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購買の引き合い仕様書を、依頼部門とのAIとの対話で必要事項を埋めてから作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

購買依頼を出した人に、AIがその場で質問します。購買の区分を聞き、区分ごとに決まった項目を順に埋めさせ、引き合い仕様書の下書きまで作ります。購買担当がメールで何往復も確認する作業がなくなります。

サマリー
利用ツール
Make/Microsoft Copilot/Power Automate/Zapier
対象業界
医療/宿泊/建設/製造/飲食
対象部門
生産/購買
対象業務
書類作成/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
対話
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
30h/月
AI導入後
11h/月
想定削減
63%
年間削減
228h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 現場から購買依頼が届く(社内フォーム、メール、口頭が混在)
  2. 購買担当が内容を読む。多くは「一式」「現行同等」としか書かれていない
  3. 足りない項目を依頼者にメールで質問する
  4. 返信を待つ。返ってきた内容にもまだ抜けがあり、もう一度聞く
  5. 3と4を2回から3回繰り返す
  6. そろった内容で引き合い仕様書を作る
  7. 3社から5社へ送る
  8. 見積が返ってくる
導入後(After)
  1. 依頼者が Teams でエージェントに話しかける(「設備の見積を取りたい」)
  2. 自動購買の区分を聞く(設備/工事/サービス/その他)
  3. 自動区分ごとに用意した項目を、順に1つずつ聞く
  4. 自動答えが曖昧な項目は聞き直す。答えられない項目は「わからない」を選べる
  5. 自動聞き取りの最後に、集めた内容を要約して読み上げる
  6. 依頼者が要約を見て、違っていれば訂正する
  7. 自動聞き取り結果を構造化して SharePoint に保存する
  8. 自動引き合い仕様書の下書きを作る
  9. 購買担当が下書きを確認して直す
  10. 購買担当が各社へ送付する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 現場から購買依頼が届く(社内フォーム、メール、口頭が混在)
  2. 購買担当が内容を読む。多くは「一式」「現行同等」としか書かれていない
  3. 足りない項目を依頼者にメールで質問する
  4. 返信を待つ。返ってきた内容にもまだ抜けがあり、もう一度聞く
  5. 3と4を2回から3回繰り返す
  6. そろった内容で引き合い仕様書を作る
  7. 3社から5社へ送る
  8. 見積が返ってくる

問題は4つあります。

(a)「一式」と書かれた依頼が来る。 何をどこまで含むのかが書かれていません。依頼者にとっては自明でも、引き合いを受ける側は現場を見ていません。

(b)購買担当が聞くと往復になる。 メールで質問すると、依頼者は手が空いたときに返します。1往復で2日、3往復すると1週間です。その場で聞けば1回で終わる内容に、1週間かかっています。

(c)聞く項目が担当者ごとに違う。 誰が担当するかで聞く内容が変わります。据付の範囲を必ず聞く人と、聞き漏らす人がいます。 聞き漏らした項目は見積が返ってきてから発覚し、そこで再見積になります。

(d)仕様書の書き方も人によって違う。 章立ても書き方も担当者ごとで、過去の仕様書を流用できません。

4つとも、同じ原因から出ています。聞くべき項目が文書として決まっていないことです。

  1. 【人】 依頼者が Teams でエージェントに話しかける(「設備の見積を取りたい」)
  2. 【自動】 購買の区分を聞く(設備/工事/サービス/その他)
  3. 【自動】 区分ごとに用意した項目を、順に1つずつ聞く
  4. 【自動】 答えが曖昧な項目は聞き直す。答えられない項目は「わからない」を選べる
  5. 【自動】 聞き取りの最後に、集めた内容を要約して読み上げる
  6. 【人】 依頼者が要約を見て、違っていれば訂正する
  7. 【自動】 聞き取り結果を構造化して SharePoint に保存する
  8. 【自動】 引き合い仕様書の下書きを作る
  9. 【人】 購買担当が下書きを確認して直す
  10. 【人】 購買担当が各社へ送付する

自動化されるのは「聞く」「聞き直す」「まとめる」「文書にする」の4つです。残るのは「出てきた仕様書が引き合いとして成立するかの確認」です。

6番目の要約の確認を省かないでください。 依頼者は、その場では正しく答えたつもりでも、通して読むと言い間違いに気づきます。訂正できる分岐を置かないと、間違いがそのまま仕様書になります。

9番目も必ず人が行います。 引き合い仕様書は社外に出る文書だからです。

02今回想定するシステム構成

構成図
依頼者が Teams でエージェントに話しかける
   │
   ▼【トリガー】トリガーフレーズ
   │
   ▼
購買の区分を聞く(設備/工事/サービス/その他)
   │
   ▼
区分ごとに必要な項目を順に聞く
   │
   ├──▶ 未回答は聞き直す
   │
   ▼
聞き取り結果を変数に保存
   │
   ▼
引き合い仕様書の下書きを生成
   │
   ▼
【購買担当が確認して直す】
   │
   ▼
各社へ送付
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot Studio(質問ノードと条件で要件を聞き取る)
連携Power AutomateMake、Zapier

依頼者との窓口は Teams です。新しい画面を増やさないことが重要です。 新しいツールを覚えさせると、結局これまでどおりメールが来ます。聞き取り結果と仕様書の下書きは SharePoint に置きます。

この構成の土台は、Copilot Studio のトピックです。 トピックがエージェントの会話の進行を定義します。トピックは作成キャンバスで定義し、1つのトピックに1つ以上のノードが含まれ、ノードが会話のパスを決めます。 今回の聞き取りは、区分を聞くトピックと、区分ごとに項目を聞くトピックに分けて組みます。

使うノードは、出典に挙げられている種類の中から次を選びます。

ノードこの構成での使い道
質問依頼者に項目を聞く。応答は変数に入る
条件購買の区分によって、聞く項目を分ける
変数管理聞き取った値の設定、解析、クリア
メッセージ最後の要約を読み上げる
トピック管理区分ごとのトピックへリダイレクトする、購買担当へ転送する
ツールPower Automate のフローを呼び、SharePoint に保存する
アダプティブ カード応答ボタンや入力フィールドを含む対話型カードを表示する

トピックには入力および出力のパラメータを持たせられ、別のトピックへリダイレクトするときにトピックの間で情報を渡せます。 区分を聞くトピックで確定した区分を、項目を聞くトピックへ渡します。

応答するトピックの選び方は2つあります。クラシック オーケストレーションは、各トピックにトリガーフレーズを設定し、自然言語理解で最適なトピックを見つけます。生成オーケストレーションは、トピック・ツール・ナレッジの中から最適な組み合わせをエージェント自身が選び、各トピックには目的を説明する「説明」を書きます。生成オーケストレーションでは、会話のコンテキストからトピックの入力を自動で埋めたり、質問を生成したうえでユーザーから値を集めたりできます。

この構成はクラシック オーケストレーションから始めることを想定します。 聞く項目と順番を自分で決めきりたいためです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

依頼者がエージェントに話しかけたことを起点にします。 クラシック オーケストレーションでは、トピックにトリガーフレーズを設定します。

トリガーフレーズは5個から10個必要です。 AIに応答の理解を訓練させるために、この程度の数が求められます。句読点を含めてかまいませんが、長文ではなく短い語句が推奨されます。顧客の入力はトリガーフレーズと完全一致である必要はありません。

購買の引き合いなら、次のような語句を並べます。

見積を取りたい
購買依頼を出したい
設備を買いたい
工事を頼みたい
外注をお願いしたい
相見積が欲しい
RFQ
仕様書を作りたい

トリガーフレーズはテキストファイルでアップロード、置換、ダウンロードができます。 ファイルは最大3MBで、1行に1フレーズです。呼ばれなかった言い方の報告が来たら、ファイルを差し替えるだけで増やせます。

トピック名にピリオドを使わないでください。 ピリオドを含むトピック名のエージェントを含むソリューションは、エクスポートできません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼者の回答区分ごとの項目への回答対話(質問ノード)
購買の区分ごとの項目リスト区分名、聞く項目、順番、必須かどうかSharePoint リスト
依頼者の氏名・部門所属、連絡先Teams のサインイン情報
引き合い仕様書のひな形章立てと定型文SharePoint
過去の引き合い仕様書同じ区分の記載例SharePoint

項目リストがこの構成の質を決めます。 ここが空のまま作ると、これまで担当者の記憶にあったばらつきが、そのままエージェントのばらつきになります。

項目リストは大きくなくてかまいません。 1つの区分につき10項目から15項目、3区分で40項目ほどで足ります。直近の引き合い10件について、購買担当が依頼者に送ったメールを読み返し、実際に聞いた内容を並べるだけです。

区分聞く項目の例
設備用途/処理能力/電源/設置寸法/搬入経路/据付の範囲/試運転と立会/保証期間/既存設備との接続
工事施工場所/工期/施工できる時間帯/稼働を止められる日/養生の範囲/産業廃棄物の処理/完成後の検査
サービス契約期間/稼働の量と頻度/成果物の形と提出先/常駐の有無/再委託の可否/機密保持/中途解約の条件
Step3

データの取得方法を決める

項目リストは SharePoint リストで持ちます。 エージェントの中に項目をハードコードしません。理由は2つあります。

1つ目は、購買担当が自分で直せるようにするためです。 項目を1つ足すたびに Copilot Studio を開いて発行し直すのでは、運用に入ってから誰も直さなくなります。

2つ目は、区分の追加が行の追加で済むようにするためです。 対話の設計を変えずに、項目だけを足せます。

読み込みは、ツールノードから Power Automate のフローを呼んで行います。依頼者名と部門は聞きません。 サインイン情報から取れるからです。

過去の引き合い仕様書は、同じ区分の直近のものを SharePoint から取ります。ファイル名に「区分_案件名_YYYYMMDD」の形式を使えば機械的に引けます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 区分の確定 … 依頼者が「設備」と言っても、据付工事を伴うのか、機械を置くだけなのかで聞く項目が変わります。条件ノードで、最初に1つだけ確認の質問を挟みます
  2. 項目リストの読み込み … 確定した区分に対応する行だけを読み、その順番で聞きます。関係のない項目を聞かないことが、依頼者の離脱を防ぎます
  3. 既知の情報の充当 … 依頼者名、部門、日付はサインイン情報とシステム日付から埋め、質問しません
  4. 単位の正規化 … 「3メートル」「3000ミリ」を、数値と単位に分けて持ちます。仕様書には単位を付けて書き戻します
  5. 予算の分離 … 予算や希望価格は聞きますが、この時点で仕様書に載せない領域へ振り分けます
Step5

AIに処理させる

させることを、聞き取りの側と文書化の側に分けて考えます。

聞き取りの側(Copilot Studio のトピック):

処理内容
区分の判定最初の発言から、設備・工事・サービス・その他を割り出す
項目の提示区分に対応する項目を、決めた順に1つずつ聞く
十分性の判定「なるべく早く」のような答えを、そのまま通さず聞き直す
不明の受け付け答えられない項目に「わからない」を選ばせ、無理に埋めさせない
要約と訂正集めた内容を読み上げ、依頼者に訂正させる

質問ノードでは、「識別」で応答の解釈の仕方を選びます。 複数選択オプションを選ぶと、選択肢ごとの条件付きパスが自動で作られます。各選択肢はチャットのボタンとして表示されますが、ユーザーは回答を入力することもできます。

応答を保持する変数は、名前を変更してプロパティを構成できます。変数名は仕様書の項目名と対応させます。 ノード名の長さは500文字までで、トリガーノードと手順に進むノードは名前を変更できません。

文書化の側:

処理内容
文章化項目ごとの短い回答を、引き合いの文面として成立する文にする
未定の明示答えがない項目を「未定」とし、各社の提案に委ねる文言にする
表現の統一「一式」「現行同等」「適宜」を仕様書に残さない
対外・対内の分離予算など社内にとどめる情報を、仕様書の本文に出さない

「わからない」を無理に埋めさせないことが、この設計の要です。 書かれた仕様が間違っているほうが、書かれていないより厄介です。 各社は書かれたとおりに見積を作るからです。 わからない項目は「未定」として残し、引き合いの文面では「各社の提案による」と書きます。

Step6

指示内容を固定する

聞き取りの設計は、キャンバスで作った内容をコードエディターで YAML として確認できます。質問ノードと条件グループを組み合わせると、次のような構造になります。

kind: ConditionGroup
conditions:
  - id: equipment
    condition: =Topic.Category = "設備"
    actions:
      - kind: Question
        id: q_power
        variable: Topic.PowerSupply
        prompt: 電源は何が必要ですか。電圧と相数を教えてください。わからない場合は「わからない」を選んでください。
        entity: StringPrebuiltEntity
      - kind: Question
        id: q_size
        variable: Topic.Dimensions
        prompt: 設置できる最大寸法を、幅・奥行・高さの順に、単位を付けて教えてください。
        entity: StringPrebuiltEntity
      - kind: Question
        id: q_installation
        variable: Topic.InstallationScope
        prompt: 据付はどこまでを依頼しますか。
        entity:
          kind: ClosedListEntity
          items: [ 搬入のみ, 搬入と設置, 設置と電源工事, 試運転まで, わからない ]

分岐の設計はキャンバスで行ってください。 トピックは他のエージェントからコピーして貼り付けられますが、トピック全体をコードエディターで設計し、複雑なトピックを貼り付けることは完全にはサポートされていません。

文書化の側に与える指示は、次の形になります。

あなたは購買部門の担当者を支援する立場です。
依頼者との対話で集めた回答をもとに、引き合い仕様書(RFQ)の下書きを作ってください。

【厳守事項】
- 回答されていない項目を、推測で埋めないでください。
  記載がなければ不明とし、status を unknown にしてください。
  そのうえで open_questions に入れ、本文には「各社の提案による」と書いてください。
- internal_only に入っている項目(予算、希望価格、社内での比較の意図、
  想定している発注先)は、仕様書の本文に一切書かないでください。
  要約や前提条件の中にも書かないでください。
- 「一式」「現行同等」「適宜」「なるべく」という語を仕様書に使わないでください。
  依頼者がそう答えた場合は、聞き直した結果を書いてください。
  聞き直しても具体化しなかった場合は unknown にしてください。
- 数量、寸法、期間、能力は、必ず単位を付けて書いてください。
  単位が回答に含まれていない場合は、推測せず unknown にしてください。
- 会社名や型番を書いてよいのは、依頼者が「これと同等」と明示した場合だけです。
  その場合も「同等品可」と併記してください。
- 納期や価格の希望を、仕様書の中で条件として断定しないでください。
- 依頼者の発言のうち、社内の人物評や他部門への言及を含めないでください。

【購買の区分】
{category}

【聞き取りの結果】
{items}

【この区分のひな形】
{template}

「記載がなければ不明とする」という制約を、複数の書き方で重ねて入れています。 未回答、単位なし、曖昧な語の3つは、いずれも「それらしく埋められてしまう」箇所だからです。埋められた仕様書は、読んだだけでは不備が見えません。

Step7

出力形式を固定する

聞き取りの結果は、次の構造で受け取ります。

{
  "request_id": "",
  "requester": { "name": "", "department": "" },
  "category": "equipment | construction | service | other",
  "items": [
    {
      "key": "power_supply",
      "label": "電源",
      "value": "三相200ボルト",
      "unit": null,
      "status": "answered | unknown | skipped"
    }
  ],
  "open_questions": [
    { "key": "installation_scope", "note": "据付の範囲は各社の提案による" }
  ],
  "internal_only": [
    { "key": "budget", "value": "", "visibility": "purchasing_only" }
  ],
  "summary_confirmed": false,
  "draft_rfq_path": ""
}

internal_only を構造で分けることが、この設計の中心です。

予算や希望価格は、引き合いを出す前に相手を選ぶ判断に使う情報です。しかし、引き合い仕様書に書いてはいけません。 予算を知った各社は、その金額に寄せた見積を出します。相見積を取る意味がなくなります。

同じ対話で聞いた内容を、同じ場所に置いておくと、いつか混ざります。 指示するだけでは足りません。指示は守られないことがありますが、渡していない情報は書きようがありません。

status を3つに分けているのも同じ考え方です。unknown(依頼者が答えられなかった)と skipped(この案件には関係がないので飛ばした)を区別します。 この2つを一緒にすると、聞くべきだった項目が静かに消えます。

unitvalue から分けているのは、単位の付け忘れを機械で検出するためです。数量の項目で unit が null なら、仕様書を出す前に警告を出せます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teamsチャネルへの発行依頼者との対話の窓口
SharePoint リストPower Automate区分ごとの項目リストの参照
SharePointPower Automate聞き取り結果と仕様書の下書きの保存
メール手動送信各社への引き合いの送付

Copilot Studio 側からは、ツールノードで Power Automate のフローを呼びます。 ツールノードは Power Automate や Excel Online のフローを呼び、コネクタを使うためのノードです。

各社への送付は人が行います。自動送信にしません。 引き合いを出すことは、買う意思があるという表明です。誤った相手に、誤った内容で出てしまうと、断るところからやり直しになります。

エージェントを変更したらテストし、目的のチャネルに発行します。発行を忘れると、依頼者の画面は古い設計のままです。

Step9

人が確認する

全件、購買担当が確認します。 確認するのは、文章の読みやすさではなく次の4点です。

  1. internal_only の情報が本文に混ざっていないか … 予算、希望価格、想定発注先。ここは1件も見逃せません
  2. unknown の項目が「各社の提案による」になっているか … 空欄のまま出すと、各社が黙って自社の標準で埋めます
  3. 「一式」「現行同等」が残っていないか … 依頼者の言葉がそのまま通っていないか
  4. 区分の判定が正しいか … 設備として聞き取ったが、実際は工事の要素が大きい案件がある

確認を速くするための設計が要ります。

  • statusunknown の項目を、仕様書の上のほうにまとめて表示する
  • internal_only の項目を、仕様書の画面には出さず、別の画面で見せる
  • 依頼者の元の回答と、文章化された仕様を左右に並べる

確認にかかる時間の目標は、1件15分です。 それ以上かかるなら、聞き取りの項目が足りていないか、文章化の指示が緩すぎます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
依頼者が対話の途中で離れた変数の値を保存し、次に話しかけたときに続きから聞く。一定時間で未完了として購買担当に通知する
「わからない」が続く未回答が一定数を超えたら、トピック管理ノードで購買担当へ転送する
区分が判定できない「その他」に落とし、自由記述で受ける。判定できない案件が続くなら、区分の切り方を見直す
ボタンを押さず文章で答えた選択肢はボタンとして表示されるが、入力も受け付ける。 解釈できないときは聞き直す
曖昧な答えがそのまま通る「なるべく早く」「現行同等」を検出して聞き直す。2回聞いても具体化しなければ unknown にする
単位が付いていないunit が null の数量項目を検出し、仕様書を作る前に聞き直す
予算が仕様書に出たinternal_only を仕様書の生成に渡さない構成にする。指示だけに頼らない
同じ案件の再依頼が来た過去の聞き取り結果を初期値として示し、変更点だけを聞く
エージェントが呼ばれないトリガーフレーズを足す。 テキストファイルでまとめて置換できる
トピック名にピリオドを付けたソリューションをエクスポートできなくなる。 命名規則で禁止する
緊急の案件が来た対話を通さず購買担当へ転送する分岐を用意する。急ぐ人を待たせない
Step11

記録を残す

  • 対話の全文(誰が、いつ、何を聞かれて、どう答えたか)
  • 聞き取り結果の構造化データ(itemsstatus
  • internal_only の内容と、閲覧した人の記録
  • 生成した引き合い仕様書の下書きの版
  • 購買担当が直した箇所と、直した内容
  • 各社へ送付した仕様書の版と、送付先・送付日時

5つ目が、この構成を育てる材料になります。「据付の範囲がいつも書き足されている」なら、聞く項目が足りていません。 「未定と書かれた項目をいつも埋め直している」なら、聞き直しの条件が緩すぎます。直した箇所の傾向が、そのまま項目リストの改善点になります。

対話の全文を残すのは、あとで「聞いていなかった」「答えていなかった」が起きたときに、事実を確認するためです。

04実装レベルの3段階

最小構成:質問ノードを並べた1トピック。結果を対話画面に表示するだけ / 聞き取り
半自動化:上記+区分による分岐+項目リストの参照+SharePointへの保存+仕様書の下書き生成 / 聞き取りと下書き
本格構成:上記+過去案件からの流用+未完了の督促+送付先の候補提示 / 送付以外

最小構成だけでも、往復のメールは大きく減ります。 依頼者がその場で答えるためです。ただし仕様書は購買担当が手で書くことになるので、120分が80分程度にとどまります。 半自動化で44分になります。 下書きが出てくるためです。この段階までを目標にしてください。 本格構成の価値は、月15件の規模では大きくありません。 流用が効くのは似た案件が繰り返し発生する場合で、月15件のうち同じ区分は6件です。作り込む前に、半自動化を3か月回して実測してください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
15 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
44 分
現在  15件 × 120分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 15件 × 44分 ÷ 60 = 11 時間/月
月間削減時間
19h
削減率
63%
年間削減時間
228h
年間金額換算(時間単価4,000円)
91万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 設備・工事・専門サービスなど、カタログから選べない購買が月に十数件ある企業。依頼部門が仕様の書き方に慣れておらず、購買担当がメールで何度も確認してから引き合いに出している場合。相見積を取る方針があり、各社の見積の前提をそろえたい場合。Microsoft 365 を全社で使っており、依頼を Teams で受けられる場合。
向いていない
  1. 購買が消耗品の定番品ばかりで、型番を指定すれば済む場合。依頼部門が技術部門に限られており、仕様書を自分で書ける場合。相見積を取らず、特定の1社に発注することがあらかじめ決まっている場合。仕様の決定に外部の設計事務所や専門家の関与が必要で、社内の聞き取りだけでは要件が固まらない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 直近の引き合い3件について、購買担当が依頼者に送ったメールを読み返し、実際に聞いた項目を書き出す
  2. 1つの区分(まずは設備)について、聞く項目を10個に絞った項目リストを作る
  3. Copilot Studio でトピックを1つ作る。質問ノードを10個並べ、最後にメッセージノードで要約を返すだけにする
  4. 購買担当が依頼者の役をやり、通しで動かす
  5. そのあと、実際の依頼者1名に試してもらう

4番目で終わらせないでください。 購買担当が自分で動かすと、答えられて当然です。依頼者は答えられません。

判断の目安は次のとおりです。

聞き取りだけで仕様書が書ける割合判断
ほぼ書ける自動化する価値が大きい。区分を工事とサービスにも広げる
半分程度項目リストの粒度を直す。聞き方が難しすぎることが多い
ほとんど書けない購買の区分の切り方から見直す

「聞き方が難しすぎる」はよく起きます。 「電源は何が必要ですか」と聞かれても、現場の係長は答えられないことがあります。「機械に貼ってある銘板の写真を送ってください」のほうが速いこともあります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
予算が引き合い仕様書に載るinternal_only を構造で分け、仕様書の生成に渡さない。指示だけに頼らない
「一式」がそのまま仕様書になる曖昧な語を検出して聞き直す。2回聞いても具体化しなければ unknown にする
わからない項目を推測で埋める「記載がなければ不明とする」を指示に入れる。unknown は失敗ではない
依頼者が対話を最後まで続けない項目を10個から15個に絞る。関係のない項目を聞かない
項目リストが更新されないSharePoint リストに外出しし、購買担当が自分で直せるようにする
エージェントが呼ばれないトリガーフレーズを5個から10個設定する。完全一致でなくてよい
区分の判定を外す最初に確認の質問を1つ挟む。「その他」の受け皿を必ず用意する
聞き方が現場に通じない用語を現場の言葉に直す。銘板の写真で代替できる項目がある
複雑なトピックをコードで作ろうとするコードエディターでのトピック全体の設計は完全にはサポートされていない。 キャンバスで組む
トピック名にピリオドを使うソリューションをエクスポートできなくなる。 命名規則で禁止する
変数名が後から読めない変数の名前を項目名に合わせて変更する。トリガーノードと手順に進むノードは名前を変更できない
発行を忘れて古い設計が動く変更したらテストし、目的のチャネルに発行する手順を定める
購買担当が確認を省く確認画面で unknown と internal_only を先頭に出す。目標は1件15分

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 購買する設備や工事の内容、時期、予算、想定している発注先。未公表の設備投資計画が含まれます。

  1. 予算・希望価格の取り扱いinternal_only に分け、引き合い仕様書の生成に渡しません。閲覧範囲を購買部門と依頼部門に限り、閲覧の記録を残します
  2. 社外に出る文書であること … 引き合い仕様書は取引先に届きます。社内の比較の意図、他社の名前、現場の問題点をそこに書かない設計と運用が必要です
  3. アクセス権限 … 聞き取り結果を置く SharePoint のフォルダは、購買部門と依頼部門に限定します。対話の全文は仕様書より広い内容を含みます
  4. 外部AIへの入力可否 … 設備投資の内容は未公表情報です。入力を学習に使わないことが契約で保証される形で使ってください
  5. 発行チャネルの限定 … エージェントは社内の Teams にだけ発行します。外部に公開されるチャネルに出さないでください
  6. 自動実行してよい範囲 … 各社への送付は人が行います。引き合いを出すことは、買う意思の表明です。 自動送信にしないでください
  7. 記録の保全 … 誰の依頼で、どの版の仕様書を、どの会社に、いつ出したかを残します

誤りが起きた場合のリスクは2つあります。1つは予算が取引先に伝わることで、相見積の意味が失われます。もう1つは、推測で書かれた仕様のまま発注に進み、納入後に要求と違うものが届くことです。 前者は構造で防ぎ、後者は unknown を残す設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:実際に聞いている項目を書き出す

直近の引き合い10件について、購買担当が依頼者に送ったメールを読み返します。何を聞いていたかを、区分ごとに並べるだけです。 ここで「担当者によって聞く項目が違う」ことが見えます。

2週目:1区分の項目リストを作る

設備の区分について、聞く項目を10個から15個に絞ります。順番も決めます。 答えやすい項目を先に置き、考え込む項目を後ろに回すと、途中で離れる人が減ります。

3週目:トピックを1つ作って通す

Copilot Studio で、質問ノードを並べたトピックを1つ作ります。トリガーフレーズを5個から10個設定し、要約を返すところまで作ります。購買担当が自分で通したあと、実際の依頼者1名に試してもらってください。

4週目以降: Teams に発行し、設備の案件だけを対話で受けます。答えられなかった項目と、購買担当が後から聞き直した項目を記録してください。

2か月目: 工事とサービスの区分を足します。internal_only の分離と、仕様書の下書きの生成をつなぎます。この段階で、120分が何分になるかを実測します。

3か月目以降: 直した箇所の傾向を見て、項目リストと指示を更新します。引き合いを出すまでの日数も記録してください。 工数より、この日数のほうが現場に効きます。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-22/最終更新:2026-09-22
確認した内容情報源確認日
トピックがエージェントの会話の進行を定義し、作成キャンバスで定義すること。1つのトピックに1つ以上のノードが含まれ、ノードが会話パスを決めること。応答するトピックの選び方に生成オーケストレーションとクラシック オーケストレーションの2つがあり、後者はトリガーフレーズと自然言語理解で最適なトピックを見つけること。顧客の入力はトリガーフレーズと完全一致でなくてよいこと。トリガーフレーズは5個から10個必要で、短い語句が推奨され、テキストファイル(最大3MB、1行1フレーズ)でアップロード・置換・ダウンロードできること。ノードの種類にメッセージ、質問、アダプティブ カード、条件、変数管理、トピック管理、ツール、詳細があること。ツールノードから Power Automate や Excel Online のフローを呼べること。ノード名の長さが500文字までで、トリガーノードと手順に進むノードは名前を変更できないこと。トピックに入力および出力パラメータを持たせ、リダイレクト時にトピック間で情報を渡せること。生成オーケストレーションでは会話のコンテキストからトピック入力を自動で埋められること。質問ノードの「識別」で応答の解釈の仕方を選ぶと選択肢ごとの条件付きパスが自動で作られ、各選択肢はボタンとして表示されるがユーザーは回答を入力することもできること。応答を保持する変数の名前を変更できること。トピックをコードエディターで YAML として編集できるが、トピック全体をコードエディターで設計し複雑なトピックを貼り付けることは完全にはサポートされていないこと。トピック名にピリオドを使うとそのエージェントを含むソリューションをエクスポートできないこと。システムトピックとカスタムトピックの2種類があり、システムトピックは作成も削除もできないが無効化はできること。変更したらテストし、目的のチャネルに発行することMicrosoft Learn: トピックの作成と編集2026-09-22

区分ごとに聞くべき項目の中身は、購買の実務として一般に扱われる項目を例として挙げたものです。自社で必要な項目は、直近の引き合いで実際に聞いている内容から作ってください。 本記事は聞き取りと文書化を機械化する構成を示したものであり、調達の手続きや契約の適法性についての判断を代替するものではありません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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