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各部門から毎月届く予算の追加・流用の申請を、前年の実績と当期の消化と並べて、査定の論点を整理したメモにする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

各部門から毎月届く予算の追加・流用・前倒しの申請を読み、申請ごとの要旨、前年同期の実績と当期の消化との関係、規程上の確認点、部門へ聞く質問を、査定の論点メモにまとめます。財務部長は、そのメモを見て査定します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
商社/建設/物流/製造
対象部門
経営企画/財務
対象業務
内容確認・チェック/要約
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
25h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
64%
年間削減
192h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 部門が申請書と添付を申請用のフォルダに置き、Teams で財務部に知らせる
  2. 担当者が申請書と添付の見積を読み、申請の要旨をメモに書く
  3. 会計システムから、その部門・科目の当期の予算と消化、前年同期の実績を画面で引き、メモに写す
  4. 予算規程を開き、流用できる科目の組み合わせか、決裁権限の区分はどこかを確かめる
  5. 過去の査定メモを探し、同じ部門・科目で前にも申請があったかを見る
  6. 気になった点と部門に聞きたいことを書き、論点メモの様式に整える
  7. 財務部長に回す
導入後(After)
  1. 人月初に、担当者が会計システムから前月までの予算と実績を書き出し、数式で作った差異表を更新する
  2. 人担当者がその月の「査定のノートブック」を作り、決まった参照(申請用のフォルダ、差異表、予算規程、予算編成方針、前月までの査定メモ、査定の観点)を追加する
  3. 人申請が届いたら、ノートブックで決まった指示を使い、申請ごとの論点の表を出させる
  4. 人担当者が表の数字を差異表と突き合わせ、見積と申請額を添付で確かめる
  5. 人担当者が論点と質問を直し、必要なら部門に質問を送る
  6. 人Word の Copilot で、確かめた論点の表を参照させ、論点メモの様式に整える
  7. 人財務部長に回す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 部門が申請書と添付を申請用のフォルダに置き、Teams で財務部に知らせる
  2. 担当者が申請書と添付の見積を読み、申請の要旨をメモに書く
  3. 会計システムから、その部門・科目の当期の予算と消化、前年同期の実績を画面で引き、メモに写す
  4. 予算規程を開き、流用できる科目の組み合わせか、決裁権限の区分はどこかを確かめる
  5. 過去の査定メモを探し、同じ部門・科目で前にも申請があったかを見る
  6. 気になった点と部門に聞きたいことを書き、論点メモの様式に整える
  7. 財務部長に回す

(a)申請書を読むのに時間がかかる。 理由の欄が長い申請ほど、何のために、なぜ今、いくら要るのかを拾い出すのに時間がかかります。添付の見積と申請額が合っているかも、1件ずつ見ています。

(b)実績との見比べが手作業。 会計システムの画面から数字を写すので、写し間違いが起きます。前年同期の実績を見るか、前年の年間を見るかも担当者によって違います。

(c)目の付け所が担当者の経験に頼る。 ベテランの担当者は「この科目は毎年この時期に追加が出る」と知っていますが、2年目の担当者のメモには、その指摘がありません。 財務部長は、メモを書いた担当者によって確かめる範囲を変えています。

(d)月末に申請が集中する。 部門は月次の会議の後に申請をまとめて出すので、月の最後の週に半分近くが届きます。 その週は、1件にかけられる時間が短くなります。

  1. 【人】 月初に、担当者が会計システムから前月までの予算と実績を書き出し、数式で作った差異表を更新する
  2. 【人】 担当者がその月の「査定のノートブック」を作り、決まった参照(申請用のフォルダ、差異表、予算規程、予算編成方針、前月までの査定メモ、査定の観点)を追加する
  3. 【人】 申請が届いたら、ノートブックで決まった指示を使い、申請ごとの論点の表を出させる
  4. 【人】 担当者が表の数字を差異表と突き合わせ、見積と申請額を添付で確かめる
  5. 【人】 担当者が論点と質問を直し、必要なら部門に質問を送る
  6. 【人】 Word の Copilot で、確かめた論点の表を参照させ、論点メモの様式に整える
  7. 【人】 財務部長に回す

この構成に自動で動く部分はありません。 申請の届き方も添付の形もばらばらで、どこまでを Copilot に頼み、どこを確かめるかを担当者が決めながら進める作業だからです。

4番目が、この設計の分かれ目です。 Copilot が写した数字は、差異表の同じ行と1つずつ突き合わせます。 写しの誤りは計算の誤りと同じくらい査定を狂わせます。

02今回想定するシステム構成

構成図
会計システム ── 予算と実績を部門・科目・月で書き出し
   ▼
差異表(数式で作る:当期予算・消化・残り・前年同期の実績・消化率)
   ▼
部門の申請書と添付(申請用のフォルダ)
   ▼【トリガー】部門が Teams で申請を知らせる
Copilot Notebooks(月ごとに1つ)
   │  参照:申請用のフォルダ/差異表/予算規程/予算編成方針
   │        前月までの査定メモ/査定の観点
   ├──▶ 申請ごとの要旨・差異表の値・規程上の確認点・過去の同種の申請
   └──▶ 論点と部門への質問
   ▼
【担当者が数字を差異表と突き合わせ、論点を直す】
   ▼
Word の Copilot ── 論点メモの様式に整える(/ で論点の表を参照)
   ▼
財務部長の査定
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot Notebooks と Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(申請用のフォルダと財務部のサイト)社内のファイルサーバー
共有Microsoft Teams(申請の連絡のチャネル)Outlook のメール

新しく足すのは、予算管理グループ3名分の Copilot のライセンスだけです。 会計システムからの書き出しと差異表の作り方は、これまでと同じです。

Copilot Notebooks を使う理由は、参照する資料を月ごとに閉じられることです。 公式のページでは、ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使い、OneDrive の全体、メール、Teams のチャット、Webには行かないとされています。査定の根拠が、その月の申請と差異表と規程に限られることが大事です。

参照の数と形式も足ります。 公式のページでは、Microsoft Copilot のユーザーはノートブックに300を超える参照を追加でき、根拠に使われるのは最初の300まで、対応する形式は .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページです。月30件の申請書と添付を入れても、数十から百程度に収まります。 利用には Microsoft Copilot か Copilot Chat のライセンスが必要で、ノートブックを作るアカウントには SharePoint または OneDrive のライセンス(サービスプラン)が要るとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

部門が Teams のチャネルで申請を知らせたときに始めます。 ただし、ノートブックは申請ごとではなく、月ごとに1つ作ります。同じ月の申請を並べて見られると、ある工場の修繕の追加と、別の工場の同じ設備の修繕の追加のように、部門をまたいだ論点が見えるからです。

月初に、差異表の更新とノートブックの作成を済ませます。 差異表が前月のままだと、当期の消化が古い値で並びます。ノートブックを作るのは、差異表を更新した後と決め、ノートブックの名前に差異表の締めの月を入れます(例:「2026年10月査定(9月末実績)」)。

ノートブックは予算管理グループの3名で共有します。 公式のページでは、ノートブックはチームと共有して一緒に使えるとされています。担当者を部門で分けていても、同じノートブックで論点の表を作れば、部門をまたいだ論点に誰でも気づけます。

月末の集中には、届いた順ではなく決裁の期限の順で当たります。 申請書の「支出の時期」が近いものから頼み、期限が先の申請は翌週に回します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
申請書申請の種類、部門、科目、金額、支出の時期、理由、期待する効果、代わりの案申請用のフォルダ
添付見積、稟議の案、現場の写真、比較の資料申請用のフォルダ
差異表部門・科目ごとの当期予算、当期の消化、残り、消化率、前年同期の実績(すべて数式)財務部のサイト
予算規程流用できる科目の組み合わせ、決裁権限の金額の区分、前倒しの条件財務部のサイト
予算編成方針当期の重点、抑える支出、投資の判断の基準財務部のサイト
前月までの査定メモ過去の申請の要旨と論点、査定の結論財務部のサイト
査定の観点担当者が確かめる観点の一覧と、書かない内容予算管理グループが用意する文書

質を決めるのは、3行目の差異表と、7行目の査定の観点です。 差異表が数式で作られていれば、Copilot は計算せずに値を写すだけで済みます。査定の観点は、ベテランの担当者の目の付け所を文書にしたもので、これが無いと Copilot の論点は申請書の言い換えになります。

【査定の観点(抜粋)】
1. 当期の消化率が50%未満の科目への追加 → 消化の見込みを質問する
2. 前年同期にも同じ部門・科目で追加・流用がある → 予算の立て方そのものを論点にする
3. 見積が1社だけ、または見積の日付が3か月より前 → 相見積と最新の見積を質問する
4. 申請額と見積の合計が違う → 差の内訳を質問する
5. 「継続的な支出」なのに追加で申請 → 来期の予算への織り込みを論点にする
6. 決裁権限の区分の境目のすぐ下の金額 → 分割の有無を確かめる
書かない内容:認めるかどうかの結論、金額の妥当性の評価、申請者個人への評価
Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
申請書と添付申請用のフォルダをノートブックに参照として追加要旨と見積の確認
差異表ファイルをノートブックに直接追加部門・科目の行の値を写す
規程・方針・観点ファイルをノートブックに直接追加確認点と論点の根拠
前月までの査定メモ査定メモのフォルダを参照として追加同種の申請の有無

決まった資料は、ファイルとして直接追加します。 公式のページでは、フォルダやサイトを参照にした場合、指示に関係の深い300のファイルが選ばれるとされています。差異表や規程がその選び方から漏れないよう、フォルダとは別に直接追加します。

差異表は、参照が最新の状態を保つ点に注意します。 公式のページでは、データが変わっても参照は最新の状態を保つとされています。月の途中で差異表を更新すると、同じ月の前半の論点と後半の論点で、基にした値が変わります。 差異表は月初に1回だけ更新し、月の途中では触らない決まりにします。

パスワード付きのファイルは使えません。 Microsoft Purview の公式のページでは、パスワードで保護された文書は、利用者が同じアプリで開いている場合を除き、AIのアプリから読めないとされています。部門には、パスワードを付けずに申請用のフォルダへ置き、フォルダの権限で守るように頼みます。秘密度ラベルで暗号化された文書は、利用者に閲覧(VIEW)と抽出(EXTRACT)の権限があるときだけ使われます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 差異表の締めの月を確かめる … ノートブックの名前と差異表の締めの月が同じかを見ます
  2. 申請書の様式を確かめる … 古い様式の申請書は、新しい様式で出し直してもらいます
  3. 添付の有無を確かめる … 見積の無い追加の申請は、論点の表を作る前に部門に頼みます
  4. パスワードの有無を確かめる … パスワード付きのファイルは外して置き直してもらいます
  5. 申請番号を振る … 申請書のファイル名に、月と通し番号を入れます(例:2610-07)

5番目を省かないでください。 Copilot に「この申請」と頼むと、似た名前の申請書の内容が混ざることがあります。申請番号で指定すれば、どの申請の論点かがはっきりし、後で差異表と突き合わせるときも番号で引けます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、申請書から要旨を拾い、差異表の値を写し、規程と観点に照らして確かめる点と質問を並べることです。

見るもの見方分からないときの扱い
申請の要旨何のために、なぜ今、いくら、いつ支出するか申請書に無ければ「記載なし」
差異表の値部門・科目の当期予算、消化、残り、消化率、前年同期の実績を写す行が見つからなければ「差異表に行なし」
見積と申請額見積の合計、見積の社数、見積の日付見積が無ければ「添付なし」
規程上の確認点流用できる組み合わせか、決裁権限の区分、前倒しの条件規程に当てはまる条文が無ければ「規程で判断できない」
過去の同種の申請前月までの査定メモで、同じ部門・科目の申請無ければ「なし」
論点と質問査定の観点のどれに当たるか、部門に聞くこと当たらなければ論点を作らない

「差異表の値を写す」と「計算しない」を分けて指示するのが、この表でいちばん大事な点です。 申請額を足した後の消化率や、前年比の増減率を Copilot に求めると、それらしい数字を作ります。 足し算1つでも、査定に使う数字は差異表の数式で出し、Copilot には写させるだけにします。足した後の数字が要るなら、差異表に列を足します。

させないこと理由
認めるかどうかの結論査定は財務部長と決裁者が行う
金額が妥当かの評価相場の判断は根拠が無い。見積と質問で確かめる
計算(足し算・比率・増減)数字は差異表の数式で出す
申請者個人への評価申請の内容だけを扱う
申請書に無い事情の推測「おそらく〜のため」と理由を補わない

4行目には理由があります。 Microsoft のプライバシーのページは、職場のやり取りをもとに従業員の業績・態度・内面・個人の特性を推し量り、判断し、評価する生成AIの使い方を制限しているとしています。論点メモは申請の内容についてのメモで、申請した人についてのメモではありません。

Step6

指示内容を固定する

申請ごとに、ノートブックのチャットで次の指示を使います。

あなたは財務部の予算管理の担当として、部門から届いた予算の申請の査定の論点を整理します。
このノートブックの参照だけを使ってください。

【対象】申請番号 {request_no} の申請書と、その添付

【やること】次の項目を表で書いてください。
1. 申請の要旨:種類(追加/流用/前倒し)、部門、科目、金額、支出の時期、目的(2文以内)
2. 差異表の値:差異表のうち、この部門・科目の行の「当期予算」「当期消化」「残り」「消化率」
   「前年同期実績」を、表の値のまま写してください
3. 見積:社数、見積の合計、見積の日付
4. 規程上の確認点:予算規程のどの条に当たるか(条番号)と、確かめる点
5. 過去の同種の申請:前月までの査定メモのうち、同じ部門・科目の申請番号と論点
6. 論点:「査定の観点」の番号ごとに、当てはまるものと、その根拠にした記載
7. 部門への質問:論点ごとに1つずつ

【決まり】
- 数字は計算しないでください。足し算、比率、増減を求めないでください。
  差異表と見積に書かれた値だけを、そのまま写してください。
- 差異表にこの部門・科目の行が見つからないときは「差異表に行なし」と書き、
  別の行の値で代えないでください。
- 申請書に書かれていないことは「記載なし」とし、理由を推し量って補わないでください。
- 申請を認めるべきか、金額が妥当かは書かないでください。
- 申請者個人の能力や姿勢について書かないでください。
- 「査定の観点」に当てはまらない論点を作らないでください。

「別の行の値で代えない」を明記しないと、似た科目の行の値が入ります。 「修繕費(工場A)」の行が無いと、「修繕費(工場B)」や「修繕費(全社)」の値を写すことがあります。行が無いこと自体が、差異表の作り方か申請書の科目の書き方の誤りを示しています。

月をまたいで比べる指示は、別に用意します。 「前月までの査定メモのうち、同じ部門から出た申請を一覧にし、科目と金額と査定の結論を並べてください。結論は査定メモの記載のまま写してください」と頼むと、同じ部門の申請の続き方が見えます。結論を写させるだけで、傾向の評価はさせません。

「観点に当てはまらない論点を作らない」と縛るのは、論点の数を増やさないためです。 何も言わなければ、Copilot は申請書の気になる言い回しを次々に論点にします。財務部長が読むのは、観点に照らして確かめた論点だけにします。観点が足りなければ、観点の一覧のほうを直します。

Step7

出力形式を固定する

ノートブックのチャットの結果を、決めた項目の表で受け取ります。 Copilot Notebooks は構造化した結果を API で返す仕組みではないので、項目と順番を指示で固定し、担当者が確かめやすい形にします。

【論点の表(申請番号 2610-07)】
| 項目 | 内容 | 根拠 |
| 要旨 | 追加/第二工場 製造課/修繕費/1,850,000円/11月/プレス機の油圧ユニットの交換 | 申請書 |
| 差異表の値 | 当期予算 6,000,000/当期消化 5,420,000/残り 580,000/消化率 90.3%/前年同期実績 4,980,000 | 差異表 第二工場・修繕費の行 |
| 見積 | 1社/1,850,000円/2026-09-02 | 添付の見積 |
| 規程上の確認点 | 第14条:追加の申請で200万円未満は財務部長の決裁 | 予算規程 |
| 過去の同種の申請 | 2604-11(同じ設備の部品の追加) | 4月の査定メモ |
| 論点 | 観点3:見積が1社/観点2:前年同期にも追加あり | 添付、査定メモ |
| 部門への質問 | 相見積を取れない理由/油圧ユニットの更新の周期の見込み | - |

1つ目の理由は、数字の突き合わせを1行で済ませられることです。 「差異表の値」の行を、差異表の同じ部門・科目の行と見比べます。根拠の列に「どの行か」が書いてあるので、探す必要がありません。

2つ目は、論点を観点の番号で読めることです。 財務部長は、観点の番号を見れば、どの種類の確認が要るかが分かります。月の終わりに観点ごとの件数を数えれば、どの部門でどの論点が多いかも分かります。

3つ目は、Word の論点メモへ整えやすいことです。 公式のページでは、Word の Copilot の入力欄で「/」を入力してファイルを選び、特定の資料を参照させて下書きを作れるとされています。担当者が確かめた論点の表を Word の文書に貼って保存し、それを参照させて論点メモの様式に整えさせます。公式のページは、下書きを共有する前に事実・数字・引用・名前を確かめるよう案内しています。 数字は、表から様式へ写る間にもう一度見ます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
申請用のフォルダノートブックに参照として追加申請書と添付
差異表ファイルをノートブックに直接追加部門・科目の値
予算規程・編成方針・査定の観点ファイルをノートブックに直接追加確認点と論点の根拠
査定メモのフォルダノートブックに参照として追加過去の同種の申請
Teams のチャネル人が質問を送る部門への質問

会計システムには何も書き込みません。 予算の変更の登録は、査定の結論が出た後に、これまでどおり財務部が行います。Copilot の論点の表が、予算の数字を動かす経路はありません。

Step9

人が確認する

この構成では、財務部長に回す論点メモを全件、担当者が確かめます。

  1. 差異表の値を突き合わせる … 論点の表の数字を、差異表の同じ行と1つずつ見比べます。ここは流し見しません
  2. 見積と申請額を添付で確かめる … 見積の合計と日付を、添付を開いて見ます
  3. 規程の条番号を確かめる … 書かれた条が本当にその申請に当たるかを、規程を開いて見ます
  4. 論点を足し引きする … 観点に無いが気になる点は、担当者が自分の言葉で足します
  5. 質問を送るかを決める … 部門に聞く質問を選び、Teams で送ります

1番目を省かないでください。 査定は数字で決まります。写しの誤りが1つあれば、論点メモ全体が信用されなくなります。

4番目で担当者が足した論点は、印を付けて残します。 「観点に無いが担当者が足した」論点が同じ型で何度も出るなら、それは観点の一覧に足すべきものです。月に1回、足した論点を見直して観点の一覧を更新します。 こうして、ベテランの目の付け所が少しずつ文書に移っていきます。

目標は、1件あたり18分です。 読んで拾う時間と、画面から数字を引く時間が、表を確かめる時間に置き換わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
差異表にその部門・科目の行が無い申請書の科目の書き方か、差異表の作り方を確かめる。別の行で代えない
パスワード付きのファイルが置かれた読めない。パスワードを外して置き直してもらう
見積が添付されていない論点の表を作る前に部門に頼む
申請書が古い様式新しい様式で出し直してもらう
月の途中で差異表を更新してしまったノートブックの名前と締めの月を直し、前半の申請の論点を作り直すか確かめる
1件の申請に複数の科目がある科目ごとに申請番号の枝番を振り、別々に頼む
規程に当てはまる条文が無い「規程で判断できない」とし、財務部長に判断を仰ぐ
添付が写真だけで見積の金額が読めない見積の書面を頼む。写真から金額を読み取らせない
申請が取り下げられた論点の表に「取り下げ」と書き、ノートブックの参照から外す

写真だけの添付を読ませないのは、金額の読み違いを避けるためです。 写真の見積から読んだ金額が申請額と合っていても、それが正しく読めた結果かは分かりません。金額の根拠は、書面の見積に限ります。

最初の行がいちばん起きやすい例外です。 部門は「修繕費」と書き、差異表は「修繕費(設備)」と「修繕費(建物)」に分かれている、といったずれです。申請書の様式で科目を選ぶ形にすると、減っていきます。

Step11

記録を残す

  • 月ごとのノートブックと、追加した参照の一覧(差異表の締めの月を含む)
  • 申請ごとの論点の表と、担当者が直した後の表
  • 財務部長に回した論点メモと、査定の結論
  • 部門への質問と回答
  • 観点ごとの論点の件数(月ごと・部門ごと)

Copilot とのやり取りの記録は、組織の Microsoft 365 の中に残ります。 Microsoft Purview の公式のページでは、AIのアプリへの指示と応答は統合監査ログに記録され、保持のポリシーで残す期間や削除を決められるとされています。査定の記録として残す期間を、稟議の保存の期間と合わせて決めます。

最後の行は、予算の立て方を直す材料になります。 「観点2:前年同期にも追加あり」が同じ部門で毎年続くなら、その部門の予算の立て方が実態に合っていないことを、来期の予算編成で取り上げられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:ノートブックに前月の申請10件と資料を入れ、論点の表を当時のメモと比べる / 一部の申請の論点整理
半自動化:月ごとのノートブックで全申請の論点の表を出し、Word の Copilot で論点メモに整える / 要旨・数字の写し・論点と質問
本格構成:上記+申請書をフォームで受け、申請番号と科目を自動で付け、差異表の行を申請ごとに書き出す / 受付から論点の表の手前まで

本記事の想定は半自動化です。 1件50分が18分になります。差が大きいのは、読んで拾う作業と、画面から数字を写す作業が、表を確かめる作業に変わるからです。 半自動化の数か月で、査定の観点の一覧が育ちます。 担当者が足した論点のうち、繰り返し出るものを観点に加えるたびに、Copilot の論点の表で拾える範囲が広がります。 本格構成に進むかは、申請書の様式の整い方で決めます。 科目を選ぶ形の様式になり、差異表の行と申請が1対1に結び付くようになれば、受付の仕組みを作る価値が出ます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
50 分
1件あたり導入後時間
18 分
現在  30件 × 50分 ÷ 60 = 25 時間/月
導入後 30件 × 18分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
16h
削減率
64%
年間削減時間
192h
年間金額換算(時間単価4,000円)
77万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 工場・営業所・本社の各部門から、期中に予算の追加・科目間の流用・前倒しの申請が毎月20〜40件届き、財務部が1件ずつ査定してから決裁に回している製造業・商社・建設業など。申請書の様式はあるが、理由の書き方が部門ごとにばらばらで、前年の実績や当期の消化と見比べてメモを書くのに時間がかかる場合。査定の目の付け所がベテランの担当者の経験に頼っている場合。Microsoft 365 を使っていて、財務部に Microsoft Copilot のライセンスを配れる場合。
向いていない
  1. 期中の予算の変更がほとんど無く、申請が月に数件の場合。予算の申請と査定が専用の予算管理システムの中で完結し、申請書が Microsoft 365 の外にしか無い場合。申請の可否が金額の区分だけで機械的に決まり、論点を整理する余地が無い場合。なお、申請を認めるかどうか、金額が妥当かの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 前月の申請から10件を選ぶ(論点の多かった申請と、すぐ決裁された申請の両方を入れる)
  2. 当時の差異表と、当時の論点メモを用意する
  3. ノートブックを作り、10件の申請書と添付、差異表、予算規程、査定の観点を参照に追加する
  4. 第7章の指示で、1件ずつ論点の表を出させる
  5. 当時の論点メモと比べ、数字の写し、規程の条番号、論点の抜けを見る

数字の写しを最優先で見てください。 差異表の値が1つでも違えば、それが計算させたのか、別の行を写したのかを確かめます。

出てきた内容判断
数字が差異表どおりで、当時の論点がそろった毎月の運用に進む
比率や増減を計算して書いた指示の書き方で直る。「計算しない」を強め、要る数字は差異表に列を足す
当時のベテランの指摘が出てこない査定の観点が足りない。 観点の一覧に足す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
比率や増減を計算して書く「計算しない」を指示に書き、要る数字は差異表に列を足す
別の行の値を写す行が無ければ「差異表に行なし」と書かせ、別の行で代えない
論点が申請書の言い換えになる査定の観点を文書にし、観点に当てはまるものだけを論点にする
似た名前の申請書の内容が混ざる申請番号で指定する
差異表の更新で前半と後半の値が変わる差異表は月初に1回だけ更新する
パスワード付きのファイルが読めないパスワードを外し、フォルダの権限で守る
申請者への評価が混ざる書かない内容に明記し、担当者が読んで消す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも数字が並んでいるので、突き合わせないと気づきません。 差異表の数式と、1つずつの突き合わせで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 部門ごとの予算と実績、設備投資の計画、取引先の見積、未公表の事業の計画です。社内でも見られる人を絞るべき情報です。

  1. Web検索を止める … 公式のページでは、Web検索が有効なとき、Copilot は指示から語を取り出して Bing に検索語を送り、アプリの中で開いている文書や、指示で指定した文書の内容がその検索語に影響しうるとされています。生成された検索語には、Microsoft のデータ保護の補足条項(DPA)が適用されないとされています。管理者が「Allow web search in Copilot」のポリシーで、予算管理グループの Web検索を止める前提にします
  2. 権限で絞る … Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。申請用のフォルダと財務部のサイトの権限を、申請した部門と予算管理グループに絞ります
  3. 秘密度ラベルを使うなら権限を確かめる … 暗号化した秘密度ラベルの付いた文書は、閲覧と抽出の権限があるときだけ使われます。予算管理グループに抽出の権限が付いているかを確かめます
  4. 学習への利用 … 公式のページでは、指示、応答、Microsoft Graph から取ったデータは基盤となる大規模言語モデルの学習に使われないとされています
  5. 申請者を評価しない … Microsoft のプライバシーのページは、職場のやり取りから従業員の業績や態度を推し量る使い方を制限しているとしています。論点メモは申請の内容だけを扱います

この構成は、申請を認めるかどうか、金額が妥当かを判断しません。 それらは、これまでどおり財務部長と決裁者が決めます。

誤りが起きた場合のリスクは、誤った数字で査定することと、予算の情報が外に出ることの2つです。 前者は差異表の数式と1つずつの突き合わせで、後者は Web検索の停止と権限の絞り込みで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:査定の観点を文書にする

ベテランの担当者に、申請書を開いたときに何を見ているかを聞き、観点の一覧と書かない内容を1つの文書にします。過去の論点メモから、よく出る指摘を拾うと早く進みます。

2週目:差異表を見直す

差異表がすべて数式で作られているか、部門・科目の行が申請書の科目と1対1に対応しているかを確かめます。足りない列(前年同期の実績など)はここで足します。

3週目:前月の申請で試す

前月の申請10件で論点の表を出させ、当時の論点メモと比べます。数字の写しを最優先で見ます。

4週目:Web検索と権限を確かめる

管理者と、Web検索のポリシー、フォルダとサイトの権限、パスワード付きのファイルの扱いを確かめます。ここが済むまで、その月の申請は入れません。

2か月目: 月ごとのノートブックで、届いた申請の論点の表を作る運用を始めます。3か月目以降: Word の Copilot で論点メモに整えるところまで広げ、1件50分が何分になったかを実測します。担当者が替わっても同じ観点の論点メモが出て、数字の写しの誤りが突き合わせで見つかる状態が続いた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Copilot Notebooks を使うには Microsoft Copilot か Copilot Chat のライセンスが必要で、ノートブックを作るアカウントには SharePoint または OneDrive のライセンス(サービスプラン)が要ることMicrosoft Support: Get started with Copilot Notebooks2026-10-14
Microsoft Copilot のユーザーは300を超える参照を追加でき、根拠に使われるのは最初の300までであること。対応する形式が .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページであること。参照はファイル・フォルダ・サイトでよく、本人がアクセスの権限を持つものだけが使われること。データが変わっても参照は最新の状態を保つことMicrosoft Support: Add reference files to your Copilot Notebooks2026-10-14
ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使い、OneDrive の全体・メール・Teams のチャット・Webには行かないこと。共有の場所を参照にした場合は関係の深い300のファイルが選ばれることMicrosoft Support: How Copilot Notebooks works2026-10-14
Word の Copilot で「/」を入力してファイルを選び、参照させて下書きを作れること。下書きは共有する前に事実・数字・引用・名前を確かめるよう案内されていることMicrosoft Support: Start a draft with Copilot in Word2026-10-14
利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。職場のやり取りから従業員の業績・態度・内面・個人の特性を推し量り評価する使い方を制限していることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-14
Web検索が有効なとき、Copilot が指示から検索語を作って Bing に送り、アプリ内で開いている文書や指示で指定した文書がその検索語に影響しうること。生成された検索語に DPA が適用されないこと。管理者が「Allow web search in Copilot」のポリシーで Web検索を止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot2026-10-14
暗号化した秘密度ラベルの付いた文書は、利用者に VIEW と EXTRACT の権限があるときだけAIのアプリが返すこと。パスワードで保護された文書は、利用者が同じアプリで開いている場合を除きAIのアプリから読めないこと。指示と応答が統合監査ログに記録され、保持のポリシーで残す期間や削除を決められることMicrosoft Learn: Microsoft Purview data security and compliance protections for generative AI apps2026-10-14

申請を認めるかどうか、金額が妥当かは、財務部長と決裁者が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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