AIで作ったBGMは会社の動画に使える?|権利と品質の確かめ方

「AIで作った曲なら権利者がいないので、自由に使えますよね」「無料の枠で作った音源を、そのまま会社の紹介動画に載せました」——どちらも、確かめるべき材料を飛ばしたまま結論を出しています。AIが作った音源を使えるかどうかは、著作権が誰にあるかで決まるのではありません。本当は、提供元との約束、出力を独占できるか、媒体側の扱いという別々の層が重なって決まります。この記事では、生成した音源を会社の動画に使ってよいかを判断する材料と、品質の面で使えるかを分けて確かめる手順を整理します。
カメ先生AIで作った音楽は権利者がいないから自由だと思われがちなんだけど、本当は「誰の権利か」より前に「提供元とどんな約束をしたか」で使える範囲が決まるんだ。
カメ子著作権の話ではなく、規約の話ということですか。
カメ先生順番の話だね。著作権が生じるかは国や場面で見方が分かれるけれど、規約は読めば書いてある。無料の枠は個人の範囲だけ、有料の枠なら会社の動画にも使える、という線が引かれていることが多い。
カメ子読めば分かるほうから先に確かめる、と覚えておきます。
- 使ってよいかは4つの材料で決まる。提供元の規約、出力を独占できるか、学習元をめぐる係争と和解の状況、媒体側の扱い
- 無料の枠で作った音源は、規約で個人の非商業目的に限られていることがある。有料の枠でも、出力に著作権が生じることは保証されていない
- 権利で通っても品質で落ちる。尺・つなぎ・音の癖を語りと合わせて確かめると、公開直前の差し替えが減る
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「権利者がいないから自由」が崩れる場面
生成した音源で問題が起きるのは、たいてい公開の後です。動画を出した後に、配信先から自動照合の通知が届く。取引先に納品した動画で、音源の出どころを説明できずに差し替えを求められる。展示会で流す前に法務の確認が入り、規約の条項を出せずに止まる。どれも「著作権が誰にあるか」を考えていて止まったのではなく、確かめる材料を用意していなかったために止まっています。
材料が用意できていない理由は単純です。生成した音源は、作った瞬間には何の記録も残りません。既存の音源なら、どこから買ったか、どの契約で使えるかが購入の記録として残ります。生成の場合は、誰がどのサービスのどの枠で、いつ作ったのかを意識して残さなければ、後から再現できません。記録のない音源は、権利の有無ではなく説明できないことで使えなくなります。
そこで、判断を4つの材料に分けます。提供元の規約でどこまで認められているか、出力を自社が独占できるか、学習元をめぐる係争と和解がどう動いているか、媒体側が生成物をどう扱うか。この4つは、それぞれ別の場所を見れば分かる材料です。順番に確かめれば、社内で判断できます。
判断は2つに分かれる——使ってよいかと、使えるか
最初に分けておくべきなのは、権利の判断と品質の判断です。この2つを同時に考えると、どちらも進みません。よくあるのは、良い曲が見つかったので使いたいが規約が読めていない状態と、規約は確認したが語りに乗せたら聞きにくかった状態です。前者は公開が止まり、後者は作り直しになります。
順番は、権利が先です。品質の確認には時間がかかるため、使えない音源を磨いてから気づくのは損が大きくなります。逆に、権利の確認は条項を読む作業なので、慣れれば数十分で終わります。先に規約を読み、通ったものだけを耳で確かめるという順にします。
もう1つ、判断する人も分けます。権利は、規約を読んで社内の決まりに当てられる人。品質は、語りを載せた状態で聞ける人。同じ人が両方を持つと、締め切りが近いときにどちらかが省かれます。1人しかいない場合は、日を分けて別の作業として行います。
使ってよいかを決める4つの材料
材料ごとに、何を確かめ、どこを見て、誰が決めるのかを整理します。この表を社内の様式にしておくと、案件ごとに同じ確認が回ります。
| 材料 | 確かめること | 見る場所 | 決める人 |
|---|---|---|---|
| 提供元の規約 | 商業目的で使えるか、どの枠が対象か | 利用規約の該当条項と発効日 | 担当と上長 |
| 出力の独占 | 同じような音源が他社に出ても止められるか | 規約の権利に関する条項 | 担当と法務 |
| 係争と和解の状況 | 提供形態や条件が近い将来変わる可能性 | 提供元の告知と報道 | 担当 |
| 媒体側の扱い | 開示のラベルが必要か、自動照合の対象か | 配信先の公式な説明 | 公開の責任者 |
表の4つは、重みが同じではありません。公開を直接止めるのは1つ目と4つ目で、2つ目と3つ目は中長期の判断に効きます。1本の動画に使うだけなら1つ目と4つ目を確実に、会社の音として長く使うなら4つすべてを見ます。
なお、この表は既存の音源を買って使う場合の確認とは別物です。既存の音源は、権利が録音と楽曲の二重に乗っているか、クレジット表記が必要かといった観点で確かめます。生成の場合は、提供元との約束が出発点になります。同じ「音源の権利確認」という言葉でも、見る場所が違います。
材料1:提供元の規約——無料と有料で線が引かれる
代表的な生成サービスの規約(2026年3月26日発効の版)では、無料の枠について、生成した出力を自分の合法な・内部の・個人的で商業目的でない用途に限って使う、と書かれています。会社の紹介動画や広告は、この範囲に入りません。無料の枠で試して、そのまま公開に回すのが最も多い事故です。
有料の枠については、提供元が持っている出力に関する権利を利用者に譲る、という書き方になっています。これで商業目的の利用の道が開きます。ただし条件が付くのが普通で、契約が続いている間に生成したものが対象なのか、退会した後も使い続けられるのか、正式な手順で取得した出力に限るのか、といった点は条項を読まないと分かりません。使いたい場面を先に決めてから、その場面が条項に入るかを確かめます。
読むときは、条項の番号と発効日を控えます。規約は改定されるためです。同じサービスでも、半年前に読んだ内容と今の内容が違うことは珍しくありません。控えるのは要約ではなく、条項の番号と発効日と読んだ日付です。後から法務に聞かれたときに、これがあれば説明できます。
ここでAIに規約を要約させて済ませるのは避けます。要約は下読みまでの用途です。使えるかどうかの結論を機械に出させると、条項の限定が落ちた要約を根拠に公開してしまいます。読む範囲を絞るために使い、判断は人が条項を見て行います。
材料2:出力を独占できるか
有料の枠で権利を譲られても、それとは別に押さえておく一文があります。同じ規約には、機械学習の性質上、出力に著作権が生じることを保証しない、と書かれています。譲られたのは提供元が持っている範囲の権利で、そもそも権利が生じているかは別の問題という構造です。
これが実務で意味するのは、他社が似た音源を使っても止められない可能性があるということです。規約には、出力が利用者の間で一意とは限らない旨も書かれています。指示の文が似ていれば、似た音が出ます。生成した音源は、自社を識別する要素としては弱いと考えるのが安全です。
量の面からも裏付けが取れます。ある音楽配信サービスの公表では、2026年6月の時点で完全にAIで作られた楽曲が1日あたりおよそ9万件届き、その月の最も多い日には新しく登録される楽曲の半分を超えました。2025年1月には1割程度だった割合です。同じような音が大量に生まれている場所で、自社の音だけを特別なものとして守るのは難しいと考えるほうが、現実に合っています。
この性質は、使い方を変えれば問題になりません。1本の動画の背景に敷く音、社内向けの資料動画、期間の決まった企画の音。ここは生成で十分に足ります。一方で、会社の音として長期に使うもの、商品名と結びつけて記憶させたいもの、他社が使ったら困るものは、生成した音源を出発点にしない判断があり得ます。独占できないことを前提に、使う場面を選び分けます。
材料3:学習元をめぐる係争と和解の状況
提供元の立場は、この1年で大きく動きました。2025年10月29日、大手の音楽会社と生成サービスの一方が、著作権侵害の訴訟を金銭的な和解で解決し、録音物と出版の許諾契約を新たに結んだと発表しています。許諾を得た音源で学習した新しい基盤を2026年に立ち上げる、という内容です。争っていた相手と組む形に切り替わりました。
同じ発表には、移行期間中の扱いも書かれています。既存の製品は囲われた環境の中で、指紋照合や絞り込みといった安全策を付けて提供が続く、という説明です。2025年11月には、別の大手音楽会社が2つの生成サービスと相次いで和解し、許諾を得た仕組みへ移ると報じられました。和解に至っていない会社との係争は残っていると報じられています。
この動きから実務が読み取るべきことは1つです。提供の形態と規約が、短い期間で変わる前提で使う。具体的には、規約を読んだ日付を記録し、長く使う音源は年に一度読み直す。提供元が仕組みを切り替えると告知したら、既に公開した動画の音源が新しい条件の対象かを確かめる。過去に適法だったことと、今も適法であることは別に確かめます。
- 規約の改定は、告知が目立たないことがある。長く使う音源は、読んだ日付と条項番号を台帳に残しておく
- 提供元が仕組みを切り替えた場合、既に公開した動画をどう扱うかを問い合わせる。答えも記録に残す
- 係争の見通しを社内で断定しない。判断が必要なときは、公開範囲を狭める側に寄せる
材料4:媒体側の扱い——生成した音楽は開示の対象になる
規約で通っても、公開する場所の決まりが別にあります。動画の共有サービスの公式な説明では、変更されたコンテンツや合成コンテンツの開示について、開示が必要な例として「AIが生成した音楽」が挙げられています。権利の話とは別に、視聴者に伝える手続きが要るという扱いです。
同じ説明では、開示が不要な例も並んでいます。自分の声を複製した吹き替え、音の修復、収録済みの音に効果を足すこと。整えるための処理は対象外で、新しく作り出した内容は対象、という線の引き方です。撮った音を整えるのか、音を生成するのかで扱いが分かれます。
欧州のAI規則の第50条は、2026年8月2日から適用されます。合成した音声について、機械が読み取れる形で人工的に生成されたと分かる印を付けることを求める内容です。標準的な編集を助ける機能で入力を実質的に変えないものは対象外とされており、線の引き方は共通しています。海外に向けて配信する動画は、公開範囲を決める段階で確かめます。
音楽の配信側でも、表示の動きが進んでいます。前に触れた音楽配信サービスは、2025年1月からAIで作られた楽曲を見分ける仕組みを動かし、2025年のうちに1,340万件を検出して印を付けたと公表しています。2026年6月には、聴く人に見える形でAI生成の表示を始めた最初の配信サービスだとしています。検出の精度は99.8%で、1,000件のうち見逃しは2件程度、人が作った1万件のうち誤って印を付けるものは1件未満という説明です。
同じ公表の数字のうち、実務に効くのは別のところです。大量に登録される一方で、AIで作られた楽曲が再生数に占める割合は1%から3%にとどまるとされています。生成した音源は、増えやすいが聴かれにくいという前提で見ると、動画の背景に敷く用途と、音そのものを聴かせる用途は分けて考えることになります。会社の動画で使うのは前者なので、量の多さは弱点になりません。
自動照合との関係も、頭に入れておきます。生成した音源であっても、配信先の照合の仕組みが反応する場合があります。出力が一意とは限らないという規約の記載を踏まえると、同じような音が別の経路で登録されている可能性は残ります。公開の前に、音源の記録を出せる状態にしておくことが対処の土台になります。通知が届いた後の手続きそのものは別に整理されているため、ここでは触れません。
日本の著作権はどこを見るか
生成AIと著作権の話は、学習の段階と生成・利用の段階を分けて考えるのが出発点です。学習の段階は、著作権法第30条の4という柔軟な権利制限の規定により、情報解析のような享受を目的としない利用であれば原則として許諾なく利用できるとされています。ただし、享受を目的とする利用が併存する場合や、権利者の利益を不当に害する場合は、ただし書きにより対象から外れます。
実務が関わるのは、主に生成・利用の段階です。ここは、既存の著作物への依拠性と類似性で判断されます。文化庁は「AIと著作権に関する考え方について」を2024年3月15日に、「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を同年7月31日に公表しています。学習が適法だから出力も安全、という理解にはなりません。
特に注意されているのは、指示の文の書き方です。特定の作家名や作品名を含める行為は、危険度が高いとされています。音源の場合、「あの曲のような雰囲気で」と書きたくなりますが、固有名を入れた指示は、依拠性を疑われる材料を自分で作ることになります。雰囲気を伝えるなら、速さ、楽器の種類、明るさ、場面といった要素で書きます。
出力が既存の曲に似ていないかを確かめる
確かめる方法は、完璧ではありませんが手順にはできます。まず、指示の文に固有名が入っていないかを見ます。次に、生成された音を通しで聞き、印象に強く残る旋律が既知の曲を思わせないかを、企画に関わっていない人に聞いてもらいます。作った本人は指示の文に引きずられるため、判定に向きません。
そのうえで、記録を残します。指示の文、生成した日付、使ったサービスと枠、生成した回数のうち何番目を採用したか。この4点があれば、後から経緯を説明できます。説明できることが、そのまま公開してよい根拠になります。逆に、指示の文を残していない音源は、似ていると指摘されたときに何も言えません。
検出の仕組みが厚くなっていることも、確認の姿勢に影響します。先の公表では、2025年に完全にAIで作られた楽曲の再生のうち最大85%が不正な再生だったとされ、カタログ全体の8%と比べて際立っています。生成した音源が置かれている場所は、監視が厚い場所でもあるということです。自社の動画で使う場合も、出どころを説明できる記録を先に持っておくほうが安全側に立てます。
公開範囲によって、確認の厚みを変えます。社内で共有するだけの動画なら本人の確認で足りますが、広告として配信する素材、取引先に納品する動画、記者に配る映像は、法務を含めた確認に回します。公開範囲が広い動画から順に厚くするのが、限られた時間の配り方です。
品質で使えるか(1)尺とつなぎ
権利が通っても、そのまま使える音源は多くありません。まず尺です。生成される長さは指定どおりにならないことがあり、動画の尺とは当然ずれます。合わせるには、切る、繰り返して伸ばす、終わりを作り直す、という作業が発生します。権利の確認が終わった時点では、作業は半分も終わっていません。
繰り返して伸ばすときに出るのが、つなぎの不自然さです。同じ部分を続けると、戻った瞬間に切れ目が聞こえます。音が減衰しきる前に頭に戻ると、段差として耳に残ります。実務では、静かな部分を境目に選び、境目をまたぐように音を重ねて隠します。境目を探す作業は、耳でしかできません。
もう1つ、映像の切り替わりと音の切り替わりを合わせるかどうかを決めます。章が変わるところで音も変わると、見る人は区切りを理解しやすくなります。ただし生成した音源は、指定した箇所で展開が変わるとは限りません。1曲で通すか、章ごとに別の音源を用意するかを、映像の構成が決まった時点で決めておきます。後から差し込むと、つなぎの処理をやり直すことになります。
終わりの処理も残ります。動画の終わりで音を切ると唐突になり、余韻を伸ばしすぎると次の場面に食い込みます。手順にすると簡単で、映像の尺を先に確定し、音は少し長めに生成して、終わりだけを作り直します。先に映像を固めてから音を合わせる順にすると、やり直しが1回で済みます。
品質で使えるか(2)耳につく癖
生成した音源には、聞き続けると気づく癖があります。同じ音形が短い周期で戻ってくる、歌詞を指定していないのに人の声のような音が混ざる、金属質な高い音が刺さる、曲の中で音量の差が大きい。1回聞いて良いと感じた曲でも、3分続けて聞くと気になる箇所が出てきます。採用の前に通しで聞きます。
会社の動画で特に効くのは、語りとぶつからないかどうかです。声と同じ高さの帯に楽器が入っていると、音量を下げても声が聞き取りにくくなります。無音の状態で良い曲を選ぶと、ここで失敗します。必ず語りを載せた状態で聞き、声の明瞭さが落ちないかを確かめます。
曲の中の音量差も見ます。静かな導入から急に大きくなる曲は、語りの下に敷くと聞きにくくなります。公開後の音量は配信先の仕組みでそろえられるため、ここで見るのは絶対的な大きさではなく、同じ曲の中でばらつきが大きくないかです。ばらつきが大きい曲は、避けるか、区間ごとに調整する手間を見込みます。
AIに判断させない範囲を、先に決めておく
この分野は、AIに任せたくなる場所がはっきりしています。規約を要約させる、似ている曲がないか判定させる、使ってよいかを答えさせる。3つとも、そのまま結論にすると危ないものです。要約は限定が落ちます。似ているかの判定は、根拠を示せません。使ってよいかは、社内の決まりを知らないと答えられません。
代わりに決めるのは3つです。1つ目は、AIに任せる範囲を「読む場所を絞ること」と「候補を挙げること」に限る。2つ目は、根拠を書かせる。規約のどの条項でそう言えるのか、条項の番号と原文を出させます。3つ目は、人が確認する範囲を先に決める。確認の範囲を後回しにすると、締め切りの週に省かれます。
根拠を出させる形にすると、副次的な効果があります。条項番号を出せない場合、そもそも規約に書かれていない可能性が見えます。書かれていないことを推測で埋めた回答は、根拠を求めた時点で崩れます。これは音源に限らず、規約の確認をAIに手伝わせるときの共通の作法です。
社内で判断する手順
ここまでの材料を、案件ごとに回せる手順にします。上から順に進め、途中で止まったら次に進みません。所要時間は、慣れれば1本あたり1時間から2時間の範囲に収まります。
社内共有だけか、自社サイトで公開するか、広告として配信するか、取引先への納品物か。公開範囲によって、必要な確認の厚みと決める人が変わります。ここを曖昧にすると、後の判断が全部曖昧になります。
商業目的で使えるか、対象になる枠はどれか、契約が続いている間に生成したものに限るのか。条項の番号と発効日、読んだ日付を控えます。使いたい場所が条項の範囲に入らなければ、ここで止めます。
指示の文、生成した日付、サービスと枠、採用した出力を控えます。指示の文に特定の作家名や作品名を入れていないことも、この時点で確かめます。
語りを載せた状態で通しで聞きます。声の明瞭さ、繰り返しの境目、曲の中の音量差、耳につく癖。企画に関わっていない人にも一度聞いてもらいます。
配信先で開示のラベルが必要かを確かめ、必要なら公開時に設定します。台帳に1行を追記し、公開の責任者が確認を終えてから公開します。
この手順の要点は、2番目で止まる案件を早く見つけることです。権利で通らない音源に品質の作業をかけるのが、最も大きな無駄になります。逆に言えば、2番目を通った音源は安心して手をかけられます。
記録として残す項目と、誰が決めるか
台帳に残す項目を決めておきます。項目が多いと続かないので、後から説明するために必要な最小限に絞ります。
- 使った動画(題名と公開先)と、公開の範囲
- 生成に使ったサービスと枠(無料か有料か)、生成した日付
- 指示の文(そのまま。要約しない)と、採用した出力の識別
- 規約を確認した日付、根拠になる条項の番号
- 開示のラベルを設定したかどうか、設定した人
- 品質の確認を行った人と、確認した日付
決める人は、公開範囲で分けます。社内共有なら担当の判断で足ります。自社サイトで公開するなら上長の確認を挟みます。広告として配信する素材と取引先への納品物は、法務を含めます。公開範囲が広がるほど、後から取り消しにくくなるからです。
台帳は、案件が終わってからではなく、生成した時点で書きます。後で書こうとすると、指示の文を思い出せません。台帳を書く手間は、1本あたり数分。書かなかった場合の調べ直しは半日という比較で考えると、決めやすくなります。
やりがちな失敗
- 無料の枠で作った音源を会社の動画に使う。規約で個人の非商業目的に限られている場合、公開の時点で条件を外れる
- 有料の枠にしたので何でも使えると考える。出力に著作権が生じることは保証されておらず、独占はできない
- 指示の文に特定の作家名や曲名を入れる。依拠性を疑われる材料を自分で作ることになる
- 指示の文を残さない。似ていると指摘されたときに、どう作ったかを説明できない
- 無音の状態だけで曲を選ぶ。語りを載せると声が聞き取りにくくなり、公開直前に差し替えになる
- 規約を読んだ日付を記録しない。改定後の条件で判断していたことに、問題が起きてから気づく
6つを見比べると、失敗は枠の取り違えと記録の欠落の2種類に分かれます。前者は読めば防げ、後者は書けば防げます。どちらも技術の問題ではないため、担当が代わっても同じ手順で防げます。逆に言えば、手順にしていない組織は同じ失敗を繰り返します。
混同しやすい言葉のミニ解説
指示の文
生成のときに書き込む文のことです。音源の場合、速さ、楽器、明るさ、場面などを書きます。この文は記録の対象で、要約せずそのまま残します。特定の作家名や作品名を入れないという原則は、ここに掛かります。
商業目的の利用
規約の中で最も条件が分かれる言葉です。売上に直接つながる使い方だけでなく、会社の紹介や採用の動画も含まれると読むのが安全です。社内で見るだけでも、対象になると書かれている場合があります。自分の使い方が該当するかは、条項の定義に当てて確かめます。
独占できるか
他社が同じような音源を使ったときに止められるかどうかです。出力に著作権が生じることを保証しないと書かれている以上、止められない可能性が残ります。使ってよいかとは別の論点で、混同すると長く使う音源の判断を誤ります。
指紋照合
音の特徴を数値にして、登録されている音源と照らし合わせる仕組みのことです。配信先で自動的に働き、一致すると通知が届きます。生成した音源でも反応する場合があるため、記録を出せる状態にしておくのが備えになります。
開示のラベル
AIが生成した内容であることを視聴者に伝える表示です。権利があるかどうかとは別に、媒体側の決まりとして求められます。公開のときに設定する項目なので、担当を決めておかないと漏れます。
享受を目的としない利用
著作権法第30条の4に出てくる考え方で、作品を味わうためではない利用を指します。情報解析のための学習が代表例です。ただし、享受を目的とする利用が併存する場合や権利者の利益を不当に害する場合は、ただし書きにより対象から外れます。学習の段階の話であり、生成した音源を使う段階の話ではありません。
まとめ
AIが作った音源を会社の動画に使えるかは、著作権が誰にあるかを考える前に、読めば分かる材料から確かめます。提供元の規約で商業目的の利用が認められているか。出力を独占できるか。学習元をめぐる係争と和解で提供の形が変わろうとしていないか。媒体側で開示のラベルが必要か。この4つのうち、公開を直接止めるのは規約と媒体側の扱いの2つです。そのうえで、尺・つなぎ・音の癖という品質の判断を、語りを載せた状態で行います。規約の要約や似ているかの判定をAIの結論として受け取らず、条項の番号を根拠として出させ、人が確認する範囲を先に決めてください。指示の文と日付と条項番号を残しておけば、後から説明できます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
