介護施設・デイサービスに届く入所と利用の相談から相談票を作り、家族への返信と見学の候補日の文案を用意して、返信が止まった相談を拾う
家族やケアマネジャーから届く入所・利用の相談を読み、本人の状況と希望を項目ごとに抜き出して相談票にします。見学の空き枠から候補日を選んだ返信の文案を作り、返信が止まった相談を毎日拾い出します。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- 介護/医療
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- データ入力・転記/問い合わせ対応
- 主な課題
- 人手が足りない/入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 抽出
- 主な効果
- 入力漏れ削減/対応スピード向上/機会損失防止
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 必須
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 相談員が代表のメールとフォームの回答を開き、新しい相談を探す
- 本文を読み、本人の年齢、要介護度、今いる場所(自宅・入院中・他の施設)、認知症の様子、医療的なケアの有無を相談台帳に写す
- 希望のサービス、希望の時期、費用についての質問、相談者の続柄と連絡先を写す
- 見学の予定表を開き、空いている見学の枠を探す
- 家族への返信を書き、見学の候補日を添えて送る
- 返信を待つ。数日後、相談台帳を見て返事のない相談に電話かメールで再連絡する
- 自動フォームの回答か、代表のメールで「相談」のラベルが付いたメールをきっかけに Zapier が動く
- 自動AI by Zapier が本文から本人の状況と家族の希望を項目ごとに抜き出し、書かれていない項目、医療的なケア、急ぐ事情に印を付ける
- 自動見学の枠のシートから、希望の事業所の空いている枠を取り、候補を3つ選んで返信の文案を作る
- 自動相談台帳に相談票の1行を足し、Gmail に返信の下書きを作る
- 自動3日の Delay のあと、相談台帳でその相談の状態を確かめる。返信待ちのままなら、Digest にためる
- 自動毎朝、ためた相談をまとめて相談員にメールで知らせる
- 人相談員が相談票と下書きを確かめ、医療的なケアの印がある相談は看護職員に確かめてから送るか電話する
- 人毎朝の一覧を見て、返信が止まった相談に再連絡する
各工程の詳しい説明を読む
- 相談員が代表のメールとフォームの回答を開き、新しい相談を探す
- 本文を読み、本人の年齢、要介護度、今いる場所(自宅・入院中・他の施設)、認知症の様子、医療的なケアの有無を相談台帳に写す
- 希望のサービス、希望の時期、費用についての質問、相談者の続柄と連絡先を写す
- 見学の予定表を開き、空いている見学の枠を探す
- 家族への返信を書き、見学の候補日を添えて送る
- 返信を待つ。数日後、相談台帳を見て返事のない相談に電話かメールで再連絡する
(a)返信が数日空く。 現場に入る日が続くと、相談を開けるのは週に数回になります。家族は退院の日が迫っているなど、急いで探していることが多く、 返信を待つあいだに他の施設で見学を済ませています。
(b)医療的なケアの記載を読み落とす。 胃ろう、たんの吸引、インスリンの注射、在宅酸素といった記載は、自由記入欄の「ほかに伝えておきたいこと」に書かれます。急いで読むと、見学の案内を送ったあとで受け入れられないことに気づきます。 家族にとっては、見学のために休みを取った1日が無駄になります。
(c)再連絡が漏れる。 返事のない相談を拾うのは、相談台帳を上から見ていく作業です。台帳の更新がまとめて行われるため、最後の連絡日が正しくない行があり、 1週間たっても再連絡していない相談が出ます。
(d)相談票の書き方が人によって違う。 ある相談員は医療的なケアを備考に、別の相談員は専用の列に書きます。施設長が台帳を見ても、受け入れを検討すべき相談がどれかを一目で拾えません。
- 【自動】 フォームの回答か、代表のメールで「相談」のラベルが付いたメールをきっかけに Zapier が動く
- 【自動】 AI by Zapier が本文から本人の状況と家族の希望を項目ごとに抜き出し、書かれていない項目、医療的なケア、急ぐ事情に印を付ける
- 【自動】 見学の枠のシートから、希望の事業所の空いている枠を取り、候補を3つ選んで返信の文案を作る
- 【自動】 相談台帳に相談票の1行を足し、Gmail に返信の下書きを作る
- 【自動】 3日の Delay のあと、相談台帳でその相談の状態を確かめる。返信待ちのままなら、Digest にためる
- 【自動】 毎朝、ためた相談をまとめて相談員にメールで知らせる
- 【人】 相談員が相談票と下書きを確かめ、医療的なケアの印がある相談は看護職員に確かめてから送るか電話する
- 【人】 毎朝の一覧を見て、返信が止まった相談に再連絡する
7番目が、この設計の分かれ目です。 医療的なケアの印が付いた相談は、下書きのまま送りません。受け入れられるかを看護職員に確かめてから、見学の案内を送るか、先に電話で状況を聞くかを決めます。
5番目で Delay を使うのは、台帳の更新を待たずに拾うためです。 相談員が台帳の状態を「連絡済み」に変えていれば、その相談は一覧に出ません。変え忘れていれば一覧に出るので、台帳の更新漏れにも気づけます。
02今回想定するシステム構成
入所・利用の相談 │ Google フォーム / 代表のメール(Gmail のフィルタで「相談」ラベル) ▼【トリガー】New Form Response(Instant)/ New Labeled Email Zapier(受付の Zap) ├──▶ AI by Zapier ── 本人の状況と家族の希望を抜き出す │ 書かれていない項目/医療的なケア/急ぐ事情に印 ├──▶ 見学の枠のシート ── 希望の事業所の空き枠を取る ├──▶ AI by Zapier ── 候補を3つ選び、返信の文案を作る ├──▶ 相談台帳に相談票の1行を追加 └──▶ Gmail に返信の下書き(送信はしない) ▼ Delay For(3日) ▼ 相談台帳で状態を確かめる ── 返信待ちのままなら Digest にためる ▼ Digest(日次で放出)── 相談員にまとめて知らせる ▼ 【人】相談員が確かめて送る/電話する/再連絡する
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Delay by Zapier、Digest by Zapier) | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | AI by Zapier(項目の抜き出しと返信の文案) | Claude API、OpenAI API |
| 相談台帳・見学の枠 | Google スプレッドシート | Microsoft 365 の共有ファイル |
| 相談フォーム | Google フォーム | Microsoft Forms |
| 下書き・通知 | Gmail | Outlook |
新しく作るのは、見学の枠のシートと、相談台帳の列(相談票の項目、印、状態、最終連絡日)の2つです。 フォーム、メール、相談台帳は今のものをそのまま使います。
AIのステップには AI by Zapier を使います。 プロンプトに前のステップの値を差し込み、名前と種類を決めた出力項目を返させます。出力項目を定義しないと、まとめた1つの出力が返り、台帳の列に分けられません。 階層は Standard(1倍のタスク)、Advanced(3倍)、Premium(5倍、既定)、自社のキー(1倍)で、Standard では道具を使えませんが、この構成は必要な情報をすべてプロンプトに差し込むので Standard で足ります。 AI by Zapier は Professional、Team、Enterprise で使え、Free では Standard に限られます。
Google フォームを Zapier につなぐには、回答を Google スプレッドシートに保存する設定が要ります。 Zapier の説明では、フォームそのものには直接アクセスできず、回答をスプレッドシートに保存していないと動かないとされています。トリガーには「New Form Response(Instant)」を使います。
Delay は Zap を決まった時間だけ止める機能です。 「Delay For」で一定の時間、「Delay Until」で指定の日時まで止められ、保留できるのは最長30日です。 Delay はタスクを使いません。Free のプランでは使えません。
Digest は、Zap の値をためておき、決まった間隔でまとめて次のアクションに渡す機能です。 放出の間隔は日次・週次・月次、件数の閾値、手動から選べ、使ってもタスクに数えられません。 ためられるのはアカウント全体で1,500件まで、1つの Digest で1MBまでです。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
受付の Zap は2本作ります。 1本は Google フォームの「New Form Response(Instant)」、もう1本は Gmail の「New Labeled Email」です。2本とも、AIのステップから先は同じ並びにします。経路ごとに Zap を分けるのは、トリガーで受け取る項目の形が違うからです。 フォームは質問ごとに値が分かれて届き、メールは本文1つで届きます。
メールは、Gmail のフィルタで「相談」のラベルを付けてから受け取ります。 代表のアドレスには、業者の営業や求人の応募も届くからです。フィルタの条件は、件名の言葉(「入所」「見学」「空き」「デイ」)と、フォームからの通知でない送信元です。ラベルの付け漏れは、相談員が手でラベルを付ければ Zap が拾います。
Gmail のトリガーは一定の間隔で見に行く方式(Polling)で、「New Labeled Email」は拾う対象の時間の幅が無制限とされています。 手でラベルを付けたのが届いて半日後でも、拾い直せます。
再連絡の確認は、受付の Zap の後ろに Delay を置いて行います。 相談ごとに3日待ってから台帳を見に行くので、相談ごとの経過日数を台帳の側で計算する必要がありません。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 相談の本文 | 相談者の続柄、本人の年齢、要介護度、今いる場所、認知症の様子、医療的なケア、希望のサービスと事業所、希望の時期、費用の質問、自由記入欄 | Google フォームの回答/Gmail の本文 |
| 見学の枠 | 事業所、日付、時間帯、状態(空き/仮押さえ/埋まり) | 見学の枠のシート |
| 返信のきまり | 名乗り方、書くこと、書かないこと、見学の持ち物 | プロンプトに直接書く |
| 相談の状態 | 相談ID、状態(返信待ち/連絡済み/見学予約済み/終了)、最終連絡日 | 相談台帳 |
質を決めるのは、見学の枠のシートです。 見学は、事業所ごとに「平日の10時と14時」のように決まっていることが多く、相談員のカレンダーより、この枠の一覧のほうが正確です。 相談員が見学の予約を受けたら、その枠の状態を「埋まり」に変えます。
自由記入欄は必ず渡します。 医療的なケアや急ぐ事情は、選択肢ではなくここに書かれます。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | どう取るか |
|---|---|---|
| フォームの回答 | Google フォーム(回答のスプレッドシート) | トリガーが質問ごとの値を受け取る |
| メールの本文 | Gmail | トリガーが本文(テキスト)を受け取る |
| 見学の空き枠 | 見学の枠のシート | 「Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)」で、事業所と状態「空き」と日付の範囲で行を取る |
| 相談の状態 | 相談台帳 | Delay のあとに「Lookup Spreadsheet Row」で相談IDの行を取る |
見学の空き枠は、AIに日付を作らせず、シートの行から選ばせます。 AIが選べるのはシートから渡した枠の ID だけにし、選んだ ID がシートにあるかを後段で確かめます。 存在しない日時を家族に案内しないためです。
相談IDは、受付の Zap で作ります。 受信日時と経路から決まった形のIDを作り、相談台帳の行と Delay のあとの確認で同じIDを使います。
AIへ渡す前に整形する
- 経路の記録 … フォームかメールか、メールなら送信元がケアマネジャーの事業所かを、送信元の一覧で機械的に決めます
- フォームの値の整形 … 選択肢の値(要介護度、希望のサービス)は、そのまま相談台帳の列に入れます。AIに渡すのは自由記入欄と、選択肢の値の一覧です
- メールの本文の整形 … 署名と、引用された過去のやり取りを、決まった区切りから下を外します
- 重複の確認 … 相談者の電話番号の下4桁と本人の名字で相談台帳を検索し、直近60日に同じ相談があれば
duplicateの印を付けます - 見学の枠の範囲 … 翌々日から14日先までの枠を取ります。翌日の枠を出すと、相談員が看護職員に確かめる時間が残りません
2番目で選択肢の値をAIに通さないのは、 選択肢で選ばれた要介護度は、すでに確かな値だからです。AIを通すと、自由記入欄の「たぶん要介護3くらい」と混ざって値が揺れます。 両方が食い違うときは、AIに conflict の印を付けさせます。
AIに処理させる
1つ目のステップ(抽出)では、次の3つをさせます。
(1)本人の状況と家族の希望を、項目ごとに抜き出す
| 項目 | 抜き出し方 | 書かれていないとき |
|---|---|---|
| 相談者の続柄 | 子/配偶者/ケアマネジャー/その他 | unknown |
| 今いる場所 | 自宅/入院中/他の施設/不明 | unknown |
| 要介護度 | 書かれたとおり。「申請中」もそのまま | 空欄 |
| 認知症の様子 | 書かれた言葉をそのまま写す | 空欄 |
| 歩行・食事・排せつ | 書かれた言葉をそのまま写す | 空欄 |
| 希望のサービス・事業所・時期 | 書かれたとおり | 空欄 |
| 費用の質問 | 質問の文をそのまま写す | 空欄 |
(2)医療的なケアと急ぐ事情の印を付ける
| 印 | 当たる記載の例 |
|---|---|
medical_care | 胃ろう、経管栄養、たんの吸引、インスリン、在宅酸素、透析、褥瘡、カテーテル |
discharge_soon | 退院の日が決まっている、病院から退院を求められている |
caregiver_limit | 介護している家族が倒れた、もう限界、仕事が続けられない |
conflict | 選択肢の値と自由記入欄の記載が食い違う |
印は、当たる記載があるかどうかだけです。 根拠にした一文を必ず写させます。medical_care は、当たる言葉が1つでもあれば付けさせます。 付けすぎて看護職員が確かめる件数が少し増えるほうが、読み落とすよりよいからです。
(3)書かれていない項目を、最初の電話で聞くことにする
今いる場所、要介護度、医療的なケア、希望の時期のうち空欄のものを questions に並べさせます。
2つ目のステップ(作成)では、 渡した空き枠から、希望の事業所と時間帯に合う枠を3つ選ばせ、返信の文案を作らせます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 受け入れられるかを書く | 相談員と施設長、看護職員が決める |
| 空き部屋の有無や待機の順番を書く | 日々変わる。電話で相談員が伝える |
| 費用の金額を答える | 本人の状況と負担の割合で変わる。料金表を添えるかは相談員が決める |
| 病状を推し量る | 「認知症が進んでいると思われます」と書くと、家族が書いていない状況を作る |
| 枠の一覧にない日時を出す | 案内した見学の日に、事業所が対応できない |
指示内容を固定する
1つ目のステップ(抽出)の指示です。
あなたは介護施設の生活相談員の補佐です。
家族やケアマネジャーから届いた入所・利用の相談から、決められた項目を抜き出してください。
【抜き出す項目】
requester_relation(child / spouse / care_manager / other / unknown)
current_place(home / hospital / other_facility / unknown)
care_level、dementia、mobility、eating、toileting、
service_wanted、facility_wanted、timing、cost_question
【厳守事項】
- 本文に書かれていない値を推測で補わないでください。書かれていなければ空欄にしてください。
- dementia、mobility、eating、toileting、cost_question は、
書かれた言葉をそのまま写してください。要約や言い換えをしないでください。
- 病状や介護の重さを推し量って書かないでください。
- 受け入れの可否、空き部屋、費用の金額について何も書かないでください。
【印】本文に次に当たる記載があれば flags に入れ、根拠の一文を flag_evidence に写してください。
- medical_care:胃ろう、経管栄養、たんの吸引、インスリン、在宅酸素、透析、
褥瘡、カテーテルなど、医療的なケアに当たる言葉が1つでもあれば付ける
- discharge_soon:退院の日が決まっている、退院を求められている
- caregiver_limit:介護している家族が続けられない事情
- conflict:下の選択肢の値と、自由記入欄の記載が食い違う
記載がなければ flags は空にしてください。
【聞くこと】current_place、care_level、medical_care の有無、timing のうち、
書かれていないものを questions に並べてください。
【選択肢の値】{form_choices}
【経路】{channel}
【本文・自由記入欄】{body}
医療的なケアの言葉を例として並べているのは、言い方がばらばらだからです。 「おなかから栄養」「鼻から管」と書く家族もいます。例を並べたうえで「当たる言葉が1つでもあれば」と書き、迷ったら付ける側に寄せます。
2つ目のステップ(作成)の指示には、「{slots} の枠IDの中から、{facility_wanted} と時間の希望に合うものを3つ選ぶ。一覧にない日時を書かない。受け入れの可否・空き部屋・費用の金額を書かない。flags に印があるときは見学の候補を書かず、『お電話でご様子を伺いたい』という文面にする。400字以内、です・ます調。宛名は {宛名} のまま」と書きます。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力項目として、次の項目を定義します(2つのステップの出力をまとめて示します)。
{
"inquiry_id": "",
"channel": "form | mail | care_manager",
"requester_relation": "child | spouse | care_manager | other | unknown",
"resident": {
"current_place": "home | hospital | other_facility | unknown",
"care_level": "", "dementia": "", "mobility": "",
"eating": "", "toileting": ""
},
"wish": { "service_wanted": "", "facility_wanted": "", "timing": "", "cost_question": "" },
"flags": [],
"flag_evidence": "",
"questions": [],
"slot_ids": [],
"draft_body": ""
}
構造化する理由の1つ目は、相談台帳の列にそのまま入ることです。 相談票は相談台帳の1行そのものになり、3事業所の相談員が同じ列の並びで書くことになります。 第3章の(d)はこれで解けます。
2つ目は、flags で後段の動きを分けられることです。 medical_care があれば、下書きの件名に【看護確認】を付け、相談台帳の状態を「看護確認待ち」にします。discharge_soon か caregiver_limit があれば、Delay を3日でなく1日にします。
3つ目は、slot_ids を見学の枠のシートと照合できることです。 返ってきたIDがシートにあり、状態が「空き」かを確かめ、1つでも当たらなければ文案から候補日を外して相談員に回します。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Google フォーム | Zapier の Google フォーム連携 | 「New Form Response(Instant)」で回答を受け取る |
| Gmail | Zapier の Gmail 連携 | 「New Labeled Email」で受け取り、「Create Draft」で返信の下書きを作る |
| 見学の枠のシート | Zapier の Google スプレッドシート連携 | 空き枠を取り、選ばれたIDを照合する。書き込まない |
| 相談台帳 | 同上 | 「Create Spreadsheet Row」で相談票を足し、Delay のあとに状態を読む |
| Digest | Digest by Zapier | 返信待ちのままの相談をため、日次で放出する |
| 相談員への通知 | Gmail | 放出された一覧を、相談員の法人のアドレスに送る |
家族への返信は下書きまでで、送信のアクションは置きません。 相談員への通知だけは「Send Email」で送りますが、宛先は法人のアドレスに固定し、Zap の設定で変えられないようにします。
見学の枠のシートには書き込みません。 枠を「埋まり」に変えるのは、家族から日を選んだ返事が来たときの相談員の仕事です。下書きを作った時点で仮押さえにすると、送られなかった下書きの枠が埋まったままになります。
Digest の放出は日次にし、相談員が朝の申し送りのあとに一覧を見られるようにします。 Digest にためる内容は、相談ID、事業所、相談者の続柄、最終連絡日、flags、questions の数だけにし、本人の状況はためません。 一覧から相談台帳の行を開けば足ります。
人が確認する
相談員が、相談票と下書きの全件を確かめてから送ります。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
medical_care の印と根拠の一文 | 看護職員に確かめる。受け入れられないケアなら、見学の前に電話で伝える |
discharge_soon と caregiver_limit | 当日中に電話する。メールの返信を待たせない |
questions | 最初の電話で聞くことのメモ |
| 見学の候補日 | 事業所の行事や、相談員の不在の日と重ならないか |
| 下書きの言い回し | 家族が書いた事情に、ひとこと触れているか |
医療的なケアの印は、外す判断も相談員が記録します。 「以前は胃ろうだったが今は口から食べている」のように、印が付いても当たらない相談があります。外した理由を残すと、プロンプトの例を直す材料になります。
毎朝の一覧では、「返信待ち」のまま残った相談に再連絡するかを決めます。 再連絡したら最終連絡日を台帳に入れ、状態を「連絡済み」にします。家族から「他で決めた」と返事があれば「終了」にし、それ以上の連絡はしません。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 相談でないメールにラベルが付いた | requester_relation も current_place も unknown なら、下書きを作らずに台帳に「対象外」で残す |
| 同じ相談が直近にある | duplicate の印を付け、前の相談の行に追記する。下書きは作らない |
| 空き枠がない | 候補日を書かず、「日程をご相談させてください」の文案にする |
| 選ばれた枠IDがシートにない | 候補日を文案から外し、相談員に回す |
| Zap を止めていた間に Delay の期限が来た | Zap が止まっていた間に予定されていたアクションは、再開しても動かない。 週に1回、相談員が台帳の「返信待ち」を目で見る |
| 30日を超えて待ちたい | Delay は最長30日。長期の待機は台帳の状態で管理する |
| Digest の件数の上限に近づく | アカウント全体で1,500件まで。日次で放出して、ためすぎない |
| AIのステップが失敗した | 相談台帳に「要手入力」で行を足し、相談員に知らせる |
5行目がいちばん見落としやすい例外です。 Zapier の説明では、Delay は Zap がオンのときしか動かず、止めていた間に予定されていたアクションは、オンに戻しても実行されないとされています。設定を直すために Zap を止めると、その間に3日目を迎えた相談は一覧に出ません。週に1回の目視を、仕組みの外に残します。
記録を残す
- 相談のフォームの回答とメール(それぞれ回答のスプレッドシートと Gmail に残る)
- 相談票(相談台帳の1行)、
flagsと根拠の一文、questions、選んだ枠ID - 相談員が外した印・足した印と、その理由
- 看護職員に確かめた結果(受け入れの検討に進んだか)
- 再連絡した日時と、家族の返事
- AIのステップの入出力(Zap の実行履歴)
AI by Zapier は実行のたびに知識がリセットされます。 2回目の相談を前の相談と結びつけるのは、相談台帳の検索の役目です。
3つ目と4つ目が、いちばん役に立つ記録です。 medical_care の印がどれだけ当たっていたか、看護職員の確認で受け入れの検討に進んだのはどの記載だったかが分かると、プロンプトの例と、看護職員に回す基準を直せます。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 1件30分が12分になります。残る12分は、相談票と下書きを確かめて送る時間、看護職員への確認、毎朝の一覧を見て再連絡する時間です。 本格構成に進むかは、家族がメールで見学の日を選ぶ割合で決めます。 高齢の配偶者からの相談が多い事業所では、電話のほうが早く決まります。
05工数削減シミュレーション
導入後 80件 × 12分 ÷ 60 = 16 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスなどで、施設のサイトの相談フォームと代表のメールアドレスに、家族やケアマネジャーから月に数十件の入所・利用の相談が届く事業所。生活相談員が介護の現場と兼務していて、相談への返信が数日空くことがある場合。見学の日時が曜日と時間で決まっている場合。
- 相談がほぼ電話と、地域包括支援センターや病院の地域連携室からの紹介で、メールやフォームでは届かない事業所。相談が月に数件で、相談員がその日のうちに電話できている場合。なお、入所・利用を受け入れられるかの判断や、医療的なケアに対応できるかの判断は、この構成では行いません。
07最小構成で試す方法
- 先月届いた相談から20件を選ぶ(うち数件は、医療的なケアの記載がある相談を入れる)
- その20件について、相談員が当時相談台帳に何を写し、看護職員に何を確かめたかを聞き取る
- 相談の本文から相談者と本人の名前、連絡先を消し、手元のAIサービスの画面に1件ずつ貼り付ける
- 「この相談から、相談者の続柄、本人の今いる場所、要介護度、認知症の様子、希望のサービスと時期を抜き出してください。書かれていない項目は空欄にしてください。胃ろう、たんの吸引、インスリン、在宅酸素などの医療的なケアに当たる記載があれば、その一文を写してください。受け入れの可否は書かないでください」と指示する
- 出てきた結果を、当時の相談台帳と突き合わせる
20件は必ずやってください。 医療的なケアの記載をAIが拾えるかを、組む前に確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 医療的なケアの記載をすべて拾った | Zapier の組み立てに進む |
| 「おなかから栄養」のような言い方を拾えない | 例の言葉を足す。構成は有効 |
| 認知症の様子が要約されて意味が変わる | 「書かれた言葉を写す」を強める |
2行目が出ることは珍しくありません。 家族の言い方を例に足していけば拾えるようになります。当時、相談員が読み落とした相談があれば、それも例に入れてください。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 医療的なケアの記載を拾えない | 家族の言い方を例に足し、1つでも当たれば付ける側に寄せる |
| 認知症の様子が要約される | 「書かれた言葉をそのまま写す」を項目ごとに明記する |
| フォームの回答を Zapier が受け取れない | 回答をスプレッドシートに保存する設定が要る |
| 存在しない見学の日時を案内する | 枠IDだけを選ばせ、シートと照合する |
| Zap を止めた間の再連絡の確認が消える | 止めていた間に予定されたアクションは動かない。週1回の目視を残す |
| 選択肢の要介護度と自由記入欄が食い違う | 選択肢の値はAIに通さず台帳へ。食い違いは conflict |
| 下書きに費用の金額が書かれる | プロンプトで禁じ、「円」を含む下書きを Filter で止める |
| AIの階層が既定の Premium のまま | Standard に変える |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、家族が書いた言葉が別の言葉に置き換わることから起きます。拾う側に寄せ、写すことを徹底する、の2つで防ぎます。
5行目は、運用が落ち着いてから効いてきます。 設定を直すたびに Zap を止めると、その間の確認が黙って抜けます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 本人の年齢、要介護度、認知症の様子、病歴と医療的なケア、今いる病院や施設、家族の連絡先と事情です。病歴を含む、慎重な扱いが要る情報です。
- 要配慮個人情報の扱いを先に決める … 個人情報保護委員会が示す医療・介護関係事業者向けのQ&Aでは、病歴などの要配慮個人情報を取得するときは、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があるとされています。家族からの相談で本人の病歴が書かれてくる場面の扱いは、事業所の個人情報の方針と照らして決めてください。この部分は事業所ごとの個別の確認が必要です
- AIに渡す範囲を限る … 本人と相談者の氏名、電話番号、住所は、抜き出しに要りません。フォームの値のうち、これらの質問はAIのステップに渡さない設定にします
- Digest と通知に本人の状況を載せない … ためるのは相談IDと状態だけにし、メールの一覧に病歴が並ばないようにします
- 家族へ自動で送らない … 出すのは下書きまでです。医療的なケアの印がある相談に、見学の案内が自動で届くことを防ぎます
- 受け入れの判断をAIにさせない … 受け入れの可否、待機の順番、費用は、相談員と施設長、看護職員が決めます
誤りが起きた場合のリスクは、医療的なケアを読み落として見学を案内することと、返信が止まった相談を放置することの2つです。 前者は付ける側に寄せた印と看護職員の確認、後者は Delay と毎朝の一覧、週1回の目視で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:見学の枠のシートと相談台帳の列を作る
事業所ごとに、見学を受けられる曜日と時間帯を並べ、2週間分の枠を作ります。相談台帳には、相談票の項目、印、状態、最終連絡日の列を足します。あわせて、要配慮個人情報の扱いを法人の担当者と確かめます。
2週目:20件で試す
先月の相談から20件を選び、名前と連絡先を消して手元のAIサービスに貼り付けます。医療的なケアの記載を全部拾えているかを最優先で見ます。
3週目:フォームから相談台帳までをつなぐ
Google フォームの回答をスプレッドシートに保存する設定を確かめ、「New Form Response(Instant)」から AI by Zapier、相談台帳への追加までを作ります。AIの階層を Standard にし、出力項目を定義します。 メールの Zap も同じ並びで作ります。
4週目:見学の候補日と下書き、再連絡の一覧を足す
見学の枠を取るステップ、下書き、Delay と Digest を足します。相談員には、医療的なケアの印がある相談は必ず看護職員に確かめてから送ってもらいます。
2か月目: 外した印と足した印を週に1回見て、医療的なケアの例を直します。3か月目以降: 1件30分が何分になったか、相談から最初の連絡までの日数がどれだけ縮んだかを相談台帳で測ります。返信が止まった相談のうち、再連絡で見学につながった件数を数えた時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| AI by Zapier の出力項目を定義しないと1つにまとめた出力を返すこと。階層が Standard(1倍、道具は使えない)/Advanced(3倍)/Premium(5倍、既定)/自社のキー(1倍)であること。Professional / Team / Enterprise で使え、Free では Standard に限られること。実行のたびにAIの知識がリセットされること | Zapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-06 |
| Google フォームのトリガーに New Form Response(Instant)があること。回答を Google スプレッドシートに保存していないと Zapier で動かないこと | Zapier Help: How to get started with Google Forms on Zapier | 2026-10-06 |
| Gmail のトリガーが Polling 方式で、New Labeled Email の検出の対象の時間の幅が無制限であること。アクションに Create Draft と Send Email があること | Zapier Help: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-06 |
| Google スプレッドシートの検索に Lookup Spreadsheet Row と Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)、アクションに Create Spreadsheet Row があること | Zapier Help: How to get started with Google Sheets on Zapier | 2026-10-06 |
| Delay に Delay For と Delay Until があること。保留が最長30日であること。Zap がオンでないと動かず、止めていた間に予定されたアクションはオンに戻しても動かないこと。タスクを使わないこと。Free では使えないこと | Zapier Help: Add delays to Zaps | 2026-10-06 |
| Digest が値をためて決まった間隔でまとめて渡すこと。放出が日次・週次・月次・閾値・手動であること。タスクに数えられないこと。アカウント全体で1,500件、1つの Digest で1MBまでであること | Zapier Help: Compile data in a digest in Zap workflows | 2026-10-06 |
| 医療・介護関係事業者向けのガイダンスのQ&Aで、病歴などの要配慮個人情報を取得するときは原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があるとされていること | 個人情報保護委員会: 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス Q&A(各論 Q2-5) | 2026-10-06 |
要配慮個人情報の取得と、家族からの相談で届く本人の情報の扱いは、事業所の個人情報の取り扱いの方針に従ってください。 この部分は事業所ごとの個別の確認が必要です。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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