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SaaSの新規契約の顧客で初期設定と利用開始が止まっているものを毎日拾い、止まっている理由の候補とフォローのメールの下書きをカスタマーサクセスへ渡す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

新規契約の顧客ごとに初期設定の進み具合を毎朝確かめ、予定より止まっている顧客を拾います。止まっている理由の候補を利用の記録と問い合わせから判定し、フォローのメールの下書きを付けて担当へ渡します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS
対象部門
カスタマーサポート/営業
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
判定
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
60%
年間削減
432h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当者が週に1回、受け持ちの顧客の一覧を開き、進み具合が気になる顧客を選ぶ
  2. 製品の管理画面でその顧客を開き、どの手順で止まっているか、最後にログインしたのはいつかを見る
  3. 問い合わせ管理で、その顧客から最近届いた問い合わせを探して読む
  4. CRMで、キックオフの打合せの記録と、営業から引き継いだメモを読む
  5. 止まっている理由を推し量り、メールを書くか電話をするかを決める
  6. フォローのメールを書いて送り、CRMに対応の記録を残す
導入後(After)
  1. 自動毎晩、製品のデータベースから進み具合の表がスプレッドシートへ書き出される(既存の仕組み)
  2. 自動スプレッドシートの式が、手順ごとの目安の日と完了日を比べ、止まっている顧客に印を付ける
  3. 自動毎朝8時に Zap が動き、印の付いた顧客の行をまとめて取り出す
  4. 自動顧客ごとに、AI by Zapier が利用の記録・問い合わせの件名・キックオフの記録から、止まっている理由の候補を決まった区分から選び、根拠を示す
  5. 自動理由の候補に合わせた型で、フォローのメールの下書きを Gmail に作る
  6. 自動担当者へ Slack で、顧客名・止まっている手順・理由の候補・下書きの件名を知らせる
  7. 人担当者が理由の候補と根拠を確かめ、メールを直して送るか、電話・打合せに切り替える
  8. 人対応した内容をCRMに残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当者が週に1回、受け持ちの顧客の一覧を開き、進み具合が気になる顧客を選ぶ
  2. 製品の管理画面でその顧客を開き、どの手順で止まっているか、最後にログインしたのはいつかを見る
  3. 問い合わせ管理で、その顧客から最近届いた問い合わせを探して読む
  4. CRMで、キックオフの打合せの記録と、営業から引き継いだメモを読む
  5. 止まっている理由を推し量り、メールを書くか電話をするかを決める
  6. フォローのメールを書いて送り、CRMに対応の記録を残す

(a)気づくのが遅い。 週に1回の確認では、止まり始めてから気づくまでに最大で1週間かかります。初期設定が止まった顧客は、止まった期間が長いほど再開しにくくなります。 管理者が他の業務に戻り、契約したこと自体が社内で忘れられていきます。

(b)理由を調べるのに時間がかかる。 2〜4番目は、管理画面、問い合わせ管理、CRMの3つを行き来する作業です。「データの取り込みで止まっている」ことは分かっても、その理由が CSV の形式なのか、元のデータの整理なのか、担当者が異動したのかは、問い合わせとメモを読まないと分かりません。

(c)フォローの仕方が担当ごとに違う。 ある担当は止まって3日で電話をし、別の担当は2週間待ってメールを送ります。どの手順で何日止まったら何をするかが決まっておらず、顧客によって受けるフォローが違います。

  1. 【自動】 毎晩、製品のデータベースから進み具合の表がスプレッドシートへ書き出される(既存の仕組み)
  2. 【自動】 スプレッドシートの式が、手順ごとの目安の日と完了日を比べ、止まっている顧客に印を付ける
  3. 【自動】 毎朝8時に Zap が動き、印の付いた顧客の行をまとめて取り出す
  4. 【自動】 顧客ごとに、AI by Zapier が利用の記録・問い合わせの件名・キックオフの記録から、止まっている理由の候補を決まった区分から選び、根拠を示す
  5. 【自動】 理由の候補に合わせた型で、フォローのメールの下書きを Gmail に作る
  6. 【自動】 担当者へ Slack で、顧客名・止まっている手順・理由の候補・下書きの件名を知らせる
  7. 【人】 担当者が理由の候補と根拠を確かめ、メールを直して送るか、電話・打合せに切り替える
  8. 【人】 対応した内容をCRMに残す

7番目が、この設計の分かれ目です。 メールは送られません。理由の候補は根拠の付いた見立てで、顧客の事情を知っている担当者が確かめてから使います。 自動で送ると、管理者が休暇中の顧客にまで督促が届きます。

2番目を式で決めているのも、意図してのことです。 止まっているかどうかの基準は、オンボーディングの手順の見直しに合わせて変わります。 式の側に置けば、目安の日を書き換えるだけで済みます。

02今回想定するシステム構成

構成図
製品のデータベース
   │  毎晩、進み具合の表を書き出す(既存)
   ▼
Google スプレッドシート ── 式で「止まっている」の印を付ける
   ▼【トリガー】Schedule by Zapier(平日の毎朝8時)
Zapier(Zap)
   ▼
Google Sheets ── Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)(印の付いた行をまとめて取り出す)
   ▼
Looping by Zapier(顧客ごとに繰り返す)
   ▼
AI by Zapier ── 止まっている理由の候補の判定と、メールの文案
   │   ナレッジ:初期設定の手順書、理由の区分の説明
   ▼
Gmail ── フォローのメールの下書き
   ▼
Slack ── 担当者へ知らせる
   ▼
Google Sheets ── 判定の結果と通知日を行に書き戻す
   ▼
【担当者が確かめて、送るか電話に切り替える】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Schedule by Zapier、Looping by Zapier、Google Sheets、Gmail、Slack)Make、Power Automate、n8n
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
保管Google スプレッドシート(進み具合の表、判定の記録)Airtable
通知Slack(担当者へのダイレクトメッセージ)Microsoft Teams

進み具合の表を書き出す仕組みは、今あるものを使います。 足すのは、止まっているかを決める式の列と、問い合わせの件名とキックオフの記録の要点を同じ行に寄せる列、そして Zapier の Zap です。製品のデータベースとCRMには、この構成からは書き込みません。

土台になるのは、Zapier の AI by Zapier です。 Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、返してほしい項目を出力のフィールドとして定義できます。 1つの手順にナレッジのソースを最大20まで付けられるので、初期設定の手順書と理由の区分の説明をソースにします。使えるのは Professional・Team・Enterprise のプランで、モデルの段階によって使うタスクの数が変わります(Standard は1倍、Advanced は3倍、Premium は5倍。新しい手順の既定は Premium)。

繰り返しには Looping by Zapier を使います。 取り出した複数の行を1件ずつ後の手順へ流す道具で、繰り返しの手順より後の手順は、すべて回数分動きます。 Free プランでは使えず、Professional 以上が必要です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

Schedule by Zapier で、平日の毎朝8時に動かします。 日ごとの実行では時刻を指定でき、週末を除く切り替えがあります。 時刻は分単位で保証されるものではなく、指定した時刻から数分以内に動くとされています。Schedule by Zapier そのものはタスクを使いません。

時間帯はアカウントの設定に従います。 アカウントの時間帯を変えたときは、Zap を一度止めて動かし直さないと反映されません。Zap の履歴の時刻は UTC で表示されるので、「8時に動いたか」を履歴で確かめるときは9時間ずらして読みます。

毎晩の書き出しの後に動かすことが前提です。 書き出しが朝までに終わっていないと、前日の表で判定します。表に「書き出した日時」の列を置き、今日の日付でなければ Zap を止めて担当者に知らせます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
進み具合契約ID、会社名、契約日、プラン、担当者、5つの手順それぞれの完了日進み具合の表(毎晩の書き出し)
利用の記録最終ログイン日、管理者のログイン回数(直近14日)、招待済み・有効な利用者の数、データの取り込みの失敗回数同じ表
問い合わせ直近30日の問い合わせの件名と状態問い合わせ管理から同じ表へ寄せた列
キックオフの記録導入の目的、管理者の名前と役職、社内展開の予定日、懸念として挙がったことCRMの記録の要点を表へ寄せた列
目安の日手順ごとに、契約日から何日目までに終えるか設定のシート
手順書と理由の区分初期設定の各手順のヘルプ、理由の区分ごとの説明とフォローの型AI by Zapier のナレッジのソース

質を決めるのは、データの取り込みの失敗回数とキックオフの記録の2つです。 失敗回数が無いと、③で止まっている顧客が「やり方が分からない」のか「まだ手を付けていない」のかを区別できません。キックオフの記録が無いと、「社内展開は来月から」と最初から決まっていた顧客を、止まっていると判定します。

問い合わせは件名と状態だけを寄せます。 本文まで渡すと、顧客の従業員の氏名や給与の数字が含まれることがあります。件名で理由の候補は十分に絞れます。

Step3

データの取得方法を決める

止まっている顧客の行は、Google Sheets の Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) でまとめて取り出します。一度に最大500行まで取れます。検索する列に「止まっている」の印の列、値に TRUE を指定します。

「止まっている」の印は、スプレッドシートの式で付けます。

列中身
次の手順完了日が空の最初の手順
目安の日契約日+設定のシートのその手順の日数
超過日数今日 - 目安の日(マイナスなら0)
停滞の印超過日数が3日以上、かつ管理者の直近7日のログインが0回、かつ前回の通知から7日以上
保留担当者が「様子を見る」と決めた顧客。保留の期限まで印を付けない

いちばん右の2つの条件が、同じ顧客に毎朝通知が飛ぶのを防ぎます。 前回の通知日は Zap が行に書き戻すので、一度知らせた顧客は7日間、印が付きません。

行の書き戻しは、Update Spreadsheet Row で1行ずつ行います。 この手順は1回の実行で1行しか更新できないので、繰り返しの中に置きます。行の ID は、まとめて取り出した手順の出力から渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 書き出しの日時の確認 … 今日の日付でなければ止めます
  2. 件数の上限 … 印の付いた行が50件を超えたら、繰り返しに入らず担当者のチャンネルに件数だけを知らせます
  3. 担当者の確認 … 担当者の欄が空の顧客は、カスタマーサクセスの責任者へ回します
  4. 解約・休止の顧客の除外 … 契約の状態が有効でない顧客は、印があっても除きます
  5. キックオフ前の顧客の除外 … キックオフの打合せが終わっていない顧客は、①の手順の判定から外します

2番目を置くのは、書き出しの不具合に備えるためです。 完了日の列が丸ごと空で書き出されると、全社に印が付き、全社分の下書きと通知が作られます。 普段の件数の数倍で止めておけば、被害は通知1件で済みます。

5番目は見落とされやすい項目です。 契約からキックオフまでに日が空く顧客は、①の目安の日を過ぎて印が付きます。まだ説明を受けていない顧客に「ご利用が進んでいないようです」と送ることになります。

3番目は、受け持ちの偏りを見るためにも使います。 担当者の欄が空の顧客は、営業から引き継ぐときに担当が決まらなかった顧客です。ここが毎週出るなら、引き継ぎの手順のほうに穴があります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、止まっている理由の候補を決まった区分から選び、根拠を示し、区分に合ったフォローの文案を作ることです。

区分主な根拠フォローの型
admin_absent 管理者が動けていない管理者のログインが0回、問い合わせも無い管理者の交代や不在の有無を確かめる
data_import データの取り込みで詰まっている取り込みの失敗回数がある、関連の問い合わせ手順書と取り込みの形式の確認、画面共有の提案
settings_design 組織・権限の決め方で止まっている②で止まり、権限の問い合わせ設定の考え方の例と、打合せの提案
rollout_waiting 社内展開の時期待ちキックオフで展開の予定日が先予定日の確認だけ
scope_mismatch 期待と製品の範囲が合っていない「できない」「対応していない」の問い合わせ担当者からの電話を勧める(メールは短く)
unknown 根拠が足りない上のどれにも根拠が無い状況を伺う短いメール

右端の型は、ナレッジのソースに書いておきます。 AIは区分を選び、その区分の型に沿って文案を作ります。scope_mismatch だけは、メールで説明を尽くさず、担当者の電話を勧める型にしています。期待とのずれをメールで説明すると、解約の理由を文章で残すことになります。

させないこと理由
止まっているかの判定式で決める。AIに任せると日によって判定が揺れる
根拠の無い区分の選択根拠が無ければ unknown
顧客の社内事情の推測「予算が凍結されたのでは」のような推し量りを書かない
値引き・無償の延長・追加サービスの提案契約の条件は営業と責任者が決める
解約の可能性への言及顧客へのメールにも担当者への通知にも書かない

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 管理者のログインが無い顧客を渡すと、AIは「担当者が退職した可能性があります」と書き足します。担当者がその推し量りを事実と受け取って電話をすると、顧客に失礼な聞き方になります。

Step6

指示内容を固定する

あなたはSaaSのカスタマーサクセスで、新規契約の顧客の初期設定を支援する立場です。
この顧客は、初期設定の手順が目安の日を過ぎて止まっています。
次の情報とナレッジだけを根拠に、止まっている理由の候補を判定してください。

【顧客の情報】
会社名:{company} 契約日:{contract_date} プラン:{plan}
止まっている手順:{next_step} 目安の日からの超過:{overdue_days}日
管理者の直近14日のログイン回数:{admin_logins_14d}
招待済みの利用者:{invited}名 有効な利用者:{active}名
データの取り込みの失敗回数:{import_failures}
直近30日の問い合わせの件名と状態:{tickets}
キックオフの記録:{kickoff_notes}

【判定のしかた】
- reason は次のどれか1つ:admin_absent / data_import / settings_design /
  rollout_waiting / scope_mismatch / unknown
- 区分の意味とフォローの型は、ナレッジの「理由の区分」に従ってください。
- evidence には、判定の根拠にした情報を、上の項目名と値のまま列挙してください。
- 根拠が上の情報に無い区分を選ばないでください。迷ったら unknown です。
- second_reason には、次に可能性のある区分があれば1つだけ入れてください。

【メールの文案】
- 宛先は管理者。件名と本文を作ってください。
- 区分のフォローの型に沿い、ナレッジの手順書の該当ページの名前を1つまで添えてください。
- 本文は400字以内。

【厳守事項】
- 顧客の社内事情(退職、異動、予算、優先度の変化)を推測して書かないでください。
- 値引き、無償の延長、追加のサービスを提案しないでください。
- 解約、契約の見直しに触れないでください。
- 「ご利用が進んでいない」など、顧客を責める言い方をしないでください。

理由の候補を2つまで返させるのは、担当者の判断の幅を残すためです。 管理者のログインが無く、取り込みの失敗もある顧客は、admin_absent とも data_import とも読めます。1つに決めさせると、担当者はもう一方を考えなくなります。

「根拠が無い区分を選ばない」を明記しないと、data_import に寄ります。 初期設定で最も多いつまずきなので、AIは根拠が薄くてもそれを選びがちです。evidence を項目名と値のまま書かせるのは、担当者が根拠を一目で確かめられるようにするためです。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力フィールドを、次の形で定義します。

{
  "reason": "data_import",
  "second_reason": "settings_design",
  "evidence": [
    "import_failures: 4",
    "tickets: 「従業員CSVの取り込みでエラー」対応中"
  ],
  "suggested_channel": "email",
  "mail_subject": "",
  "mail_body": "",
  "note_for_owner": ""
}

1つ目の理由は、reason で通知と集計を分けられることです。 区分が決まった語なので、月末に区分ごとの件数を数えれば、どの手順のどんなつまずきが多いかが分かります。

2つ目は、suggested_channel で連絡の方法を担当者に示せることです。 scope_mismatch のときは call になり、Gmail の下書きは作らず、Slack の通知だけを送ります。電話を勧める顧客に下書きがあると、そのまま送ってしまいます。

担当者への Slack の通知は、次のような形になります。

【初期設定の停滞】〇〇株式会社(契約 9/1・スタンダード)
止まっている手順:③従業員データの取り込み(目安から5日超過)
理由の候補:data_import(次点:settings_design)
根拠:取り込みの失敗 4回/問い合わせ「従業員CSVの取り込みでエラー」対応中
連絡の方法:メール(下書き:「従業員データの取り込みについてのご案内」)
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
進み具合の表Google Sheets(Lookup Spreadsheet Rows (Advanced))印の付いた行を最大500行まで取り出す
繰り返しLooping by Zapier顧客ごとに後の手順を動かす
AI by ZapierZap の手順理由の候補の判定と、メールの文案
メールGmail(Create Draft)管理者宛ての下書きを作る
通知Slack(Send Direct Message)担当者へ知らせる
書き戻しGoogle Sheets(Update Spreadsheet Row)判定の区分と通知日を行に書く

承認の手順(Human in the Loop の Request Approval)は、この Zap には置きません。 公式の説明では、繰り返しの手順の中や後には置けないとされています。担当者の確認は、Gmail の下書きを開いて送るという操作そのもので行います。

Slack は、1つのチャンネルへの投稿が1秒に1件までとされています。 担当者へのダイレクトメッセージに分けるのは、読む人を絞るためでもあり、1つのチャンネルに一度に数十件を流さないためでもあります。

責任者には、その朝の件数だけをまとめて知らせます。 繰り返しの後の手順は回数分動くので、loop_iteration_is_last が true のときだけ通る Filter を置き、その後ろに Slack の Send Channel Message を置きます。 中身は、担当者ごとの件数と区分ごとの件数です。責任者は個々の顧客ではなく、誰に偏っているか、どの区分が増えているかを見ます。

テストのときは、繰り返しの1回目しか表示されません。 本番では全件が回るので、最初の数日は印の付く件数を5件程度に絞った表で動かし、Slack の通知が件数どおりに届くかを確かめます。テスト用の preview_loop_values の欄を後の手順に割り当てると、本番で失敗するとされているので、割り当てには使いません。

CRMへは書き込みません。 対応の記録は担当者が残します。送ってもいない下書きの内容がCRMに残ると、顧客に何を伝えたかが分からなくなります。

Step9

人が確認する

担当者は、Slack の通知を見てから下書きを開きます。 見るのは次の3つです。

  1. 理由の候補と根拠 … 根拠の値が、自分の知っている顧客の事情と合っているか
  2. 連絡の方法 … メールでよいか、電話や打合せのほうがよいか
  3. メールの文面 … 手順書の案内が合っているか、言い方がその顧客に合っているか
  4. 宛先 … 管理者が交代していないか。キックオフの後に管理者が替わった顧客は、表の管理者の欄が古いままのことがあります

1番目で「知っている事情」と合わなければ、そちらを優先します。 電話で「来月まで繁忙期」と聞いていた顧客なら、メールは送らず、保留の列に期限を入れます。保留にした顧客は、期限まで印が付きません。

判定を覆したら、行の「担当者の判断」の列に区分を書きます。 月に一度、AIの区分と担当者の区分が分かれた件を並べると、ナレッジの区分の説明のどこを直すべきかが分かります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
書き出しが今日の日付でないZap を止め、担当者のチャンネルに知らせる
印の付いた行が50件を超える書き出しの不具合を疑う。繰り返しに入らず件数だけ知らせる
担当者の欄が空責任者へ回す
reason が区分の語以外下書きを作らず、通知に「判定できず」と書く
evidence が空なのに unknown 以外根拠の無い判定。unknown として扱う
管理者のメールアドレスが空下書きを作らず、担当者に宛先の確認を頼む
AI by Zapier の手順が失敗するその顧客の行は書き戻されないので、翌朝もう一度印が付く
同じ顧客に2日続けて印が付く前回の通知日の書き戻しが失敗している。行を確かめる

上から2行目が、いちばん被害の大きい例外です。 書き出しの不具合で全社に印が付くと、全社分の下書きと通知が一度に作られ、担当者は朝いちばんに数百件の通知を受け取ります。

Step11

記録を残す

  • 判定した日、顧客の契約ID、止まっている手順、超過日数
  • AIに渡した情報(利用の記録、問い合わせの件名、キックオフの記録の要点)
  • AIの出力(reason、second_reason、evidence、suggested_channel、文案)
  • 担当者の判断(送った/直して送った/電話に切り替えた/保留)と、覆した区分
  • その後、止まっていた手順が完了した日

最後の行が、この構成の効き目を測る材料です。 フォローから完了までの日数を区分ごとに見ると、どの区分のフォローの型が効いていないかが分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:止まっている顧客の情報を手でAIの画面に貼り、理由の区分を判定させる / 理由の見立て
半自動化:上記+式で止まっている顧客に印を付け、毎朝 Zap で判定・下書き・通知まで行う / 拾い出しから下書きと通知まで
本格構成:上記+担当者の判断と完了日を集計し、区分ごとのフォローの型と目安の日を毎月見直す / フォローの効き目の振り返りまで

本記事の想定は半自動化です。 1件20分が8分になり、その8分の中心は、根拠を自分の知っている事情と照らすことと、文面をその顧客に合わせて直すことです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、担当者が覆した区分がたまります。そこから区分の説明とフォローの型を直してから本格構成に進むほうが、振り返りの数字が意味を持ちます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  180件 × 20分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 180件 × 8分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
36h
削減率
60%
年間削減時間
432h
年間金額換算(時間単価3,500円)
151万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 法人向けのSaaSを提供し、毎月数十社の新規契約があり、契約から利用開始までの初期設定の手順(管理者の設定、データの取り込み、利用者の招待など)が決まっている会社。初期設定の進み具合を管理画面やデータベースから毎日書き出せる場合。カスタマーサクセスの担当が多くの顧客を受け持ち、止まっている顧客に気づくのが遅れている場合。Zapier の有料プランと Google スプレッドシート・Gmail・Slack を使える場合。
向いていない
  1. 新規契約が月に数社で、担当が全社の状況を毎日見られる場合。初期設定を自社の担当者がすべて代行しており、顧客の側の進み具合を追う必要が無い場合。製品の利用の記録を書き出す手段が無い場合。なお、顧客へ連絡するかどうか、契約の条件や値引き、解約の引き止めの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月、止まっていてフォローした顧客から20社を選ぶ(うち数社は、理由が後から分かったものを入れる)
  2. その20社について、フォローした時点の進み具合・利用の記録・問い合わせの件名・キックオフの記録を表にまとめる
  3. 1社ずつ、手元のAIサービスの画面に貼り付ける
  4. 「この顧客の初期設定が止まっている理由を、次の6つの区分から1つ選び、根拠を示してください。根拠が無ければ unknown にしてください。顧客の社内事情を推測しないでください」と指示する
  5. 出てきた区分を、後から分かった本当の理由と突き合わせる
出てきた内容判断
本当の理由と同じ区分が多いZap の作成に進む
根拠の無い区分を選ぶ、社内事情を推し量る指示の書き方で直る。構成は有効
unknown ばかりになる表に寄せる情報が足りない。 取り込みの失敗回数やキックオフの記録を足す

3行目が出ることは珍しくありません。 担当者は頭の中の情報で理由を見立てていたということで、その情報を表の列にすることが先の作業になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
根拠の薄い data_import が多い根拠の無い区分を禁じ、evidence を項目名と値で書かせる
顧客の社内事情を推し量って書く推測を禁じる。通知にも書かせない
同じ顧客に毎朝通知が飛ぶ前回の通知日を書き戻し、7日間は印を付けない
書き出しの不具合で全社に印が付く件数の上限で止める
キックオフ前の顧客に印が付くキックオフの完了を条件に入れる
展開の予定が先の顧客を停滞と見るキックオフの記録の展開予定日を表に寄せる
承認の手順を繰り返しの後に置こうとするRequest Approval は繰り返しの中や後に置けない。 下書きで確認する
繰り返しの後の手順が回数分動く最後の1回だけ動かす手順には loop_iteration_is_last の Filter を置く
電話を勧める顧客に下書きが送られるsuggested_channel が call なら下書きを作らない
Zap の履歴の時刻がずれて見える履歴は UTC で表示される

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、根拠の無いことをAIが書き足すことから出ています。担当者は通知を読んで顧客に連絡するので、通知に書かれた推し量りは、そのまま顧客への聞き方になります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の会社名、管理者の氏名とメールアドレス、製品の利用の記録、問い合わせの件名、キックオフの打合せの記録です。

  1. 問い合わせの本文を渡さない … 勤怠や経費のサービスでは、問い合わせの本文に顧客の従業員の氏名や給与の数字が含まれることがあります。件名と状態だけを表に寄せます
  2. 顧客へのメールを自動で送らない … 出すのは下書きまでです。顧客の事情を知っている担当者が確かめてから送ります
  3. 推し量りを記録に残さない … 「退職したのでは」「予算が無いのでは」といった推測が通知や記録に残ると、根拠の無い見立てが顧客の評価として社内に広まります
  4. この構成は契約の判断を代替しません … 無償の延長や値引き、契約の見直しは営業と責任者が決めることです
  5. 製品のデータベースへの接続を Zap に持たせない … Zap が読むのは毎晩書き出された表だけにします。データベースの認証情報を Zapier に置かずに済みます
  6. 進み具合の表の閲覧者を絞る … 表には全顧客の管理者の連絡先と利用の状況が並びます。カスタマーサクセスの担当と責任者に限り、Zap を編集できる人も同じ範囲にします

誤りが起きた場合のリスクは、的外れな理由で顧客に連絡することと、止まっている顧客を見逃すことの2つです。 前者は根拠を示させて担当者が確かめることで、後者は止まっているかの判定を式に置くことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:手順ごとの目安の日を決める

5つの手順それぞれについて、契約日から何日目までに終えるのが普通かを、過去の顧客の完了日から決めます。4名の担当者の感覚と合わせ、設定のシートに書きます。

2週目:理由の区分とフォローの型を決め、20社で試す

過去にフォローした顧客の本当の理由から、区分を6つ前後に絞り、それぞれのフォローの型を文にします。20社を手元のAIサービスで判定させ、根拠の無い区分を選んでいないかを最優先で見ます。

3週目:表に印の列を作る

進み具合の表に、次の手順・目安の日・超過日数・停滞の印・保留の列を足します。問い合わせの件名とキックオフの記録の要点を同じ行に寄せる列も作ります。

4週目:Zap をつなぐ

Schedule by Zapier から、行の取り出し、繰り返し、判定、Slack の通知までを作ります。この時点では Gmail の下書きを作らず、通知だけで区分の当たり方を見ます。

2か月目: 下書きを足し、担当者の判断を行に残します。3か月目以降: 区分ごとにフォローから完了までの日数を見て、1件20分が何分になったかを実測します。区分の説明とフォローの型を一度見直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
AI by Zapier が Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具であること。Professional・Team・Enterprise で使えること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しい手順の既定)の段階があること。出力フィールドを定義できること。1つの手順にナレッジのソースを最大20まで付けられることZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-07
Schedule by Zapier で日ごとの実行時刻を指定でき、週末を除く切り替えがあること。指定した時刻から数分以内に動くこと。タスクを使わないこと。時間帯の変更には Zap の再起動が要ること。履歴が UTC で表示されることZapier: Schedule Zap workflows to run at specific intervals2026-10-07
Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) で最大500行を取り出せること。Update Spreadsheet Row が1回の実行で1行しか更新できないことZapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets2026-10-07
Looping by Zapier が Free プランで使えないこと。繰り返しの手順より後の手順がすべて回数分動くこと。loop_iteration_is_last で最後の1回だけ動かせることZapier: Looping by Zapier2026-10-07
Human in the Loop の Request Approval が、繰り返しの手順の中や後に置けないことZapier: Request approval with Human in the Loop2026-10-07
Slack の Send Direct Message などのアクションがあること。1つのチャンネルへの投稿が1秒に1件までとされることZapier: How to get started with Slack on Zapier2026-10-07
Gmail の Create Draft のアクションがあることZapier: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-07

顧客へ連絡するか、どう伝えるか、契約の条件をどう扱うかは、カスタマーサクセスと営業の責任者が決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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