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人事部が労働組合と毎月開く労使協議会の文字起こしから、Copilot で議事録の案と、双方の確認事項・持ち帰り事項の一覧を作り、前回からの持ち越しを追う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

労働組合と毎月開く労使協議会の文字起こしから、議事録の案と、双方の確認事項・持ち帰り事項の一覧を作ります。前回までに持ち帰った事項が、今回の協議会で回答されたかも並べます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
小売/物流/製造
対象部門
人事
対象業務
台帳・マスタ管理/記録・議事録作成
主な課題
引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
63%
年間削減
300h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 労務課の担当が協議会に同席し、メモを取る。会議室の録音機でも録音する
  2. 協議会のあと、メモと録音を聞き直し、議題ごとの説明・質問・回答を書き起こす
  3. 確認事項と持ち帰り事項を選び、議事録の様式に書く
  4. 議事録の案を人事部長に見せ、会社側の説明の書き方を直す
  5. 組合の書記長に議事録の案を送り、直しの依頼を受けて直す
  6. 持ち帰り事項を協議会ごとの Excel に足し、前回の持ち帰り事項の回答を書き込む
導入後(After)
  1. 人労務課が協議会の Teams 会議を主催し、冒頭で双方に告げてから文字起こしを始める
  2. 人休憩や、組合側・会社側がそれぞれ内部で打ち合わせる時間は、文字起こしを止める
  3. 人協議会のあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、議題ごとの説明・質問・確認事項・持ち帰り事項・継続協議を表で出させる
  4. 人Word の Copilot で、表と議事録の様式と前回の議事録から、議事録の案と持ち越しの一覧を作る
  5. 人労務課が、区分の決め手になった発言を文字起こしと照らし、案を直す
  6. 人人事部長が会社側の説明の書き方を確かめ、組合の書記長に案を送る
  7. 人組合の直しを反映し、双方の確認を経て確定した議事録を保存する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 労務課の担当が協議会に同席し、メモを取る。会議室の録音機でも録音する
  2. 協議会のあと、メモと録音を聞き直し、議題ごとの説明・質問・回答を書き起こす
  3. 確認事項と持ち帰り事項を選び、議事録の様式に書く
  4. 議事録の案を人事部長に見せ、会社側の説明の書き方を直す
  5. 組合の書記長に議事録の案を送り、直しの依頼を受けて直す
  6. 持ち帰り事項を協議会ごとの Excel に足し、前回の持ち帰り事項の回答を書き込む

(a)録音の聞き直しに時間がかかる。 2時間の協議会を聞き直すのに2時間かかり、10件分で月20時間を超えます。 月末に協議会が重なると、議事録の案が組合に届くのが翌月の協議会の直前になります。

(b)確認と持ち帰りの区別があいまいになる。 協議の場では、会社側が「前向きに検討します」「基本的にはその方向で」と答えることがあります。これを確認事項に書くか持ち帰り事項に書くかで、組合の書記長と何度もやり取りになります。 区別の決め手になった発言を録音から探し直す時間が、⑤の多くを占めます。

(c)持ち帰り事項の回答が漏れる。 持ち帰り事項は協議会ごとの Excel にあり、工場の協議会で出た持ち帰りが本社の判断を要するとき、どちらの表で追うかが決まっていません。 次の協議会で組合から「前回の件はどうなりましたか」と聞かれて、初めて回答が漏れていたと分かります。

(d)担当が替わると、経緯が追えない。 持ち帰り事項が何か月も続くとき、最初にどんなやり取りがあったかは、その時の担当の記憶にしかありません。 異動のたびに、過去の議事録を何か月分も読み直すことになります。

  1. 【人】 労務課が協議会の Teams 会議を主催し、冒頭で双方に告げてから文字起こしを始める
  2. 【人】 休憩や、組合側・会社側がそれぞれ内部で打ち合わせる時間は、文字起こしを止める
  3. 【人】 協議会のあと、会議の Copilot に決まった指示を出し、議題ごとの説明・質問・確認事項・持ち帰り事項・継続協議を表で出させる
  4. 【人】 Word の Copilot で、表と議事録の様式と前回の議事録から、議事録の案と持ち越しの一覧を作る
  5. 【人】 労務課が、区分の決め手になった発言を文字起こしと照らし、案を直す
  6. 【人】 人事部長が会社側の説明の書き方を確かめ、組合の書記長に案を送る
  7. 【人】 組合の直しを反映し、双方の確認を経て確定した議事録を保存する

この構成に自動で動く部分はありません。 議事録は労使の双方が確かめ合う記録で、会社側の確認を経ない案が組合に届く経路も、組合の確認を経ない議事録が確定する経路も作りません。

2番目が、この設計の分かれ目です。 組合側が休憩中に執行部だけで方針を話し合う時間を、会社の主催する会議の文字起こしに残しません。会社が組合の内部の話し合いを記録として持つことは、組合の運営への介入と受け取られかねないからです(第13章)。

5番目も省けません。 「確認」か「持ち帰り」かは、議事録の中でいちばん争いになる区分です。Copilot が付けた区分を、根拠の発言で人が確かめてから組合に送ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
労使協議会(会議室+工場からの Teams 参加)
   │  労務課が Teams の会議を主催し、双方に告げて文字起こしを始める
   │  休憩・各側の内部の打合せは文字起こしを止める
   ▼【トリガー】協議会の終了
会議の Copilot(会議のチャットの「まとめ」タブ)
   └──▶ 議題ごとの説明・質問・確認事項・持ち帰り事項・継続協議(表)
   ▼
Word の Copilot(/ で議事録の様式と前回の確定した議事録を参照)
   ├──▶ 議事録の案
   └──▶ 持ち越しの一覧(前回の持ち帰り事項 × 今回の回答)
   ▼
【労務課が根拠の発言を照らす → 人事部長が確かめる】
   ▼
組合の書記長が確かめる → 双方の確認 → 確定した議事録を保存
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Teams 会議の Copilot、Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
会議Microsoft Teams(労務課が主催する会議と文字起こし)会議室の録音
保管SharePoint(協議会ごとのフォルダ)社内のファイルサーバー

新しく足すのは、労務課3名分の Copilot のライセンスだけです。 公式の管理者向けのページでは、会議の Copilot を使うには利用者ごとに Microsoft Copilot のライセンスが要るとされています。組合の役員がライセンスを持つ必要はありません。 公式のページでは、ライセンスが無くても自分が主催する会議では Copilot の設定を管理できるとされています。

会議の Copilot を会議のあとに使うには、文字起こしが要ります。 公式のページでは、会議が終わったあとに話された内容について質問するには文字起こしが必要とされ、文字起こしを有効にしていれば会議のチャットの「まとめ」(Recap)タブから Copilot を開けるとされています。

議事録の案は、Word の Copilot で作ります。 公式のページでは、Word の Copilot の入力欄で「/」を入力してファイルを選び、特定の資料を参照させて下書きを作れるとされています。議事録の様式を開いて書かせれば、毎月同じ章立てになります。

会議を主催するのは、労務課です。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot は動かないとされています。組合が別の組織のアカウントで会議を立てると、この構成は使えません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

協議会の終了をきっかけに、労務課がその日のうちに始めます。 協議会の直後なら、「この件は会社側が持ち帰った」と担当がまだ覚えています。録音を聞き直す2時間を、表の区分を根拠の発言で確かめる時間に置き換えます。

文字起こしは、協議会の冒頭で始めます。 議長が開会のときに「議事録の作成のために文字起こしを使います。休憩中は止めます」と告げる決まりにします。この運用は、組合と事前に文書で取り決めます。 文字起こしを使うこと、休憩中は止めること、文字起こしの保存の期間と閲覧できる人を決めておきます。

会議の Copilot の設定は「会議中と会議後」にします。 公式の管理者向けのページでは、方針の既定値は文字起こしの保存を必須とする設定で、このとき主催者の会議のオプションは「会議中と会議後」に固定されるとされています。会議の Copilot の設定は会議のテンプレートにも入れられるので、「労使協議会」のテンプレートで10件の会議を立てます。

協議会を、Teams の定期的な会議の1つの系列にしないでください。 公式のページでは、定期的な会議で後の回が文字起こしされると、それまでの回の Copilot とのやり取りの履歴は使えなくなるとされています。毎月の協議会は回ごとに別の会議として立て、Copilot の表はその日のうちに Word に移します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし協議会の発言(話者の名前と時刻つき)Teams の会議
協議会の議題議題の番号と題名、会社側の説明資料の題名労務課が開催の前に作る議題の一覧
前回の確定した議事録前回の確認事項・持ち帰り事項・継続協議協議会のフォルダ
議事録の様式協議会ごとの議事録の章立て労務課のフォルダ
出席者の一覧出席者の名前と、会社側・組合側の別と役職労務課が開催の前に作る一覧

質を決めるのは、出席者の一覧です。 文字起こしには話者の名前が付きますが、その人が会社側か組合側かは文字起こしには書かれていません。 一覧が無いと、Copilot は発言の中身から立場を推し量り、取り違えます。

議題の一覧も、開催の前に作っておきます。 協議会では議題の境目が言葉ではっきり示されないことがあり、議題の番号を議長が読み上げる決まりと、議題の一覧があれば、表の区切りがそろいます。

前回の確定した議事録は、持ち越しの一覧を作るためだけに使います。 前回の会社側の説明や組合側の要望を、今回の議事録の本文に引き写させません。今回の協議会で話されたことだけが今回の議事録に載る、という線を守ります。

Step3

データの取得方法を決める

会議の Copilot には、会議のチャットの「まとめ」タブから指示を出します。 Copilot の回答は Word に移して使います。公式のページでは、会議のオプションで「会議のチャット・字幕・文字起こしのコピーと転送をオフにする」を有効にすると、Copilot の回答を Word や Excel に書き出せないとされています。協議会のテンプレートでは、この設定を有効にしないでおきます。

取るものどこからどう渡すか
議題ごとの表会議の Copilot の回答Word に書き出し、協議会のフォルダに保存
前回の確定した議事録協議会のフォルダWord の Copilot の入力欄で「/」を入力して選ぶ
議事録の様式労務課のフォルダ様式を開いた状態で Copilot に書かせる
出席者の一覧・議題の一覧協議会のフォルダ会議の Copilot への指示に貼る

前回の議事録は、確定したものだけを参照させます。 組合と確かめ合う前の案を参照させると、組合が直した箇所が反映されていない持ち帰り事項を、今回の一覧に持ち越してしまいます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 出席者の一覧を作る … 名前、会社側か組合側か、役職。代理で出る人も開催の前に足します
  2. 議題の一覧を作る … 議題の番号と題名。議長が議題に入るときに番号を読み上げます
  3. 文字起こしの止めた区間を記録する … 休憩や内部の打合せで止めた時刻を、担当がメモします
  4. 個別の組合員の話を分ける … 協議の中で特定の組合員の処遇や懲戒の話になったときは、その議題の間は文字起こしを止め、手で記録します
  5. 前回の議事録の確定版を確かめる … 協議会のフォルダに、双方の確認を経た版があるかを見ます
  6. 会社側の説明資料の題名をそろえる … 協議会で画面に映した資料の題名を議題の一覧に書きます。発言の中で「この資料の3ページ」と言われたとき、どの資料かを後から特定できます

4番目を軽く見ないでください。 協議会では、ある職場の配置換えの話から、特定の組合員の名前と事情が出ることがあります。本人の処遇に関わる話を、協議会全体の文字起こしと Copilot の表に残す理由はありません。 一般的な議題と分けて扱います。

Step5

AIに処理させる

させるのは、議題ごとに発言を区分して並べることと、前回の持ち帰り事項と今回の回答を並べることです。

させること中身判断できないときの扱い
会社側の説明議題ごとに、会社側が説明した事実と方針説明か回答か分からなければ「区分不明」
組合側の質問・要望議題ごとに、組合側が出した質問と要望同上
確認事項双方がその場で確かめ合ったこと確かめ合った発言が無ければ確認事項にしない
持ち帰り事項どちらの側が、何を、いつまでに持ち帰ったか期限が言われていなければ「期限の発言なし」
継続協議結論が出ず、次回以降も話し合うこと-
根拠の発言区分の決め手になった発言を、話者・時刻とともにそのまま写す写せなければ区分を付けない
持ち越しの一覧前回の持ち帰り事項ごとに、今回の回答の有無と回答の要旨文字起こしに触れられていなければ「今回の言及なし」
させないこと理由
「検討します」を確認事項にすること会社側の持ち帰りが、合意として記録される
発言者の態度・感情・強硬さを書くこと議事録は発言の記録。人の評価を残さない
文字起こしを止めた区間を補うこと止めた区間には記録が無いのが正しい
回答の内容を考えること回答は会社が決める
労働協約や就業規則との関係を判断すること人事部と顧問の専門家が判断する

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 会社側が「その方向で検討します」と言い、組合側が「よろしくお願いします」と返すと、Copilot は双方が同意したとして確認事項に書きがちです。確認事項にするのは、双方が「確認します」「それで結構です」と明示した場合だけにし、それ以外は持ち帰り事項か継続協議にさせます。

2行目は、公式の考え方とも重なります。 公式のプライバシーのページは、職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限しているとしています。協議会の出席者は双方とも社員です。「組合側は強い不満を示した」のような書き方をさせません。

Step6

指示内容を固定する

会議の Copilot への指示(「まとめ」タブで出す):

この会議は、会社と労働組合の労使協議会です。
以下の出席者の一覧と議題の一覧を使い、議題ごとに表を作ってください。

【出席者の一覧】{attendees}  ← 名前/会社側・組合側/役職
【議題の一覧】{agenda}

【表の列】
議題の番号/区分/内容/発言者(会社側・組合側と役職)/時刻/根拠の発言

【区分は次の6つだけを使ってください】
- 会社側の説明
- 組合側の質問・要望
- 確認事項 …… 双方が「確認します」「それで結構です」など、
                その場で確かめ合ったと明示した場合だけ
- 持ち帰り事項 … どちらの側が何を持ち帰ったか。期限が言われていれば書く
- 継続協議 …… 結論が出ず、次回以降も話し合うと述べたこと
- 区分不明

【厳守事項】
- 「検討します」「前向きに」「その方向で」は確認事項にしないでください。
  持ち帰り事項か継続協議にしてください。
- 根拠の発言は、文字起こしの文をそのまま写してください。要約しないでください。
- 発言者の態度・感情・口調・強さを書かないでください。
- 立場は出席者の一覧で決めてください。発言の中身から推し量らないでください。
- 一覧に無い人の発言は、発言者を「一覧に無い出席者」としてください。
- 期限が言われていない持ち帰り事項は、期限を「期限の発言なし」としてください。
- 文字起こしの無い区間のことを補わないでください。

Word の Copilot への指示(議事録の様式を開いた状態で出す):

/会議の Copilot の表 /前回の確定した議事録 を参照し、
この様式に沿って労使協議会の議事録の案を作ってください。

- 議題ごとに「会社側の説明」「組合側の質問・要望」「確認事項」
  「持ち帰り事項」「継続協議」の見出しで書いてください。
- 表に無いことを書かないでください。区分を変えないでください。
- 最後に「持ち越しの一覧」を作ってください。前回の議事録の持ち帰り事項を
  すべて並べ、今回の表に回答があれば要旨と時刻を、無ければ
  「今回の言及なし」と書いてください。回答があったと推し量らないでください。
- 人の名前は役職で書いてください(例:会社側 人事部長、組合側 書記長)。

「区分を変えないでください」を Word の側にも書くのは、 文を整えるときに「持ち帰り事項」の見出しの中身を確認事項らしく言い換えることがあるからです。表で付けた区分を、議事録の文の段階で動かしません。

Step7

出力形式を固定する

会議の Copilot の表は、次の列で受け取ります。

議題 | 区分 | 内容 | 発言者 | 時刻 | 根拠の発言
2 | 持ち帰り事項 | 11月の休日出勤の日数を工場ごとに示す | 会社側 生産管理部長 | 00:42 | 「工場ごとの日数は持ち帰って次回お示しします」
2 | 確認事項 | 11月の休日出勤は2日とする | 会社側 人事部長/組合側 書記長 | 00:47 | 「では2日で確認します」「それで結構です」
3 | 継続協議 | 食堂の営業時間の延長 | 組合側 副委員長 | 01:05 | 「引き続き次回も話をさせてください」

持ち越しの一覧は、次の形で議事録の案の末尾に置きます。

【持ち越しの一覧】
前回の持ち帰り事項 | 持ち帰った側 | 期限 | 今回の回答 | 時刻
第2工場の休憩室の空調の更新時期 | 会社側 | 今月の協議会 | 来年3月に更新と回答 | 00:12
夜勤手当の見直しの要望 | 会社側 | 期限の発言なし | 今回の言及なし | -

1つ目の理由は、区分を根拠の発言と一緒に確かめられることです。 組合の書記長から「この件は確認ではない」と言われたとき、表の根拠の発言と時刻を見れば、録音を探さずに確かめられます。

2つ目は、持ち越しの一覧で回答の漏れが見えることです。 「今回の言及なし」が2回続いた持ち帰り事項は、次の協議会の冒頭で回答する事項として議題の一覧に載せます。 第3章の(c)が、ここで止まります。

3つ目は、担当が替わっても経緯が追えることです。 持ち帰り事項ごとに、どの回に誰が持ち帰り、どの回に何と答えたかが議事録に並びます。過去の議事録を何か月分も読み直す必要がなくなります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams の会議労務課が主催し、文字起こしを始める文字起こしと会議の Copilot
協議会のフォルダ(SharePoint)Word の Copilot から「/」で参照前回の確定した議事録を読む
組合の書記長労務課がメールで送る議事録の案
持ち帰り事項の担当部署労務課が連絡する会社側の持ち帰り事項と期限

Copilot から外へ自動で出ていくものはありません。 組合への案の送付も、各部署への持ち帰りの連絡も、労務課が行います。

協議会のフォルダの権限は、労務課と人事部長に絞ります。 Copilot が参照できるのは使う人が閲覧できるファイルだけで、権限が広いと、人事部の別の担当の Copilot が協議会の議事録を材料に使いえます。

組合の書記長には、確定した議事録の案だけを送ります。 会議の Copilot の表は会社側の作業の材料で、根拠の発言を写した表を組合に渡すかどうかは、取り決めの中で決めます。 組合から「区分の根拠を見せてほしい」と言われたときに、該当する行だけを示せるよう、表は協議会のフォルダに残しておきます。

Step9

人が確認する

  1. 区分を根拠の発言で確かめる … 確認事項の行は、根拠の発言に双方の明示の言葉があるかを見ます。無ければ持ち帰り事項か継続協議に直します
  2. 立場の取り違えを見る … 発言者の会社側・組合側が出席者の一覧と合っているかを見ます
  3. 持ち越しの一覧を見る … 「今回の回答」がある行は、時刻の発言を開いて回答の要旨が合っているかを確かめます
  4. 人の評価の言葉が無いかを見る … 態度・感情の言葉があれば消し、発言の中身に書き換えます
  5. 人事部長が会社側の説明の書き方を確かめる … 説明の要旨が、会社として言ったことと合っているかを見ます

1番目を省かないでください。 確認事項は、組合が職場に報告する内容になります。会社が持ち帰ったつもりの事項が「確認した」として職場に伝わると、 次の協議会はその訂正から始まります。

5番目のあとで組合に送ります。 組合の書記長には、確認事項と持ち帰り事項の区分に異論があれば根拠の時刻を添えて返してもらうよう頼みます。時刻があれば、労務課は表から根拠の発言をすぐに引けます。

目標は、1件あたり90分です。 表の区分を根拠で確かめる時間が40分ほど、議事録の案を整える時間が20分ほど、組合の直しを反映する時間が20分ほど、持ち帰り事項の担当への連絡が10分ほどという見立てです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
文字起こしを始め忘れた会議の Copilot は会議のあとに使えない。これまでどおりメモと録音で書く
休憩中に文字起こしを止め忘れたその区間の文字起こしの扱いを組合と話し、表と議事録から除く
個別の組合員の話が文字起こしに入った表と議事録の案から除き、手で記録する
出席者の一覧に無い人が発言した「一覧に無い出席者」と出る。名前と立場を確かめて直す
組合側が区分に同意しない根拠の発言を示して話し合う。合わなければ組合の言い分を併記する
前回の議事録がまだ確定していない持ち越しの一覧を作らず、確定後に作り直す
工場の協議会の持ち帰りが本社の判断を要する持ち越しの一覧に「本社で回答」と付け、中央労使協議会の一覧にも載せる
Copilot が使えない(障害・ライセンス)これまでどおり録音とメモで書く。会議の録音機も併用する
協議会の途中で回線が切れ、工場の参加者が抜けた抜けた時刻を記録し、その間の工場側の発言が無いことを議事録の案に注記する
文字起こしの聞き取りの誤りが多い固有名詞(工場名・ライン名・手当の名前)の聞き違いは、議題の一覧に正しい表記を書いておき、案を直すときに照らす

最後の行のために、会議室の録音機はしばらく残します。 文字起こしが失敗した回に議事録が作れなくなると、組合との確認そのものが止まります。

Step11

記録を残す

  • 確定した議事録と、組合に送った案(協議会のフォルダ)
  • 会議の Copilot の表を Word に書き出したもの
  • 組合からの直しの依頼と、直した箇所
  • 文字起こしを止めた区間の時刻と理由
  • 持ち越しの一覧の月ごとの推移(回答済み・今回の言及なし)

文字起こしそのものの保存の期間は、組合と取り決めた期間に合わせます。 公式のプライバシーのページでは、Copilot とのやり取りは利用者の Copilot の利用履歴として保存され、管理者は Microsoft Purview で保持の方針を決められるとされています。会社が文字起こしを組合との取り決めより長く持たないよう、 情報システムの担当と保持の設定を決めます。

04実装レベルの3段階

最小構成:1つの専門委員会で文字起こしし、会議の Copilot で表を作る / 議題ごとの区分の表
半自動化:上記+10件の協議会で使い、Word の Copilot で議事録の案と持ち越しの一覧を作る / 議事録の案と持ち帰り事項の追跡
本格構成:上記+工場ごとの持ち越しの一覧を中央労使協議会の一覧に集め、本社の判断を要する事項を月次で人事部長が見る / 協議会をまたいだ持ち帰り事項の管理

最小構成では、議事録はまだ手で書きます。 確かめたいのは区分の付け方で、組合との確認の手順は変えません。 半自動化で、1件240分が90分程度になります。 録音の聞き直しが無くなり、議事録の案と持ち越しの一覧が Copilot の下書きから始まります。この段階が本記事の想定です。 本格構成は、工場と本社の間で持ち帰り事項が行き来するのを追う段階です。 工場の協議会で出た要望が本社の判断を要するとき、どの協議会でいつ回答するかを人事部長が月に一度決めます。 段階を飛ばさないでください。持ち越しの一覧の書き方がそろわないうちに集めると、同じ事項が別の名前で並びます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
10 件
1件あたり現在時間
240 分
1件あたり導入後時間
90 分
現在  10件 × 240分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 10件 × 90分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
25h
削減率
63%
年間削減時間
300h
年間金額換算(時間単価3,500円)
105万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 労働組合のある製造業・物流業・小売業で、本社の中央労使協議会と事業所ごとの労使協議会を毎月開き、人事部の労務担当が議事録の案を作って組合と確かめ合っている場合。議事録の確認に時間がかかり、持ち帰り事項が次の協議会で回答されたかを追い切れていない場合。協議会を Teams の会議として開け、組合の役員も同じ Microsoft 365 の組織のアカウントで参加できる場合。人事部に Microsoft Copilot のライセンスを配れる場合。
向いていない
  1. 協議会が年に数回で、議事録を手で書いても負担にならない場合。組合が会議の録音や文字起こしに同意していない場合(議事録の作り方を組合と先に話し合う必要があります)。組合の役員が社外の組織のアカウントで参加し、会議を組合の側が主催する場合。なお、協議の結論の解釈、労働協約や就業規則との関係の判断、組合への回答の内容は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 組合と、試しに文字起こしを使うこと、休憩中は止めること、試しの後の扱いを取り決める
  2. 専門委員会のうち1つを選び、2回分の協議会を Teams で文字起こしする
  3. 会議の Copilot に第7章の指示を出し、表を作らせる
  4. これまでどおり手で作った議事録と、表を並べる
  5. 確認事項と持ち帰り事項の区分が、手で作った議事録と合っているかを見る

2回は必ずやってください。 ここで確かめるのは、区分の付け方が、人が付けた区分とどこで違うかです。

出てきた内容判断
区分が手の議事録とほぼ同じだったWord で議事録の案を作る段階に進む
「検討します」が確認事項に入った指示の書き方で直る。構成は有効
議題の境目が分からず、表が混ざった議長が議題の番号を読み上げる運用を先に決める。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 協議会は話題が行き来しやすく、これまでは担当がその場の空気で境目を判断していたということです。 議長と組合の書記長に、議題に入るときに番号を言ってもらうよう頼んでから、もう1回試してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「検討します」が確認事項になる確認事項は明示の言葉がある場合だけと指示し、根拠の発言で確かめる
会社側と組合側を取り違える出席者の一覧を必ず渡し、立場は一覧で決めさせる
態度や感情の言葉が入る指示で禁じ、確認の項目にも入れる
休憩中の話が文字起こしに残る議長が止める決まりにし、止め忘れは組合と話して除く
定例の系列で前回の履歴が消える回ごとに別の会議として立て、表はその日のうちに Word に移す
回答を Word に書き出せないコピーと転送をオフにする設定を、協議会のテンプレートで有効にしない
組合が会議を主催して Copilot が動かない会議は労務課が主催する
確定前の議事録を参照する確定した版だけを参照させる
個別の組合員の話が表に残るその議題の間は文字起こしを止め、手で記録する

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、組合との確認の場で真っ先に指摘されます。根拠の発言を表に写させる設計は、この2つを人がすぐに見つけるためのものです。

下の2行も、早く効いてきます。 確定前の議事録を参照すると、組合が直した持ち帰り事項が古いまま持ち越され、個別の組合員の話が表に残ると、その表を開ける人すべてに本人の事情が見えます。 どちらも、使い始めの1か月で決まりとして固めてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 労使協議会の発言の文字起こし、出席者の名前と役職、会社の生産の見通しや労働条件の方針、組合の要望。個別の組合員の処遇の話は扱いません。

  1. 組合の内部の話し合いを記録しない … 労働組合法第7条は、使用者が労働組合の運営を支配したり、これに介入したりすることを不当労働行為として禁じています。休憩中や組合側の内部の打合せを会社の文字起こしに残さないことを、組合との取り決めに書きます
  2. 文字起こしを使うことを、組合と事前に取り決める … 会社が一方的に始めないでください。保存の期間、閲覧できる人、議事録の確定の後の扱いを決めます
  3. 出席者の評価に使わない … 公式のプライバシーのページは、職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限しているとしています。協議会の文字起こしを、組合の役員の人事上の評価に使わないことを、人事部の決まりにします
  4. 協議会のフォルダの権限を絞る … Copilot は利用者が閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。労務課と人事部長以外が開けないようにします
  5. 学習への利用について … 公式のページでは、指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。組合にもこの点を説明できるようにしておきます

誤りが起きた場合のリスクは、協議の結論を取り違えて記録することと、組合の運営に踏み込む記録を会社が持つことの2つです。 前者は区分を根拠の発言で確かめる工程で止め、後者は文字起こしを止める運用と取り決めで防ぎます。どちらも、組合との信頼の上に成り立つ協議会の土台に関わります。

10まず何から始めるか

1週目:組合と取り決める

人事部長と組合の書記長で、文字起こしを使うこと、休憩中と個別の組合員の話のときは止めること、保存の期間と閲覧できる人を文書で取り決めます。ここが決まらないうちは、次に進みません。

2週目:協議会のテンプレートと一覧の型を作る

会議の Copilot を「会議中と会議後」にした「労使協議会」のテンプレートを作ります。出席者の一覧と議題の一覧の型を作り、議長が議題の番号を読み上げる運用を決めます。

3週目:1つの専門委員会で試す

専門委員会の1回分を文字起こしし、会議の Copilot で表を作ります。手で作った議事録と並べ、確認事項と持ち帰り事項の区分が合っているかを最優先で見ます。

4週目:議事録の案まで作る

Word の Copilot で議事録の案と持ち越しの一覧を作り、組合の書記長に試しの案として見てもらいます。区分の付け方に組合から指摘があれば、指示に足します。

2か月目: 本社と工場の10件に広げ、持ち越しの一覧を毎月作ります。3か月目以降: 1件240分が何分になったかを実測し、工場の持ち帰り事項を中央労使協議会の一覧に集めます。持ち帰り事項の回答が漏れなくなり、確認事項の区分について組合との直しがほとんど出なくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-23
確認した内容情報源確認日
会議のあとに話された内容について質問するには文字起こしが必要なこと。文字起こしを有効にしていれば会議のチャットの「まとめ」タブから Copilot を開けること。定期的な会議で後の回が文字起こしされると前の回の履歴が使えなくなること。参加者の組織の外で主催された会議では動かないこと。コピーと転送をオフにすると回答を Word や Excel に書き出せないこと。ライセンスが無くても自分が主催する会議では Copilot の設定を管理できることMicrosoft Support: Use Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-15
会議の Copilot に利用者ごとの Microsoft Copilot のライセンスが要ること。「会議中と会議後」と「会議中のみ」の使い方があること。方針の既定値が文字起こしの保存を必須とする設定で、主催者の会議のオプションが「会議中と会議後」に固定されること。会議のテンプレートに Copilot の設定を入れられることMicrosoft Learn: Manage Microsoft Copilot in Teams meetings and events2026-10-15
Word の Copilot の入力欄で「/」を入力してファイルを選び、特定の資料を参照させて下書きを作れることMicrosoft Support: Start a draft with Copilot in Word2026-10-15
利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りが利用履歴として保存され、管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められること。職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限していることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-15
使用者が、労働者が労働組合を結成し、または運営することを支配し、もしくはこれに介入することを不当労働行為として禁じていること(第7条第3号)e-Gov 法令API: 労働組合法(昭和24年法律第174号)2026-10-15

協議会の運営と議事録の扱いは、労働協約と組合との取り決め、必要に応じて社会保険労務士・弁護士の助言をもとに決めてください。 本記事は公開されている法令と製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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