人材派遣会社に派遣先とスタッフから届く勤怠の修正依頼メールを、打刻漏れ・残業の修正・休暇の振替などに分類して、勤怠担当のタスクにする
派遣先とスタッフから届く勤怠の修正依頼メールを読み、打刻漏れ・残業の修正・休暇の振替などの種類に分けます。スタッフ・日付・修正前後の時刻をそろえて、勤怠担当のタスクの一覧に1行ずつ載せます。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- 人材/介護/物流
- 対象部門
- 人事
- 対象業務
- データ入力・転記/分類・仕分け
- 主な課題
- 人手が足りない/入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 分類
- 主な効果
- 入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 必須
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 共有のアドレスに届いたメールを、担当者が上から順に開く
- 本文を読み、誰の、何日の、何を直す依頼かを読み取る
- スタッフの台帳でスタッフの番号と派遣先を探す
- スタッフ本人からの残業の修正なら、派遣先の担当者に確認のメールを書く
- 日付や時刻が足りなければ、送り主に問い合わせのメールを書く
- 修正の内容を、手元の修正の一覧のスプレッドシートに書き写す
- 一覧を見ながら、勤怠の仕組みの画面で修正する
- 自動共有のアドレスに届いたメールに、Gmail のフィルタで「勤怠修正/受付」のラベルが付く
- 自動ラベルの付いたメールで Zapier の Zap が動く
- 自動送り主のアドレスから、派遣先の担当者かスタッフ本人かを台帳で引く
- 自動AI by Zapier がメールを読み、修正の件ごとに種類・スタッフ名・日付・修正前後の時刻を返す
- 自動スタッフ名から台帳でスタッフの番号と派遣先を引き、タスクの一覧に1件1行で載せる
- 自動規則に従ってタスクの段取りを決める。そのまま直せるもの、派遣先の確認が要るもの、送り主への問い合わせが要るもの
- 自動確認と問い合わせが要るものは、Gmail に返信の下書きを作る
- 人勤怠担当が、タスクの一覧を締めの日の近い順に見て、元のメールと照らして直す
- 人返信の下書きを読み、直して送る
各工程の詳しい説明を読む
- 共有のアドレスに届いたメールを、担当者が上から順に開く
- 本文を読み、誰の、何日の、何を直す依頼かを読み取る
- スタッフの台帳でスタッフの番号と派遣先を探す
- スタッフ本人からの残業の修正なら、派遣先の担当者に確認のメールを書く
- 日付や時刻が足りなければ、送り主に問い合わせのメールを書く
- 修正の内容を、手元の修正の一覧のスプレッドシートに書き写す
- 一覧を見ながら、勤怠の仕組みの画面で修正する
(a)読んで書き写すだけで時間が消える。 1通を開き、スタッフを探し、一覧に書き写すまでに数分かかります。判断らしい判断が要るのは一部なのに、全件で同じ手間がかかります。 派遣先からのまとめのメールは、1通に5名分の修正が書かれていることもあります。
(b)締めの前に依頼が埋もれる。 締めの前の週は1日に数十通が届き、読んだメールと読んでいないメールが受信箱の中で混ざります。 誰かが開いて既読になったのに、一覧に書き写されていない依頼が、給与の計算の後に見つかります。
(c)確認が要る依頼が後回しになる。 スタッフ本人からの残業の修正は、派遣先の確認を取るまで直せません。確認のメールを書く手間がかかるので、すぐ直せる依頼から先に片付けられ、 確認が要るものが締めの直前に残ります。
(d)種類の見分けが人によって違う。 「10日は休みでしたが出勤しました」を休日出勤とするか、シフトの変更とするかで、勤怠の仕組みで直す画面と、派遣先への請求の単価が変わります。 見分け方が担当者の経験に任されています。
- 【自動】 共有のアドレスに届いたメールに、Gmail のフィルタで「勤怠修正/受付」のラベルが付く
- 【自動】 ラベルの付いたメールで Zapier の Zap が動く
- 【自動】 送り主のアドレスから、派遣先の担当者かスタッフ本人かを台帳で引く
- 【自動】 AI by Zapier がメールを読み、修正の件ごとに種類・スタッフ名・日付・修正前後の時刻を返す
- 【自動】 スタッフ名から台帳でスタッフの番号と派遣先を引き、タスクの一覧に1件1行で載せる
- 【自動】 規則に従ってタスクの段取りを決める。そのまま直せるもの、派遣先の確認が要るもの、送り主への問い合わせが要るもの
- 【自動】 確認と問い合わせが要るものは、Gmail に返信の下書きを作る
- 【人】 勤怠担当が、タスクの一覧を締めの日の近い順に見て、元のメールと照らして直す
- 【人】 返信の下書きを読み、直して送る
8番目で元のメールと照らすのは、全件です。 勤怠は給与と請求に直結するので、AIが取り出した日付と時刻だけを見て直すことはしません。 ただし、読むのは1行のタスクと元のメールの該当箇所だけで、受信箱を上から読む仕事ではなくなります。
6番目を規則で決めているのは、確認の要否が会社の取り決めだからです。 例えば「スタッフ本人からの残業の修正は、30分以内なら派遣先の確認を後でよい」と決めたら、直すのは規則の1行です。
02今回想定するシステム構成
勤怠の共有のアドレス(Gmail) │ フィルタで「勤怠修正/受付」のラベル ▼【トリガー】New Labeled Email Zapier ├──▶ Google Sheets:送り主のアドレスを台帳で引く(派遣先/スタッフ) ▼ AI by Zapier ── 依頼を分類し、項目を取り出す │ 種類/スタッフ名/日付/修正前後の時刻/足りない項目 ▼ Gmail:ラベルを「勤怠修正/起票済み」に付け替え ▼ Looping by Zapier:件(items)ごとに以下を繰り返す ▼ Google Sheets:スタッフの番号と派遣先を引き、タスクの一覧に記録 ▼ Paths by Zapier(最後の手順) ├─ A そのまま直せる ─────▶ 記録のみ ├─ B 派遣先の確認が要る ──▶ 派遣先への確認の下書き ├─ C 項目が足りない ────▶ 送り主への問い合わせの下書き └─ Fallback ──────────▶ チームの共有のチャンネルへ
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Gmail、Google Sheets、Looping、Paths) | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | AI by Zapier(Analyze and Return Data) | ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini |
| 保管 | Google スプレッドシート(スタッフと派遣先の台帳・タスクの一覧) | Zapier Tables |
| メール | Gmail(受信、ラベル、返信の下書き) | Microsoft Outlook |
勤怠の仕組みには書き込みません。 足すのは、Zapier の Zap が1本と、タスクの一覧のシートが1枚、Gmail のフィルタとラベルです。勤怠の仕組みの修正は、これまでどおり担当者が画面で行います。
起点は Gmail の New Labeled Email です。 Zapier の Gmail のトリガーはすべて定期的に確かめに行く方式で、New Email や New Email Matching Search は届いてから1時間以内のメールしか拾いません。 New Labeled Email はラベルが付いたメールを付いた時期を問わず拾うので、Zap が止まっていた間のメールも、動き出したときに拾えます。締めの前に取りこぼしが許されない業務なので、この違いで選んでいます。
分類は AI by Zapier に任せます。 Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、OpenAI、Anthropic、Google Gemini、Azure OpenAI、Amazon Bedrock に対応し、返してほしい項目を出力のフィールドとして定義できます。モデルの段階は Standard(1タスク)、Advanced(3タスク)、Premium(5タスク)で、1通に数名分が書かれたメールを件に分けるので、Advanced から試します。
返信の下書きは Gmail の Create Draft Reply で作ります。 元のメールへの返信の下書きを作る操作で、送信はしません。 送るのは担当者です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
勤怠の共有のアドレスへのメールの到着を起点にします。 ただし Zap は受信箱を直接見ません。Gmail のフィルタで、共有のアドレス宛てのメールに「勤怠修正/受付」のラベルを付け、 そのラベルが付いたことで Zap を動かします。
ラベルを挟む理由は2つあります。1つは、先に書いたとおり New Labeled Email が付いた時期を問わず拾うことです。もう1つは、人が手でラベルを付けても動くことです。 担当者の個人のアドレスに直接届いた依頼も、共有の受信箱に転送してラベルを付ければ、同じ流れに乗ります。
注意が1つあります。 New Labeled Email は、ラベルの付いた会話に返信が来たときにも動きます。派遣先へ確認のメールを送り、その返事が同じ会話に届くと、返事のメールがもう一度、新しい依頼として流れてきます。 第7章の前処理で、件名と会話の履歴から「確認への返事」を見分けて除きます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 修正の依頼のメール | 送り主のアドレス、件名、本文、受信日時、会話のID | Gmail |
| 送り主の台帳 | アドレスごとの区分(派遣先の担当者/スタッフ本人)、派遣先の名前 | Google スプレッドシート |
| スタッフの台帳 | スタッフの番号、氏名、氏名の読み、派遣先、シフトの種類 | Google スプレッドシート |
| 締めの日の一覧 | 派遣先ごとの勤怠の締めの日 | Google スプレッドシート |
| 分類の手引き | 修正の種類の定義と、それぞれの例文 | 指示文に書き込む |
質を決めるのは、送り主の台帳とスタッフの台帳です。 送り主が派遣先の担当者かスタッフ本人かが分からないと、確認が要るかどうかを決められません。 スタッフの台帳に氏名の読みが無いと、「わたなべ」と書かれた依頼を「渡辺」と「渡部」のどちらに付けるか決まりません。
締めの日は派遣先ごとに違うことがあります。 月末締めの派遣先と20日締めの派遣先が混ざっていれば、タスクの期日は派遣先の締めの日から決めます。 この一覧が無いと、全件が月末の期日になり、20日締めの依頼が後回しになります。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| メールの本文と送り主 | New Labeled Email のトリガー | 分類の入力 |
| 送り主の区分 | 送り主の台帳を Lookup Spreadsheet Row で引く | 確認の要否 |
| スタッフの番号と派遣先 | スタッフの台帳を Lookup Spreadsheet Row で引く | タスクの一覧の項目 |
| 締めの日 | 締めの日の一覧を派遣先で引く | タスクの期日 |
送り主の台帳は、アドレスで引きます。 スタッフ本人が個人のアドレスから送ってくることがあるので、スタッフの台帳には登録したアドレスを持たせておきます。 台帳に無いアドレスからの依頼は「送り主不明」とし、本人の確認をしてから扱います。
スタッフは氏名で引き、補助の検索列に派遣先を使います。 Lookup Spreadsheet Row は、探す列と値に加えて補助の検索列と値を指定できます。同じ氏名のスタッフが別の派遣先にいることがあるので、氏名だけで引きません。 派遣先の担当者からのメールなら、派遣先は送り主の台帳から分かります。
AIへ渡す前に整形する
- 確認への返事を除く … 件名が「Re:」で始まり、会話のIDがタスクの一覧にすでにあるものは、新しい依頼として扱わず、そのタスクの行に「返事あり」と付けます
- 引用と署名を落とす … 返信の引用部分と署名を本文から取り除きます。引用の中の過去の依頼を、もう一度読ませないためです
- 添付ファイルの有無を印にする … 修正の一覧を表計算のファイルで送ってくる派遣先があります。添付があれば印を付け、本文だけで分類させずに人へ回します
- 受信日を渡す … 「昨日」「先週の金曜」を人が後から解釈できるよう、受信日時を必ず一緒に残します
1番目を省くと、確認のやりとりがすべて新しい依頼になります。 派遣先が「確認しました、19時で正しいです」と返すたびにタスクが1行増え、同じ修正を二度直すことになります。
AIに処理させる
させるのは、メールを修正の件ごとに分け、件ごとに種類を決め、書かれている項目を写すことだけです。
| 出力 | 中身 | 判断できないときの扱い |
|---|---|---|
| 修正の種類 | 打刻漏れ/残業の修正/休暇の振替・取得/休日出勤/遅刻・早退/休憩の修正/シフトの変更/取り消し | 当てはまらなければ other |
| スタッフ名 | 本文に書かれた氏名をそのまま | 書かれていなければ空欄 |
| 対象の日付 | 本文に書かれた日付をそのまま | 「先週の金曜」なら書かれた語のまま残し、date_explicit を false |
| 修正前と修正後の時刻 | 書かれた時刻をそのまま | 片方しか無ければ、無いほうを空欄 |
| 足りない項目 | 直すのに必要で、書かれていない項目の一覧 | 無ければ空 |
| 根拠の文 | その件を読み取った本文の一部 | - |
種類の見分け方は、分類の手引きに例文で書きます。 「休みの日に出た」は休日出勤、「シフトが早番から遅番に変わった」はシフトの変更です。第3章の(d)で人によって違っていた見分けを、ここで1つに決めます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 日付の計算 | 「先週の金曜」を日付に直すと、週の数え方でずれる |
| 時刻の補完 | 「残業しました」に退勤の時刻を推測で入れない |
| 確認の要否の判断 | 送り主の区分と規則で決める |
| 修正を認めるかどうか | 派遣先と勤怠担当が決める |
| スタッフの特定 | 台帳との照合はワークフローで行う |
1行目と2行目が、いちばん起きやすい失敗です。 日付と時刻は給与と請求の数字に直結します。推測で埋まった値は、正しく見えるので確認をすり抜けます。 書かれていなければ空欄にし、問い合わせの下書きに回します。
指示内容を固定する
あなたは人材派遣会社の勤怠担当で、勤怠の修正依頼メールを整理する立場です。
メールの本文に書かれていることだけを根拠にしてください。推測で補わないでください。
【やること】
1. メールに含まれる修正の依頼を、スタッフ1名・1日ごとの件に分けてください。
2. 件ごとに、修正の種類(correction_type)を次から1つ選んでください。
missed_punch(打刻漏れ)/overtime(残業の修正)/leave_swap(休暇の振替・取得)/
holiday_work(休日出勤)/late_early(遅刻・早退)/break(休憩の修正)/
shift_change(シフトの変更)/cancel(以前の依頼の取り消し)/other
3. 件ごとに、スタッフ名、対象の日付、修正前の時刻、修正後の時刻を写してください。
【厳守事項】
- 日付は本文に書かれたとおりに写してください。「昨日」「先週の金曜」を
日付に直さないでください。その場合は date_explicit を false にしてください。
- 時刻は本文に書かれたものだけを写してください。書かれていなければ空欄にし、
missing_fields にその項目名を入れてください。
- スタッフ名は本文の表記のまま写してください。漢字を推測しないでください。
- 修正を認めるべきか、派遣先の確認が要るかは書かないでください。
- 1通に複数の件があれば、すべて分けてください。まとめないでください。
- evidence には、その件を読み取った本文の一部をそのまま写してください。
- 勤怠の修正の依頼が含まれないメール(お礼、質問だけ、営業の連絡など)は、
items を空にし、not_a_request を true にしてください。
【分類の手引き】{classification_guide}
【受信日時】{received_at}
【メール本文(引用と署名は除去済み)】{body}
「日付に直さない」と書かないと、AIは親切に日付を計算します。 受信日時を渡しているので、「先週の金曜」から日付を出すことはできてしまいます。月をまたぐ週や、週の始まりを日曜とするか月曜とするかで、1週間ずれた日付が入ります。 日付を直すのは、受信日時を見た担当者です。
「まとめないでください」は、派遣先からのまとめのメールのためです。 5名分の修正が書かれたメールを1件にまとめられると、タスクの一覧に1行しか載らず、残りの4名分が漏れます。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力のフィールドを、次の形で定義します。
{
"not_a_request": false,
"items": [
{
"correction_type": "missed_punch | overtime | leave_swap | holiday_work | late_early | break | shift_change | cancel | other",
"staff_name": "",
"date_text": "",
"date_explicit": true,
"time_before": "",
"time_after": "",
"missing_fields": [],
"evidence": ""
}
]
}
1つ目の理由は、1通のメールを件の数だけ行に分けられることです。 items の要素1つが、タスクの一覧の1行になります。行に分ける手順をワークフローの側に持たせるので、 派遣先のまとめのメールでも、件の数だけタスクが立ちます。
2つ目は、Paths の条件をこの値と台帳の値だけで書けることです。
| 分岐 | 条件 | 段取り |
|---|---|---|
| A | missing_fields が空で、date_explicit が true、送り主が派遣先の担当者 | そのまま直せる。記録のみ |
| B | missing_fields が空で、date_explicit が true、送り主がスタッフ本人で、種類が残業・休日出勤・休憩 | 派遣先への確認の下書き |
| C | missing_fields が空でない、または date_explicit が false | 送り主への問い合わせの下書き |
| Fallback | 上のどれでもない(送り主不明、other、添付あり など) | チームの共有のチャンネル |
分岐の条件は重ならないように書きます。 Paths の分岐は左から順に実行され、条件を満たした分岐はすべて動きます。 B と C の条件が重なると、同じ件に派遣先への確認とスタッフへの問い合わせが両方作られます。C に当たるものは、項目がそろってから B を判断するので、B の条件に「missing_fields が空」を入れています。
3つ目は、date_text を書かれたまま残せることです。 タスクの一覧には「先週の金曜」とそのまま載り、担当者は受信日時を見て日付を決めます。 推測で埋めた日付より、空欄のほうが安全です。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Gmail | New Labeled Email | ラベルが付いたメールを受け取る |
| 送り主とスタッフの台帳 | Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row | 区分・スタッフの番号・派遣先を引く |
| AI by Zapier | Zap の手順 | 件の分割と分類、項目の取り出し |
| タスクの一覧 | Google Sheets の行の追加 | 件ごとに1行。期日は締めの日から |
| Gmail | Add Label to Email/Remove Label From Email | 「受付」を外し「起票済み」を付ける |
| Gmail | Create Draft Reply | 確認と問い合わせの返信の下書き |
件ごとの処理は Looping by Zapier で回します。 line items からループを作ると、ループの後ろの手順はすべて1件ごとに動き、 1件ごとに別の Zap の実行として履歴に残ります。行の追加も Paths も件ごとに動くので、5名分のメールなら5つのタスクと、それぞれの段取りができます。
ラベルの付け替えをループの前に置くのは、この性質のためです。 ループの後ろに置くと、件の数だけ同じ操作が動きます。Paths を足すとそれが最後の手順になる制約もあるので、全件に一度だけ要る操作は、分類が成功した直後に済ませます。「勤怠修正/受付」のラベルが残っているメールが、そのまま分類に失敗した一覧になります。 行の追加の失敗は、タスクの一覧の会話のIDと「起票済み」のメールを毎朝突き合わせて拾います。
勤怠の仕組みには書き込みません。 勤怠の修正は、タスクの一覧を見た担当者が画面で行います。AIが読み違えた時刻が、そのまま給与に入る経路を作らないためです。
人が確認する
人が見るのは、タスクの全件です。 ただし受信箱を読む仕事ではなく、1行のタスクと元のメールの根拠の文を照らす仕事です。
- 期日の近い順にタスクを開く … 締めの日が近いものから並べます
- 根拠の文と元のメールを照らす … スタッフ名、日付、時刻が本文どおりかを見ます。
date_explicitが false のものは、受信日時から日付を決めて書き込みます - 勤怠の仕組みで直す … 直したら、タスクの行に完了の印と直した日時を付けます
- 返信の下書きを直して送る … 分岐BとCの下書きを読み、必要なら書き直して送ります
- 分類を直したら記録する … 種類を変えたら、訂正の列に残します
2番目を省かないでください。 AIは「19:30」を「19:00」と写し違えることがあります。30分の違いは、給与の訂正と派遣先への請求の出し直しの両方になります。
目標は、900件をならして1件1分です。 そのまま直せる件は根拠の文を見るだけで数十秒、下書きの件は文面を読んで送るので数分かかります。締めの前の週に1分を大きく超えるなら、問い合わせの下書きが多すぎないか、つまり日付の書かれていない依頼が増えていないかを見ます。 派遣先に依頼の書き方の見本を配るほうが、AIの指示を直すより効きます。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 送り主のアドレスが台帳に無い | 「送り主不明」として Fallback へ。本人確認をしてから扱う |
| スタッフ名で台帳を引けない | 読みの違い・旧姓を疑い、人へ回す |
| 同じ氏名のスタッフが複数いる | 派遣先で絞る。絞れなければ人へ |
| 修正の一覧が添付ファイルで届く | 本文だけで分類せず、Fallback へ。人がファイルを開く |
| 以前の依頼の取り消し | cancel として記録し、元のタスクを探して印を付ける |
| 確認への返事が新しい依頼として届く | 会話のIDで元のタスクを探し、「返事あり」を付ける |
| 締めの日を過ぎて届いた依頼 | 期日を翌月の締めにし、給与の訂正の手続きのタスクとして別に印を付ける |
| AI by Zapier がエラーを返す | ラベルを「受付」のまま残す。翌朝の件数の確認で拾う |
最後の行で、ラベルを残すのが要点です。 失敗したメールのラベルを付け替えてしまうと、受信箱の上では処理済みに見えて、タスクの一覧には無いという状態になります。第3章の(b)と同じ漏れが、自動化の中で起きます。
記録を残す
- 元のメール(Gmail に残る。会話のIDをタスクの一覧に記録する)
- AIの出力(
itemsの全体)と、そのとき使った分類の手引きの版 - タスクの一覧の各行(種類、スタッフ、日付、時刻、期日、段取り、完了の日時)
- 人が直した記録 … 種類、日付、時刻のどれを、何から何に変えたか
- 送った返信の日時と、派遣先の確認が取れた日時
- Zapier の Zap の実行の履歴
4つ目の記録が、分類の手引きを直す材料になります。 AI by Zapier は実行のたびに学習する仕組みではないので、同じ誤りを止めるには、手引きの例文を人が足すしかありません。
5つ目は、派遣先ごとの確認の速さを見るためです。 確認の返事が締めの日に間に合わない派遣先が続くなら、確認の段取りそのものを派遣先と相談します。
04実装レベルの3段階
最小構成では件数がさばけません。 月900件を1通ずつ貼るのは現実的ではなく、分類の手引きを固めるための段階です。 半自動化で、1件4分が1分になり、この段階が本記事の想定です。 読んで、探して、書き写して、確認と問い合わせの文を書く作業が自動になり、担当者に残るのは、根拠の文と元のメールを照らして直す仕事です。 本格構成は、締めの日の漏れを防ぐための段階です。 確認待ちのタスクが締めの日に残っていれば知らせ、給与の計算の前に未完了の依頼が無いことを確かめられるようにします。
05工数削減シミュレーション
導入後 900件 × 1分 ÷ 60 = 15 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 派遣スタッフが数百名から千名を超え、勤怠の修正の依頼を共有のメールアドレスで受けている人材派遣会社。派遣先の担当者とスタッフ本人の両方からメールが届き、勤怠担当が1通ずつ読んで修正の種類を見分け、勤怠の仕組みの修正と派遣先への確認を手で進めている場合。月末の締めの前に依頼が集中し、対応の漏れが給与の訂正や請求の出し直しにつながっている場合。Gmail と Zapier の有料プランを使える場合。
- 修正の依頼が月に数十件で、担当者が読めば足りる場合。勤怠の仕組みに修正の申請と派遣先の承認の画面があり、依頼がメールで届かない場合。依頼が電話と紙で届く場合。なお、勤怠の仕組みへの修正の入力と、修正を認めるかどうかの判断は、この構成では行いません。
07最小構成で試す方法
- 先月の締めの前の1週間に届いた修正依頼のメールから50通を選ぶ(派遣先のまとめのメールと、日付が「昨日」などで書かれたものを入れる)
- その50通について、当時の担当者が修正の一覧にどう書き写したかを並べる
- 50通の本文を、手元のAIサービスの画面に1通ずつ貼り付ける
- 第7章の指示文を貼り、件の分割、種類、スタッフ名、日付、時刻を返させる
- 返ってきた結果を、当時の修正の一覧と突き合わせる
50通は必ず人が当時の一覧と並べてください。 Zap を組む前に、「件の分け方と日付の写し方が、担当者と同じになるか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 件の分け方と項目が当時の一覧とほぼ同じ | Zap を組む段階に進む |
| 「先週の金曜」を日付に直した | 指示の書き方で直る。日付を直さないことを強く書く |
| 種類の見分けが担当者のあいだでもばらばら | 分類の手引きを4名で決めるところから始める |
3行目が出たら、そこが最初の成果です。 休日出勤とシフトの変更の見分けが人によって違うことが分かれば、派遣先への請求の誤りの原因も1つ見つかったことになります。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| Zap が止まっていた間のメールが拾われない | New Email は1時間以内しか拾わない。 ラベルのトリガーを使う |
| 確認への返事が新しい依頼になる | ラベルの付いた会話への返信でも動く。会話のIDで元のタスクに結び付ける |
| 「先週の金曜」が誤った日付になる | 日付を直させない。書かれたまま残し、人が決める |
| まとめのメールが1件になる | 件に分けることを指示に入れ、items を行に分ける |
| 同じ件に確認と問い合わせが両方できる | 分岐の条件を重ならないように書く |
| 分岐の後ろに記録を置けない | Paths は最後の手順になる。 記録は分岐の前で |
| 失敗したメールが処理済みに見える | ラベルの付け替えは分類の成功後だけ。行の数は毎朝突き合わせる |
| ラベルの付け替えが件の数だけ動く | ループの後ろはすべて1件ごとに動く。 ループの前に置く |
| 同じ氏名のスタッフを取り違える | 補助の検索列に派遣先を使う |
| 添付ファイルの一覧を読まずに分類する | 添付があれば人へ回す |
| 返信が自動で送られる | 下書きまでにする。 送るのは担当者 |
上の2行が、Gmail のトリガーの選び方から来る失敗です。 1時間以内しか拾わないトリガーを選ぶと、Zap の不調がそのまま依頼の漏れになります。 ラベルのトリガーは漏れにくい代わりに返信でも動くので、前処理で会話のIDを見ることが前提になります。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 派遣スタッフの氏名、勤務の日時、休暇の取得、派遣先の名前です。体調不良による早退や通院の休暇など、健康に関わる事情が本文に書かれていることがあります。
- 外部へ渡す範囲を分類に必要な部分までに限る … AI by Zapier に渡すのは、引用と署名を除いた本文と受信日時までです。スタッフの番号や住所などの台帳の情報は渡しません
- 健康に関わる記載を残さない … 休暇の理由に病名や通院が書かれていても、タスクの一覧に写すのは種類と日付と時刻だけにします。根拠の文の欄にも、理由の部分を写さないよう指示に加えます
- 使うモデルの提供元を決めておく … AI by Zapier は複数の提供元に対応し、自社のキーも使えます。スタッフの情報をどの提供元の契約で処理するかを、自社の個人情報の取り扱いの基準と照らして決めます
- 返信を自動で送らない … 派遣先への確認は、取引先との関係に関わります。下書きまでにし、送るのは担当者です
- 送り主の本人確認を省かない … 台帳に無いアドレスから「◯◯さんの残業を直して」と届いた依頼を、そのまま扱わないでください。勤怠の修正は給与に直結し、なりすましの対象になります
- タスクの一覧を見られる人を絞る … 勤怠・給与のチームの中だけで共有します
誤りが起きた場合のリスクは、勤怠を誤って直すことと、依頼を漏らすことの2つです。 前者は全件を人が元のメールと照らすことで、後者はラベルとタスクの一覧の件数を毎朝突き合わせることで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:台帳を整える
送り主の台帳に、派遣先の担当者のアドレスと区分を入れます。スタッフの台帳には、登録したアドレスと氏名の読みの列を足します。全員分を一度に埋める必要はありません。依頼の多い派遣先から埋めます。
2週目:50通で試す
締めの前の週のメールから50通を選び、手元のAIサービスで件に分けて分類させます。当時の修正の一覧と並べ、日付の写し方と件の分け方を最優先で見ます。
3週目:分類の手引きと段取りの規則を決める
修正の種類の見分け方を4名で決め、例文を手引きにします。スタッフ本人からのどの種類の修正に派遣先の確認が要るかを、営業の担当と決めます。
4週目:Zap を組む
Gmail のフィルタとラベルを作り、Zapier で分類してタスクの一覧に載せるところまで作ります。この時点では Paths を付けず、一覧の行だけを1週間見ます。
2か月目: Paths を足して返信の下書きを作り、締めの前の週の件数とタスクの完了の速さを数えます。3か月目以降: 確認の返事を元のタスクに結び付け、締めの日に未完了のものを知らせます。受信箱を上から読む仕事がなくなり、給与の計算の後に未処理の依頼が見つからなくなった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Zapier の Gmail のトリガーが定期的に確かめる方式であること。New Labeled Email がラベルの付いたメールで動き、会話への返信でも動くこと。Create Draft Reply、Add Label to Email、Remove Label From Email の操作があること | Zapier: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-06 |
| New Email、New Email Matching Search、New Thread、New Attachment が1時間以内、New Labeled Email が期間の制限なしで拾うこと。New Labeled Email が付いた時期を問わずラベルの付いたメールを拾うよう変わったこと。Gmail の同時接続が1アカウント15までであること | Zapier: Common Problems with Gmail on Zapier | 2026-10-06 |
| AI by Zapier が Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、OpenAI、Anthropic、Google Gemini、Azure OpenAI、Amazon Bedrock に対応し、自社のキーも使えること。出力のフィールドを定義でき、後ろの手順に渡せること。Standard は1タスク、Advanced は3タスク、Premium は5タスクであること。実行のあいだで学習しないこと。Professional・Team・Enterprise のプランで使えること | Zapier: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-06 |
| Paths の分岐に「独自の条件」「常に実行」「Fallback」があり、左から順に実行されること。Paths と Filter の手順はタスクに数えられないこと。Paths を足すと Zap の最後の手順になること | Zapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths | 2026-10-06 |
| Looping by Zapier がテキスト・line items・数値からループを作れること。ループの後ろの手順がループの1回ごとに動き、1回ごとに別の Zap の実行になること。Free プランでは使えないこと | Zapier: Loop your Zap actions | 2026-10-06 |
| Lookup Spreadsheet Row が探す列と値に加え、補助の検索列と値を指定できること | Zapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets on Zapier | 2026-10-06 |
修正を認めるかどうかと、派遣先の確認が要る範囲は、派遣先との取り決めと自社の勤怠の規程に沿って決めてください。 本記事は、製品の公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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