情報システム部が保守ベンダーと毎月開く定例の Teams 会議の記録と月次報告書から、Copilot で課題管理表の更新案と次回までの宿題をまとめる
保守ベンダーと毎月開く定例の Teams 会議の文字起こしと、ベンダーから届く月次の保守報告書を、Copilot で課題管理表と並べます。課題ごとの状態の変化、次回までの宿題と期限を表にし、課題管理表の更新案にします。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
- 対象業界
- IT・SaaS/小売/製造/金融
- 対象部門
- 情報システム
- 対象業務
- 台帳・マスタ管理/記録・議事録作成
- 主な課題
- 引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 要約
- 主な効果
- 入力漏れ削減/属人化解消/工数削減
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- 既存ツールのみ(小)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 定例の前に、そのベンダーの未完了の課題を課題管理表から書き出し、議題に貼る
- 定例に出て、メモを取る。ベンダーが説明する月次報告書を画面で見る
- 定例のあと、メモと録画を見直し、課題ごとに何が話されたかを書き出す
- 課題管理表を開き、状態・期限・範囲の列を1件ずつ直す
- 新しく出た依頼を課題管理表に足す。範囲が決まっていなければ「未決」にする
- 月次報告書の数字を確かめ、前月から大きく変わったものをメモする
- 議事録と宿題の一覧をベンダーに送り、内容の確認を頼む
- 人情報システム部が定例の Teams 会議を主催し、冒頭でベンダーに告げてから文字起こしを始める
- 人定例のあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、課題ごとの話の中身と宿題を表で出させる
- 人Copilot Chat で、会議・月次報告書・課題管理表を「/」で参照させ、課題管理表の更新案と宿題の一覧を作らせる
- 人担当者が、範囲の区別と期限を根拠の発言で確かめ、更新案を直す
- 人担当者が課題管理表を更新し、宿題の一覧を議事録としてベンダーに送る
- 人範囲が「未決」の課題は、次の定例の議題の先頭に置く
各工程の詳しい説明を読む
- 定例の前に、そのベンダーの未完了の課題を課題管理表から書き出し、議題に貼る
- 定例に出て、メモを取る。ベンダーが説明する月次報告書を画面で見る
- 定例のあと、メモと録画を見直し、課題ごとに何が話されたかを書き出す
- 課題管理表を開き、状態・期限・範囲の列を1件ずつ直す
- 新しく出た依頼を課題管理表に足す。範囲が決まっていなければ「未決」にする
- 月次報告書の数字を確かめ、前月から大きく変わったものをメモする
- 議事録と宿題の一覧をベンダーに送り、内容の確認を頼む
(a)定例のあとの整理に半日かかる。 1時間の定例の録画を見直し、課題管理表の60件のうち該当のベンダーの10件ほどを1件ずつ直します。8社分で、月の数日がこの作業で埋まります。 月末に定例が重なると、議事録がベンダーに届くのが次の定例の直前になります。
(b)保守の範囲内か範囲外かがあいまいなまま進む。 ベンダーの「対応します」が、保守の範囲内で対応するという意味か、見積を出すという意味かを、その場で確かめないことがあります。課題管理表の範囲の列が「未決」のまま何か月も残り、ある月に追加の見積が届いて、予算の相談が始まります。
(c)宿題と期限が漏れる。 定例では、ベンダーの宿題だけでなく、自社の宿題(利用部門への確認、端末の手配、メンテナンスの日程の調整)も出ます。自社の宿題は議事録の中に埋もれて、次の定例でベンダーから「先月お願いした件は」と聞かれて思い出します。
(d)担当が替わると経緯が追えない。 同じ障害が数か月おきに起きているとき、前回どう対応したか、恒久対策を誰が持っているかは、担当の記憶と過去の議事録にしかありません。 異動のたびに、ベンダーごとの議事録を何か月分も読み直します。
- 【人】 情報システム部が定例の Teams 会議を主催し、冒頭でベンダーに告げてから文字起こしを始める
- 【人】 定例のあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、課題ごとの話の中身と宿題を表で出させる
- 【人】 Copilot Chat で、会議・月次報告書・課題管理表を「/」で参照させ、課題管理表の更新案と宿題の一覧を作らせる
- 【人】 担当者が、範囲の区別と期限を根拠の発言で確かめ、更新案を直す
- 【人】 担当者が課題管理表を更新し、宿題の一覧を議事録としてベンダーに送る
- 【人】 範囲が「未決」の課題は、次の定例の議題の先頭に置く
この構成に自動で動く部分はありません。 課題管理表を書き換えるのも、ベンダーに送るのも担当者です。Copilot が作るのは更新案と下書きまでです。
4番目が、この設計の分かれ目です。 範囲の区別は、追加の費用につながります。Copilot が「保守内」と付けた行は、根拠の発言に範囲についての明示の言葉があるかを担当者が確かめます。 明示の言葉が無ければ「未決」に直します。
02今回想定するシステム構成
月次の定例会議(情報システム部が主催する Teams 会議、ベンダーは社外から参加) │ 冒頭で告げて文字起こしを始める ▼【トリガー】定例の終了 会議の Copilot(会議のチャットの「まとめ」タブ) └──▶ 課題ごとの話の中身・範囲についての発言・宿題と期限(表) ▼ Copilot Chat(「/」で 会議/月次報告書/課題管理表のリスト を参照) ├──▶ 課題管理表の更新案(課題番号ごと) ├──▶ 月次報告書の数字と前月との比較(報告書から写す) └──▶ 次回までの宿題の一覧(自社・ベンダー別) ▼ 【担当者が範囲と期限を根拠の発言で確かめる】 ▼ 課題管理表を更新 → 宿題の一覧を議事録としてベンダーに送る
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 処理 | Microsoft Copilot(Teams 会議の Copilot、Copilot Chat) | ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude |
| 会議 | Microsoft Teams(情報システム部が主催する会議と文字起こし) | 会議の録画 |
| 台帳 | SharePoint リスト(課題管理表) | 課題管理のツール |
| 保管 | SharePoint(ベンダーごとの月次報告書と議事録のフォルダ) | 社内のファイルサーバー |
新しく足すものはありません。 情報システム部の3名はすでに Copilot のライセンスを持っている前提です。ベンダーの担当者がライセンスを持つ必要はありません。 公式のページでは、ライセンスが無くても自分が主催する会議では Copilot の設定を管理できるとされています。
会議を主催するのは、情報システム部です。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot は動かないとされています。ベンダーが自社の Teams で会議を立てると、この構成は使えません。定例の招待は、情報システム部から出す決まりにします。
会議のあとに Copilot を使うには、文字起こしが要ります。 公式のページでは、会議が終わったあとに話された内容について質問するには文字起こしが必要とされ、文字起こしを有効にしていれば会議のチャットの「まとめ」タブから Copilot を開けるとされています。
課題管理表との突き合わせは、Copilot Chat で行います。 公式のページでは、Copilot Chat の入力欄で「/」を入力すると、ファイル、会議、メール、Teams のチャット、SharePoint のリストなどを参照できるとされ、SharePoint のリストは一度に2万件までの項目を扱えるとされています。会議やメールを参照するには、Copilot のライセンスを持ち、Work IQ をオンにしている必要があるとされています。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
定例の終了をきっかけに、担当者がその日のうちに始めます。 定例の直後なら、どの課題で何が決まったかを担当者がまだ覚えています。録画を見直す80分を、表を根拠の発言で確かめる時間に置き換えます。
文字起こしは、定例の冒頭で始めます。 議事の進行役が「議事録の作成のために文字起こしを使います」と告げる決まりにし、ベンダーとの間でも、文字起こしを使うことと保存の扱いを、最初の定例の前に書面で確かめておきます。 ベンダーの担当者が自社の別の顧客の名前を口にすることもあり、文字起こしに残ってよい話かどうかを、ベンダーの側も意識できるようにします。
定例を、Teams の定期的な会議の1つの系列にしないでください。 公式のページでは、定期的な会議で後の回が文字起こしされると、それまでの回の Copilot とのやり取りの履歴は使えなくなるとされています。ベンダーごとの定例は回ごとに別の会議として立て、Copilot の表はその日のうちに議事録のフォルダに移します。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 文字起こし | 定例の発言(話者の名前と時刻つき) | Teams の会議 |
| 月次の保守報告書 | 障害の件数と内容、問い合わせの件数、対応の時間、稼働率、作業の実績、翌月の予定 | ベンダーから届くファイル(PDF または Word) |
| 課題管理表 | 課題の番号、ベンダー、件名、状態、範囲、自社の担当、期限、最後の定例の日付 | SharePoint リスト |
| 前回の議事録 | 前回の宿題と期限 | 議事録のフォルダ |
| 出席者の一覧 | 出席者の名前と、自社・ベンダーの別と役割 | 担当者が定例の前に作る一覧 |
質を決めるのは、課題管理表の件名です。 定例では課題番号を言わずに「例の夜間バッチの件」「先月の帳票の話」と話が進みます。件名に、システムの名前と現象が入っていれば、Copilot が発言を課題に結びつけられます。 「障害対応」「問い合わせ」のような件名では、どの課題の話か決められません。
出席者の一覧も、定例の前に作っておきます。 文字起こしには話者の名前が付きますが、その人が自社の人かベンダーの人かは文字起こしには書かれていません。 宿題が自社のものかベンダーのものかを、一覧で決めさせます。
月次報告書は、定例の前日までに議事録のフォルダに置いてもらいます。 ベンダーから定例の当日に画面で見せられるだけだと、Copilot から参照できるファイルが残りません。 公式のページでは、参照できるのはアップロードしたファイルかクラウドに置いたファイルで、ローカルのパスは使えないとされています。
データの取得方法を決める
会議の Copilot には、会議のチャットの「まとめ」タブから指示を出します。 ここで課題ごとの表を作らせ、その表を Copilot Chat に貼ってから、月次報告書と課題管理表と並べさせます。 会議の Copilot が答えに使うのは、会議のチャットに書かれたことと文字起こしに残った発言で、共有されたファイルの中身までは使うと書かれていないためです。
| 取るもの | どこから | どう渡すか |
|---|---|---|
| 課題ごとの表 | 会議の Copilot の回答 | 議事録のフォルダに保存し、Copilot Chat に貼る |
| 月次報告書 | 議事録のフォルダ | Copilot Chat の入力欄で「/」を入力して選ぶ |
| 課題管理表 | SharePoint リスト | 「/」で選ぶ。該当のベンダーの未完了の課題だけを見るよう指示する |
| 前回の議事録 | 議事録のフォルダ | 「/」で選ぶ |
公式のページでは、会議のオプションで「会議のチャット・字幕・文字起こしのコピーと転送をオフにする」を有効にすると、Copilot の回答を Word や Excel に書き出せないとされています。定例の会議では、この設定を有効にしないでおきます。
月次報告書の形式は、ベンダーごとに違ってかまいません。 公式の対応形式のページでは、Word の .docx や PDF、表計算の .xlsx や .csv などが挙げられています。ただし、図だけで数字を示す報告書は、Copilot が数字を読み取れないことがあります。 数字の表をファイルの中に入れてもらうよう、ベンダーに頼みます。
AIへ渡す前に整形する
- 出席者の一覧を作る … 名前、自社かベンダーか、役割。ベンダー側の出席者が毎回変わるときは、招待の返信から足します
- 議題に課題番号を入れる … 定例の前に、該当のベンダーの未完了の課題を課題番号と件名で議題に並べます。進行役が「次はQ-0412、夜間バッチの遅延です」と番号を読み上げる決まりにします
- 月次報告書を置く … 定例の前日までに、ベンダーに議事録のフォルダへ置いてもらいます
- 課題管理表の件名を直す … 件名にシステムの名前と現象が入っていない課題は、定例の前に直します
- 前回の議事録の確定版を確かめる … ベンダーの確認を経た版があるかを見ます
- 他社の名前の話を分ける … ベンダーが他の顧客の事例を話し始めたら、その間は文字起こしに残すかを進行役が確かめます
2番目を軽く見ないでください。 課題番号の読み上げがあるだけで、Copilot が発言を課題に結びつける精度が大きく変わります。 番号が無いと、似た件名の課題(夜間バッチの遅延と夜間バッチの異常終了)が混ざります。
AIに処理させる
させるのは、課題ごとに話の中身を並べること、範囲についての発言を写すこと、宿題を自社とベンダーに分けること、月次報告書の数字を写すことです。
| させること | 中身 | 判断できないときの扱い |
|---|---|---|
| 課題ごとの状態の変化 | 課題番号ごとに、話された内容と、状態が変わったと言える発言 | どの課題か決まらなければ「課題不明」 |
| 範囲の区別 | 保守の範囲内・範囲外(見積)についての発言を、そのまま写す | 範囲について明示の発言が無ければ「未決」 |
| 宿題 | 自社・ベンダーの別、内容、期限、担当 | 期限が言われていなければ「期限の発言なし」 |
| 新しい依頼 | 課題管理表に無い依頼や相談 | 範囲は「未決」とする |
| 月次報告書の数字 | 障害・問い合わせの件数、対応の時間、稼働率を報告書から写し、前月の報告書と並べる | 報告書に無い数字は「報告書に記載なし」 |
| 根拠の発言 | 状態・範囲・期限の決め手になった発言を、話者・時刻とともにそのまま写す | 写せなければその列を空ける |
| 再発の候補 | 月次報告書の障害の内容と、課題管理表の完了済みの課題の件名が似ているものを並べる | 判断しない。並べるだけ |
最後の行は、第3章の(d)への手当てです。 月次報告書に「夜間バッチの遅延(1件)」とあり、課題管理表に半年前に完了した「夜間バッチの遅延」があれば、同じ原因の再発かもしれません。 再発かどうかは担当者がベンダーに確かめますが、並べて見せるだけで、前回の対応と恒久対策の担当を課題管理表から引けます。 課題管理表の完了済みの課題も参照させるので、指示では対象を「同じベンダーの過去1年の完了済みの課題」に絞ります。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 「対応します」を保守の範囲内と読むこと | 範囲外の改修が保守内として記録される |
| 稼働率やSLAの達成を計算すること | 数字は報告書から写す。達成の判断は契約と担当者 |
| ベンダーの対応の良し悪しを書くこと | 議事録は発言の記録。評価は別の場で行う |
| 課題を完了にすること | 完了は担当者が利用部門に確かめてから決める |
| 会議で言われた数字を報告書の数字として書くこと | 列を分け、違いは宿題にする |
1行目がいちばん起きやすい失敗です。 ベンダーが「では、こちらで対応します」と言うと、Copilot は保守の範囲で対応すると読みがちです。範囲を「保守内」にするのは、「保守の範囲で」「追加費用なしで」のような明示の言葉がある場合だけにし、それ以外は「未決」にさせます。
3行目は、公式の考え方とも重なります。 公式のプライバシーのページは、職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限しているとしています。「ベンダーの担当者の対応が遅い」のような書き方をさせません。
指示内容を固定する
会議の Copilot への指示(「まとめ」タブで出す):
この会議は、保守ベンダー({vendor})との月次の定例です。
出席者の一覧と議題(課題番号つき)を使い、課題ごとに表を作ってください。
【出席者の一覧】{attendees} ← 名前/自社・ベンダー/役割
【議題】{agenda}
【表の列】
課題番号/話の中身/状態の変化/範囲/宿題(自社・ベンダー)/期限/根拠の発言(話者・時刻)
【範囲は次の3つだけを使ってください】
- 保守内 … 「保守の範囲で」「追加費用なしで」など明示の発言がある場合だけ
- 保守外 … 「見積を出します」「別途お見積り」など明示の発言がある場合だけ
- 未決 …… 上のどちらでもない場合
【厳守事項】
- 「対応します」「やってみます」「検討します」は、範囲を決める言葉として扱わないでください。
- 根拠の発言は、文字起こしの文をそのまま写してください。要約しないでください。
- 自社かベンダーかは、出席者の一覧で決めてください。
- 期限が言われていない宿題は、期限を「期限の発言なし」としてください。
- 議題に無い依頼は、課題番号を「新規」としてください。
- 担当者の態度・対応の良し悪しを書かないでください。
Copilot Chat への指示(表を貼ってから出す):
次の表と、/{vendor}の月次報告書(今月) /{vendor}の月次報告書(前月)
/課題管理表 を参照してください。
1. 課題管理表のうち、ベンダーが{vendor}で状態が完了でない課題だけを対象に、
課題番号ごとの更新案を作ってください。列は
課題番号/いまの状態/更新案の状態/いまの範囲/更新案の範囲/期限/根拠の時刻。
表に無い課題は「今回の言及なし」としてください。状態を完了にしないでください。
2. 月次報告書の障害の件数、問い合わせの件数、対応の時間、稼働率を、
今月と前月で並べてください。報告書に書かれた数字だけを写し、計算しないでください。
3. 宿題を自社とベンダーに分けて一覧にしてください。
4. 今月の月次報告書の障害と、課題管理表のうち{vendor}の過去1年の完了済みの課題で、
件名が似ているものを並べてください。再発かどうかは判断しないでください。
「状態を完了にしないでください」を書くのは、 ベンダーが「対応は完了しました」と言うと、Copilot が更新案の状態を完了にするからです。ベンダーの作業が終わったことと、利用部門で問題が解消したことは別です。 完了は、担当者が利用部門に確かめてから付けます。
出力形式を固定する
課題管理表の更新案は、次の列で受け取ります。
課題番号 | いまの状態 | 更新案の状態 | いまの範囲 | 更新案の範囲 | 期限 | 根拠の時刻
Q-0412 | 対応中 | 原因調査済み | 未決 | 保守内 | 11/20 | 00:14「この修正は保守の範囲で対応します」
Q-0418 | 未着手 | 見積待ち | 未決 | 保守外 | 11/10 | 00:31「帳票の項目追加は別途お見積りになります」
Q-0420 | 対応中 | 対応中 | 未決 | 未決 | 期限の発言なし | 00:38「こちらで対応します」
Q-0399 | 対応中 | 今回の言及なし | - | - | - | -
宿題の一覧は、自社とベンダーに分けて受け取ります。
【自社の宿題】
Q-0412 | 夜間バッチの停止時間を利用部門に確認する | 情報システム部 □□ | 11/7
新規 | 工場の端末の入れ替えの日程案を送る | 情報システム部 △△ | 期限の発言なし
【ベンダーの宿題】
Q-0418 | 帳票の項目追加の見積を出す | ベンダー ◇◇ | 11/10
1つ目の理由は、範囲の区別を根拠の発言で確かめられることです。 3行目の Q-0420 のように「対応します」だけの行は「未決」のまま残り、次の定例の議題の先頭に「範囲の確認」として置かれます。 第3章の(b)が、ここで止まります。
2つ目は、「今回の言及なし」で放置された課題が見えることです。 4行目の Q-0399 のような行が2回続いたら、課題そのものが止まっていないかを担当者がベンダーに確かめます。
3つ目は、自社の宿題が埋もれないことです。 自社の宿題は、担当者の Outlook の予定か To Do に移します。第3章の(c)の「先月お願いした件は」を、この一覧で防ぎます。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Teams の会議 | 情報システム部が主催し、文字起こしを始める | 文字起こしと会議の Copilot |
| 議事録のフォルダ(SharePoint) | Copilot Chat から「/」で参照 | 月次報告書と前回の議事録 |
| 課題管理表(SharePoint リスト) | Copilot Chat から「/」で参照、更新は担当者 | 未完了の課題の読み取り |
| ベンダー | 担当者がメールで送る | 議事録と宿題の一覧 |
課題管理表を書き換えるのは担当者です。 Copilot の更新案を見ながら、リストの行を1件ずつ直します。更新案をそのまま一括で書き込む仕組みは、この段階では作りません(第9章)。
議事録のフォルダの権限は、情報システム部に絞ります。 公式のプライバシーのページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。月次報告書には障害の内容やサーバの構成が書かれているので、権限が広いと、他の部署の人の Copilot がそれを材料に使いえます。
人が確認する
- 範囲の行を根拠の発言で確かめる … 「保守内」「保守外」の行は、根拠の発言に明示の言葉があるかを見ます。無ければ「未決」に直します
- 課題の結びつけを見る … 似た件名の課題が取り違えられていないかを、根拠の時刻の発言で確かめます
- 月次報告書の数字を確かめる … 写された数字が報告書と合っているかを、報告書を開いて見ます
- 宿題の期限と担当を見る … 自社の宿題の担当が合っているかを見ます
- 完了を付ける … ベンダーが完了と言った課題は、利用部門に確かめてから課題管理表で完了にします
1番目を省かないでください。 範囲の列は、そのまま来年度の予算と保守契約の見直しの材料になります。「保守内」で記録した対応に後から見積が届くと、 担当者はベンダーと過去の発言をめぐってやり取りすることになります。
目標は、1件あたり75分です。 表を根拠で確かめる時間が30分ほど、課題管理表を直す時間が25分ほど、議事録をベンダーに送る時間が20分ほどという見立てです。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 文字起こしを始め忘れた | 会議の Copilot は会議のあとに使えない。これまでどおりメモと録画で書く |
| ベンダーが会議を主催した | Copilot が動かない。次回から情報システム部が招待を出す |
| 月次報告書が届いていない | 数字の比較を作らず、宿題に「月次報告書の提出」を足す |
| 課題番号が読み上げられず、課題に結びつかない | 「課題不明」の行を担当者が振り分ける |
| 会議で言われた数字と報告書の数字が違う | 両方を並べて、ベンダーの宿題に「数字の確認」を足す |
| ベンダーが他の顧客の話をした | 表と議事録から除く |
| 障害の詳細(IPアドレス、アカウント名)が話された | 議事録には書かず、課題管理表の詳細はベンダーの報告書を参照する形にする |
| Copilot が使えない(障害・ライセンス) | これまでどおり録画とメモで書く |
上の2行は、運用の決まりで防げます。 文字起こしの開始と会議の主催を、定例の招待のテンプレートに書いておくと、ほとんど起きなくなります。
記録を残す
- 会議の Copilot の表と、Copilot Chat の更新案(議事録のフォルダ)
- ベンダーに送った議事録と宿題の一覧
- ベンダーからの直しの依頼と、直した箇所
- 課題管理表の変更の履歴(SharePoint リストの版の履歴)
- 範囲が「未決」の課題の数の、月ごとの推移
最後の行は、保守契約の見直しの材料になります。 「未決」が多いベンダーは、契約の中で保守の範囲の書き方があいまいだということです。契約の更新の前に、未決になった依頼の型を並べて、範囲の書き方をベンダーと話し合います。
04実装レベルの3段階
最小構成では、課題管理表はまだ手で直します。 確かめたいのは範囲の区別の付け方です。 半自動化で、1件180分が75分程度になります。 録画の見直しが無くなり、課題管理表の更新案と宿題の一覧が Copilot の下書きから始まります。この段階が本記事の想定です。 本格構成は、更新案の書式が8社でそろってから進みます。 承認した行だけをワークフロー(Power Automate など)で SharePoint リストに書き込むと、課題管理表を直す25分がさらに短くなります。ただし、承認の手順を飛ばして書き込む作りにはしません。 範囲の列は、人が確かめた値だけを入れます。
05工数削減シミュレーション
導入後 8件 × 75分 ÷ 60 = 10 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 社内のシステムの運用を複数の保守ベンダーに委託し、情報システム部がベンダーごとに月次の定例会議を開いて、課題管理表を手で更新している場合。定例のたびに議事録と課題管理表の更新に数時間かかり、ベンダーへの依頼が保守の範囲内か追加の見積が要るものかがあいまいなまま進むことがある場合。定例を自社が主催する Teams 会議で開け、情報システム部に Microsoft Copilot のライセンスがすでにある場合。
- 保守ベンダーが1〜2社で、定例も短く、議事録を手で書いても負担にならない場合。定例をベンダーが主催する会議で開いており、自社の側で主催に切り替えられない場合。課題管理表をベンダーの課題管理の仕組みの中だけで持っていて、自社から参照できない場合。なお、保守契約の範囲の解釈、追加費用の発注の判断、ベンダーの評価は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- ベンダーに、試しに文字起こしを使うことを伝えて了承を得る
- 1社の定例を、情報システム部が主催する Teams 会議で開き、文字起こしする
- 会議の Copilot に第7章の指示を出し、課題ごとの表を作らせる
- これまでどおり手で作った議事録と課題管理表の更新と、表を並べる
- 範囲の区別と宿題が、手で作ったものと合っているかを見る
2回は必ずやってください。 ここで確かめるのは、「対応します」が範囲を決める言葉として扱われていないかです。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 範囲と宿題が手の議事録とほぼ同じだった | Copilot Chat で課題管理表と並べる段階に進む |
| 「対応します」が保守内になった | 指示の範囲の行を強める。構成は有効 |
| どの課題の話か分からない行が多い | 課題番号の読み上げと件名の直しが先。 AIの問題ではない |
3行目が出ることは珍しくありません。 これまでは担当者が、自分の記憶で発言を課題に結びつけていたということです。進行役が番号を読み上げる運用にしてから、もう1回試してください。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 「対応します」が保守内になる | 範囲は明示の言葉がある場合だけと指示し、根拠の発言で確かめる |
| 似た件名の課題が取り違えられる | 議題に課題番号を入れ、進行役が読み上げる |
| ベンダーの主催で Copilot が動かない | 定例の招待は情報システム部から出す |
| 定例の系列で前回の履歴が消える | 回ごとに別の会議として立て、表はその日のうちに保存する |
| 月次報告書を参照できない | 前日までにフォルダに置いてもらう。ローカルのファイルは使えない |
| 稼働率を Copilot が計算して誤る | 報告書の数字を写すだけと指示する |
| ベンダーの「完了」で課題が閉じる | 完了は利用部門に確かめてから担当者が付ける |
| 議事録のフォルダの権限が広い | 情報システム部に絞る |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、ベンダーとの後のやり取りで初めて分かります。根拠の発言と時刻を表に写させる設計は、この2つを担当者がすぐに見つけるためのものです。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 保守ベンダーとの定例の発言、月次報告書(障害の内容、システムの構成、問い合わせの傾向)、課題管理表、ベンダーの担当者の名前です。システムの構成と障害の詳細は、外部に出ると攻撃の手がかりになりうる情報です。
- 議事録のフォルダと課題管理表の権限を絞る … Copilot は利用者が閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。情報システム部以外が開けないようにします
- 障害の詳細を議事録に書きすぎない … IPアドレス、アカウント名、脆弱性の詳細は、議事録と Copilot の表に残さず、ベンダーの報告書を参照する形にします
- ベンダーとの取り決め … 文字起こしを使うこと、保存の期間、ベンダーの他の顧客の話を残さないことを、最初の定例の前に確かめます
- 学習への利用と処理の地域について … 公式のページでは、指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。一方で、EU 以外の顧客の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されうるとされています。社内の規程で処理の地域に決まりがあるかを確かめます
- やり取りの保存 … Copilot とのやり取りは利用履歴として保存され、管理者は Microsoft Purview で保持の方針を決められるとされています
- ベンダーの評価に使わない … 公式のページは、職場のやり取りから人の業績や態度を推し量る用途を制限しているとしています。定例の記録をベンダーの担当者の評価に使いません。 ベンダーの評価は、契約の指標と月次報告書の数字で行います
誤りが起きた場合のリスクは、保守の範囲を取り違えて記録することと、システムの詳細を広く見える場所に残すことの2つです。 前者は根拠の発言で確かめる工程で止め、後者はフォルダの権限と議事録に書く範囲の決まりで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:課題管理表と議題の型を整える
課題管理表の件名に、システムの名前と現象が入っているかを見直します。定例の議題に課題番号を並べる型を作り、進行役が番号を読み上げる運用を決めます。 出席者の一覧の型も作ります。
2週目:1社で試す
ベンダーの了承を得て、1社の定例を文字起こしし、会議の Copilot で表を作ります。手で作った議事録と並べ、「対応します」が範囲を決める言葉として扱われていないかを最優先で見ます。
3週目:Copilot Chat で課題管理表と並べる
月次報告書を議事録のフォルダに置いてもらい、Copilot Chat で課題管理表の更新案と数字の比較を作ります。更新案の状態が勝手に完了になっていないかを確かめます。
4週目:8社に広げる準備
定例の招待のテンプレート(情報システム部の主催、文字起こしの開始、コピーと転送の設定)を作り、8社に月次報告書の置き場所と、文字起こしを使うことを伝えます。
2か月目: 8社の定例で使い、範囲が「未決」の課題を議題の先頭に置く運用を始めます。3か月目以降: 1件180分が何分になったかを実測し、承認した更新案を書き込むワークフローを検討します。範囲が未決のまま残る課題が毎月減り、ベンダーから「先月お願いした件は」と聞かれなくなった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| 会議のあとに話された内容について質問するには文字起こしが必要なこと。文字起こしを有効にしていれば会議のチャットの「まとめ」タブから Copilot を開けること。参加者の組織の外で主催された会議では動かないこと。定期的な会議で後の回が文字起こしされると前の回の履歴が使えなくなること。コピーと転送をオフにすると回答を Word や Excel に書き出せないこと。ライセンスが無くても自分が主催する会議では Copilot の設定を管理できること。会議のチャットに書かれたことと文字起こしの発言を答えに使うこと | Microsoft Support: Use Copilot in Microsoft Teams meetings | 2026-10-26 |
| Copilot Chat の「/」で、ファイル、会議、メール、Teams のチャット、SharePoint のリストなどを参照できること。SharePoint のリストは一度に2万件までの項目を扱えること。会議やメールの参照には Copilot のライセンスと Work IQ のオンが要り、Work IQ をオフにするとファイルだけになること | Microsoft Support: Refer to specific files and more in Microsoft 365 Copilot | 2026-10-26 |
| 参照できるファイルの形式(Word の .docx・PDF、表計算の .xlsx・.csv など)。アップロードしたファイルかクラウドのファイルだけが使え、ローカルのパスは使えないこと | Microsoft Support: File formats supported by Copilot | 2026-10-26 |
| 利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りが利用履歴として保存され、管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められること。EU 以外の顧客の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されうること。職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限していること | Microsoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot | 2026-10-26 |
保守の範囲の解釈と追加費用の扱いは、保守契約の条項と社内の発注の手続きに沿って決めてください。 本記事は、上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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