AI関数で集計すると答えが変わる|表計算に組み込む前の線

「AI関数を使えば、アンケートの自由記述の集計まで表計算の中で終わるはずだ」「一度分類させれば、あとは数えるだけで済む」。表計算にAIが入ってから、こうした期待をよく耳にします。期待が膨らむのは自然なことで、セルに指示文を書くだけで何百行もの文章が分類されていく様子は、確かに作業を一変させます。けれども、AI関数は同じ入力でも、更新するたびに答えが変わりうる関数です。足し算の関数のように、いつ誰が開いても同じ結果を返す部品ではありません。本当は、分類や要約の下書きを作る道具であり、集計の数字を確定させる部品ではないのです。この記事では、グーグルのスプレッドシートのAI関数の仕様を確かめたうえで、集計表に組み込む前に引いておく線と、その手順を整理します。
カメ先生スプレッドシートのAI関数は、セルに指示文と参照する範囲を書くと、文の生成や分類や要約をそのセルの中でやってくれる。便利だから、集計表にそのまま組み込もうとする人が増えているんだ。
カメ子普通の関数と同じように使ってはいけないんですか。
カメ先生普通の関数は、同じ入力なら何度計算しても同じ答えになる。AI関数は、更新を押すたびに作り直すから、答えが変わることがある。しかも参照先を直しても、自動では作り直されない。だから、どの時点の答えを使うのかを人が決めて、値として固定する必要がある。分類の基準をAIに判断させるのも駄目だよ。
カメ子答えが動く部品だと分かったうえで、固定する時点と、人が決める部分を先に決めるわけですね。
- AI関数は分類や要約の下書きを作る道具で、更新するたびに答えが変わりうる。集計の数字を確定させる部品ではない
- エクセルのコパイロット関数は2026年9月14日に提供を終えた。セルの中のAIに頼った表は、値で固定しておかないと崩れる
- 分類の選択肢を人が先に決め、原文の列を残し、抜き取りで確かめてから値として貼り付け、数えるのは通常の関数で行う
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AI関数は「計算する関数」ではない
グーグルのスプレッドシートのAI関数は、セルに「指示文」と「参照する範囲」を書いて使います。参照する範囲は省略できます。公式ヘルプが挙げているできることは、文の生成、情報の要約、情報の分類、感情の判定、グーグル検索を使った最新の情報の取得です。返ってくる答えは文字だけで、数の計算をするための関数としては案内されていません。
ここを取り違えると、集計表が崩れます。売上の合計や件数の集計は、合計の関数や件数を数える関数が確実に行います。AI関数に「この列の合計を出して」と書くことはできても、答えは文字として返り、その数字が正しいかは保証されません。公式ヘルプも、ジェミニの機能は不正確な情報や不適切な情報を示すことがあると明記しています。
もう一つの仕様として、AI関数は表全体や他のファイルを見ていません。見ているのは、指示文と、指定した範囲だけです。ヘルプは、答えの質を上げるために、必要なデータを同じ表に置いて範囲として指定することを強く勧めています。AIに渡すのは、判断に必要な列だけという前提で、表の組み方を考える必要があります。
感情の判定のように、一見すると決まった答えが返りそうな使い方でも、答えは文字として返ります。指示文で答え方を縛らないと、ある行は「肯定的」、別の行は「前向き」、さらに別の行は「やや好意的」と、同じ意味の答えが違う言葉で並ぶことがあります。数えるつもりの列ほど、答えの言葉を指示文で固定しておく必要があるのは、このためです。
使える条件と、回数の上限
AI関数を使うには、対象となるグーグルのワークスペースのプランか、個人向けのグーグルAIのプランが必要です。2025年9月の告知では、ビジネスのスタンダードとプラス、エンタープライズのスタンダードとプラスなどが対象に挙がり、同じ告知で日本語にも対応しました。プランの構成は変わることがあるので、自社の契約で使えるかは管理者と公式ヘルプで確かめてください。
プランがあっても使えないことがあります。公式ヘルプは、管理者の設定や言語の設定によってAI関数が使えない場合があると書いています。外部のクラウドの保存先に置いたファイルでは使えないことや、他の関数の中にAI関数を入れる書き方には対応していないことも、うまく動かないときの確認項目として挙がっています。
回数にも上限があります。複数のセルを選んでまとめて生成できますが、生成されるのは選んだうちの最初の350セルまでです。さらに、短い期間と長い期間の生成の上限があり、長い期間の上限に当たると、しばらく生成の操作ができなくなり、24時間待ってから試すよう案内されています。数千行の自由記述を1日で一気に処理する前提で予定を組まないことが、実務では大切になります。
「AI関数が使えない」という表示が出たときの確かめ方も、公式ヘルプに挙がっています。ワークスペースの試験的な機能への参加の状態か、対象のプランを持っているかのどちらかが原因の場合がある、とされています。社内で一部の人だけ使えないという問い合わせが来たら、本人のプランと管理者の設定を先に確かめると、切り分けが早く済みます。
答えが変わるのは、いつなのか
AI関数の答えは、ずっと同じではありません。公式ヘルプによると、答えを入れるには利用者が「生成して挿入」や「更新して挿入」を押す必要があり、答えは自動では作り直されません。押すたびに生成し直すので、同じ指示文と同じ原文でも、前回と違う分類や要約が返ることがあります。生成AIの答えが同じ問いでも揺れる理由そのものは、別の記事で整理しています。
逆の事故もあります。ヘルプは、参照している範囲の中身が変わっても更新を促す表示は出ず、いつ更新するかは利用者が判断する必要があると説明しています。原文の列の誤字を直したのに、分類の列は古い原文に対する答えのまま残る、ということが起こります。見た目にはどちらのセルも埋まっているので、気づきにくいのが厄介です。
つまり、AI関数の列には「答えが変わる」危険と「答えが古いまま残る」危険の両方があります。どちらも、いつ生成した答えなのかが表の上で分からないことから起きます。組み込む前に、どの時点で生成した答えを正とするかを決め、その時点で固定するという線を引くことが、この記事の手順の中心になります。
- 答えは「生成して挿入」「更新して挿入」を押したときだけ作られ、自動では作り直されない
- 参照先の原文を直しても更新は促されない。原文を直したら、どの行を作り直すかを人が決める
- モデルの更新で答えの傾向が変わることもある。その話は別の記事で扱う
共有した表で、他人が更新してしまう事故
チームで共有している表では、答えが変わる危険が一段大きくなります。公式ヘルプには、生成した内容はセルに入り、そのセルの編集は押した人の編集として版の履歴に残ると書かれています。つまり、編集できる人なら誰でも、更新を押して答えを作り直せる状態だと考えておく必要があります。
たとえば、先月の問い合わせの分類を報告に使ったあとで、別の担当者が別の目的で表を開き、分類の列をまとめて更新したとします。先月の報告の件数と、表の上の件数が合わなくなりますが、表だけを見てもどこで変わったのか分かりません。版の履歴をたどれば、誰がいつ編集したかは確かめられますが、毎回それをするのは現実的ではありません。
この事故を防ぐ方法は2つです。1つは、報告に使った時点で分類の列を値として貼り付け、関数を残さないこと。もう1つは、AI関数を書く作業用の表と、集計と報告に使う表を分けることです。作業用の表でだけAI関数を動かし、確定した値だけを集計用の表に移すという分け方にすると、共有の範囲を広げても数字が動きません。
集計用の表を共有するときは、権限の配り方も見直します。報告を読むだけの人には閲覧の権限を渡し、編集の権限は集計の担当者に絞ります。編集できる人を減らすことが、答えが動く機会を減らすいちばん確実な方法です。作業用の表のほうも、AI関数を動かす担当者を決めておけば、誰がいつ更新したのかを版の履歴でたどるときに迷いません。
エクセルのコパイロット関数は、提供を終えた
同じ種類の関数は、マイクロソフトのエクセルにもありました。セルに指示文と表の範囲を書いてAIの答えを返す「コパイロット関数」です。マイクロソフトの公式の支援ページによると、この関数は先行の利用者向けの場に限ったお試しの機能として提供されていましたが、2026年9月14日からエクセルで使えなくなりました。
支援ページは、提供終了後の動きも説明しています。すでに計算された結果は、保存された値としてブックに残ります。ただし、その関数のセルが再計算されると、関数の名前を認識できないというエラーが返ります。お試しの段階でこの関数を集計表に組み込んでいた場合、何かのきっかけで再計算が走った時点で、分類の列がエラーに置き換わることになります。
この件から学べるのは、セルの中のAIに頼った表は、関数の提供状況そのものに左右されるということです。代わりの手段として、マイクロソフトはエクセルの中のコパイロットの画面で、言葉で頼む使い方を案内しています。どの製品を使う場合でも、確定した答えは値として持っておけば、関数の側の変更に表が巻き込まれずに済みます。
お試しの時期にこの関数を使っていた部署があるなら、手元のブックを一度点検しておきます。表計算の検索の機能で関数の名前を含むセルを探し、残っている結果を値として貼り付けてから保存すれば、再計算でエラーに変わる事故を防げます。誰がどのブックで使っていたかが分からないときは、利用者に一斉に周知して点検を頼むのが現実的です。
組み込む前に線を引く:任せる列と任せない列
集計表にAI関数を入れる前に、どの列を任せ、どの列を任せないかを決めます。任せてよいのは、自由記述の分類の下書き、長い文の要約の下書き、文の案出しのように、人が後から確かめて直す前提の列です。答えが揺れても、確かめる工程で吸収できるものに限ります。
任せないのは、件数、合計、率など、集計の数字そのものの列です。これらは通常の関数で数えます。分類の基準、つまりどんな箱を用意し、境目の案件をどちらに入れるかも、AIに決めさせません。AIが勝手に作った箱の名前で数えると、翌月には違う名前の箱が生まれ、月ごとの比較ができなくなります。
線を引くときは、表の列の見出しに印を付けておくと分かりやすくなります。たとえば「AIの下書き(未確定)」「確定」「原文」と見出しで区別しておけば、表を初めて見た人でも、どの列を数えてよいかを取り違えません。数えてよいのは、人が確かめた「確定」の列だけという決まりを、表の最初の行に書いておくのも効果があります。
グーグル検索を使って最新の情報を答えに入れる使い方も、集計表の中では慎重に扱います。検索の結果は調べた時点によって変わるので、同じ行を別の日に更新すると、原文が同じでも答えが変わる理由が1つ増えます。集計に使う列では、検索を使った答えに頼らないほうが、数字の説明がしやすくなります。
集計表に組み込む5つの手順
ここからは、AI関数を集計表に組み込む手順を順に示します。自由記述の分類を例にしていますが、要約や案出しでも流れは同じです。どの手順も、人が決める部分を先に置いている点に注目してください。
用意する箱の名前と定義、どちらにも当てはまらないときの行き先を決めます。箱の数は多くても10前後に抑え、「その他」の箱を必ず用意します。
原文は消さず、書き換えもしません。AI関数の列の指示文には、決めた選択肢の名前をそのまま書き込み、それ以外の言葉で答えないよう指定します。
まず数十行だけ生成し、選択肢の外の答えや、明らかにずれた分類が出ないかを見ます。ずれが多ければ、指示文の定義を直してから広げます。
全行を生成したら、一定の割合を抜き取って人が分類し直し、一致の度合いを確かめます。ずれた行の傾向を見て、必要なら指示文を直して作り直します。
確かめ終えた分類の列を値として貼り付け、生成した日付を記録します。件数は通常の関数や集計の機能で数え、AI関数には数えさせません。
この5つの手順は、1回の集計ごとに回すものです。翌月に新しい問い合わせが増えたら、新しい行だけに同じ手順を当て、前月までの確定した値には触れません。
分類の選択肢を先に決める理由と、書き方
選択肢を決めずに「この問い合わせを分類して」とだけ書くと、AIは行ごとに自分で箱の名前を作ります。似た内容でも「料金の質問」「価格について」「費用の確認」とばらばらの名前になり、そのままでは数えられません。選択肢を先に決めて指示文に書き込むのは、答えを数えられる形にそろえるためです。
書き方の要点は3つあります。1つ目は、選択肢の名前をそのまま指示文に並べること。2つ目は、各選択肢に短い定義を添えること。3つ目は、どれにも当てはまらない場合の行き先を「その他」と明示することです。定義が短すぎると境目の案件が揺れやすくなるので、迷いやすい例を1つずつ添えておくと安定します。
選択肢と定義を決めるのは、集計の結果を使う人です。問い合わせの分類なら営業やカスタマーサポートの責任者、アンケートなら企画の担当者が決めます。AIに案を出させることはできますが、案をそのまま採用せず、自社の意思決定に使える箱になっているかを人が判断することが欠かせません。決めた選択肢は、表の別のシートに一覧として残しておきます。
指示文の書きぶりの例を1つ挙げます。「次の問い合わせ文を、料金、導入の時期、機能、契約、その他のいずれか1つに分類してください。答えは選択肢の名前だけにしてください。料金は価格や費用の質問、導入の時期は開始日や準備期間の質問を指します」。このように、選択肢・答え方・定義の3つを1つの指示文にまとめると、答えの言葉がそろいやすくなります。
抜き取りの検算は、こう進める
全行を人が見直すなら、AI関数を使う意味がありません。かといって、まったく見ないまま数えるのは危険です。そこで、一定の割合を抜き取って人が分類し直し、AIの答えと比べる検算を入れます。たとえば数百行なら、そのうち1割ほどを無作為に選ぶ、といった決め方です。抜き取る行は上から順ではなく、ばらばらに選ぶのが原則です。
比べるときは、一致したかどうかだけでなく、どの箱とどの箱の間でずれたかを記録します。「料金」と「契約」の間でずれが集中しているなら、その2つの定義が曖昧だという合図です。ずれの多い組み合わせが分かれば、指示文のどこを直せばよいかがはっきりします。
検算の結果は、集計表の横に残しておきます。何行を抜き取り、何行が一致し、どの箱でずれたかを書いておけば、報告を読む人が数字の確からしさを判断できます。AIに一致の度合いを数えさせることもできますが、その場合も、どの行とどの行を比べたかという根拠を書かせ、一致の判定そのものは人が行うようにします。
抜き取りの一致が低いままのときは、指示文を直し続けるのが正解とは限りません。箱の数を減らす、定義の重なりをなくす、といった選択肢の見直しが先に必要なこともあります。それでも一致が上がらない分類は、そもそもAIの下書きに向いていないと判断し、人が分類する作業に戻すという結論も持っておきます。
値として貼り付けるタイミング
値として貼り付けるのは、抜き取りの検算を終え、ずれた行を人が直した直後です。この時点の答えを「正」として固定し、関数を残さないことで、後から誰かが更新を押しても数字は動かなくなります。報告に使う前に固定する、という順番を逆にしないことが大切です。
固定するときは、原文の列はそのまま残し、分類の列だけを値に置き換えます。あわせて、生成した日付、使った指示文の文面、抜き取りの結果を、同じ表の別の場所に記録しておきます。翌月以降に指示文を直した場合でも、どの版の指示文で分類した行なのかが後から分かります。
原文を後から直す必要が出た場合は、固定した値を消す前に、どの行を作り直すかを決めます。作り直した行だけ、再び手順の3から5を当てて固定し直します。全行をまとめて更新し直すと、前に確かめた行まで答えが変わってしまい、過去の報告と合わなくなるので避けます。
固定した列は、列の見出しに生成した日付を入れておくと、表を開いた人がひと目で「いつの答えか」を読み取れます。さらに、表計算の範囲の保護の機能で、確定した列を編集できる人を集計の担当者に絞っておけば、うっかりの上書きも防げます。見出しの日付と保護の2つをそろえると、確定した値が確定したまま残ります。
実務例1:問い合わせとアンケートの自由記述を分類する
マーケの実務でいちばん使い道があるのが、問い合わせフォームやアンケートの自由記述の分類です。1行に1件の原文を置き、隣の列にAI関数で、先に決めた選択肢のどれに当たるかを書かせます。分類の結果は下書きとして扱い、抜き取りで確かめてから数えるという流れは、前の章の手順そのものです。
問い合わせの場合は、分類と一緒に「急ぎの対応が要りそうか」を書かせたくなりますが、これは人が見るべき判断です。AIには分類と要約の下書きまでを任せ、急ぎかどうかの判定は担当者が原文を読んで行います。感情の判定の機能も、否定的な声を拾い出す目印として使うにとどめます。
アンケートでは、1つの回答に複数の話題が含まれることがよくあります。1つの箱にしか入れられない決まりにすると、回答の中身が落ちてしまいます。複数の箱を許すか、主な話題1つに絞るかを先に決め、指示文に書いておきます。どちらにするかで件数の数え方が変わるので、報告にもその決まりを書き添えます。
分類の精度を上げたいときは、原文の列だけでなく、問い合わせの経路や製品の種類の列も参照する範囲に含めます。公式ヘルプも、必要なデータを表に置いて範囲として渡すことを勧めています。ただし、氏名や連絡先の列は分類に要らないので、範囲に含めない列を先に決めておくと、渡す情報を必要な分だけに抑えられます。
実務例2:商品名や会社名の表記ゆれをそろえる
展示会の名刺の一覧や、複数の経路から集めた問い合わせの記録では、同じ会社名や商品名が違う書き方で入っていることがあります。全角と半角、略称と正式な名前、株式会社の位置の違いなどです。AI関数に、正式な名前の一覧を範囲として渡し、どれに当たるかを書かせると、そろえる作業の下書きになります。
ここでも、正式な名前の一覧は人が用意します。一覧を渡さずに「正式な名前に直して」とだけ書くと、AIがそれらしい名前を作ってしまうことがあります。一覧に無いものは「該当なし」と答えるよう指示し、該当なしの行は人が一覧に加えるかどうかを判断します。
表記ゆれの整理は、結果が顧客の管理の仕組みに取り込まれることが多いので、間違いの影響が長く残ります。取り込む前に、AIがそろえた行のうち、元の書き方と大きく違うものを優先して人が見直します。取り込む前に値として固定し、元の書き方の列も一緒に残すと、後で誤りが見つかっても戻せます。
行数の多い一覧では、一度に生成できるのが選んだうちの最初の350セルまでという上限が効いてきます。数千行ある場合は、数百行ずつの塊に分け、塊ごとに生成と抜き取りを済ませてから次に進みます。長い期間の上限に当たると24時間待つことになるので、処理を数日に分ける前提で締め切りを組むと、作業が途中で止まっても慌てずに済みます。
実務例3:広告文やメールの件名の案を出す
分類や整理とは逆に、答えが揺れることを利点として使えるのが、広告文やメールの件名の案出しです。商品の特徴や訴求の軸を1行ごとに書き、隣の列にAI関数で案を作らせると、行ごとに違う切り口の案が並びます。更新するたびに別の案が出る性質は、案出しでは弱点になりません。
ただし、出てきた案をそのまま出稿や配信に使うことはしません。文字数の上限、自社の表現の決まり、根拠の無い効果を書いていないかを、人が1つずつ確かめます。グーグル検索を使った最新の情報を答えに入れられる機能もありますが、案の中に他社の商品名や確かめていない数字が混ざっていないかは、特に注意して見ます。
気に入った案が出たら、その時点で値として貼り付けて残します。そのままにしておくと、別の人が更新を押したときに消えてしまいます。採用した案と採用しなかった案を分けて残しておけば、次に案を出すときの指示文を直す材料にもなります。
指示文には、文字数の上限や使ってはいけない言い回しを書き込んでおきます。ただ、AIが指定した文字数を守るとは限りません。文字数は表計算の文字数を数える関数で隣の列に出し、上限を超えた案を人が外します。守らせたい条件ほど、AIの答えを信じずに通常の関数で確かめるのが、案出しでも変わらない原則です。
組み込む前の確認項目一覧
最後に、AI関数を集計表に組み込む前に確かめる項目を一覧にしておきます。1つでも答えが決まっていない項目があれば、組み込むのはその答えを決めてからにします。全部の項目に答えられる状態が、組み込んでよい線です。
| 確かめる項目 | 決めること | 決める人 |
|---|---|---|
| 使える条件 | 自社のプランと管理者の設定で使えるか、上限の中で処理できる行数か | 情シス・表の持ち主 |
| 任せる列 | 分類・要約・案出しの下書きの列だけか。数える列が混ざっていないか | 表の持ち主 |
| 分類の選択肢 | 箱の名前と定義、「その他」の行き先、複数の箱を許すか | 結果を使う責任者 |
| 原文の列 | 原文を消さず、書き換えずに残しているか | 表の持ち主 |
| 検算の方法 | 抜き取る割合と、ずれを記録する欄 | 表の持ち主 |
| 固定の時点 | いつ値として貼り付けるか、生成日と指示文の記録の場所 | 表の持ち主 |
| 共有の範囲 | 作業用の表と集計用の表を分けているか。編集できる人は誰か | 表の持ち主・情シス |
| 数える方法 | 件数や合計は通常の関数で数えているか | 集計の担当者 |
この一覧は、表の最初のシートに貼っておくと、後から表を引き継いだ人にも決まりが伝わります。
やりがちな失敗と、AIに判断させない範囲
AI関数を集計に使い始めたときに起きやすい失敗を挙げておきます。
- 選択肢を決めずに分類させ、行ごとに違う箱の名前が並んで数えられなくなる
- 分類の列を関数のまま残し、別の人の更新で先月の件数が変わってしまう
- 原文の列を分類の結果で上書きし、誤りを見つけても元に戻せない
- 原文を直したのに分類の列を作り直さず、古い原文への答えのまま数える
- AI関数に件数や合計まで書かせ、文字で返った数字をそのまま報告に使う
どの失敗も、AI関数を普通の関数と同じ部品として扱ったことから起きています。AIに任せるのは、分類と要約の下書き、案出し、抜き取りの比較の手伝いまでです。比較を手伝わせるときは、どの行とどの行を比べたかという根拠を必ず書かせます。
始め方としては、いきなり全社の集計表に入れず、1つの表と1つの用途で試すのが安全です。たとえば先月分の問い合わせの分類だけを対象にし、手順と確認項目が回るかを確かめます。回った手順を表の最初のシートに書き残してから、次の用途に広げていけば、担当者ごとにやり方がばらつくことも防げます。
分類の基準を決めること、境目の案件の行き先を決めること、集計の数字を確定させることは、人の仕事として残します。人が確認する範囲を先に決め、その範囲の外にAI関数を置かない。この線さえ守れば、AI関数は自由記述の山を短い時間で下書きに変えてくれる、頼りになる道具になります。
まとめ
グーグルのスプレッドシートのAI関数は、セルの中で文の生成、要約、分類、感情の判定をこなせますが、答えは文字だけで、更新を押すたびに作り直されるため、同じ入力でも答えが変わりえます。参照先を直しても自動では作り直されず、共有した表では編集できる人の誰でも更新できます。エクセルのコパイロット関数は2026年9月14日に提供を終え、再計算されるとエラーになります。集計表に組み込むなら、分類の選択肢を人が先に決め、原文の列を残し、少ない行で試してから全行を生成し、抜き取りで検算して値として固定し、数えるのは通常の関数で行います。分類の基準と集計の数字を確定させるのは人です。まずは手元の自由記述の表で、選択肢の一覧を1枚作るところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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