【2026年】誇大な表示に課される課徴金|計算と減額の条件

「効果をうたった広告の根拠を、後から示すよう求められている」「表示を直せば終わる話だと聞いていた」——販促の表現を作る部署から届く相談です。根拠を示せない表示は、直せば済む話ではありません。その商品の売上額を基準にした金額が課される仕組みになっています。この記事では、金額の計算の仕組みと、減額につながる2つの手続きを整理します。
カメ先生誇大な表示の責任はね、表示を直す命令で終わると思われがちだが、売上額を基準にした金額が課されることがあるんだ。
カメ子売上額が基準ということは、売れているほど重くなるのでしょうか。
カメ先生そうなる。割合で計算するからね。ただ、自主的に申告する道と、買った人に返金する道があって、どちらも金額を下げる方向に働く。
カメ子課される側にも打てる手があるのですね。計算の仕組みから見ていきます。
- 課徴金は、対象となる商品や役務の売上額に一定の割合を乗じて計算される
- 対象となる期間は最長3年で、額が一定の水準に届かない場合は課されない
- 自主的に申告する手続きと、返金の手続きで、額を減らせる仕組みがある
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表示を直すだけでは済まない
広告の表示に問題があると指摘されたとき、多くの担当者が想像するのは「表示を直す」という対応です。実際、表示を改めるよう求める命令は出されます。
しかし、それだけではありません。根拠のない効果をうたった場合や、実際より有利に見せた場合には、金銭の負担も生じます。
この負担は、違反の重さで決まるのではありません。その商品や役務がどれだけ売れたかで決まります。売れているほど、額は大きくなります。
だから、主力の商品で問題が起きると影響が重い。小さな商品で同じ表示をしても額は小さく、売れている商品では経営に響く水準になり得ます。
この制度を知らないまま表現を強めていく現場は少なくありません。「他社も書いている」「効果があるのは事実だ」という感覚で進めてしまいます。
この記事では、計算の仕組み、課されない場合、そして減らせる手続きを整理します。なお、個別の判断は事案によるため、顧問の弁護士に確かめてください。
対象になる2つの表示
課徴金の対象になるのは、大きく2種類の表示です。自社の広告がどちらに当たり得るかを押さえておきます。
1つは、品質や内容について実際よりも著しく優れていると誤認させる表示です。効果、性能、成分。こうした点を実際より良く見せる場合です。
もう1つは、価格や取引の条件について実際よりも著しく有利であると誤認させる表示です。値引きの見せ方、特典の条件、数量の限定。
法人向けの商材でも、どちらも起こり得ます。「導入すると業務の時間が半分になります」という表示は前者に関わります。
「今月限りの特別価格」と書きながら翌月も同じ価格で売っている。これは後者に関わり得ます。
重要なのは、「著しく」という要件があることです。わずかな誇張がすべて対象になるわけではありません。ただし、どこからが著しいかの判断は容易ではありません。
判断が容易でないからこそ、境目を狙うのは危うい。「これくらいなら大丈夫」の積み重ねが、いつか線を越えます。根拠のある範囲で書く、という原則に立ち返るのが確実です。
金額の計算の仕組み
計算の仕組みは、単純な掛け算です。対象となる売上額に、定められた割合を乗じます。
割合は3パーセントです。対象となる商品や役務の売上額の3パーセントが、課徴金の額になります。
対象となる期間は、問題のある表示をしていた期間です。ただし、遡れるのは最長で3年間です。3年を超えて続けていた場合も、3年分が上限になります。
計算に使うのは、会社全体の売上ではありません。問題のある表示をしたその商品や役務の売上額です。複数の商品を扱っていても、対象は絞られます。
逆に言えば、1つの商品でも3年にわたって売れ続けていれば対象となる売上額は大きくなります。年に1億円売れていれば、3年で3億円が基準になります。
この計算からすると、主力の商品での表示には特に慎重さが要ります。売れているほど、同じ表示の負担が重くなります。
課されない場合
すべての違反に課されるわけではありません。課されない場合が定められています。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 計算した額が一定の水準に届かない | 納付を命じられない |
| 相当の注意を怠った者でないと認められる | 課されない |
| 対象になる2種類の表示に当たらない | 課徴金の対象外(措置命令はあり得る) |
1つ目の水準は、150万円です。計算した額が150万円に届かない場合、納付は命じられません。
3パーセントで150万円になる売上額は、5,000万円です。対象となる売上額が5,000万円に届かなければ、この仕組みでは課されません。
ただし、課徴金が課されないことと、違反でないことは別です。表示を改めるよう求める命令は、売上額に関係なく出され得ます。
2つ目の要件も重要です。根拠を確かめる努力を尽くしていた場合には、課されないとされています。ただし、その努力を示せるかが問われます。
示すために必要なのが、確認の記録です。どの資料を、いつ、誰が確かめたか。記録がなければ、努力を尽くしたことを説明できません。工程を作るだけでなく、記録を残すところまでが備えになります。
減額の仕組み その1:自主的に申告する
違反に気づいた場合、自分から申し出ることで額を減らせる仕組みがあります。
課徴金の対象になる行為に当たる事実を、自主的に報告する。所定の要件を満たせば、額が2分の1に減額されます。
この仕組みは、早く気づいて早く動くことを促すものです。指摘を受けてから申し出るのでは、この減額は受けられません。
だから、自社で問題に気づいたときの判断が重要になります。隠して様子を見るのか、申し出て半分にするのか。
隠した場合、後から指摘されれば全額です。加えて、隠していたことが別の判断に影響する可能性もあります。
この判断は、担当者だけではできません。気づいた時点で法務と経営に上げる道筋をあらかじめ作っておく必要があります。
減額の仕組み その2:返金する
もうひとつの減額の仕組みが、購入した人への返金です。手続きを踏めば、返金した分を減額できます。
進め方は、返金の計画を作り、監督する側の認定を受けるという手順になります。勝手に返金しても、減額の対象にはなりません。
返金の方法として、従来は金銭に限られていました。改正により、第三者が発行する前払いの支払手段も認められるようになりました。いわゆる電子的な貨幣です。
この変更は、実務での使いやすさを高めるものです。口座の情報を集めて振り込む作業は、手間も費用もかかります。
法人向けの取引では、購入した相手が特定できているため返金の実行そのものは容易な場合が多い。消費者向けの商品より、この仕組みは使いやすいかもしれません。
なお、減額しても額がゼロになるとは限りません。減額した後の金額について、納付を命じられることになります。
繰り返した場合は加算される
改正で加わった重い規定が、繰り返した場合の加算です。一度指摘を受けた会社は、以後の扱いが厳しくなります。
違反の行為から遡って10年以内に課徴金の納付を命じられたことがある場合、額が1.5倍に加算されます。
10年という期間は長い。担当者が入れ替わっても、会社としての記録は残ります。過去に指摘を受けた事実を現在の担当者が知らないことも起こり得ます。
だから、過去の指摘の記録を社内で引き継ぐ仕組みが要ります。何を指摘され、どう直したか。
引き継がれていないと、同じ種類の表示をまた作ってしまいます。そして、2度目は1.5倍になります。
この規定は、表示の管理の体制を整える動機にもなります。一度でも指摘を受けた会社は、体制を作らないと次の負担が跳ね上がります。
引き継ぎの方法は単純です。指摘を受けた内容と、使ってはいけない表現を一覧にして残す。担当者が替わっても、この一覧があれば繰り返しを防げます。教育の材料としても使えます。
改正で加わったその他の変更
2024年の改正では、課徴金に関わる変更以外にもいくつかの仕組みが加わりました。あわせて押さえます。
1つは、自主的に是正することで命令を受けずに済ませる手続きです。問題を指摘された段階で、自ら是正の計画を出して認定を受ける形です。
この手続きを使うと、表示を改める命令も課徴金の納付命令も行われないことになります。公表される内容も、命令の場合とは違ってきます。
もう1つは、対象となる2種類の表示に対する罰則の新設です。従来は命令に従わない場合に罰則がありましたが、表示そのものに対する罰則が加わりました。
この罰則は、刑事の手続きによるものです。行政の手続きである課徴金とは別の枠組みで動きます。
これらの変更は、表示に対する姿勢をより厳しくする方向のものです。広告の作り方を見直す時期に来ています。
指摘が届くまでの流れ
実際に問題を指摘されるとき、どう進むのか。流れを知っておくと、初動で慌てません。
多くの場合、まず根拠の資料を出すよう求められます。期限が定められ、その期限内に提出できるかが分かれ目になります。
ここで資料を出せなければ、根拠がないものとして扱われる可能性があります。後から作った資料では間に合いません。表示をした時点で持っていた資料が問われます。
だから、資料の保管が重要になります。誰が作ったか、いつの試験か、どの製品についてか。すぐ取り出せる状態にしておきます。
提出した資料が表示を裏付けると認められれば、そこで終わります。認められなければ、次の段階に進みます。
この段階で、自主的な是正の手続きを取る選択も出てきます。どの選択が有利かは事案によるため、この段階では必ず弁護士に相談します。
この間、広告の配信をどうするかも判断が要ります。指摘を受けた表示を含む広告は、いったん止めるのが基本です。止めずに続けると、対象となる期間が延びます。売上額が積み上がる分、額も増えます。
公表される影響
金額の負担とは別に、公表されることの影響があります。法人向けの事業では、こちらのほうが重い場合もあります。
命令が出されると、会社名と内容が公表されます。検索すれば誰でも見られる状態になり、しかも消えません。
取引の相手が調べたときに、この記録が出てきます。与信や取引開始の審査で、説明を求められることになります。
入札に参加している場合は、参加の資格に影響する可能性もあります。制度によって扱いは違いますが、確かめておくべき点です。
採用にも響きます。応募を検討する人が会社名を調べたときに、この記録が目に入ります。説明を用意しておく必要が出ます。
だから、金額だけで判断してはいけません。「額が小さいから大丈夫」という考え方は、公表の影響を見落としています。
確認の工程をどう作るか
防ぐための体制は、難しいものでなくて構いません。工程を1つ入れるだけで、多くは防げます。
いちばん効くのは、効果をうたう表現について公開の前に根拠の資料と並べて確かめる工程です。
確かめる人は、作った人以外にします。作った本人は、書いた内容に引きずられて甘く判断します。法務が理想ですが、いない会社では別の部署の人でも構いません。
確認の記録も残します。いつ、誰が、どの資料と照らして確かめたか。この記録が、注意を尽くしたことの裏づけになります。
記録の形式は簡素でよい。確認の日、確認した人、照らした資料の名前。3列の表があれば足ります。凝った様式を作ると、運用が続きません。
対象を絞ることも大切です。すべての文言を確かめるのは現実的ではありません。効果、性能、価格の条件。この3つに関わる箇所だけを対象にします。
工程を作ったら、外注先や提携先にも同じ基準を伝えます。自社の中だけ整えても、外から出る表示は防げません。
工程が重いと、現場が回避を始めます。確認を通さずに公開する、確認の対象にならない書き方に逃げる。軽い工程を守り続けるほうが、重い工程を形式的に回すより効きます。1営業日で終わる形にしておきます。
根拠を用意する実務
課されないための最も確実な方法は、根拠を用意しておくことです。手順にしておきます。
「効果があります」ではなく、「◯◯の条件で△△が□□パーセント改善しました」と書き出します。曖昧な表現のままでは、何を裏付けるべきかが決まりません。
自社の試験の結果、第三者の調査、導入した会社の実測値。書いた内容と資料が対応しているかを、1つずつ確かめます。
どういう条件で得られた結果かを、表示の近くに書きます。条件を書かずに結果だけを書くと、あらゆる場合に当てはまるかのように読まれます。
表示と資料を並べて確かめる工程を入れます。作った本人は、書いた内容に引きずられて甘く判断します。
後から根拠を求められたときに、すぐ出せる場所に置きます。作った人が退職しても取り出せる形にしておきます。
3つ目の条件の明示が、実務でいちばん効く工程です。同じ結果でも、条件が書かれているかどうかで読まれ方が変わります。
確かめる項目
既に出している広告や資料を見直すときの項目を挙げます。1回棚卸しをしておく価値があります。
- 効果や性能をうたっている箇所を、すべて洗い出せているか
- それぞれに、対応する根拠の資料があるか
- 資料が古びていないか(数年前の試験の結果を使い続けていないか)
- 条件が明示されているか、それとも結果だけが書かれているか
- 価格や特典の条件が、実際の運用と一致しているか
- 過去に指摘を受けた表現が、別の場所で復活していないか
6つ目が、加算の規定を考えると重要です。一度直した表現が、別の資料で生き続けていることがあります。
洗い出しの対象は、サイトだけではありません。資料、展示会の掲示、動画、配信のメール。表示は多くの場所にあります。
見落としやすいのが、広告の文面です。サイトの表示は整えても、広告の見出しに強い表現が残っていることがあります。配信中の広告の文面を書き出して、1つずつ確かめます。自動で作られる部分がある場合は、その仕組みも確かめます。
3つ目の古びも見落とされます。数年前の試験の結果を現在の製品について使い続けていると、製品が変わっている場合に根拠として成り立たなくなります。
代理店や外注に任せている場合
広告の制作を外部に任せていても、表示の責任は表示をした事業者にあります。この点を押さえておきます。
制作会社が書いた文言でも、それを自社の広告として出した以上、自社の表示です。「言われたとおりに作った」では済みません。
だから、外注する場合も根拠を確かめる工程は自社で持ちます。外注先に根拠の確認まで任せると、確かめられないまま公開されます。
契約にも書いておきます。根拠の確認は自社が行う、効果をうたう表現は事前に自社の確認を受ける。この2点があれば、作業の流れが決まります。
提携先が自社の商品を宣伝する形の場合は、さらに注意が要ります。提携先の表示についても、自社の表示として扱われる場合があります。
提携先に渡す素材の中に、使ってよい表現の一覧を含めておく。これが、実務としての備えになります。
使ってはいけない表現の一覧も添えます。何を書いてよいかより、何を書いてはいけないかのほうが伝わります。過去に指摘を受けた表現があれば、その一覧に入れておきます。
やりがちな失敗
現場で見かける失敗を挙げます。どれも、悪意なく起きるものです。
- 「他社も同じ表現を使っている」を根拠にする
- 効果はあるという確信だけで、資料を用意しない
- 条件を書かず、結果の数字だけを大きく載せる
- 「今月限り」と書いた価格を、翌月も続ける
- 過去に直した表現を、別の資料で使い続ける
- 外注先に任せきりで、根拠の確認をしていない
1つ目は、まったく根拠になりません。他社が指摘を受けていないことは、その表示が適法である証明ではありません。
2つ目も現場では起きがちです。確信があるからこそ、資料を用意する必要を感じない。しかし問われるのは確信ではなく、示せる資料です。確信が強い担当者ほど、この落とし穴に落ちます。
4つ目は、法人向けの商材でも起こります。「期間限定の導入支援」と書き続けている資料。実際にいつでも受けられるなら、有利に見せる表示に当たり得ます。
- 課徴金は対象となる商品や役務の売上額を基準にするため、売れているほど重い
- 自主的な申告と返金の手続きで減額できるが、いずれも手順が定められている
- 個別の判断は事案によるため、顧問の弁護士に確かめる
よくある質問
法人向けの商材でも対象になりますか
対象になります。取引の相手が事業者であるかどうかで適用が分かれる仕組みではありません。個別の判断は事案によるため、弁護士に確かめてください。
小さな会社なら課されませんか
計算した額が一定の水準に届かなければ課されません。ただし、表示を改めるよう求める命令は売上額に関係なく出され得ます。
気づいたらすぐ申し出るべきですか
自主的な申告で減額される仕組みがあります。ただし、何を申し出るか、どのように進めるかは弁護士と相談して決めるべき事柄です。
直せば課徴金は避けられますか
直すことは必要ですが、直したから課されないという関係ではありません。自主的な是正で命令を受けずに済ませる手続きもありますが、手順が定められています。
何年前の表示まで遡られますか
計算に使う期間は、最長で3年間とされています。また、過去の指摘については10年以内であれば加算の対象になり得ます。
導入した会社の声として書けば大丈夫ですか
お客様の声として載せる形でも、自社の広告として表示している以上、自社の表示です。一部の人の感想であることを分かる形にする配慮が要ります。個別の判断は事案によるため、弁護士に確かめてください。
比較の表で他社より優れていると書けますか
書ける場合もありますが、根拠と条件が要ります。いつの時点の、どの製品との比較か。相手の製品が更新されれば、比較の前提も変わります。
無料の資料でも対象になりますか
売上のない配布物についての扱いは、個別の検討になります。ただし、資料の内容が商品の販売につながっているなら、その商品の表示として見られる可能性があります。
まとめ
広告で根拠のない効果をうたったり、実際より有利に見せたりすると、表示を改める命令だけでなく課徴金の負担が生じます。計算は単純で、対象となる商品や役務の売上額に3パーセントを乗じた額です。遡れる期間は最長3年。会社全体の売上ではなく、問題のある表示をした商品の売上額が基準になります。つまり、売れているほど重い。計算した額が150万円に届かない場合は課されず、これは対象の売上額が5,000万円に届かない場合に相当します。減らす仕組みは2つあります。自主的に申告して2分の1にする手続きと、計画を作って認定を受けて返金する手続きです。改正では、返金の方法に電子的な貨幣が認められました。一方で、10年以内に納付を命じられたことがある会社は額が1.5倍に加算されます。過去の指摘を社内で引き継ぐ仕組みがないと、同じ表現を繰り返して2度目の負担を負います。最も確実な備えは、効果をうたう箇所を洗い出し、それぞれに根拠の資料を対応させ、条件を明示することです。個別の判断は事案によるため、顧問の弁護士に確かめてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
広告運用にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
