学習塾・スクールの体験授業のあと、講師の記録から保護者へ送るフォローの連絡文を生徒ごとに作り、入会を検討中の家庭へ連絡する時期を知らせる
体験授業のあとに講師がフォームに残した記録から、その生徒の様子を伝える保護者への連絡文の下書きを作ります。入会を検討中の家庭は、保護者が示した日を過ぎたら教室長へ再連絡の時期を知らせます。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- その他/教育
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 問い合わせ対応/書類作成
- 主な課題
- 営業フォローが追いつかない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 生成
- 主な効果
- 品質標準化/対応スピード向上/機会損失防止
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 必須
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 講師が体験授業のあとに、紙の記録の用紙を書いて教室長に渡す
- 教室長が記録を読み、分からない箇所を講師に聞く
- 教室長が保護者への連絡文を書き、メールか連絡用のアプリで送る
- 体験のあとの面談で保護者が「相談してから」と言った場合は、生徒の台帳の備考欄にその旨と時期を書く
- 教室長が手の空いたときに台帳を見て、時期を過ぎた家庭に電話かメールで連絡する
- 人講師が体験授業のあとに、タブレットで Google フォームの記録を入力する
- 自動フォームの回答をきっかけに Zapier が動き、生徒の台帳から学年と体験の科目を引く
- 自動AI by Zapier が記録から保護者への連絡文の下書きを作り、記録で足りない項目を書き出す
- 自動生徒の台帳に下書きを書き込み、Slack で教室長に知らせる
- 人教室長が下書きを確かめて直し、保護者へ送る
- 自動保護者が「相談してから」と言った家庭は、示した日の翌日まで Delay で待つ
- 自動待ったあと、生徒の台帳で状態を確かめ、まだ検討中なら教室長に再連絡の時期を知らせる
- 人教室長が電話かメールで再連絡する
各工程の詳しい説明を読む
- 講師が体験授業のあとに、紙の記録の用紙を書いて教室長に渡す
- 教室長が記録を読み、分からない箇所を講師に聞く
- 教室長が保護者への連絡文を書き、メールか連絡用のアプリで送る
- 体験のあとの面談で保護者が「相談してから」と言った場合は、生徒の台帳の備考欄にその旨と時期を書く
- 教室長が手の空いたときに台帳を見て、時期を過ぎた家庭に電話かメールで連絡する
(a)連絡が翌日以降になる。 体験授業は夕方から夜に集中し、その時間は教室長も授業の運営に追われています。連絡文を書けるのは授業が終わった夜か翌日で、 保護者が他の塾の体験を受ける前に連絡が届きません。
(b)連絡の中身が記録の濃さで決まる。 2行の記録しかない生徒の連絡文は、「本日はありがとうございました。ぜひご検討ください」で終わります。保護者には、子どもの様子が何も伝わりません。
(c)講師に聞き直す時間がかかる。 記録の「式×」が何を意味するのか、教室長は講師に聞かないと分かりません。講師は次の授業に入っているので、聞けるのは授業の合間か翌日です。
(d)再連絡が漏れる。 備考欄の「来週末に相談」は、台帳を見に行かない限り目に入りません。新学期の前の忙しい時期ほど見に行けず、 保護者が示した日を1週間過ぎてから連絡することになります。
- 【人】 講師が体験授業のあとに、タブレットで Google フォームの記録を入力する
- 【自動】 フォームの回答をきっかけに Zapier が動き、生徒の台帳から学年と体験の科目を引く
- 【自動】 AI by Zapier が記録から保護者への連絡文の下書きを作り、記録で足りない項目を書き出す
- 【自動】 生徒の台帳に下書きを書き込み、Slack で教室長に知らせる
- 【人】 教室長が下書きを確かめて直し、保護者へ送る
- 【自動】 保護者が「相談してから」と言った家庭は、示した日の翌日まで Delay で待つ
- 【自動】 待ったあと、生徒の台帳で状態を確かめ、まだ検討中なら教室長に再連絡の時期を知らせる
- 【人】 教室長が電話かメールで再連絡する
5番目が、この設計の分かれ目です。 下書きは自動で送りません。体験のあとの面談で保護者が話したこと(兄弟のこと、他の塾と比べていること)は、記録に書かれないことがあり、教室長しか知りません。
6番目で、保護者の言葉を日付にして記録させるのも、意図してのことです。 「来週末」は人によって指す日が違います。講師がフォームで日付を選べば、Zapier はその日付で待てます。
02今回想定するシステム構成
体験授業のあと、講師が Google フォームで記録を入力 ▼【トリガー】New Form Response(Instant) Zapier(記録の Zap) ├──▶ 生徒の台帳 ── 学年・体験の科目・教室を引く(Lookup Spreadsheet Row) ├──▶ AI by Zapier ── 保護者への連絡文の下書き、足りない項目 ├──▶ 生徒の台帳に下書きを書き込む(Update Spreadsheet Row) └──▶ Slack ── 教室長に知らせる ▼ 【人】教室長が確かめて保護者へ送る ▼ (「相談してから」の家庭だけ) Delay Until(保護者が示した日の翌日 17時) ▼ 生徒の台帳で状態を確かめる ── 検討中のままなら Slack で教室長に知らせる ▼ (30日を超える日を示した家庭) Schedule by Zapier(毎週月曜)── 台帳の日付で拾う
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Delay by Zapier、Schedule by Zapier) | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | AI by Zapier(連絡文の下書き) | Claude API、OpenAI API |
| 記録の入力 | Google フォーム | Microsoft Forms |
| 生徒の台帳 | Google スプレッドシート | Microsoft 365 の共有ファイル |
| 教室内の連絡 | Slack | Microsoft Teams |
新しく作るのは、体験授業の記録の Google フォームと、生徒の台帳の列(下書き、足りない項目、保護者が示した日、状態)です。 保護者への送信は、今の連絡の手段(メール、連絡用のアプリ)のまま変えません。
AIのステップには AI by Zapier を使います。 プロンプトに前のステップの値を差し込み、名前と種類を決めた出力項目を返させます。定義しないと、まとめた1つの出力が返ります。 下書き、足りない項目、注意の印を別々の列に入れたいので、出力項目は必ず定義します。ひな形の「作成」から始められます。
階層は Standard から始めます。 Standard(1倍のタスク)、Advanced(3倍)、Premium(5倍、既定)、自社のキー(1倍)のうち、Standard は道具を使えませんが、この構成は必要な情報をプロンプトに差し込むので足ります。 文の質が足りなければ Advanced を試します。AI by Zapier は Professional、Team、Enterprise で使え、Free では Standard に限られます。
Google フォームを Zapier につなぐには、回答を Google スプレッドシートに保存する設定が要ります。 Zapier の説明では、フォームそのものには直接アクセスできず、回答をスプレッドシートに保存していないと動かないとされています。
Delay は、Zap を決まった時間か指定の日時まで止める機能です。 「Delay Until」で指定の日時まで止められ、保留できるのは最長30日です。 Delay はタスクを使わず、Free のプランでは使えません。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
講師が体験授業の記録を Google フォームで送ったことを起点にします。 トリガーは「New Form Response(Instant)」です。紙の用紙をやめ、教室のタブレットからフォームに入力してもらいます。 授業が終わってから入力までを5分以内にするのが目安で、それより遅れると講師の記憶があいまいになります。
フォームは、紙の用紙の項目をそのまま写すのではなく、作り直します。 第3章の(b)と(c)は、書く項目が決まっていないことから起きているからです。選択肢で答えられるものは選択肢にし、自由記入は3つに絞ります。
再連絡の知らせは、記録の Zap の後ろに Delay Until を置いて行います。 保護者が示した日が記録の値として入っているので、その日付の翌日の17時まで待ってから台帳を見に行きます。 17時にするのは、教室長が出勤して授業が始まる前に、電話をかける時間を取れるからです。
30日を超える日を示した家庭は、別の Zap で拾います。 Delay の保留は最長30日なので、「夏休みが終わってから」のような家庭は Delay に入れず、Schedule by Zapier で毎週月曜の朝に台帳を見て、示した日が過ぎた家庭を拾います。 Schedule の時刻は Zapier のアカウントのタイムゾーンに従い、指定の時刻から数分以内に動くとされています。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 体験授業の記録 | 生徒ID、講師、科目、扱った単元、できたこと、つまずいたこと、授業中の様子、保護者との面談で出た質問、保護者が示した日、提案したコースと回数 | Google フォーム |
| 生徒の情報 | 学年、教室、体験の申込の経路、申込のときに保護者が書いた相談の内容 | 生徒の台帳 |
| 連絡のきまり | 書いてよいこと、書かないこと、教室の名乗り方、連絡文の長さ | プロンプトに直接書く |
| 状態 | 検討中/入会/見送り/連絡不要 | 生徒の台帳 |
フォームの項目は次のように作ります。
| 項目 | 形式 | ねらい |
|---|---|---|
| 扱った単元 | 選択肢(学年と科目ごとの単元の一覧) | 単元名の書き方をそろえる |
| できたこと | 自由記入(1〜2文) | 連絡文の中心になる |
| つまずいたこと | 自由記入(1〜2文) | 次に何をするかの根拠になる |
| 授業中の様子 | 選択肢(集中が続いた時間、質問の有無、表情)+自由記入 | 保護者がいちばん知りたいこと |
| 保護者が示した日 | 日付 | 再連絡の時期 |
| 保護者の質問 | 自由記入 | 連絡文で答えるか、教室長が電話で答えるか |
質を決めるのは「できたこと」と「つまずいたこと」の2つです。 ここが具体的なら、連絡文も具体的になります。「がんばっていた」では連絡文も「がんばっていました」になります。 フォームの説明文に、「何の問題で、どこまでできたかを書く」と例を添えます。
申込のときの相談の内容も渡します。 「計算ミスが多いのが心配」と書いて申し込んだ保護者には、体験でその点がどうだったかを伝えるのが、いちばん響く連絡になります。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | どう取るか |
|---|---|---|
| 体験授業の記録 | Google フォーム(回答のスプレッドシート) | トリガーが質問ごとの値を受け取る |
| 生徒の情報 | 生徒の台帳 | 「Lookup Spreadsheet Row」で生徒IDの行を取る |
| 再連絡のときの状態 | 生徒の台帳 | Delay のあとに、同じく生徒IDの行を取り直す |
| 30日を超える家庭 | 生徒の台帳 | 「Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)」で、状態が検討中で、示した日が今日より前の行を取る |
生徒IDは、体験の申込を受けた時点で台帳に作っておきます。 講師はフォームで生徒IDを選ぶだけにし、名前を手で打たせません。 打ち間違いで台帳の行が引けなくなるのを防ぎます。
Delay のあとに状態を取り直すのが大事です。 待っている間に保護者から入会の連絡が来ていれば、教室長は台帳の状態を「入会」に変えています。取り直さずに知らせると、入会した家庭への再連絡が教室長に届きます。
AIへ渡す前に整形する
- 生徒の台帳との照合 … 生徒IDで行が引けなければ、AIのステップに進まず教室長に知らせます
- 状態の確認 … 台帳の状態が「連絡不要」なら、下書きを作りません
- 記録の長さの確認 … 「できたこと」と「つまずいたこと」がどちらも10文字未満なら、AIに渡す前に講師へ Slack で書き足しを頼みます
- 保護者が示した日の振り分け … 空欄なら再連絡の Delay に入れません。今日から30日以内なら Delay Until に、それを超えるなら台帳の日付だけを残して毎週の Zap に任せます
- 名前を渡さない … AIに渡すのは学年と科目と記録だけにし、生徒の名前は下書きに「{生徒名}」として残し、教室長が送るときに入れます
3番目が、第3章の(b)への対策です。 記録が薄いままAIに渡すと、AIは薄い部分を一般的な言葉で埋めます。埋められた文は読みやすく見えますが、その生徒のことは何も書かれていません。 書き足しは、講師が次の授業に入る前に頼みます。
AIに処理させる
させるのは、次の3つです。
(1)保護者への連絡文の下書きを作る
| 段落 | 中身 | 材料 |
|---|---|---|
| あいさつ | 体験授業へのお礼 | きまりの文 |
| その日の様子 | 扱った単元、できたこと、授業中の様子 | 記録 |
| つまずいたことと次の一歩 | つまずいたことと、講師が考える次に取り組むこと | 記録 |
| 申込のときの相談への答え | 保護者が書いた心配について、体験で見えたこと | 申込の内容と記録 |
| 締め | 質問への案内、教室の連絡先 | きまりの文 |
「申込のときの相談への答え」は、記録にその点が書かれていなければ書かせません。 書かれていないのに「計算ミスも少なかったです」と書くと、講師が見ていないことを保護者に伝えることになります。
(2)記録で足りない項目を書き出す
連絡文を書くのに材料が足りなかった段落を missing に並べさせます。教室長は、これを見て講師に聞くか、その段落を省くかを決めます。
(3)注意が要る記載に印を付ける
| 印 | 当たる記載の例 |
|---|---|
learning_concern | 読み書きの困難、極端に集中が続かない、など講師が気になったこと |
emotional | 泣いた、強く嫌がった、学校のことで悩んでいる様子 |
parent_question | 保護者の質問のうち、料金・契約・他の塾との比較に関わるもの |
印の付いた生徒は、連絡文に印の内容を書かせません。 学び方の特性や心の様子は、文字で伝えると誤解されやすく、教室長が電話か面談で伝えるかを決めます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 成績や合否の見込みを書く | 体験1回で言えることではない。約束に読める |
| 他の生徒や他の塾と比べる | 比べる材料を講師は持っていない |
| 急がせる表現を書く | 「席が残りわずか」は事実でなければ書けない。事実でも教室長が判断する |
| 記録にない褒め言葉を足す | 保護者が子どもに確かめると、すぐに分かる |
| 料金や契約の条件を書く | 教室長が説明する |
指示内容を固定する
あなたは個別指導塾の教室長の補佐です。
体験授業を受けた生徒の保護者に送る、フォローの連絡文の下書きを作ってください。
【材料】
- 学年・科目:{grade}・{subject}
- 扱った単元:{unit}
- できたこと:{did_well}
- つまずいたこと:{struggled}
- 授業中の様子:{behavior}
- 申込のときに保護者が書いた相談:{application_note}
- 保護者の質問:{parent_question}
【構成】
1. 体験授業へのお礼(1文)
2. その日の様子:扱った単元、できたこと、授業中の様子
3. つまずいたことと、次に取り組むとよいこと
4. 申込のときの相談について、体験で見えたこと
(材料に当たる記載がなければ、この段落は書かない)
5. 質問はいつでも受けること、教室の連絡先は {教室の連絡先} のまま
【厳守事項】
- 材料に書かれていないことを書かないでください。
講師が見ていない様子や、記録にない褒め言葉を足さないでください。
- 成績が上がる、合格できる、といった見込みや約束に読める表現を書かないでください。
- 他の生徒や他の塾と比べないでください。
- 「今だけ」「残りわずか」のような急がせる表現を書かないでください。
- 料金、回数の契約、入会の手続きについて書かないでください。
- 材料が足りず書けなかった段落の番号を missing に入れてください。
- 次に当たる記載があれば flags に印を入れ、その内容は下書きに書かないでください。
learning_concern / emotional / parent_question
- 生徒の名前は「{生徒名}」のまま残してください。
- 400字以内、です・ます調。保護者に向けた丁寧な文にしてください。
「記録にない褒め言葉を足さない」を独立した行にしているのは、 禁止の中でいちばん破られやすいからです。保護者向けの文を書かせると、AIは「素直で」「意欲的で」と性格を褒めたがります。講師がそう書いていなければ、それは誰も見ていない生徒の姿です。
4番目の段落を「書かない」と明記するのも同じ理由です。 書かなくてよいと言われなければ、AIは段落を埋めようとして、相談の内容をなぞる一般的な文を書きます。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力項目として、次の項目を定義します。
{
"student_id": "",
"draft_subject": "",
"draft_body": "",
"missing": [],
"flags": [],
"flag_note": "",
"used_facts": ["did_well", "struggled", "behavior", "application_note"]
}
構造化する理由の1つ目は、生徒の台帳の列に分けて入れられることです。 下書き、足りない項目、印をそれぞれの列に書き込めば、教室長は台帳の1行で、送ってよい下書きか、講師に聞くべき下書きかを判断できます。
2つ目は、flags で通知の仕方を分けられることです。 印があれば、Slack の通知に「電話で伝えることを検討」と添え、下書きの冒頭に【要確認】を付けます。
3つ目は、used_facts で下書きの根拠を確かめられることです。 下書きが記録のどの項目を使ったかを返させ、application_note を使ったのに記録に当たる記載がなければ、教室長に見直しを促します。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Google フォーム | Zapier の Google フォーム連携 | 「New Form Response(Instant)」で記録を受け取る |
| 生徒の台帳 | Zapier の Google スプレッドシート連携 | 「Lookup Spreadsheet Row」で生徒の情報を引き、「Update Spreadsheet Row」で下書きと印を書き込む |
| 教室長への通知 | Zapier の Slack 連携 | 「Send Direct Message」で教室長に、下書きができたことと再連絡の時期を知らせる |
| 講師への書き足しの依頼 | 同上 | 記録が薄いときに、講師に「Send Direct Message」を送る |
保護者への送信は Zap に入れません。 下書きは台帳に入るだけで、教室長がそれを直して、今の連絡の手段で送ります。塾の連絡用のアプリは Zapier につながらないことも多く、つながる場合でも、送信を自動にしない設計にします。
台帳の書き込みは、下書き、missing、flags、通知した日時の列だけにします。 状態の列(検討中、入会、見送り)は教室長だけが変えます。AIの出力で状態を変えると、Delay のあとの確認の意味がなくなります。
Slack の通知は、教室ごとの教室長に直接送ります。 チャンネルに送ると、他の教室の生徒の情報まで全員の目に入ります。通知に載せるのは生徒ID、学年、missing と flags の有無だけにし、 下書きの本文は台帳で読みます。
Slack の無料のプランでは、1つのワークスペースに入れられるアプリが10個までとされています。 教室の連絡に無料のプランを使っている場合は、Zapier のアプリを入れる枠が残っているかを先に確かめます。アプリの導入が管理者だけに制限されているワークスペースでは、管理者の権限が要ります。
人が確認する
教室長が、下書きの全件を確かめてから送ります。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| その日の様子の段落 | 講師の記録と合っているか。記録にない褒め言葉が入っていないか |
missing | 講師に聞くか、その段落を省くか |
flags | 文字で伝えるか、電話か面談で伝えるか |
| 保護者の質問への答え | 料金や契約の質問は、教室長が電話で答える |
| 面談で聞いたこと | 記録に書かれなかった保護者の話を、一言足すか |
目安は1件4分です。 下書きを読んで、記録と見比べ、必要なら一言足して送ります。記録と下書きを左右に並べて見られるように、台帳の列を並べておきます。
直した箇所は、講師にも返します。 「つまずいたこと」の書き方が具体的になると、次の体験の下書きがよくなります。週に1回、教室長が直した下書きを2〜3件選んで講師に見せるだけで、記録の質が上がっていきます。
再連絡の知らせが来たら、教室長が電話かメールかを決めます。 前回の連絡文と保護者の返事を台帳で見てから連絡します。保護者から「見送ります」と返事があれば、状態を「見送り」にし、以後の連絡はしません。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 生徒IDで台帳の行が引けない | AIのステップに進まず、教室長に知らせる |
| 記録が薄い | 講師に書き足しを頼み、書き足されるまで下書きを作らない |
| 状態が「連絡不要」 | 下書きを作らない |
| 同じ生徒が2科目目の体験を受けた | 前回の下書きと送った文を台帳から渡し、同じお礼の文を繰り返さないように指示する |
| 兄弟で同じ日に体験した | 生徒ごとに下書きを作り、教室長が1通にまとめるかを決める |
| 示した日が空欄 | 再連絡の Delay に入れない。教室長が台帳で管理する |
| 示した日が30日を超える | Delay に入れず、毎週月曜の Zap で拾う |
| Delay の間に Zap を止めた | 止めていた間に予定されたアクションは、再開しても動かない。 毎週月曜の Zap でも拾う条件にしておく |
| 下書きに「合格」「成績が上がる」が入った | Filter で止め、教室長に【要確認】で知らせる |
| AIのステップが失敗した | 台帳に「要手書き」と入れ、教室長に知らせる |
8行目は、毎週月曜の Zap を保険にして防ぎます。 Zapier の説明では、Delay は Zap がオンのときしか動かず、止めていた間に予定されていたアクションはオンに戻しても実行されないとされています。毎週の Zap の条件を「状態が検討中で、示した日が過ぎ、まだ知らせていない」にしておけば、 Delay から漏れた家庭もそこで拾えます。
9行目は、プロンプトの禁止の外に置く守りです。 保護者の質問に「合格できますか」とあると、AIはそれを受けた文を書くことがあります。
記録を残す
- 体験授業の記録(フォームの回答のスプレッドシートに残る)
- 下書き、
missing、flags、used_facts(生徒の台帳) - 教室長が送った文(直したあとの文)と送った日時
- 講師への書き足しの依頼と、書き足された記録
- 再連絡の知らせを送った日時と、教室長が連絡した結果
- 入会・見送りの結果と、その日付
3つ目の「直したあとの文」が、いちばん役に立つ記録です。 教室長が毎回消している言い回しがあれば、プロンプトの禁止に足します。毎回足している一言があれば、それは講師の記録の様式に足すべき項目です。
AI by Zapier は実行のたびに知識がリセットされます。 前回の連絡を踏まえた再連絡の文を作るには、台帳に残した前回の文を入力として渡します。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 1件20分が6分になります。残る6分は、下書きを確かめて送る4分と、再連絡の知らせを見て連絡するかを決める2分です。 本格構成に進むかは、保護者の返事がどの手段で来るかで決めます。 返事の大半が連絡用のアプリや電話なら、受け取りを自動にできません。
05工数削減シミュレーション
導入後 150件 × 6分 ÷ 60 = 15 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 複数の教室を持つ学習塾、個別指導塾、英会話・プログラミング・音楽などのスクールで、体験授業を月に百件以上行い、体験のあとの保護者への連絡を教室長や講師が一件ずつ書いている事業者。連絡の中身が講師ごとにばらつき、体験で見えた生徒の様子が保護者に伝わっていない場合。「家族で相談してから」と言った家庭への再連絡が漏れている場合。
- 体験授業が月に数件で、教室長がその日のうちに電話で話せている場合。体験授業のあとにその場で入会の手続きまで終えることがほとんどの場合。講師が体験の記録を残しておらず、記録の様式を作る余地もない場合。なお、生徒の学力の診断や、志望校の合否の見込みをこの構成で作ることはできません。
07最小構成で試す方法
- 先月の体験授業の記録から20件を選ぶ(記録が具体的なものと、薄いものの両方を入れる)
- その20件について、教室長が当時送った連絡文を集める
- 記録から生徒の名前を消し、手元のAIサービスの画面に1件ずつ貼り付ける
- 「この体験授業の記録から、保護者へのお礼と体験の様子を伝える連絡文を400字以内で書いてください。記録に書かれていないことは書かないでください。成績や合格の見込みを書かないでください」と指示する
- 出てきた文を、当時の連絡文と並べ、記録にないことが書かれていないかを確かめる
20件は必ずやってください。 記録の濃さで下書きの質がどれだけ変わるかを、組む前に確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の連絡文より、その生徒の様子が具体的に伝わる | Zapier の組み立てに進む |
| 記録にない褒め言葉が入る | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 薄い記録から、中身のない文しか出ない | 記録の様式が先。 フォームの項目を作り直す |
3行目が出たら、それは失敗ではありません。 連絡文が薄かった理由が、書き手ではなく記録にあったと分かったということです。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 記録にない褒め言葉が下書きに入る | 独立した禁止の行として書き、教室長が消した言い回しを禁止に足す |
| 薄い記録から中身のない下書きが出る | AIに渡す前に長さを確かめ、講師に書き足しを頼む |
| 成績や合格の見込みが書かれる | プロンプトで禁じ、言葉を Filter で止める |
| フォームの回答を Zapier が受け取れない | 回答をスプレッドシートに保存する設定が要る |
| 入会した家庭に再連絡の知らせが届く | Delay のあとに台帳の状態を取り直す |
| 「夏休み明け」の家庭が知らされない | Delay は最長30日。毎週の Zap で拾う |
| Zap を止めた間の知らせが消える | 止めていた間に予定されたアクションは動かない。毎週の Zap の条件で拾う |
| 他の教室の生徒の情報が見える | 通知は教室長に直接送る |
| 講師が保護者が示した日を入れ忘れる | 面談で「相談してから」と言われたら日付を必ず聞く、を教室の決まりにする |
| 下書きの文体が教室ごとにばらつく | 名乗り方と締めの文をプロンプトのきまりに固定する |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが記録の足りない部分を一般的な言葉で埋めることから起きます。埋めた文は読みやすく、教室長が忙しいとそのまま送られます。 記録を濃くすることと、足さないことを指示することの2つで防ぎます。
5行目と6行目は、運用を始めてから気づくことが多い問題です。 最初の1か月は、再連絡の知らせが来た家庭の状態を、教室長が毎回確かめてください。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 生徒の学年、体験授業での学習の様子、つまずいたこと、授業中の様子、保護者が申込のときに書いた相談の内容と、面談での質問です。未成年の学習と心の様子に関わる情報です。
- AIに名前と連絡先を渡さない … AIに渡すのは学年と科目と記録だけにし、生徒の名前は下書きに差し込み記号のまま残します
- 学び方の特性や心の様子を文字で送らない …
learning_concernとemotionalの印が付いた内容は、下書きに書かせず、教室長が電話か面談で伝えるかを決めます。 文字で残った「集中が続かない」は、保護者に強く受け取られます - 保護者へ自動で送らない … 出すのは下書きまでです。記録にないことが書かれた下書きが、そのまま届くことを防ぎます
- 見込みや約束を書かない … 成績や合否の見込みは、体験1回では言えません。入会の説明と契約の条件は、教室長が自社の規程に沿って説明します
- 通知の範囲を教室ごとに限る … Slack の通知は教室長に直接送り、他の教室の生徒の様子が全員の目に入らないようにします
誤りが起きた場合のリスクは、記録にない生徒の姿を保護者に伝えることと、検討中の家庭への再連絡が漏れることの2つです。 前者は禁止の指示と教室長の確認、後者は Delay と毎週の Zap の二重の拾い方で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:体験授業の記録のフォームを作る
紙の用紙の項目を見直し、Google フォームで作り直します。「できたこと」「つまずいたこと」の説明文に、具体的な書き方の例を添えます。 回答をスプレッドシートに保存する設定にし、生徒の台帳に下書きと状態の列を足します。
2週目:20件で試す
先月の記録から20件を選び、名前を消して手元のAIサービスに貼り付けます。記録にないことが書かれていないかを最優先で見ます。
3週目:フォームから下書きまでをつなぐ
「New Form Response(Instant)」から台帳の照合、AI by Zapier、台帳への書き込み、Slack の通知までを作ります。AIの階層を Standard にし、出力項目を定義します。
4週目:再連絡の知らせを足す
Delay Until と状態の取り直し、毎週月曜の Zap を足します。講師には、保護者が示した日をフォームで必ず日付で入れてもらいます。
2か月目: 教室長が直した文を週に1回見て、プロンプトの禁止とフォームの項目を直します。3か月目以降: 1件20分が何分になったか、体験から連絡までの時間がどれだけ縮んだかを台帳で測ります。再連絡の知らせが来た家庭のうち、入会と見送りの返事がどれだけ取れたかを数えた時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| AI by Zapier のひな形に「作成」があること。出力項目を定義しないと1つにまとめた出力を返すこと。階層が Standard(1倍、道具は使えない)/Advanced(3倍)/Premium(5倍、既定)/自社のキー(1倍)であること。Professional / Team / Enterprise で使え、Free では Standard に限られること。実行のたびにAIの知識がリセットされること | Zapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-06 |
| Google フォームのトリガーに New Form Response(Instant)があること。回答を Google スプレッドシートに保存していないと Zapier で動かないこと | Zapier Help: How to get started with Google Forms on Zapier | 2026-10-06 |
| Google スプレッドシートの検索に Lookup Spreadsheet Row と Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)、アクションに Update Spreadsheet Row があること | Zapier Help: How to get started with Google Sheets on Zapier | 2026-10-06 |
| Delay Until で指定の日時まで止められること。保留が最長30日であること。Zap がオンでないと動かず、止めていた間に予定されたアクションはオンに戻しても動かないこと。タスクを使わないこと。Free では使えないこと | Zapier Help: Add delays to Zaps | 2026-10-06 |
| Schedule by Zapier で月・週・日・時間ごとに動かせること。時刻が Zapier アカウントのタイムゾーンに従い、指定の時刻から数分以内に動くこと | Zapier Help: Schedule Zap workflows to run at specific intervals | 2026-10-06 |
| Slack のアクションに Send Direct Message があること。Slack の無料のプランでは1つのワークスペースのアプリが10個までであること。アプリが管理・制限されているワークスペースでは管理者の権限が要ること | Zapier Help: How to get started with Slack on Zapier | 2026-10-06 |
入会の説明と契約の条件、生徒の個人情報の扱いは、自社の規程と個人情報の取り扱いの方針に従ってください。 この部分は自社の規程に応じた個別の確認が必要です。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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