社内文書をAIに読ませる前の5工程|読み取れない資料を直す

社内文書をAIに読ませる前の5工程|読み取れない資料を直す

「社内の資料を読ませているのに、返ってくる答えが資料に書いてあることと違います」「同じことを聞いても、聞くたびに別の版の数字が出てきます」——社内文書をAIに読ませ始めた組織が、3か月目あたりで持ち込む相談です。原因は道具の性能ではありません。2026年に日経クロステックが掲載した検証では、同じ資料を同じ30問で読ませても、具体的な数値を抜き出せた個数が33個から数個まで開いていました。読み取りの段階で、書いてあることの大半が落ちているということです。この記事では、非構造の社内文書を機械が読める形にするまでの5工程を、範囲の決め方から入れてはいけないものの落とし方まで順に整理します。


カメ先生カメ先生

社内の資料をAIに読ませてうまくいかないとき、多くの人はまず道具を替えようとするんだ。でも落ちているのはたいてい手前で、資料が機械に読める形になっていないほうが先なんだよ。


カメ子カメ子

読める形になっていない、というのは、文字が入っていないという意味ですか。


カメ先生カメ先生

それも1つだね。ただ厄介なのは、文字は入っているのに読む順や対応関係のほうが失われる資料でね。段組みが横につながったり、表が数字の列だけになったりする。


カメ子カメ子

見た目では気づけない壊れ方があるのですね。どういう資料が、その壊れ方をしやすいのでしょう。


この記事のポイント
  • 5工程は、読ませる範囲を決める・型に分ける・型ごとに直す・大きさと時点を付ける・入れてはいけないものを落とす
  • 読み取れない資料は5つの型に収まる。型が分かれば、直し方は読み取り処理・作り直し・要約で代替の3つに振り分けられる
  • AIに任せるのは型の振り分けと読み取り結果の突き合わせまで。入れてよいかの最終判断は人が持つ

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目次

読めないのは道具の性能ではなく、資料の形

なぜ資料の形が結果を決めるのか。先の検証を掲載した記事は、その理由を形式の違いで説明しています。Webやオフィス文書は、見出しや段落といった構造を示す印を持った形で記録されています。一方でPDFは、文字コード、座標位置、色指定、フォント情報といった描画命令の並びです。紙に印刷したときにどう見えるかは記録されていますが、どれが見出しでどれが本文かは記録されていません

この違いが、読ませたときの落ち方を決めます。人は見た目から構造を復元できますが、機械は座標から推測するしかありません。推測に失敗すると、2段組みの左右が1行ずつ横につながって意味の通らない文になり、欄外の注記が本文のどこに掛かるか分からなくなります。同じ記事は、PDFがWebやオフィス文書に比べて数十倍のデータ量になり、数ページでも処理の範囲を超えることがあるとも指摘しています。

冒頭で引いた検証は、厚生労働省が2023年から2025年に公開したPDFのうち約1,300ページを題材に、30問で構造の保持、具体情報の保持、参照先情報の抽出を確かめたものです。なお、この検証は文書処理ソフトの提供元自身が公開したものなので、道具の順位ではなく、同じ資料でも拾える量がここまで開くという事実だけを見ます。どの道具を選んでも、資料の形が崩れていれば拾える量は落ちます。

全部入れると、答えの質は上がらずに下がる

最初に多いのが、共有フォルダを丸ごと対象にするやり方です。量が多いほど答えが良くなるという感覚は自然ですが、実際には逆に働きます。社内の共有フォルダには、下書き、差し替え前の版、個人の作業用ファイル、期限切れの規程が同じ場所に並んでいます。量が増えるほど、古い版が新しい版と同じ確からしさで混ざることになります。

もう1つ、量を入れると読み取りの失敗が見えなくなります。10件なら1件ずつ確かめられますが、1万件では確かめられません。確かめられないまま、壊れた読み取り結果が全体に混ざります。返ってきた答えが間違っていても、どの資料のどこで壊れたのかを追えないので、直すこともできません。量は、直せなさとして跳ね返ってきます。

だから最初の工程は、増やすことではなく減らすことになります。読ませる範囲を絞るのは節約のためではなく、答えの質のためです。以降の5工程は、範囲を決める、型に分ける、型ごとに直す、大きさと時点を付ける、入れてはいけないものを落とす、の順で進みます。1つずつ見ていきます。

工程1:読ませる範囲を、業務の問いから逆算して決める

範囲の決め方は、資料の側から選ばないことです。資料から選ぶと、整っている資料や量の多い資料が先に入り、実際に聞かれることとずれます。決めるのは業務の問いのほうからです。この仕組みに何を聞きたいのかを20個書き出し、その20問に答えるために必要な資料だけを対象にします。

20問は、想像で書かず、実際に届いた質問から取ります。問い合わせ窓口の履歴、社内のやり取りで繰り返し聞かれている内容、新しく配属された人が最初の1か月で聞いてくること。この3か所から取ると、使われない資料を最初から外せます。書き出した20問は、後の工程で読み取りが壊れていないかを確かめる材料としても使えます。

範囲を決めたら、対象の件数を数えます。数えると、たいてい想定より少なくなります。100件から300件に収まることが多く、その規模なら1件ずつ確かめられます。最初の範囲は、人が全部を目で見られる量に収めます。増やすのは、この範囲で答えが安定してからです。広げる順番も、問いの多い業務から1つずつと決めておきます。

工程1の続き:入れない資料を、先に決めて書き出す

範囲を決めるときは、入れるものと同時に入れないものを書き出します。入れないものを書いておかないと、後から誰かが良かれと思って足し、いつのまにか共有フォルダ全体に戻ります。書き出すのは3種類です。作業途中の下書き、有効期限の切れた規程や価格表、個人が自分用に作ったまとめ。

この3種類は、どれも見た目では現役の資料と区別が付きません。だからファイルの置き場か、ファイル名の頭に印を付けて区別します。区別を人の記憶に任せると、半年で必ず崩れます。置き場で分ける場合は、読ませる対象のフォルダを1つだけ作り、そこに複製を置く形にすると、元の運用を変えずに済みます。

もう1つ書き出すのが、判断が付かない資料です。入れてよいか迷うものを迷ったまま入れると、後で外すのが難しくなります。迷ったものは入れず、保留の一覧に書いて次の見直しまで置きます。保留の一覧は月に1度だけ見ます。見る日を決めておかないと、保留が実質的な却下になって、必要な資料まで落ちます。

工程2:読み取れない資料は、5つの型に収まる

範囲が決まったら、対象を型に分けます。実務で扱う限り、機械が読めない資料は5つの型に収まります。画像だけの資料、段組みの資料、表が画像になっている資料、注記が欄外にある資料、表紙と本体が別ファイルの資料。型が分かれば直し方が決まるので、この分類が5工程の中心になります。

読み取れない型見た目の特徴何が失われるか直し方の振り分け
画像だけの資料紙をスキャンしたもの。文字を選んで写せない文字がそもそも取れない画像から文字を読み取る処理に回す
段組みの資料2段組み・3段組みの案内や報告書読む順。左右の段が横につながって意味が壊れる段の区切りを判定して分ける。戻らなければ作り直す
表が画像になっている資料表の部分だけが図として貼られている行と列の対応。数字の並びだけが残る表の領域を判定し、記号で構造を示す書き方に直す
注記が欄外にある資料米印や脚注で、条件が本文の外に書かれている本文と条件の対応。条件抜きの数字だけが残る条件を本文の直後に差し込んで作り直す
表紙と本体が別ファイル表紙・目次・別紙が分かれて保存されているいつの、誰の、何の資料かという手がかり1件にまとめるか、同じ見出しを全ファイルに付ける

型に分ける作業は、AIに任せてかまいません。文字が取れるかどうか、段組みかどうか、表の領域があるかどうかは、機械が判定できます。ただし判定の結果には必ず根拠を書かせます。この資料を画像だけの型にした理由は、文字が1文字も取れなかったから、という形です。根拠がないと、振り分けを間違えたときに気づけません。次の3つの章で、型ごとの中身を見ていきます。

型1と型2:画像だけの資料と、段組みの資料

画像だけの資料は、いちばん分かりやすい型です。紙をスキャンしたもの、写真で撮った掲示、印刷して押印し直したもの。文字を選んで写そうとしても何も選べないので、その場で判別できます。この型は、画像から文字を読み取る処理に回すほかありません。読み取り自体は自動で進みますが、誤りが混ざる前提で扱います。

段組みの資料は、見た目では壊れていることに気づけません。文字は選べますし、開けば普通に読めます。壊れるのは機械が読んだときで、左の段の1行目と右の段の1行目が1つの文としてつながります。数十ページぶん続くので、出てきた答えは文としては自然なのに、内容がどの段のことか分からなくなります。案内文や報告書に多い型です。

段組みは、段の区切りを判定する処理で分けられます。分けられないのは、段の幅が途中で変わる資料や、段をまたいで図が置かれている資料です。段を判定して分けたあと、必ず先頭と末尾の3行を人が読みます。順番が入れ替わっていれば、この6行で分かります。戻らない資料は、1段組みの文章に作り直す側へ振り分けます。

型3:表が画像になっている資料

3つ目の型がいちばん損をします。表の中身は、行の見出しと列の見出しの交点に意味があります。ところが表が図として貼られている場合、読み取っても数字の並びだけが残り、どの行のどの列かという対応が消えます。数字だけが残った状態で答えを作らせると、もっともらしい数字を間違った項目に当てた答えが返ってきます。

この型の直し方には裏付けがあります。岡山大学の蒲原悠登、竹内孔一による研究は、言語処理学会の第31回年次大会(2025年3月)の発表論文集に収められており、74ページの事務手続きのPDFを対象に、資料の切り出し方を3種類で比べています。64文字ごとに切る方法、文の区切りで切る方法、そしてレイアウトを判定して表と本文を分ける方法です。

結果は、答えと正解の一致度を測る指標で、本文についての問いが0.1901から0.2213、表についての問いが0.1831から0.3001でした。本文側の改善は小幅なのに、表側だけが大きく上がっています。表の領域を判定して記号で構造を示す書き方に直すと、行と列の対応が保たれるためです。ただし論文自身が、対象は定型の事務手続き文書であり、レイアウトが大きく崩れた資料では別途の検証が必要と述べています。手元の資料で1度は確かめてください。

型4と型5:注記が欄外にある資料と、表紙と本体が分かれた資料

4つ目は、条件が欄外に逃げている型です。表の下に米印で「税抜」「2025年4月時点」「新規契約のみ」と書かれている、あの形です。読み取ると、本文の数字と欄外の条件が別々の断片になります。断片が離れると、条件の付かない数字だけが答えとして返り、読んだ人は条件がないものとして受け取ります。

直し方は、条件を本文の直後に差し込むことです。作り直しになりますが、差し込む箇所は限られています。実務では、価格表、条件付きの手当、有効期間のある規程の3種類に集中します。この3種類だけを先に直すと、危ない誤答の大半が消えます。全件を直そうとすると終わらないので、種類で絞ります。

5つ目は、表紙と本体が別ファイルになっている型です。表紙に日付、作成部署、版番号が書かれていて、本体には書かれていない。本体だけを読ませると、いつの誰の資料かが分からなくなります。同じ見出しをすべてのファイルの先頭に付けるだけで、この型は解けます。まとめられる資料は1件にまとめ、まとめられないものは見出しを揃えます。

工程3:型ごとの直し方を、3つに振り分ける

型が分かれば、直し方は3つに収まります。読み取り処理に回すもの、作り直すもの、要約で代替するもの。加えて、入れないという選択肢を4つ目に置きます。振り分けを先に決めておくと、資料が増えたときに迷いません。振り分けの基準は型で決まるので、担当者が変わっても結果が変わりません。

STEP1
画像から文字を読み取る処理に回すもの
紙をスキャンした資料、図として貼られた表。読み取りの誤りが残る前提で扱い、後の工程で元の資料と突き合わせます。表は領域を判定して、記号で構造を示す書き方に直します。
STEP2
作り直すもの
段組み、欄外の注記、図で説明している資料。読み取りでは対応関係が戻らないので、1段組みの文章に書き直します。手間はかかりますが、対象は価格表・条件付きの制度・規程に集中します。
STEP3
要約で代替するもの
図やグラフが主で文字の少ない資料。人が3行の説明を書いて添えます。イラストや掲示物は文字情報が乏しく、機械だけでは中身が取れないためです。
STEP4
入れないもの
下書き、有効期限の切れたもの、個人を特定できる情報を含むもの、取引先から預かった資料で取り決めの確認が済んでいないもの。工程5で改めて確かめます。

振り分けで迷ったときの決め方は1つです。読み取ってから人が直すほうが早いか、最初から書き直すほうが早いかを、1件だけ実際にやってみて測ります。感覚で決めると、たいてい読み取り処理を過大に評価します。1件やってみれば、同じ型の残りも同じ判断で進められます。

工程3の落とし穴:読み取った結果を、そのまま信じない

読み取り処理に回したものは、結果が正しいかどうかを確かめる工程が要ります。誤りは全体に均等に散らばるのではなく、特定の場所に集中します。手書きの注記、印影が重なった文字、細い数字の列、そして表の罫線の近く。この4か所を先に見ると、短い時間で誤りの大半が見つかります。

突き合わせの作業自体は、AIに任せてかまいません。読み取った文章と元の画像を並べて、食い違う箇所を挙げさせる。ただし挙げさせるところまでで、直させません。直させると、読み取れなかった箇所を文脈から埋めた文章が返ってきて、元の資料に無い記述が混ざります。埋められた記述は自然な日本語なので、後から見分けが付きません。

人が確かめる範囲は、先に決めておきます。金額と日付が入っている資料は全件、それ以外は型ごとに5件を抜き取る、という形です。確かめる件数を先に決めておくと、資料が増えても確認の量は増えません。全件を見ると決めると続かず、決めないと誰も見ません。なお、顧客データの名寄せや表記ゆれの整え方は、別の記事の領分です。ここで扱うのは文書の形だけです。

工程4:1件の大きさを決める

読める形になったら、次は1件の大きさを決めます。長い資料を丸ごと1件として扱うと、聞かれたことと関係のない部分まで一緒に渡ることになり、答えがぼやけます。逆に細かく切りすぎると、前提の書かれた段落と数字の書かれた段落が離れ、条件の抜けた答えが返ります。

目安は、意味のまとまりで切ることです。文字数で機械的に切ると、文や表が途中で分断されます。先ほどの岡山大学の研究でも、64文字ごとに切る方法より、文の区切りで切る方法、さらにレイアウトを判定して分ける方法の順に結果が良くなっていました。切る位置を決めるのは文字数ではなく、資料の構造のほうです

切ったあとに必ず付けるものが2つあります。1つは、その断片がどの資料のどの見出しの下にあるかという情報。もう1つは、表の場合に行と列の見出しです。見出しを断片ごとに繰り返して持たせると、断片が単独で意味を持ちます。なお、切った断片をどう探すかという仕組みの設計は、別の記事の領分です。ここでは渡す前の資料の側だけを決めます。

工程4の続き:いつ時点の資料かを付ける

大きさと同じくらい効くのが、時点です。社内文書は改訂されます。改訂されても古い版が消えないので、同じ内容について複数の版が同時に存在します。時点が付いていないと、機械はどちらが新しいかを判断できず、聞くたびに違う版の数字が返ってきます。冒頭の相談の多くは、この形です。

付けるのは3つです。その資料の日付、版の番号、そして有効期限。有効期限は書かれていないことが多いので、書かれていない場合は「次の改訂まで」と明示します。空欄のまま置くと、期限がないのか分からないのか区別が付きません。分からないものは、分からないと書くほうが後から扱えます。

古い版を消すかどうかは、資料の種類で決めます。規程や価格表は、古い版を対象から外します。過去の経緯が必要な議事録や報告書は残しますが、残す場合は、これは過去の記録であるという印を付けてから残します。印がないまま残すと、現行の規程と同じ重みで扱われます。印の付け方は、ファイル名か見出しの先頭に1語入れるだけで足ります。

工程5:入れてはいけないものを落とす

最後の工程が、入れてはいけないものを落とす作業です。落とす対象は3つあります。個人を特定できる情報、取引先から預かった資料、そして公表前の情報。この3つは、読めるかどうかとは別の軸で判断します。読める形になっていても、入れてよいとは限りません。

個人を特定できる情報については、公表された指針があります。個人情報保護委員会は令和5年(2023年)6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公表し、事業者に対して2点を挙げました。1つは、個人情報を含む指示文を入力する場合、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること。もう1つは、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含む指示文を入力し、それが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があるため、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認することです。

  • 個人を特定できる情報:利用目的の範囲内かを確かめる。同意なしに入れた情報が応答以外の目的で扱われる場合は、法の規定に触れる可能性がある(個人情報保護委員会・2023年6月2日公表)
  • 取引先から預かった資料:取り決めの範囲を確かめてから判断する。確認が済んでいないものは対象に入れない
  • 公表前の情報:発表日まで対象から外し、日付が来たら入れるという運用にする。落とすのではなく、入れる日を決める
  • 落とした資料は一覧に残す:何を落としたかが分からないと、答えに抜けがあることにも気づけない

落とす作業を機械に任せると、見た目が個人情報らしい文字列だけが消えて、文脈から特定できる記述は残ります。役職と部署と日付がそろえば、名前がなくても個人は特定できます。入れてよいかの最終判断は人が持ちます。なお、預かった資料をどこまで入れてよいかという線引きそのものは、別の記事で扱う領分です。ここでは、5工程の最後に必ずこの確認を置くという手順だけを決めます。

AIに任せてよい工程と、人が確かめる範囲

5工程のうち、AIに任せてよいのは2つです。型の振り分けと、読み取り結果の突き合わせ。どちらも判定の対象がはっきりしていて、結果を機械的に確かめられます。型の振り分けは、文字が取れるか、段組みか、表の領域があるかという事実の判定なので、判断ではありません。

任せてはいけないのが3つあります。読ませる範囲に何を入れるかの判断、古い版を残すか外すかの判断、そして入れてはいけないものの最終確認です。どれも、資料の中身ではなく業務の事情から決まる判断です。資料だけを見て決められないものを機械に渡すと、もっともらしい理由が付いた誤った振り分けが返ってきます。AIに判断させず、判断に使う材料だけを作らせるという線を、工程表の先頭に書いておきます。

運用に落とすときの決めごとは2つです。1つ目は、振り分けと突き合わせの結果に、必ず根拠を書かせること。この資料を作り直す側にした理由は段組みが3段だから、という形です。2つ目は、人が確かめる範囲を先に決めることです。金額と日付を含む資料は全件、型ごとの抜き取りは5件、落とした資料の一覧は全件を読む。この3段を書いておけば、資料が増えても確認の量は線形には増えません。

共有フォルダを丸ごと読ませると、何が起きるか

5工程を飛ばしたときに起きることは、だいたい決まっています。共有フォルダをそのまま対象にして、答えが合わないたびに道具を替える。替えても直らないので、使われなくなる。次に挙げるのは、この形から派生して繰り返し起きる失敗です。どれも資料の側を触らずに済ませようとしたときに出ます。

  • 社内の共有フォルダを丸ごと読ませる:古い版と新しい版が同じ確からしさで混ざり、聞くたびに違う数字が返る
  • 答えが合わないので、読ませる資料をさらに足す:確かめられない量になり、どの資料のどこで壊れたのかを追えなくなる
  • 読み取った文章を機械に直させる:読み取れなかった箇所を文脈から埋めた記述が混ざり、元の資料に無い内容が自然な文で残る
  • 時点を付けずに全部を残す:過去の議事録が現行の規程と同じ重みで扱われ、廃止された制度が答えとして返る
  • 個人情報らしい文字列だけを機械に消させる:役職と部署と日付が残り、名前がなくても個人が特定できる状態で入ってしまう

直し方は、足すのをやめて、範囲を100件から300件に絞り直すことです。絞ってから5工程を通すと、答えが合わない原因がどの工程にあるかを追えるようになります。追えるようになってから広げれば、広げた先でも同じ手順が使えます。先に広げてしまうと、原因を追う作業だけで数か月が消えます。

よくある質問

紙の資料は、全部を読み取り処理に回すべきですか

回す前に、その資料が最初に書き出した20問に関係するかを確かめます。関係しない紙は、読み取っても使われません。関係する紙のうち、手書きの注記が多いものと、印影が文字に重なっているものは、読み取りの誤りが集中するので、作り直す側に回したほうが早く終わります。紙の枚数ではなく、問いとの関係で決めます。関係する紙が数十枚しかない、という結果になることも珍しくありません。

読み取りの精度は、どこまで求めればよいですか

求める水準は、資料の種類で変えます。金額、日付、固有の番号が入っている資料は、誤りが1件でも答えに直結するので、人が全件を確かめます。説明文が中心の資料は、多少の誤字があっても意味は通るので、抜き取りで足ります。精度を一律に上げようとすると、どこにも手が回らなくなります。先に種類で分けてから、水準を別々に決めてください。

版が複数ある資料は、古いほうを消すべきですか

消すかどうかは種類で分けます。規程、価格表、手順書のように現行が1つに定まるものは、古い版を対象から外します。議事録、報告書、提案の記録のように経緯そのものに意味があるものは残しますが、過去の記録であるという印を付けます。印を付けずに残すと、現行のものと同じ重みで扱われます。元のファイルを消す必要はなく、読ませる対象から外すだけで足ります。

5工程は、誰がやるのが現実的ですか

工程1と工程5は、業務を分かっている人が決めます。どの問いに答えたいか、何を入れてはいけないかは、資料を見ても分からないためです。工程2から工程4は、手順が決まれば誰でも進められます。実務では、業務側の担当が1人と、作業を進める担当が1人から2人という組み方が多い形です。最初の100件を一緒に通してから、2回目以降を作業側だけで回すと引き継ぎが要りません

まとめ

社内文書をAIに読ませてうまくいかないとき、直す場所は道具ではなく資料の側です。通す工程は5つ、つまり読ませる範囲を業務の問いから逆算して決めること、読み取れない資料を5つの型に分けること、型ごとに読み取り処理・作り直し・要約で代替の3つに振り分けること、1件の大きさと時点を付けること、そして入れてはいけないものを落とすことです。最初の範囲は、人が全部を目で見られる100件から300件に収めます。型の振り分けと読み取り結果の突き合わせはAIに任せてよいものの、根拠を必ず書かせ、範囲に何を入れるか、古い版を残すか、入れてよいかの最終判断は人が持ちます。人が確かめる範囲は、金額と日付を含む資料は全件、型ごとの抜き取りは5件、と先に決めておきます。まず今週やることは1つです。実際に届いた質問から20問を書き出し、その20問に答えるために本当に要る資料が何件あるかを数えてください。数えた件数が300件を超えるなら、範囲の絞り込みからやり直すことになります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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