広告費はいつの費用になる?|期またぎで慌てない

広告費はいつの費用になる?|期またぎで慌てない

「広告費を今期に入れるのか来期に入れるのかで、経理と話が噛み合わない」「決算をまたぐ配信の扱いが、毎回その場で決まっている」——広告運用の担当者が期末に必ずぶつかる論点です。広告費がいつの費用になるかは、支払った日ではなく、広告が世に出た時期で決まります。請求書の日付をそのまま使うと、期がずれることがあります。この記事では、期をまたぐときの考え方と、事前に決めておく段取りを整理します。


カメ先生カメ先生

広告費の計上はね、払った日で決まると思われがちだが、原則は広告が掲載された時期で判断するんだ。


カメ子カメ子

月をまたいで配信した場合は、どちらの期になるのでしょうか。


カメ先生カメ先生

配信された分を期間で按分するのが基本になる。だから配信の開始日と終了日の記録が要るんだ。


カメ子カメ子

支払いの記録だけでは足りないのですね。何を残しておけばよいのか知りたいです。


この記事のポイント
  • 原則は、実際に広告が行われた時期を基準に計上する
  • 決算をまたぐ分は、原則として前払いの費用として扱う
  • 1年以内の支払いには例外があるが、放送の広告には制限がある

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目次

支払いの日が基準ではない

広告の費用の計上には、原則があります。実際に広告が行われたタイミングで経費として計上します。支払いの日ではなく、広告が世に出た時期が基準になります。この点が、多くの誤解の出発点です。

明確に否定されている扱いもあります。広告の掲載を申し込んだときや、契約の料金を支払ったときに計上してはならないとされています。申込と支払いは、いずれも基準になりません。

なぜこの原則があるのか。費用は、それによって得られる収益と同じ期間に対応させるという考え方が土台にあります。来期に配信する広告の効果は、来期に現れます。だから費用も来期に置くのが自然だという整理です。

この原則を知らないと、期の損益が実態とずれます。今期に大きく前払いすれば、今期の利益が小さく見えます。しかし広告の効果は来期に出るため、来期の利益は大きく見えます。どちらの期の業績も、正しく評価できなくなります。

実務では、この論点が決算の直前に浮上します。経理から確認が入り、契約の内容を調べる作業が発生します

この記事では、原則と例外を整理します。あわせて、契約の時点で確かめておくことを並べます

この原則は、社内の予算の管理にも影響します。予算を消化したかどうかは、支払いではなく配信の実績で判断されます。今期の予算を今期に使い切るには、今期のうちに配信を終える必要があります。支払いだけを済ませても、今期の予算の消化にはなりません。

決算をまたぐ場合の原則

では、決算をまたぐ契約はどう扱うか。原則として、前払いの費用として計上します

つまり、支払った時点では費用にしません。資産として計上し、広告が行われた時期に費用へ振り替えます

この処理は、期をまたぐ契約では避けられません。3月が決算の会社が、2月に翌年度分の広告費を支払った場合が典型です

処理の手間は生じますが、考え方は単純です。配信の期間に対応させて、期ごとに分けて費用にします。

月ごとに分ける必要はありません。期をまたぐ分だけを前払いの費用として区分すれば足ります

この処理の判断には、契約の内容が必要になります。配信の期間が契約で明確になっているかが、判断の前提です

処理の実務も確かめておきます。前払いの費用として計上する場合、金額の按分が必要になります。配信の期間の日数で按分するのが、最も説明しやすい方法になります。按分の根拠を書類に残しておけば、後から確かめられます。

1年以内の支払いの例外

原則には例外があります。1年以内の期間に関わる支払いについての取扱いです

解説では、2つの条件が挙げられています。支払いが契約の期間1年以内に発生する場合と、毎期同じ内容の支払いが発生する場合

この条件に当たる場合、支払いの日を含む年度に広告費として計上できるとされています

この扱いの根拠が、短期の前払いの費用に関する取扱いです。1年以内の短期の前払いの費用について、支払いの時点で損金への算入を認めるという内容です。

趣旨も示されています。収益との厳密な期間の対応による繰延の経理をすることなく、支払いの時点で算入を認めるものです

つまり、事務の負担を減らすための取扱いです。厳密に期間で分けるほどの重要性がない場合の簡便な処理という位置づけです

例外を使う判断の基準も持っておきます。金額が小さく、毎期同じ形で発生する支払いに向いた扱いです。金額が大きく、期による差が業績に影響する支払いには向きません。事務の負担を減らすための取扱いだという趣旨に沿って判断します。

例外の要件を確かめる

例外を使うには、要件を満たす必要があります。要件を確かめずに適用すると、後から否認される危険があります

示されている要件は2点です。契約に基づき1年以内に役務の提供を受けることになっていること

もう1点が、その支出額の全額を支出時の年度に帰属させることが適切であることです

2点目は、判断を伴う要件です。金額が大きく、期間による差が業績に影響する場合は適切とは言えません。

継続の適用も求められます。要件を満たす限り、定期的な更新などを含め継続して適用する必要があるとされています

つまり、都合の良い期だけ使うことはできません。1度この扱いを選んだら、以後も同じ扱いを続けることになります

確認は書類で行います。契約に基づき1年以内の役務の提供であることを、契約書で確かめます。口頭の合意や慣行では、要件を満たしていることを示せません。契約の期間が明記された書類が、判断の根拠になります。

放送の広告には制限がある

重要な制限があります。放送に関わる広告には、この例外が使えません

示されている内容はこうです。ラジオやテレビなどの広告宣伝は、実際に放送がされたときに損金となります

そして、決算までに放送されていないものに対する支払いは、前払いの費用として処理し、短期の前払いの費用の適用はできないとされています

この制限の理由は、役務の性質にあります。放送は、放送された時点で提供が完了する性質のものです。期間に応じて継続的に提供される役務とは、性質が違います。

同じ考え方は、他の形式にも当てはまり得ます。1回の掲載や1回の配信で完結する形の広告は、慎重な判断が必要です

判断の目安は、継続性です。期間を通じて継続的に提供される役務かどうかで、扱いが変わります

契約の形計上の時期の考え方例外の適用
期間で配信する広告配信の期間に対応させる1年以内なら検討の余地がある
1回の掲載や放送実際に掲載や放送がされたとき適用できないとされる
制作の費用制作が完了したとき役務の性質で判断する
毎期同じ内容の支払い支払いの日を含む年度継続の適用が条件になる

同じ論点は、他の形式にも当てはまることがあります。紙の媒体への1回の掲載や、催しでの1回の露出も同じ性質です。1回の提供で完結する役務は、その提供の時期に費用として扱います。期間を通じて継続する役務との違いを、契約の内容から判断します。

契約の時点で確かめること

この論点は、契約の時点で確かめておくと楽になります。決算の直前に調べるより、はるかに手間が少なくなります

確かめるのは3点です。配信や掲載の期間、支払いの時期、契約の期間

この3点が契約書に明記されていれば、経理の判断はそれだけで済みます

明記されていない場合は、確認を求めます。配信の期間が書かれていない契約は、処理の判断ができません。

見積書や請求書にも記載を求めます。何月から何月までの配信に対する費用かを書いてもらいます

この一手間が、決算の作業を短くします。書類に期間が書かれていれば、後から調べる必要がありません

確認の担当も決めておきます。契約の内容を確かめるのは、発注するマーケの担当者です。経理は書類が届いてから判断するため、契約の交渉には関わりません。だから発注の段階での確認が、後の処理の質を決めます。

制作の費用はどう扱うか

配信の費用とは別に、素材の制作の費用が発生します。この費用は、配信の期間ではなく制作の完了を基準に考えるのが基本になります。役務の提供が完了する時期が、配信の期間とは違うためです。

判断が分かれるのは、長く使う素材の場合です。3年使う予定の動画の制作費を、初年度の費用にするかどうかです。金額が大きい場合は、資産として扱う判断が出てくることがあります。この判断は、金額と使用の期間によって変わるため経理と相談します。

少額であれば、支出の時期の費用として処理されることが多くあります。会社の規模と、社内の基準によって扱いが変わります。自社の基準となる金額の水準を、あらかじめ確かめておきます。基準が分かっていれば、発注の段階で処理の見通しが立ちます。

請求の形も確かめます。制作の費用と配信の費用が一括で請求されることがあります。内訳が分かれていなければ、期の区分も処理の判断もできません。見積の段階で、項目を分けてもらうよう依頼します。

修正の費用も同様に扱います。配信の開始後に素材を修正した場合、その費用は修正の時期に発生します。配信の期間に対応させるのではなく、作業が行われた時期で判断します。細かい話ですが、期末に修正が入った場合には論点になります。

代理店への手数料の扱い

代理店を使う場合は、費用の構成が複雑になります。配信の費用と、運用の手数料が含まれます

この2つは、性質が違う可能性があります。配信の費用は配信の時期、手数料は運用の役務が提供された時期

多くの場合、両者は同じ期間に対応します。しかし、初期の設定の費用などは別に扱う場合があります

請求書の内訳を確かめることが対策になります。配信の費用と手数料が分かれて記載されているかを見ます。

一式でまとめられている場合は、内訳を求めます。内訳がないと、期をまたぐときの区分ができません

この確認は、費用の妥当性の判断にも役立ちます。手数料の水準を把握できるという副産物もあります

初期の設定の費用は、特に確認が必要です。配信の開始の前に発生する作業に対する費用です。配信の期間とは対応しないため、別の扱いになる可能性があります。金額が大きい場合は、項目を分けて記載してもらいます。

前払いを使う場面の判断

そもそも、前払いをするかどうかも判断の対象です。前払いには理由がある場合があります

媒体の側の条件として、前払いが求められることがあります。枠を確保するために、事前の支払いが条件になる形です

割引が適用される場合もあります。年間で一括して支払うと、単価が下がる契約です

この場合、割引の額と処理の手間を比べます。割引が大きければ、前払いを選ぶ判断になります。

一方、節税を目的にした前払いには注意が必要です。要件を満たさない場合、費用として認められない可能性があります

判断は経理と一緒に行います。マーケの担当者が単独で決める領域ではありません。

資金の面での判断も入ります。前払いは、その分の資金が先に出ていくことを意味します。割引の額と、資金が拘束される期間を並べて判断します。資金に余裕がない時期に前払いを選ぶのは、割引があっても得策とは言えません。

期末の駆け込みの危険

実務でよく起きるのが、期末の駆け込みです。予算が余ったため、期末に広告費を使う判断です。

この場合、2つの問題が生じます。1つは費用の計上の時期、もう1つは配信の質です。

計上の時期については、配信が来期になれば費用も来期です。今期の予算を使ったことにはなりません。

配信の質の問題も深刻です。急いで作った素材や、練られていない設計での配信は成果が出ません。

予算の消化を目的にした配信は、無駄になりやすいです。配信の準備には時間が必要で、期末の数週間では足りません。

対策は、年度の計画に織り込むことです。予算が余る見込みを早く把握し、余裕のある時期に使います。

予算の考え方そのものも見直します。使い切ることが目的になると、成果から離れていきます。余った予算を返す判断も、次年度の信頼につながります。無理に使った実績より、根拠のある計画のほうが評価されます。

年度をまたぐ計画の立て方

計画の段階で、期の境界を意識します。配信の期間を期の中に収める設計です。

催しに合わせた配信では、これが難しい場合があります。4月の催しに向けた配信は、3月から始めることになります。

この場合は、区分を前提に進めます。3月分と4月分を分けて計上する形を、あらかじめ想定します。

請求も分けてもらう選択があります。月ごとに請求されれば、期の区分が自然に行われます。

契約の段階で相談します。月ごとの請求に対応できるかを、契約の前に確かめます。

この段取りで、決算の作業が軽くなります。請求書がそのまま期の区分になるという状態が理想です。

催しの時期との関係も整理します。年度の初めに催しがある場合、前年度から準備の費用が発生します。この形は毎年繰り返されるため、処理の型を1度作れば以後は同じで済みます。初年度に経理と決めた形を、記録として残しておきます。

社内の連携の作り方

この論点は、部門をまたぐ連携が必要です。マーケと経理の間で、情報を先に共有します。

共有する内容は3つです。期をまたぐ契約の有無、配信の期間、支払いの時期。

共有の時期も決めます。決算の3か月前には、期をまたぐ契約の一覧を渡します。

形式は簡単なもので構いません。契約の相手、金額、配信の期間、支払いの時期の4列で足ります。

この一覧があれば、経理の側で判断ができます。個別に問い合わせる往復が不要になります。

逆に、一覧がないと決算の直前に確認が集中します。最も忙しい時期に、両方の部門の手が取られます。

共有の形も簡単にします。表を1つ作り、更新して共有するだけで足ります。契約が増えるたびに1行足す運用にすれば、決算の直前の作業が消えます。特別な資料を作る必要はありません。

消費税の扱いとの関係

費用の計上の時期とは別に、税の扱いの論点もあります。国外の事業者への広告の支払いでは、消費税の扱いが国内とは異なります。この論点は計上の時期とは別の話であり、混同しないよう分けて確かめます。

確認する順番も決めておきます。まず費用をどの期に入れるか、次に税の扱いをどうするか。2つを同時に考えると判断が混乱するため、順に処理します。経理への相談も、この順で整理して持ち込みます。

請求書の記載も確かめます。税の区分と、対象となる期間の記載が必要になります。期間の記載がない請求書は、計上の時期の判断ができません。取引の開始の時点で、記載の内容を確かめておきます。

海外の媒体を使う場合は、確認の項目が増えます。提供元が国内の法人か外国の法人かで、扱いが変わることがあります。契約の相手が誰であるかを、書類の上で確かめておく必要があります。同じ媒体でも、契約の窓口によって扱いが変わる場合があります。

この領域は、最初の1件で確かめておくのが最も効率的です。同じ形の取引が続くのであれば、判断は1度で足ります。新しい媒体や新しい契約の形を使うときだけ、改めて確認します。毎回相談する必要はなく、判断の型を持てば自分で処理できます。

判断に迷ったときの相談

この領域は、判断に迷う場面が多くあります。迷った場合は、自分で決めないほうがよいです。

相談の相手は、社内の経理か税務の専門家です。契約の形や事案によって扱いが変わるためです。

相談のときに持っていくのは、契約の書類です。契約書、見積書、請求書の3点があれば判断ができます。

加えて、配信の実績も示します。いつからいつまで配信されたのかという事実です。

この材料があれば、相談は短時間で済みます。材料がないと、事実の確認だけで時間が過ぎます。

1度確認しておけば、同じ形の契約は自分で判断できます。最初の1件に時間をかけることが、後の効率を作ります。

  • 支払った日を基準に、広告費を計上する
  • 配信の期間が書かれていない契約書のまま進める
  • 節税を目的に、要件を確かめずに期末に前払いをする
  • 期末の予算の消化のために、準備の時間がない配信を発注する
  • 期をまたぐ契約の一覧を経理に渡さず、決算の直前に確認が集中する

相談の記録も残します。誰にいつ何を相談し、どう判断したかを書いておきます。同じ形の契約が来たときに、その記録を見れば判断できます。記録がないと、毎年同じ相談を繰り返すことになります。

記録として残すこと

処理の判断は、記録として残します。翌年度に同じ判断を再現するためです。

残すのは4点です。契約の内容、配信の期間、採用した処理、判断の根拠。

判断の根拠を書くことが重要です。なぜその処理を選んだのかが分かれば、継続の適用ができます。

継続の適用が求められる扱いでは、この記録が不可欠になります。前年と違う処理をしていないかを、記録で確かめられます。

記録の置き場も決めます。経理の側と、マーケの側の両方が見られる場所に置きます。

担当が変わったときにも、この記録が効きます。前任者の判断を再現できる状態が、引き継ぎの目標になります。

STEP1
契約の時点で確かめる

配信や掲載の期間と、支払いの時期と、契約の期間の3点を書類で確認する。

STEP2
請求の形を相談する

期をまたぐ場合は、月ごとの請求に対応できるかを契約の前に確かめる。

STEP3
一覧を経理に渡す

決算の3か月前に、期をまたぐ契約の一覧を4列の表で共有する。

STEP4
判断を相談する

契約書と見積書と請求書と配信の実績を持って、経理か専門家に確認する。

STEP5
判断を記録する

契約の内容と配信の期間と採用した処理と根拠を、両部門が見られる場所に残す。

形式は表で足ります。契約の相手、金額、配信の期間、採用した処理、根拠の5列です。この表があれば、継続の適用が求められる扱いも確実に守れます。前年と違う処理をしていないかを、表を見るだけで確かめられます。

計画に織り込む

最後に、年度の計画への織り込み方です。期の境界を、計画の段階で意識します。

年度の計画を作るときに、配信の期間を書きます。何月から何月に配信するのかを、施策ごとに明記します。

期をまたぐ施策には印を付けます。印が付いた施策だけを、経理と事前に相談します。

予算の配分も、期の中で完結するように組みます。期末に集中させない配分が、処理の面でも成果の面でも有利になります。

計画の見直しの時期も決めます。四半期ごとに予算の消化を確かめ、余りが出る見込みを早く把握します。

この織り込みで、決算の直前の慌ただしさがなくなります。計画の段階で決まっていれば、後から判断する場面が生まれません。

  • 原則は、実際に広告が行われた時期を基準に計上する
  • 放送に関わる広告には、短期の前払いの費用の例外が適用できないとされている
  • 扱いは契約の形や事案によって変わるため、経理の担当か専門家に確認する

計画の様式にも項目を足します。施策ごとに配信の期間の列を1つ加えるだけです。この列があれば、期をまたぐ施策が一目で分かります。計画を作る段階で気づけば、契約の交渉にも反映できます。

まとめ

広告の費用は、支払った日ではなく実際に広告が行われた時期を基準に計上します。申込のときや料金を支払ったときに計上してはならないとされています。決算をまたぐ分は、原則として前払いの費用として扱います。1年以内の支払いには例外がありますが、要件があり継続の適用も求められます。放送に関わる広告には、この例外が適用できないとされています。契約の時点で配信の期間と支払いの時期を確かめ、期をまたぐ契約の一覧を経理に渡します。扱いは契約の形で変わるため、最初の1件だけは経理か専門家に確認しておきます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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