部署ごとにAIの使い方が違う原因と対策|全社で揃える順番

「営業は自分たちで契約した道具を使っていて、管理部門はまったく別の道具を使っています。どちらも止める理由が見つかりません」「全社で揃えようという話が半年前から出ているのですが、どこから手を付けるのかを誰も言えないままです」——部署ごとにやり方が割れている会社から、そろって届く2つの声です。ここでよくある受け取り方が、割れているのは統率が効いていないからだ、というものです。実際はそうではありません。割れているのは、それぞれの部署が自分の業務に合う形へ寄せていった結果で、揃えること自体が目的になった瞬間にこの取り組みは止まります。この記事では、揃えるものと部署ごとでよいものを先に分け、線から道具へという順番で揃えていく手順を整理します。
カメ先生部署ごとにAIの使い方が違うと聞くと、まとまりのない会社の話に聞こえるけれど、中を見ると逆のことが起きているんだ。それぞれの部署が、自分たちの業務に合う形へ寄せていった結果として割れている。
カメ子割れていること自体は、直さなくてよいということですか。
カメ先生全部を直す必要はないんだ。困るのは、揃っていないと事故になる部分まで割れているとき。たとえば入れてよい情報の線ね。ここが部署ごとに違うと、会社全体の線は、いちばん緩い部署の線と同じ高さになってしまう。
カメ子揃えないと危ない部分と、割れたままでよい部分があるのですね。その2つは、どうやって見分けるのでしょう。
- 揃えるのは4つだけ。入れてよい情報の線、記録の残し方、費用の持ち方、外に出す前の確認
- 順番は線、記録、費用と確認、最後に道具。道具から入ると反発だけが残って線が決まらない
- どの部署のやり方を残すかはAIに決めさせない。人が決めて、決めた理由を書き残す
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割れているのは、統率の失敗ではない
東京商工リサーチが2026年3月31日から4月7日にかけて6,327社に聞いた調査では、生成AIを組織的に活用していると答えた大企業が、全社での活用と部門単位での活用を合わせて59.1%にのぼりました。前回の43.3%から大きく増えています。ここで見落とされやすいのが、この数字に部門単位の活用が含まれていることです。全社で一斉に入れた会社より、部門ごとに入れた会社を通ってきた割合のほうが大きい以上、やり方が部署ごとに違うのは自然な結果です。
同じ調査で、活用の方針を決めていないと答えた企業は37.5%と最多でしたが、前回の50.9%からは大きく下がりました。方針を決める会社が増えた分だけ、すでに動いている部署のやり方と、後から降りてきた全社の方針がぶつかる場面が増えています。割れているという苦情の多くは、遅れて全社の方針が追いついてきたことの裏返しだと考えたほうが実態に合います。
だから最初に置き直すのは、揃っていないこと自体を問題として扱わない、という前提です。先に決めるのは、揃えないと事故になるのはどこか、という線引きのほう。ここを飛ばして全部を揃えにいくと、うまく回っている部署の手を止めることになり、協力が得られません。次の章では、揃っていないことで実際に何が起きるのかを見ます。
困るのは、いちばん緩い部署の線が会社の線になるから
部署ごとに入れてよい情報の線が違うとき、会社として外から見える線は、いちばん厳しい部署の線ではありません。いちばん緩い部署の線です。顧客から預かった資料を外部の道具に入れてよいかの判断が、ある部署では禁止、別の部署では担当者の裁量、という状態なら、事故が起きるのは裁量の側です。そして事故が起きたときに問われるのは、会社としてどう決めていたか、の一点です。
記録の残し方も同じ形で効いてきます。何をどこに残すかが部署ごとに違うと、あとから経緯を確かめる場面で突き合わせができません。片方は問いと答えを丸ごと残していて、片方は使ったという事実しか残していないと、2つを並べても時系列が作れず、説明の材料になりません。記録は、あとで並べられる形でそろっていて初めて記録になります。
費用も同様です。同じ用途の道具を部署ごとに別々に契約していると、利用の人数が重なっていることに誰も気づけません。実務でよく出てくるのが、複数の部署が同じ道具を重ねて契約していた、退職した人の分をそのまま払い続けていた、という形です。揃えないと損が出るのは、線と記録と費用と、外に出す前の確認の4つに集中しています。逆に言えば、それ以外は揃っていなくても会社は困りません。
割れが表に出るのは、いつも平時ではない場面
部署ごとに割れていること自体は、日常業務の中ではほとんど問題になりません。表に出るのは決まって平時ではない場面です。代表的なものが4つあります。取引先や監査の側から利用状況を聞かれたとき、人が異動したとき、担当者が抜けて引き継いだとき、そして事故らしきものが起きて経緯をさかのぼるときです。
異動は特に効きます。前の部署では当たり前に入れていた情報が、移った先では禁止されている。逆もあります。本人には悪意がないので、移った先の線を知らないまま、前の部署のやり方を持ち込みます。これは教育の問題ではありません。線が部署ごとに違うのに、異動のときに線を引き継ぐ手続きがないことの問題です。
取引先からの質問は、答えられないこと自体が損になります。自社のAI利用について問われたときに、部署ごとに違いますとしか答えられない状態は、管理できていないと読まれます。ここで必要なのは全部を揃えた実績ではなく、全社で揃えている項目と、部署に委ねている項目を、線で分けて示せることです。分けて示せれば、委ねている側も管理の一部として説明が立ちます。
原因1:業務の型が違えば、使い方も分かれる
同じ会社の中でも、部署によって扱う情報も、求められる速さも、間違えたときの損の大きさも違います。営業は相手のある文章を数多く作り、速さが効きます。管理部門は定型の文書を正確に作り、間違いが後工程に波及します。開発や技術の部署は、社外に出せない設計の情報を扱います。同じ道具を同じ手順で使わせても、合う部署と合わない部署が出るのは当然です。
この違いは、使う頻度にもそのまま出ます。日に何度も使う部署では、指示文が定型になり、自分たちの言葉で書かれた手順が自然に育ちます。週に数回しか使わない部署では、毎回ゼロから書くので手順が育ちません。使い方の差は、能力の差ではなく回数の差から生まれます。回数の少ない部署に手順を配っても、使う場面がないので定着しません。
ここから導かれる分け方は単純です。業務の型に依存する部分は揃えない、依存しない部分だけ揃える。使う場面、指示文の書き方、道具の組み合わせは前者です。入れてよい情報の線、記録の残し方、費用の持ち方、外に出す前の確認は後者です。揃えるかどうかは、業務の型で変わるかどうかで決めます。この基準なら、部署と交渉せずに仕分けができます。
原因2:入れた時期が違うと、その時の常識で線が引かれている
2023年に先行して入れた部署と、2025年以降に入れた部署では、そもそも前提が違います。先行した部署は、入力した内容が学習に使われるかどうかが曖昧だった時期に線を引いているので、社外の情報は一切入れない、といった厳しい線になっていることが多くあります。あとから入れた部署は、法人向けの契約で学習に使われない設定が当たり前になった後の常識で線を引いています。
総務省の令和7年版 情報通信白書では、生成AIを積極的に活用しているか活用を検討中と答えた企業の合計が49.7%となり、前年度の42.7%から増えたことが示されています。1年で1割近く動く領域なので、1年の時間差はそのまま前提の差になります。同じ白書では、企業が挙げる懸念として、実用的な活用方法がわからない、社内のセキュリティリスク、導入と運用のコストが並んでいます。どの懸念が強かった時期に線を引いたかで、線の形も変わります。
だから古い線を持っている部署を責めても何も動きません。必要なのは、線の見直しを個別の交渉ではなく全社の行事として置くことです。線には必ず引いた日付を書き、日付が古いものから見直すという運用にすると、誰かの判断を否定する形にならずに更新できます。日付のない線は、いつの常識で書かれたのか誰にも分からないまま残り続けます。
原因3:推進役に使える時間の差が、そのまま差になる
部署ごとの進み方の違いは、推進する人の熱意や能力の差として語られがちですが、実際に効いているのは使える時間の差です。多くの会社で、AI活用の推進は専任ではなく、本来の業務を持った人の兼務で回っています。兼務の比率が週に1日ある部署と、月に数時間しか取れない部署では、1年後にたどり着く場所が違って当たり前です。
時間の差は、成果物の差となって目に見えます。時間のある部署は、自分たちの業務に合わせた手順書を作り、指示文の型を貯め、うまくいかなかった例まで書き残します。時間のない部署は、道具を配って終わります。後から見ると前者が優等生に、後者が怠慢に見えますが、投入された時間の差を見れば結果は説明できます。
手当ては、全社の側が時間のかかる部分を引き取ることです。線の原案、記録の様式、確認の手順といった、どの部署でも同じになる部分は全社で1つ作って配ります。各部署がやるのは、それを自分たちの業務の言葉に訳す作業だけにします。部署に残す作業を、翻訳と例示の2つに絞ると、月に数時間しか取れない部署でも回せます。
原因4:どの部署も、それぞれの理由で正しい
4つ目の原因がいちばん厄介です。割れているやり方のそれぞれに、その部署にとっては正しい理由があります。顧客情報を一切入れない部署は、扱っている情報の性質からそうしています。下書きをすべてAIに作らせる部署は、作る量が多く、確認の工程を別に持っているからそうしています。どちらかが間違っているわけではありません。
正しい者同士がぶつかると、議論は長引くだけで結論が出ません。全社の会議で「どちらのやり方に揃えるか」を議題にした瞬間に、この状態に入ります。片方が折れるまで終わらないので、結局その日は結論を出さずに持ち帰り、次の会議で同じ議論を最初からやり直すことになります。
抜け方は議題の立て方を変えることです。どちらのやり方に揃えるか、ではなく、この項目は揃える対象か、を先に決めます。揃える対象でなければ両方残します。揃える対象なら、どちらかを選ぶのではなく、両方が守れる線を新しく引き直します。揃える対象かどうかを先に決めると、正しさの勝負をしないで済みます。次の章から、その仕分けの具体を見ていきます。
仕分けの前に、部署ごとの違いを1枚に書き出す
仕分けに入る前に、1回だけやっておく作業があります。いまどう割れているのかを、1枚に書き出すことです。この作業を飛ばして仕分けの議論を始めると、想像で話すことになり、実際には割れていない項目に時間を使います。逆に書き出してみると、割れていると思われていた項目の半分は、表現が違うだけで中身は同じだった、ということも珍しくありません。
集めるのは4つです。部署が作った手順書や連絡の文面、使っている道具の契約の一覧、記録として何を残しているかの様式、そして外に出す前の確認を誰がやっているかの手順。どれも新しく作ってもらう必要はなく、すでにあるものを出してもらうだけにします。新しく書いてくださいと頼んだ時点で、この作業は2か月遅れます。
並べ方は、部署を行に、項目を列に置いた表にします。列は、入れてよい情報の線、記録の残し方、費用の持ち方、外に出す前の確認、使っている道具の5つで足ります。書かれていない項目は空欄のままにしておきます。空欄は、決めていないという情報であって、揃っているという意味ではありません。空欄の多い部署は、揃える議論の相手ではなく、線を配る相手だと分かります。
書き出した表は、そのまま仕分けの議論の材料になります。全部の部署で同じことが書かれている項目は、揃える議論そのものが要りません。3通り以上に割れている項目だけが議題です。この1枚があるだけで、最初の会議の議題は半分以下に減ります。作る手間は、部署が10あっても2日ほどで収まります。
揃えるものと、部署ごとでよいものを先に分ける
仕分けの基準は原因1で書いたとおり、業務の型で変わるかどうかです。この基準を当てると、揃える側に4項目、部署ごとでよい側に3項目が残ります。次の表は、7つの項目について、どちらに置くか、揃えなかった場合に何が起きるか、誰が決めるかを並べたものです。全社の会議で最初に配るのはこの表1枚で足ります。
| 項目 | 揃えるか、部署ごとか | 揃えなかったときに起きること | 決める人 |
|---|---|---|---|
| 入れてよい情報の線 | 全社で揃える | 会社の線が、いちばん緩い部署の線と同じ高さになる | 法務と情報システムが原案、経営が承認 |
| 記録の残し方 | 全社で揃える(残す項目の下限だけ) | 経緯をさかのぼる場面で、部署ごとに形が違って並べられない | 情報システム |
| 費用の持ち方 | 全社で揃える(契約の名義と支払いの通し方) | 同じ道具を部署ごとに重ねて契約し、抜けた人の分まで払い続ける | 経理と情報システム |
| 外に出す前の確認 | 全社で揃える(確認する範囲の下限だけ) | 顧客に出す資料の確認の深さが部署ごとに変わる | 全社で下限、各部署が上乗せ |
| 使う場面 | 部署ごとでよい | 揃えても業務の型が違うので使われない | 各部署 |
| 指示文の書き方 | 部署ごとでよい | 揃えると現場で育った工夫が止まる | 各部署 |
| 道具の組み合わせ | 部署ごとでよい(全社の線の中で) | 一本化すると、合わない部署が個人契約に戻って見えなくなる | 各部署が全社の候補から選ぶ |
表の読み方で1つだけ注意があります。揃える側の4項目も、揃えるのは下限だけです。記録も確認も、部署が自分の判断で上乗せするのは自由にします。上限まで揃えにいくと、厳しい側の部署の基準が全社に降りてきて、他の部署の業務が止まります。揃えるのは下限、上乗せは部署の自由、という2階建てにするのが、合意を得る唯一の形です。
揃える順番は、線、記録、費用と確認、最後に道具
仕分けができたら、次に決めるのは順番です。順番を間違えると、仕分けが正しくても進みません。結論から言うと、線を先に、道具を最後にします。線は使っている道具に関係なく成り立つ話なので、どの部署も自分の道具を守ったまま議論に参加できるからです。道具から入ると、全員が自分の道具を守る話になり、線の議論にたどり着きません。
第1段から第3段までは、道具の話を一切しないで進められます。実際、第3段までを2か月で終えた会社では、第4段に入る頃には各部署が自分から候補を絞ってきていました。線と記録と費用が決まると、それを満たさない道具が自動的に落ちるからです。順番が効くのはこの点で、道具の選定を全社が説得する作業から、部署が自分で判断する作業に変えられます。
第1段:入れてよい情報の線は、部署の言葉で書き直す
入れてよい情報の線は、全社で1枚にすると決めました。ただし1枚のまま配ると、ほぼ確実に使われません。全社の言葉で書かれた線は抽象的になるからです。顧客情報を入れない、という1行を渡されても、現場では見積書が顧客情報にあたるのか、公開されている会社名だけならよいのか、が判断できません。
だから配ったあとに、各部署で自分たちが日常的に扱う書類の名前に訳す作業を必ず入れます。営業なら見積書、提案書、議事録、名刺の情報。管理部門なら給与の一覧、契約書、稟議の書類。技術の部署なら設計の資料、試験の結果。部署が扱う書類を10個ほど並べて、1つずつ可否と条件を書くだけで、線は使える形になります。この作業は半日で終わります。
線の中身は、4つの領域を押さえておけば抜けません。公開されている企業向けの生成AI指針の解説でも、適用の範囲、入れてよい情報、出てきたものの扱い、体制と相談先という4つが共通して挙げられています。最初から完全な線を目指さず、判断に迷った例を持ち寄って追記していく形にします。追記の窓口を1か所決めておくと、部署ごとの独自解釈が生まれる前に吸収できます。
第2段:記録の残し方を揃えると、あとの議論が速くなる
記録を揃える目的は、監視ではありません。あとから経緯を並べられるようにすることです。目的がここにあると分かると、部署の抵抗はかなり下がります。逆に、目的を説明しないまま記録の様式だけ配ると、使用状況を見張られていると受け取られ、記録そのものが形骸化します。
残す項目は3つで足ります。いつ、どの業務で使ったか。何を入れたか(実物ではなく、情報の種類でよい)。出てきたものを誰が確認したか。この3つがそろっていれば、事故らしきものが起きたときに、どこまでさかのぼるかを決められます。入れた内容そのものを全部残すと、記録の側が新しい機密の置き場になりますので、種類だけにとどめるのが実務的です。
様式は全社で1つ作って配りますが、置き場所は部署ごとでかまいません。集約しようとすると、部署の業務の仕組みに手を入れる話になって止まります。様式だけ揃えて置き場所は問わない、という形にすると、記録は2か月ほどで回り始めます。集約が必要になるのは、実際に経緯を並べる場面だけで、そのときは様式が同じなら手作業でも並べられます。
第3段:費用の持ち方と、外に出す前の確認を1本にする
費用で揃えるのは、金額ではなく契約の名義と支払いの通し方です。部署ごとに好きな道具を使ってよいとしても、契約の名義が個人や部署の立替になっていると、誰がどれだけ使っているかが会社から見えません。見えない支払いは、担当者が抜けた瞬間に止まるか、逆に誰も気づかないまま払い続けるかのどちらかになります。
実務の棚卸しでよく出てくるのが3つの形です。同じ道具を複数の部署が別々に契約していた。異動や退職で使わなくなった人の分をそのまま払い続けていた。個人のカードで契約していて、会社の記録に一切残っていなかった。3つとも、使ってよいかどうかの話ではなく、支払いの経路が1本になっていないことから起きます。だから揃えるのは経路だけで足ります。
外に出す前の確認は、下限を1行で書きます。たとえば、社外に出す文章はAIが作った部分を人が読み、事実と固有名詞を確かめてから出す、という程度です。ここで大事なのは深さではなく、どの範囲までが確認の対象かを先に決めておくことです。範囲が決まっていないと、確認したという言葉の意味が部署ごとに変わり、事故のときに説明が立ちません。上乗せは各部署の判断に任せます。
道具を1つに絞ると、かえって見えなくなる
最後の第4段で、多くの会社が同じ失敗をします。全社で揃えるという話が、道具を1つに絞るという話に変わってしまう形です。決裁の場では分かりやすく、費用の交渉にも有利なので通りやすいのですが、現場では逆の結果になります。次に挙げるのは、道具から入った現場で実際に起きる形です。
- 全社統一のために道具を1つに絞る:合わない部署が個人契約に戻り、いったん見えていた利用がまた見えなくなる
- いちばん厳しい部署の線を、そのまま全社の線にする:他の部署の業務が回らなくなり、線を守らない運用のほうが定着する
- 揃える対象を一覧にしないまま会議を始める:毎回そろえる範囲が広がり、半年たっても何ひとつ決まらない
- 道具の切り替えと線の変更を同じ日に出す:反発が道具に集まり、いちばん大事な線の議論が流れる
- 決めた線を配っただけで終える:部署の業務の言葉に訳されていないので、現場では可否を判断できない
直し方は、候補を数個に絞るところで止めることです。全社で3つほどの候補を決め、線と記録と費用の条件を満たすことだけ確かめて、どれを使うかは部署に選ばせます。選んだ責任が部署に残るので、合わないときに黙って別の道具に戻る動機が消えます。なお、許可していない利用をどう見つけるかという手順は、別の記事の領分です。ここで扱っているのは、すでに許可した利用が割れている状態の畳み方だけです。
揃えた後に割れ直さないための3つの決めごと
揃えたものは放っておくと必ず割れ直します。半年で元に戻る会社と、2年たっても揃ったままの会社の違いは、決めた直後に3つの決めごとを置いたかどうかでほぼ説明がつきます。見直しの周期、線の持ち主、例外の通し方の3つです。どれも1行で書けるものですが、書いていないと消えます。
- 見直しの周期:半年に1度、線と記録の項目だけを見直す。道具の入れ替えとは別の会議で扱い、同じ日に議題を重ねない
- 線の持ち主:項目ごとに持ち主の部署を1つ決める。持ち主のない項目は、次の見直しまでにほぼ確実に形だけになる
- 例外の通し方:例外を認める人と、認めた記録の残し方を先に決める。通す道がないと、通さずに使う部署が必ず出る
3つのうち、実務でいちばん効くのが例外の通し方です。線を引くと、必ずその線では回らない業務が出てきます。そのときに例外を申請する道がないと、現場は線を守らないという選択をします。例外が年に数件出ている状態は、線が機能している証拠です。例外が1件も出ていない線は、守られているのではなく、誰も見ていない可能性のほうが高いと考えたほうが実態に合います。
見直しの会議で扱う議題も、先に決めておきます。前回からの例外の一覧、線に書かれた日付が1年以上前の項目、新しく入った道具の3つです。議題を固定すると、会議は30分で終わります。議題を決めていない見直しは、道具の不満を言う場になって毎回何も決まりません。
どの部署のやり方を残すかは、AIに決めさせない
仕分けや順番の作業にAIを使うこと自体は有効です。向いているのは3つあります。部署ごとの手順書を読み比べて違いを一覧にすること、線の原案を業務の言葉に訳した例を複数出すこと、過去の例外申請を型ごとにまとめること。どれも材料を作る作業で、判断ではありません。特に手順書の読み比べは、部署が10を超えると人手では追いつかないので効きます。
反対に任せてはいけないのが、どの部署のやり方を残すかという判断そのものです。この判断には、その部署が何を守るためにそうしているか、という背景が効きます。背景は手順書に書かれていないので、読み比べからは出てきません。AIに判断させず、判断に使う材料だけを作らせます。決めるのは人で、決めた理由を1行書き残します。書き残しがないと、半年後の見直しで同じ議論をやり直すことになります。
運用に落とすときの決めごとは2つです。1つ目は、違いを一覧にさせるときに、どの手順書のどの記述からそう読んだのかという根拠を必ず書かせること。根拠のない一覧は、合っていても採用しません。2つ目は、人が確認する範囲を先に決めることです。揃える項目の決定は全件を人が見る、訳した例は各部署の担当者が1人読む、例外のまとめは結果だけ見る。この3段を先に書いておくと、部署が増えても確認の手間が同じようには増えません。
まとめ
部署ごとにAIの使い方が割れているのは、統率の失敗ではなく、それぞれが業務に合わせて最適化した結果です。だから最初にやるのは、揃えないと事故になる項目を先に決める仕分けです。揃えるのは4つ、つまり入れてよい情報の線、記録の残し方、費用の持ち方、外に出す前の確認。使う場面と指示文の書き方と道具の組み合わせは、部署ごとでかまいません。揃える順番は、線、記録、費用と確認、最後に道具の4段です。道具から入ると、全員が自分の道具を守る話になり、いちばん大事な線が決まらないまま終わります。揃えたあとは、見直しの周期と線の持ち主と例外の通し方を1行ずつ書いておきます。AIには手順書の読み比べと訳文の案出しまでを任せ、どの部署のやり方を残すかは人が決めて理由を残します。まず今週やることは1つです。部署ごとの手順書や連絡を集めて、入れてよい情報の線が何通りに分かれているかを数えてください。3通り以上に割れているなら、道具の話に入る前に、線の1枚を作るところから始めることになります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
