社員の私的な投稿に会社は口を出せる?|守るべき線引きの作り方

社員の私的な投稿に会社は口を出せる?|守るべき線引きの作り方

社員の個人のアカウントが、業務に関わる話題で反応を集めている。止めるべきか、放っておくべきか、それとも何かを頼むべきか。判断の材料がないまま、担当者が一人で迷う場面があります。会社の発信ではないから関係ないとも言えず、無関係とも言い切れない。ここでは、どこまで求められて、どこからが求められないのかを整理します。


カメ先生カメ先生

社員の個人のアカウントについて、どうしたらいいか迷っているそうだね。


カメ子カメ子

はい。会社の話題を投稿していて、内容は良いのですが、勤務先を書いていないんです。


カメ先生カメ先生

書かせるかどうかも含めて、会社として頼める範囲には理屈があるんだよ。


カメ子カメ子

頼める範囲があるんですね。どこで線を引けばいいんでしょう。


この記事のポイント
  • 会社が方針を定めて守ってもらうこと自体は認められる。根拠は就業上の規律にある
  • ただし、投稿の内容そのものを全て管理できるわけではない。求められる範囲には限界がある
  • 決めるべきは禁止事項ではなく、判断に迷ったときの相談先と初動の手順になる

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目次

担当者が一人で迷う場面

この問題は、たいてい具体的な出来事から始まります。誰かの投稿を見た人が、担当者に相談します。

相談の内容はさまざまです。業務の話を書いている、取引先が特定できる、会社の方針に反する意見を述べている。

どれも「私的な投稿」の範囲にあります。会社が発信したものではありません。

だからといって無関係とも言い切れません。勤務先が分かる状態なら、会社の見え方に影響します。

担当者が迷うのは、判断の基準がないからです。基準がないため、その場の感覚で決めることになります。

感覚で決めると、扱いがばらつきます。ある人には注意し、別の人には何も言わない状態が生まれます。

ばらつきは不満を生みます。なぜ自分だけ言われるのかという受け取り方になります

さらに、注意した根拠を説明できないと、話がこじれます。感覚は根拠になりません。

必要なのは、あらかじめ決めておくことです。出来事が起きてから考えると間に合いません。

相談が来ない会社のほうが危ない

相談が来ること自体は、悪い状態ではありません。むしろ健全な兆しです。

相談が来ない会社では、判断が各自の中で完結しています。会社は何も知りません。

知らないまま問題が起きると、初動が遅れます。外から指摘されて初めて気づく形になります。

相談が来ないのは、相談先が示されていないか、相談すると叱られると思われているかのどちらかです。

どちらも、方針の作り方で変えられます。相談しやすい状態を作ることが目的の1つになります

以下では、まず求められる範囲の考え方を整理し、方針の作り方まで順に見ていきます。

方針を定めること自体は認められる

結論から言えば、会社が私的な利用について方針を定め、守ってもらうこと自体は認められています。

根拠は、就業上の規律にあります。会社の名誉や信用を損なう行為の禁止という考え方です。

この考え方は多くの会社の規則に置かれています。私的な行為であっても、対象から外れるわけではありません。

方針として定めたものに反した場合、規律に反する行為として扱われ得ます。

したがって、「私的な投稿だから何も言えない」という理解は正確ではありません。

ただし、これは何でも決められるという意味でもありません。範囲には理屈が要ります。

次の章で、求められる範囲と、求められない範囲の考え方を分けて見ます。

この2つを混ぜると、方針そのものが受け入れられなくなります。

受け入れられない方針は、あってもないのと同じです。守られる範囲に絞ることが要点です

求められる範囲の考え方

求められる範囲は、業務との結び付きの強さで整理できます。強いものから並べます。

最も強いのは、業務上知った情報です。取引の条件、未発表の内容、顧客の情報が該当します。

これらは、そもそも外に出してはいけないものです。私的な投稿かどうかは関係ありません。

次に強いのは、会社が特定される状態での発言です。勤務先を明示している場合が該当します。

この状態では、個人の意見が会社の見解と受け取られることがあります。ここに会社の関心があります。

3番目は、同僚や取引先への言及です。他人が関わるため、当人の問題では済まなくなります。

これらは、業務との結び付きが説明できます。方針として求めても筋が通ります。

一方で、業務と関係のない趣味や意見の表明は別です。ここは求められる範囲の外になります。

この線を引かずに全部を対象にすると、方針への納得が得られません。

説明できるかどうかで試す

範囲に入るかどうかを判断する簡単な試し方があります。理由を説明できるかどうかです。

「なぜ会社がそれを言うのか」に1文で答えられるなら、範囲に入っています。

答えられないなら、それは会社の関心ではなく個人の好みです。方針に入れません。

たとえば取引先の名前を書かないでほしい理由は、1文で説明できます。相手の情報だからです。

一方、政治や宗教に関する意見を書かないでほしい理由は、業務との結び付きで説明しにくくなります。

この試し方を使うと、方針に入れるべき項目が自然に絞られます。説明できる範囲だけを書きます

求められない範囲もある

求められない範囲も、はっきりさせておきます。ここを曖昧にすると信頼を損ねます。

投稿の内容そのものを、業務と無関係な部分まで管理することはできません。

個人としての意見や表現は、業務との結び付きがない限り会社の関心の外にあります

アカウントの存在を届け出させる、投稿の前に確認を取らせる、といった扱いも慎重に考えます。

これらは負担が大きく、実際には守られません。守られない決まりは、あるだけで害になります。

また、業務時間外の行動を広く制限しようとすると、方針の正当性そのものが疑われます。

求められるのは、業務との結び付きが説明できる範囲だけです。ここを超えないよう気を付けます。

この線を明示しておくと、方針の受け取り方が変わります。会社が何を心配しているかが伝わります。

心配していることが分かれば、社員の側も自分で判断できるようになります

処分ができるかは別の話

方針を定められることと、違反したときに処分できることは、別の論点です。混ぜないよう注意します。

方針に反した場合、規律に反する行為として扱われ得ます。しかし処分の重さは別に判断されます。

投稿が問題になったからといって、ただちに重い処分が下せるわけではありません

処分に当たるかどうか、その重さが釣り合っているかどうかを、それぞれ検討する必要があります。

この点を理解していないと、対応を誤ります。過剰な対応は、別の問題を生みます。

実務として重要なのは、処分の話にする前の段階です。気づいた時点での声のかけ方です。

多くの場合、本人は問題を認識していません。指摘されて初めて気づきます。

この段階で伝えれば、直してもらえます。処分の話になるのは、繰り返された場合に限られます。

方針の目的は罰することではなく、迷わないようにすることです。ここを見失わないようにします。

なお、実際に処分を検討する場面では、社内の担当部門や外部の専門家に相談します。

方針に入れる項目

方針に何を書くかを整理します。項目は多くする必要がありません。

項目書く内容理由
業務上知った情報外部に投稿しないことを明記する最も損害が大きい
勤務先の表示書く場合の扱いを決めておく会社の見解と混同される
個人の意見であること所属と無関係である旨の添え方混同を避ける手段になる
同僚や取引先の扱い他人が写る内容の扱いを決める本人以外の問題になる
困ったときの相談先誰に相談すればよいかを書く判断を一人で抱えさせない
対象の範囲業務と関わる部分に限る旨を書く方針への納得を得る

この6項目で足ります。最後の2つを書かない方針が多く、そこで信頼を失います

相談先が書かれていないと、迷った人は投稿するか黙るかの二択になります。

対象の範囲が書かれていないと、全部を見られていると受け取られます。反発を生みます。

禁止事項だけを並べた方針は、読まれません。読まれても、守る気持ちが生まれません。

何のために決めているのかを、先頭に1段落で書いておくと受け取り方が変わります。

先頭に目的を1段落で書く

先頭の1段落は、方針の中で最も読まれる部分です。ここに何を書くかで印象が決まります。

書くのは、会社が何を心配しているかです。禁止したいことではなく、守りたいものを書きます

取引先の情報を守りたい、社員が思わぬ形で責められないようにしたい、といった内容です。

社員を疑っている文面にすると、そこで読むのをやめられます。反発だけが残ります。

また、発信そのものを歓迎する立場なら、それも明記します。禁止だけの文書ではないと伝わります。

この1段落は、方針を作る側の姿勢が最も表れる部分です。時間をかけて書く価値があります。

所属と無関係だと添える書き方

個人の意見であることを添える方法は、実務でよく使われます。ここを具体的に見ます。

プロフィールに「投稿は個人の見解です」と書く形が一般的です。短い1文で足ります

ただし、この1文があれば何を書いてもよいということにはなりません。

業務上知った情報は、この1文があっても書けません。混同を避ける効果とは別の話です。

効果があるのは、意見の表明が会社の見解と受け取られる場面です。ここで役に立ちます。

勤務先を書くかどうかも決めておきます。書かせるか、書かせないか、任せるかの3択です。

業界での発信を期待している場合は、書いてもらうほうが効果があります。信頼につながります。

一方、発信の内容を管理できない前提であれば、書かない選択もあります。

どちらでも構いませんが、会社としての考えを示しておくことが大切です

示さないと、各自が別の判断をします。結果として社内でばらつきます。

会社の情報の線引き

最も損害が大きいのが、業務上知った情報の流出です。ここは具体的に書きます。

抽象的に「機密情報」と書いても、何が該当するか分かりません。例を並べます

  • 取引先の名前と、取引の内容や条件
  • まだ発表していない製品や機能、価格
  • 社内の数字。売上、件数、稼働の状況
  • 採用の選考に関わる情報
  • 社内の会議で出た議論の内容
  • オフィスや工場の内部が写る画像

最後の項目は見落とされます。机の上の資料や画面が写り込むことがあります。

背景に何が写っているかは、投稿する側も気づきにくい部分です。

この一覧を示すだけで、判断できる場面が大きく増えます。禁止の文言より効果があります。

なお、一覧は自社の事情に合わせて作ります。他社の例をそのまま使うと外れます。

自社で何が外に出ると困るのかを、関係部門に聞いて作ります。

写り込みを防ぐ具体的な工夫

背景の写り込みは、注意を促すだけでは減りません。工夫として仕組みにします。

最も効果があるのは、撮る場所を決めることです。写ってよい場所を先に指定します

会議室の特定の壁の前、受付の看板の前など、写る範囲が固定される場所を選びます。

これを決めておけば、投稿する側が背景を確かめる負担がなくなります。

画面の写り込みも同じです。画面を含む撮影は、あらかじめ用意した見本の画面だけを使います。

実際の顧客の情報が入った画面を使わないことを、決まりとして書いておきます。

業務としての発信との境目

社員に発信を期待する取り組みを進めている場合、境目の整理が特に重要になります。

業務として頼む発信と、個人が自発的に行う発信は、扱いが違います。

業務として頼む場合、内容の確認や指示ができます。業務なので当然です。

一方、自発的な発信に同じ扱いを持ち込むと、業務との区別が付かなくなります。

区別が付かないと、勤務時間の扱いや評価の扱いにも影響します。ここは慎重に分けます。

実務としては、業務として頼むものだけを明示する形が扱いやすくなります。

それ以外は自発的な発信として、方針の範囲で任せます。指示はしません。

この整理をしておくと、後から揉めません。頼んだのか任せたのかが記録として残ります。

頼む場合は、依頼の内容と範囲を文面で残します。口頭だけにしないことが要点です。

方針を作る手順

方針の作り方を手順にします。関係する部門が複数あるため、順序が重要になります。

STEP1
何が起きると困るかを集める

営業、開発、人事、法務に聞きます。困る事象を集めることから始めます。抽象的な議論を先にしません。

STEP2
求められる範囲を確認する

集めた事象のうち、業務との結び付きが説明できるものを選びます。ここで範囲が決まります。

STEP3
6つの項目に落とす

前章の項目に沿って、1枚の分量で書きます。長くすると読まれません。

STEP4
相談先と初動の手順を決める

困ったときに誰に相談するか、問題が起きたときに誰が動くかを決めます。ここが実務の中心です。

STEP5
周知して、記録を残す

説明の場を設け、読んだことを記録します。入社時の手続きにも組み込みます。

この順で進めると、2週間程度で形になります。1つ目の工程を飛ばさないことが要点です。

困る事象を集めずに作ると、他社の例の写しになります。自社では守られません。

また、4つ目の工程が抜けた方針が多くあります。禁止事項だけが並ぶ状態です。

相談先がなければ、迷った人は誰にも聞けません。方針が判断の助けになりません。

周知の仕方で差が出る

作った方針が守られるかは、周知の仕方で決まります。配って終わりにはしません。

最も効果があるのは、実例を使った説明です。抽象的な禁止事項は記憶に残りません

他社で起きた出来事を材料に、どこが問題だったかを一緒に考える形が有効です。

自社で起きた小さな出来事があれば、それを使うほうが伝わります。個人が特定されない形にします。

説明の時間は30分で足ります。長くすると、内容が薄まります。

入社時の手続きに組み込むことも重要です。後から全員に伝えるのは難しくなります。

年に一度、思い出す機会を設けます。1年経つと、内容は忘れられます。

思い出す機会は、短い連絡で構いません。方針の場所と相談先を再掲するだけでも効果があります。

周知の記録は残します。伝えたことの証跡が、後の対応の土台になります

起きたときの初動

実際に問題が起きたときの初動を決めておきます。ここが決まっていないと混乱します。

最初にすることは、事実の確認です。投稿の内容と、いつ誰が書いたかを記録します。

画面の記録を残します。後から消される可能性があるためです。

次に、影響の範囲を見ます。どれだけ広がっているか、取引先が関わるかを確かめます。

そのうえで、本人に事情を聞きます。最初から問い詰める形にはしません。

多くの場合、本人は問題を認識していません。認識させることが最初の目的になります。

削除を求めるかどうかは、内容によります。すでに広がっている場合、削除が逆効果になることもあります。

会社としての説明が必要かどうかも、この段階で判断します。判断する人を決めておきます。

判断する人が決まっていないと、誰も動けません。ここが最も重要な準備になります。

なお、判断に迷う場面では、社内の担当部門や外部の専門家に相談します。

広がり方を見て動きを決める

初動の判断で最も重要なのが、広がり方の把握です。ここで対応の重さが変わります。

見るのは3点です。反応の数、他のアカウントによる転載の有無、報道や大きな媒体に取り上げられているか。

反応の数が小さいうちは、静かに直すほうが被害が小さくなります

会社として説明を出すと、それ自体が知られる契機になります。逆効果になる場合があります。

一方、転載が始まっている段階では、削除だけでは止まりません。説明の準備に入ります。

この判断は数時間の中で行うことになります。だからこそ、判断する人を先に決めておきます。

やりがちな失敗

この領域で起きやすい失敗を挙げます。どれも、範囲か手順の設計を誤ったものです。

  • 私的な投稿だから関係ないと考える:業務上知った情報の流出は私的でも問題になる
  • 全部を対象にする方針を作る:納得が得られず、読まれない決まりになる
  • 禁止事項だけを並べる:迷ったときの相談先がなく、判断の助けにならない
  • 他社の例をそのまま写す:自社で何が困るのかが反映されず、実務に合わない
  • 問題が起きてから対応を考える:判断する人が決まっておらず、初動が遅れる
  • 作ったまま周知しない:存在を知らない人が多数を占め、機能しない

最後の2つが最も多い失敗です。作ることが目的になってしまう状態です。

方針は、日々の判断を助けるためにあります。使われなければ意味がありません。

使われる方針の特徴は短いことです。1枚で読み切れるものが守られます。

定着させるための決めごと

最後に、定着のための決めごとを整理します。作った後に必要になる部分です。

  • 方針は1枚に収める。読み切れない量にすると使われない
  • 相談先は個人名ではなく役割で書く。担当が変わっても機能する形にする
  • 入社時の手続きに組み込む。後から全員に伝えるのは難しい
  • 年に一度、思い出す機会を設ける。短い連絡でも効果がある

これらは運用の話です。内容よりも運用のほうが結果に効きます

良い内容の方針が誰にも知られていない状態より、簡素な方針が全員に知られている状態のほうが機能します。

見直しの時期も決めます。使われる場面や仕組みは変わります。

年に一度、実際に起きた相談を材料に見直すと、内容が実務に近づきます。

相談の記録を残しておくことが、この見直しの材料になります。

相談の記録の残し方

相談の記録は、個人が特定されない形で残します。内容と判断だけを書きます。

記録する項目は、いつ、どのような相談があり、どう判断したかの3つで足ります。

この記録が積み上がると、判断の基準が社内に残ります。担当が変わっても引き継げます。

また、似た相談が繰り返される場合、それは方針の書き方が不十分だという合図になります。

繰り返される相談の内容を、次の見直しで方針に書き足します。これで相談の件数が減ります。

記録がないと、この改善が回りません。毎回ゼロから判断することになります

実務での判断の目安

最後に、日々の場面で使える判断の目安をまとめます。

  • 業務上知った情報かどうかで判断する。ここが最も明確な線になる
  • 勤務先が分かる状態かどうかを見る。分かる状態なら会社の関心の範囲に入る
  • 他人が関わるかどうかを見る。同僚や取引先が写るなら本人の問題では済まない
  • 業務と関係のない意見や趣味は、会社の関心の外にあると考える
  • 迷ったら、処分の話にする前に本人と話す。多くは認識していない

この5つで、実務の大半は判断できます。1つ目が最も使いやすい目安になります。

業務上知った情報かどうかは、当人にも判断できます。だから伝わります。

残りの判断で迷う場面は、相談先に持ち込む形にします。一人で抱えさせないことが大切です。

この仕組みができていれば、出来事が起きても慌てずに動けます。

まとめ

社員の私的な投稿について、会社が方針を定めて守ってもらうこと自体は認められています。ただし求められる範囲は、業務との結び付きが説明できるところまでです。全部を対象にする方針は納得が得られず、読まれません。方針に書くべきは禁止事項ではなく、業務上知った情報の具体例と、迷ったときの相談先です。そして、問題が起きたときに誰が判断するかを先に決めておくこと。これが実務の中心になります。まずは営業と開発に「何が外に出ると困るか」を聞き、その一覧を作るところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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