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顧客から届いた提案依頼書(RFP)の要求事項に、過去の回答書と製品資料から回答の下書きを作り、答えられない要求を一覧にする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

顧客から届いたRFPの要求事項を1件ずつ読み、過去の回答書と製品の資料から、対応区分と回答の下書きを根拠の文書付きで作ります。根拠の見つからない要求は「答えられない要求」として一覧にし、締切の前に確認に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/人材/広告/物流
対象部門
営業
対象業務
情報検索/書類作成
主な課題
属人化している/情報が見つからない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
属人化解消/工数削減/検索時間短縮
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
63%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 営業がRFPを受け取り、SharePoint の案件のフォルダに保存して、プリセールスに回答の作成を頼む
  2. プリセールスが要求事項の一覧を読み、自分で答える要求、製品担当に聞く要求、法務に回す要求に振り分ける
  3. 似た要求に答えた過去の回答書を、記憶とサイトの検索で探す
  4. 見つけた回答を写し、今回の顧客の業種や規模に合わせて直す
  5. 過去に答えたことの無い要求は、製品の仕様書を読むか、製品担当に聞く
  6. 契約条件・価格の要求は、営業と法務が別に答える
  7. 営業が全体を読んで、締切までに顧客に提出する
導入後(After)
  1. 人営業がRFPを案件のフォルダに保存し、Teams の案件のチャネルでプリセールスに知らせる
  2. 人プリセールスが案件のノートブックを作り、RFPの要求事項の一覧と、決まった参照(回答ナレッジのフォルダ、製品資料、回答の決まり)を追加する
  3. 人ノートブックで決まった指示を章ごとに使い、要求ごとの対応区分の案、回答の下書き、根拠の文書を表で出させる
  4. 人同じノートブックで「答えられない要求」の一覧を出させ、確認先ごとに分ける
  5. 人プリセールスが答えられない要求を、RFPが届いた翌日に製品担当と法務に回す
  6. 人プリセールスが下書きの根拠を開いて確かめ、対応区分と回答を直す
  7. 人Word の Copilot で、回答の方針の要約(顧客に添える説明)を、ノートブックの結果を参照して下書きする
  8. 人営業が全体を読み、価格と契約条件の回答を足して提出する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 営業がRFPを受け取り、SharePoint の案件のフォルダに保存して、プリセールスに回答の作成を頼む
  2. プリセールスが要求事項の一覧を読み、自分で答える要求、製品担当に聞く要求、法務に回す要求に振り分ける
  3. 似た要求に答えた過去の回答書を、記憶とサイトの検索で探す
  4. 見つけた回答を写し、今回の顧客の業種や規模に合わせて直す
  5. 過去に答えたことの無い要求は、製品の仕様書を読むか、製品担当に聞く
  6. 契約条件・価格の要求は、営業と法務が別に答える
  7. 営業が全体を読んで、締切までに顧客に提出する

(a)過去の回答を探すのに時間がかかる。 「データの保存期間」「権限の設定の単位」といった要求は、過去に何度も答えています。それでも、どの案件の回答がいちばん新しく正しいかを探すのに、1件ずつ数分かかります。 200の要求なら、探すだけで半日になります。

(b)回答の質が担当ごとに違う。 長く担当しているプリセールスは「この要求は設定で対応、根拠は仕様書の何章」と即答しますが、入って1年目の担当は、同じ要求に「カスタマイズで対応」と書いて見積を膨らませることがあります。

(c)答えられない要求に気づくのが遅い。 要求を上から順に答えていくと、製品担当に聞かないと分からない要求に気づくのが、一覧の後半に入った締切の数日前になります。製品担当の回答待ちで、締切に間に合わない要求が出ます。

(d)古い回答を写してしまう。 2年前の回答書に「対応予定」と書いた機能が、いまは標準機能になっていることがあります。逆に、廃止した機能を「対応」と写してしまうことも起きます。

  1. 【人】 営業がRFPを案件のフォルダに保存し、Teams の案件のチャネルでプリセールスに知らせる
  2. 【人】 プリセールスが案件のノートブックを作り、RFPの要求事項の一覧と、決まった参照(回答ナレッジのフォルダ、製品資料、回答の決まり)を追加する
  3. 【人】 ノートブックで決まった指示を章ごとに使い、要求ごとの対応区分の案、回答の下書き、根拠の文書を表で出させる
  4. 【人】 同じノートブックで「答えられない要求」の一覧を出させ、確認先ごとに分ける
  5. 【人】 プリセールスが答えられない要求を、RFPが届いた翌日に製品担当と法務に回す
  6. 【人】 プリセールスが下書きの根拠を開いて確かめ、対応区分と回答を直す
  7. 【人】 Word の Copilot で、回答の方針の要約(顧客に添える説明)を、ノートブックの結果を参照して下書きする
  8. 【人】 営業が全体を読み、価格と契約条件の回答を足して提出する

この構成に自動で動く部分はありません。 全工程を人が Copilot に指示し、結果を確かめます。RFPは1件ごとに要求も様式も違い、Copilot に頼む範囲と確かめる範囲を担当が決めながら進める作業だからです。

5番目が、この設計の分かれ目です。 答えられない要求を翌日に回せば、製品担当は締切まで1〜2週間の余裕を持って答えられます。下書きを作るより先に、答えられないものを分けることに Copilot を使います。

02今回想定するシステム構成

構成図
顧客のRFP(要求事項の一覧:xlsx/docx/pdf)
   │  案件の SharePoint のフォルダに保存
   ▼【トリガー】営業が Teams で受領を知らせる
Copilot Notebooks(案件ごとに1つ)
   │  参照:RFPの要求事項の一覧/回答ナレッジのフォルダ(採用された過去の回答書)
   │        製品の仕様書・機能一覧・セキュリティの資料・SLA/回答の決まり
   ├──▶ 要求ごとの対応区分の案・回答の下書き・根拠の文書(章ごと)
   └──▶ 答えられない要求の一覧(確認先:製品担当/法務/営業)
   ▼
【プリセールスが根拠を開いて確かめ、区分と回答を直す】
   ▼
Word の Copilot ── 回答の方針の要約(/ でノートブックの結果を参照)
   ▼
顧客の様式に書き込み、営業が価格と契約条件を足して提出
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot Notebooks と Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(「提案・RFP」サイトと「製品資料」サイト)社内のファイルサーバー
共有Microsoft Teams(案件のチャネル)Outlook のメール

新しく足すのは、営業とプリセールス6名分の Copilot のライセンスだけです。 資料の置き場所は変えず、回答を探して写す工程に Copilot を入れます。

Copilot Notebooks を使う理由は、参照する資料を案件ごとに閉じられることです。 公式のページでは、ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使い、OneDrive の全体、メール、Teams のチャット、Webには行かないとされています。RFPの回答の根拠に、個人のメモや他社の情報が混ざらないことが大事です。

参照にできる数と形式も足ります。 公式のページでは、Microsoft Copilot のユーザーはノートブックに300を超える参照を追加でき、回答の根拠に使われるのは最初の300までとされています。対応する形式は .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページです。参照には、ファイルだけでなくフォルダやサイトも追加できます。 ただし、共有の場所を参照にした場合は、指示に関係の深い300のファイルが選ばれるとされているので、決まった資料はファイルとして直接追加します。

利用の条件も確かめておきます。 公式のページでは、Copilot Notebooks を使うには Microsoft Copilot か Copilot Chat のライセンスが必要で、ノートブックを作るアカウントには SharePoint または OneDrive のライセンス(サービスプラン)が要るとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

営業が Teams の案件のチャネルで、RFPの受領を知らせたときに始めます。 RFPが届いてから締切までは、多くの場合2〜3週間です。ノートブックを作るのは、届いた当日か翌日と決めます。答えられない要求を早く回すためです。

ノートブックは、作ったプリセールスから営業と製品担当に共有します。 公式のページでは、ノートブックはチームと共有して一緒に使えるとされています。営業は顧客との質疑の内容を、製品担当は答えられない要求への回答を、同じノートブックで確かめられます。

ノートブックは案件ごとに1つ作ります。 案件のノートブックには、その案件のRFPと、全案件で共通に使う参照を追加します。共通の参照は、毎回同じものを同じ順で追加する決まりにし、チェックリストを案件のフォルダに置きます。

【案件のノートブックに追加する参照(決まり)】
1. 今回のRFPの要求事項の一覧(顧客の様式のまま)
2. RFPの本文(調達の背景、スケジュール、評価の方法)
3. 回答の決まり(対応区分の付け方、使わない言い回し、確認先の一覧)
4. 製品の機能一覧(最新版)
5. 製品の仕様書(最新版)
6. セキュリティのホワイトペーパー、SLA
7. 回答ナレッジのフォルダ(採用された過去の回答書だけを集めたフォルダ)
Step2

入力データを集める

データ中身取得元
RFPの要求事項の一覧要求番号、章、要求の文、必須か任意か、顧客の対応区分の選択肢顧客から届いたファイル
RFPの本文調達の背景、利用者数、稼働の時期、評価の方法顧客から届いたファイル
回答ナレッジ採用された過去の回答書(要求の文、対応区分、回答、回答した年月)「提案・RFP」サイトの回答ナレッジのフォルダ
製品の資料機能一覧、仕様書、セキュリティのホワイトペーパー、SLA「製品資料」サイト
回答の決まり対応区分の付け方、確認先、書かない内容営業本部が用意する文書

質を決めるのは、3行目の回答ナレッジです。 「提案・RFP」サイトには、提出したが失注した回答書、途中で取り下げた下書き、顧客との質疑の途中のメモも混ざっています。それらを全部参照にすると、採用されなかった回答や古い回答を根拠にします。 回答ナレッジのフォルダには、製品担当が確かめた回答書だけを、回答した年月をファイル名に入れて置きます。

4行目と5行目は「最新版」だけを置きます。 製品資料のサイトに旧版が残っていると、廃止した機能を根拠に使います。旧版は別のフォルダに移し、参照に入れません。

【回答の決まり(抜粋)】
対応区分:
- 標準機能で対応 … 機能一覧に「標準」とある機能だけ
- 設定で対応 ……… 仕様書に設定の手順がある機能だけ
- カスタマイズで対応 … 根拠の文書が無いときは付けない(製品担当が決める)
- 対応不可 ………… AIは付けない(製品担当が決める)
書かない内容:ロードマップ(予定の機能)、価格、他社との比較、契約条件
確認先:機能・非機能 → 製品担当/契約条件・損害賠償・知的財産 → 法務/価格 → 営業
Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
RFPのファイル案件のフォルダからノートブックに追加要求の文と章立て
回答ナレッジフォルダをノートブックに追加過去の回答の文面と区分
製品の資料ファイルをノートブックに直接追加機能の有無と仕様の根拠
回答の決まりファイルをノートブックに追加区分の付け方と確認先

Copilot が使えるのは、プリセールスが見る権限を持つ資料だけです。 公式のページでは、Microsoft Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされ、ノートブックも追加した参照のうち、本人がアクセスの権限を持つものだけを使うとされています。製品資料のサイトの権限が営業に付いていないと、参照に追加しても使われません。導入の前に、サイトの権限を確かめます。

参照は、ファイルが変わると答えも変わります。 公式のページでは、データが変わっても参照は最新の状態を保つとされています。製品担当が仕様書を直せば、次の案件からはその内容が使われます。 逆に、提出した後に資料を直すと、提出時の根拠と違ってしまうので、提出した回答書はノートブックの結果とともに案件のフォルダに保存します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 要求事項の一覧の形を確かめる … 結合したセルや、1つのセルに複数の要求が入っている行は、提出用とは別の作業用の写しで分けます
  2. 章ごとの件数を数える … 章ごとに Copilot に頼むため、章と要求番号の範囲を書き出します
  3. 回答ナレッジの更新を確かめる … 直近の採用された回答書が、フォルダに入っているかを見ます
  4. 製品資料の版を確かめる … 機能一覧と仕様書が最新版かを、ファイル名の日付で見ます
  5. 顧客の名前を外す必要があるかを確かめる … 顧客との秘密保持の取り決めで、社内の共有にも制限がある案件は、ノートブックを共有せずに担当だけで使います

1番目を省かないでください。 1つのセルに「CSVで出力できること。またAPIで取得できること」と2つの要求が入っていると、片方だけに答えた下書きになります。 作業用の写しで分けておけば、どちらの要求に根拠が無いかがはっきりします。

Step5

AIに処理させる

させるのは、要求ごとに根拠の文書を探し、その文書に沿って対応区分の案と回答の下書きを作り、根拠が無い要求を分けて出すことです。

見るもの見方根拠が見つからないときの扱い
対応区分の案回答の決まりに沿って、根拠の文書がある区分だけを付ける区分を付けず「要確認」
回答の下書き回答ナレッジか製品資料の文面をもとに、今回の要求の文に合わせる下書きを作らない
根拠の文書文書名と、該当する章・項目空欄にし、確認先を書く
答えられない要求根拠が無い要求、契約条件・価格の要求、要求の文があいまいなもの確認先(製品担当/法務/営業)を付ける
回答ナレッジと製品資料の食い違い過去の回答と最新の資料で、区分や仕様が違うもの最新の資料を根拠にし、食い違いとして書く

「根拠が無ければ下書きを作らない」が、この表でいちばん大事な点です。 何も言わなければ、Copilot は要求の文を言い換えて「対応しております」と書きます。読みやすい回答ほど、根拠があるように見えます。 根拠の文書の欄が空の行は、回答の欄も空にする決まりにします。

最後の行の食い違いは、回答ナレッジを育てる材料になります。 2年前の回答書で「CSVの取り込みは手動」と答えた機能が、いまの仕様書では「定時の自動取り込み」になっていれば、今回の回答は仕様書に沿って書き、古い回答書には「旧仕様」の印を付けます。 印の付いた回答書がたまったら、製品担当がまとめて差し替えます。

させないこと理由
「対応不可」「カスタマイズで対応」の決定開発の判断と見積に関わる。製品担当が決める
予定の機能(ロードマップ)を根拠にした回答受注後の約束になる。書かない
価格・契約条件・損害賠償への回答営業と法務が答える
他社の製品との比較根拠の無い比較は書かない
顧客の業務の推測による補足RFPに書かれていない前提を足さない
Step6

指示内容を固定する

章ごとに、ノートブックのチャットで次の指示を使います。

あなたは当社のプリセールスとして、顧客のRFPの要求事項に回答書の下書きを作ります。
このノートブックの参照だけを使ってください。

【対象】
RFPの要求事項の一覧のうち、章「{chapter}」の要求番号 {from} から {to} まで

【やること】
要求ごとに、次の列の表を作ってください。
要求番号|要求の要約(20字以内)|対応区分の案|回答の下書き|根拠の文書名と章・項目|確認先

【決まり】
- 対応区分は「回答の決まり」に沿って、「標準機能で対応」「設定で対応」のどちらかだけを付けてください。
  それ以外の区分は付けず、「要確認」と書いてください。
- 根拠の文書が見つからない要求は、対応区分を「要確認」、回答の下書きを空欄にし、
  確認先に「製品担当」と書いてください。言い換えで回答を作らないでください。
- 契約条件・損害賠償・知的財産・価格に関わる要求は、回答の下書きを空欄にし、
  確認先に「法務」または「営業」と書いてください。
- 予定の機能、開発中の機能を根拠にしないでください。
- 回答ナレッジの過去の回答と、製品の機能一覧・仕様書の内容が違うときは、
  機能一覧・仕様書を根拠にし、確認先に「食い違い:回答ナレッジ(ファイル名)」と書いてください。
- 1つの要求に複数の条件が含まれるときは、条件ごとに根拠があるかを見て、
  根拠が無い条件があれば「要確認」にしてください。
- 顧客の業務や規模について、RFPに書かれていない前提を足さないでください。

「言い換えで回答を作らない」を明記しないと、根拠の無い下書きが混ざります。 要求の文は「〜できること」と書かれているので、それを「〜できます」に変えるだけで、それらしい回答になってしまいます。禁じるのは、要求の文を根拠の代わりにすることそのものです。

章ごとに頼むのは、確かめる単位を小さくするためです。 200の要求を一度に頼むと、表が長くなり、根拠の欄を1行ずつ確かめる作業が後回しになります。章ごとに頼み、章ごとに確かめて次に進みます。

答えられない要求の一覧は、全章が終わった後に次の指示で出します。

これまでの表から、対応区分が「要確認」の要求と、確認先が書かれた要求だけを、
確認先ごとに分けて一覧にしてください。
要求番号|要求の文(原文のまま)|確認先|確認したいこと(1文)
確認したいことは、要求の文と参照から分かる範囲で書き、推測で足さないでください。
Step7

出力形式を固定する

ノートブックのチャットの結果を、表で受け取ります。 Copilot Notebooks は API で構造化した結果を返す仕組みではないので、列を決めた表で受け取り、作業用の表に貼ります。

【回答の下書きの表(章ごと)】
| 要求番号 | 要求の要約 | 対応区分の案 | 回答の下書き | 根拠の文書名と章・項目 | 確認先 |
| F-031 | 権限を部署単位で設定 | 設定で対応 | 利用者の権限は、部署・役職の単位で… | 仕様書 v5.2 4.3「権限の設定」 | |
| F-032 | 承認経路を金額で分岐 | 要確認 | (空欄) | (空欄) | 製品担当 |
| N-104 | 稼働率99.9%以上 | 要確認 | (空欄) | SLA 2.1 | 法務(SLAの保証の範囲) |

1つ目の理由は、根拠の欄を1行ずつ確かめられることです。 プリセールスは、根拠の文書を開いて章・項目を見れば、下書きが正しいかを確かめられます。根拠の欄が空なのに回答がある行は、それだけで差し戻します。

2つ目は、答えられない要求を確認先ごとに渡せることです。 一覧を製品担当と法務の Teams のチャネルにそのまま貼り、誰が何をいつまでに答えるかを決めます。

3つ目は、顧客の様式への転記を機械的にできることです。 要求番号を鍵に、作業用の表から顧客の様式の一覧へ、対応区分と回答を写します。写すのは、プリセールスが確かめて「採用」の印を付けた行だけです。

回答の方針の要約は、Word の Copilot で下書きします。 公式のページでは、Word の Copilot の入力欄で「/」を入力してファイルを選び、特定の資料を参照させて下書きを作れるとされています。案件の作業用の表と、RFPの本文を参照させ、「当社の回答の特徴と、確認中の事項」を1ページにまとめさせます。公式のページも、下書きは共有する前に事実・数字・引用・名前を確かめるよう案内しています。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件のフォルダノートブックに参照として追加RFPのファイル
回答ナレッジのフォルダノートブックに参照として追加採用された過去の回答書
製品資料のサイトファイルをノートブックに直接追加機能一覧、仕様書、セキュリティの資料、SLA
Teams の案件のチャネル人が貼る答えられない要求の一覧と、確認の依頼
顧客の様式人が写す確かめた回答だけを書き込む

顧客の様式に、Copilot が直接書き込むことはしません。 下書きは作業用の表に置き、プリセールスが確かめて「採用」の印を付けた行だけを写します。提出物に、確かめていない回答が紛れ込む経路を作りません。

回答ナレッジへの追加も人が行います。 案件が終わったら、採用された回答書を製品担当が確かめてからフォルダに入れます。Copilot の下書きがそのまま次の案件の根拠になることを防ぎます。

Step9

人が確認する

この構成では、提出するすべての回答を人が確かめます。

  1. 答えられない要求を先に回す … 一覧を確認先ごとに分け、RFPが届いた翌日に依頼します
  2. 根拠の文書を開いて確かめる … 根拠の章・項目に、回答の内容が本当に書いてあるかを見ます。ここは流し見しません
  3. 対応区分を決める … 「標準機能」か「設定」かの案を確かめ、「カスタマイズ」「対応不可」は製品担当の回答を待って決めます
  4. 食い違いを直す … 回答ナレッジと最新の資料の食い違いが出たら、最新の資料に合わせ、回答ナレッジ側の古い回答に印を付けます
  5. 営業が全体を読む … 価格と契約条件を足し、評価の方法に照らして回答の強弱を整えます

1番目の依頼には期限を付けます。 製品担当への依頼に「締切の5営業日前まで」と書き、Teams のチャネルで要求番号ごとに返事をもらいます。返事が来た要求から、作業用の表の確認先の欄を「回答済み」に変えます。

2番目を省かないでください。 根拠の欄に文書名が書かれていても、その章に書いてある内容と回答が少しずれていることがあります。「部署単位で設定できる」と「部署と役職の組み合わせで設定できる」は、顧客の評価では違う回答です。

目標は、1件あたり90分です。 探して写す時間が、根拠を開いて確かめる時間に置き換わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
RFPがスキャンした画像のPDFで届く文字が取れず要求を読めないことがある。顧客に表計算の形式を頼むか、手で一覧にする
1つのセルに複数の要求がある作業用の写しで分けてから頼む
根拠の文書が旧版だった旧版をフォルダから外し、その章を頼み直す
回答ナレッジと最新資料が食い違う最新の資料を正とし、回答ナレッジの古い回答に印を付ける
製品資料のサイトの権限が無い参照に追加しても使われない。権限を付けてから始める
顧客の秘密保持で共有に制限があるノートブックを共有せず、担当だけで使う
要求の文があいまい「確認したいこと」を添えて、顧客への質問の候補にする
下書きの表が途中で終わる頼む範囲を半分にして、残りの要求番号から頼み直す
英語のRFPが届く回答ナレッジは日本語のまま参照し、下書きを英語で作らせる。英語の回答は、英語に慣れた担当が必ず読む

最後の行は、顧客への質疑に使えます。 RFPには質問の受付期間があることが多く、あいまいな要求を早く見つけられれば、質疑で前提をそろえられます。

Step11

記録を残す

  • 案件ごとのノートブックと、追加した参照の一覧(ファイル名と版)
  • 章ごとの下書きの表と、プリセールスが直した後の表
  • 答えられない要求の一覧と、確認先の回答、回答した日
  • 提出した回答書と、提出した日
  • 回答ナレッジに追加した回答と、追加を確かめた製品担当

Copilot とのやり取りの記録は、組織の Microsoft 365 の中に残ります。 公式のページでは、利用者の指示と Copilot の応答は組織のほかの Microsoft 365 のコンテンツと同じ契約上の約束に沿って処理・保存され、管理者は Microsoft Purview で保持のポリシーを決められるとされています。どの期間残すかを、提案書の保存の期間と合わせて決めます。

04実装レベルの3段階

最小構成:ノートブックに過去のRFPと資料を入れ、1章を下書きさせて当時の回答と比べる / 一部の章の下書き
半自動化:案件ごとのノートブックで、全章の下書きと答えられない要求の一覧を出し、Word の Copilot で方針の要約を作る / 下書きと確認先の振り分け
本格構成:上記+回答ナレッジを要求の種類ごとの回答集に整え、顧客の様式への転記まで仕組みにする / 下書きから転記の手前まで

本記事の想定は半自動化です。 1件240分が90分になります。差が大きいのは、探して写す作業と、答えられない要求の振り分けが、確かめる作業に変わるからです。 本格構成に進むかは、回答ナレッジの整い方で決めます。 要求の種類ごとに「いまの正しい回答」が1つに決まっていれば、転記まで仕組みにできます。半自動化を数か月回すと、食い違いの印が付いた古い回答が整理されていきます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
12 件
1件あたり現在時間
240 分
1件あたり導入後時間
90 分
現在  12件 × 240分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 12件 × 90分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
63%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価4,500円)
162万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 業務システム・物流の受託・広告の運用・人材の派遣など、顧客の提案依頼書(RFP)に要求事項ごとの回答書を付けて応札することが多く、月に10件前後のRFPに答えている企業。過去の回答書が SharePoint や OneDrive にたまっているのに、誰がどの案件で何と答えたかを探すのに時間がかかり、回答の質がプリセールスの担当ごとに違う場合。Microsoft 365 を使っていて、Microsoft Copilot のライセンスを営業とプリセールスに配れる場合。
向いていない
  1. RFPへの応札が年に数件で、回答書を1件ずつ丁寧に作っても負担にならない場合。過去の回答書や製品の資料が紙や個人のパソコンにしか無く、共有の場所にまとまっていない場合。製品の仕様が案件ごとの個別開発で、過去の回答が次の案件の根拠にならない場合。なお、要求に応じるかどうかの判断、価格、契約条件の回答は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に提出したRFPを3件選ぶ(採用された回答書が残っているもの)
  2. 回答ナレッジのフォルダを仮に作り、その3件を除いた採用済みの回答書を入れる
  3. ノートブックを作り、1件目のRFPと、回答ナレッジ、製品資料、回答の決まりを参照に追加する
  4. 第7章の指示で、1つの章を下書きさせる
  5. 当時提出した回答と比べ、区分と根拠が合っているか、根拠の無い下書きが無いかを見る

提出済みの回答と比べるのが大事です。 正解が分かっている要求でしか、根拠の無い下書きが混ざるかどうかは確かめられません。

出てきた内容判断
根拠付きの下書きが当時の回答とほぼ同じ全章と答えられない要求の一覧に進む
根拠の無い要求にも下書きが付いた指示の書き方で直る。「言い換えで作らない」を強める
古い回答を根拠にした回答ナレッジの整理が先。 Copilot の問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
根拠の無い要求に、言い換えで下書きが付く根拠の欄が空なら回答も空と指示し、空でない行を差し戻す
失注した回答書や古い回答を根拠にする回答ナレッジは採用された回答書だけ。旧版の資料は参照から外す
「カスタマイズで対応」を勝手に付ける付けてよい区分を決まりに書き、それ以外は「要確認」
1つのセルの2つの要求の片方だけに答える作業用の写しで分けてから頼む
製品資料が参照に入っているのに使われないサイトの権限を確かめる
共有の場所を参照にして、肝心の資料が選ばれない決まった資料はファイルとして直接追加する
予定の機能を「対応」と書くロードマップを参照に入れない。書かない内容に明記する

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、読みやすい回答に見えるので、根拠を開かないと気づきません。 根拠の欄と回答の欄をそろえる決まりで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客のRFP(調達の計画、業務の内容、利用者数)、自社の製品の仕様とセキュリティの資料、過去の顧客への回答書です。顧客との秘密保持の取り決めの対象になるものが多く含まれます。

  1. Web検索を止める … 公式のページでは、Web検索が有効なとき、Copilot は指示から語を取り出して Bing に検索語を送り、Word などのアプリの中で開いている文書や、指示で指定した文書の内容がその検索語に影響しうるとされています。この生成された検索語には、Microsoft のデータ保護の補足条項(DPA)が適用されないとされています。管理者が「Allow web search in Copilot」のポリシーで、この業務の利用者の Web検索を止める前提にします
  2. ノートブックの参照を案件ごとに閉じる … 公式のページでは、ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使うとされています。別の顧客のRFPを、同じノートブックに入れません
  3. 権限の設定を見直す … Copilot は、利用者が閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。逆に言えば、権限が広すぎるサイトの資料は誰のノートブックからも使えます。 「提案・RFP」サイトの権限を、営業本部に絞ります
  4. 学習への利用 … 公式のページでは、指示、応答、Microsoft Graph から取ったデータは基盤となる大規模言語モデルの学習に使われないとされています
  5. 回答の採否は人が決める … 提出する回答は全件、プリセールスと営業が確かめます

この構成は、要求に応じるかどうか、価格、契約条件を判断しません。 それらは、製品担当・営業・法務がこれまでどおり決めます。

誤りが起きた場合のリスクは、作れないものを「対応可能」と約束することと、顧客の情報を外に出すことの2つです。 前者は根拠の欄を空にする決まりと人の確認で、後者は Web検索の停止と参照の閉じ方で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:回答ナレッジのフォルダを作る

製品担当と、採用された過去の回答書だけを集めたフォルダを作ります。直近2年分、採用されたものから始めます。 旧版の製品資料は別のフォルダに移します。

2週目:回答の決まりを文書にする

対応区分の付け方、書かない内容、確認先の一覧を1つの文書にします。長く担当しているプリセールスの頭の中にある決まりを、ここで書き出します。

3週目:過去のRFPで試す

提出済みのRFPを3件選び、ノートブックで1章ずつ下書きさせて、当時の回答と比べます。根拠の無い下書きが混ざらないかを最優先で見ます。

4週目:Web検索と権限を確かめる

管理者と、Web検索のポリシーとサイトの権限を確かめます。ここが済むまで、届いたばかりのRFPは入れません。

2か月目: 届いたRFPで、答えられない要求の一覧を翌日に回す運用を始めます。3か月目以降: 全章の下書きと Word の Copilot の要約まで広げ、1件240分が何分になったかを実測します。答えられない要求が締切の1週間以上前に製品担当に届き、根拠の無い回答が提出されなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Copilot Notebooks を使うには Microsoft Copilot か Copilot Chat のライセンスが必要で、ノートブックを作るアカウントには SharePoint または OneDrive のライセンス(サービスプラン)が要ること。チームと共有できることMicrosoft Support: Get started with Copilot Notebooks2026-10-14
Microsoft Copilot のユーザーは300を超える参照を追加でき、根拠に使われるのは最初の300までであること。Copilot Chat のユーザーは50まで。対応する形式が .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページであること。参照はファイル・フォルダ・サイトでよく、本人がアクセスの権限を持つものだけが使われること。データが変わっても参照は最新の状態を保つことMicrosoft Support: Add reference files to your Copilot Notebooks2026-10-14
ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使い、OneDrive の全体・メール・Teams のチャット・Webには行かないこと。共有の場所を参照にした場合は関係の深い300のファイルが選ばれることMicrosoft Support: How Copilot Notebooks works2026-10-14
Word の Copilot で「/」を入力してファイルを選び、参照させて下書きを作れること。下書きは共有する前に事実・数字・引用・名前を確かめるよう案内されていることMicrosoft Support: Start a draft with Copilot in Word2026-10-14
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りの記録が組織のほかのコンテンツと同じ約束で処理・保存され、Microsoft Purview で保持のポリシーを決められることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-14
Web検索が有効なとき、Copilot が指示から検索語を作って Bing に送り、アプリ内で開いている文書や指示で指定した文書がその検索語に影響しうること。生成された検索語に DPA が適用されないこと。管理者が「Allow web search in Copilot」のポリシーで Web検索を止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot2026-10-14

要求に応じるかどうか、価格、契約条件の回答は、製品担当・営業・法務が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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