記事1本の制作コストを出す5工程|投資判断の土台に

「記事1本の原価を聞かれて、外注費の3万円と答えている」「生成AIで下書きは速くなったのに、総額は思ったほど下がらない」——制作を続けている部門で起きているずれです。記事の原価は、外部に払った金額のことではありません。大半は、社内で使われた時間が占めています。この記事では、原価を5つの工程に分けて積み上げる手順を整理します。
カメ先生記事の原価はね、外注に払った金額のことだと思われがちだが、実際にはその何倍かが社内の時間で消えているんだ。
カメ子社内の時間というのは、どの作業を指すのでしょうか。
カメ先生構成を考える時間、赤を入れる時間、画像を用意する時間、公開後に直す時間だ。下書きが速く出るようになっても、この確認と手直しの時間はほとんど減っていない。
カメ子減った工程と減らない工程があるのですね。積み上げ方から見ていきます。
- 原価は企画、執筆、編集、入稿、公開後の修正という5工程に分け、時間と外注費を別に積む
- 社内の時間単価は人件費に間接費を乗せた額で置き、部署の平均で足りる
- 1本の原価が出ると、問い合わせ1件あたりの費用と並べて投資として判断できる
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外注費だけを原価と呼んでいた頃
記事の原価を聞くと、多くの担当者が外注費の額を答えます。1本3万円、1本5万円という数字です。この答えは間違いではありませんが、支払っている費用の一部でしかありません。
実際の作業を並べてみると分かります。キーワードを選び、構成案を作り、社内で合意を取り、納品された原稿に赤を入れ、事実を確認し、画像を用意し、CMSに入稿し、公開後に修正する。外注に出しているのは執筆の工程だけで、残りは全部社内の時間です。
この見落としが実害を生むのは、コストを下げようとしたときです。外注費しか見えていないと、単価の安い発注先を探す方向に進みます。ところが単価を下げると赤入れの時間が増えるため、総原価はほとんど下がらず品質だけが落ちます。
外注費の相場について、一般的な解説では1本あたり1万円から10万円のレンジが挙げられます。コラム記事なら2万円から5万円、専門家への取材や独自のデータが必要な記事は10万円を超えることも珍しくないとされています。この幅はすべて外注費の幅で、社内の時間は含まれていません。
この記事では原価の出し方に範囲を絞ります。本数と質のどちらに投資するかという配分の議論や、記事の売上貢献をどう測るかという話は扱いません。まず自社の1本がいくらかを出す、という手前の作業に集中します。
原価が分からないままだと、判断が全部感覚になります。外注の値上げに応じるべきか、内製に切り替えるべきか、本数を増やすべきか。数字がない状態では、声の大きい意見が通ります。原価の算定は、その状態から抜けるための最小限の準備です。
原価を出す目的をどこに置くか
原価を測り始める前に、何のために出すのかを決めてください。目的が違えば必要な精度も、測る粒度も変わります。
目的は大きく3つに分かれます。来年度の予算を申請するため、内製と外注のどちらが得かを判断するため、原価の高い記事を見直すためです。1つ目なら平均値で足りますが、3つ目は工程別の内訳が必要になります。
最初から全記事の全工程を細かく測ろうとすると、確実に続きません。記録そのものが工数になり、本来の制作が遅れます。測る期間を2週間に限定し、その間だけ全工程を記録して平均値を作るという進め方が現実的です。
精度についても割り切りが必要です。1本の原価が7万8,000円か8万2,000円かの違いは、判断をほとんど変えません。3万円か8万円かが分かれば、外注との比較も予算の申請もできます。桁と大まかな内訳が分かれば十分です。
あわせて、誰が記録するかも決めてください。制作の担当者が自分の時間を記録する形が最も正確ですが、抜けやすいのも同じ理由です。週の終わりに工程ごとの合計時間を書き出す形にすると、負担が小さく続きます。
誰に見せるかも先に決めてください。上長に出すなら1本あたりの原価と月の総額で足りますが、制作の担当者と改善を話すなら工程別の内訳が必要になります。同じ記録から2種類の見せ方を作れるよう、工程の列は最初から分けておいてください。
5つの工程に分けて積み上げる
原価を積む単位として、5つの工程に分けます。この分け方にしておくと、どこが高いかを後から特定でき、改善の手も打てます。
キーワードの選定、検索結果の確認、構成案の作成、社内での合意までを含みます。
下書きの作成です。外注費が発生する工程で、社内執筆の場合は時間で計上します。
事実確認、赤入れ、表記の統一、専門家による確認までを含みます。
CMSへの入力、装飾、内部リンク、画像の用意、メタ情報の設定、公開後の表示確認です。
誤りの訂正、リンクの追加、一定期間が過ぎた記事のリライトを含みます。
この5工程は、費用の性質で見ると2種類に分かれます。外注費として現金が出ていく部分と、社内の時間として消えていく部分です。2つを別の列で記録してください。合算してしまうと、削れる余地がどちらにあるか分からなくなります。
工程の順序どおりに進まないことも織り込んでください。差し戻しが起きると、編集から企画に戻ってやり直す往復が発生します。この往復の時間は、どの工程に付けるかを決めておかないと記録から漏れます。
なお5工程目の公開後の修正は、原価に入れる範囲の線引きが必要です。公開から6か月分までを1本の原価に含める、といった線を先に引いておくと集計が安定します。無制限に含めると、いつまでも原価が確定しません。
工程の名前は社内で固定してください。企画と構成を分けて数える人と、まとめて数える人が混ざると集計が合いません。5つの名前と、それぞれに何を含めるかを1枚に書いて共有します。この1枚がないと、記録は3か月で使えなくなります。
工程1:企画と構成の時間を測る
最初の工程は企画と構成です。5工程のうち、実際の時間が最も過小に見積もられている部分になります。
この工程に入るのは、狙うキーワードの選定、検索結果の確認、競合記事の把握、構成案の作成、そして社内での合意です。担当者の感覚では30分の作業でも、記録を取ると3時間を超えている例が珍しくありません。
時間が膨らむ原因の多くは社内の合意にあります。構成案を出し、上長が確認し、方向性が違うと言われて作り直す。差し戻しが2回起きると、企画の時間は執筆の時間を超えることがあります。
短縮の余地はここに集中しています。記事の型を3種類ほど決めておき、構成案はその型に当てはめる形にすると、作成と合意の時間が同時に減ります。合意の基準が型として共有されているためです。
測り方の注意として、着手した日から完成した日までの日数ではなく、実際に手を動かした時間を記録してください。待ち時間と作業時間を混ぜると、原価が実態より大きく出ます。待ち時間は納期の管理の問題で、原価の問題ではありません。
時間を減らす具体策として、調査の範囲を先に決める方法があります。検索結果の上位を何件まで見るか、他社の記事を何本読むか。上限を決めていないと調査は際限なく広がります。上位10件と決めるだけで、企画の時間は本ごとのばらつきが小さくなります。
工程2:執筆と外注費を分けて置く
2つ目は執筆です。外注費が発生する唯一の工程になることが多く、原価の議論がここに集まりがちです。
外注の場合は発注1本あたりの額を計上します。ただし契約の条件で実額が変わります。修正の回数に上限があるか、追加の修正が有償か、写真や図の作成を含むかで、同じ単価でも総額が変わります。単価表の額をそのまま使わないでください。
社内で執筆する場合は時間で計上します。ある解説では、記事執筆に慣れていない社員だと1本あたり10時間以上かかることがあり、月4本で約40時間になると説明されています。40時間は社員1人の週1日分に相当し、これを無料と扱うと原価が半分近く消えます。
外注に出す場合でも社内の時間はゼロになりません。依頼内容の説明、質問への回答、納品物の受け取りと確認は社内の作業です。この管理の時間を執筆工程に付けるか別立てにするかを決めておいてください。
なお文字単価で発注する場合、SEO記事では1文字3円から6円が相場という説明があります。8,000字の記事なら2万4,000円から4万8,000円です。字数で単価を決める方式は計算が簡単ですが、字数を増やす動機が働く点は織り込んでください。
発注の形が月額の契約になっている場合は按分が必要です。月20万円で4本なら1本5万円ですが、3本しか出なかった月は1本あたり6万6,000円に上がります。本数が計画を下回ると単価が上がるという関係を、月次で確認してください。
工程3:監修と編集、校正の時間
3つ目は編集の工程です。生成AIを使う体制では、ここが最も時間を食う工程になっている媒体が増えています。
内訳は4つです。事実確認、内容への赤入れ、表記の統一、専門家による監修。このうち事実確認は、記事の内容によって所要時間が数倍変わります。数字や固有名詞、法令や仕様に触れる記事では、出典を1つずつ当たる作業が発生します。
赤入れの時間は、原稿の質と差し戻しの回数で決まります。赤入れを2往復すると、編集の時間は執筆の外注費に匹敵する規模になります。回数を記録しておくと、発注先ごとの実質の原価が見えてきます。
表記の統一は、ルールがあるかどうかで大きく変わります。表記の一覧が1枚あれば機械的に処理できますが、なければ毎回議論が発生します。ルールの整備は編集工程への投資として扱ってください。
監修については、社外の専門家に依頼するなら費用、社内の有識者に頼むならその人の時間として計上します。忘れやすいのは、依頼から回答までの待ち時間が納期に影響する点です。原価には入りませんが、本数の計画には影響します。
この工程は分割して外に出せる部分があります。事実確認と赤入れは社内に残しつつ、表記の統一と誤字の確認だけを外注する形です。判断を含まない作業なので品質が安定します。総原価は変わらなくても、担当者が判断に使える時間は増えます。
工程4:入稿と画像、公開作業
4つ目は入稿と公開の作業です。単純な作業に見えて、実際には1本あたり1時間から2時間かかることが多い工程です。
入るのは、CMSへの本文の入力、見出しの階層の設定、装飾の付与、内部リンクの設置、メタ情報の入力、公開日の設定です。装飾と内部リンクは、判断が必要なので機械的には終わりません。どこを強調するか、どの記事につなぐかを毎回考えることになります。
画像も同じ工程に入ります。アイキャッチの用意、記事内の図解の作成、素材を購入する場合の費用。図解を1本作ると、それだけで1時間から2時間が乗ります。図の多い記事は原価が上がるという当たり前の関係が、記録すると数字で見えます。
この工程は、5つのうち最も型化しやすい部分です。入稿の手順書を1枚作り、確認項目をチェックリストにするだけで、所要時間が半分近くになる例があります。担当を分けられる工程でもあります。
見落とされやすいのは、公開直後の表示確認です。パソコンとスマートフォンの両方で表示を確認し、リンクと画像が正しく出ているかを見る。10分程度の作業ですが、本数が増えると無視できない時間になります。手順書に入れておいてください。
入稿を別の担当に渡す場合は、引き継ぎの時間を計上してください。どこを強調するか、どの記事につなぐかの指示を書く時間が発生します。指示を書く時間が入稿の時間を超えるなら、分業しないほうが速いという結論になります。本数で判断してください。
工程5:公開後の修正とリライト
5つ目は公開後の作業です。1本の原価としては小さく見えますが、記事が増えるほど総量が膨らむ性質があります。
内訳は、誤りの訂正、情報が古くなった箇所の更新、リンク切れの修正、内部リンクの追加、そして一定期間が過ぎた記事のリライトです。公開した記事は在庫と同じで、持っているだけで維持の時間が発生します。
この構造は本数の計画に直結します。年に60本を公開すると、翌年は新規の60本に加えて既存の60本の維持が乗ります。維持の時間を計画に入れていない媒体は、2年目から本数が落ちます。
原価に入れる範囲は線引きが必要です。公開から6か月分の修正までを1本の原価に含め、それ以降のリライトは別の原価として数える形が扱いやすいです。リライトは新規の記事に近い工数がかかることもあります。
記録の方法としては、修正のたびに日付と所要時間を1行残すだけで足ります。半年後に集計すると、どの種類の記事が手間をかけているかが見えます。手間のかかる記事の型が分かれば、次の企画で条件を変えられます。
リライトの原価は、変更の度合いで大きく振れます。数字の更新だけなら30分、構成から作り直すなら新規と同程度です。記録の際は、軽微な更新と本格的なリライトを別の種類として数えてください。混ぜると平均値が使えなくなります。
社内の時間単価はどう置くか
工程の時間を金額に変えるには、時間単価が必要です。置き方には複数の方式があり、目的によって選び分けます。
| 置き方 | 計算のしかた | 向く場面 |
|---|---|---|
| 給与ベース | 月給を月の稼働時間で割る | まず桁を掴む |
| 人件費ベース | 給与に社会保険と賞与を加えて割る | 社内での予算申請 |
| 間接費込み | 人件費に家賃やツール費などを乗せる | 外注との比較 |
| 部署の平均 | 関わる人の単価を平均して1つにする | 継続的な記録 |
| 役割別 | 企画、執筆、編集で別の単価を置く | 工程ごとの改善 |
実務で扱いやすいのは4番目の部署の平均です。誰が作業したかで原価が変わる方式は、記録が煩雑になり比較もしにくくなります。まず1つの単価で全工程を換算し、必要になってから役割別に分けてください。
稼働時間の置き方も決めておきます。月160時間を分母にする形が一般的です。会議や社内対応を含めた実働で割ると単価が上がり、原価が実態に近づきます。
金額の感覚をつかむ例として、ある解説では月給40万円の社員が業務時間の半分をメディア運営に充てた場合、月20万円の人件費が発生すると説明されています。月4本なら1本あたり5万円が社内の人件費として乗る計算になります。外注費と同じか、それを超える規模です。
単価は年に1回見直せば足ります。頻繁に変えると期間ごとの比較ができなくなります。単価を変えた場合は、原価表に変更した日付と旧単価を書き添えてください。前年との比較が単価の変更によるものかを、後から判別できます。
業務委託や副業の人材が関わる場合は、支払額をそのまま単価として使えます。社員より計算が簡単な一方、稼働の実時間が把握しにくい点に注意してください。成果物の単位で契約している場合は、時間ではなく外注費の列に入れるほうが集計が合います。
原価に入れ忘れやすい項目の一覧
ここまでの5工程で漏れやすい項目を、確認できる形で並べます。この一覧を通すだけで、原価は3割から5割上がることが多いです。
- 構成案の社内レビューと差し戻しにかかった時間
- 外注先への依頼内容の説明と、質問への回答にかかった時間
- 数字や固有名詞の出典を確認する調査の時間
- 監修者への依頼と、社内の有識者に確認した時間
- 画像素材の購入費と、図解を作成した時間
- CMSへの入稿と、公開後の表示確認の時間
- 公開後の訂正、リンクの追加、リライトの時間
- CMSや分析ツール、生成AIの月額費用を本数で按分した額
- 企画したが公開に至らなかった記事にかけた時間
- 定例会や打ち合わせで記事について話した時間
影響が大きいのは1番目と3番目です。差し戻しと事実確認は、記事の内容によって時間が数倍に振れるため、平均値だけでは高い記事の理由が説明できません。この2つは工程別に記録する価値があります。
9番目は見落とされがちですが、企画の精度を測る材料になります。公開されなかった企画の時間を積むと、企画の段階で落ちる比率が可視化されます。落ちる比率が高い媒体は、企画の合意の取り方に問題があります。
8番目のツール費は、金額としては小さいことが多いです。ただし生成AIの有料プランを複数契約している場合、本数が少ない媒体では1本あたりの負担が無視できない額になります。年に1回は按分を計算してください。
この一覧は集計のときだけでなく、企画の段階でも使えます。取材が必要か、監修が必要か、図解が何点必要かを企画時に確認すれば、原価の見込みが先に立ちます。見込みと実績の差を記録すると、見積もりの精度が回を追って上がります。
AIで減る工程と減らない工程
生成AIを制作に入れると原価は下がります。ただし下がり方は工程によって大きく偏るため、期待値を合わせておく必要があります。
減りやすいのは、構成案の下敷きの作成、下書きの初稿、表記の統一、要約、図に落とす前の構造の整理です。白紙から書き始める時間がなくなるため、企画と執筆の工程は短縮されます。
一方で減らない工程があります。社内の合意、監修者の確認、入稿の判断、公開後の対応。人が判断する工程と、社外の相手を待つ工程は、道具を変えても短くなりません。
むしろ増える工程もあります。出力された内容の事実確認です。数字や固有名詞が正しいかを1つずつ確認する作業は、下書きが速く出るほど量が増えます。編集の工程が原価の中心に移る、という変化が起きています。
実務上の結論としては、AIの導入後に原価を測り直すことが必要です。導入前の内訳をそのまま使うと、削れる工程を見誤ります。あわせて、減った時間の使い道を先に決めてください。本数を増やすのか、1本の質に回すのか。決めないと、時間は別の業務に吸収されて原価の改善が数字に残りません。
ツールの費用を工程に配賦するかどうかも決めてください。厳密に分けるより、月額の合計を本数で割って全工程に一律で乗せる形が扱いやすいです。金額が小さいうちは、内訳を細かくする手間のほうが高くつきます。
1本の原価から回収を見る
原価が出ると、次は回収の話になります。ここで初めて、記事の制作が費用から投資に変わります。
並べる数字は2つです。記事1本の原価と、問い合わせ1件を獲得するのにかけている費用です。広告を出している媒体なら、後者はすでに把握できているはずです。この2つを同じ表に置くところから始めます。
注意が必要なのは期間です。記事は公開後も流入が続くため、単月では回収できません。ある解説では、オウンドメディアで成果が見え始めるまで半年から1年が目安とされています。1か月の数字で判断すると、必ず割に合わない結論が出ます。
計算は記事1本ではなく束で行ってください。1本ごとに回収を見ると、大半の記事が赤字に見えます。実際には数本が流入の大半を作る形になるため、20本や30本のまとまりで原価の合計と獲得の合計を比べます。
広告と比べるときは、費用の性質の違いを添えてください。広告は止めると流入も止まりますが、記事は公開したまま残ります。一方で記事には維持の時間がかかり、順位が落ちれば流入も落ちます。どちらが得かではなく、回収までの期間が違うという整理にすると議論が進みます。
問い合わせの件数が少ない媒体では、中間の数字で回収を見る方法があります。資料のダウンロード、料金ページの閲覧、社名での検索の増加。これらは件数が多いため、記事の束との対応を月単位で見られます。最終の成果と併せて置いてください。
原価が高すぎる記事の見直し
工程別の記録があると、原価の高い記事の理由が特定できます。理由が分かれば、次の企画で条件を変えられます。
高くなる原因は4つに集まります。差し戻しの回数、事実確認の量、監修の待ち時間、入稿の手作業です。このうち手を付けやすいのは差し戻しと入稿で、どちらも型と手順書で減らせます。
見直しの順序は、頻度の高い工程からです。1本で3時間かかる工程より、全記事で30分ずつかかる工程のほうが総量では大きくなります。入稿と表記の統一が、この条件に当てはまります。
同時に、原価が高いことが正当な記事もあります。独自の調査データを載せた記事や、顧客への取材を含む事例記事は、原価が高くても代わりがありません。安くする対象を選ぶときに、こうした記事を巻き込まないでください。
判断の基準としては、原価と流入の関係を並べるのが実務的です。原価が平均の2倍で流入が平均以下の記事の型が見つかれば、その型は作らないという判断ができます。原価の記録は、企画の取捨選択にそのまま使えます。
見直しの周期は四半期に1回で足ります。月ごとに見ると本数の変動に振り回され、年に1回では気づくのが遅すぎます。四半期の平均を並べれば、工程ごとの時間が増えているか減っているかが読めます。
社内説明と予算の通し方
原価を出す最大の効用は、社内での議論の質が変わることです。単価の話から投資の話に移ります。
説明に使う数字は4つで足ります。1本あたりの原価、月の本数、月の総額、そして回収の見通しに使う指標です。工程別の内訳は聞かれたときに出せば十分で、最初から出すと論点が細部に流れます。
記事は安く作れるはずだという指摘には、内訳で答えます。外注費を半分にしても総原価が2割しか下がらないという計算を示すと、議論の対象が変わります。数字がないと、この反論はできません。
あわせて、原価が下がった実績も記録してください。手順書の整備で入稿が30分短縮された、型の導入で差し戻しが2回から1回になった、という記録は次の予算の根拠になります。改善の履歴が残っている部署は、予算の議論で強くなります。
経営に見せる粒度は、総額と1本あたりの原価と回収の見通しまでです。工程別の時間は現場の改善に使う数字で、経営の判断には細かすぎます。相手によって出す粒度を変える、という当たり前の使い分けを決めておいてください。
やりがちな失敗と記録の残し方
原価の算定でよく見る失敗を挙げます。いずれも記録の設計に原因があります。
- 外注費だけを原価として報告する:社内の時間が抜けるため、内製と外注の比較が成り立ちません
- 全記事の全工程を毎回細かく記録しようとする:記録が工数になり、1か月で止まります
- 社内工数をゼロ円として扱う:担当者の時間が無料になり、原価の削減先を見誤ります
- AIの導入後に原価を測り直さない:工程ごとの比率が変わったことに気づけません
2つ目への対策は、期間を区切ることです。2週間だけ全工程を記録して平均値を作り、以降は本数と外注費だけを追う形にすれば続きます。平均値は半年ごとに測り直してください。
3つ目は最も静かに損失を生みます。社内工数を無料と扱うと、社内で作れば安いという結論が必ず出ます。実際には担当者の別の業務が止まっているだけで、費用は発生しています。
4つ目については、測り直す時期を決めておくのが確実です。道具や体制を変えた翌月に、2週間の記録を取り直す。比率の変化が分かれば、次に手を入れる工程を選べます。導入の効果を数字で説明する材料にもなります。
- 工程ごとの時間を書き込む様式を1枚に固定する。書き方が人によって違うと集計できない
- 時間単価と月の稼働時間の前提を、原価表に必ず書き添える。前年との比較で必要になる
まとめ
記事1本の原価は、外注費ではなく5工程の合計で出します。企画と構成、執筆、監修と編集、入稿と画像、公開後の修正。この5つに時間を割り振り、外注費として出ていく現金と社内の時間を別の列で記録します。外注費の相場は1本1万円から10万円とされていますが、社内の時間を積むと総原価はその1.5倍から2倍になることが多いです。
社内の時間単価は、人件費に間接費を乗せた額を部署の平均で置けば足ります。月給40万円の社員が業務時間の半分を充てれば月20万円、月4本なら1本5万円が社内の人件費として乗ります。差し戻しの時間、外注先への説明、事実確認、公開されなかった企画の時間は漏れやすいので、確認の一覧を通してください。生成AIを入れると企画と執筆は短くなりますが、事実確認は増えます。導入後は必ず測り直してください。
原価が出たら、問い合わせ1件あたりの費用と並べます。記事は単月では回収できないため、20本や30本の束で、半年から1年の期間で見ます。1本あたりの原価と月の総額と回収の見通しがあれば、社内の議論は単価の話から投資の話に移ります。まずは直近に公開した1本を選び、5つの工程にかかった時間を思い出せる範囲で書き出してみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
コンテンツ制作にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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