電話の一次対応は人かAIか|音声エージェントの線引き

電話の一次対応は人かAIか|音声エージェントの線引き

「代表番号にかかってくる電話の半分が、担当につなぐだけで終わっています」「窓口の人が辞めるたびに、取り次ぎを一から教え直しています」——社外からの電話を受けている部署で、この一年ほど増えている相談です。厚生労働省の令和6年雇用動向調査(2025年8月公表)を見ると、一般労働者の離職率は産業計で11.5パーセントなのに対し、産業別で最も高い「サービス業(他に分類されないもの)」は19.0パーセントでした。窓口を抱える仕事は、人を集める話より先に、人が抜けても回る形をつくる話になっています。ここで出てくるのが、話し言葉のまま応対するAIです。ただしこれは、電話を全部機械に置き換える道具ではありません。かかってきた電話を用件で仕分けし、人が出るべき電話だけを人に残すための道具です。この記事では、声で受ける一次対応に渡してよい電話とそうでない電話を、失敗の起き方から分けていきます。


カメ先生カメ先生

電話にAIを出させると聞くと、人件費を減らす話に聞こえるよね。でも実際に効いているのは、かかってきた電話を用件ごとに仕分けして、人が出るべき電話だけを残す働きのほうなんだ。


カメ子カメ子

電話の本数を減らすのではなく、人が出る電話を選ぶということですか。


カメ先生カメ先生

そう。それに声のやり取りは、文章のやり取りと違って相手が待ってくれる時間がとても短い。無音が続くこと自体が、電話では異常の合図として受け取られるんだ。


カメ子カメ子

待たせられないということは、機械が答えを探す時間も取れない、ということでしょうか。


この記事のポイント
  • 声の一次対応は電話を減らす道具ではなく、人が出るべき電話を選び分ける道具
  • 契約・金額・謝罪に関わる電話は渡さない。渡す用件は名前で書き出して決める
  • 代わる合図と、代わった後に引き継ぐ項目を先に決めてから入れる

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目次

窓口の中で、電話だけが減らない

問い合わせの受け口が増えても、電話の件数は思ったほど減りません。理由は単純で、かける人は書いて説明するより話したほうが早いと判断しているからです。用件が定型なら書いたほうが早いのですが、かける前の相手には、自分の用件が定型かどうかが分かりません。だから「とりあえずかける」が残ります。受ける側には、鳴った時点では中身が分からないという性質だけが残り続けます。

そこに人の事情が重なります。厚生労働省の「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年8月26日公表)では、令和6年の一般労働者の離職率は産業計で11.5パーセント、産業別で最も高いのが「サービス業(他に分類されないもの)」の19.0パーセントでした。パートタイム労働者でも同じ区分は23.8パーセントで、宿泊業・飲食サービス業の29.9パーセントに次ぐ高さです。同じ区分は入職率も高く、人が入っては抜けるという状態が、統計の上でも続いていることが読み取れます。

入れ替わりが多い窓口では、教える手間が絶えず発生します。新しく入った人が最初に覚えるのは、たいてい「この用件はどこへ回すか」という取り次ぎの地図です。覚えるのに数か月かかるのに、覚えた人から抜けていきます。声で受けるAIが効くのは、まさにこの部分です。取り次ぎの地図そのものは変わらないので、一度書いておけば人の入れ替わりの影響を受けません。裏を返せば、地図が社内のどこにも書かれていない会社では、機械に渡す前に地図を書く作業が先に来ます。ここを飛ばすと、導入は必ず止まります。

番号を押させる方式と、話し言葉で受けるAIは別の道具

電話の自動化そのものは以前からあります。「ご用件が〇〇の方は1を」と案内して番号を押させる方式です。これは分岐の道具であって、答える道具ではありません。自分の用件がどの番号に当たるかを、かけてきた相手に判断させています。この方式が嫌われるのは、待たされるからというより、当てはまる番号が無いときに行き先を失うからです。押した先で人が出ないと、相手はもう一度かけ直すところからやり直します。

話し言葉で受けるAIは、この分岐を「どういったご用件でしょうか」という一言に置き換えます。相手は自分の言葉で話し、機械の側が用件を判別します。相手に選ばせるのをやめて、こちらが聞き取る側に回るのが最も大きな違いです。置き換わるのは分岐だけとは限りません。用件によっては、その場で答えを返すところまで任せられます。ただし、その場で答えられる用件は思うほど多くありません。

二つは排他ではありません。行き先が完全に固定されている用件では、番号を押させる方式が今も最短です。設備の停止受付のように、迷う余地が無く、しかも一刻を争う用件は、番号を1つ押させるほうが確実に速い。声で受ける仕組みを入れるときは、既存の分岐を全部消すのではなく、どの枝を残すかを先に決めてください。すべてを話し言葉にすると、急いでいる人ほど遠回りになります。

声で受ける仕組みが、この一年で変わったところ

声のAIが実務の話になったのは、答えの賢さよりも、やり取りの速さと割り込みへの対応が変わったからです。音声をそのまま受けて音声で返す方式を提供する事業者の技術文書(2026年9月時点)には、割り込み、最初の音声が返るまでの遅れの短さ、自然な話者交代を必要とする音声の用途に向く出発点である、と明記されています。話し始めと話し終わりを自動で検知する設定も、別の案内として用意されています。

なぜこれが効くのか。電話では、無音が続くこと自体が異常の合図になります。文章のやり取りなら数秒の間は何でもありませんが、通話では相手が「もしもし、聞こえていますか」と言い出します。声の一次対応は、答えの正しさより先に、間の取り方で品質を判定されているということです。相手が言葉をかぶせてきたときに機械が話し続ければ、対話はそこで壊れます。割り込まれたら自分の発話を止められるかどうかが、実用かどうかの分かれ目でした。

同じ技術文書には、外部の仕組みの呼び出し、他への引き継ぎ、安全のための歯止めを、文章でやり取りする場合と同じやり方で付けられる、とも書かれています。つまり在庫や予約の照会といった外部の参照は、声の側の性能ではなく、つないだ先の仕組みの正確さで決まります。声が自然になったことと、答えが正しくなったことは別の話です。ここを混ぜて評価すると、聞き心地の良さだけで導入を決めてしまいます。

声で起きた失敗は、その場で取り消せない

声の一次対応で怖いのは、間違いが起きることそのものより、間違いが流れていってしまうことです。目の前に残るやり取りなら、相手は前に戻って読み直せます。通話では、機械が言った内容は相手の記憶の中にしか残りません。相手の記憶に残った言葉のほうが、こちらの記録より強い事実として扱われる場面が出てきます。これは声だけに固有の危うさです。

もう一つは速度です。通話は途中で止められません。相手が「では、それでお願いします」と言い切ってしまうと、その先の工程が相手の側で動き出します。金額や納期の見込みを機械が口にすると、確認の前に予定が組まれます。後から訂正の連絡を入れる作業は、最初から人が出た場合より確実に重くなります。任せて浮いた手間を、取り消す手間が上回ります。

だから声の一次対応では、答えの正確さを上げる工夫より、答えさせない範囲を決める工夫が先に来ます。言わせない言葉を決めるほうが、正しく言わせる調整より確実です。金額、納期、可否の断定、謝罪。この四つを最初から機械の語彙から外しておく。四つを外しても、取り次ぎと定型の案内は問題なく回ります。外して困る用件が出てきたら、それは人が出るべき電話だったということです。

渡してよい電話と、渡してはいけない電話

線引きは、業種や規模の一般論では決まりません。決まるのは、間違えたときに誰が何をやり直すことになるかで決まります。次の表は、社外から代表番号にかかってくる電話を、その観点で並べたものです。自社の直近1か月の着信を用件の名前で書き出し、どの行に何件入るかを数えてから読んでください。

電話の用件声のAIに渡せるか渡せないときの理由機械の側が行うこと
営業時間・所在地・行き方の確認渡せるその場で答え、通話の記録だけ残す
担当者の在席確認と取り次ぎ渡せる相手の名前と用件を聞き取り、担当へ回す
資料や見本の送付先の登録条件付き聞き間違いがそのまま誤送になる復唱して確認し、確定は人が目で見る
見積りや値引きの相談渡さない金額は言った言わないの争いになる用件だけ聞き、折り返しの約束を取る
納品物の不具合の申し出渡さない謝罪の言葉が事実の認定と受け取られる事実だけ聞き取り、すぐ人に代わる
契約の解約・条件の変更渡さない意思表示を受けた時刻が争点になる受け付けず、人に代わる

表の2列目が「条件付き」の行は、運用がいちばん難しくなります。渡せるようで渡せない。条件付きの行は、最初の3か月は「渡さない」に寄せてください。判断の練習ができていない段階で中間の扱いを増やすと、どちらでもない電話が滞留します。3か月後に録音を聞き直し、実際に問題が起きなかった用件だけを1つずつ上に移す。この順序なら、戻す判断も楽です。

表には載らない軸がもう一つあります。相手が誰か、です。既存の取引先からの電話と、はじめての相手からの電話では、同じ用件でも重さが違います。発信の番号で既存の取引先だと分かる電話は、用件にかかわらず人へ回すという割り切りも成り立ちます。番号での判別は機械のいちばん得意な仕事なので、追加の負担はほとんどありません。

渡さないと決める3種類:契約・金額・謝罪

渡さないものを決めるとき、用件を1つずつ検討すると終わりません。3種類の性質で括ってしまうほうが早く、しかも抜けません。1つ目は契約に関わるもの。申し込み、解約、条件の変更など、相手の意思表示を受け取る行為です。意思表示は、受け取った時点でこちら側に義務が生まれます。いつ受け取ったかが後で争われる余地がある以上、機械に受け取らせる理由がありません。

2つ目は金額に関わるもの。見積り、値引き、請求の内容についての問い合わせです。金額は、口にした瞬間に相手の判断材料になります。概算のつもりで言った数字が、そのまま社内の稟議に書かれることがあります。3つ目は謝罪です。「申し訳ありません」という一言は、場面によっては非を認めた事実として扱われます。事実関係が分からない段階でこの言葉を機械に言わせる設計は、危険なうえに利益がありません。

3種類を外すと、残るのは案内と取り次ぎです。物足りなく見えますが、件数の上ではここが最も多いはずです。渡す範囲を狭くすることは、効果を捨てることではありません。むしろ、狭くしたおかげで判定が単純になり、誤った渡し方が減ります。範囲を広げる話は、狭い範囲で3か月回してからにしてください。広げるときも、3種類の枠は動かしません。

人に代わる合図を、通話の中で決める

線を引いても、実際の電話は線のとおりにかかってきません。案内のつもりで始まった通話が、途中から解約の相談に変わります。だから設計の中心は、渡す範囲の広さではなく、どうなったら人に代わるかという合図のほうにあります。合図は、機械が「難しい」と感じたときではなく、通話の中に現れる具体的な言葉と状況で決めます。

実務で使える合図は、おおむね4つです。相手が金額・契約・不具合のいずれかの語を口にしたとき。同じ質問が2回繰り返されたとき。相手の声が大きくなったり、言葉が途切れたりしたとき。そして、相手が「人を出してください」と言ったとき。最後の1つは、理由を聞かずに即座に代わる。ここで機械が食い下がると、その会社の印象はその1回で決まります。

合図のうち、声の調子で判定するものは慎重に扱ってください。感情の推定をそのまま条件にすると、誤って代わる回数が増え、結局すべての電話が人に回ります。最初は、語の出現と繰り返しの回数という、数えられる条件だけで始めるのが確実です。調子による判定は、録音を聞き直して誤りの傾向をつかんでから足します。足すときも、代わる方向にしか使いません。代わらない方向の判定には使わないでください。

代わった後の引き継ぎ——同じ話を二度させない

代わると決めた後が、声の一次対応でいちばん難しいところです。通話はつながったままなので、相手は待っています。この待ち時間に何も起きないと、代わる前の対話がすべて無駄になります。文章のやり取りなら、担当が後から履歴を読めば済みます。通話では、代わる人が数秒で状況を把握しなければ、相手はもう一度最初から話すことになります。

必要なのは、代わる人の画面に何が出ているかを先に決めておくことです。渡す項目が多いほど良いわけではありません。数秒で読める量に絞ります。読めない量を渡すと、担当は結局読まずに「もう一度お聞かせください」と言います。引き継ぎの設計は、項目を足す作業ではなく、削る作業です。

  • 相手の名前と会社名。聞き取れていない場合は、聞き取れていないと明示する
  • 用件を相手の言葉のまま1行で。要約した言葉ではなく、相手が使った語を残す
  • 代わることになった合図の種類。どの条件で代わったのかが分かるようにする
  • 機械がすでに口にした内容。案内した営業時間や住所など、言ったことだけを並べる
  • 折り返しの約束をしたかどうかと、その時刻

4つ目を落とすと、担当が機械と違う案内をして、相手に混乱が伝わります。機械が何を言ったかは、相手が何を言ったかと同じくらい重要な引き継ぎ項目です。多くの設計がここを落とします。加えて、代わるまでの数秒に何を流すかも決めておきます。保留音でも構いませんが、「担当におつなぎします、少々お待ちください」と一言入れるだけで、切られる率は下がります。無言のまま切り替えるのが最も危険です。

人が出られない時間帯を、折り返しの約束に変える

夜間や休業日は、声のAIの効き目がいちばん素直に出る時間帯です。人がいない以上、比較の相手は「誰も出ない」か「留守番の録音」だからです。ただしここでも、機械に答えさせる範囲は昼と同じにしてください。人がいない時間帯だからといって、渡さないと決めた用件を渡してよいことにはなりません。むしろ、代われる人がいないぶん、範囲は狭くなります。

この時間帯の役割は、答えることではなく、折り返しの約束を確実に取ることです。相手の名前、会社名、連絡先、用件の1行、折り返してよい時間帯。この5つが取れていれば、翌朝の担当は電話をかける準備を終えた状態で出社できます。約束した時刻より前に折り返す運用にしておくと、この仕組みは一度で信用されます。逆に、約束した時刻を過ぎると、機械が対応したこと自体への不満に変わります。

留守番の録音との違いは、聞き返せることにあります。録音は、聞き取れない箇所があっても確認できません。声のAIなら、連絡先の番号を復唱して確認できます。復唱の確認だけでも、翌朝かけ直せない件数ははっきり減ります。ただし復唱は必ず行ってください。番号を聞き取ったつもりで1桁違っていると、折り返しは届かず、相手には「約束を破られた」としか見えません。復唱して一致するまで進まない設計にしておきます。

録音と、言った言わないの記録

声の一次対応を入れると、通話の録音が前提になります。機械が何を言ったかを後から確かめる手段が、録音しかないからです。ここで法令の扱いを押さえておきます。個人情報保護委員会が公開しているガイドラインのQ&Aでは、通話内容から特定の個人を識別することが可能な場合には個人情報に該当する、と示されています。該当する場合、事業者は利用目的を通知または公表する義務を負いますが、録音していることについて伝える義務までは負わないと書かれています。

義務ではないなら告げなくてよいか、というと話は別です。告げる理由は法令ではなく運用の側にあります。録音している旨を冒頭で伝えておくと、後から録音を根拠にした説明をするときに、相手の納得が得られやすくなります。告げるかどうかは、法令の要否ではなく、後で使う場面を想定して決める。使わない録音なら、そもそも取る理由も薄くなります。

もう一つ、同じQ&Aには踏み込んだ記述があります。録音した音声から特徴情報を抽出し、話者認識の仕組みによって本人を認証できるデータに変換した場合、そのデータは個人識別符号に該当し、それ単体で個人情報に該当する、というものです。声で本人確認をする機能を付けるなら、通話の録音とは別の扱いが必要になります。便利だからと後から足すと、利用目的の記載が実態に追いつかなくなります。足す前に、何のために本人を識別するのかを書き出してください。

機械であることを名乗るか、名乗らないか

応答の自然さが上がったことで、実際に迷う論点になりました。結論から言えば、名乗るほうが運用は楽になります。理由は誠実さの問題だけではありません。機械だと分かっている相手は、話し方を変えます。短く、はっきり、用件から話す。この変化が、聞き取りの精度をそのまま押し上げます。名乗らないと、相手は人に話すつもりで長く話し、判別は難しくなります。

名乗り方は、冒頭の一言で足ります。会社名を名乗り、自動で応対していること、用件によっては担当に代わることを伝える。3つを20秒以内に収めます。長い前置きは、それ自体が切られる原因になります。録音の告知を入れる場合も、この一言に含めてしまうのが現実的です。

名乗ったうえで、人だと誤解させる演出は外してください。相づちの多用、考え込むような間、雑談への応答。人らしさを足すほど、代わる場面で落差が大きくなります。最初から機械として応対し、代わるべき場面で素早く人に渡す。この形のほうが、通話全体の印象は良くなります。派遣も含めた従業者の監督が事業者の義務とされているのと同じで、機械に応対させた結果も、応対させた側が引き受けることになります。名乗るのは、その引き受けを最初に示す行為でもあります。

実務仕様:入れる前に測る4つの数字

導入の可否を会議で議論すると、たいてい印象の応酬になります。先に4つの数字を出しておくと、議論は30分で終わります。どれも1週間、着信を数えるだけで出ます。仕組みを入れる前に測っておかないと、入れた後の比較ができません。

  • 1日あたりの着信件数と、時間帯ごとの分布。昼休みと終業後の件数を必ず分けて数える
  • 取り次ぎだけで終わった通話の件数と、その割合。担当に回して自分は何も答えなかった通話
  • 人が出られずに鳴り止んだ件数。出られなかった時間帯も一緒に記録する
  • 1回の通話にかかっている時間の中央値。平均ではなく真ん中の値で出す

2つ目が、この仕組みで置き換わる候補の上限です。取り次ぎだけの通話が全体の1割しかない窓口では、声のAIを入れても人の負担はほとんど変わりません。2つ目が3割を超えていれば、投資の説明は数字だけで成立します。下回るなら、まず用件の内訳を見直すほうが先です。

4つ目を平均ではなく中央値で出すのには理由があります。長い通話が数本あるだけで、平均は実態より大きく出ます。しかも長い通話は、たいてい機械に渡さない種類の用件です。中央値で見ると、日々の大半を占める短い通話の実像が出ます。導入後の比較も、同じ中央値で行ってください。平均と中央値を取り違えると、効果が出ているのに出ていないように見えます。

段階的に渡す5つの手順

順番を間違えると、最初の1週間で「使えない」という評価が固まります。次の5段で進めると、戻せる状態を保ったまま範囲を広げられます。いきなり全時間帯で受けさせる形だけは避けてください

STEP1
用件を名前で書き出す

直近1か月の着信を聞き、用件の名前で30から50個に分けます。「その他」を作らないのがこつです。その他に入れた用件は、後で必ず問題になります。

STEP2
渡さない用件を先に抜く

契約・金額・謝罪の3種類に当たるものを、書き出した一覧から先に除きます。迷ったものは全部こちら側に寄せます。

STEP3
残りを答えの出どころで分ける

社外に公開済みの情報だけで答えられる用件から渡します。社内の台帳を引く必要がある用件は、台帳の正確さを確かめてから2段目に回します。

STEP4
代わる合図と引き継ぎの形を決める

代わる条件、代わる先、引き継ぐ5項目、代わるまでに流す言葉。この4つを1枚に書き、担当全員が同じものを見られるようにします。

STEP5
時間帯を区切って開始する

昼休みか終業後の数時間だけで始めます。毎日、全通話の録音を聞きます。件数が少ないので聞けます。2週間聞いて問題が無ければ、次の時間帯に広げます。

3段目の「台帳の正確さ」で止まる会社が多く見られます。機械に照会させる先の情報が古いと、自然な口調で古い内容を答えてしまいます。声が自然なぶん、間違った答えほど信じられてしまうという逆説がここにあります。台帳が整っていないなら、その用件は渡さない側に置いたまま進めてください。

5段目の「毎日、全通話の録音を聞く」は、必ず人がやります。要約を読むだけでは、間の取り方や切られ方が分かりません。聞くのは、対応の良し悪しを採点するためではなく、渡す範囲の線を引き直すためです。2週間で数十本聞けば、線がどこにあるべきかは自然に見えてきます。聞いて分かったことは、その日のうちに用件の一覧へ書き戻します。

やってはいけない渡し方

最後に、失敗の型を5つ挙げます。どれも、始めた時点で撤退の判断がしにくくなる進め方です。心当たりがあれば、範囲を狭めるところからやり直してください。

  • 全時間帯・全用件でいきなり始める:問題が起きても、どの用件が原因か切り分けられない
  • 人に代わる条件を機械の自信度だけで決める:自信度が高いまま誤った答えを返す場面を拾えない
  • 代わるまでの数秒を無言にする:相手は切られたと判断する。代わる設計ごと働かなくなる
  • 録音を取るが誰も聞かない:何を言ったかを確かめる手段があるのに使わないので、線を引き直せない
  • 機械が答えられなかった用件を後から足していく:渡さないと決めた3種類まで、いつの間にか含まれる

2つ目は、導入直後にほぼ必ず起きます。仕組みの側が出す確からしさの値は、答えの正しさではなく、言葉の続きやすさに近いものです。確からしさが高い誤答は、確からしさが低い誤答より危ない。だから代わる条件は、機械の内部の値ではなく、通話に現れた語と回数で決めます。

5つ目は、うまくいっているときほど起きます。答えられなかった用件が記録に残り、それを潰していくのは自然な改善に見えます。ところが、その一覧には渡さないと決めた用件も混ざっています。潰す前に、3種類の枠に当たらないかを毎回確かめてください。確かめる人を決めておかないと、この作業は誰もやりません。月に一度、追加した用件の一覧を枠と突き合わせる時間を取ってください。

よくある質問

Q. 人が対応した場合と比べて、相手の満足度は下がりませんか

下がる場面と上がる場面が、用件ではっきり分かれます。営業時間の確認のように答えが1つに決まる用件では、待たずに答えが返るぶん上がります。逆に、事情を説明したい用件では、どれだけ応答が自然でも下がります。満足度を全体の平均で見ると、この差が消えてしまいます。用件の名前ごとに分けて見てください。下がっている用件は、渡す範囲から外す候補です。

Q. 機械が答えを間違えた場合、責任はどこにありますか

応対させた側、つまり自社が引き受けることになります。提供元の仕組みを使っていても、どの用件を渡すかを決めたのは自社だからです。だからこの記事では、答えの精度を上げる話より先に、渡す範囲を狭く決める話を置いています。引き受けられない範囲は、最初から渡さない。これが唯一の確実な備えです。

Q. 方言や早口は聞き取れますか

以前より改善していますが、自社の相手で確かめる以外に判断の方法はありません。導入の検討中に、実際の着信を録音したものを使って試してください。提供元の実演用の音声で判断すると、本番との差に後から気づきます。聞き取りにくい相手が一定の割合でいるなら、その割合を人に回す前提で件数を見積もります。

Q. 導入した後、人の要員は減らせますか

減らすより先に、配置が変わると考えたほうが実態に合います。取り次ぎが減るぶん、代わって出る担当は、事情のある通話ばかりを受けることになります。1本あたりの重さが上がるので、人数を減らすと逆に回らなくなります。先に減らすべきは、人数ではなく待たせている時間です。要員の話は、待ち時間が安定してから改めて判断してください。

まとめ

声で受ける一次対応は、電話を減らす道具ではありません。人が出るべき電話を選び分け、それ以外を通す道具です。だから最初の作業は、仕組みを選ぶことではなく、直近1か月の着信を用件の名前で書き出すことになります。書き出したら、契約・金額・謝罪の3種類を先に抜く。残ったものを、社外に公開済みの情報だけで答えられるかどうかで分ける。ここまでで、渡す範囲はほぼ決まります。そのうえで、代わる合図を通話に現れる語と回数で決め、代わった後に引き継ぐ5項目を1枚に書く。始めるのは、昼休みか終業後の数時間だけで十分です。毎日、全通話の録音を人が聞ける件数から始めてください。2週間聞けば、線をどこに引き直すべきかは自分の耳で分かります。仕組みの良し悪しの議論は、そのあとで構いません。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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