モデルが更新されても業務を止めない方法|出力が変わる前提で組む

モデルが更新されても業務を止めない方法|出力が変わる前提で組む

「先月まで同じ形で返ってきていた要約が、急に長くなって、そのまま資料に貼れなくなりました」「使っているモデルが来年の春で終わると外注先から言われたのですが、何をすればよいのか見当がつきません」——AIを業務に組み込んだ会社から、この半年で増えている問い合わせです。どちらも、自社では設定ひとつ変えていないのに起きています。ここでよく出る受け止め方は、AIの調子が悪い、あるいは誰かが設定を触った、というものです。けれど原因はたいてい社内にありません。使う側の都合と関係なく、提供する側が版を上げ、古い版の提供を終わらせているだけです。この記事では、自分から乗り換えると決めたときの話ではなく、勝手に版が上がる側・古い版が終わる側に絞って、壊れ方の種類、周期と告知の拾い方、気づかないまま業務に混ざる経路、版が変わったときに回す短い検査、指示文を版に依存させない書き方、そして止まっても業務が回る逃げ道までを並べます。


カメ先生カメ先生

モデルの版が上がるのは、できることが増えることだ、と思われがちなんだ。でも使う側から見ると、増えるより先に、いままでと同じ返り方をしなくなることのほうが効いてくる。


カメ子カメ子

同じ頼み方をしているのに、返ってくる形のほうが変わってしまうということですか。


カメ先生カメ先生

そうなるね。しかも古い版はいつまでも置いてはもらえない。提供が終わる日が先に決まっていて、その日が来ると呼び出しそのものが失敗する。つまり壊れ方が2種類あるわけだ。


カメ子カメ子

止まって分かる壊れ方と、動いているのに中身が変わる壊れ方では、備え方も変わってくるのでしょうか。


この記事のポイント
  • 版の入れ替わりは事故ではなく周期。一般提供のモデルは12か月から18か月、画像を作るものは14か月ほどで入れ替わった実績がある
  • 壊れ方は3つ。呼び出しが失敗する・出力の癖が変わる・指示文が効かなくなる。止まらない2つのほうが長く尾を引く
  • 版が上がったときの検査は短くてよい。10件の題材と見る観点3つを先に決めておけば、1回30分で差だけを拾える

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

この記事が扱うのは「決めるのがこちらではない」場合

最初に範囲をはっきりさせます。ここで扱うのは、使う側が何も決めていないのに、提供する側の都合でモデルの版が上がる場合と、いま使っている版の提供が終わる場合だけです。どのモデルを選ぶかという話も、自分から新しいモデルに乗り換えると決めたときの手順も扱いません。決めるのがこちらではない、というところが違いのすべてです。

借りて使っている以上、更新の時期を選べません。社内に置いたソフトなら、更新を当てる日は自社で決められます。ところが外から呼んでいるモデルは、契約が続いているかどうかと、いま指定している版が使えるかどうかが、別の話になります。契約は生きているのに、指定していた版だけが先に消えることが起きます。

そのうえ、変化が社内のどこにも履歴として残りません。自社の仕組みは1行も書き換えていないので、変更の記録を探しても何も出てきません。誰も触っていないのに結果が変わったという報告が上がってきたら、まず外側を疑うという順番を、先に社内で共有しておく必要があります。これを共有していないと、最初の数日が社内の犯人探しで消えます。

並べる順番は、困りごとの側から始めます。どんな壊れ方をするのか、なぜ入れ替わるのか、告知はどこに出るのか、気づかない経路はどこか。そのうえで、数える・検査する・書き方を変える・逃げ道を作る、の順で対策に入ります。全体で半日あれば一通り手を付けられる分量です。

壊れ方は3つに分かれる

版の入れ替わりで起きる不具合は、移行の実務をまとめた解説(2026年9月更新)では3つに分けられています。呼び出しそのものが失敗する、出力の質や癖が変わる、指示文が効かなくなるの3つです。現れ方がまったく違うので、最初にこの3つを分けておくと、あとの対策が組みやすくなります。

1つ目は分かりやすい故障です。提供の終わった版を名前で指定したまま呼ぶと、呼び出しが失敗して処理が止まります。業務の側から見ると画面に不具合が出るので、その日のうちに気づきます。復旧の手間はかかりますが、気づけるという意味では、いちばん軽い壊れ方です

2つ目と3つ目は止まりません。返ってくるのに、中身の癖が変わっている。あるいは、これまで効いていた指示の一部が無視される。動いている以上、誰も不具合として報告しません。おかしいと気づくのは、その出力を受け取った先の担当者が違和感を持ったときで、そこまでに数週間かかることがあります。

  • 提供の終わった版の名前を業務の仕組みに直接書いていて、終了日の朝に夜間の処理がすべて失敗した
  • 要約の長さが倍になり、そのまま貼っていた報告書の体裁が崩れたが、3週間のあいだ誰も報告しなかった
  • 「表の形で返す」と書いていた指示が効かなくなり、後ろの工程が受け取れずに手入力へ戻っていた
  • 試し提供の版を本番の業務で使い続けていて、30日の通知だけで別の版に置き換わり、気づいたのは置き換わった後だった

3つのうち、業務への影響が長引くのは2つ目と3つ目です。だから備えの重心も、止まる側ではなく止まらない側に置きます。止まる側は終了日が先に公表されているので日程の管理で防げますが、止まらない側は日程では防げません。

入れ替わりは決まった周期で来る

マイクロソフト社が公開しているモデルのライフサイクルの方針(2026年7月更新)では、一般提供になったモデルは提供開始の時点で18か月後の提供終了日が自動的に設定されると書かれています。個別の告知があってから終了日が決まるのではなく、出た瞬間に終わりの日が付いている、ということです。

同じ文書では、提供開始から12か月の時点で「新しい利用者は使えないが、すでに使っている利用者は続けられる」段階に入り、18か月で完全に終了すると説明されています。終了後の呼び出しは失敗します。提供元によっては18か月ではなく12か月になるとも書かれているので、使えるのは1年から1年半、と見ておくのが現実的です

実際の例も出ています。グーグルが提供していた画像を作るモデル3種は、2025年6月24日に提供が始まり、2026年8月17日に終わりました。技術解説(2026年8月18日)はこれを約14か月と数えています。同じ記事では、文章を数値に変える種類のモデルで約21か月、その後継では約34か月という例も挙げられていて、用途によって周期がかなり違うことが分かります。

ここから言えるのは1つです。入れ替わりは事故ではなく予定です。予定であれば、業務の年間の段取りに組み込めます。そのうち来るかもしれない、ではなく、1年から1年半で来るという前提で、確かめる時期を先に決めておきます。

告知はどこに出て、どこで拾い損ねるか

同じ方針の文書では、通知の時期も決められています。一般提供のモデルは提供終了の少なくとも60日前に、試し提供のモデルは少なくとも30日前に、契約している利用者へ通知が送られます。後継として何を使えばよいかが正式に示されるのは、終了の90日から120日前です。

ただし、実際の猶予はもっと短くなることがあります。各社の廃止の期日をまとめた技術記事(2026年9月更新)では、2026年9月11日の告知から停止まで20日しかなかった例が挙げられています。60日という数字は下限であって、常にその長さが確保されるとは限りません

拾い損ねる経路はだいたい決まっています。通知の宛先が契約の代表者になっていて、実際に業務を動かしている担当まで回らない。あるいは仕組みを作った外注先にだけ届いて、社内には伝わらない。通知が届いていないのではなく、届いた先で止まっています

対策は難しくありません。各社が公式に出している廃止の一覧ページを、月に1度だけ見る当番を決めます。見るのは自社が呼んでいるモデルの名前が載っているかどうかだけなので、5分で終わります。通知の受け取りに頼らず、自分から見に行く経路を1本持つ。これだけで、猶予が20日しかなかった場合の取りこぼしが減ります。

自動で上がる設定と、上がらない設定

版が上がるときの振る舞いは、配置ごとに選べるようになっています。先ほどの方針の文書では3通りが示されています。新しい既定の版が出たら上げる、いまの版が終わるときだけ上げる、自動では上げないの3つです。3つ目を選ぶと、終了日にその配置は動かなくなります。

注意が要るのは、処理能力をあらかじめ確保して使う形の配置です。同じ文書では、この形の配置は自動では上がらず、手で移す必要があると明記されています。標準の形なら自動で上がるはずだと思い込んだまま確保型を使っていると、終了日に止まります。どちらの形で契約しているかを情シスが把握していない会社は、珍しくありません。

版の上がり方の設定起きること向いている使い方決めておくこと
新しい既定の版が出たら上げるいちばん早く新しい版に切り替わり、変化にも早く気づく結果を人が読んで直す使い方上がった直後に検査を回す当番
いまの版が終わるときだけ上げる終了日まで同じ版で動き、終了日に一度だけ変わる出力を機械がそのまま受け取る使い方終了日の1か月前に検査を済ませる日程
自動では上げない終了日にその配置が止まる代わり、勝手に変わることはない検査に時間のかかる基幹の処理終了日までに手で移す担当と期限

加えて、公式の説明には提供終了日を延ばす例外は認められないと書かれています。交渉で延ばしてもらう前提の段取りは組めません。日程は動かせないものとして扱い、こちらが動く時期のほうを決めます。

選び方の目安は1つです。出力を機械がそのまま受け取っている業務ほど、勝手には上がらない設定にします。人が読んで直す使い方なら、早く上がって早く気づくほうが結局は安全です。設定を選び分けるだけで、2つ目と3つ目の壊れ方に当たる確率が変わります。

同じ指示文でも結果が変わるのはなぜか

版が上がると、答えの中身より先に答え方が変わります。文の長さ、言い回しの丁寧さ、箇条書きの記号、見出しの付け方、そして断るときの言い方。業務で先に壊れるのはこの部分です。中身が合っているかどうかより、受け取る側の形が合わなくなることのほうが多い、ということです。

もう1つ、そもそも結果は毎回同じではありません。マイクロソフト社の安全設計の文書(2026年3月公開・6月更新)は、AIの仕組みは確率的で、同じ入力でも実行のたびに出力が変わると説明しています。同じ文書は稼働率と失敗率は、AIの品質や信頼性を示す指標として適切ではないとも書いています。動いていることと、使える結果が返ることは別です。

この性質があるので、変わったかどうかを印象で判断できません。比べるのは1回の出力どうしではなく、同じ題材を何件か通したときの傾向です。1件だけ見て変わったと言うと、もともとの揺らぎと区別がつきません。逆に、1件だけ見て変わっていないと言うのも同じくらい危うい判断です。

だから、後で出てくる検査も合っているかを採点する形ではなく、前の版との差を見る形にします。正解を1つ決めて点を付ける作り方は、揺らぎの分だけ毎回結果が動いてしまい、判断の材料になりません。

気づかないまま業務に混ざる3つの経路

版の変化が業務に入り込む経路は、だいたい3つです。下書きを作らせているところ、分けて振り分けているところ、要約させているところ。どれも出力を人が受け取るので、処理としては止まりません。止まらないまま、質だけが動きます。

下書きは、人が直す前提なので変化が隠れます。直す量が少し増えても、忙しければ誰も口にしません。分類は、結果だけ見ると正しく見えます。10件のうち9件が正しければ、残りの1件が違う箱に入ったことに気づきません。要約は最も見つけにくく、抜け落ちた項目は、読んだ人の側には見えません。

実務で最初に表に出るのは、たいてい書式です。出力をそのまま表や管理の仕組みに流し込んでいる場所では、箇条書きの記号が1つ変わるだけで受け取れなくなります。出力が人ではなく機械に渡っている場所を、先に洗い出します。ここが、版の入れ替わりで最初に壊れる場所です。

  • 下書きを作らせている場所は、直した量を月に1度だけ数える(直す量が増えたら版が変わった合図になる)
  • 分類させている場所は、月に20件だけ人が抜き取って確かめる(全件を見直す必要はない)
  • 要約させている場所は、元の文と要約を並べて読む題材を3件だけ固定しておく(毎回同じ3件を使う)

影響が出やすい使い方と出にくい使い方

すべての使い方に同じ手間をかける必要はありません。見分ける軸は2つです。出力を機械がそのまま受け取るか、人が読んで直すか。決まった形を要求しているか、していないか。この2つで、備えの重さがほぼ決まります。

機械がそのまま受け取り、かつ決まった形を要求している使い方がいちばん危険です。形が1文字ずれるだけで後ろが止まります。逆に、人が読んで直す使い方で、形も自由なら、版が変わっても業務そのものは続きます。質は動きますが、止まりません。

使い方版が上がったときに出る症状気づくまでの時間先に決めておくこと
決まった形で返させて機械に渡す形が崩れ、後ろの工程が受け取れずに処理が止まるその日のうち自動では上げない設定にし、手で移す期限を持つ
文章を分類して振り分ける一部が違う箱に入り、件数の偏りとして後から出る数週間月に20件の抜き取りと、偏りを見る担当
長い文を要約させる抜ける項目が変わり、判断に使う情報が欠ける気づかないことがある固定の3件を毎回読み比べる
下書きを作らせて人が直す直す量が増える。質の変化としてしか現れない1か月前後直した量を月に1度数える
社外に出す文面をそのまま使う言い回しや断り方が変わり、相手先で違和感が出る相手からの指摘で判明社外に出す前の人の確認を外さない

表の上から2行が、限られた時間を先に使うべき場所です。下に行くほど、備えは薄くてかまいません。全部を同じ濃さで守ろうとすると、いちばん危ない2行の準備が間に合いません。

優先順位を付けたら、その結果を1枚に残します。どの使い方をどの濃さで守るかは、半年もすると誰も覚えていません。書いておけば、担当が替わったときにそのまま引き継げます。引き継げない決まりは、決めていないのと同じです。

いま何を呼んでいるかを数える

対策の出発点は棚卸しです。自社がいま、どのモデルのどの版を、どこから呼んでいるか。ここが分からないと、告知を見ても自分に関係があるかどうか判断できません。実際、告知そのものは目にしているのに素通りしている会社の多くは、この一覧を持っていません。

数え方は3つの経路に分かれます。1つ目は自社で作った仕組み、2つ目は外注先が作った仕組み、3つ目は買って使っているソフトの中で呼ばれている分です。1つ目は数えやすく、移行の実務の解説(2026年9月更新)でも、提供元の管理画面からモデルごとの利用実績を書き出せると説明されています。

2つ目と3つ目は聞くしかありません。呼んでいるモデルの名前を、版の番号まで含めて教えてください、と文字で聞きます。口頭だと版まで返ってきません。あわせて、試し提供の版が混ざっていないかも聞きます。試し提供のものは通知が30日前で、周期そのものも短いからです。

一覧に持つ列は5つで足ります。呼んでいる場所、モデルの名前と版、公表されている終了日、止まったときに困る業務、社内の担当。増やすと更新されなくなります。この5列を四半期に1度だけ見直す形にすると、無理なく続きます。

版が変わったときに回す短い検査

検査と聞くと大がかりな準備を思い浮かべますが、ここで作るのは差を見るだけの短い手順です。合っているかを採点するのではなく、前の版と比べて何が変わったかを並べます。準備は半日、以降の1回は30分ほどで回ります。

STEP1
題材を10件選ぶ

実際に業務で流している入力から10件選ぶ。作った例文ではなく、本物の入力を使う。取引先名や個人名が入る場合は、そこだけ別の文字に置き換えて固定する。同じ10件を毎回使うので、選び直さない。

STEP2
いまの版の返りを保存する

版が上がる前に、10件の返りをそのまま保存しておく。これが比べる相手になる。保存しないまま版が上がると、比べる相手がなくなり、検査そのものが成り立たなくなる。

STEP3
新しい版で同じ10件を通す

同じ入力、同じ指示文で通す。指示文を直しながら通すと、版の影響と直した影響が混ざって切り分けられなくなる。直すのは、差を確かめた後にする。

STEP4
差が出た項目だけを人が見る

全文を読み比べない。形が崩れていないか、書いていない内容が足されていないか、断られた件数が変わっていないか、の3点だけを見る。見る観点を毎回同じにしておくと、判断がぶれない。

この4段のうち省けないのは2段目です。版が上がってから比べようとしても、比べる相手がもう手元にありません。だから保存は、版が上がる予定を知ったときではなく、仕組みを作った日に1回やっておきます。

回す時期は2つあります。告知を受け取ったときと、自動で上がる設定にしている場合は月に1度です。自動で上げる設定を選んだ以上、上がったことに気づく仕掛けを別に持ちます。設定と検査は、対で考えるものだということです。

検査に入れる題材と、合否の決め方

題材の選び方には、わざと偏りを入れます。よく来る型を8件、過去に失敗した型を2件。失敗した型を入れておくのは、版が上がったときに同じ場所が再び崩れることが多いからです。全部を平均的な題材にすると、そのまま通ってしまって検査の意味がなくなります。

合否の線は「正しいか」ではなく「そのまま使える形か」で引きます。見るのは3つだけです。形が崩れていないか。書いていない内容が足されていないか。断られる頻度が変わっていないか。3つ目は見落としやすい項目です。安全のための仕組みが変わると、これまで通っていた依頼が断られるようになります。

合否は人が決めます。AIに採点させません。採点を任せると理由が残らず、次にどこを直せばよいかが分かりません。落とした理由を1行だけ書き残しておけば、それがそのまま指示文に足す条件になります。ここは手を抜かないほうが、結局は早く終わります。

検査の結果は、合否だけでなく差の中身を3行で残します。「要約が平均で1.4倍の長さになった」「表の区切り方が変わった」のように書いておくと、次に版が上がったときに同じ場所から見られます。記録がないと、毎回ゼロから探すことになります。

指示文を版に依存させない書き方

版が変わるたびに指示文を丸ごと書き直しているなら、その指示文が版の癖に寄りかかっている合図です。特定の版でだけ通る言い回しや、その版が好む語順に合わせた小技を積み上げると、版が変わった瞬間に全部やり直しになります。

寄りかからない書き方は、出力の形を言葉で決めてしまうことです。何行で、どの順で、どの項目を入れるか。例は1つだけ添えます。形を言葉で決めておけば、版が変わっても同じ形が返る確率が上がります。逆に、例をたくさん並べて形をまねさせる書き方は、版の影響を受けやすくなります。

仕組みの側でも1つ決めておきます。モデルの名前と版を、処理のあちこちに書かない。1か所にまとめて、そこだけを書き換えれば全部が切り替わる形にします。棚卸しの手間も、切り替えの手間も、ここで決まります。外注先に作らせるときは、この点を最初に伝えます。

あわせて、根拠を書かせる形にしておきます。要約でも分類でも、どの文から判断したかを一緒に出させます。版が変わって結果が動いたとき、根拠が付いていれば、何を見て判断が変わったのかをたどれます。付いていないと、変わったという事実しか残りません。

止まっても業務が回る逃げ道

どれだけ備えても、終了日に間に合わないことは起きます。だから逃げ道を先に用意します。逃げ道は2種類です。別の提供元に切り替える道と、AIを使わない手順に落とす道。前者だけを用意して安心している会社が多いのですが、それでは足りません。

別の提供元に切り替える道は、切替先を契約しておくだけでは機能しません。提供元が変われば出力の形も癖も変わるので、切替先でも同じ10件の検査を通しておく必要があります。通していない切替先は、いざというときに使えるかどうかが分からないままです。

AIを使わない手順に落とす道は、1枚の紙で足ります。誰が、どの順で、何分かけてやるか。月に何件来る業務かを書いておくと、何人で何日持ちこたえられるかを計算できます。この計算ができていないと、止まった日に「とりあえず手でやろう」と言ったきり、現場が溢れます。

そして、止める判断を誰がするかを先に決めます。出力の癖が変わったときに、使い続けるか止めるかを現場が1人で背負うと、判断が遅れます。担当と責任者の名前を、さきほどの一覧の担当の列に書いておきます。

誰が見て、誰が止めるか

ここまでの作業は、1人では回りません。とはいえ新しい組織は要りません。決めるのは3つの役だけです。告知を見る人、検査の合否を決める人、止める判断をする人。兼務でかまいませんが、名前は書いておきます。

告知を見る役は情シスが向いています。毎月5分、公式の廃止の一覧を見て、棚卸しの一覧と突き合わせるだけです。検査の合否を決める役は業務側に置きます。その出力を実際に使っている人でないと、使える形かどうかは判断できません。情シスが合否まで決めると、形は通っても業務では使えない、ということが起きます。

  • 呼んでいるモデルの名前と版が、一覧に書かれているか
  • 公表されている提供終了日が、一覧の列に入っているか
  • 版の上がり方の設定が、その使い方の危なさに合っているか
  • 検査に使う10件の入力と、いまの版の返りが保存されているか
  • 検査の観点3つ(形・足された内容・断られる頻度)が文字で書かれているか
  • 合否を決める人が、その出力を実際に使っている人になっているか
  • 外注先に、版を変えるときの連絡の期限を伝えてあるか
  • AIを使わない手順の1枚が、いまの業務の件数で作られているか
  • 止める判断をする人の名前が書かれているか
  • 前回の検査で出た差が、3行で残っているか

外注先との取り決めも1行だけ足します。版を変えるときは、何日前までに知らせるか。伝えていなければ、変えた後に事後報告が来ます。契約を作り直す必要はなく、運用の取り決めとして文字にしておけば足ります。

なお、この体制でAIに決めさせない場所は2つです。検査の合否と、止めるかどうか。どちらも自社の業務の事情が判断の材料になるので、外から来た仕組みには持たせられません。AIに任せるのは、差がどこに出たかを並べるところまでにします。

よくある質問

告知が来ていないので、まだ大丈夫だと思ってよいですか

通知は契約している利用者に送られますが、宛先が代表者になっていて、実際の担当まで届かないことがあります。届いていないことは、来ていないことの証明になりません。月に1度、公式の廃止の一覧を自分で見る経路を1本持ってください。自社が呼んでいる名前があるかを見るだけなので、5分で終わります。

自動で新しい版に上がる設定のままにしておけば、止まらないのではありませんか

止まらない代わりに、いつ変わったのかが分からなくなります。また、処理能力をあらかじめ確保して使う形の配置は自動では上がらないと公式に書かれているので、契約の形によっては上がらないまま終了日を迎えます。自動で上げる場合は、上がったことに気づく仕掛けを別に持ってください。

提供終了日を延ばしてもらうことはできますか

マイクロソフト社の公式の方針の文書(2026年7月更新)には、提供終了日を延ばす例外は認められないと書かれています。日程は動かせない前提で、こちらが動く時期を決めます。後継として何を使うかが正式に示されるのは終了の90日から120日前なので、その時点で検査を始めれば、1か月前の切り替えには間に合います。

検査は毎回10件も要りますか。3件では足りませんか

3件でも、形が崩れる種類の変化はつかめます。つかめないのは、10件に1件だけ違う箱に入るような変化です。分類や振り分けに使っているなら10件、下書きだけに使っているなら3件から始めてかまいません。件数より、毎回同じ題材を使い続けることのほうが効きます。

まとめ

版の入れ替わりは、どこかの会社に起きる不運ではなく、1年から1年半で必ず回ってくる予定です。壊れ方は3つあり、止まる壊れ方より、止まらない2つのほうが長く尾を引きます。備えの順番は、いま何を呼んでいるかを数え、使い方の危なさに合わせて版の上がり方の設定を選び、10件の題材で差を見る検査を持ち、止まっても回る1枚を書いておく、の4つです。まずは棚卸しの一覧を5列だけ作り、いまの版の返りを10件保存するところから始めてください。ここまでで半日、次からは30分で回ります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次