Gemini Notebookの社内規則|漏えいを防ぐ項目一覧

「ノートブックLMがジェミニ・ノートブックに名前を変えたと聞いたが、社内でこのまま使わせてよいのか」「部下が取引先向けの提案資料を入れて要約させていたが、止めるべきだったのか」。名前が変わったのをきっかけに、情シスや部門の責任者からこうした問いが出ています。答えに詰まるのは無理もありません。この道具は、調べものに便利な道具として個人の判断で広がり、規則が後から追いかける形になりやすかったからです。漏えいを防ぐ規則は、禁止の一文を足すことではありません。本当は、資料を入れる・共有する・持ち出す・持ち主が替わる、という場面ごとに、誰が何を決めるかを書いておくことです。この記事では、ジェミニ・ノートブックを社内で使わせるときに規則に入れる項目を、公式の仕様で確かめた範囲で一覧に整理します。
カメ先生ジェミニ・ノートブックは、自分で入れた資料だけを根拠に答えてくれる道具だ。だから安心だと思われがちだけど、入れた時点で資料はノートブックの中に置かれ、共有すれば相手もそれを読める。漏えいの入口は、答えよりも資料の置き場所と共有のほうにあるんだ。
カメ子学習に使われないなら、何を入れても大丈夫というわけではないんですね。
カメ先生学習に使われるかどうかは、使うアカウントの種類で変わる。そして学習とは別に、共有や持ち出しで外に出る道がある。規則は場面ごとに分けて書くのがこつだよ。それと、要約や回答の下書きはAIに任せていいけれど、どの資料を入れてよいか、誰に見せてよいかをAIに判断させてはいけない。
カメ子場面を分けて、人が決める所をはっきりさせてから項目に落とす、という順番ですね。
- 改名しても中身は同じ製品。資料の置き場所・共有・持ち出し・持ち主の交代という場面ごとに規則を書く
- 会社のアカウントと個人のアカウントでは、学習への利用と人による確認の扱いが違う
- 組織の外への共有と公開は管理者が設定で止められる。規則と設定の両方で守る
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名前が変わっても、中身は同じノートブック
グーグルは2026年7月16日、ノートブックLMの名前を「ジェミニ・ノートブック」に変えると発表しました。ワークスペースの更新情報によると、製品そのものは同じで、既存のノートブックや資料を移し替える必要はありません。すでに共有しているノートブックやリンクは自動で新しい名前の側へ転送され、管理者が対応する作業も求められていません。展開には15日を超えることがあるとされ、しばらくは旧名と新名が画面に混在します。
変わったのは名前だけではありません。公式ブログでは、ノートブックごとに安全なクラウド上の計算環境が用意され、入れた資料に基づいてコードを書いて実行し、データを分析できるようになったと説明されています。あわせて、ジェミニのアプリとノートブックが双方向に同期するようになりました。資料を置いておく場所だったものが、資料を加工し、別のアプリからも呼び出される場所に広がった、と受け止めるのが実態に近いでしょう。
社内規則の見直しで最初にやるのは、既存の文書の名称の置き換えです。「ノートブックLMの利用について」という規則があるなら、改名後の名前を併記し、同じ製品を指すことを明記します。そのうえで、コードの実行とジェミニのアプリとの連携という、改名と同時に加わった2つの機能を、既存の規則が想定していなかった場面として追記するのが順番です。名前だけ置き換えて終わりにすると、新しい機能の分だけ規則に穴が残ります。
なお、先行して新機能が使えるのは上位の個人契約と一部の法人の契約で、その後に順次広げると案内されています。自社の契約でどの機能がいつ使えるかは、管理コンソールと更新情報で確かめてから規則に書きます。使えない機能を禁止する条文を先に書くより、使えるようになった時点で追記するほうが、社員にとって読みやすい規則になります。
規則を作る前に押さえる仕組み:資料はノートブックの中に置かれる
ジェミニ・ノートブックでは、資料のファイル、ウェブのページ、動画、音声、グーグルの文書やスライドなどを「資料」として入れ、その資料だけを根拠に質問へ答えさせます。規則を考えるうえで大事なのは、入れた資料が、元のファイルとは別にノートブックの中の資料として扱われるという点です。元のファイルを直したり消したりしても、ノートブックの中の資料が同じように変わるとは限りません。
このため、共有フォルダ側で閲覧の権限を絞っても、それより前に誰かがノートブックへ入れていれば、その資料はノートブックの共有相手から読める状態で残ります。ファイルの権限管理と、ノートブックの共有管理は別々に効くと考えておく必要があります。社内の資料は共有フォルダの権限で守っている、という前提の会社ほど、この二重の管理を規則に書き込まなければなりません。
もう一つは、答えの根拠が資料に限られることの裏側です。ノートブックは入れた資料の範囲で答えるため、古い版の価格表や、すでに撤回した方針の資料が残っていると、それを根拠にもっともらしい答えを返します。漏えいとは別の話に見えますが、古い資料を残したまま共有すると、誤った内容が社外に出る経路になるので、資料の入れ替えの責任者を決めることも規則の対象に入ります。
規則の冒頭には、この仕組みを3行で書いておくと効果があります。入れた資料はノートブックの中に置かれること、共有した相手はその資料を読めること、元のファイルの権限とは別に管理されること。社員が禁止事項を覚えるより先に仕組みを理解していれば、条文に書いていない場面でも判断を誤りにくくなります。
項目1:使ってよいアカウントを会社のものに限る
最初の項目は、どのアカウントで使うかです。公式のヘルプでは、アカウントの種類で扱いが分かれています。仕事用・学校用のアカウントでは、アップロードした資料、質問、回答は人による確認の対象にならず、AIの学習にも使われないと書かれています。一方、個人のグーグルアカウントでは、学習には使わないとしつつ、利用者がフィードバックを送った場合は、やり取りの全体を人が確認することがあると案内されています。
つまり個人のアカウントでも、何もしなければ学習には使われません。ただ、回答の評価の印を押しただけで、入れた資料を含むやり取りが人の目に触れる可能性がある、という違いは規則に書く価値があります。社員が私用のアカウントで業務の資料を入れ、何気なく評価を押す、という流れは十分に起こり得ます。業務の資料は会社のアカウントでだけ扱う、と一文で決めるのが、いちばん効く項目です。
会社のアカウントに限る理由は、学習や人の確認だけではありません。仕事用のアカウントでは管理者が利用の可否や共有の範囲を設定できますが、個人のアカウントには会社の設定が届きません。退職した社員の個人アカウントに業務のノートブックが残っても、会社からは消せません。管理の手が届くかどうかが、アカウントを分ける本当の理由です。
規則の書き方としては、「業務の資料を個人のアカウントのノートブックに入れない」「会社のアカウントのノートブックを個人のアカウントと共有しない」の2つに分けると伝わりやすくなります。後者は見落とされがちで、自宅で続きを読みたいという理由で自分の個人アドレスへ共有する例が起きます。組織の外への共有を管理者が止めていれば、設定の側でも防げます。
項目2:入れてよい資料を3つの区分で決める
次に決めるのは、どの資料を入れてよいかです。会社のアカウントなら学習に使われないとしても、共有や持ち出しの経路は残ります。そこで資料を3つに分けます。公開済みの資料や社外に出してよい資料は入れてよい、社内限りの資料は条件付きで入れてよい、入れてはいけない資料ははっきり名前を挙げる、という分け方です。
入れてよい区分には、自社の公開済みの製品資料、公開された統計や業界団体の報告書、自社のウェブサイトの記事などが入ります。条件付きの区分には、社内の会議の資料、未公開の企画書、社内の手順書などが入り、条件は「共有は社内の決められた範囲だけ」「生成物を社外に出さない」とします。入れてはいけない区分には、個人情報を含む顧客の一覧、取引先から秘密として預かった資料、人事の評価、未発表の決算の数字などを挙げます。
区分を決めるときのこつは、社内に既にある情報の分類に合わせることです。機密の段階を定めた規程があるなら、その段階ごとに「ノートブックに入れてよいか」の列を1本足すだけで済みます。ノートブックのためだけに新しい分類を作ると、社員は2つの分類を覚えることになり、どちらも守られなくなるので避けます。
取引先から預かった資料は、特に丁寧に扱います。秘密保持の契約で、目的外の利用や外部の道具への入力を制限している場合があるからです。社内でどう分類していても、契約の条件が優先します。預かった資料を入れる前に、契約の担当者に確かめる手順を置くことを項目に含めておくと、現場の判断がぶれません。
項目3:人を指定する共有の範囲を決める
ノートブックは、相手のメールアドレスを指定して共有できます。公式の説明では、共有の権限は閲覧者と編集者の2種類です。閲覧者は共有されたノートブックの資料とメモを読むことができ、編集者は資料やメモを追加・削除し、さらに他の人へ共有することもできます。編集者に渡した時点で、共有の範囲を決める権利も相手に渡ることが、規則を書くうえでの要点です。
そこで規則では、編集者の権限は同じ部署の担当者に限り、それ以外は閲覧者で共有する、と決めておきます。部署をまたいで資料を育てるノートブックでは、持ち主を1人決め、その人だけが共有の範囲を変える運用にします。閲覧者で足りる相手に編集者を渡さないという一行だけでも、共有が思わぬところまで広がる事故はかなり減ります。
質問への回答だけを見せる「対話の画面」のリンクもあります。資料の一覧を画面から隠して、対話に集中させる見せ方です。ただし公式の案内では、この画面は資料を隠すだけで、閲覧者として資料に触れる権利そのものを取り消すものではないとされています。対話の画面で共有したから資料は見られない、と考えないことを規則に明記しておきます。
共有した相手の一覧は、定期的に見直します。案件が終わったノートブックに、案件の関係者が閲覧者として残り続けることはよくあります。四半期に一度、自分が持ち主のノートブックの共有相手を確かめ、不要な相手を外すことを持ち主の役割として書いておくと、共有の棚卸しが属人的にならずに済みます。
- 対話の画面の扱いは公式の案内の記載による。画面の仕様は変わることがあるため、規則を配る前に自社の環境で実際に確かめる
- 編集者はさらに共有できる。共有の範囲を変える人を、ノートブックごとに1人決めておく
項目4:組織の外への共有と公開を、設定と規則の両方で止める
組織の外への共有は、管理者が設定で決められます。ワークスペースの管理者向けヘルプによると、選べるのは3つです。組織の外へは共有できない「オフ」、許可した外部の組織にだけ共有できる設定、どの外部のアドレスにも共有できる「オン」です。許可した組織だけの設定では、相手を個人のアドレス単位で指定する必要があり、グループのアドレスは使えないとされています。
組織の外への共有をオンにした場合は、さらに公開の設定を選べます。公開を許すと、利用者はリンクを知っている人なら誰でも見られる状態にノートブックを置けます。社内の資料を入れたノートブックが公開されると、リンクが転送された先で誰に読まれたかを追うのは難しくなります。公開は原則として止め、広報など公開が役割の部署だけに開くのが安全な初期設定です。
これらの設定は、組織部門ごとに上書きできます。全社は組織の外への共有をオフにし、外部の協力会社と資料をやり取りする部署だけ、許可した組織への共有を認める、という組み方ができます。設定を変えてから反映されるまで最大24時間かかることがあると案内されているので、変更した日にすぐ確かめず、翌日に共有の画面で確かめる段取りにしておきます。
設定で止めても、規則に書く意味は残ります。設定は「できるかどうか」を決めますが、許可された範囲の中で「してよいか」は決めません。許可した組織への共有が開いている部署でも、共有してよいのは契約のある案件の資料だけ、と規則で絞っておけば、設定の網をくぐった共有を人の判断で止められます。
項目5:音声解説などの生成物を社外に持ち出すとき
ノートブックでは、資料をもとに音声で内容を解説させたり、要約や図解、スライドのような生成物を作らせたりできます。こうした生成物は、元の資料の内容を別の形にしたものです。元の資料が社内限りなら、そこから作った生成物も社内限りとして扱う、というのが規則の基本になります。形が変わったことで、資料の区分が外れたように感じてしまうのが落とし穴です。
よく起きるのは、社内の研修用に作った音声解説を、営業担当者が便利だからと取引先に送ってしまう例です。音声の中には、資料に書かれていた未公開の数字や社内の呼び名がそのまま出てきます。生成物を社外に出す前に、元の資料の区分を確かめ、社外に出してよい資料だけから作ったものかを確認する手順を置きます。
生成物には、資料に書かれていない言い回しや、資料の内容を取り違えた説明が混ざることもあります。社外に出す場合は、担当者が元の資料と突き合わせて内容を確かめ、上長か広報の確認を通すことを条件にします。社外に出すかどうかの判断と事実の確認は、生成した本人ではなく別の人が持つと決めておくと、急ぎの場面でも手順が飛ばされにくくなります。
生成物をダウンロードして社内の共有フォルダに置く場合も、置き場所の権限を元の資料と揃えます。ノートブックの共有を絞っていても、ダウンロードした音声のファイルが全社公開のフォルダに置かれれば、そこから広がります。持ち出しの規則は、社外に出す場面だけでなく、ノートブックの外へ出す場面すべてを対象に書くのが確実です。
項目6:コードを動かす機能で扱うデータ
改名と同時に加わったのが、ノートブックの中でコードを書いて実行し、資料に基づいてデータを分析する機能です。表計算のファイルや数値の多い資料を入れておけば、集計やグラフの作成を任せられます。便利な一方で、数値の資料をノートブックに入れる動機が強くなることは、規則の側で見込んでおく必要があります。
マーケの現場なら、広告の成果の一覧や、問い合わせの件数の推移を入れて分析させたくなります。ここで気をつけたいのは、分析に使う表に、会社名や担当者名、メールアドレスといった個人や取引先を特定できる列が残っていることです。分析に要らない列は、ノートブックに入れる前に表から消すことを、コードの機能を使うときの条件として書いておきます。
分析の結果の扱いも決めておきます。コードで出した集計の数字は、計算の手順が正しくても、元の表の抜けや重複をそのまま引き継ぎます。社内の報告に使う数字は、元のデータを持っている担当者が表計算で検算してから確定させます。AIが出した集計を、検算しないまま報告の数字にしないという一行は、漏えいとは別に、誤った数字が社内外に出るのを防ぐための項目です。
この機能は契約によって使える時期が異なるため、規則では「使えるようになった場合」の条件として書くのが実際的です。使えるようになった時点で、情シスが対象の部署に知らせ、どの区分の資料なら数値の分析に使ってよいかを改めて伝えます。新しい機能が来るたびに規則を作り直すのではなく、既存の資料の区分に当てはめて運用するのが続けやすいやり方です。
項目7:ジェミニのアプリとつながって広がる参照範囲
ヘルプによると、ジェミニ・ノートブックで作ったノートブックは、ジェミニのアプリの画面にも自動で表示され、どちらからでも編集や対話ができます。名前の変更や資料の追加、独自の指示の変更は両方に同期します。規則を考えるうえで押さえたいのは、答えの根拠の範囲がアプリによって違うことです。ノートブックの画面では資料だけが根拠ですが、ジェミニのアプリでは資料に加えて、ウェブ検索などの道具が使われることがあると案内されています。
つまり、同じノートブックに同じ質問をしても、ジェミニのアプリで尋ねると、資料にない外の情報が混ざった答えが返る場合があります。社内の資料だけに基づいた答えが必要な場面、たとえば社内の規程の解釈や製品の仕様の確認では、資料だけを根拠にしたいときは、ノートブックの画面で尋ねると使い分けを書いておくと混乱が減ります。
逆向きの流れもあります。ジェミニのアプリでノートブックと交わした対話は、読み取り専用の形でノートブックの資料の欄に加わり、ノートブックの知識の一部になるとされています。アプリでの何気ないやり取りが、ノートブックの資料として残るということです。そこに社外秘の話を書き込めば、ノートブックの資料にも社外秘が混ざります。
ヘルプでは、ジェミニのアプリでの対話を含むノートブックは非公開のままで共有できないこと、共有したノートブックはジェミニのアプリには表示されないことも案内されています。共有の事故を防ぐ仕組みが入っているとも読めますが、仕様は変わりやすい部分です。規則には仕様そのものを書き写すより、アプリで対話した内容もノートブックの資料になる、という原則を一文で書いておくほうが長持ちします。
項目8:異動・退職のときにノートブックの持ち主を移す
ノートブックは、作った人が持ち主になります。持ち主が異動したり退職したりすると、そのノートブックに入った資料と、共有の範囲を決める権利が宙に浮きます。アカウントを止める前に、業務で使っているノートブックの持ち主を移すか、消すかを決めることを、異動・退職の手続きの中に入れておきます。
手順としては、本人に自分が持ち主のノートブックの一覧を出してもらい、1つずつ「引き継ぐ」「消す」「そのまま残す」を選んでもらいます。引き継ぐものは、後任を編集者として共有に加えたうえで、後任が同じ内容のノートブックを作り直すか、資料ごと移す方法を情シスが案内します。本人が在籍しているうちに仕分けを済ませることが大切で、退職の後では、どの資料を何のために入れたのかを確かめる相手がいません。
アカウントを削除したときにノートブックがどう扱われるかは、管理者向けの案内で確かめてから手順に書きます。仕様を確かめないまま、アカウントを消せばノートブックも消えるはずだと考えるのは危険です。反対に、消えては困るノートブックが本人のアカウントと一緒に失われることもあります。削除の前に仕分けを終えるという順番さえ守れば、どちらの事故も避けられます。
退職時のAIの道具の片づけ全般は別の記事で扱っていますが、ノートブックに特有なのは、共有相手の一覧です。退職者が持ち主のノートブックを社外の相手と共有していた場合、その共有を外す作業を最後まで残さないようにします。共有の相手の一覧は本人が一番よく知っているので、仕分けの段階で一緒に書き出してもらうと漏れがありません。
項目9:管理者が設定で止められること
仕事用・学校用のアカウントでは、組織の管理者が利用を有効にしないとジェミニ・ノートブックは使えない、と公式のヘルプに書かれています。管理者向けの案内では、サービスそのものを利用者ごとに有効・無効にする設定があり、共有の範囲とは別に管理できます。全社で一度に開くのではなく、規則を読んだ部署から開くという進め方が、設定の側で実現できるということです。
管理者の設定で押さえたいのは、サービスの有効・無効、組織の外への共有の3段階、公開の可否の3つです。どれも組織部門ごとに変えられるので、部署の業務に合わせて組み合わせます。たとえば、研究開発は外への共有をオフ、協力会社と組むマーケは許可した組織だけ、広報は公開まで可、といった形です。設定の表を規則の別紙として配り、部署ごとに何ができるかを見える形にすると、社員が問い合わせる前に答えが見つかります。
管理者の設定で決められないこともあります。どの資料を入れるか、生成物を誰に渡すか、ジェミニのアプリで何を書き込むかは、設定では止められません。設定は外枠、規則は中身、と役割を分けて考えます。設定で止められることは設定で止め、止められないことだけを規則に書くと、規則が短くなり、読まれやすくなります。
設定を変えたときは、変えた日、変えた人、理由を記録に残します。改名や新機能の追加のたびに、設定の画面の項目も増えたり名前が変わったりします。記録があれば、半年後に「なぜこの部署だけ共有がオンなのか」と聞かれたときに答えられますし、担当者が替わっても設定の意図が引き継がれます。
社内規則に入れる項目一覧
ここまでの項目を一覧にまとめます。規則の本文にはこの表の「決めること」を条文にし、「誰が決めるか」を担当として書き添えます。項目ごとに担当を1人決めておくことで、規則が配られたまま誰も見直さない状態を防げます。自社にすでにある生成AIの全社規程に、この製品の別紙として足す使い方を想定しています。
| 項目 | 決めること | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| 使ってよいアカウント | 業務の資料は会社のアカウントでだけ扱う。個人のアカウントと共有しない | 情シス |
| 入れてよい資料 | 公開可・社内限り・入れてはいけない、の3区分と具体例 | 情報管理の責任者 |
| 人を指定する共有 | 編集者を渡す相手の範囲、共有相手の定期的な見直し | ノートブックの持ち主 |
| 組織の外への共有と公開 | 部署ごとのオフ・許可した組織だけ・オンと、公開の可否 | 情シス |
| 生成物の持ち出し | 元の資料の区分を引き継ぐ。社外に出す前の確認者 | 部門の責任者 |
| コードを動かす機能 | 分析に要らない列を消す。集計の数字の検算 | データの持ち主 |
| ジェミニのアプリとの連携 | 資料だけを根拠にしたいときの使い分け。アプリで書き込む内容 | 部門の責任者 |
| 異動・退職 | 持ち主の移し替えと、外部との共有の解除の期日 | 上長と情シス |
| 管理者の設定 | 有効にする部署、設定の変更の記録 | 情シス |
表の項目は、会社の規模によって束ねても構いません。少人数の会社なら、情シスと情報管理の責任者が同じ人ということもあります。その場合でも、項目そのものは削らずに残します。担当が同じでも、決める中身が違うからです。一覧を点検表として使い、半年に一度、各項目が今も守られているかを確かめると、規則が形だけになるのを防げます。
この一覧は、社員向けの1枚の案内にも作り替えられます。社員向けには「決めること」を「してよいこと・してはいけないこと」の言い方に直し、担当の列は問い合わせ先に置き換えます。規則の本文と社員向けの案内を分けておくと、本文を改めたときに案内も同じ日に直す、という運用がしやすくなります。
規則を定着させる進め方
規則は、作るより定着させるほうが難しいものです。特にジェミニ・ノートブックは、すでに個人の判断で使われている会社が多く、規則を配った時点で、規則に合わないノートブックが社内に残っています。新しく使う人への規則と、すでに使っている人の後片づけを、別の工程として進めるのがこつです。
部署ごとに、誰がどんな資料を入れ、誰と共有しているかを簡単な書式で書き出してもらいます。責める目的ではないことを先に伝えると、正直な回答が集まります。
集めた使われ方をもとに、サービスの有効・無効、組織の外への共有、公開の可否を部署ごとに決め、設定を変えます。反映まで最大24時間かかる前提で、翌日に確かめます。
項目一覧をもとにした規則の本文と、1枚の案内を配ります。資料の区分の具体例を多めに載せ、迷ったときの問い合わせ先を書きます。
期日を決めて、持ち主に自分のノートブックの資料と共有相手を見直してもらいます。入れてはいけない区分の資料は消し、不要な共有相手を外します。
項目一覧を点検表として使い、各担当が守られているかを確かめます。新しい機能が加わっていれば、既存の区分に当てはめて追記します。
手順の中で時間がかかるのは、既存のノートブックの見直しです。期日を決めずに頼むと、いつまでも終わりません。2週間程度の期日を置き、終わった人から報告してもらい、報告のない部署には上長を通じて声をかけます。見直しを済ませた部署から順に、規則に沿った使い方へ移っていく形になります。
規則を配った直後は、問い合わせが集中します。よく来る問い合わせは、この資料は入れてよいか、この相手と共有してよいか、の2種類にほぼ集まります。答えた内容をためておき、社員向けの案内の具体例に足していくと、2回目の改訂では問い合わせそのものが減っていきます。
AIに任せる範囲と、人が決める範囲
ジェミニ・ノートブックの使いどころは、資料の要約と、質問への回答の下書きです。入れた資料の範囲で答えるので、長い報告書の要点を拾ったり、社内の手順書から該当する箇所を探したりする作業に向いています。ただし、回答は必ず元の資料のどこに書いてあるかを示させ、人がその箇所を開いて確かめることを使い方の前提にします。根拠を示さない答えは、社内の説明に使いません。
人が決めるのは、どの資料を入れてよいか、誰と共有してよいか、生成物を社外に出してよいか、の3つです。これらをAIに尋ねて判断させてはいけません。AIは資料の中身を読めても、その資料が取引先との契約でどう扱われるべきかや、共有の相手が今も案件の関係者かどうかは知りません。人が確認する範囲を先に決めてから、AIに下書きを任せるという順番を崩さないことが、規則の土台になります。
規則づくりで起きやすい失敗も挙げておきます。どれも、仕組みを知らないまま条文を書いたときに起こります。
- 「機密情報を入れない」とだけ書き、どの資料が機密に当たるかの具体例を示さない
- 会社のアカウントなら学習に使われないことだけを理由に、共有と持ち出しの規則を省く
- 組織の外への共有を設定でオンのまま、規則だけで止めようとする
- 対話の画面で共有すれば資料は見られないと思い込み、社内限りの資料を入れたまま社外に渡す
- 退職者のアカウントを先に止め、持ち主のいないノートブックと外部との共有が残る
失敗のほとんどは、規則か設定のどちらか一方だけで守ろうとしたときに起きています。設定で止められることは設定で止め、止められない判断を規則と担当に預ける。この分担を最初に決めておけば、機能が増えても規則の骨組みは変わりません。
よくある質問
無料の個人アカウントで使っている社員がいます。すぐにやめさせるべきですか?
まずは入れている資料を確かめます。公開済みの資料だけなら急を要しませんが、業務の資料が入っているなら、会社のアカウントへの切り替えと、個人のアカウント側のノートブックの削除を頼みます。個人のアカウントでは会社の設定が届かず、評価の印を押すとやり取りが人の確認の対象になり得るからです。やめさせる前に、会社のアカウントで使える状態を用意しておくと、切り替えが進みます。
会社のアカウントなら、顧客の個人情報を入れても問題ありませんか?
学習に使われないことと、入れてよいことは別の問題です。共有や持ち出しの経路は残りますし、個人情報の利用目的の範囲に収まるかという判断も要ります。顧客の個人情報は、原則として入れてはいけない区分に置き、どうしても必要な場合は情報管理の責任者の確認を経る手順にします。分析が目的なら、個人を特定できる列を消した表を使います。
名前が変わったことで、管理者が設定し直す必要はありますか?
ワークスペースの更新情報では、改名に伴って管理者が対応する作業は求められていません。既存の共有やリンクも自動で転送されます。ただ、改名と同時にコードの実行やジェミニのアプリとの連携が加わっているので、この機会に共有の設定と有効にしている部署を見直すことをおすすめします。
社外の協力会社とノートブックを共有したい場合は、どうすればよいですか?
管理者が、その部署に限って許可した組織への共有を設定し、協力会社の担当者の個人のアドレスを指定します。グループのアドレスは指定できないとされています。共有するノートブックには、協力会社に見せてよい資料だけを入れ、権限は閲覧者を基本にします。案件が終わったら共有を外す期日も、あらかじめ決めておきます。
まとめ
ジェミニ・ノートブックは、2026年7月16日にノートブックLMから名前を変えた同じ製品で、改名と同時にコードの実行とジェミニのアプリとの連携が加わりました。漏えいを防ぐ規則は、禁止の一文ではなく、資料を入れる・共有する・持ち出す・持ち主が替わるという場面ごとに、誰が何を決めるかを書いておくことです。業務の資料は会社のアカウントでだけ扱い、入れてよい資料を3つに区分し、編集者を渡す相手を絞り、組織の外への共有と公開は管理者の設定で止めます。生成物は元の資料の区分を引き継ぎ、異動・退職の前に持ち主を移します。要約や回答の下書きはAIに任せても、根拠の箇所は人が確かめ、どの資料を入れて誰に見せるかは人が決めます。まずは管理コンソールで、組織の外への共有と公開の設定がどうなっているかを確かめるところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
