、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-08
保険業法第294条の2(顧客の意向の把握と、意向に沿った提案・説明)、第300条第1項第6号(比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為の禁止)e-Gov 法令検索 法令API: 保険業法2026-10-08
保険業法施行規則第227条の2第3項第4号(二以上の所属保険会社等を有する保険募集人の、比較に係る事項の説明、比較可能な同種の保険契約の概要と提案の理由の説明)e-Gov 法令検索 法令API: 保険業法施行規則2026-10-08

比較の説明のしかたと募集資料の扱いは、保険業法と監督指針、各保険会社との委託契約と社内の募集管理の規程に従ってください。 本記事は Google Cloud と e-Gov 法令検索で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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